JPH0122061B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は加熱鋳型を用いた連続鋳造装置に関
し、特に詳しく言うと、加熱鋳型から出た鋳塊が
平滑美麗な表面を有する均一な断面形状を呈する
ようにした加熱鋳型式連続鋳造装置に関する。

〔従来の技術〕

従来の一般的な金属連続鋳造装置においては、
中空の冷却鋳型を用い、この鋳型の一方から溶湯
を供給し、鋳型内において鋳型内壁に接する溶湯
を凝固させ、他端から鋳塊として連続的に引出す
ことによつて行なわれてきた。しかしながら、こ
の装置によるときは鋳型深部において鋳塊の凝固
殻が形成されるために、鋳型から鋳塊を引出す際
に鋳型内壁と鋳塊表面との摩擦によつて、鋳塊表
面に擦傷や亀裂等の表面欠陥が生じやすいという
欠点があつた。そのため従来は、このような鋳塊
を圧延や鍛造のような塑性加工に供するときは、
予め鋳塊表面の研削またはキズ取りを行なわなけ
ればならなかつた。特に表面亀裂が深いときは、
塑性加工に供することが不可能で、鋳塊は不良品
となつた。

本発明者の一人はさきに、この従来の一般的連
続鋳造法における上述したような欠点を改善する
ために、加熱鋳型を用いた連続鋳造法を開発し
た。この連続鋳造法は、鋳型の内壁温度を鋳造金
属の凝固温度以上の温度に加熱保持することによ
つて、鋳型内部での側壁に沿う凝固殻の形成を阻
止し、鋳型出口を出ると同時に、冷却によつて鋳
造金属の凝固が開始されるようにして鋳造を行な
うもので、これにより表面欠陥のない平滑美麗な
鋳塊を得ることに成功した（特許第1049146号）。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、この特許第1049146号の連続鋳
造法によつても、なおしばしば鋳塊表面に不規則
な凹凸模様を生じたり、亀裂を発生したり、溶湯
のブレークアウトが起こつたりすることがあり、
平滑美麗な表面を有する鋳塊を常に長く安定的に
得ることはむずかしかつた。

本発明者らの研究によると、その最も大きな原
因は、鋳塊が冷却材に接触する際に起こる振動
や、ピンチロール等を用いて鋳型から鋳塊を引出
す際に生ずる或る種の振動が、鋳型出口直外にお
ける鋳塊表面の未凝固溶湯の凝固に大きく影響を
及ぼすためであることが判明した。そしてこのよ
うな鋳塊の不規則な振動や揺れの影響は、鋳造速
度が増すにつれて起こりやすく、特に鋳塊が薄肉
の板状のものであつたり、細線であつたりする場
合には一様の厚さや直径の板や線を得ることはむ
ずかしい。更に、鋳塊の不規則な振動や揺れが著
しく大きい場合は、溶湯が鋳型からブレークアウ
トする危険性すら生じる可能性がある。

そこでこの発明の目的は、加熱鋳型の出口にお
ける上述したような振動を完全に防止し、表面の
平滑美麗な鋳塊を連続的に得ることができる加熱
鋳型式連続鋳造装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の加熱鋳型式連続鋳造装置は、溶湯入口
と鋳塊出口とを有する中空状の加熱鋳型を用いて
鋳塊を連続的に鋳造する加熱鋳型式連続鋳造装置
において、加熱鋳型の出口端に鋳塊の振動防止用
の中空のガイド型を有することを特徴とするもの
である。

〔作用〕

中空のガイド型によつて、加熱鋳型の鋳塊出口
端部がガイドの役割を果たし、鋳塊が冷却装置や
引出し装置からの振動の影響を受けることなく、
常に安定的に均一な断面形状を有する平滑美麗な
鋳塊として得ることができる。ガイド型を鋳塊に
対して潤滑性のある鋳型材を選ぶことによつて、
鋳塊表面には鋳型内壁との摩擦による擦傷や亀裂
などの表面欠陥を生じることはない。

〔実施例〕

以下、本発明の加熱鋳型式連続鋳造装置熱鋳型
を、図面に示す実施例について説明する。

第１図は、棒状金属成形体を得るための下向き
式の連続鋳造装置に本発明を適用した場合を示す
要部縦断正面図で、１は略垂直に配置され、その
上端が図示しない保持容器の底部に開口して溶湯
入口を構成するように設けられた加熱鋳型で、下
端の開口部が鋳塊出口を構成する任意の断面形状
をもつた中空状になつている。加熱鋳型１には、
ニクロム線、カンタル線等のような電気抵抗加熱
線で構成された発熱体２が内蔵されている。発熱
体２は、加熱鋳型１の内壁を溶湯３の凝固温度以
上に加熱するためのもので、この構成例では加熱
鋳型１は発熱体２を内蔵しているが、外部から加
熱する外熱方式の加熱鋳型を用いてもよいことは
勿論である。加熱鋳型１の出口側には、加熱鋳型
１から引出すことによつて得られた鋳塊４に冷却
水や冷却空気を射出して冷却するスプレー等で構
成された冷却装置５、および鋳塊４の引出し用の
ピンチロール６が配置されている。７は加熱鋳型
１の出口端部に一端が連接された中空のガイド型
で、鋳塊４の鋳型出口での振動を防止するための
ものである。ガイド型７は、鋳塊４の引出し時の
摩擦によつて磨滅しないようなシリコンカーバイ
ト、ジルコニア、溶融アルミナ等の硬質の耐火物
を用いて、鋳塊表面に引つ掻き傷の生じ難いよう
に内壁面を鏡面に仕上げた耐火物型、または、黒
鉛やボロンナイトライドのような軟質で鋳塊引出
し時の摩擦によつて磨滅し、鋳塊表面に引つ掻き
傷の生じ難い材料で構成されている。硬質で且つ
粗面を内壁に有する耐火物をガイド型として使用
すると、鋳塊には引掻き傷が生じてしまう。ガイ
ド型７は、その内壁が溶湯３の凝固温度以下で、
かつその内壁面上に結晶の該生成がおこらないよ
うに、鋳塊４や鋳塊ダミーの温度以上に保持され
ていることが望ましい。

このような構成のガイド型７を設けることによ
り、冷却装置５からの冷却水や冷却空気等の冷却
材の吹き付け等による振動で鋳塊４が振動するの
を防止でき、表面が平滑美麗な鋳塊を連続的に得
ることができる。

第２図は、この発明の第２実施例として、水平
式連続鋳造装置に応用した場合を示す要部縦断正
面図である。この第２実施例においては略水平に
配置された加熱鋳型１１に発熱体１２を内蔵し、
この発熱体１２によつて、加熱鋳型１１を溶湯１
３の凝固温度以上に加熱している。加熱鋳型１１
から引出される鋳塊１４は、その凝固界面が常に
加熱鋳型１１内に存在するように、鋳塊１４の冷
却と引出速度、そして加熱鋳型１１と溶湯１３の
温度が調節される。１５は上述の第１実施例の冷
却装置５と同様に構成された鋳塊１４の冷却装置
で、スプレー状の水または空気が噴出するように
なつている。冷却装置１５で冷却された鋳塊１４
は、上述第１実施例のピンチロール６と同様なピ
ンチロール１６によつて引出される。この実施例
におけるガイド型は１７で示されている。

第３図は、この発明の第３実施例として、上向
き式連続鋳造装置に応用した場合を示す要部縦断
正面図である。この第３実施例においては略垂直
に配置された加熱鋳型２１に発熱体２２を内蔵さ
せたものが示されている。この場合、加熱鋳型２
１は大部分が溶湯２３中に浸積されているので、
溶湯２３の保有する熱によつて加熱鋳型２１の浸
積部分の内壁面が加熱されるので、その内壁面が
溶湯２３の凝固温度以上に加熱されない時にのみ
発熱体２２に電流を供給することによつて所定の
温度まで加熱すればよい。なお、加熱鋳型２１を
浸積する溶湯温度を凝固温度以上の十分高い温度
にする場合には、内蔵発熱体２２を省略すること
もできる。加熱鋳型２１の湯面の上に位置する上
部出口端部がガイド型２５を構成している。すな
わち上述第１及び第２実施例においてはガイド型
７，１７は加熱鋳型１，１１とは別に設け、これ
を加熱鋳型の出口端に取付けるようにしている
が、この第３実施例においては、加熱鋳型２１の
出口端部に一体的にガイド型２５を構成してい
る。ガイド型は上述したように溶湯２３の凝固温
度以下になるような温度分布が得られればよいの
で、ガイド型２５に相当する部分には発熱体２２
を配置しないようにして、所定の温度分布を得る
ようにしている。ガイド型２５の上部には、遮蔽
板２８を介して、上述第１実施例の冷却装置５と
同様に、スプレーから水または空気が噴出する鋳
塊２４の冷却装置２６が位置している。冷却装置
２６の上部には、上述第１実施例のピンチロール
６と同様なピンチロール２７が位置し、冷却され
た鋳塊２４が引出されるようになつている。鋳塊
２４の先端が溶湯を保持している保持炉の湯面以
下で凝固するように、溶湯２３の温度、冷却装置
２６からの水や空気のような冷却材の供給量、そ
して鋳塊引き上げ用のピンチロール２７の回転速
度等を調節することによつて、鋳塊の加熱鋳型２
１の出口端での振動に伴つてできる鋳肌の凹凸模
様のない平滑美麗な鋳塊が得られる。

〔発明の効果〕

以上のようにこの発明の加熱鋳型式連続鋳造装
置は、加熱鋳型の出口端に鋳塊の振動防止用の中
空のガイド型を設けるという簡単な構成ではある
が、これにより冷却装置や引出し用のピンチロー
ル等による振動の影響を被ることなく、常に安定
的に均一な断面形状を有し、平滑美麗な鋳造塊を
連続的に得ることができる。連続鋳造によつて得
られる鋳塊表面が、平滑美麗な場合は、表面の仕
上げ加工無しにそのまま直接、線、板、棒、管等
の製品として使用することができる。更には、歯
車やタービンプレードのような断面が複雑形状を
有する鋳物を連続鋳造によつて鋳造し、後で適当
な長さに切断して直接製品として使用できること
は、仕上げ工程の省略、エネルギーの節約の上で
極めて望ましいことで、本発明は、このような平
滑美麗な鋳塊の連続鋳造にとつて極めて有用なも
のである。

また、ガイド型は、加熱鋳型とは別の材料で作
つて、これを加熱鋳型の出口端に連結し、必要に
応じて新しいガイド型と交換して使用するようし
ても、あるいは溶湯の凝固温度以上に保持し、そ
の内壁面上での鋳塊表層の凝固を阻止するように
制御された加熱鋳型の出口端部のみを、溶湯の凝
固温度以下になるような温度分布が得られるよう
に加熱鋳型の加熱調節を行なうことにより、加熱
鋳型の出口端部をして一体的にガイド型を構成す
るようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図の本発明の第１実施例として下向き式の
連続鋳造装置に応用した場合を示す要部縦断正面
図、第２図は本発明の第２実施例として水平式連
続鋳造装置に応用した場合を示す要部縦断正面
図、第３図は本発明の第３実施例として上向き式
連続鋳造装置に応用した場合を示す要部縦断正面
図である。 図面において、１，１１，２１は加熱鋳型、
２，１２，２２は発熱体、３，１３，２３は溶
湯、４，１４，２４は鋳塊、５，１５，２６は冷
却装置、６，１６，２７はピンチロール、７，１
７，２５はガイド型、２８は遮蔽板である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 溶湯入口と鋳塊出口とを有する中空状の加熱
   鋳型を用いて鋳塊を連続的に鋳造する加熱鋳型式
   連続鋳造装置において、前記加熱鋳型の出口端に
   前記鋳塊の振動防止用の中空のガイド型を有する
   ことを特徴とする加熱鋳型式連続鋳造装置。 ２ 前記ガイド型は前記加熱鋳型の出口側に一体
   的に形成されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載の加熱鋳型式連続鋳造装置。