JPH02172B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ≪発明の分野≫ この発明は熱可塑性樹脂の射出成形に用いられ
る金型装置の改良に関する。

≪従来技術とその問題点≫ 射出成形は、プランジヤによつて溶融樹脂を金
型キヤビテイ内に射出し、これを金型内で固化し
た後、この成形品を金型内より取り出すことによ
る成形方法である。

この射出成形に用いられる金型装置を第５図に
て示す。この装置ａはキヤビテイｂに溶融樹脂を
導入するためプランジヤ（図示せず）からの溶融
樹脂を受け取るスプルーｃと、キヤビテイの湯口
すなわちゲートｄと、スプルーｃからゲートｄに
至るランナーｅとからなつており、キヤビテイｂ
内で固化された成形品ｆにはこれらのゲートｄや
ランナーｅ等の不要の樹脂が付随して金型ｇから
取り出されるので、これら成形品ｆに付随する不
要部を切除するため、成形後ゲートカツトを行な
つていた（図面にカツトラインを破線で示す）。
従つて切断工数がかかるので作業能率が劣るとい
う問題点があつた。

最近ではこのゲートカツトを廃止するための試
みとして、例えば第６図に示すようなノーズゲー
ト方式が提案されている。この方式の場合成形品
ｆの成形後、成形品突き出しピンｈ並びにゲート
突き出しピンｉを突き出した際に、ゲートｄの先
端ｊと成形品ｆとが切断されるようにゲートｄの
先端ｊは極端に細く形成されている。

しかしながら、このノーズゲート方式ではゲー
トカツト工程は省くことができるが、上述したよ
うにゲートｄが極端に細くなつているので、射出
成形時の射出圧を高圧にしなければならず、その
ためヒケが発生しやすく製品外観を損うととも
に、寸法精度面でも支障を来たすなどの欠点があ
つた。

≪発明の目的≫ この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところはゲートカツト工程を
省き工数を大幅に削減するとともに、成形後のヒ
ケを確実に防止できる射出成形用金型装置を提供
すことにある。

≪発明の構成と効果≫ 上述の目的を達成させるため、本発明による金
型装置は、キヤビテイ側金型と、コア側金型と、
該コア側金型内に配設されている成形品突き出し
ピンと、ゲート、ランナーを突き出す突き出しピ
ンと、そして両金型の閉型により形成されるキヤ
ビテイと、該キヤビテイに溶融樹脂を射出するゲ
ート、ランナーとから構成される射出成形用金型
装置において、前記成形品突き出しピンは上方を
大径に、下方を小径に形成されているとともに、
前記ゲートの先端下方には凹部が、該成形品突き
出しピンの大径部外周面とコア側金型との間に設
けられており、上記成形品突き出しピン並びにゲ
ート、ランナー突き出しピンの上昇時に、上記凹
部内に充填された樹脂がコア側金型に残存するこ
とにより、ゲート先端と成形品とが自動的に切断
され、さらに両突き出しピンの上昇により、上記
凹部側方に成形品突き出しピンの小径部が位置し
たとき、該凹部と成形品突き出しピン外周面との
間に形成される空隙内に上記凹部内の残存樹脂が
入り込み、樹脂の弾性復元により、ゲートの先端
が上記コア側金型から解除される。

このように成形品とゲートとが自動的に切断さ
れ、またゲート、ランナーなど不要樹脂の除去も
簡単に行なえるので、工数を大幅に削減できるば
かりか、全自動成形も可能になるなどの利点があ
る。しかも型加工が容易に行なえるとともに、従
来のノーズゲートのようなゲートの先端を極端に
細く形成していないので、ヒケの発生を抑え外観
上も満足の行く成形品が得られるなど種々の効果
を有する。

≪実施例の説明≫ 以下この発明の一実施例につき、添付図面を参
照しながら詳細に説明する。

第１図は成形時の状態を示す本願金型装置の縦
断面図、第２図ないし第４図は金型装置から成形
品を脱型する際の説明図である。

図面において符号１はコア側金型であり、該コ
ア側金型内に成形品突き出しピン３および突き出
しピン４が内装されている。このコア側金型１と
キヤビテイ側金型２とでキヤビテイ５が形成さ
れ、図示しないプランジヤ、スプルーからの溶融
樹脂がランナー６、ゲート７を介して、上記キヤ
ビテイ５内へ導入され、金型１，２により固化さ
れる。さらに上記ゲート７の先端７ａの下方には
凹部８が設けられている。詳しくはこの凹部８は
成形品突き出しピン３の外周面と、コア側金型１
のクボミ９とで形成されている。

なお上記成形品突き出しピン３は、大径の上部
３ａと、小径の下部３ｂとからなつている。

次に第２図ないし第４図に基づいて成形品の脱
型工程につき記載する。

第２図は成形品１０の成形後、成形品突き出し
ピン３とゲート、ランナー突き出しピン４とが僅
かに上昇した状態を現している。このとき成形品
１０は成形品突き出しピン３により突上げられる
が、ゲート７の先端７ａに形成した凹部８内に充
填固化した樹脂１１が、コア側金型１のクボミ９
内に残存する。従つて第１図では接続していた成
形品１０とゲート７とが自動的に切断される。な
お成形品突き出しピン３とバリ突き出しピン４と
は連動している。

第３図はさらに両突き出しピン３，４が上昇し
た状態を現している。図面で明らかなように、コ
ア側金型１のクボミ９すなわち凹部８の側方に、
上記成形品突き出しピン３の下部３ｂが位置して
いる。この突き出しピン３の下部３ｂは上部３ａ
に比べて小径に形成されているので、凹部８と突
き出しピン３の外周面との間には空隙１２が生じ
る。従つて凹部８内に残存していた樹脂１１が、
その樹脂の弾性復元作用により、コア側金型から
解除され、上記空隙１２内へ入り込む。

最部に第４図にて示すように、成形部１０並び
にランナー６、ゲート７はそれぞれ成形品突き出
しピン３、ゲート、ランナー突き出しピン４によ
り保持され、金型装置より取り出されるのを待つ
だけの状態となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明による射出成形用
金型装置の一実施例を示すもので、第１図は成形
時を表わす本願金型装置の縦断面図、第２図ない
し第４図は成形後の脱型工程を各々説明する縦断
面図である。第５図、第６図は各々従来例を示す
射出成形用金型装置の縦断面図である。 １……コア側金型、２……キヤビテイ側金型、
３……成形品突き出しピン、４……ゲート、ラン
ナー突き出しピン、５……キヤビテイ、６……ラ
ンナー、７……ゲート、８……凹部、９……クボ
ミ、１０……成形品、１１……樹脂、１２……空
隙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ キヤビテイ側金型と、コア側金型と、該コア
   側金型内に配設されている成形品突き出しピン
   と、ゲート、ランナーを突き出す突き出しピン
   と、そして両金型の閉型により形成されるキヤビ
   テイと、該キヤビテイに溶融樹脂を射出するゲー
   ト、ランナーとから構成される射出成形用金型装
   置において、前記成形品突き出しピンは上方を大
   径に、下方を小径に形成されているとともに、前
   記ゲートの先端下方には凹部が、該成形品突き出
   しピンの大径部外周面とコア側金型との間に設け
   られており、上記成形品突き出しピン並びにゲー
   ト、ランナー突き出しピンの上昇時に、上記凹部
   内に充填された樹脂がコア側金型に残存すること
   により、ゲート先端と成形品とが自動的に切断さ
   れ、さらに両突き出しピンの上昇により、上記凹
   部側方に成形品突き出しピンの小径部が位置した
   とき、該凹部と成形品突き出しピン外周面との間
   に形成される空隙内に上記凹部内の残存樹脂が入
   り込み、樹脂の弾性復元により、ゲートの先端が
   上記コア側金型から解除されることを特徴とする
   射出成形用金型装置。