JPH0294328A - 耐放射線性電線・ケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、高速増殖炉のような高温・高放射線域内にお
いて使用される耐放射線性電線あるいはケーブルに関す
るものである。

［従来の技術と問題点］ 原子力発電におけるウランの利用効率を大巾に向上させ
、限られた核資源の温存とエネルギ資源の長期にわたる
確保とを意図して、近年軽水炉による発電から新型動力
炉への転換計画が進められており、わが国においてもそ
の開発が本格的に進展しつつある。

しかしながら、この種原子炉においては従来の軽水炉と
比較して炉内の環境が著しく相違したものとなる０例え
ば、液体金属冷却材を用いた高速中性子増殖炉（ＦＢＲ
）を例にとれば、温度が１５０℃以上（異常時には４０
０℃程度）にも達する上、きわめて大量の放射線を発生
させる。従って、このような環境下において用いられる
電線・ケーブルには１０〜１００ＭＧｙといった太線量
レベルの放射線に耐え得ることが要求される。

従来このような厳環境下で使用可能なケーブルとして、
マグネシア等の無機絶縁体にステンレス等の金属シース
を被覆したいわゆるＭＴケーブルがもっばら使用されて
きた。しかし、このＭ！ケーブルは可撓性に乏しく布設
作業の上で非常に不便であるばかりでなく、絶縁体が吸
湿し易くそれによる絶縁特性の低下が大きいなど、問題
点が多かった。

そこで、同じく無機系絶縁体ではあるが可撓性にすぐれ
たガラスクロスを主体とした無機絶縁テープを導体上に
巻回ないし縦添えし、上記ＭＩケーブルの有する問題点
を解決しようとする試みがいくつか提案され、その効用
が確められつつある。

しかし、無機系絶縁体は耐放射線性には極めてすぐれた
特性を発揮するものの、宿命的ともいえる吸湿性という
弱点を有し、ケーブル内に水分が透湿することにより絶
縁抵抗を大巾に低下せしめる場合が多々見られ、これの
解決が急がれている。

［発明の目的Ｊ 本発明は、上記したような実情にかんがみてなされたも
のであり、可撓性にすぐれしかも十分な耐放射線特性を
具備する一方、耐湿性に格段の特性を発揮し得る耐放射
線性電線・ケーブルを提供しようとするものである。

［発明の概要］ 本発明は、ガラスクロスを主体とした絶縁体を有する電
線の導体表面に水分を遮断し得る無機塗料を塗布焼付け
しなことにあり、これにより高放射線域においての耐湿
性を十分に確保可能ならしめたものである。

［実施例１ 以下に、本発明について実施例に基いて説明する。

発明者らは、Ｍｌゲーブル同等の耐放射線特性を有し、
しかも可撓性において格段にすぐれた電線・ケーブルに
ついて種々なる試作実験を重ねてきた。その結果、ガラ
スクロスを主体とする無機系絶縁テープを絶縁体として
使用することにより、所期目的に適合し得る電線・ケー
ブルを入手し得ることがわかった。しかし、耐湿性の見
地からこれをみな場合、必ずしも満足し得ない面があり
、この種電線・ケーブルの防湿遣水層の形成について鋭
意検討を行なった。そして、その結果、導体表面に特定
の無機塗料塗膜を形成せしめることによって水分の透湿
による絶縁性能の低下を大巾に防止可能なることを見出
した。

この塗膜には耐放射線性、可撓性はもちろん、緻密性お
よび導体との密着性等が要求される。この要求を満たす
ものとしては、種々なる試行Ｈ誤の実験の結果ポリカル
ボシランとチタンアルコシトの共重合体をキシレン等の
溶剤に溶かした塗料がその対象として挙げられることが
判明した。この塗料には塗膜強度を向上させる目的で窒
化ゲイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機充填
剤を配合することができる。この塗料を導体上に塗布し
た後、室温から２５０℃までの温度で焼付硬化させるの
である。なお、この塗膜は放射線雰囲気下では分子間の
架橋反応を起こし、さらに大線量の放射線が当たると高
温雰囲気下での挙動から類推し共重合体分子鎖上の水素
、メチル基等が脱離しセラミック化すると考えられる。

このようにセラミック化してもその機能を損なうことは
ないが、可撓性が低下するので、塗膜の厚さは５０μｍ
以下とすることが望ましいのである。

しかして、上記焼付は塗料については、具体例として最
適な材料を挙げたものであり、ほかにも適当な素材の存
在することは勿論であって、実験により選択し使用する
ことが可能である。

導体上の絶縁体に使用される無機系絶縁チーブとしては
、ガラスクロスにマイカを貼り合せたガラスマイカテー
プやシリコーンワニスを含浸したワニスガラステープ等
のガラスクロスを主体としたテープ類が適当であり、巻
回あるいは縦添えにより使用される。

これらのガラスクロスを主体としたテープ類は放射線に
強く、すぐれた可撓性を有し、耐放射線ケーブルの絶縁
体としてはまことに好適である。

なお、ガラスの種類としてはＥガラスが一般的であるが
、Ｓガラスを使用することもできる。

本発明においては、絶縁体は上記によってテープ状に形
成され巻回されるからこれの抑え巻が必要であり、ガラ
ス編組あるいはガラステープが抑え巻として使用される
。この上に例えばステンレス編組による保護層を設けて
単線として使用してもよいし、２本以上の線心を撚合せ
てケーブルに構成してもよい、線心として構成しこれを
撚合せるには介在が必要であるが、この介在に対しても
すぐれた耐放射線特性が要求されることは勿論である、
このために使用される介在としては、その特性や価格の
上からみてガラスロービングが最適である。しかし、ガ
ラスロービングには端末加工の際にガラスが飛散すると
いう問題があり、これを避けたい場合にはフェノール樹
脂繊維（商品名カイノール、日本カイノール社製）など
を用いてもよい、以下、ガラス抑え巻および外装となる
ステンレス編組を設けることにより本発明に係るケーブ
ルを得る。

実施例 直径ｌ１１１＋のニッケルメッキ銅線上にポリカルボシ
ランとチタンアルコキシドの共重合体をキシレンに溶か
した無機塗料（商品名チラノコート、宇部興産社製）を
４０μｍ厚に塗布し、これを１０℃／ｌｉｎの速度で２
５０℃まで加熱し、焼付硬化を行なった。この素線を７
本撚合せ導体とした。この導体上に０．１＋ｕ＋厚の軟
質マイカ板を０．０３ｗ厚のガラスクロス上に貼り合せ
たガラスマイカテープを巻回し、さらに０．２５＋ｍ厚
のシリコーンワニスガラステープを巻回した。これらの
ガラスクロステープ類からなる絶縁層の厚さは０．９圓
であった。さらにその上に抑え巻層としてガラス組繊を
施した。

以上のようにして作製した外径５Ｉｆｉ１φの線心３本
をガラスロービングを介在として撚合せた後、さらにガ
ラステープを抑え巻層とし、その上に最外層として５Ｕ
Ｓ３０４ステンレス編組の外装を設けて外径１３止の本
発明に係る耐放射線性ケーブルを得た。

比較例 比較例として、無機塗料を塗布しない同サイズの導体を
用意し、これに実施例と全く同一の絶縁層、ガラス抑え
巻層、外装を施しケーブルを作製した。

上記のようにして得た実施例および比較例それぞれのケ
ーブルについて、特性の比較試験を行なった。

ケーブルの可撓性の評価についてはＬｏａｍ径にケーブ
ルを曲げ、直流５　ｋ　ｖ　／　１分の耐電圧試験を行
ない、これを満足するものを合格とした。

また、耐放射線性の評価としてγ線照射前後のケーブル
絶縁抵抗を常温で測定した。

γ線の照射はコバルト６０を線源とし、１０’ＧＶ／ｈ
をもって蓄積線量が５０ＭＧｙとなるまで照射を行なっ
た。

さらに、ケーブルの耐湿性はケーブルを２１℃、９０％
ＲＨの雰囲気に２４時間おいた後の絶縁抵抗値の大きさ
で判断した。

評価結果を第１表に示す。

実施例である本発明に係るケーブルは十分な可撓性のみ
ならず耐放射線性を有し、耐湿性においてとくにすぐれ
ていることがわかる。

これに対し、比較例のケーブルは高湿度雰囲気下での絶
縁抵抗が低く、ケーブルとしての使用には不適当である
ことがわかる。

第　　　１　　　表 ［発明の効果］ 以上の通り、本発明に係る電線・ケーブルによれば、高
速増殖炉や放射線照射施設のように大線量レベルの放射
線環境下においてすぐれた耐放射線特性を発揮し得るば
かりでなく、従来のＭＩケーブル等に比較してすぐれた
可撓性および耐湿性を有し、布設作業や配線上の設計を
格段に容易ならしめ得るなど、 その工業上の価値は非常に太き なものがある。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）導体表面に無機系塗料が塗布焼付けせられ、その
   上にガラスクロスを主体としたテープ類をもって構成さ
   れた絶縁体が設けられてなる耐放射線性電線・ケーブル
   。
2. （２）塗布焼付けする塗料をポリカルボシランとチタン
   アルコキシドの共重合体を主体に構成し、その塗膜厚さ
   を５０μｍ以下としてなる請求項１記載の耐放射線性電
   線・ケーブル。