JPH0121561B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は色フイルタを用いて色光を投射する標
識灯の改良に関する。

（従来の技術） たとえば飛行場の滑走路に埋設されて使用され
る標識灯には色フイルタを用いて色光を投射する
ものがある。そうして、近時色フイルタとして多
層薄膜フイルタが多用されてきた。この多層薄膜
フイルタはたとえばZnS・MgF₂など光屈折率を
異にする複数の干渉性薄膜を透明基板上に交互重
層して形成したもので、干渉によつて透過光を所
望に着色するものである。

（発明が解決しようとする問題点） この多層薄膜フイルタは光透過率が高い利点が
ある反面、光の透過角度すなわち透過光束がフイ
ルタの透過点における法線となす角度が大きくな
ると透過光の光色にずれが生じ、見る角度によつ
て光色が異なつて見える欠点を有している。

そうして、標識灯としてたとえば緑色光を投射
するものでは、その緑色光が第１図に示す
JISW8307−1955「航空標識の色」で規定する色度
範囲内にある必要がある。たとえば第１図中＋印
で示すように、光源の色温度が2856〓の場合θ＝
0゜から30゜までは緑色光の色度は規格内に入つて
いるが、それ以上では明らかに規格範囲を外れて
しまう。このため、フイルタへの入射角度を30゜
以内にする必要がある。

このため、特願昭54−35515号（特開昭55−
129510号）に示されるように、光源に対設された
反射鏡の前方に多層薄膜フイルタを配設し、さら
にその前方に凹レンズを配設して構成したものが
提案されている。このものは、反射鏡によつて光
源からの光の大部分を集光して多層薄膜フイルタ
への入射角度を30゜以下になるようにし、その後
標識灯の規格配光を満足させるために色光を凹レ
ンズによつて拡げている。したがつて、このもの
は反射鏡を利用することによつて多層薄膜フイル
タへの入射角度を小さくおさえるものであるた
め、反射鏡を必要とし、部品点数が多くなる不都
合があり、また、１個の光源を用いて複数方向に
色光を投射する標識灯では反射鏡を使用できない
かまたは充分な大きさの反射鏡を使用できず、多
層薄膜フイルタへの入射角度が大きくなりJISで
規定する範囲内に抑えることが困難となる不都合
がある。さらに、光源の利用効率を高めるため
に、広い範囲の直射光を利用しようとすれば、多
層薄膜フイルタへの入射角度が大きくなり、標識
灯の規格配光範囲内の色光の色度変化をJISで規
定する範囲内に抑えることが困難となることなど
が判り、反射鏡を特に必要とせず、多層薄膜フイ
ルタへの入射角度が小さくなるような標識灯が望
まれていた。

一方、実公昭51−13025号公報に示されるよう
に、わん曲状に形成されたレンズ内面に干渉膜を
設た車軸用補助灯が提案されている。

この実公昭51−13025号公報に示されるものは、
光源からの光を反射体で略平行光線で照射するよ
うにしたもので、干渉膜に入射する入射角度をレ
ンズの中央部から端部にわたつて異ならせて、見
る領域によつて色が異なつて見えるようにしたも
のである。

したがつて、標識灯のように、見る領域によつ
て色光にずれが生じないようにしなければならな
いものにおいては、適用できないものである。

本発明は上述の事情を考慮してなされたもの
で、反射鏡を特に必要とせず、多層薄膜フイルタ
を透過した色光の色度変化が少なくなるようにし
た標識灯を提供することを目的とする。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明は発光源を中心として放射状に光照射す
る光源に対設して、光源からの光の入射角度が
30゜以下になるようにわん曲した多層薄膜フイル
タを光源と対設し光源からの放射状の光が略平行
に入射するようにしたことを特徴とする。

（作用） 光源から発した放射状の光はフイルタの曲面に
入射角度が30゜以下で入射し、フイルタをとおり
所望の光色で光導出窓から外方に導出される。

そして、光源からの放射状の光はフイルタの凹
面に入射する入射角度は若干の幅があるが略平行
に入射するように構成しているので、見る領域に
よつて色光の色変化が少ない標識光を放射でき
る。

（実施例） 以下、本発明の詳細を第２図に基づいて説明す
る。第２図は本発明を適用してなる埋込み形標識
灯を概略図に示した平面断面図である。１は灯体
で、この灯体１はたとえば円盤状に形成されてい
る。２は灯体１の上面に形成された光導出窓で、
本実施例では２方向に投射し得るように２個所に
形成されている。３は光源で、この光源３はたと
えばハロゲン電球で、点光源に近い発光源を有し
この発光源を中心として放射状に光照射するよう
に形成されている。この光源３は上記灯体１内に
上記光導出窓２に対向して配設されている。４は
光源３に対向して配設された多層薄膜フイルタ
で、この多層薄膜フイルタ４は詳図しないが、た
とえば透明基板上に光屈折率を異にする複数の干
渉性薄膜を積層して緑色光を導出するように形成
されている。この多層薄膜フイルタ４は光源３か
らの放射状の光の入射角度θが30゜以下、好まし
くは25゜以下になるようにわん曲状に屈曲形成さ
れ、凹面を光源３側に向けて光源３と対向して配
設されている。そして、このフイルタ４は光源３
からの放射状の光が中央部での入射角θが0゜、光
が端部においても入射角度θが30゜以下で入射す
るようにしている。すなわち、フイルタ４の一点
を注目したとき、光源からの光が種々の角度から
入射しないようにし、見る領域によつて色光が異
なつて見えないようにしている。５は透光部材
で、この透光部材５はたとえばガラス材で環状に
形成され、灯体１の光導出窓２に対向する部分を
レンズ部６に形成している。上記レンズ部６は規
格配光たとえば国際民間航空機構のカテゴリー
緑色光の水平方向±20.25゜の範囲を満足させ、か
つ、レンズ部６の最外周部で水平方向20゜近傍の
光が得られるようにするとともに水平方向ψ50゜の
光を利用し得るように設計されることを可として
いる。なお、フイルタ４は光源４からの光の入射
角度θが30゜を超えると見る領域によつて光色が
異なつて見える不都合が生じる。

つぎに本実施例の作用について説明する。光源
３から発した放射状の光は多層薄膜フイルタ４を
とおり所望の光色、本実施例では緑色光になつて
透光部材５のレンズ部６を透過して光導出窓２か
ら外方に導出される。そして、多層薄膜フイルタ
４に入射する光はフイルタ４が入射角度30゜以下
にわん曲状に形成されているので、入射角に若干
の幅があるものの略平行に入射するようにしてい
るので、第１図に示されるJISの規格色度範囲内
にあり、見る角度による光色のずれが少なく、所
望の光色が得られる。しかも、反射鏡を特に必要
としないので、複数方向へ照射するものにあつて
はその効果が大きいものである。

本発明を以上図示実施例に基づいて詳述した
が、本発明は種々の実施態様を許容する。

たとえば、多層薄膜フイルタは平板状の複数個
の小片をそれぞれが光源からの光の入射角度が
30゜以下となるようにわん曲状に連設して形成し
てもよい。また、多層薄膜フイルタは板状体の両
端近傍を屈曲してわん曲状に形成してもよく、さ
らにまた、環状にわん曲形成したものであつても
よい。さらに、光源は複数個であつてもよく、反
射鏡とレンズ部はなくてもよい。さらにまた、透
光部材のレンズ部はなくてもよい。また、標識灯
は地上に取付けるものであつてもよい。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明は発光源を中心と
して放射状に光照射する光源に対設して光源から
の光の入射角度が30゜以下になるようにわん曲し
た多層薄膜フイルタを光源と対設し光源からの放
射状の光が略平行に光が入射するようにしたの
で、広い角度範囲にわたつて光色のずれの少ない
標識光を放射でき、光源の利用効率を高めること
ができるとともに複数方向への照射も可能とな
る。また、多層薄膜フイルタはわん曲状に形成し
放射状に光照射する光源と対設すればよいので構
造が簡単で製作も容易となり安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はJISw8301−1955「航空標識の色」で規
定する緑色の色度図、第２図は本発明の一実施例
を概略的に示す平面断面図である。 １……灯体、２……光導出窓、３……光源、４
……多層薄膜フイルタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 光導出窓を設けた灯体と； この灯体内において上記光導出窓に対設し発光
   源を中心として放射状に光照射する光源と； この光源からの光の入射角度が30゜以下になる
   ようにわん曲状に形成され上記光源と対設した多
   層薄膜フイルタと； を具備したことを特徴とする標識灯。 ２ 前記多層薄膜フイルタは板状体をわん曲状に
   屈曲形成したことを特徴とする特許請求の範囲１
   記載の標識灯。 ３ 前記多層薄膜フイルタは平板状の複数個の小
   片をわん曲状に連設して形成したことを特徴とす
   る特許請求の範囲１記載の標識灯。 ４ 前記多層薄膜フイルタは板状体の両端近傍を
   屈曲してわん曲状に形成したことを特徴とする特
   許請求の範囲１記載の標識灯。 ５ 前記多層薄膜フイルタは環状にわん曲形成し
   たことを特徴とする特許請求の範囲１記載の標識
   灯。