JPH028270Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、カメラに関するものであり、特に写
真用フイルムとして現在広く使用されている
35m／ｍサイズフイルム用パトローネの装填を改
良した、カメラの装填方式に用いるフイルム巻戻
し機構に関するものである。

従来より、パトローネの装填後のフイルム巻付
をより簡易化する方向のカメラが多くの人々から
望まれていた。そして、現在に至るまでの間に、
上記フイルム巻付操作をより簡易化することが出
来るカメラが種々考案されて来たが、いずれの形
式のものにおいても、何らかのフイルム巻付操作
を必要とするものが殆んどであつた。例えば、フ
イルムリーダ部を巻上室近傍まで引出しておく必
要のあるものや裏蓋を閉じるまでは、フイルムが
自らのカーリング特性によつて浮上らない様に手
で押えておく必要のあるもの、更には、特殊な巻
上室を形成したカメラにあつては巻上室スリツト
にフイルムリーダ部を差込む操作を必要とするも
の等が殆んどである為に、何の不安もなく、自由
にカメラを使いこなすという段階までにとうてい
経つていない。

本出願人らは既に上記の点に鑑み、パトローネ
装填並びにフイルムの巻付け（以下これらを合わ
せて単にフイルム装填と称する）が、従来の改良
型カメラにおけるよりもさらに簡単になされ得る
カメラを提案した（特願昭55−186574号）。この
カメラは、カメラ本体部と裏蓋の間に、裏蓋を開
くことによりカメラ本体側より露出されるパトロ
ーネ装填部材を設け、該パトローネ装填部材に、
フイルム巻上室とは露光用開口をはさんだ反対側
にパトローネのパトローネ軸方向からの装填のみ
を許容すると共に、パトローネが装填された際に
おいて、パトローネを保持する構造のパトローネ
装填室と、パトローネ装填の際、パトローネのフ
イルム引出口から予じめ引出されているフイルム
リーダー部をカメラ内に導くための案内部材とを
形成したことを特徴とするものであり、パトロー
ネは前記パトローネ室にパトローネ軸方向に挿入
して装填されるようになつている。そしてパトロ
ーネ装填時にフイルムリーダー部は前記案内部材
によつてカメラ内に導かれ、パトローネはこのフ
イルムリーダー部が所要量出た所定の姿勢でカメ
ラ内に収められるようになつている。このように
してパトローネが常に所定の姿勢でカメラ内に収
められれば、所定位置に延びているフイルムリー
ダー部を周知の手段、例えばスプロケツトやピン
チローラ等によつて確実に巻上室に送り込むこと
が可能になる。

以上説明のようにこのカメラにおいては、裏蓋
を開いてパトローネ装填室を露出させ、このパト
ローネ装填室にパトローネを軸方向に落とし込ん
だ後裏蓋を閉じればフイルムは確実に装填される
ようになつている。しかしパトローネにはそのパ
トローネ軸にフイルム巻戻用引掛部が設けてあ
り、パトローネをパトローネ装填室に落とし込む
際には、このパトローネ巻戻用引掛部がカメラ側
の巻戻軸と係合するようにあらかじめパトローネ
軸を回したり、あるいはカメラの巻戻軸を回した
りする必要がしばしばある。

本考案は上記の点に鑑み、パトローネ軸のフイ
ルム巻戻用引掛部とカメラ側の巻戻軸との位置合
わせを必要とせず、まさにパトローネをパトロー
ネ装填室に軸方向に落とし込むだけでフイルムが
確実に装填され得るフイルム簡易装填型カメラを
提供することを目的とするものである。

本考案のフイルム簡易装填型カメラは、前述の
カメラのように、裏蓋を開くことによりカメラ本
体側より露出されパトローネがパトローネ軸方向
に装填されるパトローネ装填室を有するフイルム
簡易装填型カメラにおいて、前記パトローネ装填
室のパトローネ軸に対向する位置に、フイルム巻
戻軸に接続され、パトローネ軸内に設けられてい
るフイルム巻戻用引掛部に係合する巻戻爪材を設
けると共に、該爪材を前記パトローネの自重力よ
りも小さいバネ定数のバネ手段によつて巻戻軸上
に支承したことを特徴とするものであり、パトロ
ーネはそのフイルム巻戻用引掛部が巻戻軸の巻戻
爪に係合していてもいなくてもパトローネ装填室
内の所定位置まで自重落下するから、パトローネ
を単にパトローネ装填室に落とし込んでそのまま
直ちに裏蓋を閉めることができる。そしてパトロ
ーネ凹軸のフイルム巻戻用引掛部が巻戻軸の巻戻
爪に係合していなくてもフイルム巻上時にパトロ
ーネ軸が回されるうちに、上方に付勢されている
巻戻軸の上端の巻戻爪はパトローネのフイルム巻
戻用引掛部に係合するようになり、フイルムが１
本撮影し尽くされ、フイルム巻戻しが行なわれる
までには上記パトローネ軸と巻戻軸とが確実に連
結されるようになつている。

以下、図面を参照して本考案の実施例について
詳細に説明する。

第１図は本考案の一実施態様の裏側よりみた斜
視図であり、カメラの裏蓋を開いた状態を示して
いる。Ｐは、本考案に用いられる従来の35m／ｍ
サイズ・パトローネを示し、１はパトローネ軸、
２は円筒状胴板、３は胴板２のほゞ接線方向にわ
ずかに突出したフイルム引出口、Ｆは予めフイル
ム製造メーカによつて引出口３から引き出されて
いるフイルムリーダ、４はレンズＬ、露出制御機
構、フイルム送り機構等カメラの中枢機能を具備
したカメラ本体、５はカメラ本体底面にカメラ長
手方向に設けられた回動軸８を中心として矢印Ａ
−A′方向に回動する裏蓋で、裏蓋開の操作によ
つてバネ等の弾性材及び回動位置規制ストツパー
により矢印A′方向に所定角度回動して停止する
如くなされている。９はパトローネ装填部材で、
裏蓋内方右側に固定されている。６はパトローネ
装填室で、カメラの裏蓋５からレンズＬに向かつ
て露光用開口（図示せず）の右側に位置するよう
に配設されている。したがつてパトローネＰはこ
のパトローネ装填室６に、パトローネ軸１の突出
側（凸軸）が上側に、軸内部にフイルム巻戻用引
掛部が形成された側（凹軸）が下側となるように
装填される。１１は裏蓋５との間にフイルムリー
ダ部Ｆを誘導する為のスリツト１０間隔を有する
フイルム案内部材を概略的に示したものである。
パトローネ装填部材９については以下で詳述す
る。

第２図はパトローネ装填部材９をより詳細に示
す斜視図で、パトローネ装填室はほゞパトローネ
Ｐの横断面形状に近似する円形切欠形状１３を有
し、このうちの突出部１６部分の円形状の接線方
向に沿つて更に切欠１３ａを有し、パトローネＰ
の装填方向を規制する。と同時にパトローネが装
填されると同様な内面形状により、その姿勢が保
持される。突出部１６部分には撮影時のフイルム
焦点面に平行なガイド部材１１が巻上室方向に向
かつて設けられて、裏蓋５との間にフイルムリー
ダ挿入用のスリツトを形成する。ガイド部材１１
は傾斜面１５を設けているが、丸棒状のものとし
て形成してもよい。このガイド部材１１は、パト
ローネが装填される際フイルムリーダがカーリン
グによりパトローネ外周面に巻付いている様な場
合にあつても、フイルムをカメラ内に入れること
を極めて容易とする。尚カメラ裏蓋の開閉錠鎖機
構としては、公知のラツチ手段等を利用出来る。

そして上記パトローネ装填室６の底面に形成す
る、パトローネ装填部材９の底壁１７の中央部、
パトローネＰの凹軸に対向する位置には円形の開
口１８が設けられ、この開口１８からは巻戻軸１
９が突出されている。第３図はこの巻戻軸１９の
構造を示すものであり、図示されているように巻
戻軸１９は、カメラ本体に回転可能に支持される
円形の基板２０の中心に固定された、１例として
角柱状の固定軸２１と、この固定軸２１から上方
に外れないようにしてこの固定軸２１に対して長
手方向に摺動可能に、そして互いが相対回転する
ことのないようにこの固定軸２１に被設された浮
動軸２２とからなる。この浮動軸２２の上端部中
央には１本の溝２３が設けられこの溝２３の両側
に巻戻爪２４ａ，２４ｂが形成されている。この
浮動軸２２の径は第４図に示されるパトローネＰ
の凹軸２５内に該浮動軸２２が挿入され得るよう
に設定され、また巻戻爪２４ａ，２４ｂの大き
さ、形状は、パトローネＰの凹軸２５内部に設け
られているフイルム巻戻用引掛部２６が巻戻爪２
４ａ，２４ｂ間の溝２３に係合するように設定さ
れている。このように形成される浮動軸２２と前
記基板２０との間、固定軸２１の外側にはバネ２
７が装着され、浮動軸２２はこのバネ２７によつ
て常に上方に付勢されている。このバネ２７はそ
のバネ力がパトローネＰの自重力よりも小さいも
の、すなわち浮動軸２２上にパトローネＰを載置
したときにこのパトローネＰの自重によつて圧縮
されるものが選択使用されている。そして浮動軸
２２の上下可動ストロークは、パトローネＰがパ
トローネ装填室６内に落とし込まれ、前記凹溝２
５のフイルム巻戻用引掛部２６が前記溝２３内に
収容されずに巻戻爪２４ａ，２４ｂの上端面に当
接してしまつたときに、パトローネＰの下端面が
パトローネ装填部材９の底壁１７に当接するまで
下限レベルに到達しないよう十分に長く設定され
ている。

上記構造を有する本実施例のカメラにおいて
は、パトローネＰがパトローネ装填室６内に落と
し込まれ前記凹軸２５のフイルム巻戻用引掛部２
６が前記溝２３内に収容されずに巻戻爪２４ａ，
２４ｂの上端面に当接してしまつた場合でも、巻
戻軸１９の浮動軸２２が前記説明のようにパトロ
ーネ１９の自重によつて押し下げられるから、パ
トローネＰは、その下端面がパトローネ装填部材
９の底壁１７に当接する所定の装填位置に達し、
したがつてパトローネＰの上部はパトローネ装填
部材９から上方に突出することがなく、裏蓋５は
パトローネＰが落とし込まれた後、直ちに閉めら
れ得る。そして上記のように浮動軸２２の溝２３
とフイルム巻戻用引掛部２６がフイルム装填時に
係合していなくとも、パトローネ軸１は撮影時の
フイルム巻上操作によつて回転され、したがつて
浮動軸２２の溝２３に対してフイルム巻戻用引掛
部２６が整合し得る。浮動軸２２はバネ２７によ
つて上方に付勢されているので、上記のように溝
２３がフイルム巻戻用引掛部２６と整合するとそ
の状態で上方に押し上げられ、フイルム巻戻用引
掛部２６と溝２３とが係合する。このようにフイ
ルム巻戻用引掛部２６と溝２３とがフイルム巻上
操作時に係合されていれば、フイルム装填時にパ
トローネ軸と巻戻軸とを手操作で係合させていた
従来のカメラと同様、フイルム巻戻時に巻戻軸１
９が例えば手動巻戻クランクや自動巻戻機構等に
よつて回転されると、パトローネ軸１が回されて
フイルム巻戻しが行なわれ得る。

パトローネＰがパトローネ装填室６内に落とし
込まれたとき、パトローネＰのフイルム巻戻用引
掛部２６と巻戻軸１９の溝２３がたまたま整合し
て両者が最初から係合状態にあつてもフイルム巻
戻しがなされ得ることは言うまでもない。

巻戻軸１９において、固定軸２１と浮動軸２２
とを、互いに長軸方向に摺動可能で相対回転しな
いように形成することは、上述した実施例におけ
るように摺動部を角柱状に形成することの他に、
長軸方向に延設された突起と溝との組合せ等を用
いることによつても実現可能である。また巻戻軸
をパトローネ軸方向に出退可能に形成すること
は、上記実施例におけるような固定軸と浮動軸と
の組合せを用いる他に、例えば１本の巻戻軸を基
板に対して摺動可能に形成することなどによつて
も実現可能である。なお、上記実施例において
は、パトローネ装填室６を構成するパトローネ装
填部材９は、カメラ長手方向の軸を中心にして揺
動してカメラ本体側から露出されるようになつて
いるが、本考案はその他の方法によつてパトロー
ネ装填室が露出されるカメラ、例えばパトローネ
装填室を構成するパトローネ装填部材がカメラ上
下方向に設けられた回転軸を中心に揺動してカメ
ラ本体から露出されるタイプのカメラ等、パトロ
ーネがその凹軸側を下側にしてパトローネ軸方向
に挿入して装填されるタイプのカメラ全般に亘つ
て適用可能である。

以上詳細に説明したように本考案のフイルム簡
易装填型カメラは、パトローネをパトローネ装填
室に軸方向に落とし込む従来のフイルム簡易装填
型カメラにおいて、唯一つ面倒な手作業を必要と
するものであつた、パトローネ軸とカメラのフイ
ルム巻戻軸との係合作業をも不必要とするもので
あり、パトローネはパトローネ装填室にまさに言
葉通りに落とし込むだけで装填され得るようにな
り、パトローネ装填作業は究極まで簡易化される
ものとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す斜視図、第２
図は第１図の実施例の一部を拡大して示す斜視
図、第３図は第１図の実施例の一部を拡大して示
す斜視図、第４図は本考案のフイルム簡易装填型
カメラに用いられるフイルムの１例を示す斜視図
である。 １……パトローネ軸、４……カメラ本体、６…
…パトローネ装填室、１７……底壁、１８……開
口、１９……巻戻軸、２４ａ，２４ｂ……巻戻
爪、２５……パトローネ凹軸、２６……フイルム
巻戻用引掛部、２７……バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 裏蓋を開くことによりカメラ本体側より露出さ
   れ、パトローネがパトローネ軸方向に挿入されて
   装填されるパトローネ装填室を有するフイルム簡
   易装填型カメラにおいて、前記パトローネ装填室
   のパトローネ軸に対向する位置に、フイルム巻戻
   軸に接続され、パトローネ軸内に設けられている
   フイルム巻戻用引掛部に係合する巻戻爪材を設け
   ると共に、該爪材を前記パトローネの自重力より
   も小さいバネ定数のバネ手段によつて巻戻軸上に
   支承したことを特徴とするフイルム簡易装填型カ
   メラ。