JPH0225324Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は座席前端部の高さを一定に保ちつつ座
席後端部の下降を伴つてリクライニングする椅子
に関する。

（従来技術） 座席前端部を支持する支軸を回動中心として座
席後端部が所定の下降動、つまり座席前端部の高
さを一定に保ちつつ座席後端部が所定の高さ下が
り、この座席後端部の下降に伴つて背もたれが所
定の角度に傾頭するリクライニング機構を備えた
椅子が既に知られている。

この種の椅子は座席前端部の高さが一定である
ため背もたれが傾頭状態にある椅子に長時間着座
しても足の疲れがないという利点を有している。

ところで、近時、椅子に対して人間工学の見地
から細部にわたつて種々の検討が加えられ、各種
椅子の使用目的に応じた改良が施されているが、
本考案の考案者も前述したリクライニング機構を
備えた椅子に対して、上記の見地から検討を加え
た結果問題点を見い出し、これを解決するために
本願考案を案出したものである。

すなわち、背もたれが起立した状態で座面に対
して背もたれの角度が正しく調節された椅子で
は、人体の背柱の椎体と椎間板に無理な圧迫がな
く長時間着座しても疲労感は少ない。しかし背も
たれが傾頭、つまり傾斜した状態では、特に第３
椎間板、第４椎間板に無理な圧力（負荷）が加わ
り、長時間着座すると疲労、ひいては腰痛の問題
を誘発する一因となることがある。

昨今FAの発達により集中管理の監視作業が椅
座作業に新たに加わることとなつた。この監視作
業は背もたれの傾頭つまり傾斜した状態で且つ首
を持ち上げた姿勢で、長時間の着座が強いられる
ことから、前述した問題は無視することができな
い。

（目的） 本考案の主なる目的とするところは、前述した
リクライニング機構を備えた椅子に改良を施し
て、より使い勝手がよく且つ着座者に対してより
適切なサポートを約束し得る椅子を提供すること
にある。

本考案の他の目的とするところは、背もたれの
傾頭つまり傾斜状態での長時間の着座に対して
も、より疲労感の少ない椅子を提供することにあ
る。

（構成） かかる目的のもとで、本考案にあつては、座席
後端部の下降に伴つて背もたれが後方に傾斜する
椅子において、 背もたれを固定するとともに案内支柱の上部に
摺動自在に取付けられた可動枠と、関節点を有し
一端が前記案内支柱の下端に取付けられた連動し
他端が前記可動枠の移動方向に延びたねじ棒の一
端側に枢着したクランク部材とを設け、前記可動
枠には前記ねじ棒に螺合し可動枠に対して変位不
動に回転する操作回転体を有していることを特徴
としている。

このような構成としたことから、可動枠に支持
されている操作回転体を回転させると、その回転
量に応じて操作回転体がねじ棒に対して相対変位
し、この操作回転体と共に可動枠も案内支柱に案
内されて上下動し、可動枠に取付けられた背もた
れが操作回転体の回転量に応じて上下動すること
となる。

したがつて、着座者は着座したまま背もたれ背
面に手を回して操作回転体を回転させ、好ましい
背もたれの高さに調整して適切なサポートを得る
ことができる。また操作回転体の回転量に応じて
背もたれが上下動することから背もたれの高さを
微調整することができ、個人差により背もたれの
高さ調節あるいは、背もたれの傾頭状態における
背柱支持をより適切なものとすることが可能とな
る。

以下に本考案に係る椅子の一実施例を図面に基
いて説明する。

（実施例） 第１図及び第２図は座席、背もたれのクツシヨ
ンを取り除いた椅子の骨組を示すもので、第１図
にあつては、簡略化して図示を明瞭なものとする
ため、ガススプリング、コイルスプリング等を省
略してある。

図中、１は座席の支持体である。支持体１は、
支柱２に嵌合される基部１ａから前方に延びて両
側に張り出した形状としてある。支持体１の両張
り出し端１ｂ，１ｂは取付枠３，３の前端を支軸
５，５で軸支している。この取付枠３，３に座席
Ａが装着される。

各取付枠３の後端はくの字形案内支柱７の中央
屈曲部７ａをピン９で枢支している。各案内支柱
７はその下端に一対のベルクランク１０の一側が
軸１１を介して枢着されている。

ベルクランク１０は支軸１２を介して支持体１
に取付けられ、支軸１２を中心に揺動可能なもの
としてある。ベルクランク１０の他側には連杆１
４を関節軸を介して連結し、連杆１４の先端にピ
ン１６を枢軸とするねじ棒１８が取付けられてい
る。

この一対のベルクランク１０，１０と連杆１４
とが関節点で連結されてクランク部材を構成す
る。

一方、第３図に拡大して示すように、前述した
案内支柱７，７の平行して延びる起立部分７ｂ，
７ｂには両起立部分７ｂ，７ｂに跨つて可動枠２
０が取付けられている。

可動枠２０は２つの部材をボルト固定により一
体化する構成とし、各部材の両側には案内支柱７
の外側方向に突出するガイドレール７ｃの長手方
向に間隔をおいて配設された爪２０ａ，２０ａ，
……が設けられている。一の部材の爪と他の部材
の爪はガイドレール７Ｃの長手方向に互い違いと
なるように配設されており、夫々の爪２０ａはガ
イドレール７ｃに摺接している。これによつて可
動枠２０は案内支柱７に案内されて上下動可能な
ものとしている。この可動枠２０の前面に背もた
れＢが装着される。

案内支柱７，７間の中央を延びるねじ棒１８に
は操作回転体２２が螺合されている。操作回転体
２２は可動枠２０によつてねじ棒１８の延びる方
向への変位を不能に支持され、操作回転体２２を
回すことによつて操作回転体２２がねじ棒１８に
対して相対変位すると、この操作回転体２２と共
に可動枠２０が案内支柱７に案内されて上下動す
ることとなる。

一方、取付枠３の後端が支軸５を中心として下
降、つまり座席Ａの後端部が支軸５を中心として
下降すると、取付枠３とピン９で連結された案内
支柱７は、その起立部分７ｂが後方に傾頭すなわ
ち傾斜することとなる。これに伴つて、案内支柱
７に枢着されたベルクランク１０の作用によつて
ねじ棒１８を引き下げ、可動枠２０が案内支柱７
に沿つて引き下げられることとなる。このことか
ら背もたれＢは、背もたれＢの傾頭すなわち傾斜
動に伴つて引き下げられ、不快な所謂シヤツの引
き上げの防止が図られている。

かかる骨組を備えた椅子の背もたれＢの起立、
傾頭動はガススプリング２４及び圧縮コイルスプ
リング２５を利用して行なわれる。

ガススプリング２４は、第２図に示すように、
その先端２４ａを支持体１にピン２６を介して枢
着し、ガススプリング２４から延在する作動ロツ
ド２８は案内支柱７の中央屈曲部７ａ上方にピン
３０を介して枢着されている。

一方、圧縮コイルスプリング２５は軸１１と支
持体１の先端部との間に渡架されている。この圧
縮コイルスプリング２５の助勢力を得て、背もた
れＢは起立復帰（座席Ａの後端部の上昇復帰）が
約束されている。

（効果） 以上説明したように、本考案によれば、背もた
れの任意の傾頭角度で、着座者は背もたれ背面に
手を回して操作回転体を操作することにより背も
たれの高さを微調整することができ、これによつ
て適切なるサポートを得ることができることから
長時間の着座に対しても疲労感の少ない椅子とす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の骨組を示す斜視図、第２図は
第１図に示す骨組を模式化して示す側面図、第３
図は背もたれ高さ調整手段を拡大して示す要部斜
視図。 Ａ……座席、Ｂ……背もたれ、５……支軸、７
……案内支柱、１８……ねじ棒、２０……可動
枠、２２……操作回転体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 座席支持体１の前端に位置する支軸５を回動中
   心として座席Ａの後端を下降させる座席取付枠３
   と、この取付枠の後端に軸支され座席の回動操作
   とともに背もたれＢを傾斜させる案内支柱７とを
   備え、座席後端部の下降に伴つて背もたれが後方
   に傾斜する椅子において、 前記背もたれＢを固定するとともに前記案内支
   柱７の上部に摺動自在に取付けられた可動枠２０
   と、 関節点を有し、一端が前記案内支柱７の下端に
   取付けられて前記案内支柱７と連動し、他端が前
   記可動枠２０の移動方向に延びたねじ棒１８の一
   端側に枢着したクランク部材１０，１４とを設
   け、 前記可動枠２０には前記ねじ棒１８に螺合し、
   可動枠に対して変位不動に回転する操作回転体２
   ２を有していることを特徴とする椅子。