JPH0119697Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、新旧コンクリート構造物の打継部に
採用する止水板に関する。

周知のように、コンクリートを打設してコンク
リート構造物を構築する際、殊に、打ち継ぎなが
ら構築する際、その構造物の打継部において、気
温又は水分の変化、乾燥によるコンクリート容積
の収縮、コンクリートの不等沈下、荷重あるいは
振動などの要因による、コンクリートに発生する
亀裂を生じるが、これを防止するため、適当な間
隔で伸縮自在の継目を介在させている。この継目
には新旧コンクリートの打継部にまたがり連結す
る帯状の止水板を採用している。この止水板によ
つて、打継部に侵入する雨水、湧水などの浸透水
を防止している。

そして、この止水板は、塩化ビニル樹脂製のも
のが多用されているが、従来のこの種の止水板
は、止水板の断面でみて、中央に設けたわん曲部
を中心にして左右対称となつている。例えば、ア
ンカツト形コルゲートと呼ばれるものを第１図に
示す。第１図に示すように、既に打設されたコン
クリート１にあらかじめ鎖線で示すように止水板
２の半分だけを埋込んでいる場合、これに新設の
コンクリート３を打ち継ぎするには当然従来例の
止水板２でよいが、止水板２を埋込んでいない既
設のコンクリート１に対し、予定外のコンクリー
トを追加打設したい場合、既設のコンクリート１
へ止水板２を実線で示すように添着すると、コン
クリートアンカー４及びシール材５を使用するこ
とから、従来の止水板２の形状及び大きさには不
要な部分ができたり、シール材とのなじみも悪
く、そのため止水板２埋設後、浸透水防止の信頼
性に欠けるうらみもあつた。

そこで本考案は、これらの不具合を除こうとし
て案出されたもので、殊に、止水板の片面にのみ
逆錐状の突起条を設けた止水板を改良しようとす
ることを目的とする。

以下、第２図に示す本考案の実施例に従い詳細
に説明する。第２図は、止水板２が10〜20ｍの長
さの帯状体であるので、その断面を示したもので
ある。なお、第１図と同一又は均等部分は同一符
号で示している。

止水板２の基板６は中間にＵ字形突出部７が設
けられ、該部によつて基板６は図示のように屈折
可能になつている。突出部７を中にして片側には
数条の突起条８，８を基板６の片面（上面）にの
み平行に設け、先端に釘止ウイング９を設けて、
埋込用板部１０を形成している。該突起条８，８
は、断面形状で、逆錐形になつており、その両側
に鋸歯面１１を刻設している。鋸歯面１１の歯１
２は下向きになつている。したがつて、基板６を
捨てコンクリート１３の上面に突起条８，８を上
にして載置し、コンクリートを打設すれば、基板
６と隣設した突起条８でもつて、樋を形成し、浸
透水の受となるのみならず、鋸歯面１１の歯によ
つてコンクリートとのかみ合いが良好となる。
又、突出部７の他の側には、基板６の片面（下
面）に鋸歯状表面１４を設け、先端に鉤状の端縁
フランジ１５を設けて添着用板部１６を形成して
いる。該添着用板部１６は前記埋込用板部１０よ
り短くしている。１７はコンクリートアンカー４
の位置決め印、１８は鋼板、シール材は未加硫ブ
チルゴムシール１９を用い、コンクリートとの接
着性を良好にしている。２０は突出部７の外周に
突設した固定用フランジで、固定金具２１を係止
し、新設の型枠２２に連結する。

以上の構成になつているので、既設のコンクリ
ート１にコンクリートアンカー４を植設し、該コ
ンクリートアンカー４を中心とした近傍のコンク
リート１面を滑らかにするため、プライマー２３
を施す。該プライマー２３へ未加硫ブチルゴムシ
ート１９をコンクリートアンカー４に差し込んで
当接する。次に、該ゴムシート１９面に止水板２
の鋸歯状表面１４をコンクリートアンカー４に差
し込んで当接し、一方止水板２の埋込用板部１０
は捨てコンクリート１３の上面に突起条８，８を
上にして載置すべく、突出部７で屈折する。添着
用板部１６の外側から帯状の鋼板１８を当接し、
最後にアンカーナツトを螺合し締着する。その結
果、鉤状の端縁フランジ１５、鋸歯状表面１４及
び既設のコンクリート面でポケツトを形成し、ポ
ケツト内に未加硫ブチルゴムシール１９が内包さ
れ、アンカーナツトの締着で、充満する。

端縁フランジ１５と同様なフランジをコンクリ
ートアンカー４を中心として図示の端縁フランジ
１５と対称の下方位置に設ければ、液状シール材
等を収納することができる。

なお、基板６の埋込用板部１０へのコンクリー
ト打設作業は、従来どおり施工する。

本考案は、次の効果を奏する。

(1) 既設のコンクリートに止水板を添着する場
合、止水板の添着用板部のシール材接合用鋸歯
状表面でもつて、シール材を押圧して、コンク
リートに添着するので、余分な空間を生じるこ
となく、止水板が密接添着できる。

(2) 余分な空間を生じないので、浸透水の止水が
確実に行える。

(3) 埋込用板部の上面にのみ、数条の逆錐形の突
起条を設けたので、止水板が樋の機能を果た
し、床等の打継部には確実に止水効果が得られ
る。コンクリートとのかみ合いもよく、離脱す
ることがない。

(4) 埋込用板部と添着用板部とが共に止水効果が
完全であるので、止水板の信頼が一段と向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の使用状態断面図、第２図は本
考案の実施例の使用状態断面図を示す。 ２は止水板、７は突出部、８，８は突起条、１
０は埋込用板部、１４は鋸歯状表面、１６は添着
用板部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 既設コンクリートへ新設コンクリートを打継ぐ
   場合に使用する合成樹脂製止水板であつて、既設
   コンクリート壁面に添つて固着される比較的平担
   な添着用板部と、新設コンクリート中に埋込まれ
   る埋込用板部と、前記添着用板部と埋込用板部と
   を屈曲自在に接続する断面がほぼＵ字形の突出部
   とよりなり、前記添着用板部は既設コンクリート
   壁面へ別に用意したシール材を介して係合するの
   に適した鉤状の端縁フランジおよびそれに隣接し
   て鋸歯状表面を前記Ｕ字形突出部と反対の面に有
   しており、前記埋込用板部は前記Ｕ字形突出部と
   同じ側の面に間隔を置いて平行に延びる複数の逆
   錐形の突起条を有し、かつ前記添着用板部の幅は
   埋込用板部の幅より小さいことを特徴とする新旧
   コンクリート打継用止水板。