JPH021463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は油圧タイマのオイル漏洩防止装置に
関し、特に油圧タイマを駆動する入力側デイスク
の外部にオイルが洩れ出ないようにする油圧タイ
マのオイル漏洩防止装置に関する。

従来、デイーゼルエンジンの燃料噴射時期の調
整は、エンジンの回転数によつて移動量が変化す
るフライウエイト式タイマによつて行なわれるの
が一般的であつたが、近年、このタイマに油圧を
利用した油圧タイマと呼ばれるものが採用され始
めている。

このような油圧タイマ装置は、例えば第１図の
側断面図及びそのＣ−Ｃ方向の正断面図である第
２図に示されているように被駆動側軸１に一体に
形成されるか、または一体に回転するように固定
された円板２内に嵌め合わされた第１偏心カム３
と、この第１偏心カム３に嵌め合わされた第２偏
心カム４とを備えている。

上記円板２と、これら第１及び第２偏心カム３
及び４との組立状態が第２図の上半分に示されて
おり、第２偏心カム４には、駆動デイスク５に固
着されたピン６が係入されており、一方、第１偏
心カム３には、ピストン７に固着されたピン８が
係入されている。

ピストン７は、被駆動側軸に回転自在に取付け
られているシリンダ９内に収納されており、スプ
リング１０により付勢されている。

被駆動側軸１は、図示されていない燃料噴射ポ
ンプのカム軸に連結され、この被駆動側軸１の外
周に位置するシリンダ９内には油圧装置１４から
加圧された潤滑油Ｏが送給されるようになつてお
り、この油圧装置１４は油タンク１５内の潤滑油
Ｏをポンプ１７で加圧し、絞り１１を有する油パ
イプ１３に送油しているが、この内燃機関の回転
数Ｎ及び負荷Ｌを検出しつつ、コントローラ１２
及び調圧弁１６を用いて燃料噴射ポンプの噴射時
期を変えうるようになつている。

即ち、ピストン７が図中のＡ方向に移動する場
合は、潤滑油Ｏの油圧の力により作動させ、Ｂ方
向に移動させる場合には戻し用のスプリング１０
の付勢力によつて作動させるようになつており、
油圧力によりピストン７がスプリング１０を矢印
Ａ方向に押圧すると、ピン８が破線で示す位置に
移動することにより第１偏心カムが回転し、それ
により第２偏心カム４及びピン６は第２図のそれ
ぞれ破線で示す位置に移動し、被駆動側軸１は駆
動軸円板５に対してθだけ進角するようになつて
いるものである。

第３図は前記のように作動する従来の油圧タイ
マ２０の具体的な構造を示す部分断面図であり、
第１図および第２図の装置と同じ部品は同じ番号
を符してある。

第１図および第２図に示した油圧タイマ装置と
同様にこの装置においても被駆動側軸１には円板
２が取り付けられており、この円板２内には第１
偏心カム３と第２偏心カム４が前記同様に嵌め合
わされている。５は駆動デイスク、６は駆動デイ
スク５と第２偏心カム４を連絡するピンであり、
第１偏心カム３と燃料噴射ポンプ側に設けられた
シリンダ９内を摺動するピストン７とは、シリン
ダ９の側面に設置されている図示しないスプリン
グに付勢されたプレート２４を中継して、ピン８
ａとピン８ｂとで連絡されている。

そして、前記ピストン装置やカム装置等はタイ
マハウジング２１に一体的に内蔵されており、こ
のハウジング２１は駆動デイスク５の回転に伴つ
て、進角度を保ちながら回転するようになつてい
る。１９はこのハウジング２１の入力側に取り付
けられた噴射時期検出用のパルスギヤプレートで
ある。

このように構成された油圧タイマ２０におい
て、所定の経路を経て前記円板２円板側の中心部
に固定された中空軸２２内に送り込まれる潤滑油
Ｏは、中空軸２２を貫通する給油孔２３からシリ
ンダ９内に入り、ピストン７を移動する。２５は
幅広のフランジ部を有するプラグで、このプラグ
２５は、その螺子部が中空軸２２の内径に螺着さ
れ、そのフランジ部が中空軸２２の端面に接触す
ることで、潤滑油Ｏが中空軸２２端面からの流失
するのが防止されているが、中空軸２２内の潤滑
油Ｏは、プラグ２５の螺着部２５ａから中空軸２
２の注油孔２６を通つて流出し、互いに相対回動
する駆動デイスク５と中空軸２２との境界面２７
を潤滑する。

つまり、駆動デイスク５の中央部には小径孔１
８ａと大径孔１８ｂとからなる段付穴１８が設け
られ、この小径孔１８ａに上記中空軸２２の外径
を回動自在に挿入することで、中空軸２２と駆動
デイスク５の小径孔１８ａとの間は、円板５側の
中空軸２２が駆動デイスク５に対して進角度を調
整されながら相対回動する回動面に構成されると
共に、この駆動デイスク５は、中空軸２２の端部
に接当し且つ大径に構成されたプラグ２５のフラ
ンジ部内側面で、中空軸２２に対し相対回動自在
に位置決めされている。２８は上記大径孔１８ｂ
の内面に取り付けられたオイルシールゴムで、前
記境界面２７から洩れ出た潤滑油Ｏがプラグ２５
のフランジ部外周と、駆動デイスクの大径孔１８
ｂとの間から外部に流失しないように設けられて
いる。

すなわち、従来では、中空軸２２の軸端に螺合
したプラグ２５のフランジ部により、駆動デイス
ク５を中空軸２２に対し相対回動自在に位置決め
する必要があり、フランジ付のプラグ２５を駆動
デイスク５側から中空軸２２の軸端まで挿入する
ための挿入孔としての大径孔１８ｂが駆動デイス
ク５に設けられているので、この大径孔１８ｂか
らのオイルの漏洩を阻止するオイルシール２８を
設ける必要があつた。

ところが、以上のように構成された従来の油圧
タイマ２０においては、前記オイルシールゴム２
８の劣化によるシール性の低下、および前記円板
２とデイスク５とが偏心して回転した場合の追従
性不足によるオイルシールゴム２８からの油洩れ
等により、前記潤滑油Ｏが駆動デイスク５の入力
側に洩れ出してくるという不具合がある。

この考案は、上述した従来の実情に鑑み、その
問題点を解消すべく創案されたもので、中空軸に
設けたプラグのフランジ部外径と駆動デイスクと
の間に設けられたオイルシールゴムを廃止するこ
とができて、このオイルシールゴムに起因する潤
滑油の外部への洩れをなくすことが可能な優れた
油圧タイマのオイル漏洩防止装置を提供すること
を目的とするものである。

上記目的を達成する本考案は、油圧ピストンに
よつて燃料噴射ポンプのカムシヤフトを進角調整
する油圧タイマにおいて、該油圧タイマを駆動す
る駆動デイスクの中央部に小径孔と大径孔を設
け、前記ピストンに通ずる被駆動側の中空軸に上
記デイスクの小径孔を嵌挿し、該中空軸の端部に
大径孔から挿入されるフランジ付盲プラグを螺合
して上記デイスクを相対回動自在に位置決めし、
上記大径孔をフランジ付盲プラグに接触しない盲
プラグにより密封したことを特徴としている。

以下図面を用いてこの考案の実施例を説明す
る。

第４図は第３図の従来の油圧タイマ２０と同じ
部分を断面して示すこの考案の油圧タイマ２０′
の部分断面図であり、第３図と同じ部品には同じ
番号を付してその説明を省略する。

この考案ではまず、被駆動側となる中空軸２２
の駆動デイスク５側端部に、大径孔１８ｂから挿
入される盲プラグ３０を螺着する。つまり、この
盲プラグ３０は、第５図に示すようにフランジ部
３１とねじ部３２とからなるフランジ付プラグに
構成されているが、一方の大径孔１８ｂはフラン
ジ部３１の外径よりも大径に構成される共に、フ
ランジ部３１の中央部には工具によりこのプラグ
３０を回転させて前記中空軸２２に螺着するため
の係合凹部３３を設けている。このプラグ３０の
ねじ部３２は粗いねじとし、このねじ部３２を通
つて潤滑油Ｏが注油孔２６から前記中空軸２２と
駆動デイスク５との境界面２７を潤滑できるよう
にしている。さらに、この盲プラグ３０は、中空
軸２２の端部に螺着された閉塞状態でそのフラン
ジ部３１によつて中空軸２２に対し駆動デイスク
５を相対回動自在に位置決めしている。

次に、この考案では前記プラグ３０とは全く別
体の盲プラグ４０を用意し、これを前記デイスク
５に設けられた段付穴１８の大径孔１８ｂに螺着
する。このプラグ４０は第６図に示すように本体
４１の側周面にはねじ部４２を設け、入力側外面
には取付ナツト４３を突設して、スパナやレンチ
等でこのプラグ４０が容易に前記大径孔１８ｂに
螺着できるようにする。この時、螺着部はシーラ
ント等を用いて完全に密封されるようにする。ま
た、このプラグ４０は螺着状態で前記プラグ３０
には圧接しないように構成したので、前記円板２
の運動に対しては全く干渉しない。

このように構成されたこの考案の油圧タイマの
オイル漏洩防止装置では、潤滑油は油圧タイマの
外部に洩れ出ることがなく、しかも、オイルシー
ル部には劣化や変形のないプラグを用いているの
で経年変化や振動に対してもオイルの漏洩防止が
完全に行なわれる。

以上説明してきたように本考案は、油圧ピスト
ンによつて燃料噴射ポンプのカムシヤフトを進角
調整する油圧タイマにおいて、該油圧タイマを駆
動する駆動デイスクの中央部に小径孔と大径孔を
設け、前記ピストンに通ずる被駆動側の中空軸に
上記デイスクの小径孔を嵌挿し、該中空軸の端部
に大径孔から挿入されるフランジ付盲プラグを螺
合して上記デイスクを相対回動自在に位置決め
し、上記大径孔をフランジ付盲プラグに接触しな
い盲プラグにより密封したから、油圧ピストンに
通ずる中空軸に小径孔が嵌挿された駆動デイスク
を、この中空軸の端部に大径孔から挿入されるフ
ランジ付盲プラグを螺合することによつて、相対
回動自在に位置決めすることができる。

しかも、この駆動デイスクに設けたフランジ付
盲プラグ挿入用の大径孔はフランジ付盲プラグに
接触しない盲プラグによつて密封することによ
り、従来のように大径孔に設けるオイルシールを
全く不要にできるので、オイルシールのような経
年劣化が全くなく上に振動に対するオイル洩れの
心配がなく、油圧タイマのオイル漏洩防止の信頼
性が万全となるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の油圧タイマの概略側断面図、第
２図は第１図のＣ−Ｃ方向の概略正断面図、第３
図は従来の油圧タイマ装置の全体構造を示す部分
断面図、第４図は第３図の従来の油圧タイマと同
じ部分を断面して示すこの考案の油圧タイマのオ
イル漏洩防止装置の断面図、第５図および第６図
はそれぞれ第４図のプラグの斜視図である。 １……被駆動側軸、２……円板、５……デイス
ク、６，８，８ａ，８ｂ……ピン、７……ピスト
ン、９……シリンダ、１８……段付孔、１８ａ…
…小径孔、１８ｂ……大径孔、２０……従来の油
圧タイマ、２０′……この考案の油圧タイマ、２
２……中空軸、２３……給油孔、２５……プラ
グ、２６……注油孔、２７……境界面、２８……
オイルシールゴム、３０，４０……プラグ、３１
……フランジ部、３２……ねじ部、３３……係合
凹部、４２……ねじ部、４３……取付ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 油圧ピストンによつて燃料噴射ポンプのカムシ
   ヤフトを進角調整する油圧タイマにおいて、該油
   圧タイマを駆動する駆動デイスクの中央部に小径
   孔と大径孔を設け、前記ピストンに通ずる被駆動
   側の中空軸に上記デイスクの小径孔を嵌挿し、該
   中空軸の端部に大径孔から挿入されるフランジ付
   盲プラグを螺合して上記デイスクを相対回動自在
   に位置決めし、上記大径孔をフランジ付盲プラグ
   に接触しない盲プラグにより密封してなる油圧タ
   イマのオイル漏洩防止装置。