JPH0221930Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、熱可塑性合成樹脂材を押出し成形
して製造され、噛合頭部より上脚部と下脚部とを
延設してＵ字状の形態をなす多数の並列した各単
位フアスナーエレメントを、隣り合う上脚部同士
及び下脚部同士を互いに連結条部で一体に連結し
た連続フアスナーエレメント列を備えているスラ
イドフアスナーに関する。

〔従来の技術〕

この種のスライドフアスナーに備える連続フア
スナーエレメント列として、例えば下記する公報
によつて知られている。

Ａ 特公昭45−34106号公報 Ｂ 実公昭42−14900号公報 Ｃ 特開昭53−44249号公報 Ａ公報の技術で製造される連続フアスナーエレ
メント列は、Ｕ字状をなす各単位フアスナーエレ
メントを、その上脚部同士及び下脚部同士を撚り
糸からなる連結糸で互いに連結したものである。

Ｂ公報による連続フアスナーエレメント列は、
Ｕ字状をなす各単位フアスナーエレメントを、そ
の上脚部同士及び下脚部同士を単位フアスナーエ
レメントと同じ合成樹脂よりなるリブで連結する
と共に、該リブ内に線材を挿通したものである。

Ｃ公報による連続フアスナーエレメント列は、
当該公報の第１６図、第１７図に示す如く、上脚
部同士及び下脚部同士を鞘で連結し、各鞘の両端
部にそれぞれ連結糸を挿入したものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述のＡ公報の技術で得られたものは、連結糸
で各単位フアスナーエレメントを連結したもので
あるから、押出し成形による連続状態のフアスナ
ーエレメント列でありながら柔軟性に非常に優れ
ており、このフアスナーエレメント列を使用して
製造されたスライドフアスナーは柔軟な製品とな
る利点がある。しかし、スライドフアスナーを製
造する過程に問題があつた。スライドフアスナー
は周知のように、フアスナーテープの一側縁の表
裏両面にまたがらせてフアスナーエレメント列が
止着されるが、テープの長手方向の両端部にエレ
メントの存在しないスペース部が設けられるもの
で、これを製造する場合、連続フアスナーテープ
を一方に向つて連続的に送り、押出し成形された
連続フアスナーエレメント列をガイドに沿つて送
り、前記テープの一側縁の表裏両面にエレメント
列の脚部を重ねるようにして送り込み、ミシンで
エレメント列をテープに順次縫着する。エレメン
ト列を所定長さ縫着した後、エレメント列の送り
を停止してカツターで切断する。この時エレメン
ト列の切断された先位のものはテープの送りと共
に前進してテープに止着されるが、後位のものは
テープを所定長さ送つた後に押し送りするもので
ある。ところが、前述のエレメント列であると、
各単位エレメントが連結糸のみで連結したもの
で、その連結部があまりにも柔軟すぎることか
ら、このエレメント列をガイドに沿つて押し送り
すると、ガイドとの接触低抗によつてさえ各単位
エレメント間のピツチが狂うのみならず送り姿勢
も乱れがちで、そのままテープに送込む結果、エ
レメントの取付が乱れたり、強いてはミシンによ
る縫着が不能となることがある。また縫着手段に
限らず織込みあるいは編込み手段でも製造される
が、これらの場合にも同様の欠点が生じた。更
に、連続フアスナーエレメント列をカツターで切
断する際、連結糸は撚り糸で柔軟なものであり、
しかもエレメント列にはこれを不動に保持する強
にテンシヨン等を加えることは実際上できないこ
とから、よほど精度の高いカツターでないかぎり
切断を無理なく確実に行なうことができない欠点
があつた。

上記の欠点を起さないものとしては前記Ｂ公報
のものとＣ公報のものがあるが、各単位エレメン
トを、連結糸を内蔵している合成樹脂製連結体部
で連結したもので、硬直性が良好になることか
ら、エレメントのピツチ及び取付け姿勢が安定し
ているが、仕上げられたスライドフアスナーに柔
軟性を欠く難点があつた。

この考案による目的は、合成樹脂の押出し成形
による連続フアスナーエレメント列をフアスナー
テープに取付ける際に、エレメントピツチに狂い
を生ずることなく、また取付け姿勢が乱れること
がなく、しかも柔軟性が各単位エレメントを連結
糸のみで連結したフアスナーエレメント列と殆ん
ど変ることのない優れた柔軟性を保持するスライ
ドフアスナーを提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案によるスライドフアスナーは、噛合頭
部から上下脚部を延設して略Ｕ字状を成す多数の
並列された各単位フアスナーエレメントを、その
隣り合う上脚部同士及び下脚部同士を互いに連結
条部で一体に連結してなり、且つ合成樹脂の押出
し成形により形成された連続フアスナーエレメン
ト列をフアスナーテープの一側縁の表裏両面にま
たがらせて取付けているスライドフアスナーであ
つて、前記連結条部は、フアスナーテープの面に
隣接して設けられた連結糸と、該連結糸のフアス
ナーテープに面する側部分を除いた周面を被覆す
ると共に、前記上下脚部と一体を成す極めて薄い
膜厚の合成樹脂製皮膜とから成ることにより、今
まで各単位フアスナーエレメントをエレメントと
同質一体の合成樹脂連結部を含む連結体部によつ
て連続させているものであると、該連結体部によ
つてスライドフアスナーが硬直しがちになつて、
充分な柔軟性を有するものには到底できないもの
と思われていた既成概念を覆し、生産性のみなら
ずスライドフアスナーとしての柔軟性をも充分に
備えている押出し成形によるフアスナーエレメン
ト列を有するスライドフアスナーを考案した。

〔実施例〕

第１図に示すこの考案によるスライドフアスナ
ーは、連続フアスナーエレメント列１をフアスナ
ーテープ２に縫着した実施例であつて、連続フア
スナーエレメント列１は第２図及び第３図に示す
如く、噛合頭部３より上脚部４と下脚部５とを互
いに平行に突設した略Ｕ字状を成す多数の単位フ
アスナーエレメント６……が並列に並び、且つそ
の隣り合う上脚部４同士及び下脚部５同士をそれ
ぞれ上下各脚部４，５の末端部において連結条部
７，７により一体に連結して形成してあり、この
連続フアスナーエレメント列１は合成樹脂材によ
る押出し成形によつて形成したものである。そし
て、前述の連結条部７は第５図に拡大して示す如
く、並列する上下各脚部４，５を連通して設けた
連結糸８と、単位フアスナーエレメント６と同じ
合成樹脂材で隣り合う上下各脚部４，５間に架橋
状に、且つ前記連結糸８を膜厚が極めて薄く覆つ
ている皮膜９で形成してある。なお、フアスナー
エレメント列１がフアスナーテープ２の一側縁の
表裏両面にまたがらせて取付けた場合、前記連結
糸８は第５図に示す如くフアスナーテープ２の面
に隣接して設けられたものにしてあり、また前記
皮膜９は連結糸８のフアスナーテープ２に面する
側部分を除いた周面に形成したものにしてある。

上記の連続フアスナーエレメント列１をフアス
ナーテープ２の一側縁の表裏両面にまたがらせる
ように送り込み、そのエレメント列１を上下各脚
部４，５の連結条部７と噛合頭部３との間におけ
る連結条部７の近傍においてテープ２に二重環縫
い等の縫着手段で取付け、且つ第１図図示の如く
左右の連続フアスナーエレメント列１，１に亘つ
てスライダー１０を挿通したものである。

上記のように連結条部７は皮膜９と連結糸８で
形成され、しかも皮膜９の膜厚が極めて薄いこと
から、柔軟性のある連結条部７に保持し得るし、
また連結糸８はフアスナーテープ２の面に隣接し
てあるため、第６図図示の如く連結糸８をフアス
ナーテープ２の長手方向の面に沿つて接触した状
態に設けられたことになり、スライドフアスナー
はその使用中にフアスナー長手方向に対し交差す
る方向に折り曲げられる力を受けることが多い
が、この時、連結糸８の伸縮率が非常に小さくて
折り曲げられ、予想以上の柔軟性を確保すること
ができる。

ところで、スライドフアスナーは近年その仕上
り状態において、見栄えの良い意匠感を呈するこ
とも重要な要素であり、特に染色によつて種々の
色彩意匠が決まるもので、合成樹脂の染料として
一般に分散性染料と、酸性染料または金属錯塩染
料とがあり、前者の分散性染料はポリエステルと
ナイロンとを共に同色に染色するものであり、後
者の染料によるとナイロンのみ染まるが、ポリエ
ステルは染まらないものである。この事から、連
続フアスナーエレメント列１をナイロン６で成形
し、フアスナーテープ２をポリエステル糸あるい
はポリエステルと綿の混紡糸によつて織成または
編成し、縫着糸はポリエステル製とする。

上記の材質で成形されたフアスナーチエーンを
前述の分散性染料で染色した場合、エレメント列
１とテープ２及び縫着糸の三者がそれぞれ同色に
染められる。一方酸性染料または金属錯塩染料に
よるとナイロン製のエレメント列１のみ染色され
るものであるから、テープ２はエレメント列１を
縫着する前に先染めしておく。この場合ツートン
カラーの製品として提供されるが、ここに一つの
問題が残る。即ちポリエステルによる縫着糸が染
められないため、これも先染めすれば良いが、色
調がエレメント列１の色調と合致しないことが多
く、意匠感を損なうものである。従つて、第２図
から第４図に示す如く、ミシンの下糸１１をマル
チフイラメントとし、上糸１２を透明乃至半透明
のモノフイラメントとして縫着し、前述の如くテ
ープ２を先染し、エレメント列１を後染すれば、
第２図図示の如く、使用時に視覚に入る表側に前
記上糸１２が無着色で、且つ透明乃至半透明の状
態で存在することから、目には上糸１２の存在が
殆んど分からず、また連結糸８も現れることのな
いすつきりとした外観を呈するツートンカラーの
製品として提供できるものである。

〔考案の効果〕

この考案によるスライドフアスナーによれば、
そのフアスナーテープに設けた連続フアスナーエ
レメント列の連結条部が、テープの面に隣接して
配した連結糸と該連結糸のテープに面する側部分
を除いた周面をフアスナーエレメントと同材質の
極めて薄い膜厚の合成樹脂製皮膜で覆つたもので
あるから、各フアスナーエレメントのピツチは必
要最小限の硬直性を持つ連結条部によつて常に一
定寸法に保持すると共に、各フアスナーエレメン
トの姿勢も正しく維持できるので、 １ テープにエレメント列を取付ける際に、エレ
メント列の送り中にピツチが狂つたり姿勢が乱
れる恐れがなくなり、エレメント列をテープに
正常に取付けられると共に、テープにフアスナ
ーエレメントの存在しないスペース部分を作る
際のフアスナーエレメント列の連結条部の切断
においても、該連結条部が撚り糸のみによるも
のでなく、糸とこれを被覆している極めて薄い
膜厚の合成樹脂皮膜によるもので、押出し成形
した合成樹脂に起りがちな切断時の刃に与える
粘りが生ずるまでもなく、又撚り糸の断面形状
を崩さない程度に硬くしているものであるた
め、その切断加工装置に特別な切れと精度を要
求する必要はなく簡単なものでよいと共に、仕
上りよく切断できる。

２ 特に本考案のスライドフアスナーは、上記１
の効果に加えて、その効果を有するものには到
底期待できないものとされていたところのスラ
イドフアスナーとしての充分な柔軟性をも備え
ると言う、今までに全く期待できなかつた実用
効果を有するものである。

即ち、連結糸を被覆している合成樹脂被膜層部
は膜厚が極めて薄い皮膜であつて、しかも、連結
糸をテープの面に隣接させた構造にしている。こ
れは連結糸を合成樹脂層で被覆しているものでは
あるが、その膜厚が極めて薄く、更に実質的に伸
びることのない連結糸はフアスナーテープ面に位
置させ、連結条部においてテープ面から最も離れ
る部分は薄膜状の合成樹脂皮膜部にして伸びを可
能にしていると共に、連結条部に上述の引張り作
用とは反対の圧縮力が作用したとしても、その連
結条部は合成樹脂皮膜による必要最小限の硬直性
のみ有するもので、スライドフアスナーに作用す
る曲げ応力に対してはこれを実質的に低抗なく彎
曲変形して受入れできるものであるから、前記
１）のように生産性が良いものであつて、然か
も、スライドフアスナーとして例えばコイル状フ
アスナーエレメント列を有するものと殆ど変わら
ない予想以上の優れた柔軟性を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるスライドフアスナーの
一部を示す正面図、第２図は片側のフアスナース
トリンガーを拡大して示す表面図、第３図はその
断面図、第４図は裏面図、第５図は連結条部を拡
大して示す断面図、第６図は屈折した時の状態を
示す断面図である。 １……連続フアスナーエレメント列、２……フ
アスナーテープ、３……噛合頭部、４……上脚
部、５……下脚部、６……単位フアスナーエレメ
ント、７……連結条部、８……連結糸、９……皮
膜、１０……スライダー、１１……下糸、１２…
…上糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 噛合頭部３から上下脚部４，５を延設して略Ｕ
   字状を成す多数の並列された各単位フアスナーエ
   レメント６……を、その隣り合う上脚部４同士及
   び下脚部５同士を互いに連結条部７，７で一体に
   連結してなり、且つ合成樹脂の押出し成形により
   形成された連続フアスナーエレメント列１をフア
   スナーテープ２の一側縁の表裏両面にまたがらせ
   て取付けているスライドフアスナーであつて、前
   記連結条部７は、フアスナーテープ２の面に隣接
   して設けられた連結糸８と、該連結糸８のフアス
   ナーテープ２に面する側部分を除いた周面を被覆
   すると共に、前記上下脚部４，５と一体を成す極
   めて薄い膜厚の合成樹脂製皮膜９とから成ること
   を特徴とするスライドフアスナー。