JPH028655Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、１つの金型で２種以上の異なる形状
に板材を切断する共用金型に関するものである。

＜従来の技術＞ 板材を所要の形状にプレス切断するには、上、
下型本体に切断すべき形状の切刃を設けた金型に
よつて行われている。板材の切断形状は各種であ
り、従つて、例えば第８図イで示すＡ形状に切断
する金型、第８図ロに示すＢ形状に切断する金型
のように切断形状の種類の数だけ、それぞれの専
用金型を製作使用していた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 上記従来では、各種切断形状専用の金型のた
め、切断形状が変更する毎に金型の交換段取作業
時間を要することは勿論、多種の金型の保管スペ
ースを必要とし、また金型費用（設備投資）が大
であつた。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は、上記従来の問題点を決するために、
板材の自重を受け、二つの異なる形状を有する切
断下刃を固定した下型本体と、この切断下刃と噛
み合う固定の切断上刃並びにガイドポストに上下
方向に摺動可能に支持した可動の切断上刃を備え
た上型本体と、この上型本体に吊りボルトにより
支持され、圧縮コイルばねを介して上下方向に移
動可能であり、切断時に板材を下型本体上に押圧
して位置決めする板押え部材と、前記上型本体に
動力手段によつて前記可動の切断上刃の移動方向
と直交する方向に進退移動可能に設けられ、切断
上刃の上面に前進して可動の切断上刃を固定の切
断上刃と位相差を持たせるべく下方向に位置決め
する規制駒と、前記可動の切断上刃の下面と対応
する下型本体上に圧縮バネを介して上方向に移動
可能に設置した支持部材とを備えたものである。

＜作用＞ 本考案は、固定の切断上刃で板材を切断する場
合には可動の切断上刃に対応する規制駒を後退位
置してフリー状態とし、固定の切断上刃と、それ
と噛み合う切断下刃とによつて切断する。また、
可動の切断上刃で板材を切断する場合には規制駒
を前進位置して可動の切断上刃を固定の切断上刃
より下方に位置決めし、圧縮バネにて上方向に付
勢されている支持部材と可動の切断上刃とで板材
を挾持した状態で可動の切断上刃と噛み合う切断
下刃とによつて板材を切断するものである。

＜実施例＞ 以下本考案の実施例を第１図乃至第７図に基づ
いて説明する。第１図乃至第３図において、１は
補高台、２は前記補高台１上に載置された下型本
体である。この下型本体２には二つの形状の異な
る切断下刃３，４ば固定されている。

５は前記下型本体２に対し昇降動する上型本体
である。この上型本体５には、前記一方の切断下
刃３と噛み合う切断上刃６（以下固定切断上刃と
いう）が固定され、また、他方の切断下刃４と噛
み合う切断上刃７（以下可動切断上刃という）が
上下方向に摺動可能に支持されている。この可動
切断上刃７の支持構造は、上型本体５に対し吊り
ボルト１４によつて昇降自在に吊り下げられ、ガ
イドポスト８によつて案内したものである。ま
た、可動切断上刃７は、上型本体５に固設された
バツクアツプブロツク９によつてスライドプレー
ト１０を介してスラスト方向が保持されている。
さらに、可動切断上刃７の上方には後述する規制
駒１３のバツクアツプ部材１１が上型本体５に固
設されている。

前記規制駒１３は可動切断上刃７を固定切断上
刃６より下方に位相差を持たせて位置決めする部
材であり、可動切断上刃７の上面とバツクアツプ
部材１１との間に可動切断上刃７の移動方向と直
交する水平方向で進退移動するものである。この
規制駒１３の進退作動装置は、上型本体５に水平
軸線方向で固設したエアシリンダ１２である。

さらに、可動切断上刃７の直下の下型本体２上
には支持部材１５（リフタプレート）が段付ボル
ト１６によつて昇降移動可能に保持され、圧縮バ
ネ１７により常に上昇端方向に押圧して設けられ
ている。

また、上型本体５には、下型本体２上に搬入さ
れた板材Ｗを切断時に押圧して位置決めする板押
え部材１８が吊りボルト１９とガイドポスト２０
とにより上下方向に移動可能に設けられ、圧縮コ
イルばね２１により常に板押え部材１８を下降端
方向に押圧している。

次に本考案の作動について第４図並びに第５図
によつて説明する。第４図は板材Ｗを切断点Ｃに
て固定切断上刃６と、これと噛み合う切断下刃３
とによつて第６図のＡ形状に切断する場合であ
る。この場合は、可動切断上刃７が切断作用を行
つてはならない。そのために、規制駒１３をエア
シリンダ１２によつて後退移動し、可動切断上刃
７をフリー状態とする。このような状態で上型本
体５を所要のストロークで下降動すると、固定切
断上刃６と切断下刃３とによつて板材ＷはＡ形状
に切断される。このとき可動切断上刃７は支持部
材１５上の板材Ｗに当接してストツプし、上型本
体５の下降動に対し相対移動する。

可動切断上刃７と、これと噛み合う切断下刃４
とによつて第７図のＢ形状に切断する場合は、第
５図で示すように、可動切断上刃７と切断下刃４
とを切断点Ｃに位置するよう下型本体２並びに上
型本体５を補高台１上で180度回転する。そして
エアシリンダ１２により規制駒１３を前進移動さ
せ、可動切断上刃７の上面とバツクアツプ部材１
１との間に進入し、可動切断上刃７を固定切断上
刃６より下方に移動位置決めし、固定切断上刃６
との間に高さｈで位相差を持たせる。このような
状態で上型本体５を下降動することにより、可動
切断上刃７と支持部材１５とによつて切離される
側の板材を挾持し、支持部材１５が圧縮バネ１７
に抗して可動切断上刃７の加圧で下降され切断下
刃４とによつてＢ形状の切断が行われるのであ
る。この可動切断上刃７による切断下降端では、
固定切断上刃６は前記高さｈの位相差により切断
下刃３との間にギヤツプがあるため、板材Ｗの切
断作用は行われない。

＜考案の効果＞ 以上のように本考案によると、１つの金型に、
少くとも２種以上の異なる形状の切刃を設け、一
方の切刃による板材切断時には他方の切刃は切断
を回避するようにしたものであるから、金型の費
用が節約できると共に、異形形状の切刃の切替え
が容易かつ安全であり、金型の保管スペースが低
減できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の側面図、第２図は平面図、第
３図は第２図−線断面図、第４図及び第５図
は切断作動説明の断面図、第６図及び第７図は異
形切断形状を示す説明図、第８図イ，ロは従来の
切断形状専用金型の平面図である。 ２……下型本体、３，４……切断下刃、５……
上型本体、６……固定切断上刃、７……可動切断
上刃、１２……エアシリンダ、１３……規制駒、
１５……支持部材、１７……圧縮バネ、１８……
板押え部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板材の自重を受け、二つの異なる形状を有する
   切断下刃を固定した下型本体と、この切断下刃と
   噛み合う固定の切断上刃並びにガイドポストに上
   下方向に摺動可能に支持した可動の切断上刃を備
   えた上型本体と、この上型本体に吊りボルトによ
   り支持され、圧縮コイルばねを介して上下方向に
   移動可能であり、切断時に板材を下型本体上に押
   圧して位置決めする板押え部材と、前記上型本体
   に動力手段によつて前記可動の切断上刃の移動方
   向と直交する方向に進退移動可能に設けられ、切
   断上刃の上面に前進して可動の切断上刃を固定の
   切断上刃と位相差を持たせるべく下方向に位置決
   めする規制駒と、前記可動の切断上刃の下面と対
   応する下型本体上に圧縮バネを介して上方向に移
   動可能に設置した支持部材とを備えたことを特徴
   とする板材の複数形状切断金型。