JPH0222811Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、磁気デスク等の円板型磁気記録媒体
に関するものである。

近来、磁気デスクは、デジタル記録用、アナロ
グ記録用に広く用いられ、コンピュータ用、外部
メモリー、あるいは画像用記録再生媒体として利
用されている。一般に磁気記録において、磁気記
録媒体の表面と磁気ヘツドのギヤツプ間に間隙が
あると間隙損（スペーシングロス）を記録及び再
生時に発生し、出力の低下を来す。これは磁気ヘ
ツド走行系に起因するものと、磁気媒体自体、使
用環境、などに起因するものとに分けられるが、
一番間隙を多く発生する要因としては磁気ヘツド
上への磁性膜の微小な剥離物の堆積、こびりつき
などである。このため磁性膜表面の強度を向上さ
せ磁気ヘツドとの接触摺動によつての磁性膜の破
壊が生じないようにすることが種々考えられてい
るのであるが、未だ完全なものは見出し得ていな
い。よつて、接触型（磁気ヘツドと磁性膜が直接
密着する型）の磁気記録再生方式を採用する限り
は、磁気ヘツドのよごれを何らかの方法でクリー
ニングし、いつでもヘツドと磁性膜を完全接触さ
せる必要がある。

一方磁気デスクは、磁性膜上に同心円上に多数
のトラツクを形成し記録再生する。磁性膜は、粉
体の磁性材料、例えば粒長0.3〜1.0μ程度の
Fe₃O₄，γ・Fe₂O₃Co被着型強磁性酸化鉄、
CrO₂、あるいは化学メツキ型Co−Ｐ薄膜、
CoFe，Co，Fe−Co−Niの蒸着またはスパツタ
リングの薄膜などを用いる。これらの磁性膜は、
特に低波長域（高域周波数、例えばビデオ信号記
録波長1μ程度まで）の記録を良好に行うため表
面を鏡面状態に仕上げてありまた表面硬化されて
いるので磁気ヘツドと摺動しても、この軌跡を目
視で行うことは困難である。これは円板状磁性膜
で外周部より、内周部に順次記録した場合、どこ
まで記録したか目視でチエツクしたい場合不便で
あり、従来ではこのようなチエツクを目視で行な
えるようにする手段を施したものはなかつた。

また、従来の磁気デスク等の円板型磁気記録媒
体の構造では、記録再生装置に対する正確な位置
定めの手段にも改良の余地があり、また、そこに
使用されている磁性膜の種類も広範囲にわたつて
いるにもかかわらずこれら磁性膜の磁気特性に合
わせた記録を自動的に調整して行なえるような手
段を施されておらない等、従来の磁気デスクは、
種々な付加的機能をもたせることによつて、実用
性の上で種々改善される余地のあるものである。

本考案の目的は、前述したような従来技術にか
んがみて、どこまで記録を行なつたかも容易に目
視にてチエツクでき、また使用に際して記録再生
装置の磁気ヘツドのクリーニングを行なうことが
できるような円板型磁気記録媒体を提供すること
であり、また、更に付加的機能を施してその実用
性を向上させた円板型磁気記録媒体を提供するこ
とである。

次に、添付図面に基づいて本考案の実施例につ
いて本考案を詳細に説明する。

第１図は、本考案の円板型磁気記録媒体の一実
施例としての磁気デスクの斜視図であり、第２図
は第１図の磁気デスクをパツケージに収容した状
態を示す斜視図であり、第３図は第２図の磁気デ
スクパツケージの拡大断面図である。

第１図において、参照番号１は磁気記録部とし
ての磁性膜で、この組成、物理的な形状などにつ
いては現在当業界の一般的常識に近くなつている
ので詳述しない。参照番号２は、プラスチツクフ
イルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ア
セテート、あるいは硬質塩ビフイルムなどで形成
された基体である。この基体２上に磁性膜１が均
一な厚さで形成されている。参照番号３は、磁気
デスクの磁性膜１の面に直径方向（図では直線に
したが、曲線でもよい）に延長するように形成さ
れた磁気ヘツドクリーニング部を示し、この磁気
ヘツドクリーニング部３は、磁性膜１の色調とは
異なつた色調（明色が好ましい）の磁気ヘツド研
摩作用を有した皮膜にて形成されるとよい。この
研摩作用皮膜３は、粒径0.3〜3μ（1μ以下がより好
ましい）のCr₂O₃，SiO₂あるいはカーボランダ
ム、エメリー、硝子粉などを研磨剤として用い
る。明色にするためTiO₂，ZnOなどの白色顔料
などを混合してもよい。

この磁気ヘツドクリーニング部３の一実施例と
しては、重量比でCr₂O₃30部、ZnO10部をポリウ
レタン樹脂25部、ニトロセルローズ10部、
MEK10部、トルエン10部、テトラヒドロフラン
５部を一般の塗料インク製造法で均一に混合分散
させ、それをスクリーン印刷法またはコーテイン
グ法などで乾燥後厚さ１〜2μで巾１〜３mmに形
成する。この色調は白縁色である。

このような磁気デスクを、例えば、ビデオデス
クとして用いる場合、同心円状に記録トラツクＴ
がT₁〜T_nまで形成されているとし、外周より記
録を開始すると、T₁，T₂………T_nと磁気ヘツド
が磁気ヘツドクリーニング部３上を必ず走査して
磁気ヘツドの表面を僅かに研摩して、ヘツド上の
堆積物、付着物をこの磁気ヘツドクリーニング部
３のクリーニング面で取去る。磁気ヘツド上のそ
れらの堆積物、付着物には磁性膜１の材料片が多
く含まれており、また、磁気ヘツドの材料は一般
にFe，Al，Si合金などが主として用いられてい
るので、磁気ヘツドから分離された材料粒のた
め、ヘツドの摺動面は、クリーニング部３の上に
薄い黒色の痕跡を残すことになる。この痕跡の黒
色の色調は、磁気ヘツドクリーニング部３の明色
の色調とは対比的であるため、磁気ヘツドクリー
ニング部３上のその痕跡の広がりを目視すること
により、どこまで磁気デスクを使用したかを容易
に知ることができる。

なお、第３図に最も良く示されているように、
磁気デスクの中心孔は、デスク駆動系の回転中心
部に結合するための嵌合孔で、耐摩耗性の金属又
は硬質プラスチツク材料で形成された中心孔形成
部材４及び５によつて作り出されている。これら
中心孔形成部材４及び５は、磁気デスクを上下お
り挾んで嵌合させたもので、磁気デスクと密着一
体化されている。これは磁気デスクの基体２のみ
で形成された中心孔であると、デスク基体がプラ
スチツクフイルムの場合繰返し作用時に中心孔の
エツジが破損あるいは拡張して、デスクを記録再
生機に装置の度に正しい中心がずれて、正しい記
録再生が不可能になるのを防ぐためである。すな
わち、磁気デスクを、例えばビデオ信号記録に用
いる場合、記録再生ヘツドは、その巾が250μ以
下になり、トラツク間隔は100μ以下となるので
中心孔のずれは記録再生に大きな害を及ぼす。従
つて、磁気デスクの中心孔を耐摩耗性のある強い
材料で形成された中心孔形成部材４及び５によつ
て作り出すことにより、このようなずれを最少限
に抑えることができるので、好都合である。な
お、参照番号１３は中心孔内部に張出した突起
で、記録再生機駆動部のピンに嵌合し、デスク回
転時の円周方向への回転スリツプを防止するため
の機構である。

第１図の磁気デスクは、第２図及び第３図に示
すように、パツケージ又はケース６及び７内に収
納して使用することもできるものであり、パツケ
ージ６及び７の中心には磁気デスクの中心孔の中
心孔形成部材４及び５がある程度の余裕をもつて
収納しうるような孔８が形成されている。パツケ
ージ６，７は磁気デスク収納後、接着またはビス
止めで図のように一体化されうる。更に、パツケ
ージ７には、磁気ヘツドが磁気デスクの磁性膜１
に接触しうるようにするための長孔１２が形成さ
れており、この長孔１２は、一般に磁気デスクの
直径方向に長くなつており、そこから磁気クリー
ニング部３が露出しうるようにしている。その長
孔１２に近接してパツケージ７には目盛板１１が
施されており、その上に数値表示１１Ａが付され
ている。このような長孔１２並びに目盛板によれ
ば、長孔１２から露出する磁気クリーニング部３
上の前述したような磁気ヘツド走査痕跡による着
色具合と目盛板の数値表示１１Ａとを照合するこ
とにより、どこまで磁気デスクを用いたか、すな
わちどのトラツクまで記録したかを目視により知
ることができる。

第２図に示されるように、付加的機能を与える
ため、パツケージ７には、更に凸部あるいは凹部
１０，１０′，１０″からなる磁気特性識別マーク
が施されており、このマークは記録再生機の磁気
ヘツドへの記録電流制御機能と関連するようにな
つている。記録用磁性材料は、現在保磁力250〜
4000エルステツド位までのものが実用化されてい
る。保磁力の大きいものほど、磁性膜が一定の場
合、磁気ヘツドより大きな記録電流を流さない
と、その磁性体の最良の特性を発揮させることが
不可能なことは一般的なことである。従つて、例
えば、凹部１０のあるものは300Oeの保磁力のも
のを使用した磁気デスクが収納されていること、
凹部１０′のあるものは700Oe、凹部１０″のある
ものは1100Oeの保磁力の磁性体を用いた磁気デ
スクが収納されていることを識別表示し、そして
これらマークは、それが記録再生機の機構と結合
して自動的に磁気ヘツドへの記録最適電流を流す
ように制御するように作用する。この磁気特性識
別マークは、凸起、凹部のような機械的な形状変
化ではなく、電導性物質をパツケージの一部に設
けて、その位置の変化、または、電導度の大小な
どで識別検知されるようなものとしてもよい。

第２図に示されるように、更に別の付加機能を
与えるため、パツケージ６，７には、磁気デスク
に再度記録不可の情報のある場合等に有効である
ようなその消去防止機構９が形成されているとよ
く、この機構９は、一般のコンパクトカセツトな
どに用いられているので詳述しない。

本考案によれば、前述したように、円板型磁気
記録媒体において、磁気ヘツドクリーニング部が
設けられ、それが磁気記録部と異つた色調（特に
明色が望ましい）をもつているので、ヘツドの走
査軌跡が、その上部に異つた色調となつて残留
し、それにより使用部分（記録部分）が視覧によ
り容易に判明しうるという効果が得られ、また、
磁気クリーニング部による磁気ヘツドのクリーニ
ング効果も得られる。また、磁気記録媒体の磁気
特性が、パツケージ上の一部に設けられた凸起ま
たは凹部、あるいは電導厚などによる磁気特性識
別マークが、記録再生装置に機能して、使用磁性
体の磁気特性に整合する最適記録電流を記録ヘツ
ドに供給しうるような付加的機能も容易に得られ
て実用的である。また、パツケージに入れられた
記録済磁気デスクが消去されえないような付加的
機能も容易に得られて実用的である。

【図面の簡単な説明】

添付図面の第１図は本考案の円板型磁気記録媒
体の一実施例としての磁気デスクの斜視図、第２
図は第１図の磁気デスクをパツケージに収容した
状態を示す斜視図、第３図は第２図の磁気デスク
パツケージの拡大断面図である。 １……磁性膜、２……磁気デスク基体、３……
磁気ヘツドクリーニング部、６，７……パツケー
ジ、１１……目盛板、１２……長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 接触型の磁気記録再生方式に使用する円板型磁
   気記録媒体において、記録再生装置の磁気ヘツド
   の表面研摩作用を有する磁気ヘツドクリーニング
   部を磁気記録部の一部に設け、該磁気ヘツドクリ
   ーニング部は、前記磁気記録部の同心円状の記録
   トラツクの実質的にすべてを横切るようにして円
   板の直径方向に延長しており且つ前記磁気記録部
   の暗色の色調と対比的である明色の色調とされて
   いることを特徴とする円板型磁気記録媒体。