JPH0127406Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ステータ・コイルの冷却効率を改善
する車両用交流発電機に関する。

従来の車両用交流発電機のステータ・コイルの
巻線方法はコイル・エンド高さが第１相目、第２
相目、第３相目とも無差別にほぼ同じ高さに巻装
されているのが通常であり、スロツト内の最も外
径側の第３相目のコイルは最も内径側の第１相目
のコイルにかくれてしまう状態となつている。し
かしながらロータ端面にフアンを有して冷却を行
なう従来の車両用交流発電機の構造に於いては、
冷却通路が前側及び後側の軸方向より吸入され径
方向へ吐出されるためフアンに近い内径側のステ
ータ・コイルは冷却風が直接当り非常によく冷却
されるが、一方外径側のステータ・コイルは内径
側のコイルにかくれてしまい冷却風が全く当たら
ず、非常に温度が高くなるため外径側の温度に耐
える線種、線径を決めざるを得ず、コストアツプ
になるという欠点があつた。

本考案は、ステータ・コイルに波巻巻線方式を
採用し、かつ各層コイルユニツト各々につき扁平
状に巻く構成にすることにより、冷却風に対して
コイル素線表面積が最大に露呈し、各層コイルユ
ニツト同士が互いに冷却風をさえぎることなく全
コイルユニツト表面積が最大に露呈して、ステー
タ・コイルの冷却性を向上させた車両用交流発電
機を提供することを目的とするものである。

以下、本考案を第１図乃至第７図を用いて説明
する。第１図は本考案を実施した車両用交流発電
機の要部断面図である。爪状磁極を有する界磁回
転子４の外周にステータ・コア７が発電機ハウジ
ング２に固定して設けられており、当該ステー
タ・コア７にはステータ・コイル１が整列扁平状
に巻かれており、前記回転子４の両端面に冷却フ
アン３ａ及び３ｂが設けられていて、冷却フアン
３ａは斜流フアン、３ｂは遠心フアンとなつてい
る。前記ステータ・コイル１はより詳細には次の
如き構成を有する。すなわち、第１に３相全節集
中巻巻線方式で、各相コイルユニツトは第３図、
第４図に示す如く波巻巻線方式であり、各相のコ
イルユニツト１ａ，１ｂ，１ｃはステータ・コア
のスロツトに順に収納されて、第３図に示す如く
最外相コイルユニツト、中層コイルユニツト、内
層コイルユニツトを形成している。第２に各相コ
イルユニツトはほぼ同一のフオームコイルユニツ
ト用巻枠にて形成され、前記スロツトへの収納時
に第５図に示す如く回転子軸方向に各素線毎にず
らして第４図で視るごとく整列扁平状に巻装され
ている。すなわち当該ステータ・コイルのコイル
エンド部を回転子に設けられた冷却フアンの側よ
り視るとき、各相コイルユニツトの各コイルエン
ドの１部において実質的にコイル素線の全数が露
呈している部分を有している。

次に上記構成になるステータ・コイルを有する
車両用交流発電機の作用について説明する。

界磁回転子４が回転するとステータ・コア７に
回転磁界を与え３相巻されたステータ・コイルに
は３相電力が発生し、３相全波整流装置８を経て
外部に直流出力が供給される。前記ステータ・コ
イル７には従つて負荷電流が流れ、銅損に基づく
発熱が生じるが、前記界磁回転子４の両端面に設
けられた冷却フアン３ａ及び冷却フアン３ｂによ
り強制冷却風が発電機外部よりとり込まれ、第１
図に矢印で示す如く冷却風６ｂ，６ｃ，６ｄが整
列扁平状に形成されたステータ・コイル１のエン
ドにほぼ垂直に衝突し、さらには発電機ハウジン
グ２に設けられた吐出口８ａ，８ｂより外部へ排
出される。前述の如く、第４図に示す如くコイル
エンド部のフアン内径側（回転子側）より視る投
影面積がなるべく大きくなるように、各コイルユ
ニツトにおいてコイル素線を第５図の如く整列扁
平状にずらし形成しているために、前記冷却風６
ｂ，６ｃ，６ｄはコイル素線の表面積の大半に衝
突し、各コイルエンド部は著しく温度が下がる。

本実施例に示す巻線方式は波巻方式を採用して
いるが、これはコイル素線を軸方向にずらして整
列扁平状にして冷却面積を多くする効果を飛躍的
に高める作用がある。すなわち、車両用交流発電
機で一般に採用されている重ね巻きの場合には、
ある相のコイルエンドを扁平状に成形しても、他
の相にコイルエンド部がこれを覆いかくす如くコ
イル素線が並ばざるを得ない為、放熱効果には限
界がある。他相に覆われないようにコイルエンド
をコイルユニツトごとにずらすことも考えられる
が、その方式を採用すると全体のコイルエンド高
さが非常に高くなること、コイルユニツト巻枠が
不揃いになり電気仕様上、好ましくないばかりか
大量生産向きでない等のデメリツトが生じる。本
実施例で示した波巻方式の場合には、互いのコイ
ルエンドの重なりが激減し、上記問題がすべて解
消することは明らかである。

本考案のステータ・コイル冷却効果を実験的に
確認したグラフは第６図に示す通りで、第６図中
Ａはステータ・コイルが従来の場合を示し、Ｂは
本考案実施例の場合を示す。図示の如く最高温度
で約30〜40degもの著しい温度低減効果がある。
第７図は本考案になる車両用交流発電機のステー
タ・コイルの第２実施例を示し、前記第１実施例
を示す第５図に対応するコイルエンド部分断面図
であるが、第５図図示とはコイル素線が整列一直
線状には並んでいない点で相違する。

しかし、回転子に設けられた冷却フアン側より
視た時コイル素線のすべてが見通せる部分を有す
るようにコイル素線が互いに軸方向にずれている
から、前記冷却フアンから吹きつけられる風で直
接に全素線が冷却され、その温度上昇は前記第１
実施例と同等に抑制される。

なお、前記実施例では冷却フアン３ａに斜流フ
アンを用いているため冷却風の流れは６ｂの径方
向の流れと６ｃの如くステータ・コア７の内周に
沿つて流れた後、遠心フアン３ｂによる冷却風の
流れ６ｂと一緒になつて径方向へ流れているが、
冷却フアン３ａとして斜流フアンに代えて遠心フ
アンを用い、冷却風６ｂのみの径方向流れとして
もよいのはいうまでもない。要は冷却風が最終的
にステータ・コイルエンドにほぼ垂直に衝突すれ
ばよい。

上述のように、本考案になる車両用交流発電機
においては、回転子端面に遠心型冷却フアンが設
けられた内扇方式の車両用交流発電機において、
ステータコイルを３相全節集中巻で各相ステータ
コイルユニツトは波巻巻線方式とすることで、各
相ステータコイルユニツトの一部に他の相のコイ
ルユニツトによりオーバーラツプしない部分を形
成でき、かつコイルユニツトを軸方向に略扁平状
に形成すると共に、回転子の両端に一対の遠心型
冷却フアンを設けることで、各コイルユニツトの
両端のコイル素線に一対の冷却フアンにより発生
する冷却風が直接でかつ幅広くあたることでステ
ータコイルの冷却効率を著しく上昇させることが
できるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した車両用交流発電機の
第１実施例の要部断面図、第２図は本考案になる
ステータ・コイルの取付部の詳細を示す模式図、
第３図は第１図においてステータ・コアの軸方向
から見たステータ・コイルエンドの模式図、第４
図は第１図においてステータ・コアの内周より外
周を見たステータ・コイルエンドの模式図、第５
図は第４図図示のＡ−Ａ線に沿う断面図で本考案
の第１実施例のステータ・コイルエンドの模式
図、第６図はステータ・コイルの温度上昇特性を
示し、従来の巻線方式と本考案になる巻線方式と
の比較を示す図、第７図は本考案の第２実施例の
ステータ・コイルエンドの模式図で、前記第５図
に対応する図である。 １……ステータ・コイル、２……発電機ハウジ
ング、３ａ，３ｂ……冷却フアン、４……界磁回
転子、１ａ，１ｂ，１ｃ……３相の各相、６ｂ，
６ｃ，６ｄ……冷却風の方向を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ステータコアおよびこのステータコアに巻装さ
   れたステータコイルとを有するステータと、 このステータの内周に設けられると共に、回転
   軸を有する回転子と、 この回転子の両端側にそれぞれ設けられ、前記
   ステータコイルを冷却すべく、径方向外周側に風
   を発生させる一対の遠心型の冷却フアンとを備え
   た車両用交流発電機において、 前記ステータコイルは、３相全節集中巻で、か
   つ複数本のコイル素線からなる各相のコイルユニ
   ツトからなり、前記ステータコアの側面から離れ
   たコイルユニツトの端部の一部が、各相互いに重
   ならないように波巻巻線方式とし、かつ 前記コイルユニツトの一部は、前記コイル素線
   を前記回転軸の軸方向に拡げて、略扁平状に形成
   したことを特徴とする車両用交流発電機。