JPH029235Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「技術分野」 本考案は、加熱炉等に用いられるラジアントチ
ユーブに関する。

「従来技術およびその問題点」 ラジアントチユーブとしては、第３図に示すよ
うに、加熱炉の炉壁１，１を貫通する耐熱性のチ
ユーブ２内にバーナ本体３を設置し、チユーブ２
内の燃焼室４に空気を流通させると共にバーナ本
体３から燃料を吹出して燃焼室４内で燃焼させ、
チユーブ２を加熱するようにしたものが一般的で
ある。

しかしながら、かかるラジアントチユーブにお
いては、燃焼炎がバーナ本体３の先端部から一体
に発生するので、チユーブ２内における温度分布
が不均一になり、チユーブ２が局部的に加熱され
る傾向があった。このため、加熱効率が悪くなる
ばかりでなく、チユーブ２が局部的に加熱されて
チユーブ２が金属製の場合は著しく寿命が短くな
り、金属の耐用温度程度にした場合はNOxの発
生量が多くなるという欠点があった。

特開昭58−85008号には金属製チユーブ内に通
気性を有する内筒を設け、内筒と金属製チユーブ
との間に環状の燃焼室を形成し、燃料ガスもしく
は燃焼用空気のいずれかを内筒を通して燃焼室内
に流通させ、他方を燃焼室に流通させて燃焼を行
なうようにしたラジアントチユーブが開示されて
いる。このラジアントチユーブによれば、燃焼が
内筒の全長にわたって分散してなされるので均一
に加熱され、かつ、加熱された内筒からの輻射熱
によつてもチユーブが加熱されるので加熱効率は
高くなる。

一般にラジアントチユーブにおいては燃料ガス
と空気との混合が良好になされることが要求さ
れ、空気量が少ないと燃焼が完全になされず、空
気量が多すぎるとチユーブが大型化すると共に過
剰空気を加熱するための熱損失が多くなり加熱効
率が低下する傾向がある。特に上記のようなラジ
アントチユーブにおいては、分散された燃焼状態
を維持するため、内筒から流出するガスを他方の
ガスと良好に混合させなければならない。

しかしながら、上記ラジアントチユーブにおい
ては、内筒が軸方向に延びているため、内筒内に
導入された燃料ガスもしくは燃焼用空気は、内筒
の基部側（ガスの流れの上流側）のガス吹出し孔
から順次燃焼室に流出していく。このため、燃料
ガスもしくは燃焼用空気が内筒の先端部（ガスの
流れの下流側）に移動するに従って、内筒内のガ
ス圧が弱くなる。この結果、ガス吹出し孔から吐
出する燃料ガスもしくは燃焼用空気は、内筒の基
部側では高流速で多量に吐出するが、内筒の先端
部側に近づくほど流速が低下して吐出量が少なく
なる傾向がある。このように、内筒における各ガ
ス吹出し孔からの燃料ガスもしくは燃焼用空気の
噴出量に偏りが生じると、燃焼室内における燃焼
ガスと燃焼用空気との混合が迅速かつ効果的にな
されず、結果として空気過剰率を高くしなければ
ならず、チユーブが大型化すると共に、燃焼用空
気を加熱するための熱損失が多くなるという問題
点があった。

「考案の目的」 本考案の目的は、チユーブ内に内筒が設置され
た上記のようなラジアントチユーブにおいて、燃
料ガスと燃焼用空気との混合を良好にして燃焼が
良好に行なわれるようにし、空気過剰率を小さく
してチユーブを小型化すると共に加熱効率を向上
させるようにしたものを提供することにある。

「考案の構成」 本考案のラジアントチユーブは、耐熱性チユー
ブ内に耐熱性の内筒が設置され、前記チユーブと
前記内筒との間に環状の燃焼室が形成され、前記
内筒の周面に複数のガス吹出し孔が穿設され、外
部より前記燃焼室に通じる第１の流路と、外部よ
り前記内筒内を経て前記ガス吹出し孔を通り前記
燃焼室に通じる第２の流路とが設けられており、
前記内筒のガス吹出し孔は、前記内筒の基部側が
小さく、先端部側が大きく形成されていることを
特徴とする。

したがつて、燃料ガスもしくは燃焼用空気のい
ずれかを第１流路に通し、他方を第２流路に通す
ことにより、燃料ガスと空気とは燃焼室内で混合
し燃焼する。第２流路を通るガスは内筒のガス吹
出し孔から流出するので、燃焼は内筒の外周部に
おいて分散してなされ、チユーブを均一に加熱す
ることができる。また、本考案では、ガス吹出し
孔は、内筒の基部側（ガスの流れの上流側）が小
さく、内筒の先端部側（ガスの流れの下流側）が
大きく形成されているので、内筒内に送入された
燃料ガスもしくは空気が内筒の基部側のガス吹出
し孔より順次流出し、先端部側に近づくにつれて
内筒内のガス圧力が低下しても、各ガス吹出し孔
より流出する燃料ガスもしくは空気の吐出量を平
均的にすることができる。その結果、燃焼室にお
ける燃料ガスと空気との混合が迅速かつ良好にな
されるので、空気過剰率を小さくすることが可能
となる。これによつて、チユーブを小型化し、過
剰空気を加熱するための熱損失を少なくして熱効
を高めることができる。

本考案において、内筒のガス吹出し孔の大きさ
は、内筒の基部側から先端部側（ガスの流れの上
流側から下流側）に向つて、次第に大きくなるよ
うに多段階に変化させてもよく、一または二段階
程度で比較的急激に変化させてもよい。ガス吹出
し孔の大きさが一または二段階で変化したもので
あつても、本考案の効果を得ることができる。し
かし、本考案の最も好ましい態様によれば、内筒
を通る燃料ガスまたは空気の流量をＱとし、ガス
吹出し孔の数をＮとしたとき、各ガス吹出し孔か
らの燃料ガスまたは空気の吐出量がＱ／Ｎとなる
ように、ガス吹出し孔の大きさを多段階に変化さ
せるようにする。

なお、本考案の実施に際し、チユーブおよび内
筒は共に高強度セラミツクスで形成されているこ
とが好ましい。これによつて、耐熱性をより高
め、ラジアントチユーブの寿命を高めることがで
きる。

「実施例」 以下、本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図に示すように、本考案を実施したラジア
ントチユーブは加熱炉等の炉壁１，１を貫通して
設置されたチユーブ１２と、このチユーブ１２内
に設置された内筒１３とを有する。チユーブ１２
および内筒１３は共に高強度のセラミツクス、例
えば炭化珪素、窒化珪素などから形成されてい
る。チユーブ１２と内筒１３との間には環状の燃
焼室１４が形成されている。チユーブ１２の基端
部には第１ガス流入管１５が取付けられている。
また、チユーブ１２の基端部には環状板１６で仕
切られたガス室１７が形成され、第１ガス流入管
１５はガス室１７に連通している。環状板１６に
は複数のノズル１８が穿設されている。チユーブ
１２の他端部は図示しない排ガス排出路に連結さ
れている。内筒１３の基端部はチユーブ１２から
突出して第２ガス流入管１９となつている。内筒
１３の先端部は閉塞されている。そして、内筒１
３の周部には複数のガス吹出し孔２０が穿設され
てる。この場合、ガス吹出し孔２０は第２図に示
すように、内筒１３の軸心ｏから半径方向に向う
直線ｒに対して斜めに穿設されている。すなわ
ち、各ガス吹出し孔２０は内筒１３の中心軸に対
して垂直な面内において直線ｒに対して角度θを
もってそれぞれ周方向に傾斜しており、ガス吹出
し孔２０から噴出するガスが燃焼室１４内にて施
回流となるようにされている。また、ガス吹出し
孔２０は内筒１３の基端部側において孔径が小さ
く、内筒１３の先端部側において孔径が大きくな
るようにされている。なお、第１図中、２１は点
火プラグである。

上記の構成において、第１の流体、例えば燃料
ガスを第１ガス流入管１５に送入すると、燃料ガ
スはガス室１７に流入し、ノズル１８から燃焼室
１４内に噴出する。一方、第２の流体、例えば空
気を第２ガス流入管１９に送入すると、空気は内
筒１３内を通り、その周りのガス吹出し孔２０か
ら燃焼室１４内に噴出する。この状態で、点火プ
ラグ２１を点火すると燃料ガスが空気によって燃
焼しチユーブ１２の加熱が行なわれる。燃焼ガス
と空気との接触混合は内筒１３のガス吹出し孔２
０から噴出する空気によつてなされるので、燃焼
は内筒１３の全長にわたって分散してなされ、チ
ユーブ１２を均一に加熱し、熱効率を高めること
ができる。

ところで、内筒１３内を通る空気は内筒１３の
基端部にあるガス吹出し孔２０から順次噴出し、
内筒１３の先端部に向うに従つて圧力が次第に抵
下する。このため、従来のラジアントチユーブで
は、ガス吹出し孔２０からの空気の吐出量が、内
筒１３の先端部側に近づくほど少なくなり、空気
の吐出量に偏りができて、内筒１３の軸方向に沿
つて燃焼が均一になされない傾向があつた。本考
案においては、内筒１３のガス吹出し孔２０の大
きさが内筒１３の基端部側において小さく、先端
部側において大きくなつているので、内筒１３内
における空気の圧力の変化にもかかわらず、各ガ
ス吹出し孔２０から噴出するガス量をほぼ均一に
することができる。すなわち、最も好ましい状態
では、ガス吹出し孔２０の大きさを変化させるこ
とにより、内筒１３内を通る空気の流量をＱと
し、ガス吹出し孔２０の数をＮとしたとき、各ガ
ス吹出し孔２０からの空気吐出量がＱ／Ｎとなる
ようにすることができる。そして、各ガス吹出し
孔２０からの空気の吐出量を均一にすることによ
り、燃焼が内筒１３の軸方向に沿って均一になさ
れるばかりでなく、燃料ガスと空気との混合が迅
速かつ良好に行なわれるようになり、ひいては空
燃比を小さくして過剰の空気を加熱するための熱
損失を少なくし、熱効率を高めることができる。

なお、この実施例の場合、ガス吹出し孔２０が
内筒１３の軸心から半径方向に向う直線ｒに対し
て角度θをもつて斜めに穿設されているので、空
気は吹出し孔２０から斜め方向に噴出し、燃焼室
１４内で施回流を起す。これによつて、空気の噴
出経路は螺施状となり、燃焼室１４内における空
気流路が長くなり、燃料ガスとの接触度が高めら
れ、燃焼ガスと空気との混合がさらに良好になれ
るようにされている。

なお、上記実施例では、燃料ガスを第１ガス流
入管１５に送入し、空気を第２ガス流入管１９に
送入するようにしているが、両者を反対にするこ
ともできる。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案によれば、チユー
ブの内部に内筒を設け、チユーブと内筒との間に
燃焼室を形成し、内筒に複数のガス吹出し孔を設
け、このガス吹出し孔の大きさを内筒の基部側に
おいて小さく、先端部側において大きくしたの
で、燃焼ガスもしくは空気のいずれか一方を燃焼
室に流入させ、他方を内筒内を通してガス吹出し
孔から燃焼室内に噴出させるとき、内筒内におけ
るガス圧が先端部側に向うに従つて減少しても、
ガス吹出し孔らのガスの吐出量をほぼ均一にする
ことができる。これによつて、燃焼が内筒の軸方
向に沿つて均一になされるばかりでなく、燃料ガ
スと空気との混合が迅速かつ良好に行なわれるよ
うになり、ひいては空燃比を小さくして過剰の空
気を加熱するための熱損失を少なくし、熱効率を
高めることができる。また、チユーブを小型化
し、装置をコンパクトにすることができる。な
お、本考案のラジアントチユーブは、限られた空
間で効率的にしかも均一温度を得るための燃焼、
例えば外燃式エンジンの燃焼用としても応用でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるラジアントチユーブの一
実施例を示す断面図、第２図は第１図におけるＡ
−Ａ線に沿つた断面図、第３図は従来のラジアン
トチユーブの一例を示す断面図である。 図中、１２はチユーブ、１３は内筒、１４は燃
焼室、１５は第１ガス流入管、１８はノズル、１
９は第２ガス流入管、２０はガス吹出し孔、ｏは
内筒の軸心、ｒは軸心から半径方向に向う直線で
ある。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 耐熱性チユーブ内に耐熱性の内筒が設置さ
   れ、前記チユーブと前記内筒との間に環状の燃
   焼室が形成され、前記内筒の周面に複数のガス
   吹出し孔が穿設され、外部より前記燃焼室に通
   じる第１の流路と、外部より前記内筒内を経て
   前記ガス吹出し孔を通り前記燃焼室に通じる第
   ２の流路とが設けられたラジアントチユーブに
   おいて、前記内筒のガス吹出し孔は、前記内筒
   の基部側が小さく、先端部側が大きく形成され
   ていることを特徴とするラジアントチユーブ。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、前
   記内筒を通るガスの流量をＱとし、前記ガス吹
   出し孔の数をＮとしたとき、前記各ガス吹出し
   孔からのガスの吐出量がＱ／Ｎとなるように、
   前記ガス吹出し孔の大きさが多段階に変化され
   ているラジアントチユーブ。 (3) 実用新案登録請求の範囲第１項または第２項
   において、前記チユーブおよび前記内筒は高強
   度セラミツクスで形成されているラジアントチ
   ユーブ。