JPH021557Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車の自動変速機のクラツチ機構
等に用いられるところの、環形の基板の一面に複
数本の圧縮コイルばねを相手部材との間で圧縮可
能に垂直姿勢で取り付けたばね組立体に関し、特
に、圧縮コイルばねの基板への取付構造に改良を
加えたばね組立体に関する。

従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 従来、この種の環形の基板の一面に複数本の圧
縮コイルばねを垂直姿勢で取り付けたばね組立体
としては、特公昭56−47419号公報において、基
板の一面にバーリング加工により円筒形の突起を
円周方向に間隔をおいて複数個突設し、この突起
に、圧縮コイルばねの一端に形成した縮径した座
巻部を嵌装して、突起の上端部をかしめて拡開さ
せて座巻部を押さえ付けることにより、圧縮コイ
ルばねを離脱不能にかつ圧縮自由に取り付けたも
のが知られているが、このような取付構造になる
ばね組立体は、突起をかしめた際に圧縮コイルば
ねの座巻部が打圧されて塑性変形を生ずることに
より有害な残留応力が付加されて強度が低下し、
ばねの折損事故が生じ易いばかりでなく、かしめ
具と突起との軸線不一致等により基板のかしめ部
が歪を生じ、圧縮コイルばねが傾いて取り付けら
れ、相手部材との組み付けに手間取つたり、圧縮
コイルばねの円滑なばね作用を阻害する不具合が
あつた。

本考案は、叙上の点に鑑み成されたものであつ
て、圧縮コイルばねを基板に取り付ける際に、そ
の取付部分となる座巻部が打圧されて塑性変形を
生ずるおそれがなく、かつ、基板に対して確実に
垂直姿勢で取り付けることができるようにしたば
ね組立体を提供することを目的とするものであ
る。

実施例 以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

本考案の第１実施例を示す第１図及び第２図に
おいて、１は外周及び内周に立上り部を有する一
定幅の環形を成す金属性の基板であつて、その底
面２には、一定半径を有する平面円形を成し、か
つ、取り付けられる圧縮コイルばね１１のばね素
線１２の線径に等しい高さの上面平坦な***部３
が、プレス成形により円周方向に一定間隔をおい
て複数個突成され、夫々の中心に挿入孔４が透設
されており、各***部３の上面には、この***部
３よりも大きな外径寸法を有する案内部１６の一
面に、前記挿入孔４に緊密に嵌合する軸部７を突
成したリベツト状の取付体１５が、軸部７を挿入
孔４に挿通してその先端部を圧潰することによつ
て固着され、取付体１５の案内部１６の下面と基
板１の底面２との間に、ばね素線１２の線径に略
等しい幅の嵌合溝８が環形に形成されている。

圧縮コイルばね１１は、ばね素線１２を素線間
に間隔を空けて円筒形に螺旋巻きした螺旋巻部１
３の両端に中心線と直角をなす一巻ずつの座巻部
を形成し、かつ、一方の座巻部１４を螺旋巻部１
３より縮径したものであつて、座巻部１４の内径
寸法は前記***部３の外径寸法に略等しく、ま
た、この座巻部１４を除く螺旋巻部１３の内径寸
法は、取付体１５の案内部１６の外径寸法よりも
小さくて案内部１６に対して締まり嵌めとなるよ
うに形成されており、この圧縮コイルばね１１
が、座巻部１４の側から座巻部１４を拡径しつつ
垂直姿勢で取付体１５の案内部１６に外嵌めさ
れ、座巻部１４がその復元弾力で嵌合溝８内に緊
密に嵌まるとともに、螺旋巻部１３の下部が案内
部１６に密嵌することによつて、座巻部１４をか
しめ付けにより固着した場合のように座巻部１４
が打圧されることなく、圧縮コイルばね１１が基
板１に対して離脱不能に、かつ、座巻部１４を除
く螺旋巻部１３が垂直姿勢で取り付けられ、圧縮
コイルばね１１が第２図に実線で示す自由状態に
おいて、その座巻部の内周面が取付体１５の案内
部１６の外周面と緊密に嵌合し、同図の鎖線に示
す相手部材を組み付けた圧縮状態において、螺旋
巻部１３の拡径によりその内周面と案内部１６の
外周面の間に〓間を有するようになつており、相
手部材に組み付ける際には、螺旋巻部１３が取付
体１５の案内部１６に緊密に嵌合していることに
より、圧縮コイルばね１１が確実に垂直姿勢で保
持され、相手部材に組み付けた後では螺旋巻部１
３と案内部１６の間に〓間ができて案内部１６と
擦り合うことなく自由に伸縮する。

また、第３図に示す第２実施例は、前記第１実
施例と同様に圧縮コイルばね１１の螺旋巻部１３
の下側の数巻きの中空内に嵌入する軸方向に長い
形状で、かつ、自由状態の螺旋巻部１３と緊密に
嵌合する案内部２６の取付面側の外周面を削り取
つて縮径部２７を形成した取付体２５を、溶接２
９により基板１の底面２に固着し、その間に形成
された環状の嵌合溝２８内に圧縮コイルばね１１
の座巻部１４を嵌めて離脱不能に取り付けたもの
であつて、圧縮コイルばね１１が取付体２５の案
内部２６を案内として確実に垂直姿勢で保持され
ること、及び、相手部材に組み付けた後では、圧
縮コイルばね１１が案内部２６と擦り合うことな
く自由に伸縮することについては、前記第１実施
例と同様である。

考案の構成及び効果 上記実施例によつて具体的に説明したように、
環形の基板の一面に外周面を案内部とする複数の
取付体を垂直に固着してその案内部と一面との間
に嵌合溝を構成し、各取付体に、螺旋巻部の一端
に縮径した座巻部を形成した圧縮コイルばねを、
その螺旋巻部を案内部に、その座巻部を嵌合溝
に、夫々、緊密に嵌合して装着し、螺旋巻部を案
内部より突出させ、相手部材への組み付けにより
圧縮コイルばねが圧縮された状態において螺旋巻
部が案内部との間に間〓を生ずる構成としたこと
を要旨とするものであつて、圧縮コイルばねを押
し込んでその座巻部を取付体の嵌合溝に嵌めるこ
とにより、各圧縮コイルばねを基板に簡単にかつ
確実に取り付けることができ、しかも、取付部分
となる座巻部は、かしめ付けにより固着した場合
のように打圧されて塑性変形を生ずることがない
から、座巻部の強度低下を招いてばね折損の原因
となるのを防止し得るばかりでなく、かしめ力の
不均衡に伴い圧縮コイルばねが傾くことがなく、
また、螺旋巻部の一部が自由状態において案内部
に密嵌しているから、確実に垂直姿勢で取り付け
ることができるとともに、圧縮状態においては螺
旋巻部が案内部との間に間〓を生ずるから、相手
部材に取付後は案内部に接触することがなく、自
由に伸縮する効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例の斜視図、第２図
はその部分拡大断面図、第３図は第２実施例の部
分拡大断面図である。 １：基板、２：底面、１５，２５：取付体、１
６，２６：案内部、８，２８：嵌合溝、１１：圧
縮コイルばね、１２：ばね素線、１３：螺旋巻
部、１４：座巻部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環形の基板の一面に外周面を案内部とする複数
   の取付体を垂直に固着して該案内部と前記一面と
   の間に嵌合溝を構成し、前記各取付体に、螺旋巻
   部の一端に縮径した座巻部を形成した圧縮コイル
   ばねを、該螺旋巻部を前記案内部に、該座巻部を
   前記嵌合溝に、夫々、緊密に嵌合して装着し、前
   記螺旋巻部を前記案内部より突出させ、相手部材
   への組み付けにより前記圧縮コイルばねが圧縮さ
   れた状態において前記螺旋巻部が前記案内部との
   間に間〓を生ずる構成としたことを特徴とするば
   ね組立体。