JPH031661Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ピストンロツド及び該ピストンロツ
ドに貫通されるシリンダーヘツドの間に配置され
て圧力流体をシールするロツド用シールに関す
る。

（従来の技術） ピストン及びシリンダーヘツドの間に配置され
て圧力流体をシールするロツド用シールとして
は、第２図に例示するものが広く使用されてい
る。

同図のロツド用シールは、ピストンロツド１に
貫通されたシリンダーヘツド２の内周側に配列さ
れた略円筒形状の軸受３、略Ｕ字状の断面形状を
呈して内周側にシールリツプ５を備えるパツキン
４及び略截頭形状を呈するダストシール６を有
し、軸受３によつてピストンロツド１の往復運動
を案内し、ピストンロツド１の周面に対するパツ
キン４のシールリツプ５の弾性接触によつて圧力
流体の流出を制止し、ピストンロツド１の周面に
対するダストシール６の弾性接触によつて外部ダ
スト等の侵入を阻止している。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来技術によるロツド用シールにおい
ては、シリンダーヘツド２に対するピストンロツ
ド１の偏心が大きくなつた場合或いは低温環境下
の運転時にゴム様弾性材料パツキン４に低温収縮
が生じた場合に、シリンダーヘツド２の装着溝の
底周面及びパツキン４の接触の密着性が不安定に
なつて密封性を低下させるおそれが残されてい
る。

上記したシリンダーヘツド２に対するピストン
ロツド１の偏心は、軸受３を設ける余裕のない場
合に生じやすく、又最近の傾向として見られる作
動圧力の高圧化に伴つて大きく表れやすく、パツ
キン４の低温収縮が、使用環境条件の低温化に伴
つて増加する傾向にあるために、上記した密封機
能の低下のおそれが著しく増大している。

本考案は、上記した問題点を解消して、ピスト
ンロツド及びシリンダーヘツド間の偏心及びパツ
キンの低温収縮による密封機能の低下を防止した
ロツド用シールの構造を提示することを目的とす
るものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記した従来技術によるロツド用シ
ールにおける問題点に鑑み、弾性材料をもつて成
形され、ピストンロツドの周面と密封摺動するシ
ールリツプを有するパツキンのヒール部とシリン
ダーヘツドに設けられた装着溝の底周面との間に
締め代を設定するとともにヒール部の内方に環状
凹所を設け、硬質の材料をもつて内周側を円錐面
に形成されたバツクアツプリングをヒール部の環
状凹部内に圧挿し、更にやや軟質の合成樹脂材料
をもつて、外周面をバツクアツプリングの内周面
と同等の円錐面に形成された支持リングをバツク
アツプリングとパツキンのシールリツプとの間に
配置した構成となすものである。

（作 用） 上記した構成を備えたロツド用シールにおいて
は、硬質の材料をもつて製せられ、パツキンのヒ
ール部の内方に設けられた環状凹所内に圧挿され
たバツクアツプリングが、シリンダーヘツドの装
着溝の底周面との間にパツキンのヒール部を挾持
し、やや軟質の合成樹脂材料をもつて、外周面を
バツクアツプリングの内周面と同等の円錐面に形
成されてパツキンのシールリツプとバツクアツプ
リングとの間に配置された支持リングが、流体圧
力に圧せられた際にバツクアツプリングの円錐面
に押されて収縮し、内周面をピストンロツドの周
面に接触させて該ロツドの運動を案内し、更にピ
ストンロツドの偏心が生じた際に、ピストンロツ
ドとバツクアツプリングとの間隔が狭くなつた箇
所にある支持リングの部分が、両部材の間隔が広
くなつた側へ移行してピストンロツドの全周面に
対する支持状態を持続する。

（実施例） 第１図の実施例においては、ピストンロツド１
の周面と密封摺動するシールリツプ５を有するパ
ツキン４のヒール部７の外周に外向突起８が付さ
れてヒール部７とシーリンダーヘツド２の装着溝
の底周面の間に締め代が設定され、ヒール部７の
内方に設けられた環状凹所９内に、内周面を円錐
面に形成された金属材料製バツクアツプリング１
０が挿入されて装着溝の底周面との間にヒール部
７を挾持し、外周面をバツクアツプリング１０の
内周面と同等の円錐面に形成された合成樹脂材料
製支持リング１１がバツクアツプリング１０とシ
ールリツプ部５の間に配置されている。

上記した実施例において、パツキン４が低温に
より収縮した際には、外向突起８による装着溝底
周面に対する締め代及びバツクアツプリング１０
による支持力が、パツキン４の収縮に伴うヒール
部７及び装着溝の底周面間の隙間の形成を防止
し、シリンダーヘツド２に対するピストンロツド
１の偏心が発生した際には、バツクアツプリング
１０及びピストンロツド１周面間の間隔が狭くな
つた箇所にある支持リング１１の部分が狭圧によ
り両部材間の間隔が広くなつた方へ押し出されて
ピストンロツド１の全周面に対する支持状態を維
持する。

（考案の効果） 本考案のロツド用シールが、上記したように、
ピストンロツドの周面と密封摺動するシールリツ
プを有するパツキンのヒール部とシリンダーヘツ
ドの装着溝の底周面との間に締め代を設定され、
内周面を円錐面に形成された硬質材料によるバツ
クアツプリングをヒール部の内方に設けられた環
状凹所内に挿入され、更に外周面をバツクアツプ
リングの内周面の同等の円錐面に形成されたやや
軟質の材料により支持リングをバツクアツプリン
グとパツキンのシールリツプとの間に配置された
構成を備えていることにより、低温時におけるパ
ツキンの収縮及びシリンダーヘツドに対するピス
トンロツドの偏心の発生に伴う装着溝の底周面及
びヒール部間の隙間の形成が、装着溝の底周面に
対するヒール部の締め代及びヒール部に対するバ
ツクアツプリングの支持力によつて阻止され、シ
リンダーヘツドに対するピストンロツドの偏心発
生時におけるピストンロツドの周面及び支持リン
グ間の曲部的な隙間の形成が、ピストンロツド及
びバツクアツプリング間の間隔が狭くなつた箇所
にあるバツクアツプリングの部分が狭圧により押
し出され、両部材の間隔が広くなつた方へ移動し
てピストンロツドの全周面に対する支持状態を保
持することによつて防止されるので、低温時及び
シリンダーヘツドに対するピストンロツドの偏心
発生時においてもパツキンによるシール性能が良
好な状態に保たれ、圧力装置は長期間にわたつて
正常な機能を持続することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の断面図、第２図
は、従来技術によるロツド用シールの一例の断面
図である。 １……ピストンロツド、２……シリンダーヘツ
ド、３……軸受、４……パツキン、５……シール
リツプ、６……ダストシール、７……ヒール部、
８……外向突起、９……環状凹所、１０……バツ
クアツプリング、１１……支持リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダーヘツド２を貫通して往復運動をなす
   ピストンロツド１の周面と密封摺動するシールリ
   ツプ５を有する弾性材料製パツキン４のヒール部
   ７と、前記シリンダーヘツド２に設けられた装着
   溝の底周面との間に締め代を設定するとともに、
   前記ヒール部７の内方に環状凹所９を設け、内周
   側を円錐面に形成されたバツクアツプリング１０
   を前記凹所９内に挿入し、合成樹脂材料をもつて
   外周面を前記バツクアツプリング１０の内周面と
   同等の円錐面に形成された支持リング１１を前記
   バツクアツプリング１０及び前記シールリツプ５
   の間に配置したことを特徴とするロツド用シー
   ル。