JPH03138115A - 偏肉構造部を有する中空成形品の射出成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱可塑性樹脂の偏肉構造部分を有する中空成
形品を製造するための射出成形方法に関する。

〔従来の技術〕

熱可塑性樹脂の中空成形品を製造する従来技術の最も一
般的な方法は、押出しパリソンを用いるブロー成形法か
、あるいは２個以上の型物を成形し、これらを接着Ｉこ
よって一体化する方法である。これらの方法では、比較
的肉厚の均一な中空成形品が得られるものの、成形品の
形状や大きさ１ζ制約があるし、成形工程が複雑で、成
形費用も高くつくという欠点は免れ難いものであった。

これらの欠点を解消するとともに、射出成形法（こよっ
て中空成形品を製造する方法も多く提案されており、例
えば、特公昭５７−１４９６８号公報厖は、型キャビテ
ィを満すに不十分な皿の溶融樹脂を型キャビティＩこ注
入した後、引続き同じ入口よりガス体を注入して中空型
物を製造する方法が開示されている。しかし、この方法
では、型キャビティ内番こ射出、注入された溶融樹脂は
、金型表面の温度分布および型キャビティ内へ注入され
る過程における型キャビティ内での溶融樹脂の堆積状態
により複雑な温度分布を持ち、そのために、ガス体を注
入された時点でキャビティ内の樹脂は複雑な粘度分布を
持つことになる。従って、このような状態にある型キャ
ビティ内の溶融樹脂１こガス体を注入すると、樹脂及び
ガス体の流れは複雑な経路をたどり、特に偏肉構造部分
を持つ中空成形品を成形しようとする場合には、厚肉部
分にガス体の流れが集中し、相対的に薄肉の部分にはガ
ス体の流れが十分には届かず、結局、厚肉部分には中空
部が形成されるが、薄肉部分あるいは複雑な形状の部分
には中空部が形成されない成形品が成形される可能性が
高い。つまり、かかる成形品では、所望の中空型物が得
られないばかりでな（、成形品に反りなどの不都合が生
ずる原因ともなる。

このような不都合を解消するべく、型キャビティを満た
すに不十分な量の溶融樹脂を型キャビティに注入したの
ち、次いで加圧ガス体を注入して厚肉部分にのみガス体
の流れが集中するのを防ぐべく試みた場合でも、注入さ
れたガス体は厚肉中央部に存在する相対的に低粘度の溶
融樹脂をキャビテイ壁面へ押し付ける力として作用して
厚肉部に中空部を形成するものの、薄肉部あるいは複雑
な形状部には、樹脂が充填されても冷却による粘度上昇
のためガス体が流れず、中空状態が形成されるのが極め
て困難となる。

厚肉部分以外にもガス体が流れるように、薄肉部分ある
いは複雑な形状部への樹脂の充填状態を不十分にしたり
、低粘度に保持し得るように射出条件あるいは成形条件
を選び、しかるのち加圧ガス体を注入する工夫も考えら
れるが、この場合には、薄肉部が局部的に超薄肉となり
、ガス体がその部分を破り、その結果、所望の中空成形
品を成形し得ない危険が高くなる。そこで、注入ガス体
の圧力を加減する方法も考えられるが、ガス体の圧力が
低い場合には型キャビティ内の樹脂を型キャビティの壁
全面にまわし切れず、不均一な肉厚の中空品が得られた
り、ひけの生じた外観の極めて不良な成形品が得られた
り一時にはガス体の圧力の不足によって所望の形状が保
持されない成形品が得られる原因にもなりかねない。

〔発明が解決しようとする問題点とそれを解決する手段〕

本発明の目的は、中空部が偏在することなく、且つ肉厚
が均一な中空成形品を射出成形によって製造する方法を
提供することにある。特に、偏肉構造部を有する複雑な
形状の成形品においても良好な中空構造を持つ成形品を
製造する方法を提供することにある。

この目的を達成するために、本発明は、偏肉構造部を有
する成形品型キャビティと該成形品型キャビテ・イに連
通した補助キャビティとを備えた金型を用い、前記成形
品型キャビティに溶融した熱可塑性樹脂を注入し、次い
で、該溶融樹脂中に加圧ガス体を注入し、加圧ガス体に
よ゛る保圧下に成形品型キャビティ内の溶融樹脂の一部
を前記補助キャビティ内へ排出させることによって、所
望の偏肉構造部を有する肉厚の均一な中空成形品を射出
成形法によって製造する方法を提供する。

本発明の方法においては、成形品型キャビティに射出、
注入された溶融樹脂は、次いで注入される加圧ガス体の
作用をうけてキャビテイ壁面に向って流れ、所望の成形
品の形状を形成す融 るが、さらｌこ、加圧ガス体によって溶Ｑ樹脂の一部が
補助キャビティへ押し出される間に、ガス体が与える圧
力によって溶融樹脂は型キャビティの壁面に押しつけら
れるばかりでなく、壁面を充たすように流れ、それによ
って型キャビティ壁面に均一な肉厚が形成されるととも
に、所望の形状が形成されるのである。加圧ガス体の圧
力作用によって補助キャビティへ押し出される溶融樹脂
は、偏肉構造部の厚肉部分の中心部の相対的に低粘度の
溶融ｍ＠ばかりでなく、その他の薄肉部あるいは複雑な
形状部の樹脂も加圧ガス体の圧力作用を受けるため、結
局、成形品全域にわたって均一な肉厚の中空部が形成さ
れ、所望の偏肉構造部を有する中空成形品が成形され得
ることになる。

本発明の方法においては、加圧ガス体によって補助キャ
ビティ内へ溶融樹脂を排出することによって偏肉構造部
に形成された中空部のガス体の保圧効果によって、厚肉
の偏肉構造部が所望の形状１こ保持され、ひけ等が予防
されて美麗な外観が形成される。

かかる本発明の方法は、型キャビティ内の樹脂をガス体
でキャビテイ壁面に押し付けるという従来の技術思想と
は異なり、キャビティの中心部に存在する本来不必要な
溶融樹脂を、ガス体の圧力によって補助キャビティへ排
出し、それによって中空部を成形品全域に形成するとと
もに、肉厚を均一に形成させるという合理的な技術思想
にもとづくものである。

本発明の方法によれば、型キャビティの中心部、なかん
ず（肉厚の偏肉構造部の中心部にあって外周部による断
熱効果によって溶融状態で長く存在する樹脂をガス体の
圧力で強制的に補助キャビティへ排出するので、成形品
の冷却時間が短くなり、成形サイクルの大幅な短縮が実
現でき、成形コストの低減を可能とする。さらには、成
形品内部にほぼ全域番ζわたって中空部が形成されるた
めガス体による保圧が均一に維持され、それによって、
外観が良好で、反りやひけもない成形精度にすぐれた偏
肉構造部を有する中空成形品が容易に得られる。

本発明の方法を実施するための製品型キャビティと補助
キャビティとの容積比率の選定に当っては、特に制約は
ないが、例えば、加圧ガス体の圧力にも関連するが、そ
の比率は中空成形品の肉厚を決定する要因にもなる。通
常、製品型キャビティと１個の補助キャピテイの容積比
率は１００対０．１から１００対９５の範囲から適宜選
定されればよい。使用する補助キャビティの数は、目的
とする成形品の形状や使用する樹脂の流れ特性や成形品
の肉厚など種々の要因を考慮の上で決定され、２個以上
の複数個の補助キャビティが用いられる態様があること
は勿論である。成形品型キャビティに補助キャビティを
連通させる位置については、特に制限されるものではな
く、偏肉構造部と相対的に薄肉部とにおける溶融樹脂と
ガス体の流動性を考慮して、薄肉部を形成する部分であ
って注入樹脂が最後に充填される位置に補助キャビティ
を設けたり、多数の偏肉構造部分を有する成形品にあっ
ては、ゲート位置から最も遠い偏肉構造部分において補
助キャビティに連通させたり、成形品の形状に合わせて
適宜設計されればよい。

また、成形品型キャビティと補助キャビティとの連通口
を開閉制御可能にしたり、成形品型キャビティへの樹脂
の注入圧では注入した樹脂が補助キャビティへ流入しな
いように連通口を設計した場合には、補助キャビティは
任意の位置で成形品型キャビティと連通させることがで
きる。

成形品型キャビティ内に射出、注入される溶融した熱可
塑性樹脂の量は、型キャビティを十分に充す量であって
も、型キャビティを充すに不十分な量であっても′よく
、型キャビティと補助キャビティとの容積比率や目的成
形品の形状や要求される肉厚等を考慮して適宜選択され
る。

本発明の方法を実施するに当って、成形品型キャビティ
内の溶融樹脂中に加圧ガス体を注入する注入口の態様は
、ゲート部位で見て樹脂とガスが同じ位置で型キャビテ
ィに注入される態様であっても、ゲート部位とは異なる
位置で直接型キャビティに注入される態様であってもよ
い。ここで、ゲート部位で見て樹脂とガスが同じ位置と
いうのは、射出成形機のノズルの先端において同じ口よ
り樹脂とガスとが注入される態様はもとより、ガスの注
入口がスプレ一部またはランナ一部に設けられた態様を
も包含することは勿論である。

本発明の方法に用いられるガス体は、常温、常圧におい
て気体である物質であり、使用する熱可塑性樹脂に対し
て不活性であればいずれの物質であってよいが、安全性
および経済性より、通常窒素ガスが好適に用いられる。

本発明の方法を適用できる熱可塑性樹脂としては、特に
制約はなく、ポリオレフィン、ポリスチレン、ＡＢＳ樹
脂、ＡＳ樹１］ｉ、ｐｖｃｌ脂、メタアクリル樹脂、含
ふつそ樹脂等で例示されるいわゆる汎用プラスチックス
はもとより、ナイロン、飽和ポリエステル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ボリアリレート樹脂、ポリアセクール
樹脂、ｒＰ（リスルホン、変性ポリフェニレンエーテル
樹脂等で例示されるエンジニアリングプラスチックスに
も適用できる。所望に応じて、本発明の方法は、これら
の樹脂に繊維強化材を配合した素材にも適用できること
は勿論である。

本発明の方法を実施するに当たって、射出成形時の溶融
樹脂の温度、射出圧力、および射出速度；ガス流体の注
入の時期、量、圧力および速度；あるいは金型の冷却時
間等積々の条件は、使用する樹脂素材の種類、金型の形
状等に見合わせて適宜選定、制御されねばならず、一義
的に定め得ない。

〔実施例〕

実施例 成形品型キャビティと補助キャビティとの容積比率が約
５対１になるように設計された金型（型キャビティの中
央部には周辺部に対して２倍の厚みの偏肉構造部が形成
され・ており、補助キャビティは、ゲート部から最も遠
く離れた周辺部の端に型キャビティに連通して設けた）
を用い、熱可塑性樹脂としてポリアセタール樹脂（三菱
瓦斯化学株式会社製、商品名「ユビタール　Ｆ２Ｏ−０
３Ｊ）を用い、以下のごとく中空成形品を成形した。

射出成形機内で樹脂温度　１９０℃に溶融、可塑化され
たポリアセタール樹脂を射出圧力８００ＫＩＩ／−にて
射出し、型キャビティに充満した。１秒後、樹脂と同じ
入口より圧力　１５０〜／−の窒素ガスを注入した。

４５秒後２ζ成形品を取り出した。

得られた成形品は、外観は樹脂の流れ跡もなく極めて美
麗で光沢があり、偏肉構造部にはひけもなく、成形品全
体に反りも見られなかった。

得られた成形品を縦断し、その内部の状態を調べたとこ
ろ、中央部の偏肉構造部も周辺部の薄肉部も中空化され
、且つ肉厚は概ね均一化されていることが観察された。

比較例 実施例で用いた金型から補助キャビティを除いた金型を
用い、実施例と同じ操作を繰り返して中空成形品の製造
を試みた。成形品型キャビティ内に溶融樹脂を充満せし
めたため、得られた成形品は中空部の極めて少ない製品
に過ぎなかった。

次に、型キャビティを満すに不十分な量の溶融樹脂を実
施例と同じ条件で型キャピテイに注入し、次いで、実施
例と同じ条件で窒素ガスを注入して成形品を得た。

得られた成形品は、中央部の偏肉構造部に大きくひけが
生じ、キャビティ全域に樹脂の充填されていない不完全
な製品であり、樹脂の流れ模様の見られる光沢のない劣
悪な外観を呈した。

成形品を縦断し、その内部の状態を調べたところ、ゲー
ト部から離れた薄肉の周辺部には中空部は形成されてお
らず、樹脂がキャビティ全域に充填されない原因となっ
ていることが判明した。

〔発明の効果〕

実施例の結果から明らかなごとく、成形品型キャビティ
に連通した補助キャビティを設けることによって、厚肉
の偏肉構造部を有する複雑な形状の゛成形品ｌこおいて
も、中空部が厚肉部に偏ることなく成形品全域にわたっ
て形成され、肉厚も概ね均一で外観も美麗な中空成形品
を製造し得ることが判った。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 偏肉構造部を有する成形品型キャビティと該成形品型キ
   ャビティに連通した補助キャビティとを備えた金型を用
   い、前記成形品型キャビティに溶融した熱可塑性樹脂を
   注入し、次いで、該溶融樹脂中に加圧ガス体を注入し、
   加圧ガス体による保圧下に成形品型キャビティ内の溶融
   樹脂の一部を前記補助キャビティ内へ排出せしめること
   からなる偏肉構造部を有する中空成形品の射出成形方法