JPH0211462Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、建設工事で使用した仮設杭を引抜
くための装置に関する。

地下を有する建築工事では仮設用桟橋を設置す
ることが多い。その桟橋や土留用切梁を支えるた
めに多くの仮設杭が打設されている。その仮設杭
は地上階建設前に引抜かれることが望ましいが、
現状は工期、敷地条件、適用工法等により上部躯
体が引抜きに先行することが多い。従つて仮設杭
をそつくり引抜くことができることは少ない。そ
こで、上部空間の制限されたなかで、短かく分割
して回収している。

しかし、従来の仮設杭の引抜きは、第１図ない
し第４図に示すように作業工数が多く、かつ作業
人員も多く必要であつた。第１図では、仮設杭ａ
をスラブｂを反力としてジヤツキｇ又はウインチ
により引抜き、地盤との縁切りを行つている。こ
の作業は通常鳶工２名で行なう。第２図において
は、仮設杭ａの上端と上部スラブに滑車ｃをセツ
トし、ウインチｄにより出来るだけ引抜く。第３
図においては、仮設杭のスラブレベルに貫通孔を
あけ、カンザシｅを通し、ウインチｄをゆるめて
荷重をあずける。カンザシの上部で仮設杭を切断
し、切断杭を倒して外部へ搬出する。第４図にお
いて、再び残りの仮設杭の上部に滑車ｆを取付け
て第３図のように引抜きをする。通常第２図ない
し第４図の作業は、鳶工２名、切断工１名で行な
われ、さらに途中階で見はりおよび養生が必要で
あり、作業能率が悪かつた。

本考案の目的は、仮設杭の縁切り、引抜き作業
を能率よく行なえるようにするとともに、引抜き
のための滑車等をスラブに取付けなくとも仮設杭
の引抜きができるようにして、仮設杭の切断長さ
を大きくとれるようにすることである。

次に図面により本考案の仮設杭の引抜装置を説
明する。引抜装置の架台１は、下面に車輪２を設
けられてスラブ３上の移動可能な走行台１′に載
置される。架台１および走行台１′の側部中央に
仮設杭４を貫通させる通孔５が設けられる。通孔
５は側方に開口し、通孔５を仮設杭４が貫通する
よう走行台１′を設置した後、図に記さない保持
杆により通孔５の開口を適宜閉鎖し得る。走行台
１′の前後端にジヤツキ６を設けて、伸長したと
きに架台１が走行台の車輪２を介することなくス
ラブ３上に反力をとれるようにする。なお、架台
１に下方に張り出し可能な支持脚を設け、架台１
の支持脚をスラブ３上に張り出して架台１が走行
１′を介することなく、スラブ３上に反力をとれ
るようにしてもよい。

架台１上に仮設杭４の縁切りのための昇降装置
７を設け、該昇降装置７は通孔５の前後位置にそ
れぞれジヤツキ８が設けられて成る。

各ジヤツキ８上には、通孔５の上方に対峙する
保持装置９が設けられ、引抜き中の仮設杭４の落
下を防止する。保持装置９は偏心摩擦部材１０が
揺動可能に基枠１１に軸着され、該偏心摩擦部材
１０は上方より下方に向つて半径を小に形成さ
れ、また上方より仮設杭４に向つてシリンダ１３
により押動されることにより、仮設杭４の上昇を
許すが、下降は摩擦により許さない。なお、偏心
摩擦部材１０は、仮設杭４に対する面を歯溝に形
成してもよい。基枠１１は、昇降装置７のジヤツ
キ８に取付けた基台１２上を横方向に摺動でき、
その摺動は基枠１１と基台１２間に設けたシリン
ダ１４によりなされる。一対の保持装置９におけ
るそれぞれのシリンダ１４は、それらシリンダ内
の前室が互いに連通されるとともに、互いに後室
も連通され、加圧制御装置ｐによりそれらが加圧
されて、仮設杭の引抜き中の傾きに追従して同一
押圧力で仮設杭４を挟持できる。

各保持装置９上には、仮設杭４の引上装置１５
が設けられ、この一対の引上装置１５は保持装置
と同様に通孔５の上方に対峙する。引上装置の基
枠１６に、引上ギヤ１７が回転駆動装置１８によ
り回転可能に設けられ、該基枠１６は保持装置の
基枠１１上に取付けた基台１９上を横方向に摺動
可能とされ、基枠１６と基台１９との間に設けた
シリンダ２０により引上ギヤ１７が仮設杭４に押
圧される。各引上装置におけるシリンダ２０は、
保持装置９の場合と同様に、互いの前室が連通さ
れ、かつ互いの後室も連通され、それらは加圧制
御装置p′に連通されて、仮設杭の傾き等があつて
も同一押圧力で追従できるようにつている。

架台１の後部上に支柱２２が起立され、該支柱
２２に支柱回りを旋回し得る旋回装置２３を設
け、該旋回装置２３に設けたピニオン２４が支柱
に設けたラツク２５に沿つて回転されることによ
り昇降できるが、この昇降はワイヤと滑車とを利
用して行つてもよい。旋回装置２３に横方向に張
り出した回転装置２６を設け、該回転装置の先端
に仮設杭の掴み装置２７を設け、引抜いた仮設杭
を横転させて走行台上に載置できるようになつて
いる。なお、回転装置２６と旋回装置２３とはモ
ータ等の回転駆動装置により回転され、掴み装置
２７は一体の掴みが軸支部を回転中心に開閉でき
るようにしたものである。

本考案の仮設杭の引抜装置は上記の通り構成さ
れ、仮設杭を引抜くときは、架台１を仮設杭４の
位置に移動し、仮設杭を通孔５内に位置させ、ジ
ヤツキ６の伸長により架台反力がスラブで受けら
れるようにする。そして保持装置９のシリンダ１
４を伸長操作して仮設杭４を挟持し、昇降装置７
のジヤツキ８を伸長して仮設杭を引上げ縁切りを
する。次に引上装置１５のシリンダ２０を操作し
て、引上ギヤ１７を仮設杭１４に押圧し、さらに
引上ギヤを回転させることにより仮設杭を引抜
く。

この後、昇降装置７を下降して、仮設杭４をス
ラブ間の階高分の長さで切断し、掴み装置２７で
掴み、さらに旋回装置２３および回転装置２６で
横転、旋回し、旋回装置２３を下降させて切断し
た仮設杭を走行台１′上に載置する。さらに、仮
設杭を引抜くときは前記と同様の作用をすればよ
い。

以上の通り本考案においては、架台上に仮設杭
の縁切りのための昇降装置と、落下防止のための
保持装置と、引上げのための引上装置とを設けて
いるので、従来のように上方スラブに滑車等を設
けることなく、小人数で迅速にかつ容易に仮設杭
を引抜くことができ、しかも従来のように滑車を
使用した場合より仮設杭の切断長さを大きくで
き、再利用に好都合となる。

また仮設杭の引抜中でも、保持装置が設けられ
ているので誤つて引抜き中の仮設杭が落下するこ
となく、安全に引抜き作業ができる。

さらに引抜き切断した仮設杭は横転、旋回装置
により迅速かつ容易に走行台上に載置でき、作業
性がよい。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は従来の仮設杭の引抜状況
を段階的に示す概略説明図、第５図は本考案の引
抜装置の全体側面図、第６図は第５図における保
持装置の平面図、第７図は第５図における引上装
置の平面図、第８図は第５図における横転、旋回
装置の平面図である。 １……架台、４……仮設杭、７……昇降装置、
９……保持装置、１０……偏心摩擦部材、１５…
…引上装置、１７……引上ギヤ、２３……旋回装
置、２７……掴み装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動可能な架台に仮設杭を貫通させる通孔を設
   けるとともに架台上に昇降装置を設け、該貫通孔
   の上方に対峙させて配した一対の保持装置をその
   昇降装置上に設け、該保持装置は引抜き中の仮設
   杭の落下を防止するようシリンダにより付勢され
   た偏心摩擦部材を有し、該保持装置のそれぞれの
   上方に引上装置を設け、該引上装置は駆動装置に
   より回転される引上ギヤを仮設杭に押圧可能に設
   け、また架台上適所に支柱を設け、該支柱には引
   抜いた仮設杭を掴んで横転しおよび旋回し得るよ
   うにした仮設杭の横転旋回装置を昇降可能に設け
   たことを特徴とする仮設杭の引抜装置。