JPH02279628A - 極性脂質および中性脂質の新規組成物 - Google Patents

極性脂質および中性脂質の新規組成物

Info

Publication number
JPH02279628A
JPH02279628A JP2065518A JP6551890A JPH02279628A JP H02279628 A JPH02279628 A JP H02279628A JP 2065518 A JP2065518 A JP 2065518A JP 6551890 A JP6551890 A JP 6551890A JP H02279628 A JPH02279628 A JP H02279628A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
unsaturated
phospholipids
composition
phospholipid
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2065518A
Other languages
English (en)
Inventor
Lenard M Lichtenberger
レナード・エム・リヒテンバーガー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Texas System
Original Assignee
University of Texas System
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Texas System filed Critical University of Texas System
Publication of JPH02279628A publication Critical patent/JPH02279628A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/66Phosphorus compounds
    • A61K31/683Diesters of a phosphorus acid with two hydroxy compounds, e.g. phosphatidylinositols
    • A61K31/685Diesters of a phosphorus acid with two hydroxy compounds, e.g. phosphatidylinositols one of the hydroxy compounds having nitrogen atoms, e.g. phosphatidylserine, lecithin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • A61K9/1271Non-conventional liposomes, e.g. PEGylated liposomes, liposomes coated with polymers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/04Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for ulcers, gastritis or reflux esophagitis, e.g. antacids, inhibitors of acid secretion, mucosal protectants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y5/00Nanobiotechnology or nanomedicine, e.g. protein engineering or drug delivery

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、胃腸管の管腔内層を潰瘍から保護するための
医薬製剤およびその方法に関する。具体的には、本発明
は、胃腸管の内層の潰瘍を処置または保護するために有
用である、リン脂質、トリグリセリドおよび/またはコ
レステロールの独特の混合物を含有する組成物に関する
本発明はさらに、表面への急速なリン脂質吸菅が必要で
ある表面活性物質置換療法、および他の症状、たとえば
呼吸困難症(RD S )のための方法と組成物に関す
る。
米国人口の5−15%は、胃腸潰瘍疾患、具体的には消
化性潰瘍に罹患している。さらに、この疾患は西洋の先
進1圏に限定されず、実際、胃潰瘍は東洋諸国において
も重大な問題である。小児科医にとって特に厄介である
潰瘍疾患の1つは、未熟児に起こる。壊死性全腸炎とし
て知られるこの病態は、出生時体重が1.5kg未満の
新生児の10−15%に発病し、小腸に重篤な潰瘍を形
成させ、しばしば外科療法が必要である。消化性潰瘍疾
患と同様、この病態の原因は明らかでないが、基本的な
欠陥は、管腔障害性因子に対する粘膜保護メカニズムの
異常であると予測されている。
胃腸管粘膜の重篤な潰瘍は、炎症性腸疾患(IFBD)
と呼ばれる臨床疾患スペクトルでは、腸下部(遠位回腸
および結腸)にも自然に発生し得る。
この分類における2つの主要な疾患は、重篤な粘膜潰瘍
(しばしば腸管壁を貫いて狭窄および鷹を形成する)、
重篤な粘膜性および下部粘膜性の炎症と浮腫および線維
症に関連する潰瘍性大腸炎、ならびにクローン病である
。劇症IFBMに罹患した患者は、臨床的には大量下痢
、血液喪失、脱水、体重減少および発熱で苦しめられる
であろう。
この疾患の予後は良好でなく、疾患組織の切除を要する
ことがしばしばである。IFBDの病因も十分に分かっ
ていない。
消化性潰瘍疾患を処置するための薬剤は現在多数車販さ
れている。これら薬剤の殆どは、胃酸を中和するか、ま
たはその分泌を抑制することを目的とするものである。
抗潰瘍性組成物のうち著名なものは、抗コリン作動性お
よび抗ヒスタミン物質であり、両者共に、胃酸分泌の阻
害に加えて多様な望ましくない副作用を引き起こし得る
。この方法による治療は、「酸無いところに潰瘍無し」
主義に依るものである。胃酸が完全に存在しない条件下
では明らかに消化性潰瘍は形成されないが、一般にはす
べての潰瘍患者の胃酸放出が増大しているわけでないこ
とが認められている。実際、あるグループの胃潰瘍患者
は胃酸の酸度が異常に低い。したがって、胃酸度は一層
悪化させる要因となり得るのみであって、胃腸の潰瘍形
成の一義的な原因でないことが示唆されている。
壊死性全腸炎を適切に処置することに関し、致した見解
は殆どみられない。頻繁に発病する幼児には、静脈内栄
養過給を施し、さらに生命を脅かす狭窄または穿孔が起
こっている場合には手術を施す。炎症性腸疾患の医学的
治療は一般に、疾患の治癒でな(制御を目的とするもの
である。通常のプロトコールでは1、ステロイドおよび
サルファ剤、アズルフィジン(Azul[’1dine
、サリチルアザスルファピリジン)を使用する。これら
の薬物は粘膜炎症、下痢、および慢性の炎症過程におけ
る血液喪失さえも減少させるが、より重篤な状態にある
疾患の処置には殆ど有効でない。さらに、これら薬物は
、患者に種々の重篤度の副作用をもたらす原因となる。
潰瘍初期についてのさらなる説明は、予想される「胃腸
粘膜バリアー」に障害を有する個体にG。
■、潰瘍が発現すると信じられていることに関連する。
この障害は、前肢の障害性因子(酸、酵素、胆汁塩、細
菌)が内層表面に侵入するのを許し、次いで潰瘍形成を
促進させる。
現在、正常な胃腸(Gり上皮がどのようにしてこれらの
攻撃から自分自身を守っているかは明らかでない。実際
、胃は極めて酸性かつタンパク分解性の環境中に絶えず
居ながら何故自身を消化しないのか、という疑問が確か
にパラドックスとして残されたままであるので、この根
本的な疑問に対する解答は長期の検討課題である。逆に
言えば、消化性潰瘍疾患、壊死性全腸炎、および炎症性
腸疾患においていかにして、そして何故、保護因子が除
去され、または欺かれるかについての臨床的に重要な疑
問は残されたままである。膨大な研究が為され、これら
重要な疑問に対する解答が得られた。研究者らは、粘膜
は、塩酸および他の強力な毒性因子を管腔から上皮にバ
ック拡散させない推定「胃腸粘膜バリアー」によって保
護されると仮定した。この粘膜バリアーが破壊され、G
lの侵食が始まる。アスピリン、胆汁塩、塩酸およびア
ルコールなどの広範囲の種々の障害性因子は、十分な高
濃度で存在するならGl潰瘍の原因であることは確かで
あるが、大部分の患者における潰瘍疾患の第一の原因は
rGI粘膜バリアー」自身の障害によるものであると一
般には考えられている。
しかしながら、上述のように、胃腸疾患を処置するため
の現存する薬理学的手法の殆どは、たとえば抗コリン作
働性薬剤、抗ヒスタミン薬剤および/または制酸剤を使
用し、粘膜および下部粘膜(submucosal)の
炎症を減少させること(ステロイド)により、またはた
とえばショ糖硫酸塩(スクラルフェート、5ucral
fate)などの被膜剤によって潰瘍自身を物理的に処
置することにより、胃酸分泌を処置することを目的とし
ている。この胃酸分泌の処置は、兆候および痛みをある
程度解消するのに役立ち、時には潰瘍の治癒を早めるの
に役立つ場合もあるが、同時にそれらを使用することは
望ましくない副作用および/または酸のリバウンド(反
跳)作用の増強によって悪化させることが多い。他方、
ショ糖硫酸塩は、胃内容物に対して物理的なバリアーを
形成させることによって潰瘍組織を直接的に処置するこ
とを目的としているので、潰瘍を予防する機能は果たさ
ない。さらに、消化性潰瘍は、患者に施しているH、ア
ンタゴニストまたはショ糖硫酸塩による治療を止めれば
、高い頻度で容易に再発する。同様に、患者における炎
症性腸疾患の疑いを増大させる基礎となる粘膜バリアー
の障害は、依然として同定しなければならず、現在にお
けるこのような症状に対する我々医学者の治療方法は、
疾患の起源の代わりに兆候を処置するしかないことは明
らかである。
本発明者は、胃腸管のある特定の領域の粘膜表面が、管
腔内容物に対して非水和化(すなわち、撥水)させる顕
著な疎水性を示すことを見いだした。最°も疎水性を示
す胃腸組織(たとえば、胃、食道および結腸)が粘膜潰
瘍または炎症を最も受は易い領域であることは興味深い
ことであった。
さらに、胃潰瘍または腸炎を実験動物に誘発させる実験
化学物質は、影響を与える粘膜領域における非水和化の
性質を著しく減衰させることも観察された。
したがって、本発明は、管腔の内層の正常な疎水性を回
復、または維持させることにより、管腔内の細胞毒性化
学物質(たとえば、H゛、タンパク分解酵素、エンドト
キシン)の粘膜内層に対する有害な作用を防御し、また
は遅延させることを目的とした処置方法が必要であると
いう認識に基づいた、部分的に上記の知見に由来するも
のである。
さらに、管腔内層を素早く、かつ効率的に処置できると
十分に確立されている簡便な投与形態、たとえば液体ま
たは懸濁形態で投与することができる、本質的に無毒の
活性物質が必要である。
呼吸困難症(RDS)は、気/液の界面、すなわち肺胞
において表面活性物質が減少することを特徴としている
虚弱性の肺疾患である。説明的な用語であるrRDsJ
は、動脈性低酸素血症に付随する、種々の病因の多くの
急性広汎性湿潤性肺病巣に対して使用されている。一般
に呼吸困難症(RDS)と分類される疾患は、成人呼吸
困難症(ΔRDS)から、突発性RDSまたはヒアリン
膜疾患と種々命名された新生児の病態にまで及ぶ。RD
Sなる用語は、成人および新生児のこのような急性疾患
間は幾つかの臨床的および病因論的な類似点を有してい
るので、種々の病態に適用される。
正常な肺機能は、表面張力を交互に増大および減少させ
ることにより呼吸サイクル全体にわたるO7とCO8と
の連続した迅速な交換を可能にする性質を有しているl
1iti胞内層の存在に依存している。
適正にガス交換し、その構造を保全するために、肺胞内
層はその弾性と安定性の両者を保持しなければならない
。これらの肺胞の性質を維持するためにその本体が使用
している基本的な機序は、■型肺胞細胞から主として産
生される表面活性物質(surractant)の産生
であると考丸られる。表面活性物質が十分な量で産生さ
れないと、肺胞の弾性が著しく減少しくしたがって、ヒ
アリン膜疾患と命名される)、また最終段階の呼吸の前
に肺胞が虚脱して以後の呼吸サイクルのためのガス交換
が著しく減退することになる。本発明がさらに関連して
いることは、肺の表面活性物質の減退に関連するこれら
の症状である。
天然の肺表面活性物質は脂質組成物であり、これは主と
してリン脂質、特定の天然脂質およびタンパク質を、脂
質が該組成物の80%になるように含有する複合混合物
を包含している。この脂質成分は、ジパルミトイル・ホ
スファチジルコリン(ジスバルミトイル・レシチン)、
ホスファチジル−グリセロール、ホスファチジルエタノ
ールアミン、トリグリセリド・コレステロール、および
コレステロールエステル類から主として構成される。
完全な表面活性特性に必要とされる表面活性物質のタン
パク質成分は、−群のアポタンパク質である。多(のこ
れらのアポタンパク質か存在することにより、表面フィ
ルムの形成率が増大されることが示唆されている[ウィ
ツトセット(WhitsetL)らのPediatr、
 Res、 、 20:460(1986) ;アベリ
ー(Avery)らのNew Engl、 Jrnl、
 Med、 、 315:825(1986)を参照の
こと]。
呼吸困難症疾患の処置は、たとえば酸素投与または規則
正しい機械的な換気などの支持的な看護(suppor
tive care)に伝統的に限定されてきた。
強制的な換気は、RDSと表面活性物質障害性RD S
が最も重篤である場合、不適切な処置であるばかりでな
く、肺および横隔膜に機械的なストレスを負わせ、重篤
な肺胞傷害、または気胸症をさえも引き起こし得る。
最近、表面活性物質置換療法によって新生児および成人
の呼吸困難症(RD S ’)を処置することが進歩し
てきた。たとえば、フジワラ(Fujiwara、 T
、 )のPulmonary 5ur4acLant(
1984)、タカ/%シ(Takahashi)らのB
iochem、 Biophys、 Res、 Com
n、 、 135:527−532(1986)、メッ
トカルフエ(Metcalfe)らのJ、AppLPh
ysiol、 49:34−40(1980)を参照の
こと。これらの表面活性物質置換方法は、肺の表面活性
物質成分を外から補充する目的で、種々の表面活性物質
混合物を気管内に滴下注入(instillation
)することを包含している。このような表面活性物質混
合物の1つは、ジパルミトイル・ホスファチジルコリン
(DPPC)を含有している。コルチコステロイドは、
特に、未熟児を産むと予想される母親に投与した場合、
RDSを処置するのに幾つかの有用性を有すること、が
見いだされている[たとえば、バラード(Ballar
d)らのJ、 Pediatr、 97:451(19
80);バベゴージ(Papegeorgiou)らの
Pediatrics、 67:416(1981)を
参照のこと]。
DPPCは、肺の表面活性物質の中で最も優れた、かつ
表面活性を有する脂質の1つであるが、DPPC単独で
は限定された治療価値しか示さないことが教示されてい
る。限定された効能を示すコルチコステロイド療法も、
その多様な全身作用から、たとえば未熟児またはコルチ
コステロイドに感受性の患者に直接処置するなどの特定
の状況下では望ましくない。
表面活性リン脂質および表面活性物質特異的なアポタン
パク質の混合物を肺に滴下注入することは、表面活性物
質置換療法に代わる興味深い方法のように思われるが[
ハウグツド(llawgood)らのBioches 
24:184−190(1985)を参照]、このよう
な処置は重要な開発がさらに必要であり、そのような処
置の治療価値を評価する前には、問題のタンパク質の同
定、精製、クローンおよび/または合成に経費がかかる
。さらに、表面活性物質関連タンパク質は免疫原性を有
し得るという欠点もある。
粗製の卑情製ウシ肺表面物質を表面活性物質置換療法に
使用すれば、免疫原性という欠点をも招来し、それによ
り既にRDSに罹患して衰弱している患者に免疫反応を
誘起してしまう。フジワラのPulmonary 5u
rfactant(1984)、タカノゝシらのBio
ches、 Biophya、 Res、 Com5.
135:527−532(1984)を参照のこと。
残念ながら、上述した現存する認められたRDS処置の
プロトコールは、すべての、または殆どのRDSを適切
に処置できない。精製したDPPCは、肺胞の表面張力
を低下させ、肺胞のガス交換および血中のPo、含量の
増加を光道させるなど、肺における重要な表面活性を誘
発させると示されているが、これらの作用は、ある程度
の時間経過後(投与後16−20時間)に起こるのみで
ある。したがって、DPPC分子が気/液界面に広がる
速度を加速させる一方で、表面張力を最大限に低下させ
る、全身性の副作用またはアレルギー反応を併発しない
方法を開発したなら、DPPC処置の治療上の効能は極
めて増大するであろう。
そうすれば、RDS、および表面活性物質を要する他の
症状に対する有効な表面活性物質置換療法が提供されよ
う。
その最も一般的かつ包括的な態様として、本発明は、胃
腸管の管腔表面をその疎水特性を増大または維持させる
ことのできる活性物質で処置することにより、管腔の水
性の細胞毒性化学物質、たとえば胃酸および消化性酵素
分泌物の有害作用から管腔を保護することを実現しよう
とするものである。具体的には、本発明は、双性イオン
性リン脂質と中性脂質、たとえばステロールおよび/ま
たはトリグリセリドとの独特の混合物であって、化学物
質性および突発性の胃腸潰瘍形成に対する全く終始変わ
らない、即効性の長期にわたる保護を管腔内層に付与す
る該混合物を提供するものである。したがって、本明細
書で使用している「リン脂質」なる用語は一般に、適用
部位において正の電荷を帯びた窒素を有するリン脂質に
関連するものである。たとえば、そのアミンは、4級ア
ミン、または胃のpHでイオン化されるアミンのいずれ
であってもよい。
本発明の1つの態様である医薬組成物は、炭素原子数8
から32個の脂肪族置換置を有する飽和リン脂質を、炭
素原子数4から32個の飽和脂肪族置換置を有する飽和
トリグリセリドと共に含有しており、当該リン脂質およ
びトリグリセリドは共に製薬的に許容され得る希釈剤中
に分散されている。
本明細書中で使用している「飽和リン脂質」は、炭素原
子数8から32個の飽和脂肪族置換置のみを含有するリ
ン脂質を意味し、「飽和トリグリセリド」は、炭素原子
数4から32個の飽和脂肪族置換置を有するトリグリセ
リドを意味する。
飽和リン脂質および飽和トリグリセリドの実質的にあら
ゆる組合わせ物により本発明の有益性は提供されるが、
好ましい態様は、飽和リン脂質がジパルミトイル−ホス
ファチジルコリン(D P PC)、シミリストイル・
ホスファチジルコリン、ジステアロイル・ホスファチジ
ルコリンであり、飽和トリグリセリドがトリパルミチン
(TP)、トリミリスチン、および/またはトリステア
リンの場合である。
飽和リン脂質はそれ自身で抗潰瘍活性をある程度有して
いることは既に見いだされていたが、本発明は、飽和リ
ン脂質を含有する組成物にさらに(好ましくは飽和型)
トリグリセリドを加えることにより、飽和リン脂質の抗
潰瘍活性が驚くほどに増大されるという発見を具体化し
たものである。
たとえば、飽和リン脂質であるジパルミトイル・ホスフ
ァチジルコリン(DPPC)を低い閾値濃度のLag/
x(lでラットの胃内に投与し、その2時間後、強酸で
チャレンジした場合、記録される損傷スコアーは僅かに
5−10%減少するのみである。これとは対照的に、飽
和トリグリセリドであるトリバルミチン(TP)をDP
PC懸濁物に添加すると、酸により誘発される胃潰瘍に
対する保護作用が用量依存的に劇的に増大し、それは、
TPを濃度4zg/mQまたはそれ以上で添加した場合
、損傷スコアー〈90%の減少であった。さらに、この
混合物によって得られる保護作用は、長期に持続的であ
ることが観察されており、この脂質を酸チャレンジの6
時間前に投与した場合、損傷スコアーは75%減少され
た。
興味深いことに、本発明者の行った実験系では、不飽和
I・リグリセリドと共に飽和リン脂質のみを含有する組
成物は、抗潰瘍活性が減少していた。
さらに、飽和リン脂質を含有する組成物は、化学量論的
量のコレステロール、または他のステロールをこの混合
物に添加した際には自身の活性も喪失することが見いだ
されている。何故このようになるのかは明らかでないが
、コレステロールまたはその他のステロールを飽和リン
脂質含有組成物に添加すると、リン脂質構造の会合が破
壊され、それにより均質な疎水性内層を形作るための、
管腔内層との相互作用が妨げられるのではないかと予想
されている。
抗−潰瘍状発性の本発明の態様の1つでは、飽和リン脂
質および飽和トリグリセリドを、l;lから1:10の
重量比で含有させ、より好ましくはl;2から1:5の
重量比で含有させる。実際、重量比1;4の場合が、本
明細書で開示しているすべての抗潰瘍性組成物の中で最
も優れた抗潰瘍活性を示すことが見いだされた。
抗−潰瘍誘発の具体例として、本発明はさらに、炭素原
子数8から32個の不飽和脂肪族置換分を少なくとも1
つ有しているリン脂質、として定義される不飽和リン脂
質の潰瘍保護量を、炭素原子数1から10WAの脂肪族
置換分を17位炭素に有するステロールと共に、製薬的
に許容され得る希釈剤中で含有してなる医薬組成物を提
供するものである。
コレステロールは好ましいステロールであるが、デスモ
ステロール(desmosterol)、β−シトステ
ロール(beta−sitosterol)、カンペス
テロール(campesterol)またはエストラジ
オールなどの他のステロールもコレステロールと同じ<
良好にR能する。しかし、本発明の組成物に存在し得る
毒性は最小に維持させることが一般に望ましいことに鑑
み、非生物学的活性ステロールのみを含有させるべきこ
とを示唆しておく。したがって、たとえばエストロゲン
、アンドロゲン、フルチコステロイド、プロゲスチゲン
、またはアナポリックステロイドなどの、ホルモン活性
を有するステロールを含有させることは通常望ましくな
いであろう。それ故に、不飽和リン脂質を含有する組成
物を製剤化するに当たっては、容易な入手可能性、廉価
、および毒性が無いことから、コレステロールを使用す
ることが望ましい。さらに、無視できるアテローム硬化
性の活性(athrosclerotic poten
tial)を有する植物ステロールのシトステロールは
、本発明の脂質混合物における胃の保護活性を損なうこ
となく、コレステロールに代えて置き換え可能である。
好ましい態様では、不飽和リン脂質およびステロール含
有組成物は、不飽和リン脂質およびステロールをモル%
比でそれぞれ約4=約0.25で、より好ましくはモル
%比的15:約0.25で含有するよう製剤化する。
ある特定の好ましい態様では、不飽和リン脂質およびス
テロール含有組成物は、卵ホスファチジルコリン、また
はポリ−不飽和シリ/レオイルホスファチジルコリンを
含有するよう製剤化する。
しかし、本発明では、実際上、本明細書で規定するあら
ゆる脂質が有益である。
不飽和リン脂質およびステロール含有組成物の抗潰瘍活
性は、本製剤にトリグリセリドを添加すると非常に改善
されるとさらに決定された。このような組成物中にある
トリグリセリドは、飽和または不飽和のいずれであって
もよい。しかし、どの様な不飽和リン脂質と一緒に用い
るかによって、飽和または不飽和トリグリセリドのいず
れかを用いる方が好ましい、ということが見いだされた
たとえば、飽和トリグリセリドのトリパルミチンと一緒
にジリノレオイル・ホスファチジルコリン(DLL−P
C)を使用するのが好ましい。しかし、選択する不飽和
リン脂質が卵ホスファチジルコリンである場合、好まし
いトリグリセリドは不飽和トリグリセリドであるトリオ
レイン(triolein)である。
本発明の脂質混合物の保護活性は、脂肪酸側鎖と構成成
分であるリン脂質および/またはトリグリセリドとの間
のエステル結合に左右されないことに留意すべきである
。エステル結合をエーテル結合した脂肪酸側鎖と置換し
ても、活性が完全に保持される。第11図に示されてい
るように、それらエステル脂質の片方または両者を不活
性なエーテル類縁体と置換したとしても、酸誘発性の胃
損傷に対するDPPC−TPの保護作用は、同じく(呆
持された。
極性および非極性の脂質混合物は、それが飽和または不
飽和のリン脂質を基礎としているか否かに関係なく、通
常、水性媒質または希釈剤を使用してリポソームの、混
合ミセルの、コロイド状の、または微小エマルジョンの
懸濁剤に製剤化し、適用方法、および使用する組合わせ
に係る潰瘍−保護強度に応じて濃度約0.5から約10
mg/xcの範囲で懸濁剤を含有する組成物を製造する
。たとえば、胃への経口投与によって消化性潰瘍疾患を
処置するためには、投与量lから約4yg/+Cが一般
には好ましい。しかし、腸下部に、特により重篤な管腔
の麿爛、たとえば潰瘍性全腸炎に適用するには、より高
濃度のものが必要とされる場合がある。
具体的な水性希釈剤は特に重要でないが、本出顎人は、
等強性の生理食塩水(−船釣には、食塩水という)によ
って−貫して安定かつ有効な製剤が得られることを見い
だした。しかし、粘膜表面への脂質の堆積と吸着は、希
釈溶液中の多価陽イオンの存在によって増大され得ると
考えられる。
リン脂質混合物を調製するには、所望の量の選択した脂
質を単に適当な容器に入れ、適量の等強性生理食塩水、
または他の水性媒質を加える。次いで、得られた混合物
全体を数分間旋回、音波処理、または激しい混合によっ
て脂質を懸濁させる。
いくつかの場合には、リポソームの、混合ミセルの、コ
ロイド状の、または微小エマルジョンの懸濁剤を形成し
易くするため、温度をリン脂質の転移温度以上に上昇さ
せてもよい。不飽和のリン脂質/トリグリセリド組成物
、および飽和トリグリセリドを含有する池の脂質組成物
には、音波処理が好ましいことが見いだされた。他の不
飽和リン脂質含有組成物では、旋回が一般に好ましい。
この方法で製剤化された組成物は一般に、4°Cまたは
室温において、少なくとも1週間安定であり、通常はそ
れよりも長く安定である。しかし、その組成物を長期間
保存した場合には、脂質が幾分沈殿する場合がある。沈
殿しても、組成物を単に@盪または旋回させて脂質を懸
濁することにより、本発明の組成物を容易に再生するこ
とができる。脂質の凝集体は一般に、すべてが分散され
ている懸濁剤と同一の、またはそれ以上の活性を示すこ
とが見いだされているので、通常そのような凝集体は分
散させる必要がない。
多価陽イオン、たとえば重金属として分類されている多
くのものを上述の組成を有する製剤に添加することによ
って、その抗潰瘍活性は一般に増強される。多価イオン
は、リン脂質における負に帯電しているホスフェート基
と、それがコンパクト(緻密)単層として管腔に吸着し
易くなるように相互作用し、それにより管腔の疎水性を
維持させるという効能か増大すると仮定される。実際上
あらゆる多価陽イオン、具体的には重金属イオンがこの
ように機能し、通常は、金属イオンのモルに対してリン
脂質を約0.5から20モルのモル比で含有させるべき
であると考えられる。金属イオンには毒性を有するもの
があるので、ある特定の重金属、たとえば非常に危険な
腎毒性を有する水銀は、使用すべきでない。しかし、銅
、亜鉛、金、ビスマス、アルミニウム、またはカルンウ
ムなどの多価陽ネオンは有効1農度において一般に十分
な許容性を有しており、したがってこれを本発明のリン
脂質組成物の効能を増大させるよう含有させることがで
きる。通常、多価陽イオンはそのイオン状態で、脂質混
合物を懸濁させるために使用する水性bJf、質に加え
る。
本発明によりさらに実現されることは、脂溶性および水
溶性ビタミン(ビタミンAS EおよびC)の両者、な
らびに他の化学物質である、フリーラジカルを捕獲する
ことのできる酸化防止剤を添加することによって、上記
脂質混合物の抗潰瘍作用をさらに増強し、持続させるこ
とを具体化することである。これは、これらの物質が不
飽和リン脂質の酸化的破壊を防止することができること
に由来するのであろう。
したがって、本発明は、その最も一般的な技術的範囲と
して、被験者における胃腸管の管腔内層を潰瘍から保護
する方法であって、その内層に有効量の前述の組成物の
うちの1つを投与することを特徴とする方法を提供する
ものである。したがって、管腔内層の疎水性を維持させ
るのに有効である前述の組成物の有効量をその管腔内層
に投与することにより、管腔内層は潰瘍から保護される
本発明の組成物は、他の潰瘍形成という副作用を防ぐ、
または減少させるため、非ステロイド系の解熱物質、ま
たは抗炎症物質、たとえばアスピリンなどと一緒に使用
することができる。非ステロイド系の物質を製剤化する
に当たっては、それを水性希釈剤中に加えるか、組成物
の後製剤(post(ormulation)に加える
か、または単にそれらを抗潰瘍剤と共に同時投与すれば
よい。使用する脂質がリポソームを形成し易い場合、た
とえば不飽和リン脂質/コレステロール組成物の場合、
非ステロイド系活性物質の少なくとも1部分がリポソー
ムに包嚢されるよう、旋回または音波処理を行う前にそ
の活性物質を混合物に含有させることが特に望ましく、
これによって、脂質混合物の保護作用が改善される。し
かし、適当な保護作用は、単に同時投与することによっ
て得ることができる。
したがって、このような組成物は、製剤化されているか
否かに関係無く、上記の潰瘍誘発物質の潰瘍誘発作用を
妨げるように機能し、本態様ではそれと共に、このよう
な物質を投与された被験者から痛み、熱、出血、下痢お
よび/または炎症を適度に除去するよう機能する。
本発明はさらに、上記の組成物を表面に処置することに
よって、気/液の界面におけるリン脂質の表面吸着の速
度を極めて増大(加速)させることを実現しようとする
ものである。このようにすれば、不活性および生物学的
システムの両者において、リン脂質か、表面張力の低下
作用と表面疎水性の増強作用とを銹導する速度が加速さ
れるであろう。したがって、本発明は、各種の呼吸困難
症(RDS)の処置、ならびに多(の他の医学的および
工業的用途のため、改善された形態の表面活性物質置換
法として利用することができる。たとえば、本発明の具
体的な工業的用途は、海洋において漏出した浦を回収す
るための界面活性触媒である。−船釣に言えば、本発明
の懸濁剤は、極性脂質を気/液の界面に急速に沈着させ
る必要がある場合のあらゆる状況下で、使用可能である
本発明はさらに、急速な表面活性物質−置換物と15で
の医療分野における意義ある適応性を有する。本発明者
の行った実験系では、表面活性を有する脂質であるジパ
ルミトイル・ホスファチジルコリンのみを含有する組成
物は、その低速度の表面吸着のため、低い表面活性置換
活性と表面張力低下作用しか示さない。他の研究者によ
っても、この組成物を呼吸困難症の処置に臨床的に使用
した場合、この表面活性置換作用はほんの僅かな治療価
値しか示さないことが観察されているしフシワラらのF
’u1monary 5urfactant 479−
504頁(1,984);メーバン(Meban)らの
Pediatr、 Res、 15:1029−+03
1(1981)]。
したがって、本発明は具体的には、中性脂質、たとえば
ステロールおよび/またはトリグリセリドと共にリン脂
質からなる、表面活性物質様被膜を容易に置換または生
成し得る独特の混合物を提供するものであり、その1つ
の適用例として、生物学的表面、顕著には肺胞の気/液
界面における急速なリン脂質の吸着を促進させることを
挙げることができる。
表面活性物質置換のための具体的な本発明医薬組成物は
、既述している飽和および不飽和リン脂質を(コレステ
ロールと共に)含有している。同様に、これら組成物の
飽和および不飽和トリグリセリドは、抗潰瘍組成物につ
いて記載しているものと同じものである。
飽和リン脂質が表面張力と疎水性誘発活性を本来的に自
ら有していることは従来から見いだされていたが、本発
明は、トリグリセリド(好ましくは飽和型)を飽和リン
脂質含有組成物に添加すれば、飽和リン脂質の表面張力
の低下作用、さらには該作用の速度が驚くほどに加速さ
れる、という発見を具体化したものである。また、接触
角分析により、リン脂質混合物へのこのような添加は、
処置表面の疎水性、および該表面の疎水性が最大の値に
達する速度が増大されることが見いだされている。たと
えば、表面張力と接触角分析による評価によって、飽和
リン脂質であるジパルミトイル・ホスファチジルコリン
(DPPC)の吸着動態を調査した場合、飽和トリグリ
セリドであるトリパルミチンを添加することにより、D
PPC単独よりも表面張力が5−8 dynes/ax
低下することが認められた。このDPPC−TP効果は
、適用の5分以内に誘起されたが、これとは対照的にD
PPC単独では、表面張力をこれよりも低下させるのに
24時間も要した。これらの知見と矛盾なく、これらの
実験に関連して調製したスライドガラスにおける接触角
分析は、DPPCPPC単独投与−16時間で、最大の
疎水性が35−37°に達することを示唆した。DPP
C−TP処装では、これとは対照的に、それに匹敵する
、またはそれ以上の接触角の脂質誘導性の上昇は、処置
後10分以内で達成され、最大読値の47−49°が処
置後1時間、またはそれより以前に得られた。注意して
おくが、高い接触角の読値は、表面の疎水性のより高い
値に相関している。
さらに、トリバルミチン(TP)などのトリグリセリド
における上記の表面特性の増大能は、その組成物中の中
性脂質と極性脂質との分子比率にも左右されることが見
いだされた。たと^ば、DPPC:TPが2 + 1 
(wL、 :wt、)の比率の封入体く全脂質重量20
μg)では、浴への適用後10分で、表面張力の値が6
0 dynes/cxを示した。これとは対照的に、D
PPC:TPがl:2、および13 (vL、 :wt
、 )の比率(全脂質重量20μg)では、投与後10
分で、表面張力の値が約38 dynes/cxを示し
た。これらの結果は、脂質の投与10分後に浴から取り
出したスライドガラスの接触角分析の結果と矛盾が無く
、DPPC:TPが2:l(wt、 :wt、 )の比
率では20°の接触角を、およびDPPC:TPが1 
: 2 (wt、 :wL )では50°の接触角を与
えた。
表面活性物質置換組成物の1つの態様としては、飽和リ
ン脂質と飽和トリグリセリドとを、重量比l:lからl
:5で、より好ましくはl:2からl:4で含有させる
。実際、重量比1:3では、本明細書で開示しているす
べての表面活性組成物の中でも最も優れた表面活性が得
られることが見いだされた。
さらに表面活性物質置換の具体例として本発明は、既述
の飽和リン脂質を既述のステロールお上び/またはトリ
グリセリドと共に医薬的に許容され得る希釈剤中に含有
してなる組合わせ物の、表面活性を増強する量からなる
医薬組成物を提供するものである。
コレステロールは好ましいステロールであるが、デモス
テロール、B−シトステロール、カンペステロールまた
はエストラジオールなどの他のステロールも同等に機能
する。しかし、既述のように、生物学的に活性でないス
テロールのみを含有スべきであることを示しておく。コ
レステロール、または植物ステロールであるシトステロ
ールおよび/またはカンペステロールは容易に入手でき
、廉価であり、潜在的な毒性を欠いているので、不飽和
リン脂質を含有する組成物の製剤化に当たって使用する
のが望ましい。
好ましい態様では、リン脂質およびステロールをモル%
比で約4=約0.25でそれぞれ含有するリン脂質およ
びステロール含有組成物を製剤化し、さらに好ましくは
モル比で約1.5:約0.25でそれぞれ含有する組成
物を製剤化する。
既述しているように、ある好ましい態様である不飽和リ
ン脂質およびステロール含有組成物では、卵ホスファチ
ジルフリン、またはポリ−不飽和ジリノレオイル・ホス
ファチジルコリンを含有させて製剤化する。
不飽和リン脂質およびステロール含有組成物の表面活性
は、該製剤にトリグリセリドを添加すると極めて増大す
ることがさらに決定された[第15図参照]。飽和また
は不飽和のいずれのトリグリセリドも使用することがで
きるが、どの不飽和リン脂質を使用するかで優先性があ
る。たとえば、不飽和トリグリセリドであるトリオレイ
ン(triolein、To)は不飽和リン脂質である
卵ホスファチジルコリンと一緒に使用するのが好ましい
。好ましい態様では、リン脂質、ステロール、不飽和ト
リグリセリドの重量比は、0.67 : 0.33 :
 400である。リン脂質とステロールは等モルlA度
で含有するのが好ましい。たとえば、既述した好ましい
態様の混合物は、卵ホスファチジルコリン約0.67x
g、コレステロール約0.33屑g、およびトリオレイ
ン約1gを含有すればよい。
本発明の脂質混合物の表面活性は、脂肪酸側鎖と構成成
分であるリン脂質および/またはトリグリセリドとの間
のエステル結合に左右されない。
エステル結合をエーテル結合した脂肪酸側鎖と置換して
も、活性が完全に保持され、これはすべての態様に当て
はまる[第11図膠照コ。
すべての表面活性組成物は抗潰瘍製剤について既述した
方法と同一の方法によって製剤化する。
使用する具体的な水性希釈剤は特に重要でないが、等張
性生理食塩水が好ましい。さらに、該製剤に多価陽イオ
ン、たと九ば重金属イオンを添加することにより、表面
活性は増大されると考えられる。
その比較的好ましいモル濃度は、抗潰瘍製剤について概
略水した値と同じである。ここでも、毒性を有する金属
イオンは使用すべきでない。
開示している表面活性組成物には、特定のビタミン(ビ
タミンA、EおよびC)、および他の化学物質、酸化防
止剤を含有させることもできる。
したがって、本発明は、呼吸困難症を予防し、処置する
ための方法であって、上述した組成物のうちの1つの組
成物の有効量を被験者の肺胞に投与することを特徴とす
る方法を提供するものである。麻酔イヌを用いた場合、
気管に投与し、次いで肺に100%酸素を流入させるの
が好ましい。
次に、人工呼吸装置で呼吸させればよい。
このように、表面活性組成物は表面活性物質が欠損して
いる生物学的表面、特に肺胞内層の表面を、肺胞内層上
に被膜を形成させることにより賦活化することができる
。肺胞内層(ALL)は、肺胞の上皮細胞上にわたって
連続した内層を形成し、コーンの小孔(pores o
f Kohn)をスパン(伸び縮み)させる無細胞のフ
ィルムとして記載されている[コーベリ(E、 5or
pe1. l)、およびモートン(A、 Mouton
e)のPu1llonary 5urracLant、
 119−121頁(1984)]。したがって、この
リン脂質の被膜は細胞自身と接着しているが、その一部
ではない。
現在推奨されているリン脂質組成物は通常、大部分のリ
ン脂質と比較的低い濃度の中性脂質から構成されている
。本発明の組成物は、リン脂質に対して有意に高い濃度
の中性脂質(50%以上)をリン脂質(50%以下)に
対して含有している(したがって、脂質は50%以下)
。中性脂質はリン脂質分子に増大した浮遊密度を与える
ので、リン脂質が気/液界面に移動し、吸着する速度を
速めると仮定される。この新規な組成および浮遊密度効
果が、本発明の新規な組成物がこのような驚く程に高め
られた表面活性増大作用を有している理由であると仮定
される。
さらに、本発明の組成物は微小エマルジヨンなどの種々
の物理的形態をとり得る。対照的に、他のリン脂質組成
物は、主としてリポソーム形態をとる。本発明者は、こ
の違いも、本発明の組成物がインビトロにおける表面特
性の変化を誘起し得る程に速度を予想外に増大させる原
因であると理論付ける。しかし、本発明の範囲は、これ
ら組成物の個々の形態に限定されるものではない。
第1図一種々のモル%濃度でコレステロールを含む卵ホ
スファチジルコリン(P Ce)の組合わせ物が酸のチ
ャレンジに対して示す潰瘍保護活性を説明するグラフで
ある。星印は、最も臨床的に意義のある活性を示すコレ
ステロールの態様である。PCeまたはコレステロール
(chop、 )はいずれもそれ自身、酸誘発性の胃損
傷を保護しないが、極性および非極性脂質の独特の混合
物は明確に保護作用を有しており、それはPCe+50
M%コレステロールの混合物で損傷スコアーが最大85
%減少している。この実験、および以下の図面で説明す
るその後の実験では、特に明記しないかぎり、動物を脂
質試験溶液(脂質総量の濃度3xg/112)で胃内処
置し、その2時間後にIN塩酸1肩eで胃内チャレンジ
した。1時間後にラットを殺し、その時点で、規約どお
りの条件下で損傷スコアーを分析した。
第2図一種々のモル%濃度でコレステロールを含むジリ
ノレオイル・ホスファチジルコリン(DLL−PC)の
組合わせ物が酸のチャレンジに対して示す潰瘍保護活性
を説明するグラフである。
第1図のように、星印は、好ましいモル%比を示す。
第1図の実験と同様、DLL−PCまたはCholはい
ずれも酸誘発性の胃損傷について自らラットを保護しな
かったが、その2つの脂質の独特の混合物は顕著な保護
作用を示し、DLL−PC+80M%Cholの混合物
で最大(85%の保護)の保護作用が観察された。
第3図−コレスチロール(50および80M%)を含む
不飽和リン脂質(卵−ホスファチジルコリン、PCe:
およびシリルオイル−ホスファチジルコリン、DLL−
PC)の混合物についての酸誘発性胃損傷に対する保護
作用の時間依存性を説明するグラフである。このグラフ
は、不飽和リン脂質とコレステロールとの混合物におけ
る酸誘発性の損傷に対する保護作用が長期に持続してお
り、注射後4−6時間損傷を消していたことを説明する
ものである。この実験では、脂質混合物を酸−チャレン
ジの2.4および6時間前に胃内投与した。上述のよう
に、酸チャレンジの1時間後、ラットを殺した。
第4図−低用量のPCe+5QM%Chol(PCe 
CH)混合物の保護作用が、トリグリセリド、トリオレ
イン(TO)を該混合物に添加することにより用量依存
的に、顕著に増大されたことを示すものである。本図で
は示していないが、To(10xg/xQ)単独では、
酸誘発性損傷に対して僅かな保護作用しか示さなかった
(損傷スコアーく20%減少)。
第5図−ジリルオイルホスファチジルコリンおよび80
M%コレステロールの脂質混合物(DLL−PC−CH
)の酸誘発性胃損傷に対する保護作用における種々のト
リグリセリド(TG)の効果を示すものである。本図は
、トリパルミチンおよびトリオレインを、DLL+80
M%Chol混合物のED、。用量(lag/mQ)に
添加すると本懸濁剤の保護効能が増大し、他方該混合物
にToを添加すると、若干効果を示すのみであることを
全般に示している。
第6図−酸誘発性胃損傷に対するジパルミトイル−ホス
ファチジルコリン(DPPC)の混合物の保護作用にお
けるトリパルミチン(TP)の用量−依存性を示すもの
である。本図は、低用量のDPPC(1mg/*12)
の保護作用が、トリパルミチン(TP)を該混合物に添
加することにより用量依存的に、顕著に増大され得るこ
とを証明するものである。本図では示していないが、T
o自身(10gg/m12)は、中程度の保護作用しか
示さず、損傷スコアーは30%以上減少した。
第7図−ここに示したデータは、不飽和脂肪酸のPCe
およびDLL−PCの保護作用を増大させるコレステロ
ールの増大能とは対照的に、飽和リン脂質のDPPCの
リポソームにコレステロールを添加しても、効果なしく
1+ygDPPc/村)、または実際、それよりも高い
濃度のDPPC(3xg D P P C/xQ>の保
護効能は抑制されていることを示すものである。
第8図−酸誘発性両損傷に対する極性および非極性脂質
の混合物における保護作用の時間依存性を説明するもの
である。本図は、トリグリセリド(TG)を脂質混合物
に添加すると、効能の増大に加え、その作用時間が長期
化することを示している[すなわち、6時間−PCe+
50M%Chol+TOでは依存として損傷スコアーを
75%減少させるが、他方TOの不存在下では損傷スコ
アーを25%減少させるのみである(第3図参照)−投
与後6時間]。
第9図−エタノール誘発性胃損傷に対する極性および非
極性脂質混合物の保護作用を示すものである。本図は、
リン脂質/コレステロール/TGの混合物が、他の胃潰
瘍形成チャレンジである100%エタノールlRQの管
腔内投与に対する保護作用を長期化させることを証明す
るものである。既述のように、脂質混合物をチャレンジ
の2時間前に投与し、そしてチャレンジの後1時間経過
後にラットを殺した。
第10図−エタノール誘発性胃損傷に対する極性および
非極性脂質混合物の保護作用の時間依存性を示すもので
ある。本図は、酸銹発性の傷害に対する保護作用と同様
に、エタノール誘発性胃損傷に対する2種の混合物の保
護作用が長期に有効であり、投与後6時間でも依然とし
て有意な保護作用を与丸でいることを証明するものであ
る。
第11図−1つまたは2つのエステル脂質を不活性のエ
ーテル類縁体と置き換えた場合に、DPPC−TP混合
物には酸銹発性の胃損傷に対する保護作用が存在してい
ることを示すものである(チャレンジ前2時間に投与)
略KM : T P E = )リパルミチン・エーテ
ル、DPPCE=ジパルミトイルホスファチジルコリン
φエーテル。
第12図−コレスチロール(cH)を等モル量の植物ス
テロールβ−シトステロールと置キ換えた場合の、不飽
和リン脂質、ステロールおよびトリグリセリドの混合物
(具体的にはPCe: Cl−1+To)の保護作用を
示すものである。
第13図−リン脂質誘発性の表面張力低下の動力学に対
する中性脂質の作用を示すものである。
全脂質100μgを水性リポソームまたはコロイド状懸
濁剤として、0時にラングミュア・トルソ(Langa
uir Trough)(表面積= 315cm+”)
に入れた生理食塩水425村中に投与した。
第14図−生理食塩水浴の気/液界面におけるリン脂質
単層を負に帯電したスライドガラスに移動させるために
使用する方法の模式図である。
この移動法により、接触角分析によって証明されるよう
にスライドガラスの疎水性が増大される。
第15図−スライドガラスの表面疎水性(接触角)の増
大をリン脂質が誘起する動力学に対する中性脂質の効果
を示すものである。全脂1100μgを水性リポソーム
またはコロイド状懸濁剤として0時に投与した。
第16図−既述したような表面張力および接触角分析に
よって決定されるように、脂質(DPPC):中性脂質
(TP)の比率は投与10分後の表面吸着に対する触媒
効果にとって重要であることを示すものである。全脂質
20μgを水性リポソームまたはコロイド状懸濁剤とし
て0時に投与した。
第17図−リン11I質によって誘起される生理食塩水
の表面張力低下の動力学に対する中性脂質の効果を示す
ものである。全脂質100μgyt水性リポソームまた
はコロイド状懸濁剤として0時に投与した。
第18図−不飽和リン脂質およびステロールの混合物(
P Ce+ Chol)によって誘起されるスライドガ
ラスの表面疎水性(接触角〉の増加の動力学に対する中
性脂質(すなわちTo)の効果を示すものである。全脂
質100μgを水性リポソームまたはコロイド状懸濁剤
として0時に投与した。
第19図−0,75N塩酸をチャレンジした成熟マウス
に対する、琥珀色のボトル中、4°Cで、ある期間保存
した脂質混合物の予防作用を示すものである。
第20図−0,7!5N塩酸をチャレンジした成熟マウ
スに対する、室温で、ある期間保存した脂質混合物の凍
結乾燥品における予防作用を示すものである。
■、序 論 本発明者による最近の研究により、肺の体液中に見いだ
されるリン脂質の多(は、食道から結腸に至る胃腸管全
体にわたっても見いだされることが示唆された。これら
のリン脂質は、消化性および吸収性上皮と管腔内容物と
を隔てる粘膜表面上に集中しているようである。リン脂
質の機能的な重要性は、肺について非常に詳細に研究さ
れている。現在、リン脂質濃度の高い肺表面活性物質は
肺胞レベルの表面張力を最少にするという生命維持に必
要な役割を担っており、これにより肺胞が呼吸サイクル
全体にわたって開放された(オーブンの)状態を維持で
きると認識されている。
表面活性物質の表面特性はさらに、血液由来の細胞外液
が細胞外空間へ移動することを減少させる役割を担って
いるという、幾つかの証拠がある。
おそらくはこの特性に関連しているのであろうが、本発
明者は最近、表面活性物質が、物・質表面を処置するの
に使用される市販の防水加工剤と異なることなく、生物
学的組織を非水和性にすることを見いだした。この作用
によって、組織には水分子に対してその表面を耐透過性
にする疎水性内層が提供される。
初期の実験により、特定の天然および合成リン脂質が管
腔内層の疎水性を維持させ、かつ潰瘍誘発性化合物の不
都合な作用をある程度減退させ得ることが見いだされて
いた[たとえば、リヒテンベルガ−(Lichtenb
erger)らの5cience、 219:1327
(1983)、ブトラー(But 1er)らのAm、
 J、 Physiol、 、 244:G645、ヒ
ルズ(Hills)らのA+a、 J、 Physio
l、 、刈:G562(1983)、ディル(Dail
)らのGastroenterology、 67:3
79(1984)を参照のことコ。しかし、これらリン
脂質懸濁剤の保護効能は実験毎に種々異なり、あっても
−時的なものであった。
さらに実験を行うことにより、ステロールおよび/また
はトリグリセリドなどの中性脂質を含有するリン脂質混
合物は、化学的および突発性の胃腸潰瘍形成から、管腔
内層を即効的に、持続的に、そして非常に安定して保護
し得ることが見いだされた。たとえば、以下で詳細に記
載する実験に基づく知見により、不飽和リン脂質および
コレステロールを種々の比率で含有してなる混合物は、
酸−誘発性の潰瘍形成から顕著に保護できることが証明
された。この保護は、自身は殆ど、またはまったく作用
を示さない不飽和リン脂質単独で得られる保護作用より
も、驚くほどに優れていることが見いだされている。さ
らに、この保護効果は、該混合物に飽和または不飽和い
ずれかのトリグリセリドを添加すると、さらに増大され
る。飽和リン脂質を飽和トリグリセリドともに含有する
よう製剤化された組成物は、最も有効な保護を与えるこ
とが見いだされている。
しかし、奇妙なことには、飽和リン脂質を不飽和トリグ
リセリドと共に含有するよう製剤化された組成物では、
保護活性の増大度は比較すれば非常に小さかった。さら
に、飽和リン脂質単独の活性は、化学量論量のステロー
ルを混合物に添加することにより、完全に破壊される。
これとは対照的に、不飽和リン脂質は単独では、殆どま
たはまったく保護効果を示さず、明らかにコレステロー
ルなどのステロールを添加する必要がある。極性および
非極性脂質量におけるこのような分子特異性の理由は明
らかでないが、飽和リン脂質および飽和トリグリセリド
は相互に堅くバッキング(pack)し、コンパクトか
つ安定な疎水層、を形成することに一部由来するのかも
しれない。さらに、該混合物にコレステロールまたは不
飽和トリグリセリドを添加することにより、この組織体
レベルは破壊される。これとは対照的に、不飽和リン脂
質は、その非直鎖状の脂肪酸側鎖により、相互にバッキ
ングせず、混合物にコレステロールおよびトリグリセリ
ドを添加することにより疎水性の層の分子収縮と安定性
が増大される。本発明者は、リン脂質の気/液界面への
移動は特定のトリグリセリドを混合物に加えることによ
って橋めて増大される(50−30倍)ことの証拠も有
している。
本発明の目的物たる脂質は、植物および動物供給源から
抽出することができる天然に存在する物質であってよく
、または既知の様々な方法によって合成することができ
る。さらに、はとんどの脂質は、多様な種類の石鹸、医
薬調製物、および生化学的研究の材料の出発物質として
市販されている。
経口投与するには、本発明の化合物を実質的に純粋な未
希釈の状態で、幼児用処方への補助剤、またはカプセル
剤、リポソーム担体、微小エマルジョン、エアロゾルス
プレー、分散剤、水性懸濁剤もしくは溶液剤などの種々
の医薬単位剤形にして投与すればよい。通常、経口投与
は消化性潰瘍疾患の処置で指示されている経路から行う
ものである点に鑑み、このような適用にとって好ましい
組成物は、リン脂質および関連する中性脂質のコロイド
状、微小エマルジョン、混合ミセル、またはリポソーム
懸濁剤である。さらに、これら懸濁剤は、浣腸による腸
下部への適用などの他の経路から、または腸への直接的
注入により、同様に適用することができる。
以下述べる理論に限定する意図はないが、本発明は、正
の末端電位を有する双性イオン性のリン脂質が胃腸管の
負に帯電した表面膜または粘膜内層を攻撃するという原
理に基づくものである。これらの分子は、長い炭化水素
の鎖が管腔内で外側方向に伸びるように配向する。この
結果、組織に均一な疎水性の層が形成され゛、親水性の
障害因子が透過できなくなる。これは、水溶性の障害因
子(たとえば、酸、微生物毒、タンパク質分解酵素)が
組織と接触するのを防ぎ、損傷から組織を保護する。炭
化水素の側鎖が、たと九ばシス不飽和結合の存在により
一直線でない場合、分子のバッキングを促進させるため
、コレステロールまたは他の化学的な関連ステロールが
必要であると考えられる。あるいは、ステロール分子は
炭化水素層の峠水性を高めると考えられる。この層の厚
さと安定性は、伸びた脂肪酸側鎖との疎水結合に基づい
て吸着リン脂質(およびコレステロール)層の管腔面を
被覆することができるトリグリセリドを混合物に添加す
ることにより、実質的に増大させることができる。
既述してきたように、グリセリドまたはステロール形態
の中性脂質をリン脂質組成物に添加すると、明らかに管
腔内層との上記の相互作用が安定化され、その表面沈着
性が促進されると考えられる。この安定効果は、たとえ
ばリン脂質のみを含有する組成物を上回る中性脂質含有
組成物の抗潰瘍的保護の効能および強度の増大と、活性
時間の増大との両者によって最も容易に証明される。こ
こでも、その機序は明らかでない。他の説明として、帯
電した脂質(すなわち、双イオン性のリン脂質)の懸濁
剤に中性脂質を添加すれば、明らかに問題の表面への懸
濁剤由来の脂質複合体沈澱物の沈着性が高められる知見
に基づくとするものである。したがって、中性脂質を含
有するリン脂質懸濁剤は、リン脂質単独よりも迅速に、
かつ高い程度で生物学的表面を彼lすることができる。
本発明の実施に当たり、本発明者は、合成または天然の
リン脂質で前処理した胃粘膜は、管腔の酸に対して実際
上化学的に耐性であることを見いだした。この特性は、
リン脂質で前処理したラットが、塩酸の強い溶液で直接
チャレンジした後の激しい胃粘膜障害に耐え抜いたとい
う観察から、インビボにおいて最も劇的に立証された。
これとは対照的に、生理食塩水で処理したラッI・では
重篤な胃の麿爛および出直が生じた。インビトロ輸送試
験では、酸(Ho)の拡散は、未処置の組織を通過する
よりも管腔のリン脂質表面活性物質にさらされた冑の粘
膜を通過するほうがより緩徐であることが証明された。
同様に、リン脂質(および/またはステロール)および
トリグリセリドの特定の混合物は、ストレス潰瘍、胃内
エタ/−ル、胆汁酸およびアスピリンなどの多くの他の
潰瘍形成条件からラットを保護した。
肺胞の表面力(sur4aee forces)を最小
にすることにおける肺の表面活性物質の重要な役割は長
く認識されてきた。しかし、上記リン脂質単独の最良の
表面活性を利用する表面活性物質置換療法は、限定され
た治療価値しか示さないことが示唆されている[イケガ
ミ(Ikegami)らのPed iat、 Res、
 11 :178−182(1977)、フジワラ(F
uj iwara)らのIRC8Med。
Sci、 7:311(1979)、メバン(Meba
n、 C,)のPediat、 Res、 15:10
29−1031(f981)を参照のこと]。気管内注
入投与する、これら脂質の中で最も優れた、かつ高い表
面活性を有するジパルミトイル・ホスファチジルフリン
(DPPC)は、表面活性物質置換療法で使用される特
異的な表面活性脂質である。DPPC単独による処置は
、気一体液界面における吸着の速度が遅く、また投与投
数時間は表面張力の低下能が低いために、それを単独で
使用する治療価値は高くないようである(前述)。
表面活性物質の吸着は複雑な現象である。多くの因子が
吸着速度に影響を与える。たとえば、2つまたはそれ以
上の表面活性物質のいずれの分子が溶液の自由表面に蓄
積するかは、活性物質の濃度、活性物質の両親媒性およ
びそれらの基(側鎖)の分離、活性物質間の分子相互作
用の性質、溶液の拡散係数、ならびに温度に主として依
存していることが示されている[ダイビス(j、 Da
vies)およびリディール(K、 E、 Ridea
l)のInter Paciai Phen。
mena(19fL()、モイリエット(J、 L、 
Mo1lliet)、コリー(B、 Co11ie)お
よびブラック(W、 Black)の5urfaceA
ct 1vity(1961)を参照のこと]。
特定の中性リン脂質およびウシの肝性浄液の粗製の脂質
抽出物を用いた、脂質、具体的にはジパルミトイル・ホ
スファチジルコリンの表面吸着の動態に関する初期の研
究では、DPPCの吸着速度は他の脂質またはタンパク
質の添加によって増強させ得ることが示唆された。たと
えば、ジパルミトイル拳ホスファチジルグリセロール、
ホスファチジルイノシトール、血清高密度リポタンパク
質、または表面活性アポタンパク質のいずれかをジパル
ミトイル・ホスファチジルコリン(DPPC)に添加す
ることにより、DPPCの吸着時間が顕著に減じられる
ことが示された[メバン(Meban、 C,)のPe
diatr、 Res、 150:1029−1031
(1981)]。たとえば、吸着時間は、DPPC単独
の91.8±8.3分から、1.1±0.2分(+ジパ
ルミトイル・ホスファチジルグリセロール)、2.8±
0.4分(+ホスファチジルイノシトール)、1.0±
0.2分(+mm嵩高密度リポタンパク質、および0.
9±0.1分(+表面活性アポタンパク質)にそれぞれ
減少した。
しかし、表面張力の最大レベルの減少は、これら同一の
物質をDPPCに添加することによっては影響されなか
った(それぞれ35.8±2.7.34.9±2.4.
35.8±2.6および34.5±2.7 dynes
/amの、吸着したフィルムの最大表面圧(sN/M)
は、DPPC単独の35.6±2.6と同等であった)
さらなる実験により、中性脂質、たとえばステロールお
よび/またはトリグリセリドと共にリン脂質を含有する
混合物は理論通り、肺胞内層に、増大した表面疎水性お
よび劇的に加速された表面活性脂質の吸着速度を付与す
ることが見いだされた。これらの混合物によって表面張
力も最大に減少される。たとえば、以下で詳細に説明す
る実験の知見は、飽和リン脂質およびトリグリセリドを
種々の比率で含有する混合物が表面張力の低下速度を速
め、そして脂質の増大した表面吸着を介して疎水性を増
大させ得ることを示すものである。
これらの吸着速度と低下された表面張力とは、それ自身
では治療価値が殆ど無いか、またはまったく無い表面活
性脂質の単独で得られる値よりも優れていることが見い
だされた。さらに、不飽和リン脂質(PCe)における
これら表面張力の低下作用および吸着の速度は、混合物
にコレステロールなどのステロールを添加することによ
り増大される。トリグリセリド(すなわちTo)および
ステロールと共に特定の不飽和リン脂質を含有するよう
製剤化された組成物は、最も急速な吸着の動態を示すこ
とが見いだされている。
気管内投与するには、本発明組成物は、生理食塩水また
は他の生理学的に許容され得る希釈剤中の懸濁剤として
、または凍結乾燥粉末品として投与すればよい。気管内
投与は通常、呼吸困難症の処置のために必要とされる経
路である点から、このような適用にとって好ましい組成
物は、特定の飽和もしくは不飽和リン脂質および関連す
る中性脂1tの微小エマルジョン、またはコロイド状懸
濁剤である。対象の気管内の管にこのような液体または
粉末滴下物を注入した後、麻酔イヌの肺へ100%酸素
を吹き込む。さらに、本発明の組成物は、生物学的表面
の表面活性物質が枯渇する他の疾患の処置、たとえば耳
炎および眼疾患の処置に使用することができる。許容さ
れ得る希釈剤中にある化合物の懸濁剤はさらに、種々の
工業的用途を有する本発明組成物を創製するために使用
することができ、したがって生理学的希釈剤中で製造す
る必要はない。たとえば、海洋において漏出した油を回
収するための触媒における工業的表面活性物質として使
用するために本発明組成物を調製するには、水は、許容
され得る希釈剤として使用することができる。これらの
組成物は、極性脂質を気/液界面に急速に沈着させる必
要があるいかなる場合にも使用することができる。
既述しているように、リン脂質組成物に、トリグリセリ
ドまたはステロール形態の中性脂質を添加すれば、組成
物と界面表面との相互作用は明らかに安定化されると考
えられる。この安定化効果は、たとえばリン脂質のみを
含有する組成物によって得られる効果を上回る、表面張
力の最大減少および表面活性脂質の吸着速度の加速化(
表面の疎水性の増大によって示される)の両者により最
も容易に証明される。中性脂質および/またはステロー
ルがリン脂質の吸着作用を増大させる機序は、明らかで
ないままである。
この現象を研究するため、本発明者は、ラングミュア(
Langmu ir)によって最初に開発された力学的
圧縮法(dynamic eompression)に
よる表面圧の分析方法を利用した[All1. Che
m−Soc、 38:2221−2295(1916)
]。インビトロ輸送試験により、リン脂質混合物にトリ
グリセリド(すなわち、TP)を添加すれば表面活性分
子の気/液界面への吸着速度が顕著に加速されることが
見いだされ、それは、DPPC単独投与の24時間後に
得られた値と比較した場合、投与後最初の5分以内で表
面張力をそれよりも低下させる程である。好ましい態様
では、不飽和ホスファチジルコリンおよび不飽和トリグ
リセリドの混合物にコレステロールなどのステロールを
添加し、それにより、表面活性脂質の気/液界面への吸
着を顕著に速め、そして表面張力を最大も減少させる。
■、脂質化合物の説明 既述のように、本発明は、潰瘍形成を阻害し、または遅
延させるのに有用である独特の抗−潰瘍組成物に製剤化
された、一般には電荷を帯びた中性脂質、より具体的に
は、リン脂質、ステロール、およびトリグリセリドに関
するものである。これらの組成物はさらに呼吸困難症を
処置、またはその発病率を減少させるためにも有用であ
り、一般に表面活性物質置換用組成物として有用である
本発明のリン脂質およびトリグリセリドは一般に、その
脂肪族置換分の性質、すなわち飽和型か不飽和型かのい
ずれかによって2つのカテゴリーに分頌される。
本明細書で使用している飽和リン脂質またはトノグリセ
リドは、すべての脂肪族置換分が飽和型であり、したが
ってC=C二重結合を含有していないものを意味する。
他方、不飽和リン脂質は、1つまたはそれ以上のC−C
二重結合を含有するものとして定義される不飽和脂肪族
置換分を、少なくとも1つ有するトリグリセリドを意味
する。
本発明のリン脂質は一般に式: %式% [式中、R1およびRtは、炭素原子数8から32個の
飽和または不飽和置換分であり、R3はHまたはCH,
であり、 XはHまたはC0OHであり、 R4は=0またはトI、である] で示される。
当業者ならば理解できるであろうが、上記の化学構造は
双性イオン性りン脂質の構造を表すものであり、ホスフ
ァチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホ
スファチジルセリン、および他の種々の双性イオン性リ
ン脂質など、広範なリン脂質を包含する一方、これらに
限定されるものでない。問題のリン脂質にエステルまた
はエーテル結合することのできる飽和および不飽和脂肪
酸の基を、以下の第1表に一覧にして示す。しかし、こ
の−覧表は有用なリン脂質をすべて挙げることを目的と
しておらず、それらは簡便性のため、および本発明者の
好ましい態様を説明するためのものであると理解すべき
である。
本発明を実施する上で特に有用であると見いだすしてい
るリン脂質化合物は、ジリノレオイル・ホスファチジル
コリン(DLL−PC)、シバルミドイツ匹ホスファチ
ジルコリン(DPPC)、および卵ホスファチジルコリ
ン(卵−PCまたはPCe)である。飽和リン脂質であ
るDPPCでは、飽和脂肪族置換分R1およびR’ 1
icHa−(ellり、4テあり、R3はCH,であり
、モしてXはHである。
不飽和リン脂質のDLL−PCでは、R1およびR3は
C1,−(c)I、)、−C)[=C夏1−CHt−C
H=CH−(c11t>tであり、R2はCH,であり
、そしてXはHである。
不飽和リン脂質の混合物である卵PCでは、R1は飽和
脂肪族置換分(たとえば、バルミチン酸またはステアリ
ン酸)を主として含有するものであり、モしてR宜は主
に不飽和脂肪族置換分くたとえば、オレイン酸またはア
ラキドン酸)である。
本発明のステロール化合物は一般に式:1式中、ステロ
ールは、ベルヒドロシクロペンタノフェナントレン環に
0個、1個または多くの二重結合を含有し、R1はH,
O(ケトン)、またはOHのいずれかであり、R鵞、R
3およびR4はHまたはCHaのいずれかであり、モし
てR5は長さ1から14個の炭素原子数の(直鎖状また
は分枝鎖状)脂肪族鎖である] で示される。
この構造式に包含される最も普通のステロールであって
、本明細書に記載している種々のステロール含有組成物
の製造にとって好ましいものは、コレステロールである
。コレステロールは、それが容易に入手できること、廉
価なこと、および毒性または生物学的/ホルモン活性を
比較的太いていることから、通常は好ましいステロール
である。
しかし、要すれば、たとえばβ−シトステロール、カン
ペステロール、およびデスモステロールなど、上記一般
式で示される他のステロールも使用スルことができる。
本発明のトリグリセリドは一般に式: %式% [式中、R’、R−およびR3はそれぞれ4から32個
の炭素原子数を有する飽和または不飽和脂肪酸であり 
R4は二〇またはH8のいずれかである] で示される。
この構造式は飽和および不飽和のトリグリセリドの両者
を広範に包含しており、それにはたとえばトリパルミチ
ン(飽和)、トリオレイン、およびトリオレイン(これ
ら共に不飽和)などのトリグリセリドがある。問題のト
リグリセリドにエステルまたはエーテル結合することの
できる飽和および不飽和脂肪酸を、以下の第1表に一覧
にして示す。しかし、この表は聞便性のためにのみ記載
するのであり、種々の有用なトリグリセリドを示すだけ
であって、包括的な表を意図するものではない。
第1表 リン脂質およびトリグリセリドとエステル化できる脂肪
酸へ、飽和脂肪酸 n−酪酸(ブタン酸) ロー吉草酸(ペンタン酸) カプロン酸 (ヘキソ酸、ヘキサン酸) エナント酸(ヘプタン酸) カプリル@(オクタン酸) ペラルゴン酸(ノナン酸) カプリン酸(デカン酸) ステアリン酸(オクタデカン酸) ノンデシル酸(ノナデカン酸) アラ牛ン酸(エイコサン酸) ヘネイコサン酸 ベヘン酸(ドフサン酸) トリコサン酸 リグ/セリン酸(テトラコサン酸) ウンデシル酸くヘンデカン酸) ラウリン酸(ドデカン酸) トリデシル(tridecylic)酸(トリデカン酸
) ミリスチン酸(テトラデカン酸) ペンタデシル酸(ペンタデカン酸) パルミチン酸(ヘキサデカン酸) マルがリン酸(ヘプタデカン酸) B、不飽和脂肪酸 トランス−クロトン酸 (トランス−ブテン酸) イソ−クロトン酸(シス−ブテン酸) Δ3−ヘキセン酸 Δ4−デセン酸(オブツシル酸) へ〇−デセン酸 Δ4−ドデセン酸(リンデル酸) ペンタコサン酸 セロチン酸(ヘキサコサン酸) ヘプタコサン酸 モンタン酸(オフタフサン酸) ノナコサン酸 メリシン酸くトリアコンタン酸) ラクセロン酸(トドリアコンクン酸) Δ −エイフセン酸 セラレイン酸(Δ11−トコセン酸) エルカ酸(シスーΔ1!−トコセン酸)ブラシジン酸 (トランス−Δ13−トコセン酸) セラコレイン(selacholctc)酸くネルボン
(nervonic)酸、 シスーΔ′6−チトラコセン酸) キンメニン酸 (Δ1?−へキサジエン酸) Δゝ−ドデセン酸(ラウロレイン酸) Δ魯−ドデセン酸 Δ4−テトラデセン酸 (ツヅイン(tsuzuic)酸) Δゝ−テトラデセン酸 (フィセテリン酸) Δ・−テトラデセン酸 (ミリストレイン酸) Δ0−へキサデセン酸 (パルミトレイン酸) シスーΔ1−オクタデセン酸 くペトロセリン酸) ソルビン酸 (Δ1−一へキサジエン酸) リルン酸(シス−シス− Δ1・I−オククデカジエン酸) ヒラボン酸(Δ6・11I、+4− へキサデカトリエン酸) α−エレオステアリン酸 (シス−Δ1・11.!1− オクタデカトリエン酸) β−エレオステアリン酸 (トランス−Δ1・■−3= オクタデカトリエン酸) す/レン酸(Δ0・+1−5−オクタ デカトリエン酸 ステアリドン酸くモロクチン(moroct ic)酸
、Δ4・0・11・1′−オククデカトレトラエン酸 オレイン酸 (シスーΔ1−オクタデセン酸) エライジン酸 (トランス−Δ6−オクタデセン酸) チン/トン酸(Δ4・8・目・+5・−8エイコサベン
クエン酸) アラキドン酸(Δ5−・11,14 エイーサテトラエン酸) トランス−バクセン(vaccenic)酸  タルパ
ノドン酸(Δ4−・1″・1B・11I−(トランス−
Δ11−オクタデセン酸)  ドコサベンクエン酸)シ
ス−バクセン酸         ニシン酸(Δ4−・
1・1″・1@−(ンスーΔ目−オクタデセン酸) テトラコサへキサエン酸) Δ目−オクタデセン酸       チンコン(thy
nnic)酸(ヘキサコサへキサエン酸) ガドレン(gadoleic)酸 (Δ9−エイコセン酸) ■、抗−潰瘍性組成物の製剤化および投与上述のように
、リン脂質含有組成物のすべてが該組成物を特に製薬的
に有用にする適度な効能を必ずしも有しているとは限ら
ないことが見いだされた。膨大な実験により、本発明者
は、飽和リン脂質、たとえばDPPCが抗潰瘍または癌
の予防効果を単独である程度示す一方で、飽和リン脂質
含有組成物にトリグリセリド(好ましくは飽和型)を添
加すると、それらの活性が驚くほど予想外に改善される
ことを決定した。
これとは反対に、不飽和リン脂質、たとえば卵PCまた
はDLL−PCのみを含有する組成物は、実際上単独で
は抗潰瘍活性を示さない。しかし、コレステロールなど
のステロールを添加すると、驚くことに、このような組
成物は極めて活性なものになる。さらに、特定のトリグ
リセリド(飽和または不飽和のいずれであってもよい)
を添加すると、不飽和リン脂質/ステロール組成物の活
性をさらに増大させることができる。
さらに興味深いことに、使用するステロールがステロー
ル部のA環のOH基の代わりにその3位において脂肪族
エステルを含有する場合、不飽和jン脂質/ステロール
組成物の活性は喪失することを見いだした。
種々の抗潰瘍性組成物の製剤化方法は、特に重要なもの
とは思われない。既述のように、保護効果はたとえば、
選択した管腔表面に脂質を単に直接投与することによっ
て得ることかできる。しかし、殆どの適用に際しては、
製薬的に許容され得る水性希釈剤中の選択した組成物の
コロイド状またはリポソーム状懸濁剤として脂質を提供
することが一般に望ましい。実質的にあらゆる製薬上許
容され得る水性希釈剤が使用できるが、たとえば等偏性
生理食塩水の形態にある特定レベルの塩が顕著な抗−潰
瘍活性を有していることが見いだされている。さらに、
少量の重金属(または他の多価陽イオン)、または遊離
ラジカルを捕獲することができる酸化防止性化学物質を
希釈剤に添加してもよく、それにより抗−潰瘍性の効能
、安定性、および管腔−被覆効率の高まった脂質組成物
を得ることができる。
コロイド状懸濁剤は、水性懸濁剤の各最終のミノリット
ルに対して全脂質約0.5から20gの濃度として通常
製剤化し、またはより好ましくは約1から約3次g/x
ρとする。個々の方法は重要でないが、選択した重量の
脂質成分を適当な容器内に入れ、それをクロロホルムま
たはエーテルに溶解するのが好ましい。この方法では、
既知の量の選択脂質または脂質混合物を含有する試料を
混合用容器に加光ればよい。溶液になったら、窒素流の
雰囲気下にクロロホルムまたはエーテルを留去し、脂質
が所望の最終濃度になるよう適当な割合で既知量の希釈
剤をその容器に加える。次いで、得られた全混合物を数
分間旋回、または音波処理しくl温度は脂質の転移温度
、およびそれ以上である。一般には4°C−50℃であ
る。)、最終的コロイド状懸濁剤を得る。
上記の水性脂質懸濁剤は、4°Cまたは室温のいずれか
で琥珀色容器(遮光容器)中で保存した場合、数カ月に
わたって安定であり、自身の胃保護活性を保持すると決
定された。さらに、製剤化脂質懸濁剤は凍結乾燥して粉
末とすることができ、これは、使用前に所望の希釈剤中
に単に再懸濁するか、または粉末剤、カプセル剤もしく
は錠剤として直接投与することができる。本発明者は、
脂質混合物の活性は凍結乾燥時にほとんど喪失せず、脂
質混合物を粉末として気管内投与すれば、RDSおよび
関連する呼吸疾患を処置する上で顕著な利点を有し得る
、という証拠を有している。
上述の製剤化方法はある特定の態様では、当業界におい
てリポソームの調製に使用されている方法に類似するこ
とは理解できるであろう。しかし、本発明の方法にした
がって有用な脂質組成物を得るために、リポソームを調
製する必要はない。たとえば、破壊もしくは凝集したリ
ポソーム、または非−リポソームのコロイド状分散剤は
、少なくとも無傷のリポソームと同等に有効であること
は明らかである。本発明の組成物はさらに、微小エマル
ジョンの形態をとることができる。これは特に、組成物
中、リン脂質に対して比率的に中性脂質が優位を占めた
場合に当てはまる。
しかし、本発明にしたがって有用な脂質組成物を得るに
は、リポソームを調製する必要がないことを強調してお
く。たとえば、破壊もしくは凝集したリポソーム、また
は非−リポソームの分散剤は少なくとも無傷のリポソー
ムと同等に有効であると思われる。さらに、不飽和リン
脂質を含有する組成物を除いて、ステロールをその製剤
中に含有させるべきでない。したがって、飽和トリグリ
セリドを含有する混合物では音波処理するのが好ましい
か、混合物を単に旋回させる、またはそれ以外の同様に
撹拌する方法で十分である。トリグJセリドの存在下で
は、脂質懸濁剤は、表面にt平かぶ分画、懸濁剤中に存
在する別の分画、および底に沈澱する3番目の分画に容
易に分離することも注意すべきである。このことは、脂
質が、高密度の多重ラメラ小胞、リポソーム、脂質凝集
体、混合ミセル、安定な脂肪小球、微小エマルジョン、
または脂質シートなどの多くの対照的な物理構造体を形
成していることを示唆している。これらの物理的形態の
すべてが、電子顕微鏡検査によって懸濁剤中に観察され
た。これらの物理的形!舌の殆どは古典的なリポソーム
構造体を取り得ると考えられるので、管腔間隙を殆ど、
またはまった<YTしていないであろう。しかし、これ
らの:A製物は一般に、形成される脂質の構造とは無関
係に同パダの高い活性を示す。
使用する個々の製造方法または得られる懸濁剤の種類に
関係なく、十分…1の脂質を所望の組織または管腔表面
を適度に被覆するよう投与する。
股には、冑への経口適用については、個々の脂質混合物
および処置する疾患の重篤度に応じて1回適用当たり脂
質0.1から1. Omg / l!!4濁剤fN(2
5屑Qから500uCを投与することによって十分な被
覆が得られる。しかし、認識できるように、当該製剤の
投与は、毒性の問題によって特に限定を受けないことが
分かる。
本発明の製剤は、胃潰瘍疾患を処置または予防する上で
有用であることに加え、胃腸管の管腔内層、特に正常に
機能するために無傷の疎水性バリアーに依存している胃
腸管におけるあらゆる潰瘍性および退縮性過程の領域を
処置する上で有用であることは明らかであると考えられ
る。表面の疎水性を測定する接触角法によって測定する
と[ヒルズ(llills)らのAm、 J、 Phy
siol、 、 244:0561(1983)]、胃
腸管腔の長い拡張部、たとえば腸管下部、胃、および食
道は、天然でまさに疎水性であることが見いだされた。
したがって、このような疎水性領域、およびこのような
領域に影響を与える退縮性過程はすべて、本発明にした
がって有益な治療を行える候補となる。さらに、壊死性
全腸炎および炎症性腸疾患(たとえば、潰瘍性腸炎およ
びクローンズ疾患)などの特定の潰瘍性過程は疎水性処
置に反応し易いと考えられる。
他の1咳補には、食道の炎症(食道炎)などの炎症過程
がある。多くの炎症過程は影響を受けた組織の疎水性の
低下に付随されることが見いだされている。この疎水性
は基本をなす上皮を損傷、感染および炎症から保護する
役目を担っていると予測されるので、本発明の製剤を適
用して該組織の表面の疎水性を維持することによって、
保護バリアーが強化されると考えられる。
関連する他の適用法には、表皮、膣または角膜の上皮に
、これら個々の組織の炎症または潰瘍を処置する方法の
ようにして適用することがある。
さらに、膀胱の高い水の非透過性および疎水性、ならび
にこれらの性質を減少させれば膀胱を前もって感染させ
ることができるという事実に鑑み、本発明の製剤は膀胱
の感染を処置、または予防する上で有益であることは明
白であると考えられる。
■ 抗−潰瘍組成物の好ましい態様を説明する実施例 以下の実施例は、本発明の好ましい態様を説明するため
に本明細書に記載した代表的な実験を説明するものであ
る。殆どの実験は、種々の脂質調製物と生理食塩水であ
る対照との潰瘍保護効能を比較するよう設計した実験系
で行った。この実験系では、特に断らない限り、1.O
N塩酸または100%エタノール17Qで胃内チャレン
ジする2時間前に、ラットを一般には全脂質濃度33−
5p/rp(lの脂質試験溶液1mgで胃内処置した。
1時間後にラットを殺し、その時点の化学物質チャレン
ジに起因する損傷長さを単一盲検法または二重盲検法に
よって1ltll定した。
したがって、これらの実験により、種々の潰1自保護組
成物の活性を直接比較するモデルが得られ、さらにそれ
らの相対的潰瘍保護効能およびヒトにおける投与量を決
定するための妥当な基礎を築くことができる。これに加
え、ある一連の実験を包含させ、本発明の組成物か潰瘍
形成チャレンジに対する管腔内層の疎水性を維持させる
維持能を証明する。これにより、本発明の組成物におけ
る潰瘍−保護と伸水性−維持活性との相関関係が容易に
知れる。
以下の実験では、脂質懸濁剤を製造するために下記のプ
ロトコールを使用した。選択したリン脂質、トリグリセ
リドおよび/またはステロールの重量をネジ式キャップ
試験管中で測定し、次いでクロロホルム約5rx(lに
溶解した。次ぎに、窒素ガス流の存在下に室温でクロロ
ホルムを留去した。
選択した最終濃度が得られる十分な量の、蒸留水中0.
86%NaCQの溶液(p H7,0)を加えた。
飽和リン脂質と飽和トリグリセリドとの混合物(たとえ
ば、−DPPC+TP)、および不飽和リン脂質子ステ
ロール+飽和トリグリセリド(たとえば、−DLL−P
C=Chol+TP)のah物について、室温で15分
間音波処理した。また、不飽和リン脂質+ステロール+
不飽和トリグリセリド(たとえば、−PCe+Chol
+TO)の組成物について、室温で2分間腕回した。さ
らに、トリグリセリドを含有する脂質混合物については
、撹拌する前に、窒素雰囲気下で栓をした。
上記の3つの基本的な脂質組成態様か、1ON塩酸、1
00%エタノールおよび10%酢酸(後者は浣腸によっ
て結腸上皮に投与する)の3つの潰瘍形成物質のいずれ
か1つを使用する潰瘍形成チャレンジに対し、管腔内層
の疎水性を維持させる維持能を比較検討するために、接
触角試験を使用した。この試験は、ラットの酸分泌性(
または結腸)組織を使用する以外は、基本的にはヒルズ
[八m、 J、 Physiol、 、 224:G5
61(1983)]に記載されているように行った。接
触角試験は、水性液の滴と非水和性表面との間に対する
接触角によりその表面の疎水性の程度を直接評価できる
という、知見に依存するものである。
疎水性は、液が表面に均一に広がる傾向でな(、表面に
ビーズ(玉)を形成する傾向によって特性化される。こ
の現象の定量的指数は、接触角を測定することによって
得られる。これは、固体、液体および気体が出会う三重
点(triple point)における固−液および
液−気界面間の角度である。この値は、完全に水和した
表面についての0°から、具体的にはテフロンなどの疎
水性表面に対しての水の108°のオーダーの値まで変
動し得る。
本実験では、げっ肉類動物の酸分泌性(または結腸)組
織(5815cm)を注意して切除し、平坦に延ばし、
胃内容物および粘液を穏やかに拭い去る。次いで、接触
角を測定するための標準的な実験である倒角度検査(ゴ
ニオメータ−)法における平坦な水平台に移す前に、粘
膜表面を生理食塩水で軽く洗浄した。過剰の洗浄液を穏
やかに濾紙などに吸い取って(プロットして)除去し、
得られた組織を25℃で5分間安定化させた。
接触角は基礎的な表面パラメーターであり、化粧品化学
者によってヒト皮膚上で普通に測定されている。その測
定の標準的な器具は、単色性光源、カメラ接合部、およ
び少量の生理食塩水を、処置したまたは対照組織表面の
いずれかに適用するためのマイクロメーター活性シリン
ジ[ローマ−バー) (Rome−Hart)100−
10]を備えたゴニオメータ−[ローマ−バー100−
00115型]である。通常の生理食塩水5μQを組織
の管腔表面に適用し、標準的な方法によって接触角を測
定した。
三重点と符号するよう視野の中心を調節し、次いで組織
−液界面と符号するよう一つの十字線を調節することに
より、他方の十字線から液−気界面に対するタンジェン
ト(jan)を得た。この2つの間の角度が接触角であ
り、接眼レンズを取り巻くスケールから直接的に読み取
ることができる。
三重点の倍率を上げれば(X25)、接触角を測定する
上で観測者は組織の不規則性が許容できるようになる。
微小な不規則性の効果は、物理学者の間では議論の対象
にされているが、巨視的な値は依然として微視的な値を
良好に反映する。酸分泌性(またば結腸)の粘膜領域に
おける2つまたはそれ以上の他の部位の試料において同
規模で接触角の測定を行った。
実施例1 接触角試験 以下の第2表に示している結果について、3つの一般的
態様の脂質組成物を使用し、潰瘍誘発チャレンジに対す
るラットの酸分泌性組織の「接触角」(すなわち、疎水
性)を保護するそれらの保護能を証明した。これら典型
的な組合わせ物は、l)飽和リン脂質および飽和トリグ
リセリド(DPPC−TP)、2)不飽和リン脂質、ス
テロールおよび飽和トリグリセリド(DLL−PC−T
P)、ならひに3)不飽和リン脂質、ステロールおよび
不飽和トリグリセリド(PCeCH−To)からなるも
のである。
第2表で示しているように、2つの胃潰瘍誘発物質、エ
タノールおよび塩酸は、胃内投与後1時間で観察される
接触角を平均で約36°(対照−非処置)からそれぞれ
約8°および5°(対照−処置)に減少させることが見
いだされた。しかし、上記二3つの脂質組成物群のいず
れか1つで前処理を行うと、潰瘍誘発物質の効果を殆ど
完全に反転させた。
DPPC−TP処装は、疎水性康爛部に最も有効なバリ
アーを与え、DLL−PC−TPおよびpceCH−T
 Oは減少したバリアーであるが有効なバリアーを与え
た。
第2表 極性および非極性脂質の混合物による接触角a1の持続
性チャレンジ試験         前 処 理Ih 
 5oln   生理食塩水 PCeCH−TODLL
−PC−TP  DP!’C−TP生理食塩水  36
.2 土0.8 (対照) 3B、0   48.3   39.9±0.9   
±4.2  ±0.8 10o%EToH8,3”   25.51!   N
7   37.0宜寞±2.2   ±3.2    
      ±271.011塩酸    5.2寡 
 27.9富嵩  3o、9富嵩 380”±2.8 
  ±1.7   ±2.7  ±1.38)値は、前
処理の3時間後であってチャレンジの1時間後に殺して
測定した前接触角(度)の平均士SEMである。
略語: NT=試験せず; ETOH=エタノール: 
PCeCH−TO=卵ホスファチジルコリン+50M%
コレステロール(1屑g/RI2)十トリオレイン(4
xg/ rxQの混合物; DLL−PC−TP=ジリ
ノレオイル・ホスファチジルコリン+80M%コレステ
ロール(1xg/ x12) + トリバルミチン(1
0zg/好)の混合物;DPPC−TP=ジパルミトイ
ル・ホスファチジルコリン(l zg/za>+ トリ
バルミチン(4mg/ rxQ)の混合物。
寡=対照(生理食塩水での前処理、生理食塩水チャレン
ジ)の接触角値に対してp<0.05゜宜寡=生理食塩
水で前処理し、100%エタ/−ルまたはIN塩酸のい
ずれかでチャレンジしたラットの接触角に対してp<0
.05゜実施例2 損傷長さ試験 第1図は、潰瘍保護作用の指標として、損傷長さ試験シ
ステムにおけるその減少を使用する第1の一連の実験を
示している。この第1図の実験では、不飽和リン脂質で
ある卵PC(PCe)およびステロール(コレステロー
ル)の種々の組合わせ物における潰瘍保護活性を対照で
ある生理食塩水と比較した。この実験では、ラットをI
N塩酸1肩gでチャレンジする2時間前に、脂質溶液1
11Qを胃内投与した。1時間後、ラットを殺し、その
時点で、損傷スコアーを定量化した。
第1図から容易に知れるであろうが、PCeまたはコレ
ステロールはいずれもそれ自身、酸誘発性の胃損傷を保
護しないが、コレステロール60モル%から20モル%
の範囲(すなわち、PCe40モル%から80モル%)
のこれら活性物質の組合わせ物では、強力な、かつ予想
外の胃に対する保護作用を示すことが見いだされた。コ
レステロールおよびPCeの5.0150モル%の混合
物において、最大の損傷長さの減少である85%減少が
観察された。
第2図では、ジリノレオイル・ホスファチジルコリン(
DLL−PC)およびコレステロールを含有する組成物
を使用して上記と同様の実験を行った。この実験では、
同程度のモル%によりだいたい同様の活性が得られるこ
とが見いだされた。
しかし、この場合、最大の損傷長さ減少の85%の減少
は、DLL−PC20モル%およびコレステロール80
モル%の混合物を使用したときに観察された。
第3図は、第1図および第2図の実験によって得られた
最も好ましい組合わせ物の潰瘍保護作用の長期持続性を
説明するものである。ここでは、PCe+50%コレス
テロール、およびDLL−PC+SO%コレステロール
の両組合わせ物を酸チャレンジの2または4時間前のい
ずれに投与しようと、も、それらが共に保護活性を保持
することができることを証明した。さらに、PCe+5
0%コレステロールは、投与後6時間の時点でさえもい
くらか保護作用を付与していることが見いだされた。
第4図および第5図では、不飽和リン脂質/コレステロ
ールの組合わせ物の潰瘍保護効能が、トリグリセリドを
添加することにより驚くほどに増強されることが示され
ている。具体的には、第4図は、PCeおよび50モル
%コレステロール(PCeCH)のlag/i12組合
わせ物に10xg/x12までの不飽和トリグリセリド
のトリオレイン(TO)を加えると、その効能が顕著に
増大することを示している。1Mg/x(! PCeC
Hおよび4肩g/xQToの組合わせ物において、損傷
長さの最大の減少>90%が観察された。
第5図では、シリ/レオイルホスファチジルコリンおよ
び80モル%コレステロール(DLL−PC−CH)と
3つの異なるトリグリセリドそれぞれとの組合わせ物に
ついての、上記と同様の実験を示している。使用した2
つのトリグリセリド、トリオレイン(To)およびトリ
リフレイン(TL)は不飽和トリグリセリドであり、3
番目のトリバルミチン(TP)は飽和トリグリセリドで
ある。DLL−PC−CHをそのED、o量(lag/
xのを使用し、種々のトリグリセリドを10xg/x(
で加えた。第5図に示したデータから理解されるように
、トリバルミチンは最も有効なトリグリセリド添加物で
あることが見いだされ、観察されたその損傷長さの減少
は約〉95%であった。トリオレインは最も小さな効能
のトリグリセリド添加物であり、トリオレインはそれら
の間に位置する効能であることが見いだされた。
実施例3 ステロールのエステル(IJM 以下の第3表に示している一連の実験では、DLL−P
Cの潰瘍保護活性に対する、コレステロールの3位炭素
におけるエステル化の効果を試験した。一般に、得られ
た結果は、このタイプのコレステロールエステルは、D
LL−PCに胃潰瘍保護効果を何ら付与することができ
ないことを示している。
さらに、本発明者は、β−シトステロールは、本発明の
リン脂質組成物の保護効能を損失させることな(、その
組成物中のコレステロールと置換するのに使用すること
ができることを証明した。
たとえば、第12図は、不飽和リン脂質、ステロール、
および不飽和トリグリセリドの脂質混合物中、植物ステ
ロールのβ−シトステロールは酸誘発性損傷に対する保
護活性(酸チャレンジの2時間前に脂質混合物を投与)
は同等で、等モル量のコレステロールと容易に置換でき
ることを証明している。この結果は、アテローム硬化性
プラーク(athrosclerotic plaqu
es)の形成能が最小であるため、心臓血管の副作用が
最小である、β−シトステロールなどのステロールは、
上記混合物中に臨床的に使用できる望ましい代替ステロ
ールとなることができることを示唆している。
第3表 酸誘発性損傷1)に対するシリ/レオイル−ホスファチ
ジルコリン(DLL−PC)の脂質懸濁剤における胃保
護作用1こおよぼすコレステロールおよびコレステロー
ルエステル1)の効果前処理試験溶液 損傷スコア(対照群%) 生理食塩水 1(it      100    ±  94DLL
−PC+ コレステロール DL+、−pc+ コレステロール DLL−PC+ コレステロール アラキトネート ローブチレート 1± 1.7意 92.8±13 0±11.9 DLL−PC+              4   
 118 3±208コレステロールーリルエート DLL−PC+ コレステロール−オレエート DLL−PC+ コレステロール−パルミテート 83.8±13 74.8±12 a)7J[soM%でコレステロールまたはコレステロ
ールエステルを加えた(全脂”fl 濃It = 3 
m g/村)。
b)生理食塩水(対照)またはリポソーム試験溶液Lt
xQのいずれかで前処理した2時間後に、lN塩酸1y
Qを胃内投与することによって誘発した胃損傷。動物は
酸チャレンジの1時間後に殺した。
富一対照の損傷スコアーに対してp<0.05゜実施例
4 第6図では、飽和リン脂質であるDPPCを飽和トリグ
リセリドTPと共に含有する組成物の胃保護活性を示し
ている。D P PC(1mg/ml2)単独で損傷長
さを約10%減少させることができたことから、飽和リ
ン脂質単独でも若干の保護効果が観察されることは理解
されるであろう。しかし、種々の濃度の飽和トリグリセ
リドを添加することにより、DPPCの活性は極めて増
大された。4mg/だC、T Pと共に1肩g/ll1
12DPPCを含有する組成物により、最も顕著な効果
が観察され、その濃度では、対照の損傷長さの95%減
少よりも大きな減少が認められた。
一般に飽和リン脂質単独では第6図に示されているよう
に、保護効果を付与することはできないが、漸次増加量
のコレステロールを飽和リン脂質調製物に加えると、そ
れらの観察される活性は徐々に減少されることが見いだ
された。これらのデータを第7図に示す。具体的には、
DPPCの3xg/xQ調製物(ED、。用量)にコレ
ステロールを20モル%以上の比率で加えた場合、DP
PCの保護活性は消失した。したがって、このことは、
飽和リン脂質を基礎とする脂質組成物にはコレステロー
ルを含有させるべきでないことを示している。
第8図および第1O図は、本発明の3つの一般的態様の
相対的活性を種々の局面から比較する目的で行った実験
を示すものである。第8図では、酸誘発性胃損傷に対す
る3つの態様における保護効果の時間依存性を比較して
いる。ここに示されているように、3つの好ましい態様
はすべて、投与後2時間で非常に顕著な保護効果を与え
た。4時間までに、不飽和リン脂質+ステロール+飽和
トリグリセリドの組合わせ物(DLL−PC+Ch。
1+TP)は、若干活性を落とすが、依然として活性で
あることに変わりないことが見いだされた。
不飽和リン脂質+ステロール+不飽和トリグリセリド(
PCe+ChO1+TO)、および飽和リン脂質+飽和
トリグリセリド(DPPC十TP)の組合わせ物は、4
時間の時点で実質的に全活性を保持していることが分か
った。6時間までに、DLLPC+Chol+TP処置
は殆ど活性を欠いているが、残りの組成物は有意な程度
の保護を依然として付与していた。
第9図では、エタノール誘発性胃損傷に対する上記と同
じ組合わせ物の直接的保護効果を、殆ど同等の保護活性
を示す不飽和リン脂質子ステロール+不飽和トリグリセ
リド、および飽和リン脂質+蛤和トリグリセリドの両組
合わせ物と比較した。
不飽和リン脂質+ステロール+飽和トリグリセリドは最
も少ない活性を示すが、それでも有意な活性を有してい
ることが判った。
実施例5 時間依存性および安定性試験 第10図では、エタノール誘発性胃損傷に対する2つの
最も活性を有する脂質組合わせ物の保護効果の時間依存
性についてそれら組合わせ物を試験した。これら両組合
わせ物は、投与後6時間まで優れた保護活性を示したこ
とは理解されよう。
さらに、凍結乾燥後、または琥珀色のビン中に室温で保
存した後いずれかにおける本発明組成物の1♀護効能を
測定する試験を行った。第19図に示す日数をおいたリ
ン脂質組合わせ物の1つで各ラットを処理し、塩酸投与
による化学的チャレンジを行った。第19図に示されて
いるように、DPPC+TPおよびPCe+CHOL+
アスコルビン酸の組合わせ物は、製剤化した後55日ま
で潰瘍形成の有効な保護を与えた。これとは対照的に、
DPPCE+TPの混合物は、製剤化した後41日まで
しか持続的なレベルの潰瘍形成の保護を与えなかった。
製剤化後113日には、すべての混合物が潰瘍形成保護
能を有意な量で喪失した。
本発明者はさらに、様々な期間、室温で保存した種々の
凍結乾燥脂質混合物の保護効能に関する試験を行った。
第20図に示している種々の脂質組成物を本明細書に既
述した操作にしたがって製造した。その後、各組成物を
当業界既知の操作法によって凍結乾燥した。次いで、得
られた凍結乾燥組成物を粉末形態で成熟ラットの胃粘膜
に「吹き込み」、成熟ラットに投与した。次いで、塩酸
の胃チャレンジを各ラットに行った。このチャレンジの
後、各ラットについて得られた損傷スコアーを対照の損
傷(すなわち、生理食塩水で処理)に対する%として表
した。
第20図に示されるように、種々の脂質組成物は、凍結
乾燥後128日まで安定であり、また(7護効能を保持
していた。各組成物間の保護効能には顕著な相違は認め
られなかった。たとえば、113日経過した古い非凍結
乾燥の脂質組成物で処理した動物では損傷スコアーが9
0%であったのに対し、凍結乾燥した組成物では、凍結
乾燥後128日まですべての脂質組成物が40%以下の
損傷スコアーしか示し得なかった。これらの結果は、リ
ン脂質の組成物が、凍結乾燥していないリン脂質組成物
と比較してより長時間、その組成物の保護効能を保持で
きることを意味している。
第5表および第6表に示している一連の実験では、多価
陽イオンまたは酸化防止剤(ビタミン)のいずれかをリ
ン脂質組成物に添加した場合の該組成物の保護効能に対
する効果を試験した。各試験では、成熟雄性ラットの数
群を胃への化学的チャレンジの2時間前に特定のリン脂
質組成物で処置した。次いで、塩酸による化学的チャレ
ンジを既述のように行った。酸チャレンジの1時間後、
動物を殺し、胃の損傷を測定した。
(a)多価陽イオン 第5表は、低用m<閾値)の脂質混合物単独では損傷ス
コアーは最小の減少しか示さなかったことを表している
。しかし、それにQ、 2mM Au””イオンの多価
陽イオンを添加すると、脂質混合物の保護効能か劇的に
増大された。他にも実験を行い、アルミニウム(Al1
””)、ビスマス(B i””)およびカルシウム(c
a””)も同様に増大活性を有していることが証明され
た。
第5表 酸誘発性1′胃潰瘍に対する脂質混合物の保護効果を増
強する金塩a + (A 11″0°)における増強能
前処理         1群のラット数 損傷スコア
(対照群%〉4リン酸緩衝液(対照)S       
too  ±12Au””(0,2aM)”     
     5       83.6± 7.6PCe
十〇hol+TO”          5     
   44.8± 5.8PCe+Chol+TO+A
u”’ ””   5       29.6±10.
0DPPC+TP’         5     6
5.1士11.5DPPC+Tp+Δu”” ””  
   5        9.7± 27a)リン酸緩
衝液(0,1M5pH7,0)中でクロ口金酸(0,2
mM)を調製した。
b)PCe+50M%Chot(0、5mg/ ic)
 + 2 mg/xQT0 c ) D P P C(0,5mg/xQ)+ 2x
g/xQT Pd)胃損傷は、酸チャレンジの1時間後
、および前処理の3時間前に測定した。
(b)酸化防止剤 同様に、第6表は、種々の酸化防止剤を含有する脂質混
合物を使用して行った実験により得られたデータを示す
ものである。得られた結果は、酸化防止剤であるビタミ
ンを添加すると、多価陽イオンと同様、リン脂質組成物
の保護効能が増大されることを証明するものである。
第6表 酸m発性1j1mに対する卵−ホスファチジルコリン(
PCe)、コレステロールおよびトリオレインの混合物
(PCe+Chol+TO)の胃保護効果を増強する酸
化防止剤活性を有する、脂溶性および水溶性ビタミンの
増強能前処理 生理食塩水(対照) PCe+Chol+TO” PCe+Chol+TO+Vit PCe+Chol+TO+vit PCe+Chol+TO+Vit 1群のラット数 b14 Ac1  4 A、     4 損傷スコア(対照群%)″ 100 ± 6.4 58.6± 6.9 177± 3,3 61.1±1O15 12,8± 9.6 a)PCe+50M%Chol(0,3mg/ac)+
 i、 2mg/xQT。
b〉ビタミンCを最終濃度20xg/lQで加える。
C)ビタミンAを最終濃度’crag/y、Qでクロロ
ポルム中脂質に加える。
d)胃損傷は、酸チャレンジの1時間後および前処理の
3時間前に測定した。
金塩またはビタミンAおよびCはいずれも使用した濃度
ではそれ自体前保護活性を何等有していないので、脂質
混合物における多価陽イオンおよび酸化防止剤の明らか
な増強効果は、実際上驚くべき知見であった。
実施例7 比較炎症性腸疾患試験 他の胃腸管損傷を処置することにおける本発明の脂質組
成物の応用性を証明するため、炎症性腸疾患に付随する
病態変化に似せるよう設計した動物モデルで、本発明組
成物を試験した。これらの実験では、生理食塩水(対照
)または10%酢酸(30秒洗浄)のいずれかを浣腸に
より投与した後5日目に、ラットの結腸粘膜の疎水性を
測定した。
科学雑誌では、この経路による酢酸投与によって、炎症
性腸疾患に付随する病態変化に似た結腸粘膜の麿爛性お
よび炎症性変化を来すことが示されている。
実験ラットに、3つの脂質混合物(DPPC−TP、D
LL−PC−Chol−TP、PCe−Chol−To
)の各々0.5m(2を酢酸洗浄の2時間前、およびそ
の直後に投与した。以下の第7表に示している結果は、
そのげっ歯頚の結腸粘膜は対照の条件下では全く疎水性
を示し、その非水和性の性質は実験的に誘発させた腸炎
に反応して顕著に減退されることを示している。しかし
、この非水和性から水和性状態への移行は、ラットを極
性および非極性脂質の独特の混合物で処置した場合に逆
転した。
第7表 実験的に誘発させた腸炎のげっ書類結腸粘膜の表面疎水
性。
脂質混合物におけるこの疎水性保護特性の維持能1群の
ラット数 群 前処理       門 生理食塩水         −3・ 生理食塩水         +    3DPPC−
TP+4 PCe+Chol+TO+     3DLL−PC−
Chol+TP  +     460.7±14,8
゜ 38.0± 3.2゜ 79.8± 2.2゜ 67.7± 7.10 59.3±12.O’ 実施例8 種々の潰瘍誘発物質に対するリン脂質の保護作用の比較
試験 ラットに実験的に胃潰瘍を誘発させる種々の胃潰瘍誘発
物質に対する、種々の脂質混合物の保護効果を試験した
。すべてのラットを潰瘍チャレンジの2時間前に脂質混
合物<5mg/xQ)または生理食塩水(対照)1酎で
前処理した。
以下の第8表は、極性および中性脂質の種々の混合物が
すべて、エタノール、胆汁酸、アスピリン、およびスト
レス−誘発性胃損傷などの多くの種々の障害性条件によ
って誘発させた胃潰瘍に対し、顕著な保護効果をラット
に付与することができることを示している。ストレス誘
発性潰瘍を除くすべての場合で、潰瘍誘発物質1村を投
与した1時間後にラットを殺した。ストレス潰瘍は、拘
束用スクリーン内に冷却拘束(4°C)することによっ
て誘発させた。この場合の動物は、その拘束用スクリー
ンに入れた4時間後に殺した。
第8表に示されているように、DPPCE+TPの前処
理は、アスピリン(10肩g/z(1,pH3゜0)に
対して最も小さな保護効果を示し、PCe+CH+TO
脂質の前処理によって最も大きな保護効果が得られるこ
とが見いだされた。胆汁酸によるチャレンジした場合の
PCe+CH+TO+ビタミン+C脂質の前処理群にお
いて、最も低い損傷スコアーが認められた(0.2N塩
酸中、16011IMタウロコール酸では、損傷スコア
ー5.8±3.3%を示した)。
第8表 実験的に誘発させた胃潰瘍″)の種々の動物(ラット)
a)すべての値は、生理食塩水処置した対照う、。
トの損傷スコアーの%として表した。すべてのう・ノド
は、潰瘍チャレンジの2時間前に、脂質混合物(5mg
/xd)または生理食塩水(対照)llfl:’前処理
した。
b)0.2N塩酸中、160mMタウロコール酸。
c)10mg/+jS pH3,0 ()=ラヅト数/群 宜=生理食塩水で処置した対照ラットの損傷スファーに
対してp<0.05゜ ■1表面活性物質置換組成物の製剤化およびその投与 過去10年にわたり、研究者および臨床医により、新生
児および成人の呼吸困難症(RD S )を表面活性物
質置換療法によって処置する上で大きな進歩がなされた
。しかし、肺の表面活性物質の組成に重要である特定の
リン脂質を使用することは、治療価値を依然として限定
されている。これは、特定のリン脂質が気/液界面に吸
着される速度が非常に遅いことに一因がある。本発明者
は、膨大な実験により、表面活性リン脂質を含有する組
成物にトリグリセリド(好ましくは飽和型)を添加する
ことにより、リン脂質の吸着速度が改善され、潜在的な
表面張力効果が顕著に高められることを見いだした。
これとは逆に、不飽和リン脂質、たとえば卵−ホスファ
チジルコリンのみを含有する組成物は、表面吸着の速度
に対して実買上何の効果も示さない。不飽和リン脂質に
ステロール、たとえばコレステロールを添加することに
よって、吸着速度が増大され、表面張力が驚くほどに減
少することが分かった。さらに、トリオレイン(To)
などのトリグリセリドを卵−ホスファチジルコリンおよ
びフレステロールの混合物に加えた場合、吸着速度は驚
くほどに加速化し、表面張力の低下特性が現れた。
種々の表面活性物質置換組成物の製剤化法は特に重要な
ことでないようである。表面活性物質の置換効果は、た
とえば製薬的に許容され得る希釈剤中、選択した組成の
コロイド状、微小エマルジョンまたはリポソーム懸濁剤
として脂質を投与することによって得ることができる。
実質的にあらゆる製薬的に許容され得る希釈剤を使用す
ることができるが、本発明の組成物は通常、生理学的食
塩水で希釈する。工業的に使用するには、水など、多く
の希釈剤で、選択した組成物を希釈すればよい。本明細
書中、セクション3に記載している脂質組成物の製剤化
方法は、本明細書で教示した表面活性物質置換組成物に
使用される組成物にも当てはまる。
本発明の目的物たる表面活性物質置換組成物の製剤は微
小エマルジョンに類似した製剤である。
本発明の組成物のいくつかは、結果として、比較的容易
に移動できる単層形態で問題の表面に表面活性物質を供
給するものである。それらの組成物も、リポソーム、混
合ミセル、微小エマルジョン、またはそれらの混合体な
どの種々の形態をとることができる。しかし、リン脂質
に対して中性脂質の量を増大させた組成物は、微小エマ
ルジョンまたは混合ミセルの懸濁剤の形態をとると予想
される。
脂質組成物の個々の形態がリン脂質の表面吸着の速度に
影響を与えることがある。たとえば、リポソーム構造の
場合、リン脂質が表面に移動する前にまず二重層が単層
体に分解されることが必要とされるが、この構造的変形
は微小エマルジョンでは必ずしも必須でない。したがっ
て、個々のリン脂質/中性脂質形態は表面活性物質の吸
着速度に影響を与える場合があると予想される。本発明
にしたがって有用な組成物を得るために、リポソームを
調製する必要がない。たとえば、破壊または凝集したリ
ポソーム、または非リポソームの分散剤は明らかに、無
傷のリポソームと少なくとも同程度の効能を有する。リ
ン脂質・ステロールトリグリセリドの最適な比率では、
最も急速な表面吸着状態を与えるのは微小エマルジョン
のようであると予想される。しかし、本発明組成物の実
際の剤形は、本発明者の行ったものに限定されない。こ
れらの組成物の製剤化法は他の点においても本明細書の
後半のセクションmに記載した方法と同一である。
表面活性物質置換療法では、十分量の懸濁性組成物を、
所望の組織または肺胞表面を適当に覆うように投与する
。一般には、1回の適用当たり001から10g脂質/
祿懸濁剤0.5肩Cから20mQを肺組織に気管注入に
より投与することによつて、十分な被覆が得られる。し
かし、理解されるように、本製剤の投与量は毒性の問題
によって特に限定されることはないと考えられる。さら
に、脂質混合物は乾燥状態、たとえば凍結乾燥品の乾燥
粉末として投与することができる。
■1表面活性物質置換組成物の好ましい態様を説明する
実施例 以下に記載する実施例は、本発明の好ましい態様を説明
するために行った実験を示すものである。
1組の実験は、トリグリセリドを含有する種々の脂質調
製物における表面活性物質置換効能をリン脂質単独のそ
れと比較するよう設計した。2組目の実験は、ステロー
ルを加えた種々の脂質−トリグリセリド調製物における
表面活性物質置換効能を脂質−トリグリセリド調製物単
独のそれと比較するために行った。ラングミュアトルフ
の表面液の動的圧縮によって表面張力を測定するための
標準的な操作法により、種々の脂質組成物における気/
液界面の取り込みおよび表面張力の低下の程度とその速
度とを比較した。表面張力および接触角分析の測定は、
概略既述したようにして、個々の脂質混合物を投与した
10分後に行った。
表面圧分析の方法ではまず、37℃に温度を維持させた
超清浄水の水浴の片方の端に、垂直に白金フラッグを設
置する。次いで、親水性の白金フラットを、溶液の表面
張力を連続的にモニターできる、出力を記録器に表示す
る力変換器に接続する。さらに、電動滑車システムに接
続した、酸で洗浄したスライドガラスを白金フラッグの
近傍の水中に浸す。0時点で、試験脂質20−100μ
gのリポソームまたはコロイド状懸濁剤を浴(全温容量
−425村、全浴表面積=315cm″)の表面に適用
し、遠くの端のバリアーを固定速度で白金フラッグの方
向に進ませ、これにより浴表面における脂質フィルムを
圧縮する。この表面フィルムが動的に圧縮されるに連れ
、隣接する両親媒性の分子は表面単層を形成する傾向を
示し、白金フラッグ付近の水の表面張力の減少度が増す
[ラングミュアのJ、 Am、 CheLa、 5oc
1.38:2221−2295(1916)、/ター(
Noter)、リフト(Rit)のPulmonary
 5urfactant(1984月。
多くの実験から、本発明者は、水浴の表面積を最初の面
積の10%に圧縮させた場合(90%圧縮)、ジパルミ
トイル・ホスファチジルコリン(DPPC)20−10
0μgを浴に適用した後24時間で、表面張力が最小値
にまで低下することを見いだした。したがって、以下に
示すデータは、90%圧縮における水の表面張力に基づ
くものである。
以下に記載の試験では、木表面における脂質単層を親水
性スライドガラスに移すに当たり、表面張力が最小値を
示したとき、滑車システムを利用して水浴からスライド
ガラスを引っ張り上げた。
次いで、このスライドガラスを風乾し、その表面疎水性
を接触角分析によって分析するゴニオメータ−の台の上
に置いた(第14図)。
これらの実験により、種々の表面活性物質置換組成物の
効能を直接比較できるモデルが提供される。さらに、こ
れらの実験は、肺胞内層の表面疎水性に対するそれらの
作用を決定するための妥当な基礎を提供する。したがっ
て、表面活性物質置換と組成物にわける疎水性の生成活
性との間の相関性は容易に明らかになる。
以下の実験では、セクション■で概略説明した脂質懸濁
剤の製造方法と同一の方法を行った。
疎水性を処置表面に付与する脂質組成物の付与能を比較
説明するため、接触角試験を行った。表面の疎水性は、
水lμぐを表面に滴下して気/液/固界面における角度
を記録するゴニオメータ−と呼ばれる装置の接触角分析
によって定量化される[ヒルズ(Hills)らのAm
、 J、 Physiol、 224:G56l−56
8(1983)]。その滴は、疎水性の表面上では、接
触角の読値の増大に比例して水玉を形成する傾向を示す
本発明者は、以下の実験で使用した混合物が、表面張力
を低下させ、そして気/液界面においてリン脂質の取り
込みを増大させる作用が極めて高いことを見いだした。
これらの混合物がこのような効果を増大させる機序は、
特にジパルミトイル・ホスファチジルコリン(DPPC
)について分かつていなかった。この機序を研究するた
め、以下の実験を行った。これらの実験も、本発明の説
明のための実施例として本明細書に記載するものであり
、限定を意図するものでない。
実施例1 種々の形態の脂質を投与した後、種々の表面特性を試験
する比較試験を行った。トリグリセリド士ジパルミトイ
ル・ホスファチジルコリンのリン脂質コロイド状懸濁剤
の表面特性効果を、ジパルミトイル・ホスファチジルコ
リン単独のリポソーム懸濁剤のそれと比較した。各組成
物を投与した後、表面張力および接触角分析の評価を行
った。
例示した2つの混合物は、(1)ジパルミトイル・ホス
ファチジルコリン(DPPC)、および(2)ジパルミ
トイル・ホスファチジルコリン+トリグリセリド、トリ
パルミチン(DPPC−TP)であった。DPPC−T
P混合物は、l:4の部分比で、蒸留水の0.86%N
aCl2溶液(pH7,0,t。
Oμg/RI2)中、混合ミセル懸濁剤として製剤化し
た。DPPCおよびトリパルミチンの各例示溶液中にお
ける相対量は以下の第9表の如(であった。
第9表 DPPCTP DPPC1000μg DPPC+TP   200μg   800μgこの
トリグリセリドおよびリン脂質をねじ巻き式キャップバ
イアル中で重量を測定し、クロロホルム約5112に溶
解した。次いで、このクロロホルムを室温、窒素ガス流
の雰囲気下で蒸発させた。
次いで、最終濃度100μg脂質/村とするのに十分で
ある蒸留水中0.86%NaCQ溶液(pH7,0)t
oll!を加えた。
次に、得られた全混合物を数分、脂質の転移温度よりも
高い温度で音波処理した。このようにして得られた懸濁
剤は、全脂質濃度100μg/Reであった。
実質的にあらゆる製薬的に許容され得る水性希釈剤を使
用できるが、等強性生理食塩水が一般に好ましい。上記
懸濁剤各々1村をリポソーム/コロイド状懸濁剤として
、ラングミュアトルフに入れた生理食塩水に加える(全
脂質100μg)。
適用後、種々の時点で表面張力を分析した。各組成物に
付随して調製したスライドガラスについて、接触角分析
も行った。
(a)表面張力分析 すべての提示したデータは、最初の容量の10%に圧縮
させた(90%圧縮)、生理食塩水の表面張力に基づく
ものである。それは、水浴の表面張力はこのように水浴
の表面積を圧縮した場合にのみ、最小値にまで低下する
ことが、本発明者の事前の実験によって明らかになった
からである。
第13図の結果から分かるように、DPPC分子単独で
は、比較的ゆっくりと拡散し、より緩徐な速度で気/液
界面に補充(リクルート)する。
最大の表面張力低下は、適用後+6−24時間に起こっ
た(TI/、=4時間)。これとは正反対に、DPPC
懸濁剤にトリグリセリドTPを添加すると、表面活性分
子の気/液界面への吸着速度が顕著に加速され、表面張
力の最大の低下は適用後最初の5分以内に起こった(T
、□=1分)。さらに、DPPC/TP懸濁剤によって
誘起された最大の表面張力低下効果は、DPPC単独に
よって誘起されたそれよりも5−8 dynes/ C
Iだけ有意に低かった。。
(b)接触角分析 個々のリン脂質組成物をそれぞれ試験した後、ラングミ
ュア浴から人手したスライドガラス上で接触角分析を行
った。脂質懸濁剤をラングミュア浴に適用する前に、電
動滑車システムに接続した酸洗浄化スライドガラスを、
備え付けた白金フラッグの生理食塩水中の近くに浸した
。再度記載するが、白金フラッグは水浴の1つの端の超
清浄水中に垂直に設置した。次いで、親水性の白金フラ
ッグを、出力を記録器に表示する力変換器に接続する。
0時点で、lOOμg/mQ リン脂質組成物の微小エ
マルジョンまたはコロイド状懸濁剤1x(1を浴の表面
に適用した。その後、種々の時点(1分から24時間)
で、浴の遠い端のバリアーを一定速度で白金フラッグの
方向へ進ませ、浴の表面における脂質フィルムを圧縮す
る。この表面フィルムが動的に圧縮されるに連れ、隣接
する両親媒性の分子は表面単層を形成する傾向を示し、
白金フラッグ付近の水の表面張力の減少度が増した。
表面張力が最小値に達したら、既述した滑車システムを
使用してスライドガラスを浴から垂直に取り出し、浴表
面(気/液界面)における脂質単層を疎水性のスライド
ガラスに移した。次いで、このスライドガラスを風乾し
、ゴニオメータ−の台上に置いた。このように取り付け
ることにより、そのスライドガラス表面の疎水性を接触
角分析によって分析したく第14図)。
第15図から分かるように、DPPC単独処置のスライ
ドガラス表面の接触角分析は、DPPC分子を最初に浴
に適用した16−24時間後に、最大の疎水性である3
5−37°を示すことを表している。これとは対称的に
、DPPC/TP混合物を適用した場合には、適用後1
0分以内でその接触角に匹敵する、またはそれよりも高
い脂質誘導性の接触角の上昇が認められた。適用後1時
間またはそれよりも前に、最大の接触角の読値47−4
9°が得られた。
これらの結果は、トリバルミチンなどのトリグリセリド
をジパルミトイル・ホスファチジルコリンなどのリン脂
質に添加することにより、リン脂質の表面活性が増大さ
れ、その表面吸着速度が顕著に加速されることを示して
いる。DPPC/TPの他の混合比の混合物を調製し、
本発明の1;4混合物との比較試験を行った。これらの
比較試験の成績を以下の実施例2に記載する。
実施例2 種々の脂質混合物の表面張力および接触角疎水性に対す
る効果の比較を行った。これらの実験では、1回の試験
投与量力たりの全脂賃金1を100マイクロ/IQから
20マイクロ/R(lに減少させた。
実施例1と同様の実験において、種々の比率のDPPC
:TPで含有する全量20マイクロ/肩g脂質の7つの
異なる脂質混合物を比較した。実施例1に記載している
ように、各混合物について表面張力分析および接触角疎
水性分析を行った。
試験した混合物における具体的なりPPC:TPの比率
は20:0.2:Ll:1.1:2.1:3.1;4お
よび1:8であった。以下の第1O表は、上記の各組成
物中における脂質の種々の比率を示すものである。
第10表 20:0 2:l  1:1 DPPC2G、0 13.3 10 μg/蝦 TP  O,06,71013,3151617,75 1;2   に3   1:4   1:86.15 
  4   2.5 第16図に示している結果により、表面張力の低下に対
する最大効果はDPPC: TP= 1 + 2の比率
(すなわち、DPPC6,7μgSTP133μg)の
独特の混合物で得られることが判明した。接触角の結果
も、DPPC:TPの1;2の比率で試験基に適用した
時に最大の接触角増大の値を示した。
このデータは、2:lの中性脂質と極性脂質の分子相互
作用の特徴的な性質を示している。
大嵐皿1 表面張力および接触角に対する種々のリン脂質混合物の
効果の比較を行った。試験した3つの組成物は、(1)
卵ホスファチジルコリン単独(100μg)、(2)卵
ホスファチジルコリン(PCe)+コレステロール(c
hol)、ならびに(3)卵ボスファチジルコリン(P
Ce)+コレステロール(c11o1) +トリオレイ
ン(To)であった。各試験組成物における各物質の比
率を第11表に示す。全脂質100μgを各試験用量と
した。
第11表 PCe   Chol  T。
PCe            100u100u+C
hol         67μg    33μgP
Ce+Chol +)すれイン      13.4μ
g      6.hg    80μg第17図およ
び第18図に示されているように、PCelOOμgを
浴に加えて約16時間経過後に、表面張力は最小値にま
で減少し、接触角は最大値にまで上昇した。これとは対
称的に、同量のPCe+Chol+TO混合物(100
8g)では、適用後5−10分後に表面張力および接触
角の匹敵する変化が誘発された。
これらの結果は、トリオレイン(TO)などの不飽和ト
リグリセリドを卵ホスファチジルコリンなどの不飽和リ
ン脂質およびコレステロールなどのステロールの混合物
に添加すると、該組成物の表面張力の低下能と疎水性の
増大能によって示されるように、リン脂質の表面吸着性
が高められることを示唆している。
本発明を説明するものと考える実施例を以下に記載し、
本発明をさらに説明する。しかし、本発明がこれら実施
例の具体的説明に限定されると解してはならない。
実施例4 以下の飽和リン脂質および飽和トリグリセリドの重量を
測定し、クロロホルム5酎容量中に溶解した。重量測定
した各化合物の量を以下の第12表に示す。     
      占次いで、クロロホルムを窒素気流中で留
去する。
リン脂質(DPPC)、および中性脂質、トリパルミチ
ン(TP)の最終的比率は、30%DPPCに70%ト
リパルミチン(TP)の比率であればよい。
第12表 ジパルミトイル・ネスフγチジルゴリン(DPPC) 
     lhgトリバルミチン(TP)      
              30arg十分量の等強
性生理食塩水を乾燥脂質残渣に加え、濃度19マイクロ
1モルのリン脂質/z(lとする。
次いで、得られた混合物を室温で15分間音波処理した
。気管内投与の直前にその組成物を再び振盪させる。こ
の懸濁剤の具体的な投与量は、処置する対象の体重1k
g当たり150マイクロ1モルリン脂質という処方にし
たがって計算した。
衷施豊五 以下の不飽和リン脂質の卵ホスファチジルコリン(PC
e)、不飽和トリグリセリドのトリオレイン(TO)、
およびステロールのコレステロール(chot)の重量
を測定し、クロロホルム5xQに溶解した。最終組成物
を気管内投与に使用するため、各50M%のPCeおよ
びCholの混合物をまず調製した。このP Ce−C
hol混合物1+gをトリオレイン(To)4Rgと混
合した。この組成物中の各成分の量を以下の第13表に
示す。
第13表 PCe+Chol   1贋g To      4mg PCe: Chol: Toの最終的な比率は、濃度比
で0.67 + 0.33 : 4.0であった。次い
で、窒素雰囲気下でクロロホルムを留去し、十分世の等
強性生理食塩水を加え、濃度19マイクロ1モルリン脂
質/xQとした。
次いで、得られた混合物を室温で15分間旋回させた。
組成物は旋回させるか、または使用直前に振盪させた。
この懸濁剤の具体的な投与量は、処置する対象の体重1
kg当たり150マイクロ1モルリン脂質という処方に
したがって計算した。
リン脂質組成物を製造するための他の方法は、既述のよ
うにしてコロイド状懸濁剤を製造し、次いでその試料を
一晩凍結乾燥し、凍結乾燥粉末を製することである。次
いで、この乾燥した表面活性物質−中性脂質混合物を、
気管内チューブを使用し、乾燥粉末剤として、気道下部
に直接吹き込めばよい。
実施例8 リン脂質の浮遊密度におけるトリグリセリド添加の効果 飽和リン脂質の調製物にトリグリセリドを添1jOする
ことによる浮遊密度への効果を決定するため、本実験を
行った。この試験で使用する飽和リン脂質は!1JJe
1mg/x(のジバルミトイルホスフ!チジルコリン(
DPPC)であった。飽和リン脂質は既述のように調製
した。DPPCおよびトリグリセリドのトリパルミチン
(TP)の調製物も本実験で使用したが、これも上記の
ようにして調製した。
次いで、抽出したリン脂質を電解質希釈剤(生理食塩水
)または非電解質溶液(マンニトール)のいずれかに懸
濁した。すべての調製物を室温で窒素雰囲気下に15分
間音波処理し、次いで5酎容量逆シリンジに入れた。使
用したTP濃度は4xg/x(lであった。次いで、第
14表に示す4つのリン脂質調製物を、5m12容量逆
シリンジに入れ、1時間室温で放置した。次いで、4等
分した分画を各4つの調製物から採取した。採取した分
画を一20℃で保存し、リンについて検定した。
(a)リン検定 試験した各脂質調製物から人手した各分画中のリンのレ
ベルを以下の第14表に示す。過塩素酸70%の調製物
(0,65m+2)を各試験管に加え、旋回した。これ
を180°Cに20分間加熱し、次いで蒸留水3.3酎
を加えた。次いで、モリブデン酸アンモニウムを加え(
2,5%−0,5mlり、10%アスコルビン酸(10
%−〇、5xQ>ヲ加工、旋回した。得られた混合物を
100℃で5分間加熱し、次いで120ORPMで10
分間遠心した。
次いで、得られた試料を797nMの光学分光測定に供
し、同時に試験した標品とその読みレベルを比較した。
得られた結果は、トリバルミチンなどのトリグリセリド
を飽和リン脂質に添加すれば、リン脂質の浮遊密度が極
めて増大することを示している。この浮遊密度は、使用
した個々の希釈剤によって影響を受けないことが見いだ
された。
第14表 トリグリセリドの添加および非添加時におけるリン脂質
の清澄化率P密度(全りンに対する%) 分画 (上部) 24、96% 81.88% 8351% (底) DPPC/生理食塩水     25.10%  24
.96%  24.98%DPPC:TP/生理食塩水
    7.79%  842%  1.91%DPP
C:TP/マンニトール    3.59%   3.
03%   9688%分画lは最も底の分画であり、
逆シリンジにより最初に採取し、これは最初に清澄化し
たリンの量に相当するものであり、したがって最も低い
浮遊密度を示した。分画4は逆/リンジで最後に採取し
た最上部の分画であり、これは清澄化しなかったリン量
を反映するものであり、したがって最も高い浮遊密度を
示している。
このデータは、DPPCなどの飽和リン脂質にトリグリ
セリドを添加することによって観察された、リン脂質の
気/液界面への迅速な吸着速度は、トリグリセリドとの
会合がリン脂質に付与する増大した浮遊密度に由来する
のかもしれないことを示唆している。したがって、この
ようなTP−会合リン脂質は、表面へより迅速に移動す
ることができるであろう。これらの特性は、リン脂質が
肺胞の気/′te!界面に急速に引かれて吸着されるで
あろう故に、肺表面活性物質置換調製物の製剤にとって
特に望ましいものである。
さらにこのデータは、実際の物理的形態のリン脂質TP
−組成物はリポソームである必要はなく、非リポソーム
状態でより有効かつ迅速に作用することができることを
示唆していると予測される。
トリグリセリド(TP)を含有していないDPPC調製
物を用いて得られた分画中における等分のリン分散は、
リン脂質がリポソーム形態で溶媒中に存在することを示
唆しており、溶媒と同程度の低い浮遊密度を与丸る。し
たがって、リン脂質が表面に会合するには、第1に、こ
れら少ない浮遊溶媒充填化リポソームの表面への集中、
およびこのリポソーム構造の崩壊が必要であり、したが
って表面へのリン脂質吸着の速度か非常に遅くなる。
これとは対称的に、DPPC+TP分画では、リンは最
上部の分画中に集中していることが判明し、このことは
トリグリセリドとのリン脂質会合がリポソーム形態であ
ることを示唆するものである。
これらの試験がさらに示している事項は、トリグリセリ
ド(、、T P )をリン脂質(DPPC)に添加する
ことに基づく脂質吸着の増大した速度は、トリグリセリ
ドと会合した場合のリン脂質含有巨大分子の浮遊密度が
増大する現象である、ということである。溶媒中におい
てDPPCは単独では、リン脂質の二重層によって取り
囲まれた内部核か溶媒に充填されている古典的なリポソ
ーム構造として1つにまとまる。
リン脂質およびトリグリセリドにおける実際の物理的形
態は、その吸着、速度にとって重要であると考えられ、
さらには最も速く吸着するリン脂質は非リポソーム形態
であるという仮定についての証拠が導かれると考えられ
る。たとえば、電解質(生理食塩水)または非電解質(
グルツース)のいずれかの溶媒中、音波処理してリポソ
ーム懸濁剤とした場合のDPPCは、すべての溶媒深度
で均一に分散する[第14表の分画1−4を参照のこと
]。
このことは、DPPCが、浮遊密度が溶媒のそれを反映
している安定なリポソーム懸濁剤として存在していたこ
とを示すものである。これとは対照的に、電解質または
非電解質溶媒中でトリグリセリドをリン脂質に添加すれ
ば、気/液界面が存在する最上部の分画(分画4)にリ
ン脂質が急速に分配した。
このように、最も急速な表面会合リン脂質調製物は非リ
ポソーム形態であり、実際、微小エマルジクンまたは混
合ミセル懸濁剤である。これらの形態はリン脂質の単層
が中性脂質核を包嚢しているので、リポソーム二重層構
造が単層にまで分解するような必要性もなく、リン脂質
が急速に表面に取り込まれ得るのである。
当業者ならば、本明細書の記載から、本発明の組成物お
よび方法について修飾および変更することは可能であろ
う。したがって、本明細書の記載は、当業者に実施上の
教示を与えるための、単なる説明であると解釈するべき
である。本明細書で示している態様は現在における好ま
しい態様と考えられる。たとえば、ここに記載し、説明
した要素または材料は同等のそれらと置換可能である。
したがって、特許請求の範囲はこれらすべての修飾およ
び変更を包含するものと理解されねばならない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、種々のモル%濃度のコレステロールを含むP
Ceの組合わせ物の潰瘍保護活性を説明するグラフであ
り、 第2図は、種々のモル%濃度でコレステロールを含むD
LL−PCの組合わせ物の潰瘍保護活性を説明するグラ
フであり、 第3図は、50および80M%濃度のコレステロールを
含むPCeおよびDLL−PCの混合物についての胃損
傷保護作用の時間依存性を説明するグラフであり、 第4図は、PCeCHの保護作用が、Toを添加するこ
とにより用量依存的に増大されることを示すグラフであ
り、 第5図は、DLL−PC−CHの胃損傷に対する保護作
用における種々のトリグリセリドの効果を示すグラフで
あり、 第6図は、胃損傷に対するDPPC混合物の保護作用に
おけるTPの用量−依存性を示すグラフであり、 第7図は、PCeおよびDLL−PCの保護作用、およ
びDPPCの保護作用に対するコレステロールの効果を
説明するグラフであり、 第8図は、酸誘発性胃損傷に対する極性および非極性脂
質の混合物における保護作用の時間依存性を説明するグ
ラフであり、 第9図は、エタ/−ル誘発性胃損傷に対する極性および
非極性脂質混合物の保護作用を示すグラフであり、 第10図は、エタノール誘発性胃損傷に対する極性およ
び非極性脂質混合物の保護作用の時間依存性を示すグラ
フであり、 第11図は、酸誘発性胃損傷に対する、1つまたは2つ
のエステル脂質を不活性のエーテル類縁体と置き換えた
場合の保護作用を示すグラフであり、 第12図は、コレステロールをβ−シトステロールと置
き換えた場合の保護作用を示すグラフであり、 第13図は、リン脂質誘発性の表面張力低下の動態に対
する中性脂質の作用を示すグラフであり、第14図は、
生理食塩水浴の気/液界面におけるリン脂質単層をスラ
イドガラスに移動させるための方法の模式図であり、 第15図は、スライドガラスの表面疎水性の増大をリン
脂質が誘起する動態に対する中性脂質の効果を示すグラ
フであり、 第16図は、TPにおけるDPPCの表面吸着の増大能
が中性脂質および極性脂質の分子比率に依存しているこ
とを示すグラフであり、第17図は、リン脂質によって
誘起される生理食塩水の表面張力低下の動態に対する中
性脂質の効果を示すグラフであり、 第18図は、PCe+コレステロールによって誘起され
るスライドガラスの表面疎水性の増加の動態に対するT
oの効果を示すグラフであり、第19図は、琥珀色のボ
トル中、4℃の保存時における脂質混合物の経時的な予
防作用を示すグラフであり、 第20図は、室温での保存時における脂質混合物の凍結
乾燥品の経時的な予防作用を示すグラフである。 特許出願人 ボード・オブ・リージェンッ、ザ・ユニバ
ーシティ オブ・テキサス・ システム 代 理 人 弁理士 青白 葆 (外1名)探イ馬り勧 (対!!す1月 千曖傷Zコアー (文:T旦可、削 キ負傷スコアー(文丁蝉、11 様偽4Q屯ψ1月 士ゆ・14ス〕アー0互叶、り 手職4ル乙ファー(欠団9.%) 牛襲イ鳥スロブ一(打P、す、%) 1傷り長J(灯蜂杓 1傷スファ−(f刊り)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、製薬的に許容され得る希釈剤中、 (a)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、R^1およびR^2は、炭素原子数8から32
    個の飽和脂肪族置換分であり、 R^3はHまたはCH_3であり、 XはHまたはCOOHであり、 R^4は=OまたはH_2である] で示されるリン脂質、および (b)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、R^5、R^6、およびR^7は炭素原子数4
    から32個の飽和または不飽和脂肪族置換分であり、R
    ^4は=OまたはH_2である] で示される中性脂質 を含有する動物用の人工肺表面活性物質組成物であって
    、該中性脂質の濃度が該リン脂質の濃度よりも高いこと
    を特徴とする組成物。 2、中性脂質が、少なくとも1つのエステル結合または
    エーテル結合された、第1表に記載の脂肪酸の中から選
    択される脂肪酸を含有する請求項1に記載の組成物。 3、飽和リン脂質が、少なくとも1つのエステル結合ま
    たはエーテル結合された、第1表に記載の飽和脂肪酸の
    中から選択される脂肪酸を含有する請求項1に記載の組
    成物。 4、(a)約5−30重量%の飽和リン脂質、および (b)約70−95%の中性脂質を、 製薬的に許容され得る希釈剤と共に含有する請求項1に
    記載の組成物。 5、リン脂質がホスファチジルコリンであり、中性脂質
    がトリパルミチンおよびトリオレインの中から選択され
    るものであり、モして製薬的に許容され得る希釈剤中、
    中性脂質の濃度がリン脂質の濃度よりも高いことを特徴
    とする請求項1に記載の組成物。 6、飽和リン脂質がジパルミトイル・ホスファチジルコ
    リンである請求項1に記載の組成物。 7、リン脂質がジパルミトイル・ホスファチジルコリン
    であり、中性脂質がトリパルミチンである請求項1に記
    載の組成物。 8、リン脂質と中性脂質の比率が、1:>1から約1:
    5である請求項1に記載の組成物。 9、リン脂質と中性脂質を約1:2から約1:3の重量
    比で含有する請求項1に記載の組成物。 10、製薬的に許容され得る希釈剤が、 (a)生理食塩水 (b)グルコース、および (c)水 の中から選択される請求項1に記載の組成物。 11、(a)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、R^1およびR^2は、炭素原子数8から32
    個の不飽和脂肪族置換分であり、 R^3はHまたはCH_3であり、 XはHまたはCOOHであり、 R^4は=OまたはH_2である] で示される不飽和リン脂質、 (b)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、ステロールは、ペルヒドロシクロペンタノフェ
    ナントレン部分に0個、1個または多くの二重結合を含
    有し、 R^5はH、O(ケトン)、またはOHのいずれかであ
    り、 R^6、R^7およびR^8はHまたはCH_3のいず
    れかであり、そして R^9は長さ1から14個の炭素原子数の直鎖状または
    分枝鎖状脂肪族鎖である] で示されるステロール、および c)トリグリセリド を製薬的に許容され得る希釈剤と共に含有する動物用の
    人工肺表面活性物質組成物であって、該ステロールおよ
    び該不飽和リン脂質の濃度が該不飽和中性脂質の濃度よ
    りも低いことを特徴とする組成物。 12、不飽和リン脂質が卵ホスファチジルコリンであり
    、ステロールがコレステロールであり、そしてリン脂質
    、ステロールおよびトリグリセリドを約0.67:0.
    33:4.0の重量%比で含有する請求項11に記載の
    組成物。 13、ステロールおよびトリグリセリド:不飽和リン脂
    質の重量比が約1:約4である請求項11に記載の組成
    物。 14、不飽和リン脂質および中性脂質がそれぞれ約1か
    ら約4のモル%比で存在する請求項11に記載の組成物
    。 15、不飽和リン脂質が、少なくとも1つのエステル結
    合またはエーテル結合した、第1表に記載の不飽和脂肪
    酸の中から選択される脂肪酸を含有する請求項11に記
    載の組成物。 16、ステロールがコレステロール、デスモステロール
    、β−シトステロール、およびカンペステロールからな
    る群の中から選択される請求項11に記載の組成物。 17、ステロールがβ−シトステロールである請求項1
    6に記載の組成物。 18、トリグリセリドが式: ▲数式、化学式、表等があります▼。 [式中、R^1、R^2、およびR^3はそれぞれ4か
    ら32個の炭素原子数を有する脂肪族置換分であり、R
    ^4は=OまたはH_2のいずれかである]で示される
    請求項11に記載の組成物。 19、トリグリセリドが不飽和トリグリセリドであり、
    R^1、R^2またはR^3が飽和脂肪族置換分である
    請求項11に記載の組成物。 20、飽和トリグリセリドが、少なくとも1つのエステ
    ル結合またはエーテル結合した、第1表に記載の飽和脂
    肪酸の中から選択される脂肪酸を含有する請求項11に
    記載の組成物。 21、不飽和リン脂質がジリノレオイル・ホスファチジ
    ルコリンであり、飽和トリグリセリドがトリパルミチン
    であり、ステロールがコレステロールである請求項11
    で組成物。 22、トリグリセリドが少なくとも1つのエステル化さ
    れた、第1表に記載の不飽和脂肪酸の中から選択される
    脂肪酸を含有する請求項11に記載の組成物。 23、不飽和リン脂質が卵−ホスファチジルコリンであ
    り、不飽和トリグリセリドがトリオレインであり、ステ
    ロールがコレステロールであり、そしてリン脂質とステ
    ロールを約2:1の重量%比で含有する請求項11に記
    載の組成物。 24、不飽和リン脂質+ステロール:不飽和トリグリセ
    リドの重量比が1:4である請求項11に記載の組成物
    。 25、不飽和リン脂質およびステロールを組成物の約2
    0重量%含有する請求項11に記載の組成物。 26、トリグリセリドを組成物の約80重量%含有する
    請求項11に記載の組成物。 27、製薬的に許容され得る希釈剤が、 (a)生理食塩水、 (b)グルコース、および (c)水 の中から選択される請求項11に記載の組成物。 28、非ステロイド系の抗炎症薬または解熱薬の有効量
    をさらに含有する請求項1または請求項11に記載の組
    成物。 29、処置する動物が呼吸困難症(RDS)に罹患して
    いると認定されている請求項1または請求項11に記載
    の組成物。 30、動物がヒトである請求項1または請求項11に記
    載の組成物。 31、治療学的有効量が、処置する肺表面を覆うのに十
    分な量である請求項1または請求項11に記載の組成物
    。 32、製薬的に許容され得る量の多価イオンをさらに含
    有する請求項1または請求項11に記載の組成物。 33、多価イオンが、 (a)銅、 (b)亜鉛、 (c)金、および (d)アルミニウム の中から選択される多価金属イオンである請求項32に
    記載の組成物。 34、(a)ビタミンA、 (b)ビタミンE、および (c)ビタミンC の中から選択される酸化防止剤の有効量をさらに含有し
    ている請求項1または請求項11に記載の組成物。 35、製薬的に許容され得る希釈剤が生理食塩水である
    請求項1または請求項11に記載の組成物。 36、(a)Ca^+^+、 (b)Bi^+^+、および (c)Al^+^+ の中から選択される多価陽イオンの製薬的に許容され得
    る量をさらに含有する請求項1または請求項11に記載
    の組成物。 37、緩衝剤をさらに含有する請求項1または請求項1
    1に記載の組成物。 38、乾燥粉末、凍結乾燥品として投与する請求項1ま
    たは請求項11に記載の組成物。 39、リン脂質とトリグリセリドの組成物の有効量を肺
    胞の内層に投与することを特徴とする、リン脂質の気/
    液界面への吸着速度を加速させる方法。 40、リン脂質とトリグリセリドとの比率が約1:1か
    ら約1:4である請求項42に記載の方法。 41、リン脂質とトリグリセリドとの重量比が約1:2
    から約1:3である請求項42に記載の方法。 42、リン脂質を、リン脂質と疎水結合を形成する疎水
    性分子と混合することを特徴とする、リン脂質の浮遊密
    度を増大させる方法。 43、疎水性分子が (a)トリグリセリド、 (b)コレステロール、および (c)アポタンパク質 の中から選択されるものである請求項42に記載の方法
    。 44、疎水性分子がトリパルミチンである請求項42に
    記載の方法。 45、リン脂質がジパルミトイル・ホスファチジルコリ
    ンである請求項42に記載の方法。 46、人工肺表面活性物質の治療学的有効量を動物の肺
    に投与する肺の表面活性物質置換療法であって、該人工
    肺表面活性物質が製薬的に許容され得る希釈剤中で、 (a)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、R^1およびR^2は、炭素原子数8から32
    個の飽和脂肪族置換分であり、 R^3はHまたはCH_3であり、 XはHまたはCOOHであり、 R^4は=OまたはH_2である] で示されるリン脂質、および (b)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、R^5、R^6、およびR^7は炭素原子数4
    から32個の飽和または不飽和いずれかの置換分であり
    、 R^4は=OまたはH_2である] で示される中性脂質を、中性脂質の濃度がリン脂質の濃
    度より高くなるように含有していることを特徴とする治
    療法。 47、製薬的に許容され得る希釈剤中の人工肺表面活性
    物質の治療学的有効量を動物の肺に投与する肺の表面活
    性物質置換療法であって、 (a)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、R^1およびR^2は、炭素原子数8から32
    個の不飽和脂肪族置換分であり、 R^3はHまたはCH_3であり、 XはHまたはCOOHであり、 R^4は=OまたはH_2である] で示される不飽和リン脂質、 (b)式: ▲数式、化学式、表等があります▼ [式中、ステロールは、ペルヒドロシクロペンタノフェ
    ナントレン部分に0個、1個または多くの二重結合を含
    有し、 R^5はH、O(ケトン)、またはOHのいずれかであ
    り、 R^6、R^7およびR^8はHまたはCH_3のいず
    れかであり、そして R^9は長さ1から14個の炭素原子数の直鎖状または
    分枝鎖状脂肪族鎖である] で示されるステロール、および c)トリグリセリド を製薬的に許容され得る希釈剤と共に、該ステロールと
    該不飽和リン脂質とを該不飽和中性脂質の濃度よりも低
    い濃度で含有することを特徴とする治療法。
JP2065518A 1989-03-15 1990-03-15 極性脂質および中性脂質の新規組成物 Pending JPH02279628A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US323671 1989-03-15
US07/323,671 US5032585A (en) 1987-02-17 1989-03-15 Methods and compositions employing unique mixtures of polar and neutral lipids for surfactant replacement therapy

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH02279628A true JPH02279628A (ja) 1990-11-15

Family

ID=23260222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2065518A Pending JPH02279628A (ja) 1989-03-15 1990-03-15 極性脂質および中性脂質の新規組成物

Country Status (4)

Country Link
US (1) US5032585A (ja)
EP (2) EP0401952A2 (ja)
JP (1) JPH02279628A (ja)
CA (1) CA2003692C (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002522381A (ja) * 1998-08-06 2002-07-23 ストレンメル,ボルフガング 粘膜保護用医薬としてのホスファチジルコリン
JP2011137015A (ja) * 1997-02-21 2011-07-14 Abbott Lab 壊死性全腸炎の発生を減少させるための方法及び組成物
JP2013542917A (ja) * 2010-08-13 2013-11-28 コンパニ・ジェルベ・ダノン 胃上部領域のための製品

Families Citing this family (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5256569A (en) * 1986-01-21 1993-10-26 Chisso Corporation Transesterification process for otereoselection of enantiomers of secondary alcohols using pseudomonas lipase with no added solvent
FR2658418B1 (fr) * 1990-02-20 1994-09-02 Synthelabo Compositions pharmaceutiques a base de phospholipides.
ES2033193B1 (es) * 1990-10-30 1994-01-16 Ganadera Union Ind Agro Mezcla grasa para nutricion infantil y de adultos.
GB9120005D0 (en) * 1991-09-19 1991-11-06 Wellcome Found Method of administering phospholipid dispersions
US5674855A (en) * 1992-08-12 1997-10-07 The Rogosin Institute Methods and compositions useful in prophylaxis and therapy of endotoxin related conditions
US6764693B1 (en) * 1992-12-11 2004-07-20 Amaox, Ltd. Free radical quenching composition and a method to increase intracellular and/or extracellular antioxidants
US5478819A (en) * 1993-06-23 1995-12-26 Simo Tarpila Phospholipid composition and use thereof
US5763422A (en) 1995-01-27 1998-06-09 Board Of Regents, The University Of Texas System Methods of enhancing the therapeutic activity of NSAIDS and compositions of zwitterionic phospholipids useful therein
US5955451A (en) * 1995-05-12 1999-09-21 The University Of Texas System Board Of Regents Methods of enhancing the therapeutic activity of NSAIDS and compositions of zwitterionic phospholipids useful therein
RU2199317C2 (ru) 1997-02-21 2003-02-27 Абботт Лаборэтриз Способ снижения заболеваемости некротическим энтероколитом у детей (варианты)
US20020017295A1 (en) * 2000-07-07 2002-02-14 Weers Jeffry G. Phospholipid-based powders for inhalation
US20060165606A1 (en) 1997-09-29 2006-07-27 Nektar Therapeutics Pulmonary delivery particles comprising water insoluble or crystalline active agents
US6309623B1 (en) 1997-09-29 2001-10-30 Inhale Therapeutic Systems, Inc. Stabilized preparations for use in metered dose inhalers
US6565885B1 (en) 1997-09-29 2003-05-20 Inhale Therapeutic Systems, Inc. Methods of spray drying pharmaceutical compositions
US6677327B1 (en) 1999-11-24 2004-01-13 Archer-Daniels-Midland Company Phytosterol and phytostanol compositions
AU2001251432A1 (en) 2000-04-07 2001-10-23 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Unique compositions of zwitterionic phospholipids and bisphosphonates and use ofthe compositions as bisphosphate delivery systems with reduced gi toxicity
US7442388B2 (en) * 2000-05-10 2008-10-28 Weers Jeffry G Phospholipid-based powders for drug delivery
US7871598B1 (en) 2000-05-10 2011-01-18 Novartis Ag Stable metal ion-lipid powdered pharmaceutical compositions for drug delivery and methods of use
US8404217B2 (en) 2000-05-10 2013-03-26 Novartis Ag Formulation for pulmonary administration of antifungal agents, and associated methods of manufacture and use
NL1015288C2 (nl) * 2000-05-24 2001-12-14 Peter Ferdinand Elbers Preparaat voor het stabiliseren van de beschermlaag op het epitheel van het hoornvlies of de longblaasjes.
US20100173876A1 (en) * 2000-12-19 2010-07-08 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Oil-based nsaid compositions and methods for making and using same
US20040077604A1 (en) * 2001-12-19 2004-04-22 Lenard Lichtenberger Method and compositions employing formulations of lecithin oils and nsaids for protecting the gastrointestinal tract and providingenhanced therapeutic activity
SI1458360T1 (sl) 2001-12-19 2011-08-31 Novartis Ag Pulmonalno dajanje aminoglikozidov
US20080051373A1 (en) * 2003-07-31 2008-02-28 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Parenteral preparations of GI-safer phospholipid-associated anti-inflammatories and methods of preparation and use
WO2007005672A2 (en) * 2005-06-30 2007-01-11 The Scripps Research Institute Treatment and prevention of respiratory diseases and conditions
WO2007014754A1 (en) * 2005-08-02 2007-02-08 I.D.M. Immuno-Designed Molecules Process for the preparation of liposomal formulations
CA2657769C (en) * 2006-07-19 2014-11-18 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Preparations of phospholipids and pharmaceuticals containing 5-amino salicylic acid for the treatment of inflammatory bowel disease
US20110021592A1 (en) * 2006-09-14 2011-01-27 Shlomo Magdassi Organic nanoparticles obtained from microemulsions by solvent evaporation
AR063704A1 (es) 2006-09-14 2009-02-11 Makhteshim Chem Works Ltd Nanoparticulas de pesticida obtenida obtenidas a partir de microemulsiones y nanoemulsiones
JP6368645B2 (ja) 2011-09-29 2018-08-01 ピーエルエックス オプコ インコーポレーテッド 胃腸管に沿った医薬の標的化放出のためのpH依存性担体、それによる組成物、ならびにこれらの製造および使用
WO2019173884A1 (pt) * 2018-03-15 2019-09-19 Bebeachibuli Romeo Normalizador biológico, processo de obtenção de normalizador biológico e produtos obtidos com o normalizador biológico
AU2021244695A1 (en) 2020-03-26 2022-11-10 Plx Opco Inc. Pharmaceutical carriers capable of pH dependent reconstitution and methods for making and using same

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE48402C (de) * J. G. STRODTMANN in Petersburg, County Menard, Illinois Siegelpresse mit Sicherheitsschlofs
US3594476A (en) * 1969-05-12 1971-07-20 Massachusetts Inst Technology Submicron aqueous aerosols containing lecithin
US3715432A (en) * 1971-01-22 1973-02-06 Massachusetts Inst Technology Submicron aqueous aerosols containing lecithin
IT1085693B (it) * 1977-08-04 1985-05-28 Aesculapius Lab Chim Farma Processo estrattivo per la preparazione di fosfolipidi da rogani animali,per uso terapeutico
US4287174A (en) * 1978-03-31 1981-09-01 The Proctor & Gamble Company Anti-ulcer composition
DE2856333C2 (de) * 1978-12-27 1983-09-22 A. Nattermann & Cie GmbH, 5000 Köln Oral einnehmbare Arzneimittel mit entzündungshemmender Wirkung
US4369182A (en) * 1978-09-27 1983-01-18 A. Nattermann & Cie Gmbh Inflammation-preventing pharmaceutical composition of oral administration
JPS609726B2 (ja) * 1980-05-15 1985-03-12 株式会社 ミドリ十字 ステロイド製剤
US4312860A (en) * 1980-10-24 1982-01-26 Regents Of The University Of California Lung surfactant compositions
IL63734A (en) * 1981-09-04 1985-07-31 Yeda Res & Dev Lipid fraction,its preparation and pharmaceutical compositions containing same
JPS5848309A (ja) * 1981-09-16 1983-03-22 オムロン株式会社 接点機構
EP0092121B1 (en) * 1982-04-12 1987-12-16 Board Of Regents, The University Of Texas System Methods and compositions for treating gastro-intestinal ulcer diesease
JPS5995219A (ja) * 1982-11-22 1984-06-01 Teijin Ltd 合成肺表面活性物質及びそれを有効成分とする呼吸窮迫症候群治療剤
EP0110498B2 (en) * 1982-11-22 1991-09-18 Teijin Limited Artificial lung surfactant and remedy for respiratory distress syndrome containing it as active principle
US4542019A (en) * 1983-03-11 1985-09-17 John Lezdey Antacid compositions
JPS6284028A (ja) * 1985-07-26 1987-04-17 イエダ・リサ−チ・アンド・デイベロツプメント・カンパニ−・リミテツド 膜流動化のための脂質混合物
FR2586587B1 (fr) * 1985-08-30 1987-10-23 Adir Nouveaux surfactants artificiels, leur preparation et les compositions pharmaceutiques qui les contiennent.
US4918063A (en) * 1987-02-17 1990-04-17 Board Of Regents, The University Of Texas System Methods and compositions employing unique mixtures of polar and neutral lipids for protecting the gastrointestinal tract

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011137015A (ja) * 1997-02-21 2011-07-14 Abbott Lab 壊死性全腸炎の発生を減少させるための方法及び組成物
JP2002522381A (ja) * 1998-08-06 2002-07-23 ストレンメル,ボルフガング 粘膜保護用医薬としてのホスファチジルコリン
JP2013542917A (ja) * 2010-08-13 2013-11-28 コンパニ・ジェルベ・ダノン 胃上部領域のための製品

Also Published As

Publication number Publication date
US5032585A (en) 1991-07-16
CA2003692C (en) 1996-06-25
EP0406998A3 (en) 1993-06-23
EP0401952A2 (en) 1990-12-12
CA2003692A1 (en) 1990-09-15
EP0406998A2 (en) 1991-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH02279628A (ja) 極性脂質および中性脂質の新規組成物
JP2820688B2 (ja) 極性および中性脂質混合物を含有する胃腸管保護用組成物および胃腸管保護方法
US5134129A (en) Methods employing unique mixtures of polar and neutral lipids for surfactant replacement therapy
KR100243921B1 (ko) 규정된 지질계를 함유하는 제약조성물
US5043329A (en) Methods and compositions employing unique mixtures of polar and neutral lipids for protecting the gastrointestinal tract
Liu et al. In vitro and in vivo studies on mucoadhesive microspheres of amoxicillin
ES2834006T3 (es) Preparados farmacéuticos a base de lípidos para aplicación tópica
US4950656A (en) Methods and compositions employing unique mixtures of polar and neutral lipids for protecting the gastrointestinal tract
TW200942271A (en) Liposome for reaching posterior segment of eyeball and pharmaceutical composition for disease of posterior segment of eyeball
EP0092121B1 (en) Methods and compositions for treating gastro-intestinal ulcer diesease
CA2850187C (en) Ph dependent carriers for targeted release of pharmaceuticals along the gastrointestinal tract, compositions therefrom, and making and using same
DE3346525C2 (de) Pharmazeutische Zubereitung mit speziellen 1,2-Diacyl-glycero-3-phosphocholinen zur Behandlung von Erkrankungen im Magen-Darmbereich
KR20010042752A (ko) 글루타티온 유도체 및 이의 투여 형태
WO2010069139A1 (zh) 一种药用组合物及其制备方法
US5260284A (en) Methods employing unique mixtures of polar and neutral lipids and sterol for lung surfactant replacement therapy
US20230083019A1 (en) Liquid crystalline structure-forming omega-3-fatty acid composition
US20200246377A1 (en) Composition for use in the prevention and in the treatment of iron deficiency
JPH06192107A (ja) グリチルリチン経口剤
BE1024228B1 (fr) Nouvelles formulations d'adjuvants
US20220031625A1 (en) Ophthalmic compositions for delivering meibum-like materials
WO2017120568A1 (en) Apoe mimetic peptide compositions
WO2008026781A1 (fr) Vésicule de lipide à ciblage inverse
WO2007097502A1 (en) Composition for reducing the exudation of serum proteins
JPH02258727A (ja) γ―L―グルタミル―L―システインエステル誘導体を含有するリポソーム製剤
WO2003061668A1 (en) Use of pulmonary surfactant for the prevention of infectious diseases