JPH0159079B2

JPH0159079B2 -

Info

Publication number: JPH0159079B2
Application number: JP20622285A
Authority: JP
Inventors: Shiro Aoki; Hajime Motosugi; Tatsuo Enomoto; Kikuo Kikuo
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1985-09-20
Filing date: 1985-09-20
Publication date: 1989-12-14
Also published as: JPS6268696A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕本発明は、ステンレス鋼のガスシールドアーク
溶接に用いるフラツクス入りワイヤの改良に係
り、さらに詳しくは100％CO₂のシールドガスに
おいてもスパツタが少なく、アークが安定で、溶
滴移行性に優れ、溶着効率の良好なステンレス鋼
溶接用フラツクス入りワイヤに関する。〔従来の技術〕フラツクス入りワイヤを用いるステンレス鋼の
ガスシールドアーク溶接はワイヤに内蔵されたフ
ラツクスによるスラグシールドとガスシールドの
両方によつて溶接金属を保護するので、ソリツド
ワイヤによるミグ溶接にくらべビード形状が良好
で、ブローホール、融合不良などの欠陥が発生し
にくいという長所があるため急速に普及してい
る。特に近、立向姿勢やより薄板への適用が検討さ
れ、1.2mmφ、1.0mmφあるいはそれ以下の細径ワ
イヤ需要が高まつて来ている。しかしながら、ステンレス鋼溶接用フラツクス
コアードワイヤの場合には外皮ステンレス鋼成分
と目的とする溶着金属成分との差を調整したり溶
接による合金成分の消耗を補償するための合金成
分をフラツクス中に多量に含有しなければなら
ず、いきおい充填率が高く外皮肉厚が薄くなり、
しかも外皮ステンレス鋼の電気抵抗も大きいため
に、スパツタの発生が多くなりがちであつた。また、特開昭49−123140号公報において指摘さ
れているように、フラツクス入りワイヤには溶接
電流がワイヤの外皮のみに流れ、芯部のフラツク
スの溶融が遅れる結果、アークの足が動き廻つて
アークが乱れ、アークの集中性が悪くなるという
問題点があるが、とくにステンレス鋼溶接用ワイ
ヤの場合には外皮の電気抵抗が大きく、しかも肉
厚が薄いため、これら問題点はより顕著であり同
号公報で開示されているような、内蔵フラツクス
の粒度調整という手段のみでは解決できなかつ
た。スパツタ発生量の低減については、特開昭58−
70993号公報において、金属フツ化物の10倍以上
のSiO₂をワイヤ中に含有せしめる技術が開示さ
れているが、金属フツ化物は耐ピツト性を改善し
たりスラグの融点調整に有効な成分であり、他の
成分の含有の必要性やフラツクス充填率の適正範
囲との兼ね合いの中での前記のようなSiO₂の十
分の一以下という制限は、フラツクス入りワイヤ
の性能設計上かなりの障害となり得るものであつ
た。さらに、ステンレス鋼の溶接においては、腐食
の起点となり得るのでスパツタ除去が必要であ
り、その作業工数の低減を図るため、より一層の
スパツタ低減が各方面より求められていた。〔発明が解決しようとする問題点〕本発明は以上のような問題点を解決すべくなさ
れたものであつて、その目的とするところは、ス
パツタ発生量が少なく、アーク状態、溶滴移行性
が優れ、溶着効率が良好なステンレス鋼溶接用フ
ラツクス入りワイヤの提供にある。〔問題点を解決するための手段〕本発明者らは、フラツクス入りワイヤによるス
テンレス鋼のガスシールドアーク溶接におけるス
パツタ低減を目的に鋭意検討した結果、スパツタ
発生量はワイヤ中のスラグ含有量が少ない程減少
する傾向が認められ、少ないスラグ量でも、十分
なスラグ被包性と良好なスラグ剥離性を示すスラ
グ系としてSiO₂−ZrO₂−TiO₂系成分範囲を新た
に見出すに到つた。またフラツクス中の金属成分
含有量を多くし、フラツクスを溶融しやすくする
ことによつてアーク状態、溶滴移行性が改善され
ることを見出した。本発明は以上の知見に基づくものであつて、そ
の要旨とするところはワイヤ全重量に対し1.5〜
3.7％のSiO₂、0.7〜2.0％のZrO₂、0.7〜4.2％の
TiO₂、0.1〜0.7％の金属フツ化物、0.3〜2.3％の
Mnをフラツクス中に含有すると共に、フラツク
ス中のスラグ成分の合計がワイヤ全重量の4.5〜
9.5％で、さらにフラツクス中の金属成分の合計
がフラツクス全重量の59〜85％を占め、かつ炭酸
塩を実質的に含有しないことを特徴とするステン
レス鋼溶接用フラツクス入りワイヤにある。以下に本発明を作用と共に詳細に説明する。〔作用〕まず、本発明のフラツクス入りワイヤとは第１
図ａ〜ｄにその一例を示すような断面形状のワイ
ヤで、パイプあるいは帯鋼から成る外皮１によつ
て充填フラツクス２を被包したものであり同図ｂ
〜ｄの如く継目３を有するもの、あるいは同図ａ
に示すような継目のないものでもよい。外皮材としては軟鋼、フエライト系ステンレス
鋼、およびオーステナイト系ステンレス鋼を用い
ることができるが、オーステナイト系ステンレス
鋼溶接用ワイヤの場合には、軟鋼やフエライト系
ステンレス鋼外皮を用いることは成分設計が困難
である。次に、本発明は以下の実験結果に基づくもので
ある。まず、SUS 304L鋼の帯鋼およびパイプを用い
て、第１図に示すような断面形状のフラツクス組
成および充填率の異なるJIS Z3323YF−308L相
当のワイヤ径1.2mmのフラツクス入りワイヤを製
造し、SUS304L鋼平板上にDCRP200A、31V、
30cm／minの溶接条件で炭酸ガスアーク溶接を行
ない、その時発生したスパツタを銅製捕集容器内
に集収、秤量することによつて、各ワイヤのスパ
ツタ発生量を比較し、スパツタ発生量に影響を及
ぼす要因について検討した。なお、フラツクス充
填率の検討範囲は９〜30％とした。その結果、ワイヤの単位長さ当り重量とスパツ
タ発生量との間に弱い相関があるのに着目し、ワ
イヤ中のスラグ成分含有量（フラツクス中のスラ
グ成分量×フラツクス充填率）とスパツタ発生量
との間の明らかな傾向を把握するに到つた。すなわち第２図は、ワイヤ中のスラグ成分含有
量とスパツタ発生量との関係を示すものであり、
スパツタの発生量はワイヤの断面形状やワイヤ中
のフラツクス充填率にはほとんど関係なく、ワイ
ヤ中のスラグ成分量の減少と共に減少することが
明らかとなつた。これはワイヤ中のスラグ成分含有量の低いワイ
ヤは、フラツクス充填率が低く、外皮肉厚が厚い
か、もしくはフラツクス中の金属成分量が多くな
つており、ワイヤ断面における金属物質の占める
割合が多くなる結果、溶接時の電流密度が実質的
に低下したことがその原因と考えられる。しかしながら、ガスシールドアーク溶接用フラ
ツクス入りワイヤにおけるスラグはビード形状を
整え、溶接金属を保護するために添加するもので
あり、一般にその量が不足すれば、上記の効果が
発揮できなくなり、スラグがビード表面にこびり
ついたり、ビード形状、ビード外観が悪化するた
め単純にスラグ量を低下することはできない。そ
こで本発明者らは、少ないスラグ量でもスラグ被
包性やスラグ剥離性を損なわないスラグ成分系の
開発を目的に、スラグの融点、流動性について検
討を重ねた結果、後述するような数値範囲の
SiO₂−ZrO₂−TiO₂系スラグが適することを見出
すに到つた。次に、ワイヤ外皮に対して内部フラツクスの溶
融が遅れ、アークが不安定となり、アークの集中
性が劣化するフラツクス柱の突出し現象について
はフラツクス部分の溶融のタイミングを早めるべ
く種々検討した結果、内蔵フラツクス中の金属成
分含有率が高い程アークの集中性、安定性が増
し、溶滴もほとんどスプレー状の移行形態とな
り、均一なアーク音の極めて安定したアーク状態
となることを見出した。この現象は次のように理解される。すなわち、
スラグを形成する成分としては一般に酸化物やフ
ツ化物が用いられるが、このうちフツ化物や
NA₂O、K₂Oといつたアルカリ金属酸化物はスラ
グ物性やアーク状態に及ぼす影響が顕著であるた
め、その使用量は必然的に限定され、スラグは
SiO₂、TiO₂、ZrO₂、Al₂O₃、MgO等の酸化物に
よつて主成分が構成される。しかし、これら主成分酸化物はいずれも外皮ス
テンレス鋼にくらべその融点が高く、これが先に
述べた外皮ステンレス鋼と内部フラツクスとの溶
融の時間的ずれの原因となつていたものと考えら
れる。これら高融点の酸化物粒の間に比較的低融
点の金属粉が多量に入り込むことによつて金属自
体がアークの発生点になつたり、発生点にはなら
ない場合でも周囲の高融点酸化物より先に溶融さ
れるためフラツクス全体が極めて溶融されやすく
なる結果、外皮との溶融の時間差がほとんどなく
なり、フラツクス柱の突出し現象が解消され、ア
ーク状態や溶滴移行性が改善されるものと考えら
れる。なお金属成分の増加によりアーク状態が改善さ
れる効果は第１図ａ，ｂ，ｃのような単純円型断
面のワイヤにおいて特にその効果が顕著であつ
た。以下に本発明において規定した各種数値の限定
理由について述べる。まず、本発明の根幹とも言えるスラグ成分につ
いて説明するならば、SiO₂は被包性の良いスラ
グを形成するに必要な成分であるが、1.5％未満
ではその効果が発揮できる、スラグ被包性が劣化
するが、3.7％を超えるとスラグの焼付きを生じ
剥離性が劣化する。なお、SiO₂の原材料として
はケイ砂、ケイ石の他、ケイ灰石、ジルコンサン
ド、カリ長石等の原料の副成分を利用できる。 ZrO₂は、スラグに流動性を与え、スラグ量低
減に有効な成分であり、0.7％未満では、その効
果が不十分であり、逆に2.0％を超えた場合には
フラツクスが溶けにくくなり、ワイヤ外皮と内部
フラツクスとの溶融時間差が拡がりアーク状態が
劣化する。原材料としては酸化ジルコニウム、ジ
ルコンフラワー、ジルコンサンド等を用い得る
が、融点の低いジルコンサンドを用いることが望
ましい。 TiO₂は、緻密な剥離性の良いスラグを形成す
るが0.7％未満ではその効果が発揮されず、4.2％
を超えるとスラグの流動性が劣化し、スラグ被包
性を確保するために必要なスラグ量が増大し、ス
パツタが発生しやすくなる。原材料としては、ル
チール、チタン白、チタンスラグ、イルミナイト
さらにはチタン酸カリ、チタン酸ソーダ、チタン
酸カルシウム等のチタン酸塩等が単独、あるいは
複合で用いられる。金属フツ化物はスラグの融点調整や耐ピツト性
改善のために添加され、0.1％未満では耐ピツト
性が確保できず、逆に0.7％を超えるとスラグ融
点が低くなり過ぎ、ビード形状が劣化すると共
に、フツ素ガス発生によりスパツタが発生しやす
くなる。金属フツ化物としてはCaF₂、NaF、
AlF₃、MgF₂、LiF等を単独もしくは複合で用い
るが、上記範囲内であればその効果はどのフツ化
物もほぼ同等であつた。本発明においてスラグ成分とは、酸化物、フツ
化物等の非金属成分を意味するものであり、上記
の他にスラグ塩基度の調整やスラグの融点、流動
性の微調整に用いるAl₂O₃、FeO、MgO、CaO、
MnO、BaO、合金歩留りの調整に用いるCr₂O₃、
NiO、アーク状態の若干の調整に用いるNa₂O、
K₂O、Li₂O、さらにはスラグ剥離性の改善に用
いるBi₂O₃、PbO等、さらにはこれらの原料から
もたらされる不純物としてＰ、Ｓ等も含まれる。これらをも含めた全スラグ成分がワイヤ全重量
に対し4.5〜9.5％の範囲とすることが本発明のポ
イントのひとつであるが、これはスラグ成分が
9.5％を超えた場合には前述のようにスパツタ量
が多くなり、4.5％未満ではいかに被包性の良い
スラグ系といえどもスラグ量が不足しスラグがビ
ード表面を覆うことが不可能となることによる。なお、Na₂O、K₂O等のアルカル金属酸化物は
過多となるとスパツタ増加の原因となるので合計
0.6％以内が、Bi₂O₃等低融点金属酸化物は、ビー
ド形状の劣化や靭性の低下をもたらすので総量
0.2％以下がそれぞれ望ましい。また、フラツクスは原材料粒度、フラツクス成
分、充填方法等に応じて、固着剤によつて造粒し
て用いることもあるが、その場合には固着剤から
もたらされる成分、例えば水ガラスの場合では
SiO₂、Na₂O、K₂O等が増加することをあらかじ
め考慮して原料配合を行うことが必要である。次に、Mnは脱酸剤として添加するものであ
り、耐割れ性を改善しアーク安定化の効果もある
が、0.3％未満ではその効果が発揮できず、2.3％
を超えるとスラグの流動性、スラグ剥離性を損
う。なお、ここで言うMnは、金属マンガンあるい
はフエロマンガンを用いるものであり、鉄粉やス
テンレス鋼粉からもたらされるMnは含まないも
のとする。これは鉄粉やステンレス鋼粉中に含ま
れるたかだか２％程度のMnでは脱酸剤としての
効果が期待できないことによる。本発明において金属成分とは、通常ステンレス
鋼に用いられるNi、Cr、Mo、Nb、Ｗ、Cu等の
合金剤、Al、Ti、Mn等の脱酸剤、これら成分を
含有する合金鉄、さらには鉄粉やステンレス鋼粉
等を意味し特に鉄粉、ステンレス鋼粉、合金鉄は
フラツクス中の金属成分含有量を調整するために
その成分組成に応じて使い分けることができる。すなわち、市販されている各種のステンレス鋼
に合わせて、JIS Z3323には各種のステンレス鋼
フラツクス入りワイヤが規格化されているが、例
えば外皮としてSUS304鋼を用いた場合、合金成
分の高い溶着金属を得るYF−309やYF−309J相
当ワイヤを設計する場合にはフラツクス中の合金
成分量を多くしなければならないので純ニツケル
や純クローム粉を用い、比較的合金成分の低い
YF−308相当ワイヤの場合には、鉄粉、ステンレ
ス粉、あるいはフエロクローム等合金含有量の低
い金属粉を用いて、フラツクス中の金属成分量を
高く保持しなければならない。各種規格ワイヤにおける溶着金属成分に対し、
溶接による消耗を考慮の上、次式を目安にしてワ
イヤ合金量の設計を行う。 M_D＝M_C×（100−Ｒ）＋M_F×Ｒ／100−Ｓ M_D：消耗のない場合の溶着金属中の合金含有量
（％） M_C：外皮中の合金含有量（％） M_F：フラツクス中の合金含有量（％）Ｒ：フラツクス充填率（％）Ｓ：ワイヤ中のスラグ含有率（％）例えば、炭酸ガスアーク溶接の場合、Niにつ
いてはほぼ100％、Crについては約90％の歩留を
示し、シールドガス中のアルゴン比率が高くなる
に従つて歩留はわずかに高くなる。本発明においてフラツクス中の金属成分をフラ
ツクス全重量の59〜85％としたのは、59％未満で
はフラツクス溶融のタイミングが遅れ、スプレー
状の溶滴移行でアーク音が均一な安定したアーク
状態とはならず、また85％を超えると、スラグ成
分量との兼ね合いからワイヤ中のフラツクス充填
率が高くならざるを得ず、ワイヤの伸線工程にお
ける断線トラブルが生じやすくなることによる。最後に、炭酸塩は溶接中に分解して炭酸ガスを
発生しスパツタの原因となるためその含有量は少
ない方が望ましく、積極的には添加しない。本発
明において実質的に含有しないとは、他の原料の
不可避的不純物として混入した場合の許容限度と
してCO₂換算でワイヤ全重量あたり0.05％以下を
意味する。以下に実施例により本発明の効果を具体的に説
明する〔実施例〕第１表に示すステンレス鋼の帯鋼およびパイプ
を用い、第２表に示す組成のJIS Z3323YF−
308L、YF−309L、YF−316L相当のワイヤを製
造し、SUS304L鋼平板上にDCRP200A、31V、
30cm／minの溶接条件で下向姿勢の炭酸ガスアー
ク溶接を行ない、それぞれの溶接作業性を比較し
た。なおワイヤ径は1.2mmとし、外皮としてパイプ
Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３を用いたものは第１図ａに示す
シームレスタイプ、帯鋼Ｈ１，Ｈ２を用いたもの
は第１図ｂ、帯鋼Ｈ３を用いたものは第１図ｄに
示す断面形状とした。その結果は第３表に示すとおりでSiO₂、ZrO₂
あるいは金属フツ化物含量の少ないワイヤNo.15、
16、18、46、スラグ成分量の少ないワイヤNo.10、
15、43はいずれもスラグ被包性が不十分であつ
た。また、SiO₂あるいはMn含有量の多いワイヤNo.
11、14、41、TiO₂含有量の少ないワイヤNo.17、
47はスラグの剥離性が劣つた。さらに、ZrO₂含有量の高いワイヤNo.44、52お
よびフラツクスに対する金属成分含有量の低いワ
イヤNo.８、12、41、42、50、51さらにはMn含有
量の低いワイヤNo.19はアーク状態や溶滴移行性の
点で問題があつた。 TiO₂含有量の高いワイヤNo.12、45はスラグ被
包性を確保するためにはスラグ成分量を増さざる
を得ず、スラグ成分量の多いワイヤNo.９、12、
41、42と同様スパツタ発生量が多くなる結果とな
つた。また、金属フツ化物含有量の高いワイヤNo.13は
ガス発生量が多くなりスパツタ発生量が多くなつ
た。これらに対し、フラツクス成分範囲、スラグ成
分量が適正で、フラツクス中の金属成分含有量が
多い本発明の場合には、いずれもアーク状態、溶
滴移行性が良好で、スパツタ発生量が少なくスラ
グ被包性、スラグ剥離性にも問題はなく、極めて
良好な溶接作業性を示した。なお、第３表における溶接作業性の評価は、
◎：極めて良好、〇：良好、△：やや不良、×：
不良を示すものである。

【表】

〔発明の効果〕

以上のように本発明は、ステンレス鋼溶接用フ
ラツクス入りワイヤにおけるフラツクス組成を、
スラグ量が少なくても十分なスラグ被包性と剥離
性を示すSiO₂−ZrO₂−TiO₂系成分範囲に特定す
ることによりスパツタ発生量の低減を可能とし、
さらにフラツクス中の金属成分含有量を多くする
ことによつてアーク状態、溶滴移行性の改善を達
成したものであつて溶接後のスパツタ除去作業軽
減が可能でステンレス鋼溶接の作業能率向上に大
きく貢献するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄは各種フラツクス入りワ
イヤの断面形状を示す模式図、第２図はワイヤ中
のスラグ成分含有量とスパツタ発生量の関係を示
す図である。１……外皮、２……充填フラツクス、３……継
目。

Claims

【特許請求の範囲】

１ワイヤ全重量に対し1.5〜3.7％のSiO₂、0.7〜
2.0％のZrO₂、0.7〜4.2％のTiO₂、0.1〜0.7％の金
属フツ化物、0.3〜2.3％のMnをフラツクス中に
含有すると共に、フラツクス中のスラグ成分の合
計がワイヤ全重量の4.5〜9.5％で、さらにフラツ
クス中の金属成分の合計がフラツクス全重量の59
〜85％を占め、かつ炭酸塩を実質的に含有しない
ことを特徴とするステンレス鋼溶接用フラツクス
入りワイヤ。