JPH0233167Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関より排出される排ガス中の
酸素濃度を検知するための排ガスセンサに係り、
特にかかる排ガスセンサに装着された、排ガスに
よる熱衝撃や飛来粒子等から検知素子を保護する
ための保護カバーに関するものである。

従来から、排ガスセンサとして、内燃機関の排
ガス中に含まれる酸素濃度を検知し、その検出信
号に基づいて内燃機関の燃焼状態を最適にコント
ロールすることにより、排ガスの浄化、燃費の節
減等を行なうセンサが知られている。このセンサ
の一つは、酸素イオン伝導性の固体電解質、例え
ば酸化カルシウムや酸化イツトリウムをドープし
た酸化ジルコニウム等を隔壁とし、その隔壁の両
面に各々電極層を設けたものを検知素子とし、そ
れら電極の一方を基準雰囲気、また他方の電極を
排ガスにさらし、酸素濃淡電池の原理によつて生
ずる起電力を検出信号としている。そして、この
ような検知素子としては、通常一方を閉じた円筒
管形状のものが多く用いられている。また、他の
一つのタイプのセンサとして、酸素濃度により電
気抵抗値の変化する酸化物、例えば酸化チタンを
検知素子として用い、これを排ガスにさらし、酸
素分圧による素子の電気抵抗変化を検知するよう
にしたものも知られている。

ところで、このような各種の排ガスセンサは、
何れもその検知素子が排ガスパイプ内に挿入され
て、排ガスの流れに晒されるものであるところか
ら、かかる排ガスによる熱衝撃の緩和、排ガス中
に浮遊して飛来する粒子の検知素子への付着防止
等のために、かかる検知素子周囲を包囲するよう
に円筒状の保護カバーが設けられている。そし
て、その保護カバーにはその側面に排ガス通路が
開口せしめられ、かかる通路を通じて排ガスがそ
の流れから導かれて、内部の検知素子に接触せし
められるようになつているのである。

しかしながら、従来の保護カバーの排ガス通路
は、円筒状のカバーの側面にスリツト状の切込み
を入れ、その部分を同一側面方向に折り曲げて、
ガス誘導片とされているところから、保護カバー
内部に導かれる排ガスが検知素子の一方の面のみ
に偏流するようになり、そのため検知素子全体が
迅速且つ均質に加熱されにくく、特に検知素子と
して最も敏感に作動する先端部の加熱、排ガスの
接触の効率に劣るものであり、それ故センサとし
ての作動開始温度が高くなつたり、或いは作動開
始までに時間がかかる等の不都合があつた。ま
た、排ガスの流れ内に酸素の濃度分布がある場合
において、かかる従来の同一側面方向の折曲げ片
の形状では、排ガスのサンプリングが左右均等に
行なわれ得ず、排ガス全体の測定が正確に行ない
得ない問題も内在している。特に、排ガスが二本
の排気パイプに分かれて排出せしめられる場合、
それら二本のパイプの間の隔壁を一部切欠いて排
ガスセンサを挿入すれば、一個の排ガスセンサの
みで酸素濃度の測定が可能となるが、上記の従来
の排ガス導入孔の形状では、一方のパイプからの
サンプリングが主として行なわれてしまう問題が
あるのである。

ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景に
して為されたものであつて、その目的とするとこ
ろは、排ガスの取り入れを、その流れの両側から
行ない得るように為し、且つ排ガスが特に検知素
子の先端部に集中するようにスムーズに保護カバ
ー内に流入し得る排ガスセンサを提供することに
ある。

そして、この目的を達成するために、本考案に
あつては、内燃機関の排ガス通路中に挿入され
て、排ガス中の酸素濃度を検知する排ガスセンサ
であつて、排ガスによる熱衝撃や飛来粒子等から
検知素子を保護するための保護カバーを有するも
のにおいて、該保護カバーが検知素子周囲を包囲
する円筒状であり、その側面周壁に、センサ軸に
対し略垂直断面上に配置された孔を一段として、
複数段且つ複数個の排ガス導入孔が設けられ、更
に排ガス導入孔には、排ガスを保護カバー先端方
向へ導入する方向変更部材が設けられるように構
成したのである。

以下、本考案を更に具体的に明らかにするため
に、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明
することとする。

まず、第１図において、２は、ジルコニア等か
らなる酸素イオン伝導性の固体電解質にて形成さ
れている有底円筒状の検知素子であり、排ガスパ
イプ（図示せず）内を通る排ガス（図示せず）に
対してその筒内が気密に隔離されるように、ハウ
ジン４にタルク６、金属製ワツシヤ８及び金属製
リング１０を用いて取付けられ、かかるハウジン
グ４内に収納されている。なお、図示はしない
が、検知素子２の内面と外面には、従来と同様な
多孔質の白金電極がそれぞれ形成されており、そ
してそれら電極の起電力が外部に取り出されるよ
うになつている。

また、かかる有底円筒状の検知素子２の閉鎖端
側の外周部には、排ガスが直接、該検知素子２に
当たるのを防ぐための有底円筒状の金属製保護カ
バー１４が設けられ、その上端側の開口部分がハ
ウジング４の底面に固着せしめられている。

この保護カバー１４には、第２図に明らかにさ
れているように、その側壁部分に複数段且つ複数
個の排ガス導入孔１６が設けられている。この各
段の排ガス導入孔１６は、センサ軸に対して、換
言すればここでは保護カバー１４の軸心に対し
て、略垂直断面上にそれぞれ所定の距離を隔てて
位置せしめられている。また、各排ガス導入孔１
６には、それぞれ保護カバー１４内に延びる、導
入される排ガスの方向を定める方向変更部材たる
折曲げ片１８が設けられており、そしてその折曲
げ片１８は、それぞれ導入された排ガスが検知素
子２の先端部に集中するように、第１図に示され
る如く折り曲げられている。

なお、かかる方向変更部材としての折曲げ片１
８は保護カバー１４の周壁の一部を切込み、その
切込み片を折り曲げることによつて形成されてお
り、その形成が容易な構造とされている。

更に、保護カバー１４の底面に孔２０を設ける
と、保護カバー１４の底面は排ガスの加圧を受け
にくいため、この孔２０は排ガス導出孔として作
用し、保護カバー１４内への排ガスの流入及び排
出がよりスムーズになり、好適である。

従つて、かかる構造の保護カバー１４を取り付
けた排ガスセンサにあつては、その保護カバー１
４部分が排ガスの流れの中に挿入されると、排ガ
スは該保護カバー１４の排ガス導入孔１６からそ
れぞれ導き入れられ、これによつて最も敏感に作
動する検知素子２の先端部に排ガスが集中して接
触することとなるので、排ガスの酸素濃度の変化
に対する応答が良好になるばかりでなく、検知素
子２の先端部が排ガスによつて効率的に加熱さ
れ、従つて排ガスの酸素濃度の変化に対する応答
がより一層良好になるものである。しかも、排ガ
スの取入れ方向がセンサ軸を中心にしてその両側
となり、従来の如く片側に偏さないので、二本の
廃棄パイプの間にセンサを配置した場合にあつて
も、両方の廃棄パイプからそれぞれ排ガスのサン
プリングが行なわれ得て、正しい測定が可能とな
る利点を発揮し得るのである。

なお、上例の実施例のセンサにあつては、保護
カバー１４に設けられる排ガス導入孔１６が各段
間において周方向に同一構造に配列せしめられて
いるが、本考案はそのような排ガス導入孔１６の
配列のみに限定されるものでは決してなく、第３
図に示されるように、保護カバー１４の周方向に
おいて各段の排ガス導入孔１６を千鳥配置と為す
ことも可能であり、更には他の配列形式を採用し
ても何等差支えない。

なお、保護カバー１４の底面に排ガスの導出孔
２０を設けることは、排ガス導入孔１６より導入
される排ガスの流れをさらにスムーズにするもの
であり、より一層好ましいものである。

また、方向変更部材としても、上例の折曲げ片
１８の如き保護カバー１４の切込み部を利用し
て、それを内側に折り曲げることによつて形成せ
しめる場合の他、別体の部材を保護カバー１４の
排ガス導入孔１６の内側周縁に固定せしめる等の
手法によつて、該保護カバー１４に一体的に設け
ることも可能である。

更に、上例の検知素子２は、酸素イオン伝導性
の固体電解質を用いた酸素濃淡電池の原理を利用
したものであるが、これに代えて排ガス中の酸素
濃度により電気抵抗値の変わる酸化物、例えばチ
タニア等からなる検知素子を用いることも可能で
ある。

また、その他、本考案には、その趣旨を逸脱し
ない範囲内において、当業者の知識に基づいて
種々なる変形、改良、修正等を加え得ること、言
うまでもないところである。

以上詳記のように、本考案に係る排ガスセンサ
は、保護カバーとして各段の排ガス導入孔に設け
られる方向変更部材を、排ガスが検知素子の先端
部に集中するように設けられているので、排ガス
中の酸素濃度の変化に対する応答性が極めて良好
であり、排ガスの取入れ方向が両側となり、２本
の排気パイプの間にセンサを配置しても、両方の
排気パイプより良好に排気ガスのサンプリングが
行なわれるものであり、内燃機関の空燃費を制御
するための排ガスセンサとして、産業上大きな意
義を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る排ガスセンサの一実施例
を示す断面図であり、第２図は第１図のセンサに
用いられている保護カバーの正面図、第３図は保
護カバーの他の例を示す第２図に対応する図であ
る。 ２……検知素子、４……ハウジング、１４……
保護カバー、１６……排ガス導入孔、１８……折
曲げ片、２０……排ガス導出孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内燃機関の排ガス通路中に挿入されて、排ガ
   ス中の酸素濃度を検知する排ガスセンサであつ
   て、排ガスによる熱衝撃や飛来粒子等から検知
   素子を保護するための保護カバーを有するもの
   において、該保護カバーが検知素子周囲を包囲
   する円筒状であり、その側面周壁に、センサ軸
   に対し略垂直断面上に配置された孔を一段とし
   て、複数段且つ複数個の排ガス導入孔が設けら
   れ、更に各排ガス導入孔には、排ガスを保護カ
   バー先端方向へ導入する方向変更部材が設けら
   れていることを特徴とする排ガスセンサ。 (2) 前記方向変更部材が、保護カバーの一部を切
   り込み、その切込み片を折り曲げることによつ
   て形成されている実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の排ガスセンサ。 (3) 保護カバーの底部に排ガス導出孔が設けられ
   ている実用新案登録請求の範囲第１項または第
   ２項記載の排ガスセンサ。 (4) 前記検知素子が、酸素イオン伝導性固体電解
   質を用いた酸素濃淡電池の原理を利用したもの
   である実用新案登録請求の範囲第１項乃至第３
   項の何れかに記載の排ガスセンサ。 (5) 前記検知素子が、排ガス中の酸素濃度により
   電気抵抗値の変わる酸化物よりなるものである
   実用新案登録請求の範囲第１項乃至第３項の何
   れかに記載の排ガスセンサ。