JPH0123682Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は刃先位置を微調整する機構を備えた
バイトホルダーに関するものである。

従来の技術 この種のバイトホルダーとして、従来、第３図
に示す構成のものが知られていた。すなわち、ス
ローアウエイチツプ等の切刃部１を先端部に取付
けたホルダー２の先端側外周面に、雄ネジ３が形
成されるとともに、後端部に軸線方向に沿う雌ネ
ジ４が形成されており、そのホルダー２が刃物台
等の機械（図示せず）と一体化される本体５に、
キー６によつて回転止めされて挿入されている。
そして前記雄ネジ３には、本体５の端面に当接し
た微調整ナツト７が取付けられ、また後端部の雌
ネジ４には、リング８を嵌め込んだボルト９がね
じ込まれており、さらにそのリング８とボルト９
の頭部との間に圧縮バネ１０が配置されており、
リング８を本体５に当接させることにより圧縮バ
ネ１０によつてホルダー２に引張力を作用させる
よう構成されている。

上記の構成のバイトホルダーでは、切刃部１に
セツチングゲージ（図示せず）を当てて刃先位置
を測定しつつ前記微調整ナツト７を回転させてホ
ルダー２の本体５からの突出量を変えて刃先位置
を調整する。そして前記圧縮バネ１０によつてホ
ルダー２に引張力を作用させてあることにより、
微調整ナツト７とそれを螺合させた雄ネジ３との
間のバツクラツシユが除去される。

考案が解決しようとする問題点 しかるに上述した従来のバイトホルダーでは、
刃先位置を変えるための微調整ナツト７が、刃先
部１の近くに位置しているから、刃先の位置の調
整時にはセツチングゲージが邪魔になつて微調整
ナツト７の操作を行ないにくい問題があつた。ま
た一般に、バイトホルダーは切削加工時の荷重に
耐えるようある程度の長さで本体に嵌合させる必
要があるが、上記従来のバイトホルダーは、それ
に加え前記ボルト９や圧縮バネ１０等からなるバ
ツクラシユ除去機構をホルダー２の後端部に設け
た構成であるために、全長が長くなる問題があつ
た。

この考案は上記の事情に鑑み、操作性が良く、
しかも全長を短縮してコンパクト化することので
きる微調整式バイトホルダーを提供することを目
的とするものである。

問題点を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、先
端部に切刃を設けたホルダーの軸部を、刃物台等
の機械に取付けるための本体に挿入抜去自在に密
着嵌合させ、そのホルダーの軸部の後端部に穿設
した雌ネジに微調整ネジの雄ネジ部を螺合させる
とともに、その微調整ネジを、本体に対して回転
自在でかつ軸線方向への移動を阻止した状態に取
付け、さらに本体に内蔵した押圧部材をホルダー
における軸部の外側部に形成した傾斜面に弾性的
に押付けてホルダーに対して軸線方向への押圧力
を作用させるよう構成したことを特徴とするもの
である。

作 用 したがつてこの考案の微調整式バイトホルダー
では、微調整ネジを回転させれば、先端部に切刃
を取付けたホルダーがその軸線方向へ移動し、刃
先位置を微調整することができる。またホルダー
の外側部に形成した傾斜面に押圧部材を弾性的に
押付けてあるために、ホルダーにはその軸線方向
に向けた力が常時作用し、その結果微調整ネジを
螺合させた個所でのバツクラツシユが除去され
る。

実施例 第１図および第２図はこの考案の一実施例を示
す図であつて、切刃１１を先端部に設けたホルダ
ー１２は、刃物台等の機械に取付けられる本体１
３に対して挿入される軸部１４の外周上面に、後
端部側へ上向傾斜する傾斜面１５を形成し、さら
に後端中央部に軸線方向に沿う雌ネジ１６を形成
した構成であり、そのホルダー１２はキー１７に
より回転止めしかつ軸線方向へ移動可能となるよ
うその軸部１４によつて本体１３に挿入されてい
る。他方、本体１３のうち前記傾斜面１５に対応
する個所に、前記ホルダー１２の軸部１４に直交
する方向に沿う貫通孔が上面から形成されてお
り、その貫通孔には押圧部材としての鋼球１８お
よび皿バネ等の弾性部材１９が順次挿入され、か
つこれらが押しネジ２０によつて抜け止めされて
いる。すなわち鋼球１８が弾性部材１９の弾性力
によつて前記傾斜面１５に押付けられ、その結果
ホルダー１２が軸線方向で後方に押圧されてい
る。またホルダー１２の後端部に形成した雌ネジ
１６に微調整ネジ２１がねじ込まれている。微調
整ネジ２１は図に示すように、後端の操作部を六
角断面とし、かつホルダー１２の雌ネジ１６に螺
合するネジ部の直後にフランジ２２を設けた構成
であつて、その微調整ネジ２１は、フランジ２２
を本体１３に形成した座ぐり部に嵌め込むととも
に、本体１３の外面に取付けたプレート２３によ
つてフランジ２２をその座ぐり部に押え込むこと
により本体１３に取付けられている。すなわち微
調整ネジ２１は、回転自在でかつ軸線方向への移
動が阻止された状態で本体１３に取付けられてお
り、換言すれば、前記鋼球１８および傾斜面１５
を介した軸線方向への押圧力をプレート２３によ
つて受けるようになつている。

したがつて上記のバイトホルダーでは、微調整
ネジ２１を回転させれば、ネジの作用によつてホ
ルダー１２が軸線方向へ移動し、刃先位置の調整
を行なうことができる。その場合、セツチングゲ
ージ（図示せず）を切刃１１に当てて刃先位置の
測定を行ないつつ微調整ネジ２１を回転させる
が、上記のバイトホルダーでは、微調整ネジ２１
が後端部にあるため、セツチングゲージが障害と
ならず、容易に微調整操作を行なうことができ
る。また上記のバイトホルダーでは、弾性部材１
９の弾性力を鋼球１８および傾斜面１５を介して
ホルダー１２の軸線方向に作用させてあるから、
微調整ネジ２１とこれを螺合させてある雌ネジ１
６との間のバツクラツシユを除去することができ
る。しかもそのバツクラツシユ除去機構は、ホル
ダー１２を本体１３に保持するための軸部１４を
利用した構成であつて、前記鋼球１８や弾性部材
１９を軸部１４に対し直交する方向に配置してあ
るから、全長を短縮することができる。

なお、上記の実施例では、ホルダー１２を軸線
方向における後方へ常時押圧することにより、バ
ツクラツシユを除去するよう構成したが、この考
案では、軸線方向で前方へ押圧するよう構成して
もよい。

考案の効果 以上の説明から明らかなようにこの考案によれ
ば、刃先位置を変える微調整ネジを、切刃とは反
対の後端部に設けたから、刃先位置を測定するセ
ツチングゲージが、微調整ネジを回す際に障害と
ならず、したがつて操作性の良いものとすること
ができる。またホルダーの外側部に形成した傾斜
面に押圧部材を弾性的に押付けて、バツクラツシ
ユ除去のための軸方向力をホルダーに作用させる
構成であるから、ホルダーを本体に対して保持す
る軸部を利用してバツクラツシユ除去機構を構成
でき、また軸部の内部に雌ネジを形成してここに
微調整ネジの雄ネジ部を螺合させた構成であるか
ら、ホルダーにおける軸部の内部を軸線方向での
位置調整を行なう機構の一部として利用でき、し
たがつて全長を短縮し、コンパクトなものとする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す正面図、第
２図はその平面図、第３図は従来の微調整式バイ
トホルダーの一例を示す平面図である。 １１……切刃、１２……ホルダー、１３……本
体、１４……軸部、１５……傾斜面、１６……雌
ネジ、１８……鋼球、１９……弾性部材、２１…
…微調整ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端部に切刃を取付けたホルダーが、刃物台等
   の機械に取付けるための本体に挿入抜去自在に密
   着嵌合させられる軸部を有するとともに、その軸
   部の後端部に軸線方向に沿つて雌ネジが形成さ
   れ、その雌ネジに雄ネジを螺合させた微調整ネジ
   が、前記本体に対し回転自在でかつ軸線方向への
   移動が阻止された状態に取付けられ、さらに前記
   ホルダーのうち本体に嵌合させた軸部の外側部に
   傾斜面が形成されるとともに、ホルダーの軸線に
   対し直交する方向からその傾斜面に弾性的に押し
   付けられてホルダーを軸線方向に押圧する押圧部
   材が、前記本体に内蔵されていることを特徴とす
   る微調整式バイトホルダー。