JPH0233312B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は感熱記録シートの製造方法に係るもの
であり、更に詳細には、印字性を向上させた感熱
記録シートの製造方法に関するものである。 近年、感熱記録方式はノンインパクトで記録時
騒音を伴なわない、現像定着過程を必要としな
い、機器の保守管理が簡単である等、多くの特徴
を有する為、各種プリンター、電話フアクシミリ
をはじめとして、多方面で使用されている。 情報記録機器の開発方向はもつぱら高速化に向
けられていたが、最近高解像力、階調性などの特
性を有した機器も市場に出回りつつある。 このような特性は機器の改良だけでは達成され
ず、適合した特性（印字性）を持つ感熱記録シー
トが必要となる。感熱記録シートにおける印字性
とは、いろいろな印字濃度でのサーマルヘツドパ
ターン（ドツト）の再現性に対応した特性であ
り、熱応答性に主眼が置かれている従来の高速フ
アクシミリ用の感熱記録シートでは、特に低印字
濃度でのドツトの再現性が悪くなり、写真原稿の
ようなハーフ・トーンを良好に再現する事は困難
である。 本発明者らは、高印字性を有する感熱記録シー
トの実現に対し、感熱記録シート製造過程で、感
熱塗液を塗工したシートの含水率を7.0〜12.0％
に保つた状態で、非加熱状態下のスーパーカレン
ダーで処理を行なう事によつて印字性が著しく向
上する事を見い出した。 感熱記録シートは塗層面の平滑性を出す為に感
熱塗液を塗工した後、スーパーカレンダーに通し
ているが、その時の通常の紙の含水率は6.0％前
後であり、紙は平衡水分量、あるいは過乾燥の状
態にある。このように処理した感熱記録シートは
文書などのコピーにはほぼ支障なく使用できる
が、写真などの階調性、高解像性が要求される原
稿には適さない。特にハーフトーンの再現に問題
がある。 これに対し、含水率を高くしてスーパーカレン
ダーに通した感熱記録シートの場合、金属ロール
とコツトンロールによる感熱記録シート塗層面の
圧縮が効果的に行なわれ、印字性は著しく向上す
る。印字性に有効な、含水率は塗液成分によつて
若干異なるが、7.0％の含水率では、通常の6.0％
前後で処理した場合と比較し、印字性の向上が見
られる。含水率を7.0％以上に上げる事により、
印字性の評価も良くなるが、含水率が13.0％を越
えると現実的に紙をスーパーカレンダーに通す事
が困難となり、作業性が悪くなる。このため高印
字性を有する感熱記録シートを製造する際のスー
パーカレンダー通紙の含水率は7.0〜12.0％が適
当である。 感熱記録シートを処理する際のスーパーカレン
ダーは加熱せずに用いる。 スーパーカレンダーに通す際の感熱記録シート
の含水率を7.0〜12.0％に合わせる方法としては
感熱塗液塗工後の乾燥プロセスで乾燥を弱める
方法。スーパーカレンダーに通す前に紙を調湿
機で調湿する方法がある。 調湿機としてはペーパーマスター、モイスナー
が製紙業界では一般に知られ、又水を霧状にして
紙に与えるダンピングマシンも知られている。 本発明では前述した、いずれの方法でもよ
く、又、を併用した方法もとり得る。 次に本発明に用いられる主な成分を具体的に説
明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明
を限定するものではない。 (1) 染料前駆体 一般に感熱記録シートに使用される染料前駆
体が使用でき、例えばクリスタルバイオレツト
ラクトン、３−ジエチルアミノ−７−メチルフ
ルオラン、３−ジエチルアミノ−６−クロロ−
７−メチルフルオラン、３−ジエチルアミノ−
６−メチル−７−クロロフルオラン、３−ジエ
チルアミノ−７−アニリノフルオラン、３−ジ
エチルアミノ−７−（２−クロロアニリノ）フ
ルオラン、３−ジブチルアミノ−７−（２−ク
ロロアニリノ）フルオラン、３−ジエチルアミ
ノ−７−（３−クロロアニリノ）フルオラン、
３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−アニリ
ノフルオラン、３−（Ｎ−エチル−Ｐ−トルイ
ジノ）−６−メチル−７−アニリノフルオラン、
３−（Ｎ−メチルシクロヘキシルアミノ）−３−
メチル−７−アニリノフルオラン、３−ピペリ
ジノ−３−メチル−７−アニリノフルオラン、
など。 (2) 顕色剤 一般に感熱記録シートに使用される酸性物質
が使用でき、例えば、フエノール、Ｐ−tert−
ブチルフエノール、Ｐ−フエニルフエノール、
α−ナフトール、Ｐ− ヒドロキシアセトフエノール、２，2′−ジヒド
ロキシジフエノール、４，4′−イソプロピリデ
ンビス（２−tert−ブチルフエノール）、４，
4′−イソプロピリデンジフエノール、４，4′−
シクロヘキシリデンジフエノール、ノボラツク
型フエノール樹脂、安息香酸、Ｐ−tert−ブチ
ル安息香酸、Ｐ−オキシ安息香酸、Ｐ−オキシ
安息香酸ベンジルエステル、Ｐ−オキシ安息香
酸メチルエステル、３−ベンジル−４−ヒドロ
キシ安息香酸、β−ナフトエ酸、サリチル酸、
３−tert−ブチルサリチル酸、３−メチル−５
−tert−ブチルサリチル酸、ステアリン酸、シ
ユウ酸、マレイン酸など。 (3) 結合剤 例えば、でん粉類、ヒドロキシエチルセルロ
ース、メチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、ポリアクリルアミ
ド、など。 (4) 顔料 例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼
成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸
化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂、な
ど。 (5) ワツクス類 例えば、ステアリン酸アマイド、バルミチン
酸アマイド、オレイン酸アマイド、ラウリン酸
アマイド、エチレンビスステアロアマイド、メ
チレンビスステアロアマイド、メチロールステ
アロアマイド、パラフインワツクス、ポリエチ
レン、カルナウバワツクス、酸化パラフイン、
ステアリン酸亜鉛など。 (6) その他 多種助剤を添加する事ができる。 例えば、分散剤、消泡剤、増感剤、紫外線吸
収剤、蛍光染料、など。 (7) 支持体 一般に感熱塗液の塗布できるもので、例え
ば、紙、または熱可塑性樹脂フイルムの如きシ
ート状物質が使用できる。 次に実施例で更に詳細な説明を行なう。 実施例 １ (1) Ａ液（染料の分散液） ３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−アニ
リノフルオラン150ｇをマロンMS−25（大同工
業(株)製スチレン−無水マレイン酸共重合体のナ
トリウム塩の25％水溶液）18ｇと水332ｇに分
散し、ボールミルで48時間粉砕分散する。 (2) Ｂ液（顕色剤の分散液） ４，４−イソプロピリデンジフエノール150
ｇをマロンMS−25、18ｇと水332ｇに分散し
ボールミルで48時間粉砕分散する。 上記分散液を用いて、次の様に感熱塗液を調整
した。 炭カルPC（白石工業(株)製 炭酸カルシウム）
５部 Ａ 液 ５部 Ｂ 液 16.7部 20％ステアリン酸アマイド分散液 10部 ポリビニルアルコール15％分散液 25部 水 11.6部 この様に調製した感熱塗液を、坪量50ｇ／m²の
基紙に絶乾塗工量が7.2ｇ／m²となる様に塗工し
次いで、乾燥装置の温度条件を種々ふらせて表１
に示す如く、通常の含水率のものから生乾きの所
まで作製し、15Kg／cm²の油圧で常温（25℃）にて
スーパーカレンダーに通し、感熱記録シートを製
造した。 次いで、松下電子部品(株)製フアクシミリ試験機
にてパルス巾を1.0〜2.0ｍｓまで変化させ、各印
字条件での発色濃度とサーマルヘツドパターン
（ドツト）の再現性（印字性）について観察した。

【表】 ドツトの再現性（印字性）は特に低印字濃度で
悪くなり易いが、表１の◎評価では、低濃度部で
も高印字性を維持しており、○評価では低濃度部
での印字性が若干落ち、×評価では低印字性とな
つた。 実施例 ２ 実施例１に於ける比較例の紙（スーパーカレン
ダー通紙前の含水率6.0％の塗工紙）をモイスナ
ーに通して含水率10.0％とし、実施例１と同様の
条件でスーパーカレンダーに通して感熱記録シー
トを製造し実施例１と同様の評価をした。 その結果、印字濃度は1.0^msで0.37、1.5^msで
0.76、2.0^msで0.99となり印字性評価は◎印となつ
た。 即ち、一度乾燥状態（含水率6.0％）にしたも
のを再調湿してスーパーカレンダー掛けしたもの
は実施例１の本発明（No.９）に比し、印字性はほ
ぼ同等であるが、低パルス巾（1.0^ms）での印字
濃度は幾分低いものであつた。しかし、実施例１
の比較例１、２に較べると印字濃度、印字性共
に、はるかに良好なものになつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 通常無色ないし淡色の染料前駆体と加熱時反
   応して該染料前駆体を発色せしめる顕色剤を用い
   た感熱記録シートの製造過程において、感熱塗液
   を塗工した含水率7.0〜12.0％のシートを非加熱
   状態下のスーパーカレンダーで処理することを特
   徴とする感熱記録シートの製造方法。 ２ スーパーカレンダー処理前の該シートの含水
   率を調湿機により調節する特許請求の範囲第１項
   記載の感熱記録シートの製造方法。