JPH0124568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、記録紙の送り速度を入力の状態に応
じて変化させるようにした記録計に関するもので
ある。

工業用などに使われる記録計における記録紙は
入力データの状態に関係なく一定速度で常時送ら
れている。このような記録紙送りに対して、デー
タを収集する側としては正常時の入力データより
異常時のデータ（データの急変あるいはある値以
上、以下になつたとき）、および異常時の前後の
データが欲しい場合が多い。一般的には異常時と
いうのは少なく、従つて結果的には不用な情報が
多量に得られ、管理と紙の無駄を生じているのが
現状である。

本考案はこのような点にかんがみてなされたも
ので、入力の状態に応じて記録紙の送り速度を変
えることにより、記録紙の無駄とデータ管理の簡
素化を計つたものである。

第１図は本考案の記録計の一実施例を示すブロ
ツク図である。第１図において、１０は入力端子
で、１点又は多点のアナログのデータEiが入力さ
れる。２０はEiをサンプリングし、そのサンプリ
ングされた入力をデイジタル化するアナログ・デ
イジタル変換器を含む入力部、３０は記憶演算
部、４０は該記憶演算部３０の出力をアナログ記
録する記録部である。５０はコントローラで、前
記回路２０，３０，４０等に制御信号を送出する
と共に、３０よりの信号が与えられる。記憶演算
部３０はある時点において入力部２０でサンプリ
ングされた入力Eiを記憶すると共に、そのデータ
と次のサンプリング時点での入力部２０の出力デ
ータとの差を演算し、その差があらかじめ定めら
れた一定値Ｋより小さいか大きいかを算出する機
能を有する。

このような記録計において、端子１０より与え
られる入力Eiは、入力部２０においてコントロー
ラ５０の制御信号に応じたサンプリング時刻t₁で
サンプリングされる。t₁でサンプリングされた入
力it₁はデイジタル信号に変換されたのち記憶演
算部３０に与えられてメモリされると同時に記録
部４０に送出されてその値がアナログ記録され
る。メモリされた信号は同時に記憶演算部３０に
おいて前回のサンプリング入力it₀と比較され、
その差が設定値Ｋと比較される。（it₁−it₀）がＫ
より小さい場合入力データは正常である。その結
果、記録計の動作モードは変化せず、コントロー
ラ５０が出力する制御信号により、記録部４０に
おける記録紙の送り速度、および入力をサンプリ
ングする入力部２０におけるサンプリング速度は
所定の相対的に遅い速度で行なわれる。

ここで、時刻t₁において端子１０に異常時のデ
ータが与えられると記憶演算部３０はそのときの
入力信号it₁と正常時にサンプリングされた信号
it₀との差を算出し、その値が設定値Ｋを越える
とコントローラ５０に信号を送出する。コントロ
ーラ５０は記憶演算部３０からの信号を受けて記
録部４０に異常状態を表わす制御信号を送出す
る。これにより、記録部４０の記録紙の送り速度
は例えば正常時のｎ倍の速さになる。それと共
に、コントローラ５０の制御信号は入力部２０に
も与えられ、それによつて入力データのサンプリ
ング間隔が速まる。このようにして記録計の動作
モードに変化が生じる。このような異常時におけ
る入力値の比較は正常なモードの場合に合せるた
めに、正常時におけるサンプリング間隔と同じサ
ンプリング間隔をもつて入力されたデータの差が
設定値Ｋと比較される。例えば、異常モードの場
合に記録紙送り速度を正常モード時の10倍（ｎ＝
10）にしたとき、10個おきのサンプリング信号の
差を設定値Ｋと比較する。すなわち、記憶演算部
３０はit₁₀とit₀の差、it₁₁とit₁の差を演算してそ
れぞれ設定値Ｋと比較し、差がＫより大きければ
記録計はそのままの動作モードが続けられ、小さ
くなつたらコントローラ３０は制御信号を入力部
２０および記録部４０に送出してサンプリング周
期および記録紙送り速度を正常に戻す。なお、サ
ンプリングデータの差がＫより小さくなつた場
合、直ちに記録計の動作モードを上記のように正
常モードに戻すと見ずらくなるので、Ｋより小さ
くなつた時点からＴ時間（例えば１時間）後に正
常モードに戻るようにすればよい。上記の設定値
Ｋ、倍率ｎ、時間Ｔ等はキーボード（図示せず）
等により記憶演算部３０にあらかじめインプツト
される。このように本考案においては、サンプリ
ング時刻の異なる２つのサンプリング入力の差、
即ち入力信号の変化率を異常検出の対象としてい
るので、異常モードを速やかに検出することがで
きる特徴がある。

第２図は本考案の記録計によつて記録紙上に画
かれた記録フオーマツトの一例を示すものであ
る。第２図において、４１は第１図に示す記録部
４０における記録紙で、前記したようにコントロ
ーラ５０の出力制御信号によつてその送り速度が
制御され、矢印方向に送り出されている。記録紙
４１は記憶演算部３０を介して与えられる入力デ
ータEiをアナログ記録する。記録紙４１に記憶さ
れる入力チヤネル数は４つで、Ａ部分は記録計が
正常モードで動作している記録状態を示す。23：
30分に第２と第４チヤネルのデータに異常（デー
タの急変あるいはある値以上、または以下になつ
たとき）が生じると、記録計は異常動作モードに
入り、前記のように記録紙４１はコントローラ４
０の出力制御信号により高速で送られ、かつ高速
スキヤンが行なわれる。このような異常モードは
１時間続行するＢの部分）。１時間後に、チヤネ
ルNo.２と４のデータは正常に戻つて記録計の動作
はその後１時間後に正常モードになり、記録紙送
り速度およびサンプリング時間とも低速になる。
このモードは10時間程度持続する（Ｃの部分）。
そして、10：30に今度は第１チヤネルの入力デー
タに異常が発生して高速スキヤンが行われ（Ｄの
部分）、13：30分に正常モードに戻つている（Ｅ
の部分）。なお、第２図で示される如く、第１図
の実施例では動作モードが変化した場合、その時
刻、送り速度などのデータが入力信号の記録と共
に記録紙４１上にプリントアウトされ、時間関係
が判別できるようになつている。

以上説明したように、本考案においてはデータ
の収集が殆んど必要のない正常時においては記録
紙の送り速度を遅くさせて記録紙の消費量を減ら
し、異常が発生したときには所定の記録速度でデ
ータ収集を行うように構成したので、記録紙の無
駄がはぶけると共に有効な情報のみが記録され
る。その結果、データ管理が容易な記録計を得る
ことができる。本考案の記録計の一使用例による
と、記録紙の使用量が従来は約20m／月であつた
のに対して、本考案の記録計を使用した場合は
1m／月となり、省資源の記録計として有効であ
る。しかも、本考案においては正常時においても
遅い速度ではあるが記録紙は送られデータの記録
が行なわれているので、常にデータ記録の抜けの
ない記録計を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る記録計の一実施例のブロ
ツク図、第２図は第１図の記録計によつて記録さ
れた記録フオーマツトの一例を示す図である。 １０……入力端子、２０……入力部、３０……
記録演算部、４０……記録部、５０……コントロ
ーラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. サンプリングされたアナログ入力をデイジタル
   信号に変換するアナログ・デイジタル変換器を有
   する入力部、該入力部の出力を記憶すると共にサ
   ンプリング時刻の異なる２つのサンプリング入力
   の差を設定値と比較する演算機能を有する記憶演
   算部、常時送られている記録紙を有し前記記憶演
   算部の出力が与えられその出力を前記記録紙にア
   ナログ記録する記録部、および、前記２つのサン
   プリング入力の差が設定値より大きいとき前記記
   録紙の送り速度を速めると共にサンプリング周期
   を速める信号を前記記録部および入力部に与える
   コントローラを具備した記録計。