JPH0245670Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、加熱炉などの排熱回収用対流型空気
予熱器に関する。

（従来の技術） この種の空気予熱器は、鋼片加熱炉等の煙道あ
るいは排ガスダクト中に排ガス流れと直交するよ
うに多数の管を立設し、管内側の空気を管外側の
排ガスと熱交換させて予熱した後、加熱炉の燃焼
用に供することにより燃焼効率の向上と拝熱の回
収を図るものである。

この空気予熱器の煙道への据付に際して、その
構造上の制約により、管束と煙道壁及び管束相互
の間には、伝熱管相互間の隙間よりも大きな空間
が形成される。

これらの空間は、管束内に比較して排ガスの流
れに対する抵抗が少ないため、特に、低負荷操業
時等のように排ガス量ぎ減少すると、排ガスはこ
れらの空間に流入して偏流となり、熱交換に寄与
せずして流出する現象が生じる。

そこで、このような偏流を防止して効率のよい
熱回収を行なうために、これらの空間に偏流防止
板が設置されている。

従来、この偏流防止板として平滑な耐熱石綿ボ
ード等が用いられ、空気予熱器本体を煙道に据付
けた後、現地作業でこれらの空間に取付けられて
いる。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような偏流防止板の取付け
は、煩雑で困難な現地作業を強いられるうえ、偏
流防止板の表面が平滑であるため、偏流を完全に
防止し得ないという問題を有している。

本考案は、斯る問題点に鑑みてなされたもの
で、排ガスの偏流を確実に防止し得る空気予熱器
を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 前記問題点を解決するため、本考案は排ガス流
れと直交する矩形状の管束を備えた空気予熱器に
おいて、前記管束の両端部に、管束に向かつて突
出し、かつ、管に平行な突条を有する偏流防止板
を管束に近接して配設したものである。

（実施例） 次に、本考案の一実施例を添付図面に従つて説
明する。

第１図から第３図は、本考案に係る空気予熱器
１を示し、複数の多管式熱交換器を煙道２の内部
に矢印Ａで示す排ガス流れに直角な方向に立設
し、管内側を連絡管３により相互に連結して矢印
Ｂ方向に燃焼用空気を通過させるとともに、伝熱
管４を支持板５により支持した管束６を煙道２の
排ガス流路に露出させた周知の構造を有する。
そして、各管束６と煙道壁７の間に形成される空
間Ｘ、及び並列に位置する管束６の相互間に形成
される空間Ｙには、偏流防止板８及びシール板９
が配設されている。

この偏流防止板８は、鋼板製で、第５図から第
７図に示すようなコルゲート状に加工され、その
突条１０が管束６の方向に突出し、かつ、伝熱管
４に平行になるように、管束６に近接して配設さ
れている。また、１１は排ガス流れ方向に設けた
突条である。このとき、第４図に示すように伝熱
管４と偏流防止板８の間の隙間Ｐ１は、伝熱管４
の相互間の隙間Ｐとほぼ同一で、その突条１０は
伝熱管４間のほぼ中央に位置するように配設され
る。

シール板９は、前記偏流防止板８の端部に当接
され、前記空間Ｘ，Ｙを閉鎖して排ガス流入しな
いようになつている。このシール板９は、必ずし
も空間Ｘ，Ｙを閉鎖する必要はなく、排ガスの流
入を阻止できるのであれば、偏流防止板８の最も
上流側の一端にのみ当接させてもよい。

前記偏流防止板８の材質は、排ガスの雰囲気条
件によりSUS３１０，SUS３０９Ｓ，SUS３０
４，SS４１又は表面処理された鋼板等が使い分
けられる。なお、この偏流防止板８は、空気予熱
器１の本体を煙道２に据付ける前に、支持板５に
ボルト接合又は溶接等によつて取付られる。

以上の構成からなる空気予熱器１の管束６に、
図示しない加熱炉からの排ガスが矢印Ａの方向に
流入する場合を想定すると、空間Ｘ，Ｙはシール
板９によつて閉じられ、かつ、P1≒Ｐであるた
め、管束６内への流入抵抗は流路全域にわたつて
ほぼ同一となり、排ガスは管束６内へ均一に流入
する。また、偏流防止板８と伝熱管４の間は偏流
防止板８の突条１０によつて管束６の内部と類似
の流路が形成されるため、偏流防止板８に近接し
た伝熱管４の伝熱性能が低下することはなく、管
束６の内部の伝熱管４と同様に熱交換に寄与する
ことになる。従つて、低操業時において排ガス量
が減少したとしても、偏流が生じないので効率の
よい熱回収を行なうことができる。

また、偏流防止板８は排ガスの熱により膨張す
るが、この場合、偏流防止板８が、第５図から第
７図に示すように、コルゲート状に加工されたも
のであれば、この熱膨張を効果的に吸収すること
ができる。

なお、図に示すコルゲートの形状は一例を示す
ものであつて、これに限定されるものではなく、
たとえば、第８図に示すように板状のものを取り
付けてもよく、空気予熱器１の構造、排ガスの流
れ、温度等を考虜して、最適な形状が選定され
る。

また、前記実施例の空気予熱器は複数の管束を
排ガス流れに直角な方向に２列並設する形式のも
のであつたため、管束相互の間に形成される空間
Ｙにシール板を必要としたが、１列又は１つの管
束からなるものであれば、管束と煙道壁との間に
形成される空間Ｘにのみシール板が必要であるこ
とは言うまでもない。

さらに、前記実施例では、偏流防止板の端部に
シール板を取り付けるようにしたが、偏流防止板
と対向する煙道壁又は他の偏流防止板との間の流
路が排ガス流れに対して実質的に影響がない場合
であれば、このようなシール板は必要としない。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、管束の両側部近傍に突条を有する偏流防止板
を配設したものであるから、管束と偏流防止板と
の空間部における排ガス流れに抵抗が生じて、排
ガスの流れが均一化され偏流が防止されるととも
に、偏流防止板に設けた突条と伝熱管の間に管束
内と類似の流路が形成されるため、偏流防止板に
近接した伝熱管の伝熱性能が低下することはな
い。

このため、特に加熱炉の低操業時においても、
本考案の空気予熱器により効率のよい熱回収を行
うことができる。

また、偏流防止板は空気予熱器を煙道に据付け
る前に取付けることができるので、煙道内での煩
雑で困難な取付作業がなくなる。

さらに、偏流防止板をコルゲート状とすれば、
排ガスの熱による変形を吸収し得る等の効果を有
している。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第２図の−線断面図、第２図
は、本考案に係る空気予熱器の据付状態を示す側
面図、第３図は、その正面図、第４図は、偏流防
止板の取付状態を示す部分破断斜視図、第５図
は、偏流防止板の平面図、第６図は、第５図の
−線断面図、第７図は、第５図の−線断面
図、第８図は、他の偏流防止板の取付状態を示す
断面図である。 １……空気予熱器、２……煙道、６……管束、
７……煙道壁、８……偏流防止板、１０……突
条、Ｘ，Ｙ……空間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 排ガス流れと直交する矩形状の管束を備えた
   空気予熱器において、前記管束の両側部に、管
   束に向かつて突出し、かつ、管に平行な突条を
   有する偏流防止板を管束に近接して配設したこ
   とを特徴とする空気予熱器。 (2) 前記偏流防止板がコルゲート状であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載の空気予熱器。