JPH026380B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は金属ガスケツトに係り、特にビード
の押圧力による相手面たる接合面の損傷を防止す
るとともに、金属ガスケツトの表裏の面圧を均一
化することにより、ビード全辺にわたる効果的な
シールを果し得る金属ガスケツトに関する。

弾性を有する金属板に凸状またはステツプ状か
らなるビードを形成し、このビードによつて内燃
機関の例えば、シリンダヘツドとシリンダブロツ
クの接合部を効率よくシールする金属ガスケツト
は、この出願の発明者によつて既に完成され、出
願がなされている。この金属ガスケツトは、弾性
金属板からなる基板とこの基板の表裏両面に設け
た副板とを一枚板状に積層して構成し、シリンダ
ヘツドとシリンダブロツクのボルト締結力によ
り、デツキ面たる接合面にシール線を形成して密
着し、抜群のシール効果をあげることもすでに公
にされている。

また、金属ガスケツトとしては、例えば実公昭
57−1174号公報及び実開昭55−24539号公報に開
示されている。実公昭57−1174号公報に記載のも
のは、ビードを形成した基板の一面側には上板と
中板とを積層するとともにビード部位において縁
どり部に連設する下板の端部を重合させ、また、
基板の他面には下板と中板とを積層して構成し、
しかも上板と中板間の他の中板に締付け面圧調整
用の透孔を形成したものである。また、実開昭55
−24539号公報に記載のものは、ビードの形状を
締結部位においては小幅で且つ急角度に形成する
とともに各締結部位間においては広幅で且つ緩角
度で形成し、また、基板面に被膜を固着したもの
である。

しかしながら、上述の実公昭57−1174号公報に
記載の金属ガスケツトにおいては、ビードの頂部
が小さな曲率で且つ端部の立ちあがりが急であ
り、また、ビードの頂部側に２枚の中板の各端部
と下板の端部とが重合しているので、ビードの頂
部側における接合面に作用する面圧が、中板と下
板とを積層したビードの端部側における接合面に
作用する面圧よりも小さくなり、金属ガスケツト
の表裏の面圧を均一化することが困難であり、し
かも各接合面に接する上板及び下板の材質につい
て何等記載がなく、さらに上板の段差部位や下板
の端部が接合面に直接接するので、接合面が上板
の段差部位や下板の端部によつて損傷するおそれ
がある。

また、上述の実開昭55−24539号公報に記載の
ものは、締結部位の面圧と各締結部位間の面圧と
の均一化を図るために、ビードの幅や角度を変更
したものであるが、ビードの形状に対応させて積
層する幅板の枚数を適宜に選定する技術的思想が
何等記載されておらず、このため金属ガスケツト
の表裏の面圧が相違する。

このように金属ガスケツトの表裏の面圧が相違
すると、ビードの押圧力により面圧が局部的に強
くなる部位において接合面が損傷するおそれがあ
るとともに、ビードにより形成されるシール線が
接合面に付与する面圧の部位により強弱が著しく
不均一となり、このため、接合部に間隙が生じて
しまい、この間隙からリークが生じ、ビードの全
辺にわたつてシールを充分果し得ないという不都
合が生じた。

そこでこの発明の目的は、上述の不都合を除去
すべく、金属ガスケツトを相手面たるシリンダヘ
ツド及びシリンダブロツクの各接合面の損傷を防
止するとともに、金属ガスケツトの表裏の面圧を
均一化することにより、ビード全辺にわたり効果
的にシールを果し得る金属ガスケツトを実現する
にある。

この目的を達成するためにこの発明は、弾性金
属板からなる基板にシール用孔を囲繞する凸状の
ビードを設けてシールを果す金属ガスケツトにお
いて、前記ビードの頂部の曲率を大きく形成する
とともに前記ビードの各端部の立上がりを小さく
形成し、前記基板に形成した前記ビードの頂部側
の一方の片面に前記ビードによる接合面への面圧
を分散して前記基板の他方の片面側と略同一の面
圧を該基板の一方の片面側に作用させるべく二枚
の副板を配設し、この二枚の副板の少なくとも外
側にある副板を前記ビードの押圧力によつて前記
接合面が損傷するのを防止すべく前記基板よりも
軟質の板材により形成し、前記基板に形成した前
記ビードの端部側の他方の片面には前記基板より
も軟質の板材からなる副板を一枚配設したことを
特徴とする。

以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且
つ具体的に説明する。

第１図において、２は金属ガスケツトである。
この金属ガスケツト２は、ビード４が形成された
弾性金属板からなる基板６の一方の片面に第１副
板８を配設されるとともに、この基板６の他方の
片面には第２副板１０、第３副板１２が積層して
構成される。第１副板８と第３副板１２は前記基
板６より軟質な板材から形成されるとともに、該
第１副板８及び第３副板１２の各外側面にはシー
ル材１４が被着される。前記金属ガスケツト２を
シリンダヘツド１６の接合面とシリンダブロツク
１８の接合面間の接合部２０にシール効果を果す
べく介装されるものである。なお、符合１９はオ
イル通路、２１はシリンダ孔、２３はボルト孔で
ある。

第２図は、この発明の第１実施例を示すもので
ある。

ビード４の頂部２４は小さな曲率を有するのに
対して、ビード４の端部２６，２６の立ち上がり
は急に形成されている。

前記ビード４の頂部２４を突出した基板６の表
側６ａに第１副板８を一枚配設し、この第１副板
８の表側８ａにシール材１４を被着する。前記基
板６の裏側６ｂには第２副板１０、第３副板１２
を夫々積層して設け、該第３副板１２の裏側１２
ｂにはシール材１４を被着する。第１副板８と第
３副板１２は、前記基板６より軟質な板材から形
成される。

次に、この第１実施例の作用について説明す
る。

第２図に示す如く、シリンダヘツド１６の接合
面とシリンダブロツク１８の接合面との間の接合
部２０に介装された金属ガスケツト２は、ボルト
締結力によりビード４が圧縮変形され、接合面に
シール線を形成する。ビード４の復元力により、
ビード４の頂部２４側の面圧が、第１副板８を介
してシリンダヘツド１６側に作用する。同時に、
ボルト締結力によりビード４の端部２６，２６は
第２副板１０、第３副板１２を介して面圧シリン
ダブロツク１８の接合面に作用させる。そして、
このシール線による面圧によつて前記金属ガスケ
ツトは相手面たる接合面に密着し、リーク防止が
達成される。

この第１実施例においては、ビード４の頂部２
４の曲率が小さく、ビード４の端部２６，２６の
立ち上がりが急であるので、ボルト締結時にビー
ド４が圧縮変形されると、ビード４の頂部２４と
第１副板８の接触部はその接触面積が大となるの
に対して、ビード４の端部２６，２６と第２副板
１０との接触部はその接触面積が小さくなる。し
かして、ビード４の復元力によつてビード４と第
１副板８、第２副板１０の接触部に発生する面圧
は、第１副板８側では小さく、第２副板１０側で
は大きくなる。しかるに、この発明の第１実施例
においては、第２副板１０の裏側に第３副板１２
が積層されていることにより、第２副板１２上に
おいて局部的に強い面圧が発生するが、第３副板
１２の存在により、局部的に大なる面圧の分散が
行なわれ、金属ガスケツト２の相手面たるシリン
ダブロツク１８の接合面に面圧が作用する際に
は、この局部的に大なる面圧が減少し、金属ガス
ケツト２の表裏の面圧が平均化される。これによ
り、接合面の損傷を防止するとともに、接合部に
間隙が生ずるのを防止して、長期間のシール効果
を発揮し得る。

第３図は、この発明の第２実施例を示すもので
ある。以下の実施例において上述の第１実施例と
同一機能を果す箇所には同一符合を付して説明す
る。

この第２実施例の特徴とするところは、以下の
点にある。即ち、ビード４の頂部２４は大きな曲
率を有するのに対して、端部２６，２６の立上り
が緩やかに、つまり小さく形成し、またビード４
の頂部２４側の一方の片面にはビード４による接
合面への面圧を分散して基板の他方の片面側と略
同一の面圧を該基板の片面側に作用させるべく二
枚の第１、第３副板８，１２を配設し、この二枚
の第１、第３副板８，１２をビード４の押圧力に
よつて接合面が損傷するのを防止すべく基板６よ
りも軟質の板材により形成し、基板６に形成した
ビード４の端部側の他方の片面には基板６よりも
軟質の板材からなる第１副板８を一枚配設し、し
かも、第１幅板８の外側面と第３副板１２の外側
面とには、シール材１４，１４を夫々被着する。

この第２実施例の構成によれば、ビード４の頂
部２４の曲率が大きく、しかもビード４の端部２
６，２６はその立上がりが小さいので、ボルト締
結時には、ビード４の頂部２４と第２副板１０は
その接触面積が小さくなるのに対して、ビードの
端部２６，２６と第１副板８は滑らかに接触し、
ビード４の復元力によつて発生するビード４と第
１幅板８、第２幅板１０の接触部位でする面圧
は、第１幅板８上では小さくなる一方、第２幅板
１０上では局部的に大きくなる。しかるに、この
第２実施例においては、第２副板１０の表側に第
３副板１２を配設することにより、第２副板１０
上に発生した局部的に強い面圧は、第３副板１２
を介することにより分散され金属ガスケツト２の
相手面たるシリンダヘツド１６へ面圧が伝達され
る際には減少し、金属ガスケツト２の表裏の面圧
が平均化される。これにより、接合面の損傷を防
止するとともに、接合部に間隙が生じるのを確実
に防止して使用寿命を長くする。

第４図は、この発明の第３実施例を示すもので
ある。

この第３実施例の特徴とするところは、以下の
点にある。第２図に示す第１実施例における断面
凸状の曲面の形状を成すビード４の代りに、ビー
ド４を断面ステツプ状の曲面に形成する。第４図
に示す如く、ビード４の第１折曲部２８の立ちあ
がりは、第２折曲部３０の立ちあがりよりも急に
形成されている。

この第３実施例の構成によれば、ビード４の第
１折曲部２８の立ちあがりが急に形成され、且つ
第２折曲部３０の立ちあがりが緩やかに形成され
ているので、第１折曲部２８と第２副板１０との
接触面積は大きく、第２折曲部３０と第１副板８
との接触面積は小さくなる。これにより、ビード
４の復元力によつて第１副板８、第２副板１０に
発生する面圧は、第１副板８上では小さく、第２
副板１０上では局部的に大きくなる。この結果、
第１実施例と同様に第２副板１０の裏側に第３副
板１２を配設することにより、シリンダブロツク
１８へ伝わる面圧を減少平均化させる。

なお、この第３実施例においては、第１折曲部
２８の立ちあがりが大きく第２折曲部３０の立ち
あがりが小さい場合には、基板６の表側には二枚
の副板を配設し、基板６の裏側には一枚の副板を
配設した構成とすることも可能である。

以上詳細な説明から明らかなようにこの発明に
よれば、ビードの押圧力により生起される面圧が
局部的に強すぎる場合に、副板を二枚設けること
によつて局部的に集中した面圧を金属ガスケツト
の相手面上において減少平均化させることができ
るので、金属ガスケツトの相手面が損傷するのを
防止できる。また、ビードによる面圧の局部集中
を防止することができるので、金属ガスケツトの
表裏の面圧が略均一同等となり、接合部に間隙が
生ずるのを防止し、金属ガスケツトのシール効果
を向上させ得る。更に、相手面と接触する副板の
硬度を基板よりも軟質なものとしたので、接合面
の熱歪み、ツールマーク、キズ等を補償すること
ができ、良好なミクロシール効果を果し得る。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図はこの発明の第１実施例を示し、第
１図は金属ガスケツトの一部切欠平面図、第２図
は第１図の−線による金属ガスケツトの拡大
断面図である。第３図はこの発明の第２実施例を
示し、金属ガスケツトの拡大断面図である。第４
図はこの発明の第３実施例を示し、金属ガスケツ
トの拡大断面図である。 図において、２は金属ガスケツト、４はビー
ド、６は基板、８は第１副板、１０は第２副板、
１２は第３副板、１４はシール材、１６はシリン
ダヘツド、１８はシリンダブロツク、そして２０
は接合部である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 弾性金属板からなる基板にシール用孔を囲繞
   する凸状のビードを設けてシールを果す金属ガス
   ケツトにおいて、前記ビードの頂部の曲率を大き
   く形成するとともに前記ビードの各端部の立上が
   りを小さく形成し、前記基板に形成した前記ビー
   ドの頂部側の一方の片面に前記ビードによる接合
   面への面圧を分散して前記基板の他方の片面側と
   略同一の面圧を該基板の一方の片面側に作用させ
   るべく二枚の副板を配設し、この二枚の副板の少
   なくとも外側にある副板を前記ビードの押圧力に
   よつて前記接合面が損傷するのを防止すべく前記
   基板よりも軟質の板材により形成し、前記基板に
   形成した前記ビードの端部側の他方の片面には前
   記基板よりも軟質の板材からなる副板を一枚配設
   したことを特徴とする金属ガスケツト。