JPH0216020Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は水冷式多気筒内燃機関におけるシリン
ダヘツドの冷却装置に関するものである。

(2) 従来の技術 従来水冷式多気筒内燃機関においては、シリン
ダブロツクとその上にガスケツトを介して重合結
着されるシリンダヘツドとにそれぞれブロツク側
水ジヤケツトとヘツド側水ジヤケツトを形成し、
それらの水ジヤケツトをガスケツト孔およびシリ
ンダヘツドに形成した複数の通水路を介して互い
に連通させ、ラジエタからの冷たい冷却水をブロ
ツク側水ジヤケツトより前記複数の通水路を通し
てヘツド側水ジヤケツトへと流動させて機関本体
を水冷却するようにしている。

(3) 考案が解決しようとする問題点 ところが、特に隣接するシリンダボア間に水ジ
ヤケツトをもたないサイアミーズ型シリンダブロ
ツクをもつ機関では、シリンダヘツドの隣接する
燃焼室間の境界壁には、その構造上複数の通水路
間の間隔が拡がり、そのため冷却水による冷却効
果が十分でなく前記境界壁の中央下部に熱がこも
り最も高温に加熱される傾向にあつて機関の性
能、耐久性等に影響を及ぼすことがあるという問
題がある。

本考案はかかる問題点を解決した、構成簡単な
水冷式多気筒内燃機関におけるシリンダヘツドの
冷却装置を提供することを目的とするものであ
る。

Ｂ 考案の構成 (1) 問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本考案は、互いに隣
接するシリンダボア相互間に水ジヤケツトを有し
ないサイアミーズ型シリンダブロツクの上面にガ
スケツトを介してシリンダヘツドを重合結着し、
前記シリンダブロツクにブロツク側水ジヤケツト
を、また前記シリンダヘツドにヘツド側水ジヤケ
ツトをそれぞれ形成し、その両水ジヤケツト間を
ガスケツト孔及びシリンダヘツドに形成した複数
の通水路を介して連通させてなる、水冷式多気筒
内燃機関におけるシリンダヘツドの冷却装置であ
つて、前記複数の通水路のうち、前記シリンダヘ
ツドの互いに隣接する燃焼室相互間の境界壁に穿
設される一対の通水路が、これらを該境界壁の中
央下部に近接させるべく、クランク軸線に対して
略対称に、且つ前記ヘツド側水ジヤケツトに向か
うにつれて互いに接近するように傾斜させて形成
されることを特徴とする。

(2) 作用 上記構成によれば、両傾斜通水路を、その相互
間隔を可及的に短縮させながら、互いに隣接する
燃焼室間の境界壁の中央下部の高温加熱ゾーンに
可及的に近接させることができるから、その両傾
斜通水路を流れる冷却水によつて、サイアミーズ
型シリンダブロツク上のシリンダヘツドに特有の
該高温加熱ゾーンが効率よく冷却される。

(3) 実施例 以下、図面により本考案の一実施例について説
明する。

サイアミーズ型シリンダブロツクＢには、ガス
ケツト３を介してシリンダヘツドＨが重合結着さ
れて機関本体Ｅが構成される。シリンダブロツク
Ｂには、クランク軸方向に沿つて複数のシリンダ
ボア１…が直列配設され、またシリンダヘツドＨ
には、前記シリンダボア１…に対応して複数の燃
焼室２が形成される。各燃焼室２には、シリンダ
ヘツドＨに形成される吸気ポート４および排気ポ
ート５が連通され、前記吸気および排気ポート
４，５は通常のようにシリンダヘツドＨに摺動可
能に支持される吸，排気弁６，７によつて開閉さ
れる。

シリンダヘツドＨの上部には、吸気弁６と排気
弁７とをそれぞれ個別に開閉作動する２本の動弁
カム軸８，９およびエンドピボツト型ロツカアー
ム１０，１１を備えたDOHC型動弁機構が設け
られる。

シリンダヘツドＨ上には、その長手方向、すな
わちクランク軸方向に沿つて吸，排気側の２本の
前記動弁カム軸８，９が互いに平行に配設され、
それらの動弁カム軸８，９は、シリンダヘツドＨ
上に設けられる軸受部１２，１３によつてそれぞ
れ回転自在に支承される。

前記２本の動弁カム軸８，９間において、複数
の燃焼室２の上方にはその長手方向に沿つて中央
ブロツク１４が上方に向けて一体に立設され、こ
の中央ブロツク１４の両側には、前記２つの吸気
弁６に対応する２つの吸気側ロツカアーム取付部
１８および２つの排気弁７に対応する２つの排気
弁側ロツカアーム１１の取付部１９が横方向に膨
出形成される。前記ロツカアーム取付部１８およ
び１９の両側には、それぞれねじ孔２０および２
１が穿設され、それらのねじ孔２０および２１に
は、ロツカアーム支持ねじ２２および２３が螺着
される。吸気側ロツカアーム支持ねじ２２の上面
には、半球状の揺動支承部２２ａが形成され、そ
の揺動支承部２２ａ上には、エンドピボツト型ロ
ツカアーム１０の基端に螺着した調節ねじ２４下
端の球面凸部２４ａが回転自在に支持される。各
吸気側ロツカアーム１０の先端は吸気弁６のステ
ム部上端に当接される。同じように排気側ロツカ
アーム支持ねじ２３の上面には、半球状揺動支承
部２３ａが形成され、この支承部２３ａ上にはエ
ンドピボツト型ロツカアーム１１の基端に螺着し
た調節ねじ２５下端の球面凸部２５ａがそれぞれ
回動自在に支持される。排気側ロツカアーム１１
の先端は排気弁７のステム部上端に当接される。
前記吸，排気側の複数個のロツカアーム１０，１
１の上面には、それぞれスリツパ面１０ａ，１１
ａが形成され、それらのスリツパ面１０ａ，１１
ａ上には、それぞれ吸，排気側の２本の動弁カム
軸８，９上の動弁カム８ａ，９ａが当接される。

シリンダヘツドＨに形成される吸，排気側ばね
座面２６，２７と、吸，排気弁６，７のステムの
上端に係止されるばね座２８，２９間には、それ
ぞれ弁ばね３０，３１が介装され、これらの弁ば
ね３０，３１はそれぞれ吸，排気弁６，７を閉弁
方向に付勢する。

第３図に示すように各燃焼室２の中央部には点
火プラグ１５が設けられる。

サイアミーズ型シリンダブロツクＢには、各シ
リンダボア１を囲むようにブラツク側水ジヤケツ
ト３２が形成され、この水ジヤケツト３２はシリ
ンダブロツクＢの上面に直接開口される。所謂オ
ープンデツキに形成される。またシリンダヘツド
Ｈには各燃焼室２を囲むようにヘツド側水ジヤケ
ツト３３が形成される。前記ブロツク側水ジヤケ
ツト３２とヘツド側水ジヤケツト３３とは、ガス
ケツト孔３４およびシリンダヘツドＨに穿設され
る複数の通水路３５…を介して互いに連通されて
おり、それらのうち第２，３図に示すようにシリ
ンダブロツクＢの隣接するシリンダボア１，１間
の上方において、シリンダヘツドＨの隣接する燃
焼室２，２間の境界壁３６に形成されるものは、
クランク軸線Ｌ−Ｌに関して略対称であつて、ヘ
ツド側水ジヤケツト３３に向つて互いに接近する
ように傾斜する傾斜通水路３５ａ，３５ａに形成
される。

而して前記一対の傾斜通水路３５ａ，３５ａは
サイアミーズ型シリンダブロツクＢの、隣接する
シリンダボア１，１間から離れているブロツク側
水ジヤケツト３２に連通させるため、前記一対の
傾斜通水路３５ａ，３５ａ間の間隔ｌには自から
限界があるが、その間隔ｌは可能な限り短縮でき
るように設定される。

しかも前記一対の傾斜通水路３５ａ，３５ａ
は、クランク軸線Ｌ−Ｌに関して略対称で、かつ
ヘツド側水ジヤケツト３３に向つて互いに接近す
る方向に傾斜されていることにより、前記一対の
傾斜通水路３５ａ，３５ａを流れる冷却水は、そ
れらに挟まれる境界壁３６の中央下部の高温加熱
ゾーンＺを有効に冷却することができる。

図中３７は潤滑油の流れるオイルギヤラリであ
る。

次に本考案の実施例の作用について説明する。

機関の運転により吸気および排気動弁カム軸
８，９が回転されれば、それらの軸８，９上の動
弁カム８ａ，９ａと弁ばね３０，３１との協働に
より吸気および排気側ロツカアーム１０，１１は
それぞれ揺動支承部２２ａ，２３ａ回りに上下に
揺動し、吸，排気弁６，７を所定のタイミングを
以て開閉作動する。

また機関の運転により冷却水回路のラジエタ
（図示せず）からの冷却水はブロツク側水ジヤケ
ツト３２から複数の通水路３５…を通つてヘツド
側水ジヤケツト３３へと流れ、シリンダブロツク
Ｂのシリンダボア１周囲、およびシリンダヘツド
Ｈの燃焼室２周囲等の加熱部を冷却する。特にこ
のうちの前記一対の傾斜通水路３５ａ，３５ａ
は、クランク軸線Ｌ−Ｌに関して略対称をなして
ヘツド側水ジヤケツト３３に向つて互いに接近す
るように傾斜しているので、該傾斜通水路３５
ａ，３５ａを流れる冷却水は、相隣れる燃焼室
２，２間の境界壁３６の中央下部の高温加熱ゾー
ンＺを有効に冷却することができる。

Ｃ 考案の効果 以上のように本考案によれば、互いに隣接する
シリンダボア相互間に水ジヤケツトを有しないサ
イアミーズ型シリンダブロツクの上面にガスケツ
トを介してシリンダヘツドを重合結着し、前記シ
リンダブロツクにブロツク側水ジヤケツトを、ま
た前記シリンダヘツドにヘツド側水ジヤケツトを
それぞれ形成し、その両水ジヤケツト間をガスケ
ツト孔及びシリンダヘツドに形成した複数の通水
路を介して連通させてなる、水冷式多気筒内燃機
関におけるシリンダヘツドの冷却装置において、
前記複数の通水路のうち、前記シリンダヘツドの
互いに隣接する燃焼室相互間の境界壁に穿設され
る一対の通水路は、これらを該境界壁の中央下部
に近接させるべく、クランク軸線に対して略対称
に、且つ前記ヘツド側水ジヤケツトに向かうにつ
れて互いに接近するように傾斜させて形成される
ので、その両傾斜通水路を、その相互間隔を可及
的に短縮させながら、互いに隣接する燃焼室間の
境界壁の中央下部の高温加熱ゾーンに可及的に近
接させることができ、従つて、その両傾斜通水路
を流れる冷却水によつて、サイアミーズ型シリン
ダブロツク上のシリンダヘツドに特有の該高温加
熱ゾーンを効率よく冷却することができるから、
この種機関の性能及び耐久性の向上に大いに寄与
し得るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は第３図−線に沿う機関本体の縦断面図、第
２図は第３図−線に沿う機関本体の縦断面
図、第３図は第１図−線に沿うシリンダヘツ
ドの底面図である。 Ｂ……シリンダブロツク、Ｌ−Ｌ……クランク
軸線、Ｈ……シリンダヘツド、２……燃焼室、３
……ガスケツト、３２……ブロツク側水ジヤケツ
ト、３３……ヘツド側水ジヤケツト、３４……ガ
スケツト孔、３５……通水路、３５ａ……傾斜通
水路、３６……境界壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに隣接するシリンダボア１相互間に水ジヤ
   ケツトを有しないサイアミーズ型シリンダブロツ
   クＢの上面にガスケツト３を介してシリンダヘツ
   ドＨを重合結着し、前記シリンダブロツクＢにブ
   ロツク側水ジヤケツト３２を、また前記シリンダ
   ヘツドＢにヘツド側水ジヤケツト３３をそれぞれ
   形成し、その両水ジヤケツト３２，３３間をガス
   ケツト孔３４及びシリンダヘツドＨに形成した複
   数の通水路３５，３５ａを介して連通させてな
   る、水冷式多気筒内燃機関におけるシリンダヘツ
   ドの冷却装置であつて、前記複数の通水路３５，
   ３５ａのうち、前記シリンダヘツドＨの互いに隣
   接する燃焼室２相互間の境界壁３６に穿設される
   一対の通水路３５ａは、これらを該境界壁３６の
   中央下部に近接させるべく、クランク軸線に対し
   て略対称に、且つ前記ヘツド側水ジヤケツト３３
   に向かうにつれて互いに接近するように傾斜させ
   て形成されることを特徴とする、水冷式多気筒内
   燃機関におけるシリンダヘツドの冷却装置。