JPH0129364Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、加熱炉やボイラ等の分野において、
燃料として微粉炭を用いる燃焼装置に関する。

従来の技術 燃焼器内で石炭中の残渣すなわちスラグを除去
するようにしたサイクロン形燃焼器は公知であ
る。第３図は従来のサイクロン形燃焼器を備えた
微粉炭燃焼装置を示したものである。この図にお
いて、１は耐火壁又は水冷壁構造により円筒状に
形成された燃焼器本体、２は後流側へ燃焼ガスを
排出する燃焼器出口、３は空気又は酸素等燃料の
酸化剤を供給する主旋回ノズルで、燃焼器本体１
横断面の内壁と切線方向に必要数配設されてい
る。４は酸化剤の一部を投入するアシストスワ
ラ、５は微粉炭を噴射する燃焼器本体１の頭部軸
心に挿入された主燃バーナである。また、６は主
燃バーナ５へ微粉炭を気流搬送によつて供給する
母管、７は微粉炭ベツセル、８は燃焼器本体１の
後部絞り壁部に設けたスラグタツプである。

微粉炭ベツセル７には管９から微粉炭が供給さ
れ、母管６側へと落下する。母管６には不活性ガ
ス１０が導入されており、この不活性ガスによる
気流搬送によつて微粉炭が主燃バーナ５から燃焼
器本体１内へ噴射される。また、主旋回ノズル３
及びアシストスワラ４には酸化剤が供給されてお
り、この酸化剤は燃焼器本体１の周方向内壁に沿
つて流入する。

そこで、燃焼器本体１内へ流入した酸化剤は燃
焼器内で強烈な旋回流ないしは渦流を形成する。
この旋回渦の旋回速度Ｕは第４図に示す如く、自
然渦の法則即ちU′R₀・U₀／R′に従う領域(a)が
生じ、この渦の中に回転気柱（渦の目）を生じ固
体棒と同じような回転をする強制渦領域(b)に分
れ、自然渦と強制渦の遷移域に円筒状の流れの境
界層１１を形成することは既に周知のことであ
る。

こゝにU₀＝旋回噴口出口における気流の旋回
速度、R₀＝燃焼筒半径、R′＝任意の点における
半径、U′＝任意の半径R′における気流の旋回速
度である。

従来技術の問題点 こゝで旋回渦の気流（酸化剤）中に噴射された
石炭微粒子は、旋回気流に乗つて流れ、酸化剤と
の混合が効果的に行われ燃焼反応が促進されるも
のであるが、燃焼反応を起し乍ら飛しようする石
炭微粒子は気流渦での燃焼反応による熱ピツチ作
用によつて渦流の境界層１１内に塞じ込められ
る。従つて火炎の自然渦領域への拡散が阻害さ
れ、燃焼反応によつて生じた石炭スラグの溶融ミ
ストが燃焼火炎の流れに同伴されて燃焼排ガス中
へのキヤリオーバーを生じること、及び強制渦流
の遠心力作用によつて周壁部へ飛出し壁面へ沈着
したスラグミスト１２は過冷され壁面への付着堆
積を生じ、燃焼器本体１の内壁面を沿つて流れる
溶融スラグの流れが阻害されスラグの分離排出機
能が低下する欠点があつた。１３はスラグタツプ
８から排出される排出スラグ、１４は燃焼火炎で
ある。

考案の目的 本考案は、微粉炭を燃料とする燃焼装置におい
て、燃焼器本体でのスラグの除去性能を高め、熱
交換器や蒸気発生器等の後流機器でのスラグの付
着、堆積による障害を防止し、プラントの性能や
信頼性を高めることを目的としたものである。

問題点を解決するための手段 従来の問題点を解決するため本考案では、主燃
焼バーナの近傍に補助ジツトバーナを設け、夫々
から異なつた噴出速度で微粉炭を噴出させる構成
としている。

実施例 以下本考案に係る微粉炭燃焼装置の一実施例を
第１図及び第２図を参照して詳細に説明する。尚
第１図において第３図と同一部分には同一符号を
附して示してあるのでその部分の説明は省略する
ものとする。

さて、第１図において２１は燃焼器本体１の主
燃バーナ５及びアシストスワラ４の外周部に設け
た高速ジエツトバーナである。この高速ジエツト
バーナ２１は、第２図に示すようにこの実施例で
は２個配設してあるが、１個でも又は２個以上で
あつてもよい。高速ジエツトバーナ２１には管２
２を介して加速インジエクタ２３が連結されてい
る。この加速インジエクタ２３は母管６に設けた
分岐管２４に結合されていて、高圧空気２５が供
給されるようになつている。なおこの実施例で
は、微粉炭ベツセル７の下部から不活性ガス２６
を吹き込んで、母管６側へ微粉炭を供給するよう
にしている。しかし第３図に示した従来のやり方
でも差支えはない。

次に作用を説明する。

微粉炭ベツセル７の下部から吹込まれた不活性
ガス２６によつて微粉炭は流動化され、上方の取
出し口から搬送用のN₂ガス１０によつて母管６
内へ圧送され、希釈されて主燃バーナ５の先端か
ら燃焼器本体１内へ噴射拡散される。この主燃バ
ーナ５から噴射される微粉炭と搬送気体との混合
流の噴出速度は、数10m／ｓ〜10m／ｓ程度であ
る。

一方、母管６の途中に設けた分岐管２４と連結
した加速インジエクター２３によつて、微粉炭混
合気流の一部（約10〜20％）を抽出して、これを
燃焼器本体１頭部の外周に配設した補助ジエツト
バーナ２１から燃焼器本体１内の自然渦領域へ軸
方向に噴射する。こゝで加速インジエクター２３
は、高圧空気２５をノズル部から音速で噴出し、
エゼクター効果によつて、微粉炭搬送用母管６か
ら抽出した微粉炭混合気流を加速し、デイフユザ
ー部で圧力回復による加圧を行い主流の微粉炭混
合気流よりもさらに高い圧力で補助ジエツトバー
ナ２１へ供給している。従つて補助ジエツトバー
ナ２１の先端からは微粉炭の混合気流が噴出速度
200〜300m／ｓの高速ジエツトで噴出するもので
ある。

考案の効果 上述のように、本考案では燃焼器本体１頭部の
気流の淀み部から、燃焼器本体１内の気流の自然
渦領域にジエツト噴流を形成することにより、強
制渦中に塞じ込められた主流火炎１４の高温燃焼
ガスを自然渦中へ拡散させ、火炎気柱を自然渦域
へ拡散させるもので、この効果により燃焼器内で
の実質燃焼、ゾーンを広め高負荷燃焼が得られる
と共にスラグミストの壁面への貫通力を助け、器
壁温度境界層部のガス温度上昇と併せスラグの分
離排出効率が大巾に向上されるものである。よつ
て後流機器でのスラグの付着による障害を防止し
プラントの性能や信頼性も高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る微粉炭燃焼装置の一実施
例を示す系統図、第２図は第１図の−線に沿
つた燃焼器本体の断面を示した図、第３図は従来
の微粉炭燃焼装置を示す系統図、第４図は第３図
の−線に沿う断面を示した図である。 １……燃焼器本体、５……主燃バーナ、６……
母管、２１……補助ジエツトバーナ、２３……加
速インジエクタ、２４……分岐管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼器本体と、この燃焼器本体に配設した主燃
   バーナと、この主燃バーナの近傍の前記燃焼器本
   体に配設した少なくとも１個の補助ジエツトバー
   ナと、前記主燃バーナへ微粉炭を気流によつて搬
   送する母管と、この母管内を搬送される微粉炭を
   搬送用気流とともにその一部を吸引しこれを加圧
   して前記補助ジエツトバーナへ供給するインジエ
   クタとを備えた微粉炭燃焼装置。