JPH019577Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は輸液（輸血を含む）の残量を検出する
輸液残量検出装置に関するものである。

（従来の技術） 病院等では大量の液を血管内、皮下、腹腔内に
投与する輸液、あるいは血液を血管内に注入する
輸血が行われている。かかる輸注時に輸液容器が
空になると空気が生体内に入り込んだり、また場
合によつては人体から体液が逆流することがあり
極めて危険である。このような危険を避けるため
患者等が輸液残量を監視して輸液残量が少なくな
つたときに看護婦や医師に連絡するようにしてい
るが、これでは煩雑であり、かつ安全性も欠け
る。そのため輸液容器の輸液切れを自動的に検出
する以下のような装置が提案されている。

(1) 輸液容器の下端開口を閉塞するゴム栓に２本
の注射針を差し込み、２本の注射針の間に電圧
をかけて、この２本の注射針の間に電流が流れ
るか否かによつて輸液切れを検出する。（輸液
は導電体であるため、輸液容器に輸液があれば
電流が流れ、輸液が切れると電流は流れない） (2) 輸液容器の重量を連続的に測定し、その測定
値に基づいて輸液切れを検出する。

(3) 輸液容器の下部に取り付けた光電スイツチを
用い透過光量の変化により輸液切れを検出す
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら上記(1)の電流の導通の有無による
検出法では、輸液容器に接続された輸液チユーブ
の他端が患者の血管内に挿入されているため患者
の体内に電流が流れる危険がある。輸液容器の重
量を測定する(2)の検出法では、患者と輸注する輸
液の比重が輸液の種類により異なるため、使用す
る輸液の種類に応じて重量を調整しなければなら
ず、取り扱いが煩雑で誤動作も生じやすい。ま
た、透過光量の変化により輸液切れを検出する(3)
の方法では輸液の色がその種類によつて異なり、
光の透過係数もさまざまであるため、調整がむず
かしい。また、輸液が光電スイツチの検出筒所に
付着して残つていると誤動作をおこす恐れがあ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案者らは従来の輸液容器内に貯留する輸液
切れを検出する装置の問題点を解消し、信頼性が
高く、取り扱いが容易で、かつ安全性も十分確保
された輸液残量検出装置を提供するため鋭意検討
した結果本考案に到達したものである。すなわち
本考案は内部が大気圧に保たれた輸液容器の下端
に、表面張力で輸液の侵入が阻止され、かつ該容
器の内部と連通する細いパイプを接続し、該細い
パイプの他端に接続された圧力センサで、該輸液
容器内の輸液の表面変化による水柱圧力の変化を
細いパイプ内に封入された空気の圧力変化として
検出するとともに、該圧力センサから発信された
信号を圧力設定回路で設定された水柱圧力の設定
値と比較して、該圧力センサからの信号が設定値
に到達したとき警報を発するよう構成したことを
特徴とする輸液残量検出装置である。

（実施例） 次に本考案の輸液残量検出装置の一実施例を図
面にて説明する。第１図において、スタンド４に
は所定の輸液が満たされた輸液容器５が吊るされ
ている。輸液容器５の下端開口にはゴム栓８が取
り付けられ、このゴム栓８に先端が輸液容器の上
部に設けられた空間に開口して輸液容器の内部と
外部を連通して、容器内部を大気圧に保持するエ
ア針６ｂと患者に輸注する輸液チユーブ７が接続
される容器針６ａが穿刺されている。

上記ゴム栓８にはさらに輸液容器の内部と連通
する圧力検出用の細いパイプ９が接続される。該
細いパイプ９はゴム栓とどのように接続されてい
ても構わないが、通常例えば第３図に示すように
先端が容器の内部に突出するようにゴム栓８に穿
刺された注射針６ｃに接続するのが好ましい。

上記圧力検出用の細いパイプ９は輸液が表面張
力でパイプ内に侵入しないものであり、医療用に
使用されている可撓性の塩ビ製のパイプを使用す
る場合には通常内径１mm以下、好ましくは0.8mm
以下のパイプが用いられる。そしてパイプの端部
には圧力センサ１０が取り付けられる。この圧力
センサとしては通常ダイアフラム型の圧変換器が
用いられる。上記細いパイプ９内に注入された空
気Ａには輸液容器５内に貯留する輸液のヘツド
圧、すなわち細いパイプの輸液容器内への開口端
から輸液の液面までの高さに相当する水柱圧力
（ｈ mm Aq）が付与される。したがつて輸液容
器の液面が変化すると水柱圧力は直ちに、かつ確
実に細いパイプ９内に封入された空気Ａに付与さ
れ、空気の圧力の変化に転換させることができ
る。上記細いパイプ９内には絶対に輸液が侵入し
てはいけない。輸液がパイプ内に侵入すると、第
４図に示すようにパイプ内に封入された空気の上
端位置と容器内に貯留する輸液の液面との高さＨ
が、実際の液面高さｈにパイプ内に侵入した輸液
の侵入高さh′が加算されて表示される。そのため
輸液容器が空となつても見掛上パイプ内への輸液
の侵入高さh′分だけ輸液が残留しているように表
示される。上記空気Ａの圧力変化は細いパイプの
先端に取り付けられた圧力センサ１０のダイアフ
ラムに変位を与え、このダイアフラムの微小変位
を金属ワイヤ歪ゲージ、半導体歪ゲージ等で検出
し、その検出信号を制御装置２０へ送る。制御装
置ではこの信号は増巾回路１１で増巾され表示器
１２に液面レベルを表示する。またこの信号は比
較回路１３へ送られる。比較回路では設定回路１
４で設定された水柱圧力（液面レベル）と比較さ
れる。液面が減少して圧力センサ１０からの信号
が設定値に到達すると警報器１５へ信号が発せら
れる。

第２図は大量の輸液を行う場合の実施例であ
り、可撓性のバツグからなる３個の輸液容器５
ａ，５ｂ，５ｃの下端に穿刺した注射針６ｄが連
結管１８で連結され、それぞれの連結管にバルブ
１６を設けている。また輸液容器５ａに穿刺され
た注射針６ａには、先端が患者の血管内に挿入さ
れるカテーテル等に接続された輸液チユーブ７が
接続されている。そして該輸液チユーブ７の途中
にバルブ１７とローラーポンプの如き定流量ポン
プ１９を設置し、該輸液容器５ａに取り付けられ
た、空気を封入した細いパイプ９により、輸液容
器５ａの液面レベルを検出する。該輸液容器５ａ
の液面が設定値以下となると連結管１８に設置し
たバルブ１６を開くと同時に、輸液用回路７に設
置したポンプ１９の回転数の制御を行うと、全て
の輸液容器内の輸液を完全に輸注することができ
る。なお輸液容器５として十分に柔らかい塩ビ等
のプラスチツク製のバツグを使用する場合には、
バツグ内は大気圧に保たれるため第１図に示すよ
うなエア針は不要である。

（考案の効果） 本考案は、輸液容器中の輸液の液面レベルを圧
力に変換し、この圧力を圧力センサで検出するこ
とにより、輸液の入つた容器の形状・色等によら
ず正確に残留輸液量が検出できる。しかも検出点
が１点でなく連続的に検出可能なため、輸液容器
の交換が必要な場合には、あらかじめ残留液量に
余裕を見て警報点を設定しておくと、輸液回路中
への空気の混入防止や、輸液容器の交換作業の煩
雑さを解消することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の輸液残量検出装置のフロー図
であり、第２図は複数の輸液容器を用いる場合の
フロー図であり、第３図及び第４図は輸液容器の
下部構造を説明する詳細断面図である。 ５……輸液容器、６ａ……容器針、６ｂ……エ
ア針、７……輸液チユーブ、８……ゴム栓、９…
…パイプ、１０……圧力センサ、１２……表示
器、１３……比較回路、１４……設定回路、１５
……警報器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部が大気圧に保たれた輸液容器の下端に、表
   面張力で輸液の侵入が阻止され、かつ該容器の内
   部と連通する細いパイプを接続し、該細いパイプ
   の他端に接続された圧力センサで、該輸液容器内
   の輸液の液面変化による水柱圧力の変化を細いパ
   イプ内に封入された空気の圧力変化として検出す
   るとともに、該圧力センサから発信された信号を
   圧力設定回路で設定された水柱圧力の設定値と比
   較して、該圧力センサからの信号が設定値に到達
   したときに警報を発信するよう構成したことを特
   徴とする輸液残量検出装置。