JPH03133304A - 種子処理剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は部分的に脱アセチル化し水に対する溶解性を増
加させた水溶性キチンよりなる植物種子の種子処理剤に
関する。

農業の近代化の具体的な目標に播種作業の機械化と間引
き作業の省力化が挙げられている。この目標の達成のた
めには、作物の種子の側にも機械播種が可能な形への整
形と造粒、１粒の種子から確実に１本の苗を得るための
発芽率と苗発生率の向上といった種子の高性能化が要求
される。

〔従来の技術］ このような種子の高性能化の要求に応えるためのものと
して実用化されてきた技術が種子処理技術である。種子
処理技術とは、−Ｃ的には種子浸漬処理、湿乾処理、浸
透圧処理、被覆処理、造粒処理のことを意味する。

このうち、造粒処理は微細種子や不整形の種子の造粒と
整形を目的としたもので機械播種を容易にするための技
術であり、特許は数多く存在する。

種子の発芽率の向上などを目的とした処理は、種子浸漬
処理、湿乾処理、浸透圧処理、被覆処理がそれに当たる
。

種子浸漬処理とは、種々の薬液に種子を浸漬し、その種
子を播種、栽培することを目的とするものである。おも
に、種子の消毒を目的とする場合が多いが、植物ホルモ
ン等の溶液に浸漬し、生育の促進を期待する場合もある
。

湿乾処理とは、種子を吸水させ、発芽、発根にいたる前
に乾燥させ、その種子を栽培に使用するものである。こ
の処理により、発芽率の向上がみられる場合がある。

浸透圧処理は、塩類、ＰＥＧあるいはマンニトールなど
の溶液に種子を浸漬し、発芽、発根にいたる前に乾燥さ
せ、その種子を栽培に使用するものである。この処理に
よっても、発芽率の向上や、発芽勢の増進及び苗の斉一
な生育がみられる場合がある。

被覆処理は、種子の表面に殺菌剤や発芽促進物質等をバ
インダーを使ってフィルム状に覆い、種子の消毒、発芽
率の向上や、初期生育の促進をはかる技術である。

（発明が解決しようとする課題〕 これまでのところ、このような処理は種子の通常の発芽
の過程のエージ（ａｇｅ）を進行させるための処理であ
ることが多い。これらは、種子処理によって、付加的な
効果を付与すると言った能動的な処理ではなく、むしろ
、植物の自然の発育の過程を早めるだけの受動的な効果
を期待した種子処理技術である。

また、植物ホルモンで処理して初期成長を促進させよう
とする試みもなされてきたが、植物の種類によって効果
が一定せず、−股部な技術として確立されたものではな
い。植物に生理活性を持つ物質で種子を処理して、植物
の成長を積極的に増進させる技術としては、キトサンお
よびそれを低分子化したコロイダルキトサンについての
特許出願（特開昭６３−１３９１０２号公報）がある。

しかし、この技術は種子の被覆処理に限られたものであ
る。

また、キトサンおよびコロイダルキトサンは水に不溶で
、溶解させるために希酸溶液の使用が必須である。その
ため溶解液は酸性で植物に悪影響があるため、アルカリ
で中和する必要も生じる。これらによって操作を煩雑に
し、コスト高の要因となるといった問題点がある。

（課題を解決するための手段］ 本発明者は、積極的に種子の発芽を促進し、種子の高性
能化に寄与する種子処理技術を開発することを目的とし
て、キチンで種子処理することに着目した。そして、キ
チンを水溶性化し、その水）８液を用いて種子浸漬処理
、浸透圧処理、被覆処理などの種子処理を行なうことに
より様々な植物種に優れた効果を及ぼすことを見出し、
この知見に基いて本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、水溶性キチンよりなる植物種子の
種子処理剤とこれを用いた種子処理方法に関するもので
ある。

キチンは、アセチルグルコサミンの直鎖状のポリマーで
あり、甲殻類、菌類等の支持組織として天然に多量に存
在する。このキチンは植物に対して生理活性を持つこと
が知られていて、例えば、植物に防御反応を誘導するエ
リジターの活性を持つ。キチンは、本来、水に不溶性の
物質であり、本発明においてはこれを水溶性化して用い
る。キチンの水溶性化は部分的に脱アセチル化すること
によって行なうことができる。部分脱アセチル化は公知
の方法（特開昭５３−４７４７９号公報等）に従って行
なえばよく、例えば、先ず、天然産キチン粉末を５〜５
０％濃度のアルカリ水溶液に分散させ、これに水を加え
て撹拌するか或いは分散液を直接凍結し、次に解凍する
操作を繰り返すことによって粘稠なアルカリキチン水）
８液とする。アルカリ加水分解剤として水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属
水酸化物、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ上金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
の炭酸アルカリ金属塩等が用いられる。アルカリキチン
水溶液の調製段階でも既に２０％程度の脱アセチル化が
進行しているが、このものの生成物は水に不溶性である
。従って目的とする４０〜５０％の脱アセチル化を達成
するまでに調製されたアルカリキチン水溶液を更に所定
時間熟成させる。この場合５０°Ｃを超える温度ではキ
チン化合物の沈澱が析出し、不均一系となって了うため
、熟成は５０゛Ｃ以下の温度で均一系の状態を保持して
行うことが必要である。脱アセチル化の進行度合はポリ
マー濃度、アルカリ濃度、熟成温度、熟成時間と密接な
関係を有するが、ポリマー濃度、アルカリ濃度を共々一
定にしたときの、脱アセチル化の進行度合と熟成温度、
ｙ１１液間とは一定の関係がある。

［−１的とする３５〜７５％の脱アセチル化率を達成ず
るための条件は熟成温度２５℃では３０〜１１０時間、
３０℃では２０〜５０時間、４０°Ｃでは１０〜３０時
間である。

３５〜７５％の脱アセチル化率になるように均−系アル
カリ加水分解による部分脱アセチル化を行なった後に、
この部分脱アセチル化キチンのアルカリ水溶液を塩酸、
硫酸等の酸でｐＨメーター測定下に該部分脱アセチル化
キチンの等電点であるｐＨ５〜９に正確にρ１１を調整
するか、或いはメタノール、イソプロパツール、Ｌ−ブ
タノール等のアルコール類、イオン交換樹脂等で脱アル
カリ処理する。

脱アルカリ処理後、アセトン、メタノール等の有機溶媒
中に滴下すれば水可溶性部分脱アセチル化キチンが沈澱
して（るので、これを濾別し、水−メタノール混合溶媒
で十分に洗浄することにより精製品を得ることができる
。又、電気透析、浸透膜の方法によって脱塩し精製品と
なすことも可能である。

また、キトサンを化学修飾することによって水溶性化す
ることも可能であり、例えば硫酸化することによって得
られたものも使用可能である。

本発明においては、このようにして得られた脱アセチル
化率が３５〜７５％、平均の分子量は、１５０万から２
７０万の水溶性キチンを種子処理剤として用いる。この
種子処理剤には他の成分を含ませることもでる。他の成
分の例としてはポリエチレングリコール、マンニトール
、ポリビニルピロリドンなどの浸透圧調節剤や種々の植
物ホルモン、植物栄養素、殺菌剤などを挙げることがで
きる。

種子処理は水溶性キチンを水溶液にして行なう。

水溶液の濃度は０．００１〜２％程度、好ましくは０、
Ｏ１〜０．２％程度が適当である。種子の浸漬は常温で
行なえばよく、時間は１分〜２４時間程度でよい。浸透
圧処理を行なう場合にはマンニトール、塩類、ＰＥＧな
どを加えて浸透圧を高めた水溶液に浸漬する。マンニト
ールの場合、濃度は０．２〜０．７モル／ｌ程度が適当
である。水溶性キチンの濃度は前記と同様でよく、浸漬
時間は１分〜２４時間程度が適当である。浸漬が終了し
たら必要により乾燥する。−被覆処理は浸漬と乾燥を繰
返すことにより行なうことができる。繰返す回数は２〜
１０回程度がよい。

このようにして、水溶性キチンで処理された種子は、通
常の無処理の種子と変わらず播種、栽培することが可能
である。

本発明の種子処理剤で処理できる種子は植物のものであ
れば特に制限されないが、各種野菜類、穀物類等の種子
に適用できる。

〔実施例〕

実施例１　浸漬処理の例 水溶液の調製法 水溶性キチン水溶液は所定量のキチンを水に投入し、カ
クハンをすることにより容易に調製することができる。

レタス（レッドウェーブ）およびニンジン（春蒔金港五
寸）種子を上記の水溶性キチン０．０７％溶液（ｐＨ５
，８）に２２°Ｃで３時間浸漬した後、乾燥機で３０’
Ｃ１１，５時間、続いて３５°Ｃで１．５時間乾燥した
。赤玉土７：ビートモス３の用土を入れたプラントベツ
ドに上記の種子を播種し苗発生率を調査した。調査は、
レタスについては播種後１０日後、ニンジンについては
播種後２５日後に行った。１区１００粒づつの２区制と
し、苗発生率は２区の平均値を採用した。対照として、
水に浸漬した後乾燥させた種子を用いた。表１にその結
果を示す。

表１ 番号　　種子処理　　　　レタス　　　ニンジンｌ　　
　　水　　　　　　　　　８２．５％　　　　７０．０
％２　　　水溶性キチン　　９５．５％　　　８２．０
％この結果、レタス、ニンジンについて苗発生率の改善
がみられることがわかった。

実施例２　浸漬処理例 高温下、難発芽性品種であるレタス（レッドウェーブ）
種子を実施例１と同様に水溶性キチンによりキチン処理
した後、高温での発芽率についての調査を行った。レタ
スは高温での発芽率が悪い種子である。種子をシャーレ
に置床し、３０°Ｃまたは３５°Ｃに保った恒温インキ
ュベータ内で発芽させ、１０口後の発芽率を調査した。

置床粒数は１００粒であった。対照としては水に浸漬し
た種子を用いた。　　漬処理を行った種子を用いた。表
３にその結果を表２にその結果を示す。　　　　　　　
　　　　　　　示す。

表２ 番号　　種子処理　　　　３０°Ｃ３５°Ｃ１水　　　
　　　　　　　４２．０％　　　　１．０％２　　　水
溶性キチン　　８３．０％　　　３０．０％二のように
、水溶性キチン処理により高温での難発芽性が打破され
ることが明らかになった。

実施例３　浸漬処理例 ホウレンソウ（晩抽バルク）種子を室温で０．０１％水
溶性キチン（ｐＨ５，８）に５分間浸漬し、室温で放置
して乾燥させた。この種子を床幅１００ｃｍのあげ床に
条間１５ｃｍで１条に３０粒づつ播種し、苗発生率の調
査を行った。１区３００粒（１０条）とし、３区の反復
区画を設定した。播種は６月２７日で１５日後の７月１
２日に苗発生率の調査を行った。苗発生率は３区の平均
値を採用した。対照には水処理の種子および０．００５
％キトサンにより同様の種子浸表３ 番号　　種子処理　　　　苗発生率 １　　　水処理　　　　　６４．９％ ２　　　キトサン　　　　６７．３％ ３　　　水溶性キチン　　７２，６％ このように、水溶性キチン処理はホウレンソウの高温時
の苗発生率を向上させることが明らかになり、キトサン
よりも効果的であった。

実施例４　被覆処理 キュウリ（スィートフランチ）種子を０．０５水溶性キ
チン水溶液に短時間（１〜２分間）浸漬（ディッピング
）し、乾燥後、さらにディッピングと乾燥を５回繰り返
した。この操作により種子表面にキチンがフィルム状に
被覆された。この種子を通常行われるように用土を入れ
たイチゴパックに１バック５０粒づつ播種し、出芽率と
大苗の発生率の調査を行った。３区の反復区画を設定し
、出芽率、大苗の発生率共に３区の平均値を採用した。

対照は水処理の種子を用いた。

表４にその結果を示す。

表４ 番号　種子処理　　　　　出芽率　　　大苗数８日後　
１２日後 ｌ　　水処理　　　　６０．７％　６９．３％　９８（
１００）２　　水溶性キチン　７０．７％　７６．７％
　１１５（１１７）このように、水溶性キチン処理によ
り、キュウリの初期生育が促進されることが明らかにな
った。

実施例５　浸漬処理例 メロン（アールス東海Ｒ２２０）種子を０．０７％水溶
性キチン水溶液に１２時間浸漬し、実施例１と同様に乾
燥した。この種子をバーミキュライトに播種し、発根さ
せた後９ｃｍポットに鉢土げし、３０日後の胚軸の長さ
と地上部の重量を調査した。対照には水処理の種子を用
い、対照に対しての有意差の佇ｐ１（をし検定により検
定した。その結果を表５及び表６に示ｖ０ 表５ 番号種子処理 １　　　外交ｙ里 ２　　　　水Ｙ４生キチン　交匹ｆｌ 菊　平均（ｃＩ［１）ｔｆｆｉ＜１瞥（ｃｍ）　ｔ（ｃ
ａｌ）　　ｔ（０，０５）　　仔敷１０　　３．６８　
　　０．３４６ １０　　３．７９　　　０．３７５　０．６４６６　２
．１０１　　　なし表６ ？ｆｉ”４・ｆＩＹ欠す里（票４４曵　平均（ｇ）　　
ｆｆ？丙侃差（ｇ）　　ｔ（ｃ、ａｌ）　　ｔ（０，０
５）１　　　　、＋題１　　　　　　　　ｉｏ　　　　
１．１８６６　　　０．２８１６１２　　　　　＃６？
ｌ：ｔチン　タ！Ｊｌ　　　　　１０　　　　　１．５
４９６　　　　　　０．１３４９４　　　３．４Ｆｎ４
　　　２．１０１有、σ１ あり 二のように、水溶性キチン処理によって、胚軸の長さは
影響を受けないが、地上部重量については顕著な増量効
果のあることが明らかになった。

すなわち、水溶性キチン処理によってボリュームのある
大苗が発生することが確かめられた。

実施例６　浸透圧処理例 難発芽性の種無しスイカ（６３Ｗ　−９０）　ｔｏｏ粒
を０．５Ｍのマンニトール溶液または０．１％水溶性キ
チンを含む０．５　Ｍマンニトール溶液に１２時間浸漬
し、浸透圧処理を行った。種子は水洗した後乾燥し、バ
ーミキュライトに播種した。これを温室に直いて５日後
に発芽率の調査を行った。対照には水処理またはマンニ
トール単独処理の種子を用いた。表７にその結果を示す
。

表７ 種子処理 無処理 ０．５Ｍマンニトール ０．５Ｍマンニトール ０．１％水溶性キチン 発芽率 ３％ ５％ ２５％ このように、水溶性キチンを共存させた高浸透圧処理に
より、難発芽性の打破がみられることが明らかになった
。

〔発明の効果〕

水溶性キチンを使用することにより、極めて筒便に浸漬
処理、被覆処理、浸透圧処理などの種子処理が行え、多
くの植物種において、発芽率、苗発生率の向上などの有
益な効果が認められる。また、水溶性キチンの効果は、
キトサンよりも効果的であった。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. （１）水溶性キチンよりなる植物種子処理剤
2. （２）水溶性キチンを使用することを特徴とする種子の
   処理法
3. （３）水溶性キチンの濃度が０．００１〜２％であるこ
   とを特徴とする請求項（２）記載の種子の処理法