JPH0260288B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、水田用農作業機の昇降制御装置に
関するもので、従来、適宜な手段、例えば、スロ
ツトル操作あるいはチエンジ操作などで走行速度
が変速できる変速装置付きの走行車体に、土壌表
面に接地して上下動する接地圧感知体と、油圧装
置によつて走行車体の走行車輪を昇降動するか、
または、上下回動リンクを介して直接的に昇降動
できる農作業機とを取付けてあり、前記感知体の
接地圧変化に応じて油圧装置の切替バルブを切替
えて農作業機を実質的に昇降動して常に感知体の
接地圧が適正な一定範囲の接地圧に保持されるよ
う構成したものは周知であつた。また、土壌表面
の硬、軟度合に応じて感知体の基準設定圧を調節
することも既に行われていて、作業時に適当な感
度に調節されていた。

しかしながら、接地圧感知体は、水田圃場の泥
水土のために高速で作業をすると浮上力が大きく
なり、逆に、低速での作業では浮上力が小さくな
るために、圃場の硬軟度や、水深などを配慮して
適正な感度になるよう調節していても高速作業か
ら低速作業に切替えたり、逆に低速作業から高速
作業に切替えると感知体が適正な作業状態の感知
圧にならず、的確な作業ができない欠点があつ
た。即ち、田植機の場合には浮苗が発生したり、
逆に深植えになつたりするし、播種機では播種深
さが一定にならないで発芽むらを起してしまう欠
点があつた。

この発明は、上記の欠点を解消することを目的
として次の技術的手段を講じた。

即ち、感知体２５の接地圧感度を調節する感度
変更装置４３を設けると共に走行車体１の変速装
置と感度変更装置４３とを、高速時に感度を鈍感
化し、低速時に敏感化するよう連動連結した水田
用農作業機の昇降制御装置にした。

この発明の一実施例を図面に基づいて詳述する
と、１は乗用型の走行車体で、走行ギヤーボツク
ス２の前部にエンジン台３を取付け、この上部に
原動機（図示せず）を搭載し、走行ギヤーボツク
ス２の左右両側にチエンケース４の基部を止着し
て後方下方に向わしめ、その後端部に後車輪５，
５を軸承している。そして、エンジン台３の左右
両側下部には前車輪６，６を装着している。７は
エンジンを覆うボンネツトである。８は操縦ハン
ドル、９は主クラツチペタル、１０はスロツトル
レバーを示す。１１は変速レバーで、前記走行ギ
ヤーボツクス２内の変速装置に連動していて、こ
の変速レバー１１は平面視でＨ型に操作でき、第
３図のＨ型案内溝１２のイ部に操作すると低速の
作業速、ロ部に操作すると高速の作業速、ハ部に
操作すると路上走行速、ニ部は後進速に変速され
るよう設けられている。

１３は操縦座席で、前記左右のチエンケース
４，４を背面視が型枠１４で連結して、この上
部に支架されている。

１５は油圧操作レバー、１６は植付クラツチレ
バーを示す。１７はステツプ台である。

１８は補強パイプで、前記左右のチエンケース
４，４を連結する補強体である。

１９は突起枠で、補強パイプ１８に基部が止着
されている。

２０は農作業機で、図例では田植機を実施例と
しているが、一般的に周知な播種機であつてもよ
い。図例の田植機は、植付ギヤーボツクス２１の
上部に左右に往復横移動する苗タンク２２を支架
し、後部に該苗タンク２２から一株分づつ苗を分
割して植付ける苗植付杆２３を取付け、下部の左
右中央には後部を植付ギヤーボツクス２１に枢着
２４して前部が上下動自由に動く接地圧感知体２
５（中央フロート）と、この左右両側に側部フロ
ート２６，２６を中央フロート２５と同じように
取付けている。

尚、中央フロート２５の前部の取付け構造は第
４図及び第５図に示した通り、植付ギヤーボツク
ス２１の前部に突出した支枠２７に屈接自在なく
字型リンク２８によつて取付け、支枠２７側に枢
着されるリンク杆２８ａを上方に向けて延長して
いる。

２９は昇降動リンクで、上リンク３０と下リン
ク３１の基部を前記突起枠１９に枢着し、両リン
ク３０，３１の後部を継リンク３２で枢結し、こ
の継リンク３２にローリング連結具３３を介して
前記田植機の植付ギヤーボツクス２１を取付けて
いる。

３４は油圧装置で、油圧シリンダー３５の基部
を走行ギヤーボツクス２に枢着し、油圧ピストン
３６を前記上リンク３０に一体的に取付けたアー
ム３７に取付け、ピストン３６が突出すると上リ
ンク３０を振上て田植機２０を上昇するよう構成
している。

３８は油圧切替バルブで、ケース３８ａを前記
支枠２７にピン３９で枢着し、切替棒３８ｂは中
央フロート２５に枢着してあり、第５図に示した
油圧回路によつて前記油圧装置３４の油圧ピスト
ンを出、入させるように設けている。第５図の回
路中４０はポンプ、４１はタンク、４２はリリー
フバルブを示す。

即ち、中央フロート２５が苗植付け作業に適正
な高さから更に上動するとバルブ３８をピストン
３６が突出するよう切替え、下動するとピストン
３６が引込むよう設けられている。

４３は感度変更装置で、前記く字型リンク２８
のリンク杆２８ａの延長部２８ｂにスプリング４
４を引掛けて、このスプリング４４を前記変速レ
バー１１のＨ型案内溝１２のイ〜ロ部間に介入し
て回動するレバー４５にボーデンワイヤー４６で
連動し、このワイヤー４６を引くとスプリング４
４の張力が強くなつて中央フロート２５を土壌表
面に強く弾下し、弛めると弱く土壌表面を弾下す
るようになつている。即ち、スプリング４４の張
力を強くすると、バルブ３８の切替棒３８ｂを上
動させて切替える上動力が強く必要となり感度が
鈍くなるし、弱くすると感度が敏感になる。４７
はレバー４５の回動支軸である。

レバー４５は第３図の通りＨ型案内溝１２のイ
〜ロ間に介在されていて、変速レバー４５を高速
の作業速側であるロ部側へ操作するとき、仮想線
ようにレバー４５が回動してワイヤー４６を引張
りスプリング４４の張力を強くするよう設定して
ある。

次に上例の作用を詳述すると、まず、苗タンク
２２に苗を載せ、走行車体１を走行させながら各
部を伝動回動すると、田植機２０は中央フロート
２５及び側部フロート２６，２６が土壌表面に浮
上した状態で牽引されながら、その苗植付杆２３
が左右に往復横移動する苗タンク２２から一株分
づつ苗を分離して整地された土壌表面に植付けて
行く。そして、耕盤の凹凸によつて走行車体１が
土壌表面から深く沈んだり浮上したりするとき、
田植機２０の中央フロート２５及び側部フロート
２６，２６の接地圧が増、減する。そして、接地
圧が増加して中央フロート２５が大きく上動する
と、油圧切替バルブ３８がピストン３６を突出す
るよう切替えられて昇降動リンク２９によつて田
植機２０が上動される。そして、中央フロート２
５の接地圧が適正な状態になると油圧切替バルブ
３８が中立に戻される。

また、逆に、接地圧が減少して中央フロート２
５が大きく下動するとピストン３６が引込み可能
に油圧切替バルブ３８が切替えられ田植機２０が
重量によつて下動され接地圧が適正状態になると
油圧切替バルブ３８が中立に戻される。このよう
にして、田植機２０は自動的に昇降制御されて牽
引されながら苗植付作業が行われる。

ところが、苗植付作業の作業速は圃場が浅いと
きや、運転者がベテランの場合は高速で作業をす
る。逆に、圃場が深いときとか、運転者が未熟な
ときは低速で作業をする。このとき、高速作業時
はどうしても中央フロート２５の前部が泥水土で
浮上気味となり、苗植付け時に浮苗が発生勝ちに
なるが、この発明の当該実施例では、変速レバー
１１を高速側の(ロ)位置に操作すると、レバー４５
を第３図の仮想線の状態に作動し、ワイヤー４６
を介してスプリング４４の張力を増加する。した
がつて、中央フロート２５の上動低抗が増し、む
やみに該フロート２５が上動するのを阻止し浮苗
の発生が防止される。

逆に、変速レバー１１を低速側である(イ)位置に
操作すると、レバー４５、ワイヤー４６を介して
スプリング４４の張力が弱められ、中央フロート
２５の上動低抗が減少し、むやみに走行抵抗にな
らないで円滑に走行され、泥押しがなく的確な昇
降制御が行われる。

尚、実施例は田植機が作業機である場合を説明
したが、播種機である場合も同様であり、播種機
の場合は高速作業時に土壌表面下の浅くに種子が
播かれ、低速作業時には深く播かれようとするが
この発明の実施によると一定の深さに播種でき
る。

また、実施例は変速レバー１１によつて感度調
節用のスプリング４４の張力を変化させたが、第
７図のようにスロツトルレバー１０と連動し、ス
ロツトルレバー１０で原動機を高速回転して高速
作業をするときに感度を鈍感にし、低速作業をす
るときに敏感になるよう連動してもよい。更に、
実施例とは別に歩行型田植機のように走行車輪を
油圧装置で昇降動する形態のものとしてもよいこ
と勿論である。

以上、この発明は前記の構成としたから、高速
作業と低速作業との変速によつて浮上気味あるい
は沈下気味で作業が行われると謂うような従来の
欠点が解消でき、高速作業、低速作業のいずれの
作業速度でも的確に作業機が昇降制御して正確な
作業ができる作用効果を奏する。

※図 図はこの発明の一実施例を示したもので、
第１図は側面図、第２図は平面図、第３図は要部
の平面図、第４図は要部の側面図、第５図は第４
図の平面図、第６図は油圧回路図、第７図は別例
の簡略側面図である。

図中記号、１は走行車体、１１は変速レバー、
２０は農作業機（田植機）、２５は接地圧感知体
（中央フロート）、３４は油圧装置、４３は感度変
更装置を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 適宜な手段で変速されて走行する変速装置付
   きの走行車体に、土壌表面に接地して上下動自在
   な接地圧感知体と油圧装置によつて実質的に昇降
   動される田植機や播種機などの農作業機を取付
   け、前記感知体の接地圧が一定の圧より高く変化
   すると走行車輪を下降するか直接的に農作業機を
   上昇して接地圧を減少させ、接地圧が一定の圧よ
   り低く変化すると走行車輪を上昇するか農作業機
   を下降して接地圧を増大させて接地圧を適正な一
   定圧に保持する装置において、前記感知体の接地
   圧感度を調節する感度変更装置を設けると共に前
   記走行車体の変速装置と該感度変更装置とを、高
   速に操作するときは感度が鈍感になり低速に操作
   するときは感度が敏感になるよう連動連結してな
   る水田用農作業機の昇降制御装置。