JPH0115823B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、石炭類、コースク類等の固体燃料中
における水分、灰分、揮発分、固定炭素を迅速に
定量測定するための工業分析装置に関するもので
ある。

固体燃料の工業分析、即ち水分、灰分、揮発
分、固定炭素の定量測定を、単一の装置において
一連の作業によつて行うには、それぞれの測定成
分に対応した雰囲気ガスを用いる必要があり、例
えば水分の測定は空気気流中で、揮発分測定は窒
素気流中で、そして灰分測定中は酸素気流中で行
う必要がある。また、揮発分測定時にはすすが発
生するためそれを完全燃焼させる必要がある。

本発明は、急速に昇降温できる赤外線加熱炉を
利用し、しかも上述した雰囲気ガスの変更及び加
熱燃焼中に発生するすすの完全燃焼を容易にした
固体燃料の工業分析装置を提供しようとするもの
である。

このような目的を達成するため、本発明の工業
分析装置は、雰囲気ガス供給台上に、試料ホルダ
ーを備えた支持管を立設し、この雰囲気ガス供給
台上に、赤外線加熱炉及びその上方に位置する補
助燃焼炉とそれらによつて周囲を包囲された保護
管とを一体化して、試料ホルダーに対して保護管
を被脱自在に配設し、上記雰囲気ガス供給台を通
じて保護管内に工業分析のための雰囲気ガスを供
給可能にすると共に、上記補助燃焼炉において保
護管内に助燃用酸素ガスを供給可能にすることに
よつて構成される。

而して、上述した本発明の工業分析装置によれ
ば、固体燃料中の水分、灰分、揮発分、及びそれ
らの値から計算で求める固定炭素を、赤外線加熱
炉及び補助燃焼炉による一連の加熱サイクルにお
いて測定することができる。

以下、図面を参照して本発明の実施例について
詳述する。

第１図は本発明に係る装置全体の構成を概略的
に示すもので、１は装置本体、２は温度調節装置
を示している。上記装置本体１は、第２図に示す
ように、架台３上に板状のシリコンゴム４を介し
て雰囲気ガスの供給台５を載置し、さらにその供
給台５上にシリコンゴム板６を介して赤外線加熱
炉７と石英ガラス製の保護管８を取付けた冷却リ
ング９を載置している。上記赤外線加熱炉７は、
保護管８の周囲に配置されて該保護管８内に置か
れる試料を加熱するもので、急速に昇降温するこ
とができ、温度調節装置２に設定したプログラム
によつて、試料に適した昇温速度で昇温し、水
分、揮発分、灰分測定のための温度とその保持時
間が制御されるものである。また、上記雰囲気ガ
スの供給台５の中央には、ジヨイント金具１０を
介して、上端に白金または白金ロジウム合金製の
試料ホルダー１２を取付けると共に周囲に多数の
雰囲気ガス流通孔１３，１３，……を設けた石英
ガラス製の支持管１１を立設している。該支持管
１１は、アルミナ製であつても差支えない。

上記ガス供給台５は、その一側に、大気に開放
し、あるいは図示しないボンベから窒素、または
酸素等の雰囲気ガスが供給されるガス流入口１４
を備え、その中央上面に雰囲気ガスの導入管とし
て機能するガス流出口１５を設けている。また、
上記冷却リング９は、架台３への熱伝達を防止す
るもので、冷却水入口１６及び冷却水出口１７を
備え、連結金具１８によつて赤外線加熱炉７と一
体的に固定すると共に、その内側に保護管８を嵌
着している。而して、上記のように一体化された
赤外線加熱炉７、保護管８及び冷却リング９等
は、支柱１９に沿つて上下動可能とし、冷却リン
グ９をガス供給台５上に降ろすだけで赤外線加納
熱炉７及び保護管８等の設定を行い、保護管８を
試料ホルダー１２に被設できるように構成してい
る。なお、試料ホルダー１２に対して保護管８を
被脱可能にするため、赤外線加熱炉７及び保護管
８等を上方に固定した状態に保ち、雰囲気ガス供
給台５を支持管１１及び試料ホルダー１２と共に
昇降可能にすることもできる。このような構成
は、操作が簡単かつ容易であるばかりでなく、測
定の繰り返しが容易である点で有利なものであ
る。

上記支持管１１の上端に取付けた試料ホルダー
１２は、第３図に詳細に示すように、その下方に
突出させた円筒脚部２０を支持管１１の上端に嵌
着固定して使用するもので、底面に温度測定用熱
電対２１の先端を接触させている。この熱電対２
１は、雰囲気ガスの供給台５及び支持管１１内を
通して試料ホルダー１２の下方に導入されたもの
であり、第１図からわかるように温度調節装置２
に接続している。上記試料ホルダー１２は、第４
図に示すように適数のガス流通孔２２を有し、第
３図及び第４図に例示するような揮発分定量用白
金るつぼ（JIS H6201）２４、並びに灰分または
水分定量用皿２５を載置したり、第５図に例示す
るように自由表面を大きくした水分定量用皿２６
（灰分の定量にも使用可）を載置したりできるう
にしたものである。勿論、複数のるつぼ２４だけ
を試料ホルダー１２に載置し、あるいは灰分及び
水分の定量のために複数の定量用皿２５だけを試
料ホルダーに載置することもできる。上記定量用
皿２５，２６は、白金、白金ロジウム合金、また
はセラミツクスなどによつて形成される。

第２図に詳細に示すように、赤外線加熱炉７の
上部に固定された補助燃焼炉３０は、カンタル線
炉またはニクロム線炉によつて構成され、発熱体
３１を保護管８上部における小径部８ａのまわり
に配設して、保護管８の表面に達する熱電対３２
を挿入している。補助燃焼炉３０は、温度調節装
置２によつて常に800〜1100℃に、望ましくは850
〜950℃程度の温度に保持されるものである。

保護管上部の小径部８ａに充填した耐熱充填物
３３は、白金網、白金ウール、石英ガラスウー
ル、アルミナウールからなり、保護管８内にはこ
の耐熱充填物３３を通してその下方にガス流通孔
３５を開口させる助燃用酸素ガス導入管３４を導
入している。この酸素ガス導入管３４は、石英等
によつて保護管８と一体に形成したものである。
而して、上記保護管８の先端には摺合せ部３６を
介して吸引ポンプに導ぐための接続管３７を連結
している（第１図）。

赤外線加熱炉７と補助燃焼炉３０との間におい
て保護管８に被着した白金均熱筒３８（厚さ0.2
〜0.5mm）は、赤外線を吸収し易く熱伝導率が高
いために、昇温時に発生したすすが保護管上部に
付着する場合でも、それを完全に燃焼させるため
のものである。即ち、赤外線加熱炉７と補助燃焼
炉３０との間の温度ギヤツプをなくしている。

前記温度調節装置２は、試料の近傍に配置した
熱電対２１及び上記補助燃焼炉３０に設けた熱電
対３２によつてそれぞれの温度を検出しながら、
赤外線加熱炉７及び補助燃焼炉３０の温度制御を
行うもので、赤外線加熱炉７については予め昇温
プログラムを設定し、そのプログラムに従つた制
御が行われる。

次に、上記分析装置の操作手順について説明す
る。

測定に先立ち、赤外線加熱炉７及び保護管８等
は上方に移動させ、また補助燃焼炉３０は850〜
950℃に昇温保持しておく。この状態で、例えば
２枚の灰分定量用皿２５及び２枚の水分定量用皿
２５に同一試料または２種の異なる試料を化学天
秤、電子天秤等で0.5〜1.5ｇ程度精秤して収容
し、それを試料ホルダー１２上に載置する。

次に、赤外線加熱炉７及び保護管８等を下降さ
せて所要位置（第２図の状態）にセツトし、接続
管３７に流量計を介して接続した吸引ポンプ（水
流ポンプなど）により、200〜500ml／min程度吸
引する。この水分定量測定の段階における雰囲気
ガスは空気でよいから、雰囲気ガス供給台５にお
けるガス流入口１４を大気に開放しておけばよ
い。また、助燃用酸素ガスは流す必要がない。こ
の状態で赤外線加熱炉７を100〜250℃に、望まし
くは110〜200℃に急速昇温して、その温度に保持
する。脱水後に２枚の水分定量皿２６を取出し、
入替えに２個の揮発分定量用るつば２４を試料ホ
ルダー１２に載置する。

次に、揮発分の定量測定のために雰囲気ガスを
窒素とし、流量計を通じてガス流入口１４から
200〜500ml／min程度流し、接続管３７に接続し
た吸引ポンプ側の吸引による流量は500〜1000
ml／min程度とする。助燃用酸素ガスは酸素ガス
導入管３４から流量計を通じて300〜500ml／min
程度を流し、発生するすすを補助燃焼炉３０にお
いて完全燃焼させる。

この状態において、赤外線加熱炉７は１〜５分
で900℃まで昇温させ、この温度で３〜７分保持
した後に、その加熱炉７を上昇させ、２個の揮発
分定量用るつぼ２４を取出す。そして、直ちに赤
外線加熱炉７を降下させ、灰分の定量測定のため
に雰囲気ガスを酸素に切換えて500〜700ml／min
を流しながら、炉温を815℃に設定し、１〜10分
で灰化した後、赤外線加熱炉７の電流を０にす
る。その後、２枚の灰分定量用皿２５を取出し、
全てのガスの流入を停止する。

このような一連の操作を行う間に試料ホルダー
１２上から取出した定量皿２５，２６及びるつぼ
２４は、遂次天秤で秤量し、その秤量値に基づい
て試料の工業分析値を求める。

上記分析装置による測定では、水分測定中は空
気気流中で、揮発分測定中は窒素気流中で、そし
灰分測定中は酸素気流中で測定し、それぞれ雰囲
気ガスを変える必要があるが、水分、揮発分につ
いては必要に応じて雰囲気ガスの流入を止めて減
圧中で測定してもよい。このとき、補助燃焼用酸
素ガスの流量は当然ながら吸引ポンプ側流量より
少なくする必要がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の全体を示す概略構成
図、第２図及び第３図はその要部拡大断面図、第
４図及び第５図は試料ホルダー及び定量用皿の形
状を例示した平面図である。 ５……雰囲気ガス供給台、７……赤外線加熱
炉、８……保護管、１１……支持管、１２……試
料ホルダー、３０……補助燃焼炉。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 雰囲気ガス供給台上に、試料ホルダーを備え
   た支持管を立設し、この雰囲気ガス供給台上に、
   赤外線加熱炉及びその上方に位置する補助燃焼炉
   とそれらによつて周囲を包囲された保護管とを一
   体化して、試料ホルダーに対して保護管を被脱自
   在に配設し、上記雰囲気ガス供給台を通じて保護
   管内に工業分析のための雰囲気ガスを供給可能に
   すると共に、上記補助燃焼炉において保護管内に
   助燃用酸素ガスを供給可能にしたことを特徴とす
   る固体燃料の工業分析装置。