JPH0145285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は建物躯体に軽量コンクリート壁版、
特にALC版を取付ける装置に関するものである。

従来、鉄骨構造建築物として、軽量コンクリー
ト壁版、特にALC版をカーテンウオールとして
建込む場合には、壁版を緊結するために建物躯体
周囲に壁版の通し受材を設け、取付金具を現場溶
接等によつて受材および鉄骨梁等に取付けてい
る。このために工期がかかり、現場溶接が増え、
その施工費や人件費が高く経済的でない。また、
外壁を構成するALCパネル間の接合孔内にモル
タルを充填して、ALCパネルに作用する風圧力
の負圧に耐えるようにALCパネルはお互いに固
着されている。しかし、鉄骨躯体が地震により振
れたときに、ALCパネルに大きな力が作用して
ALCパネル自から損傷し、或は亀裂が発生する
等してモルタル充填固着が十分でなく、鉄骨躯体
の地震時の層間変位に対応できない等の欠点がみ
られる。

従つて、この考案の目的は、この様な従来の欠
点を除去するために、現場におけるモルタル充填
作業をなくすと共に溶接作業を少なくし、施工時
間を短縮し且つ地震時等に依る躯体の層間変位に
対して吸収力を高めるようにした外壁の免震取付
装置を提供することにある。

この考案に依れば、外壁の免震取付装置は、隣
接外壁パネル間に形成される円筒状の開口部に取
付けられる半割りの鉄パイプにハゴ板が固着され
た半円筒状の支持金物と、構造躯体の鉄骨梁のフ
ランジを挟持するブラケツトに一端が固着されて
他端に該ハゴ板のねじ部と逆のねじが設けられた
Ｕ字形支持金物と、半円筒状の支持金物のハゴ板
のねじ部とＵ字形支持金物のねじ部とを連結する
タンバツクル形の取付調整部材とから構成された
ことを特徴としている。

特に、この考案は、外壁パネルのモルタル充填
接合を行うことなく外壁パネルの免震取付けを可
能にするために、外壁パネルの上部の取付けに用
いられるもので、外壁パネル自身の自重の支持に
は他の通常の免震取付金具が併用されるものであ
る。

この考案の他の目的や特長および利点は以下の
添付図面に沿つての詳細な説明から明らかになろ
う。

第１図乃至第５図に示される様に、この考案の
外壁の免震取付装置は、複数枚の軽量気泡コンク
リートパネルの様な外壁パネル１を連結して外壁
を形成し、上部において鉄骨躯体の鉄骨梁５に対
して滑動可能に支持する構造になつており、外壁
パネル１自身の重量は他の通常の適宜な免震取付
金具（図示しない）を用いることによつて支持さ
れている。図示される様に、各外壁パネル１の縦
側面には半円形の凹溝２が設けられていて隣接の
外壁パネル１との間に円形の開口部３を形成する
ようになつている。この考案の免震取付装置は、
隣接外壁パネル１間に形成される開口部３に設け
られる断面半円筒状の支持金物１１と、この支持
金物１１の外面に取付けられたハゴ板１２と、鉄
骨躯体の鉄骨梁５に取付けられるＵ字形支持金物
２１と、支持金物１１とＵ字形支持金物２１とを
連結する取付調整部材２８とから大体構成されて
いる。支持金物１１は鉄パイプを半割りしてつく
られ、外面に第２図に示される如く支持部材とし
てハゴ板１２が溶接固着されており、また外面全
体に亘つて適宜な接着剤１６が塗布されている。
この接着剤にはゴム質系のものがよい。ハゴ板１
２は一般にハゴ板と同じ様にねじ部１４が設けら
れており、またハゴ板部分に仮止め釘用の孔１５
が設けられている。鉄骨躯体の鉄骨梁５に取付け
られるＵ字形支持金物２１は、鉄骨梁５のフラン
ジ部６を挾持する断面Ｕ字形のブラケツト２３
と、一端がブラケツト２３に取付けられて他端に
ねじ部２５が設けられ且つほぼＵ字形に折曲され
たた支持棒２２とから成つている。このＵ字形支
持金物２１の支持棒２２のねじ部２５は、支持金
物１１に取付けられたハゴ板１２のねじ部１４と
逆ねじであるのが好適で、これはタンバツクルの
様な取付調整部材２８により両ねじ部１４，２５
を調節可能に接続できるようにするためで、いず
れを左、右ねじとしてもよい。

この様に構成されたこの考案の外壁の免震取付
装置においては、鉄パイプを半割りして成る半円
筒状断面の支持金物１１の外面に適宜な接着剤１
６を施こし、隣接する外壁パネル１間に形成され
る開口部３内に支持金物１１を配置して接着剤１
６により外壁パネル１の凹溝２の内面に接着する
と共に仮止め釘１７によつてハゴ板１２を外壁パ
ネル１の側面に係止し、外壁パネル１の上下端を
鉄骨梁５の通しアングル７に当接保持させる。他
方、鉄骨梁５の下部フランジ６にＵ字形支持金物
２１のブラケツト２３を嵌めて取付ボルト２６に
より固定し、このＵ字形支持金物２１の支持棒２
２のねじ部２５と、外壁パネル１に固着された支
持金物１１のハゴ板１２のねじ部１４とをタンバ
ツクルの様な取付調整部材２８によつて連結し、
締付けを所要の度合に調整する。

斯様に、この考案の外壁の免震取付装置に依れ
ば、外壁パネル縦側面の凹溝によつ隣接の外壁パ
ネルとの間に形成される開口部内にて所要の縦方
向位置に半円筒状の支持金物を取付けでき、また
この支持金物と連結されるＵ字形の支持金物をブ
ラケツトによつて所要の横方向位置にて鉄骨梁の
下部フランジに取付けでき、且つ半円筒状の支持
金物のハゴ板のねじ部とＵ字形支持金物の支持棒
のねじ部とをタンバツクル形の取付調整部材によ
り建込み締付けを調整でき、特に半円筒状の支持
金物が外壁パネルの縦側面の凹溝に接着剤により
接着され、隣接の外壁パネル間に凹溝により形成
される開口部にはモルタルを充填せず、従つて、
ハゴ板が固着された半円筒状の支持金物の外壁パ
ネルへの取付けが簡単容易で、取付調整部材、Ｕ
字形支持金物、ブラケツトを介して外壁パネルが
構造躯体の鉄骨梁に簡単容易に取付けられている
ので、施工作業を容易にし且つ施工時間を短縮で
き、風圧力の負圧が作用しても外壁パネルが構造
躯体から離脱することがなく風圧力に耐えると共
に、地震による構造躯体の層間変位に対して外壁
パネルと構造躯体との間に生ずる相対的ずれをＵ
字形支持金物のＵ字形部分および支持棒の弾性変
形によつて容易に吸収でき、外壁パネルの免震取
付構造として好適であり、外壁パネル自身の自重
を支持する他の免震取付金物との併用によつて一
層免震取付効果を高めることができるものであ
る。地震による構造躯体の層間変位に対しても容
易に吸収でき、且つ外壁パネル相互が固着されて
おらず、外壁パネル間の縦目地においても構造躯
体の変位を吸収でき、外壁パネルの耐震取付構造
として好適である。また、この考案の免震取付装
置に依れば、工場で製作した各支持金物を現場に
て建込み取付することが極く容易に短時間で行う
ことができる等の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の外壁の免震取付装置による
外壁パネルの取付を示す側断面図、第２図はこの
考案の免震取付装置の半円筒状の支持金物を示す
斜視図、第３図はタンバツクル形の取付調整部材
を示す斜視図、第４図はＵ字形支持金物を示す斜
視図、第５図は第１図のＡ−A′線に沿つた平断
面図である。 図中、１…外壁パネル、５…鉄骨梁、１１…支
持金物、１２…ハゴ板、１４…ねじ部、１６…接
着剤、２１…Ｕ字形支持金物、２３…ブラケツ
ト、２８…取付調整部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 隣接外壁パネル間に形成される円筒状の開口部
   に取付けられる半割りの鉄パイプにハゴ板が固着
   された半円筒状の支持金物と、構造躯体の鉄骨梁
   のフランジを挟持するブラケツトに一端が固着さ
   れていて他端に該ハゴ板のねじ部と逆のねじが設
   けられたＵ字形支持金物と、半円筒状の支持金物
   のハゴ板のねじ部とＵ字形支持金物のねじ部とを
   連結するタンバツクル形の取付調整部材とから構
   成されたことを特徴とする外壁の免震取付装置。