JPH021508B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は整形外科、口腔外科等の医療の分野に
おいて、骨欠損部に充填し補綴するセラミツク部
材に関する。

生体の骨欠損部、例えば骨腫瘍の切除部、交通
事故、労働災害などにより骨の損傷をきたして切
除した部位に充填することにより、新生骨の増生
を促進し、早期なる骨の修復を図るためには充填
された部材が移動することなく、かつ骨の増生侵
入が可能な多くの空隙を形成するような形状を成
し、生体組織との親和性がよく、機械的強度が大
きいなどの物性をもつた部材であることが望まし
い。

ところで、上記の如き骨を除去した骨欠損部に
は、従来から、自家骨である患者自身の腸骨や腓
骨など体内で比較的骨量に余裕のある部位からの
骨移植が一般に行なわれているほか、一部では仔
牛の乾燥骨が代用されたこともある。しかし前者
の場合、新生骨の増生促進を図るには最も適して
はいるが、充填をするに必要なだけの量を採骨す
るには著しい制約があり、また後者のものでは生
体への埋入後に発生する免疫反応などのトラブル
発生の原因ともなるため、現在では殆んど採用さ
れていない。

また、上記充填に用いる骨に代る部材として、
セラミツクビーズなどが提案されており、これは
生体に対する為害性がなく、しかも組織との親和
性は極めて良好であるものの、球形、楕円状など
鋭角部をもたない形状をしたものであるため、骨
欠損部への充填後も外力が少しでも作用すると
個々のビーズが容易に移動する。

このため、新生骨の増生が阻害されたり、場合
によつては、充填された骨欠損部位から脱出して
しまう恐れもあつた。

また、充填条件次第では過密充填状態になり易
すく、骨が増生し侵入し得る間隙が極端に少い場
合も発生するなどの事由により生体に対する為害
性はもたず、親和性が良好であるにもかかわら
ず、骨欠損部への充填補綴部材として整形外科領
域において幅広く用いられるまでには至つていな
かつた。

本発明は上記事情に鑑みて開発された骨補綴用
のセラミツク部材であつて、以下、実施例を図に
よつて詳述する。

第１図乃至第３図において、１，２，３はそれ
ぞれ本発明による骨補綴用のセラミツク部材を示
し、セラミツク部材１では主体を成す球状体１１
と一体的に形成された円柱状の突出部１２を有
し、該突出部１２は球状体１１のほぼ均等な間隔
に位置し、その先端部１２ａは尖鋭ではなくすべ
て丸味をもたせた形状にしてある。このようなセ
ラミツク部材１の一製造法としては所定の石膏型
中にセラミツク粉末原料を水及び有機バインダー
と混合した泥漿を流し込み脱水後に取出し、乾燥
し、焼成することにより造られる。

また、第２図に示したセラミツク部材２では断
面形状がほぼ方形をした４個の柱状の突出部２１
と２個の円柱状部２２とが一体的に主体に形成さ
れており、これらのうち角柱状の突出部２１、円
柱状部２２にはともにその先端部分２１ａ，２２
ａで尖鋭な部分をもたず、外周部はすべて丸味を
もたせてある。このようなセラミツク部材２の一
製造法としては所定の金型中にセラミツク原料粉
末を充填してプレス成型したものを焼成すること
によつて製造される。

さらに第３図に示したセラミツク部材３を成す
主体には翼状をした６枚の突出部３１を有し、軸
心部には軸方向に開口した孔３２があけられてお
り、また翼状の突出部３１の外周表面などはすべ
て丸味をもたせてある。このようなセラミツク部
材３の一製造法としては、セラミツク原料粉末に
水および有機バインダーを加えて湿式で練り上げ
たものを所定の金型を用いて押出し成型し、所望
の長さに切断した後、焼成することによつて作ら
れる。

このようなセラミツク部材１（２，３）は骨欠
損部の大きさに応じて必要な個数が充填されるが
多数個骨欠損部に充填された場合、それらの有す
る突出部１２（２１，２２，３１）が相互に交錯
して強固な構築体を形成することとなり、その結
果、個々のセラミツク部材１（２，３）の移動が
抑止されるとともに、それら突出部１２（２１，
２２，３１）の交錯によつて形成された３次元的
空隙中に骨の増生侵入が許容され骨の修復が促進
される。したがつて、突出部１２（２１，２２，
３１）の長さは機械的強度、人体各部位の骨も太
さ、骨欠損部の大きさ等の相関関係から実用的に
0.5〜５mm、好ましくは１〜３mm程度がよく、そ
の径（太さ）または厚さは0.5〜３mm、好ましく
は１〜２mm程度で、全長としては15mm以下、好ま
しくは５乃至10mm程度が適当であり、この場合の
突出部の個数としては１個以上、好ましくは３〜
８個程度が有効であることが多くの動物実験によ
り確認された。

ところで、セラミツク部材１，２，３の主体を
構成するセラミツクスとしてはアルミナ、あるい
は水酸アパタイトなどのリン酸カルシウム系の材
質が適している。すなわち、これらのセラミツク
スは、両者ともに生体に対する為害性がなく、生
体組織との親和性にすぐれている点では共通して
いるが、前者は生体に対して全く不活性であり、
機械的強度が特に大きい。また、後者のリン酸カ
ルシウム系のセラミツクスでは生体活性を有し、
骨との結合促進や条件によつては生体に吸収され
て骨と置換される性質があるため、症例に応じて
両者を使い分ければよい。

なお、これらセラミツク部材の外周部には、天
然骨に対する刺激を生ぜしめないため、及び応力
集中を避けるため等の目的から尖鋭な部分を有す
ることなくすべてにわたつて丸味をもたせておく
ことが好ましい。

以上の如く、本発明による一個以上の突出部を
具備した骨欠損部充填用のセラミツク部材は、骨
を切除した空所が比較的小さい場合は該部材のみ
を単独充填し、欠損部の空所が大きく天然骨と併
用する場合でも天然骨の充填量、即ち採骨量を大
幅に減すことができ、しかもセラミツク部材に設
けた突出部が相互にからみ合い強固な構築体を形
成することにより生体内で個々の部材の移動が抑
止されるため固定性にすぐれ、かつ突出部の交錯
によつて形成された任意の形状の３次元的空隙中
に新生骨の増生侵入が促進され、患部の骨の形態
と機能の早期回復が達成されるなど医療分野、ひ
いては人類福祉に対する貢献度はきわめて大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図はそれぞれ本発明による骨補
綴用セラミツク部材の実施例を示す斜視図であ
る。 １，２，３：セラミツク部材、１２，２１，２
２，３１：突出部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 骨欠損部空間の大きさに応じて複数個充填さ
   れ、各個の突出部が交錯した状態で骨の増生侵入
   を許容する３次元的空隙を形成する部材であつ
   て、アルミナ、リン酸カルシウムなどのセラミツ
   クスより成る主体の表面部に複数個の突出部を一
   体的に具備したことを特徴とする骨補綴用セラミ
   ツク部材。