JPH0221562Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃エンジンのエンジンブレーキ装
置に関するものである。

内燃エンジンのうち、例えば、車載用の４サイ
クルデイーゼルエンジンにおいて、給排気弁の他
に、ポペツト弁の如き気体放出用の第３弁を設
け、この第３弁を、エンジンブレーキ時、エンジ
ンの圧縮上死点近傍において、開放することによ
り、燃焼室内の圧縮された気体をエンジンの排気
路に放出するようにして、気体による膨張仕事を
廃し、エンジンに制動をかけるようにしたものが
提案されている（例、特開昭56−126640号公報）。

かかる第３弁を備えたエンジンでは、第３弁の
開放時に、これが燃焼室内に突出する構成となつ
ているために、圧縮上死点位置に上昇したピスト
ンと、開放突出する第３弁とが相互に干渉するお
それがあつて、即ち、両者が互いに衝突するおそ
れがあつて、このために、例えば、ピストン頭部
側に逃げを設ける必要があり、この逃げは、デツ
ドボリユームを構成することから、圧縮比を高め
ることができず、エンジン出力の低下をきたす要
因となつている。

本考案は、上記点に鑑みなされた、デツドボリ
ユームを生ぜしめないエンジンブレーキ装置を提
供することを目的とする。

以下、図示の実施例により本考案を説明する。

第１図において、符号１は、シリンダヘツド
を、２は排気弁を、３は排気路を、４は気体放出
弁をそれぞれ示しており、このうちの気体放出弁
４は、排気弁２とは別途にシリンダヘツド１に設
けられ、前述した如き第３弁としての機能を達成
する。

この気体放出弁４はシリンダヘツド１に穿設さ
れた穴に嵌合される弁支持筒５と、弁支持筒５内
の軸線ｌに沿つて摺動可能に支持された弁棒７
と、弁棒７の上端側の突出部７０１に係合される
ばね８と、弁棒７の上端側に収容されたレリーズ
弁１３とを備える。

気体放出弁４は、弁支持筒５の下端に、第２図
に示す如く、気体放出口６を設けると共に、弁支
持筒５内に、気体放出口６を平生、閉塞する弁棒
７を挿設したものとなつている。なお、気体放出
口６は、シリンダヘツド１の下面１Ａの下位空間
における燃焼室に臨んだ状態となつている。

弁支持筒５はその内部の隔壁５０１の下方に、
気体流入室１４を設けられ、上方には突出部７０
１により区分された加圧室１０及び排液室１５と
からなる流体室が形成されている。弁棒７内のレ
リーズ弁１３は排液室１５に連通する内室１３１
と、同室内に収容され貫通孔１６を常閉するボー
ル１３２と、ボール１３２を閉方向に付勢するレ
リーズスプリング１３３とで構成されている。な
お、貫通孔１６は加圧室１０と内室１３１を介し
排液室１５とを連通可能に形成されている。

ここで、弁棒７は、弁支持筒５の上側の筒部内
に装着された伸張性ばね８の弾力により、気体放
出口６を閉塞する態位に保持されていて、この状
態にて、今、図示されないピストンが圧縮上死点
近傍位置に上昇したとき、オイル流入孔９から加
圧室１０内へ流入したオイルの圧力により、弁棒
７がばね８の弾力に抗して、燃焼室から退避する
方向に上昇し、このとき、第２図に示す如く、気
体放出口６を開放するようになつている。

すると、気体放出口６や、弁支持筒５に設けた
孔１１や、これに連なるようにしてシリンダヘツ
ドに設けた連通路１２等を介して、燃焼室と、排
気路３とが互に連通するようになつていて、この
結果、燃焼室内の圧縮気体が排気路３に放出され
るようになつている。即ち、気体放出弁４は、第
３弁としての機能が達成されるのである。なお、
弁棒７が上昇したあと、レリーズ弁１３が過度に
高い圧油を受けると貫通孔１６を開き、これによ
り、オイル配管や気体放出弁４の破損を防止して
いる。そして、所定時限において、加圧室１０の
油圧が降下すると、ばね８の弾性力により、弁棒
７が下降し、気体放出口６を再び閉塞するように
なつている。

なお、かかる気体放出弁４を備えたエンジンで
は、爆発工程時において、弁棒７がばね８の弾力
に抗して開放されてしまうことにもなりかねない
ので、気体放出口６の開口面積即ち弁棒７の弁部
７ｂの面積をある程度、小さく設定してある。こ
れにより、ばね８の弾力を極めて強くする必要は
なくなり、もつて、弁棒の開閉動作を円滑に行な
うことができる。

以上本考案によれば、第３弁の機能を達成する
気体放出弁の弁棒が、燃焼室に対し退避移動する
構成となつているので、その弁棒がピストンと相
互干渉するおそれはなく、従つて、ピストン頭部
などに、その干渉を防止するための逃げを設ける
必要がなく、もつて、デツドボリユームを無くす
ことができることから、出力性能をより向上させ
ることができ、特に、レリーズ弁１３がオイル配
管や気体放出弁４の破損を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例装置の断面図、第２図は
気体放出弁の下部の断面図である。 １……シリンダヘツド、２……排気弁、４……
気体放出弁、５……弁支持筒、６……気体放出
口、７……弁棒、１０……加圧室、１３……レリ
ーズ弁、１４……気体流入室、１５……排液室、
１６……貫通孔、５０１……隔壁、１３２……ボ
ール、１３３……レリーズスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの吸排気弁の他に、シリンダヘツドに
   設けられる気体放出弁において、同気体放出弁
   は、上記シリンダヘツドに穿設された穴に嵌合さ
   れると共に隔壁により気体流入室及び流体室を区
   画した弁支持筒と、上記隔壁を貫通すると共に上
   記弁支持筒の軸線に沿つて摺動可能な弁棒と、同
   弁棒の一端側弁部によつて開閉されると共に燃焼
   室及び上記気体流入室を連通するように上記弁支
   持筒に設けられた気体放出口と、上記気体流入室
   に面するように上記弁支持筒に形成されると共に
   上記シリンダヘツドに設けられた連通路を介して
   排気路に連通する孔と、上記液体室を加圧室及び
   排液室に区画するように上記弁棒の他端部に一体
   に設けられた突出部と、上記加圧室に面しオイル
   供給源に連通される上記弁支持筒に設けられたオ
   イル液入孔と、上記排液室に配設され上記弁棒を
   上記気体放出口を閉側に付勢するばねと、上記弁
   棒の他端部内に上記加圧室及び上記排液室を連通
   するように設けられた貫通孔と、上記弁棒の他端
   部に取付けられ上記貫通孔を常閉するボールを閉
   方向に付勢したレリーズスプリングとから構成さ
   れたことを特徴とするエンジンブレーキ装置。