JPH0311443Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、締着ボルトと組み合わせて使用する
ことにより、被締着部材を締着する拡開食違いス
リーブに関するものである。

複数の締着ボルトを用いて例えば２つの被締着
部材を締着する場合、２つの被締着部材のボルト
取付孔を被締着部材毎に別に加工するものとする
と、組立時、ボルト取付孔のピツチに微妙な誤差
を生じ、締着ボルトがボルト取付孔に入らなくな
つたり、あるいは、両被締着部材相互間に位置ず
れを生じたりする。

本考案は、締着ボルトと組み合わせて使用する
ことにより、上述の欠点を解消し得るようにした
拡開食違いスリーブを提供することを目的とす
る。

以下、図示の実施例により本考案を説明する。

第１図において、薄肉の円筒スリーブ１は、例
えば、金属製のものから成つていて、上端には鍔
部１ａが形成されている。円筒スリーブ１の１箇
所は、軸線２の方向に、かつ、この軸線に対し傾
斜状に切夕離されている。そして、互いに切離し
た一方の側端縁１ｂと他方の側端縁１ｃとは互い
に接している。

一方の側端縁１ｂに対し鋭角を成すスリーブ端
面部位１ｄと、他方の側端緑１ｃに対し鈍角を成
すスリーブ端面部位１ｅとは、軸線２の方向に関
し、弾性的に互いに食い違うようにしてある。同
様にして、切離された円筒スリーブ１の下端側も
食い違うようにしてある。

このようにして構成された食違いスリーブ１の
外周部３を、第２図に示す如く、一対の被定着部
材５，６の取付孔に嵌入せしめ、次いで、内周部
４に締着ボルト７を嵌挿する。

この状態で、図の如くナツト８を締め付ける
と、当該食違いスリーブ１は軸線２方向に圧縮せ
しめられ、このとき、両側端縁１ｂ，１ｃとの間
で滑りを生じ乍ら、食違いスリーブ１は半径方向
に拡開する。

ここで、第２図において、被締着部材５と今一
つの被締着部材６とのそれぞれの取付孔が別々に
加工され、これらの取付孔にずれを生じている
と、この取付孔は直接締着ボルトを嵌め込む場
合、そのずれ量によつては、このボルトは取付孔
に入らなくなる。また、このボルトを無理に嵌め
込むものとすれば、両被締着部材５，６に位置ず
れを生じるおそれがある。

そこで、上記取付孔の位置ずれを許容し得るよ
うに、当該取付孔を大きめに比較的ラフに作製し
ておき、このような取付孔に上述の食違いスリー
ブ１を嵌め込み、ナツト８で締め付けるようにす
れば、このスリーブ１は拡開することになり、こ
のとき、スリーブ１は取付孔に堅固に圧着する。

すなわち、かような食違いスリーブを使用する
ことにより、両被締着部材５，６に位置ずれを生
じるおそれがなく、また、締着ボルト７も円滑に
簡単に嵌め込むことができるのである。

なお、この実施例においては、食違いスリーブ
が符号１ａで示すような鍔部を設けたものとなつ
ていて、ワツシヤーとしての機能をも併せ達成し
得るようになつている。しかし乍ら、このような
鍔部は必ずしも必要ではなく、かかる鍔部がなく
ても、前述したような基本的な機能は達成し得る
ものとなつている。

第３図は、第２図に示すナツト８を用いない締
着方式の一態様例を示し、締着ボルト７が直接、
別の被締着部材９に螺合されるものとなつてい
る。このような方式においても、被締着部材５，
６と被締着部材９との相互の位置ずれを防止する
ことができる。

なお、第２図および第３図に示す例において、
今仮りに、食違いスリーブ１を使用せず、締着ボ
ルト７で直接被締着部材を締着する方式とする
と、締着ボルトの締め付けトルクが変動した場
合、この変動に応じて、各被締着部材の位置ずれ
量が変化することになる。然るに、本食違いスリ
ーブを使用した場合には、締め付けトルクが変動
したとしても、これに関係なく、被締着部材の位
置合せをコンスタントに行うことができる。な
お、第１図に示す食違いスリーブに関し、これを
使用前にあつては、両側端縁１ｂ，１ｃを互いに
離した状態にしておき、当該スリーブを被締着部
材の取付孔に嵌め込んだとき、両側端縁が互いに
接するように、当該スリーブを構成するようにし
てもよい。

第４図は、本考案の食違いスリーブを用いた締
着方式を採用し得る一構造例を示し、大型車両等
のトラニオンベース１０とサイドレール１１とを
締着する構造例である。

この例において、サイドレール１１と、トラニ
オンベース１０との各取付孔部分を別々に加工し
た場合、符号Ａで示すように、取付孔に位置ずれ
を生じる場合がある。このような場合には、その
取付孔を、位置ずれを許容し得るような、大きめ
の孔に加工しておき、この孔に当該食違いスリー
ブを装着し、第２図に示すような締着方式でサイ
ドレール１１とトラニオンベース１０とを締着す
るようにすれば、両者の間には位置ずれを生ぜ
ず、締着ボルトの挿入も簡単に行うことができ
る。

以上、本考案によれば、被締着部材相互の位置
ずれを回避し得ると共に、その締着を極く簡単に
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案一実施例の拡開食違いスリーブの
構成繊、第２図および第３図は上記拡開食違いス
リーブの使用態様を各例につきそれぞれ示す図、
第４図は上記拡開食違いスリーブを使用した締着
方式を採用し得る、大型車両のトラニオンベース
構造部の一部断面構成図である。 １……拡開食違いスリーブ、２……軸線、１
ｂ，１ｃ……側端縁、３……外周面、４……内周
面、５，６，９……被締着部材、７……締着ボル
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 被締着部材のボルト取付孔に嵌挿され、内方に
   嵌入される締着ボルトの締め付けにより上記被締
   着部材の位置決めを行う円筒状のスリーブにおい
   て、 上記スリーブの円周上の一箇所を軸線方向にか
   つ軸線に対し傾斜して切離し、該切離した周面の
   一方の側端面と他方の側端面とが弾性的に当接し
   た状態で互いに食い違うように形成し、上記締着
   ボルトの締め付けにより上記スリーブの周面が径
   方向に広がり、上記ボルト取付孔内周面に圧着す
   るように構成された拡開食違いスリーブ。