JPH0153237B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は窯炉、煙道等に使用される耐火物或い
は建築用板等の基材表面に塗布して耐火性を増大
させる耐火性被覆材に関するものである。

（従来の技術） 窯炉等の高温雰囲気にさらされる部分に使用さ
れる耐火物の表面にはムライト、アルミナ等の粒
状物を主成分としてこれに粘土あるいは水ガラス
等の粘着剤を添加した耐火性被覆剤を塗布して耐
火物表面とその内部で焼成される被焼成品との融
着防止を図るとともに耐火物表面の損傷防止を図
つていたが、従来の被覆材を耐火物主体の表面に
被覆すると粘着剤として含まれる水ガラス等がガ
ラス化し、耐火物主体との熱膨脹差によりクラツ
クを生じて剥離するために耐火物主体の保護機能
が十分ではなく、高温雰囲気による耐火物主体の
酸化を十分に防止することができないうえに断熱
性が不十分であるために熱衝撃緩衝効果が小さく
て耐火物の寿命延長に十分寄与することができな
い等の欠点があり、また、従来の耐火性被覆材は
保全、補修の施工頻度を高くする必要があるため
施行コストが高くなる欠点もあつた。

（発明の目的） 本発明は前記のような欠点をなくして剥離の虞
れがないうえ耐酸化性、耐熱衝撃性が良好で耐火
物表面を有効に保護することができる耐火性被覆
材を目的として完成されたものである。

（発明の構成） 本発明は60〜300メツシユに調整されたセラミ
ツクス短繊維35〜50重量％と粒径５〜30μｍのシ
リカを５〜70重量％含有するシリカゾル50〜65重
量％とを主成分としてこれに適量の有機性粘結剤
を添加したことを特徴とするものである。

本発明に使用されるセラミツクス繊維は使用温
度を考虜して選択されるものであつて、例えば使
用温度が800〜1600℃である場合にはこの温度に
耐えるアルミナを主成分とするアルミナ繊維とす
ることが好ましい。このセラミツクス繊維は粉砕
後脱鉄され60〜300メツシユ程度に篩分けて短繊
維とする。ここでセラミツクス短繊維の寸法が60
メツシユ以下となると耐衝撃性が低下し、逆に
300メツシユを超えると粘着力が低下するので本
発明の目的を達成するに不適当となる。一方、無
機バインダーとしてはシリカが水溶液に対し５〜
70重量％好ましくは15〜50重量％含有されたシリ
カゾルが用いられる。その理由はシリカが５重量
％未満であるとバインダーとしての能力が低下し
て剥離し易くなり、逆に70重量％を超えると耐火
性被覆層の表面にシリカが融出して焼成品等との
融着防止効果が小さくなるからであり、また、シ
リカの粒径は均質性を高めて粒子間の結合力の低
下により接着力が小さくなることのないよう５〜
30μｍ程度とすることが好ましい。これらのセラ
ミツクス短繊維とシリカゾルとは、セラミツクス
短繊維35〜50重量％に対しシリカゾル50〜65重量
％の比率で混合するとともに粉末状のカルボキシ
ルメチルセルロース、ポリビニルアルコールある
いはグリセリン等の有機性一時的粘結剤を例えば
0.2〜1.0重量％程度の適量添加して耐火性被覆材
とする。セラミツクス短繊維とシリカゾルとの混
合比率を上述のように限定したのは、第１図に示
されるようにシリカゾルの含有率が50〜65重量％
であるときに耐火物表面への施行に好適な2.5〜
30ポアズの粘性を得ることができるためである。
このようにして得られた耐火性被覆材は耐火物主
体や耐熱金属等の基材の表面に対してスプレイ、
刷毛塗り、デイツピング等の適宜の方法により
0.1〜２mm程度の厚さでコーテイングして保護層
を被着形成する。但し、窯内の壁面に使用するラ
イニング耐火物を基材とする場合にはその表面に
対しては断熱性を増す効果を重視して２mm以上の
厚さに被覆してもよい。このようにして得られた
耐火性被覆材は耐火物主体等の基材表面に強固に
付着し、シロキサン結合が形成されて強固な結合
組織となるうえ基材を耐火物主体とした場合は仮
焼後においては耐火物主体と反応して表面に融着
し、かつ耐火物組織中に部分的に浸透して通気性
のない保護層が形成されることとなる。なお、第
２図に示すように炭化珪素質の耐火物主体を基材
１とし、その表面にはセラミツクス短繊維として
アルミナ繊維を使用するとともにシリカ質のバイ
ンダーを使用した耐火性被覆材よりなる保護層２
を被着形成した場合には該保護層２の表層側にア
ルミナリツチな層２ａが形成されてその下方にシ
リカリツチな層２ｂが形成され、これらの２層に
より耐火物劣化の原因となる酸素及び燃焼ガスの
浸入を防止するので特に優れた酸化防止効果を得
ることができる。

（実施例） 70メツシユに粉砕されたアルミナ短繊維と150
メツシユのアルミナ短繊維とを同重量ずつ混合し
たセラミツクス繊維38重量％にシリカゾルを主成
分とする無機バインダー61.8重量％を結合剤とし
て添加するとともにカルボキシルメチルセルロー
ス0.2重量％を添加した粘度10ポアズの耐火性被
覆材を炭化珪素を主成分とする板状の耐火物の表
面に0.7〜１mmの範囲内に0.1mmずつ厚さを変えて
塗布し、これを最高温度1350℃の焼成炉中に12時
間曝した後取出して衝撃抵抗値を測定したとこ
ろ、第３図に示すとおりの結果が得られた。即
ち、保護膜の厚さを１mmとした場合には保護膜の
ない耐火物に比較して14倍の衝撃抵抗値を得るこ
とができた。なお、保護層の膜厚を大きくすれば
衝撃抵抗値は増加するものの同図に示すように剥
離発生率が増加するので、実用上保護層の膜厚は
0.7〜１mm程度が適切である。

次に、上記と同一の保護層が形成された板状の
耐火物を焼成炉内において300〜900℃に昇温した
のち直ちに常温の炉外へ取出して急冷し、亀裂発
生状態を観察したところ保護層が形成された耐火
物表面に亀裂の発生は認められず、また、第４図
に示されるように急冷による熱衝撃を受けた後も
曲げ強度は保護層のない耐火物に比較して900℃
の急冷温度差において約15％の向上を示した。ま
た、本実施例の保護層が形成された耐火物を最高
使用温度1350℃の焼成炉に継続的に使用したとこ
ろ、保護層のない耐火物に対して約２倍の寿命を
示した。なお、以上の実施例では基材として炭化
珪素を主成分とする耐火物を用いたが、本発明の
耐火性被覆材はその他の耐火物や耐熱金属等にも
適用できるものである。

（発明の効果） 本発明は以上の説明からも明らかなように、60
〜300メツシユに調整されたセラミツクス短繊維
と粒径５〜30μｍのシリカを５〜70重量％含有す
るシリカゾルとを主成分としてこれに適量の有機
性粘結剤を添加したものであるから剥離の虞れが
ないうえ耐酸化性、耐熱性、耐熱衝撃性等が良好
で、窯炉、煙道その他の高温雰囲気にさらされる
部分に使用される耐火物等の耐火材の損傷を防止
してその寿命を延長することができるもので、保
全、補修の施行頻度を低下させることができるか
ら施行コストを低減できる経済的利益もあり、優
れた耐火性被覆材として、産業の発展に寄与する
ところ極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る耐火性被覆材の粘度とこ
れに含有される無機バインダーの含有率との関係
を示すグラフ、第２図は本発明に係る耐火性被覆
材を被覆した耐火物の部分断面図、第３図は本発
明に係る耐火性被覆材を被覆した耐火物における
保護層の膜厚と衝撃抵抗値および剥離発生率との
関係を示すグラフ、第４図は本発明に係る耐火性
被覆材を被覆した耐火物における急冷温度差と該
急冷後の常温曲げ強度との関係を示すグラフであ
る。 １：基材、２：保護層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 60〜300メツシユに調整されたセラミツクス
   短繊維35〜50重量％と粒径５〜30μｍのシリカを
   ５〜70重量％含有するシリカゾル50〜65重量％と
   を主成分としてこれに適量の有機性粘結剤を添加
   したことを特徴とする耐火性被覆材。