JPH031084B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、パネル開口部の相対する内向き
（インバース）フランジの曲げ加工を同一の上ホ
ルダ下降行程で行うことができるようにした折曲
げ用プレス型に関する。

従来の折曲げ用プレス型としては、例えば第１
図に示すようなものがある。１はプレスのボルス
タに取付けた下ホルダ、２は下降によつて成形加
工を行うプレスのスライドに取付けた上型の一部
である上ホルダ、３はこの上ホルダ２に取付けら
れたドライブカム、４は下ホルダ１上を前進方向
Ｆおよび後進方向Ｒへ滑動できるコラプスカムで
ある。曲げ加工用のインサートポンチ５が上記コ
ラプスカム４の前端内側に固定され、またこれと
協同するセクシヨナルダイ６は、コラプスカム４
上を前記ドライブカム３の前方の斜面３ａのカム
作用によつて前進方向Ｆへ滑動するスライドカム
７の前面端に固定されている。７ａは前記斜面３
ａ用の該スライドカム７の相手斜面である。８は
前進したスライドカム７を後方へ復帰させるため
の弾性ばね装置、９は後進したコラプスカム４を
前方へ復帰させるための弾性ばね装置である。１
０は上ホルダ２に対して相対移動可能にばね（図
示せず）を介して、上ホルダ２に取付けられたパ
ツドで、前記インサートポンチ５およびセクシヨ
ナルダイ６と共に内向きフランジ加工部Ａを形成
している。３ｃ，４ｃはそれぞれドライブカム３
およびコラプスカム４に固定されて各カム斜面３
ｂ，４ｂを含むスライドブロツクである。またコ
ラプスカム４の滑動は、仮想線で参考に示す空気
シリンダ１１で行う場合もある。

第２図ａは、曲げ加工すべきワーク１２の１例
を示す乗用車の右側リヤドアインナ１３のウイン
ドー開口部のＢ−Ｂ線断面図である。１４は第１
内向きフランジ、１５は相対する第２内向きフラ
ンジ（以下、それぞれ単に第１および第２フラン
ジと称する）で、１４ａ，１５ａはそれぞれ該フ
ランジ部のインバース成形前の予備成形断面を示
す。またＣおよびＤは上記第１および第２フラン
ジ１４，１５の成形すべき範囲を示す。

最初に第１フランジ１４部を加工する場合に
は、予めワーク１２をインサートポンチ５上にセ
ツトする。上型が下降すると、まずパツド１０が
ワーク１２の第１フランジ１４部付近を押え、
つゞいてドライブカム３が斜面３ａ，７ａのカム
作用によつてスライドカム７を前進方向Ｆへ移動
させ、前端のセクシヨナルダイ６およびインサー
トポンチ５によつて第１フランジ１４部のインバ
ース曲げ成形を行う。図はこの加工が完了した状
態を示す。

しかしながら、このような従来の折曲げ用プレ
ス型にあつては、単に一組のポンチ５、ダイ６お
よびパツド１０の組合せによつて曲げ成形を行
い、一回の成形作業で一方のフランジ部の加工し
か行えない構造になつているため、相対する他方
側フランジの加工は、さらに別個の工程で行わな
ければならないという問題点があつた。

この発明は、このような問題点に着目してなさ
れたもので、上述の従来の第１フランジ加工用の
一組のポンチ、ダイおよびパツドの組合せに加え
て、コラプスカムの後端部にも、相対する第２フ
ランジ加工用のポンチ、ダイおよびパツドの組合
せをそれぞれ設け、コラプスカムの後進運動を利
用して第１フランジ部の加工に先行して第２フラ
ンジ部の曲げ加工を行うように構成することによ
り、同一行程で同時に相対する内向きフランジ部
の曲げ加工を可能にして上記の問題点を解決しよ
うとするものである。

以下、この発明を図面に基づいて説明する。

第３図ないし第８図は、この発明の一実施例を
示す図である。この発明の折曲げ用プレス型は、
基本的には上述の新に併設された第２フランジ加
工用のポンチ、ダイおよびパツドなどの関連機構
を除いては既述の従来例とほゞ同様に構成されて
おり、従来例と同一構成は同一符号で示す。１は
下ホルダ、２ａは上下に往復する上ホルダ、Ａは
第１フランジ加工部である。下ホルダ１上には、
ワーク１２の第１フランジ１４部を曲げ加工する
ためのインサートポンチ５を固定するコラプスカ
ム４ａと、該コラプスカム４ａ上をそれぞれ前後
進方向Ｆ，Ｒに滑動するスライドカム７を備え、
コラプスカム４ａは、下ホルダ１上をそれぞれ前
後進方向に滑動できるよう構成してある。上ホル
ダ２ａの下端にはドライブカム３を固定し、該ド
ライブカム３はその前面にカム斜面３ａを備え、
また後面にカム斜面３ｂを有するスライドブロツ
ク３ｃを固定している。スライドカム７の後面に
は上記斜面３ａの相手カム斜面７ａを設けるとと
もに、コラプスカム４ａの後端内側には前記斜面
３ｂと対向する相手カム斜面４ｂを有するスライ
ドブロツク４ｃを固定してある。また、コラプス
カム４ａの後端外側には、第２フランジ１５部を
曲げ加工するためのセクシヨナルダイ１６を固定
するとともに、スライドカム７の前端には第１フ
ランジ１４部を曲げ加工するためのセクシヨナル
ダイ６を固定し、さらに前記セクシヨナルダイ１
６の後方には、該セクシヨナルダイ１６と対向し
て固定ポンチ１７をフレーム１上に立設してあ
る。１０，１０ａは、ワーク１２の各フランジ１
４，１５部付近を加工時に上方から抑えるための
パツドで、それぞればね装置１８，１８ａを介し
て上ホルダ２ａの各側面スライドウエー上を上下
方向に滑動できるように装着してある。８は前進
方向Ｆに移動したスライドカム７を後進方向Ｒに
復帰させるための弾性ばね装置、９は後進方向Ｒ
に移動したコラプスカム４ａを前進方向Ｆに復帰
させるための弾性ばね装置、また１９，２０はそ
れぞれコラプスカム４ａの前後方向の移動範囲を
制限するための各ストツパ、２１はスライドカム
７の後方移動範囲を制限するためのストツパであ
る。

つぎに作用を説明する。

第４図において、ワーク１２の予備成形された
パネルは、図示の位置にセツトする。第５図にお
いて、上ホルダ２ａが下降すると、まずパツド１
０ａがワーク１２の第２フランジ１５部付近を上
方から抑える。さらに上ホルダ２ａが下降する
と、コラプスカム４ａのスライドブロツク４ｃ上
の斜面４ｂと、ドライブカム３のスライドブロツ
ク３ｃ上の斜面３ｂが当接し、そのカム作用によ
り、弾性ばね装置９の力に抗つてコラプスカム４
ａを後進方向Ｒに移動させ、セクシヨナルダイ１
６を第２フランジ１５に当接させる。この時カム
ドライバ３とスライドカムの各斜面３ａ，７ａが
当接する。さらに上ホルダ２ａが下降すると、第
６図に示すようにセクシヨナルダイ１６は後進し
て第２フランジ１５のインバース部の曲げが完了
し、この時点でコラプスカム４ａは第１フランジ
１４部に対して正規の前後方向位置となる。一
方、スライドカム７は弾性ばね装置８の力に抗つ
て前進する過程にある。第７図において、さらに
上ホルダ２ａが下降すると、コラプスカム４ａ
は、各スライドブロツク３ｃ，４ｃが斜面３ｂ，
４ｂ部を通過して各垂直面部で当接するため、第
６図と同じ正規位置に保持されており、パツド１
０がワーク１２の第１フランジ１４部付近を上方
から抑え、スライドカム７はさらに前進して、セ
クシヨナルダイ６によつて第１フランジ１４のイ
ンバース部の成形を開始する。第８図は、上ホル
ダ２ａが下死点に達してすべての成形が完了した
状態を示す。

つぎに加工を完了したワーク１２を型から取外
すための上ホルダ２ａの上昇行程に関しては、叙
上の下降行程の作動と逆の順序となり、第８図に
示す状態から上ホルダ２ａを上昇させると、ドラ
イブカム３は上昇し、スライドカム７は弾性ばね
装置８によつてコラプスカム４ａ上を後進方向Ｒ
を徐々に復帰する。さらに上ホルダ２ａが上昇す
ると、各スライドブロツク３ｃ，４ｃの垂直面当
接が外れて各斜面３ｂ，４ｂが当接し、上ホルダ
２ａの上昇と共にコラプスカム４ａは、弾性ばね
装置９によつて徐々に前進方向Ｆに復帰する。ま
た各パツド１０，１０ａも徐々にワーク１２への
圧接が解除され、上ホルダ２ａの上死点に至つて
各部はそれぞれ第４図に示す位置へ復元して、加
工済みのワーク１２を取外すことができる。

以上説明してきたように、この発明によれば、
その構成を、コラプスカムの前端内側に設けられ
た従来の第１フランジ加工用の一組のインサート
ポンチ、セクシヨナルダイおよびパツドの組合せ
に加えて、コラプスカムの後端外側に、相対する
第２フランジ加工用のセクシヨナルダイ、固定ポ
ンチおよびパツドの組合せをそれぞれ設け、ドラ
イブカムの下降による後進運動を利用して、上記
第２フランジ用のセクシヨナルダイを作動させる
ような構造としたため、最初にコラプスカムの後
進によつて第２フランジが加工され、つゞいてス
ライドカムの前進によつて第１フランジの加工が
行われるので、同一の上ホルダ下降行程によつて
相対するフランジのインバース部分の曲げ成形を
一回の成形作業で行うことができ、従来の折曲げ
用プレス型に比して、加工工数を大幅に低減する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の折曲げ用プレス型において第
１フランジ部の加工が完了した状態を示す要部概
要の前後方向垂直断面図、第２図ａ，ｂは、成形
加工すべきワークの一例を示す乗用者の右側リヤ
ドアインナの斜視図とそのＢ−Ｂ線断面図、第３
図は、この発明の折曲げ用プレス型の下型配置の
概要を示す平面図、第４図は、第３図の−線
の上型部分を含む曲げ加工開始待機状態を示す拡
大垂直断面図、第５図および第６図は、第４図に
おける第２フランジの成形が完了するまでの各工
程を示す断面図、第７図および第８図は、つぎに
第１フランジの成形を完了して全成形工程が完了
するまでの各工程を示す断面図である。 １……下ホルダ、２，２ａ……上ホルダ、３…
…ドライブカム、４，４ａ……コラプスカム、５
……インサートポンチ、６，１６……セクシヨナ
ルダイ、７……スライドカム、１０，１０ａ……
パツド、１２……ワーク、１４……第１内向きフ
ランジ、１５……第２内向きフランジ、１７……
固定ポンチ、Ａ……内向きフランジ加工部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ コラプスカムの前端内側に設けたインサート
   ポンチ、スライドカムの前面に設けたセクシヨナ
   ルダイおよび上ホルダ上に設けたワーク抑え用パ
   ツドの組合せより成る内向きフランジ加工部を備
   え、ドライブカムの下降により上記コラプスカム
   および該コラプスカム上のスライドカムを互に相
   反する前後方向に滑動させて、開口部を穿つたパ
   ネル枠体の内向きフランジ部を曲げ加工するよう
   にした折曲げ用プレス型において、該コラプスカ
   ムの後端外側にセクシヨナルダイを設け、下ホル
   ダ上には該セクシヨナルダイに対向して固定ポン
   チを立設し、また上ホルダにはワーク抑え用パツ
   ドを設けて、上記コラプスカムの後進運動を利用
   して相対する第２内向きフランジを曲げ加工する
   ことを特徴とする折曲げ用プレス型。