JPH0245840B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、Ｘ線撮影装置の技術分野に属し、
Ｘ線撮影装置に装備される多分割撮影装置内のＸ
線フイルムに前置される多分割遮蔽板に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

一般にＸ線撮影においては、Ｘ線フイルム自体
が高価であることおよび対比観察の必要があるこ
と等の理由により、一枚のＸ線フイルム全面に一
のＸ線像を写し込む全面撮影の他に、一枚のＸ線
フイルムに複数のＸ線像を写し込む多分割撮影が
採用される。この多分割撮影においては、所定の
多分割撮影板を使用して規格サイズたとえば四ツ
切サイズのＸ線フイルムを二分割あるいは四分割
してそれぞれの分割位置にＸ線像を写し込むよう
にしている。

さらに詳述すると、第１図に示すように、被検
体たとえば患者１を挾んでＸ線管２に対向配置さ
れた多分割撮影装置３は、規格サイズたとえば四
ツ切サイズ（横254mm、縦305mm）のＸ線フイルム
４と２枚の多分割遮蔽板５（５ａ，５ｂ）を具備
する。２枚の多分割遮蔽板５のうち、一の多分割
遮蔽板５ａは、第２図ａに示すように、横の長さ
が310mm、縦の長さが360mm、厚みが約２〜３mmの
方形に形成された平面板に、その平面板の中心線
を共有するように横の長さが127mm、縦の長さが
305mmの方形の窓部６ａを縦長に開穿し、一定の
剛性を保持するために黄銅板あるいはステンレス
板にＸ線を遮蔽するための鉛を貼着してなるもの
である。また、他の多分割遮蔽板５ｂは、第２図
ｂに示すように、前記多分割遮蔽板５ａにおける
のと同様の寸法の窓部６ｂを、平面板の中心線を
共有するように横長に開穿したほかは、前記多分
割遮蔽板５ａと同様にして構成されている。２枚
の多分割遮蔽板５ａ，５ｂは、Ｘ線フイルム４の
撮影面と患者１との間に介装されていると共に、
多分割撮影装置３内で、第３図ａ，ｂに示すよう
に、図示しないレールに沿つて適宜の駆動手段に
より、撮影位置Ａと待機位置Ｂとの間を独立に移
動可能となつている。そして、前記多分割撮影装
置３により全面撮影をするときは、２枚の多分割
遮蔽板５ａ，５ｂを共に待機位置Ｂに待機させる
と共に撮影位置ＢにＸ線フイルム４を配置し、縦
二分割撮影のときは、２枚の多分割遮蔽板５ａ，
５ｂのうち多分割遮蔽板５ａのみを撮影位置Ａに
配置すると共に、多分割遮蔽板５ａの窓部６ａに
Ｘ線フイルム４の縦右半分または縦左半分が位置
するようにＸ線フイルム４を配置し、横二分割撮
影のときは、２枚の多分割遮蔽板５ａ，５ｂのう
ち多分割遮蔽板５ｂのみを撮影位置Ａに配置する
と共に、多分割遮蔽板５ｂの窓部６ｂにＸ線フイ
ルム４の上半分または下半分が位置するようにＸ
線フイルム４を配置する。さらに四分割撮影のと
きは、２枚の多分割遮蔽板５ａ，５ｂを共に撮影
位置Ａに配置して第４図に示すような窓部６ａ，
６ｂによる方形の窓部６ｃを形成し、この窓部６
ｃにＸ線フイルム４の上半分の右半分または左半
分あるいは下半分の右半分または左半分が位置す
るようにＸ線フイルム４を配置する。以上のよう
にして多分割撮影を行なう。

しかしながら、前記多分割撮影装置３には、次
のような問題点がある。すなわち、多分割遮蔽板
５ａ，５ｂそれぞれの縦横の寸法を、前記のよう
に四ツ切サイズのＸ線フイルム４の寸法よりも大
きくしたのは、Ｘ線透過用の窓部６ａ，６ｂを設
ける必要があるからであつた。しかも、２枚の多
分割遮蔽板５ａ，５ｂそれぞれの外形寸法は、撮
影位置Ａや待機位置Ｂにおける位置決めの容易化
あるいは製造の容易化のために、同一となつてい
る。そうすると、第１の問題点として、多分割遮
蔽板５ａ，５ｂを待機位置Ｂで待機させるための
収容スペースが大きくなり、多分割撮影装置３を
小型化することができない。また、第２の問題点
として、多分割遮蔽板５ａ，５ｂは、Ｘ線フイル
ム４よりも大きな寸法を有するものであるから、
それだけ重量が大きくなる。したがつて、重量の
大きい多分割遮蔽板５ａ，５ｂを迅速に移動させ
るためには、大きな駆動力を有する駆動手段を付
帯させねばならないので、これまた多分割撮影装
置３を大型化することになる。さらに、第３の問
題点は次のようである。すなわち、被検体１とＸ
線フイルム４との距離はできるだけ近接していな
ければならないから、待機位置Ｂにおいて２枚の
多分割遮蔽板５ａ，５ｂを、その平面が接触する
ように収容配置しておき、そのまま水平移動させ
て撮影位置Ａに配置するようにしておくとすれ
ば、窓部６ａ，６ｂの長辺に若干の撓み部分があ
ることにより、一の多分割遮蔽板５ａ（５ｂ）を
水平移動させる際に、前記撓み部分が他の多分割
遮蔽板５ｂ（５ａ）のエツジにひつかかり、円滑
な水平移動が不可能となる。そこで、従来の多分
割撮影装置３においては、窓部６ａ，６ｂの長辺
における若干の撓み部分があつたとしても、２枚
の多分割遮蔽板５ａ，５ｂの水平移動が円滑に行
なえるように、２枚の多分割遮蔽板５ａ，５ｂそ
れぞれを、所定の面間隔をもつて水平移動させ、
また、撮影位置Ａあるいは待機位置Ｂに収納配置
している。そうすると、２枚の多分割遮蔽板５
ａ，５ｂが所定の面間隔を有して配置されること
により、被検体１とＸ線フイルム４の撮影面との
距離が長くなり、被写体に対するＸ線像の拡大率
が大きくなる為、鮮鋭度の高い画像をＸ線フイル
ムに撮影することができないという不都合のみな
らず、多分割撮影装置３を小型化することができ
ないという不都合がある。

〔発明の目的〕

この発明は、前記事情に鑑みてなされたもので
あり、多分割撮影装置の小型化、軽量化および被
検体とＸ線フイルムの撮影面との距離を小さくす
ることのできる多分割遮蔽板を提供することを目
的とするものである。

〔発明の概要〕

前記目的を達成するためのこの発明の概要は、
Ｘ線撮影装置に装備されて多分割撮影を可能にす
る多分割撮影装置内の多分割遮蔽板において、多
分割撮影に必要な距離をもつて同一平面上に配置
された２枚のＸ線遮蔽板と、配置された２枚のＸ
線遮蔽板の対向する辺部間に介在させたＸ線透過
性の良好な部材とを具備することを特徴とするも
のである。

〔発明の実施例〕

第５図はこの発明の一実施例を示す斜視図であ
る。

同図に示すように、多分割遮蔽板１０は、一枚
のＸ線透過板１１と２枚のＸ線遮蔽板１２ａ，１
２ｂとを具備する。そして、多分割撮影装置３に
は以下の寸法を有する第１および第２の多分割遮
蔽板１０，１０が収納配置される。第１および第
２の多分割遮蔽板１０，１０において、Ｘ線透過
板１１は、Ｘ線透過性の良好な部材たとえば炭素
繊維を強化材とするFRP（CFRP）で、たとえば
四ツ切サイズのＸ線フイルム（横の長さ254mm、
縦の長さ305mm）よりも若干大き目の面積を有す
ると共に厚みがたとえば１mmの方形に形成された
平面板である。また、第１の多分割遮蔽板１０に
おいて、Ｘ線遮蔽板１２ａ，１２ｂは、それぞ
れ、Ｘ線透過性の悪い部材たとえば鉛で、たとえ
ば短手方向の長さが約69mm、長手方向の長さが約
310mm、厚みが約１mmである方形に形成された平
面板である。そして、２枚のＸ線遮蔽板１２ａ，
１２ｂは、第５図に示すように、Ｘ線透過板１１
の上表長手方向に沿つて２枚のＸ線遮蔽板１２
ａ，１２ｂの長手方向の間隔がたとえば122mmと
なるように、適宜の接着剤を介して貼着されてい
る。第２の多分割遮蔽板１０においては、Ｘ線遮
蔽板１２ａ，１２ｂは、それぞれＸ線透過性の悪
い部材たとえば鉛で、たとえば短手方向の長さが
約82mm、長手方向の長さが約260mm、厚みが約１
mmである方形に形成された平面板である。そし
て、２枚のＸ線遮蔽板１２ａ，１２ｂは、Ｘ線透
過板１１の短手方向に沿つて、その長手方向の間
隔が146mmとなるように、適宜の接着剤を貼着さ
れている。２枚のＸ線遮蔽板１２ａ，１２ｂの配
置間隔を122mmおよび146mmとするのは、２枚の多
分割遮蔽板１０，１０を組み合わせて、Ｘ線が透
過するための多分割透過範囲を形成するのに都合
が良いからである。

多分割撮影装置３では、前記構成を有する第１
および第２の多分割遮蔽板１０，１０を、Ｘ線フ
イルム４に前置すると共に、第１および第２の多
分割遮蔽板１０，１０におけるＸ線遮蔽板１２ａ
（１２ｂ）の長手方向が互いに直交するように配
置する。そして、全面撮影および多分割撮影にお
ける第１および第２の多分割遮蔽板１０，１０の
位置関係は、従来におけるのと同様である。

以上のような構成を有する多分割遮蔽板１０を
用いると次のような効果を奏する。すなわち、２
枚のＸ線遮蔽板１２ａ，１２ｂによりＸ線が透過
する範囲を形成しているので、従来におけるよう
に窓部６ａ，６ｂを形成するための枠が不要とな
るから、多分割遮蔽板１０自体の面積をＸ線フイ
ルム４のそれとほぼ同様にすることができる。す
なわち、多分割遮蔽板１０の重量を、従来のもよ
りも軽減することができるのみならず、多分割遮
蔽板１０の撮影位置Ａ、待機位置Ｂにおける収納
スペースを従来の場合よりも小さくすることがで
きる。また、多分割遮蔽板の待機スペースを撮影
位置ＡにおけるＸ線フイルム４に近接して設ける
ことができるので、待機位置Ｂと撮影位置Ａとの
距離を従来の場合よりもさらに短かくすることが
でき、撮影位置ＡまでのＸ線フイルム４の飛び込
み時間の短縮を図ることができる。撮影開始の入
力操作時と実際のＸ線曝射時とのタイムラグを短
縮することができ、リアルタイムに近いＸ線撮影
が可能となる。また、前記構成の多分割遮蔽板１
０には、従来のような窓部６ａ，６ｂがないか
ら、窓部６ａ，６ｂにおける撓みを生ずることが
ない。したがつて、多分割撮影装置３内で、前記
構成を有する、第１および第２の多分割遮蔽板１
０，１０を互いに密接するように配置しても、ひ
つかかりを生ずることなく円滑に水平移動を可能
にすることができるばかりか、第１および第２の
多分割遮蔽板１０，１０の配置において対面間隔
を設けることなく互いに密接配置することができ
るので、被検体１とＸ線フイルム４の撮影面との
距離を従来の場合よりも短縮することができる。
よつて、前記構成の多分割遮蔽板１０を用いる
と、鮮鋭度の高いＸ線像をＸ線フイルム４に写し
込むことができる。

以上この発明の一実施例について詳述したが、
この発明は前記実施例に限定されるものではな
く、この発明の要旨の範囲内で様々に変形して実
施することができる。

たとえば、第６図にこの発明の第２の実施例を
示す。第６図に示すように、多分割遮蔽板１０ａ
は、Ｘ線フイルム４とほぼ同様のサイズを有する
Ｘ線透過板１１ａの相対向する辺部に所定深さの
溝１３を設けた平面板であり、この溝１３内にＸ
線遮蔽板１２ａ，１２ｂを密嵌してなるものであ
る。なお、溝１３の底と他の溝１３の底との距離
ｌは、多分割撮影において必要なＸ線透過面を形
成し得るように適宜の長さたとえばＸ線フイルム
４が四ツ切サイズであれば122mmまたは146mmに設
定されるものである。第２の実施例のように多分
割遮蔽板１０ａを構成すると、第５図に示す第１
の実施例におけるように段差がないので、多分割
撮影装置３内における第１および第２の多分割遮
蔽板１０ａ，１０ａを面と面とが接触するように
配置し、そのまま一方を水平移動しても何のひつ
かかりも生ぜず、水平移動を円滑に行なうことが
できる。

段差をなくした多分割遮蔽板は、前記第２の実
施例に限らず、第７図に示す第３の実施例および
第８図に示す第４の実施例のように構成すること
ができる。

第７図において、１１ｂで示すのは断面が凸状
をなすＸ線透過板である。そして、第３の実施例
である多分割遮蔽板１０ｂは、Ｘ線透過板１１ｂ
の段差部に、段差と同じ高さの厚みを有するＸ線
遮蔽板１２ａ，１２ｂを貼着してなるものであ
る。また、第８図において、１１ｃで示すのは直
方体のＸ線透過板である。そして、第４の実施例
である多分割遮蔽板１０ｃは、直方体のＸ線透過
板１１ｃの長手方向の両辺部に、Ｘ線透過板１１
ｃと同じ厚みのＸ線遮蔽板１２ａ，１２ｂの辺部
が貼着され、全体として一枚の平面板として構成
されている。なお、Ｘ線透過板１１ｃの長手方向
の両辺部とＸ線遮蔽板１２ａ，１２ｂの辺部との
貼着に際し、第９図に示すような凹溝１４と凸部
１５との関係で接合すると貼着を強化することが
できる。

さらに、多分割遮蔽板の軽量化を図るものとし
て、第１０図に示す第５の実施例を挙げることが
できる。同図において、１６ａ，１６ｂで示すの
は、剛性の有る合成紙たとえばマイラシートであ
る。そして、第５の実施例である多分割遮蔽板１
０ｄは、所定間隔ｌをもつて配置された２枚のＸ
線遮蔽板１２ａ，１２ｂを、その上下で２枚のマ
イラシート１６ａ，１６ｂで熱圧着し、一体化し
たものである。

〔発明の効果〕

この発明によると次のような効果を奏すること
ができる。

すなわち、この発明においては、従来の多分割
遮蔽板におけるように分解撮影に必要なＸ線透過
領域を開設された窓部で形成せずに、Ｘ線透過板
とＸ線遮蔽板とでＸ線透過領域を形成しているか
ら、窓部の開設に必要な枠を省略することがで
き、それだけ多分割遮蔽板の大きさを小さくする
ことができる。したがつて、多分割撮影装置の小
型化、軽量化を図ることができる。また、前記の
ように、この発明における多分割遮蔽板には、窓
部が開設されていず、したがつて撓み部分がない
ので、２枚の多分割遮蔽板をその面と面とが接す
るように多分割撮影装置内に配置することがで
き、何のひつかかりを生ずることなく多分割遮蔽
板を水平移動させることができるばかりか、被検
体とＸ線フイルムとの間隔を小さくすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図はＸ線撮影装置におけるＸ線管と多分割
撮影装置との配置関係を示す説明図、第２図ａ，
ｂそれぞれは従来の多分割遮蔽板を示す上面図、
第３図ａ，ｂそれぞれは多分割撮影装置内の多分
割遮蔽板の位置関係を示す説明図、第４図は四分
割撮影のときの２枚の多分割遮蔽板の位置関係を
示す説明図、第５図はこの発明の一実施例を示す
斜視図、第６図から第８図はこの発明の他の実施
例を示す斜視図、第９図は第８図におけるＸ線透
過板とＸ線遮蔽板との貼着断面を示す断面図およ
び第１０図はこの発明の他の実施例を示す斜視図
である。 １０，１０ａ，１０ｂ，１０ｃ，１０ｄ……多
分割遮蔽板、１１，１１ａ，１１ｂ，１１ｃ……
Ｘ線透過板、１２ａ，１２ｂ……Ｘ線遮蔽板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ Ｘ線撮影装置に装備されて多分割撮影を可能
   にする多分割撮影装置内の多分割遮蔽板におい
   て、多分割撮影に必要な距離をもつて同一平面上
   に配置された２枚のＸ線遮蔽板と、配置された２
   枚のＸ線遮蔽板の対向する辺部間に介在させた剛
   性をもちＸ線透過性の良好な部材とを具備するこ
   とを特徴とする多分割遮蔽板。