JPH0114985B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0114985B2 JPH0114985B2 JP58147569A JP14756983A JPH0114985B2 JP H0114985 B2 JPH0114985 B2 JP H0114985B2 JP 58147569 A JP58147569 A JP 58147569A JP 14756983 A JP14756983 A JP 14756983A JP H0114985 B2 JPH0114985 B2 JP H0114985B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- sintering
- carbide
- volume
- content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 claims description 37
- 239000000956 alloy Substances 0.000 claims description 37
- 238000005245 sintering Methods 0.000 claims description 20
- OKTJSMMVPCPJKN-UHFFFAOYSA-N Carbon Chemical compound [C] OKTJSMMVPCPJKN-UHFFFAOYSA-N 0.000 claims description 17
- 229910002804 graphite Inorganic materials 0.000 claims description 16
- 239000010439 graphite Substances 0.000 claims description 16
- 239000000463 material Substances 0.000 claims description 15
- 238000001816 cooling Methods 0.000 claims description 10
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 claims description 9
- 239000011159 matrix material Substances 0.000 claims description 8
- 229910052799 carbon Inorganic materials 0.000 claims description 4
- 229910052750 molybdenum Inorganic materials 0.000 claims description 4
- 230000009466 transformation Effects 0.000 claims description 4
- 239000012535 impurity Substances 0.000 claims description 3
- 229910052758 niobium Inorganic materials 0.000 claims description 3
- 229910052721 tungsten Inorganic materials 0.000 claims description 3
- 239000000843 powder Substances 0.000 description 13
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 11
- 150000001247 metal acetylides Chemical class 0.000 description 8
- 239000002245 particle Substances 0.000 description 6
- 238000005260 corrosion Methods 0.000 description 5
- 230000007797 corrosion Effects 0.000 description 5
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 5
- 238000012733 comparative method Methods 0.000 description 3
- 239000007791 liquid phase Substances 0.000 description 3
- 230000013011 mating Effects 0.000 description 3
- 238000000034 method Methods 0.000 description 3
- QVGXLLKOCUKJST-UHFFFAOYSA-N atomic oxygen Chemical compound [O] QVGXLLKOCUKJST-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 238000002156 mixing Methods 0.000 description 2
- 229910052760 oxygen Inorganic materials 0.000 description 2
- 239000001301 oxygen Substances 0.000 description 2
- 230000001737 promoting effect Effects 0.000 description 2
- 239000002994 raw material Substances 0.000 description 2
- 238000010583 slow cooling Methods 0.000 description 2
- 239000006104 solid solution Substances 0.000 description 2
- 229910000521 B alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910017060 Fe Cr Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910002544 Fe-Cr Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910017082 Fe-Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910017133 Fe—Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910001257 Nb alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910001096 P alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910001315 Tool steel Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- UPHIPHFJVNKLMR-UHFFFAOYSA-N chromium iron Chemical compound [Cr].[Fe] UPHIPHFJVNKLMR-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 238000009792 diffusion process Methods 0.000 description 1
- 238000010494 dissociation reaction Methods 0.000 description 1
- 208000018459 dissociative disease Diseases 0.000 description 1
- 239000013022 formulation composition Substances 0.000 description 1
- 239000000314 lubricant Substances 0.000 description 1
- 238000001556 precipitation Methods 0.000 description 1
- 239000007790 solid phase Substances 0.000 description 1
- 239000010935 stainless steel Substances 0.000 description 1
- 229910001220 stainless steel Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000010959 steel Substances 0.000 description 1
Description
この発明は、すぐれた耐摩耗性および自己潤滑
性を有し、かつ耐熱性および耐食性にすぐれ、特
にこれらの特性が要求されるバルブシート、バル
ブガイド、ロツカーアーム、タペツト、および軸
受などの耐摩耗部品の製造に用いた場合にすぐれ
た性能を発揮するFe基焼結合金の製造法に関す
るものである。 従来、一般に、上記の耐摩耗部品の製造には、
ステンレス鋼、耐熱鋼、あるいは合金工具鋼など
の成分組成に相当する組成をもつたFe基焼結合
金が用いられている。 これらのFe基焼結合金は、すぐれた耐熱性お
よび耐食性を有し、かつ素地中にビツカース硬さ
で700以上の炭化物が均一微細に分散した組織を
もつので、実用に際してはすぐれた耐摩耗性を示
すが、一方硬質であるために相手攻撃性が著しく
高いという問題をもつものであつた。 そこで、本発明者等は、上述のような従来耐摩
耗部品のもつ問題点を解決すべく研究を行なつた
結果、 Cr:1〜25%、C:1.3〜6%、Si:0.5〜5
%、 Mo、W、およびNb(以下、これらを総称して
炭化物形成成分という)のうちの1種または2種
以上(合量で):0.1〜20%、 を含有し、さらに必要に応じて、 PおよびBうちの1種または2種(合量で):
0.05〜2%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる配
合組成を有する圧粉体を、 圧力:10-1torr以下の真空中、1020〜1200℃の
範囲内の所定温度で焼結した後、 少なくとも焼結温度から変態点までの範囲を2
〜40℃/minの速度で冷却することによつて製造
され、かつ素地中に、ビツカース硬さで700以上
を有する炭化物:3〜40容量%および遊離黒鉛:
3〜20容量%が均一に分散した組織を有するFe
基焼結合金は、その素地によつてすぐれた耐熱性
と耐食性が確保され、かつ素地中に微細均一に分
散する炭化物によつてすぐれた耐摩耗性が、さら
に同じく遊離黒鉛によつてすぐれた自己潤滑性が
確保されるようになるという知見を得たのであ
る。 この発明は、上記知見にもとづいてなされたも
のであつて、以下に成分組成、製造条件および組
織を上記の通りに限定した理由を説明する。 A 成分組成 (a) Cr Cr成分には、素地に固溶して、これを強
化すると共に耐熱性および耐食性を向上さ
せ、さらにC成分と結合してビツカース硬さ
で700以上の高硬度を有するCr炭化物を形成
し、かつ炭化物形成成分とさらに一段と高い
硬さをもつた複炭化物を形成して合金の耐摩
耗性を向上させる作用があるが、その含有量
が1%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方25%を越えて含有させると、合金
の脆化が著しくなることから、その含有量を
1〜25%と定めた。 (b) C C成分には、素地に固溶して、これを強化
すると共に、上記のようにCrや炭化物形成
成分と結合してビツカース硬さで700以上の
高硬度を有するCr炭化物や、これとの複炭
化物を形成して合金の耐摩耗性を向上させ、
さらに焼結後の徐冷過程で均一微細に分散し
た遊離黒鉛として析出して合金の自己潤滑性
を向上させる作用があるが、その含有量が
1.3%未満では所望のすぐれた耐摩耗性およ
び自己潤滑性を確保することができず、一方
6%を越えて含有させると、合金の強度およ
び靭性の低下が著しくなることから、その含
有量を1.3〜6%と定めた。 (c) Si Si成分には、素地に固溶して、焼結性を著
しく改善し、もつて合金を緻密化するほか、
素地に固溶したC成分の解離反応を大きくし
て、C成分の析出を促進する作用があるが、
その含有量が0.5%未満では前記作用に所望
の効果が得られず、一方5%を越えて含有さ
せると、合金の靭性が低下するようになるば
かりでなく、焼結時の液相量が多くなりすぎ
て形状変形が生ずるようになることから、そ
の含有量を0.5〜5%と定めた。 (d) PおよびB これらの成分には、焼結性を改善して合金
を緻密化し、かつ素地に固溶して合金の強度
を向上させる作用があるので、特にこれらの
特性が要求される場合に応じて含有させる
が、その含有量が0.05%未満では前記作用に
所望の向上効果が得られず、一方2%を越え
て含有させると、焼結時の液相量が多くなり
すぎて形状変形を起し易くなるばかりでな
く、合金の強度低下の原因ともなることか
ら、その含有量を0.05〜2%と定めた。 (e) 炭化物形成成分 これらの成分には、素地に固溶して、これ
を強化するほか、C成分と結合して高硬度を
有する炭化物および複炭化物を形成し、もつ
て合金の耐摩耗性を一段と向上させる作用が
あるが、その含有量が0.1%未満では前記作
用に所望の向上効果が得られず、一方20%を
越えて含有させると、合金に脆化傾向が現わ
れるようになることから、その含有量を0.1
〜20%と定めた。 B 組織 (a) 炭化物 炭化物の量が、素地中に占める割合で3容
量%未満では、所望のすぐれた耐摩耗性を確
保することができず、一方炭化物量が、同様
の割合で40容量%を越えると、合金の脆化が
著しくなると共に、相手攻撃性も高くなるこ
とから、素地中における炭化物の割合を3〜
40容量%と定めた。 (b) 遊離黒鉛 遊離黒鉛の量が、素地中に占める割合で3
容量%未満では、所望のすぐれた自己潤滑性
を確保することができず、一方遊離黒鉛量
が、同様の割合で20容量%を越えると、合金
の強度が急激に低下するようになることか
ら、素地中における遊離黒鉛の割合を3〜20
容量%と定めた。 C 製造条件 (a) 焼結雰囲気の真空度 焼結雰囲気の真空度は、合金成分たるSi量
にも影響を受けるが、その真空度が10-1torr
より悪くなると、焼結雰囲気中の酸素および
水分が、FeやCをはじめとする成分と反応
を起し、遊離黒鉛の生成を困難にする一方
で、炭化物の生成が促進されてしまうため所
定の組織を得ることができなくなるばかりで
なく、焼結合金中の酸素量が増大するため、
合金強度が著しく低下し、過酷な条件下での
使用に耐えられなくなり、さらに耐摩耗性お
よび摺動特性も劣化するようになることか
ら、焼結雰囲気の真空度を10-1torr以上と定
めた。 (b) 焼結温度 焼結温度が1020℃未満では、素地中への合
金成分の固相拡散が十分に行なわれないた
め、所望の合金強度および組織を確保するこ
とができず、一方1200℃を越えた焼結温度で
は液相の発生量が多くなりすぎて、形状変形
が著しく、所定の形状が得られなくなること
から、焼結温度を1020〜1200℃と定めた。 (c) 冷却速度 冷却速度が2℃/min未満では、あまりに
も徐冷すぎて実用的でないばかりでなく、こ
のように遅い冷却速度にしても遊離黒鉛の析
出量および炭化物の形成量はこれより速い冷
却速度の場合とほとんど同じであり、一方40
℃/minを越えた冷却速度にしても、相対的
に炭化物の割合が多く、遊離黒鉛の割合が少
なくなる傾向が現われるが、その改善効果に
より一層の向上効果は得られないことから、
焼結後における焼結温度から少なくとも変態
点までの冷却速度を2〜40℃/minと定め
た。 つぎに、この発明のFe基焼結合金およびその
製造法を実施例により具体的に説明する。 実施例 原料粉末として、粒度−100meshのFe粉末、
いずれも粒度−100meshを有し、かつCr含有量が
それぞれ5%、13%、25%、35%、および65%の
5種類のFe−Cr合金粉末、同−100meshのカー
ボン粉末、平均粒径:3μmのMo粉末およびW粉
末、いずれも粒度−100meshを有するTiC粉末、
NbC粉末、およびWC粉末、粒度−100meshのFe
−Cr−Mo−Nb合金(Cr:13%、Mo:1%、
Nb:7%含有)粉末、いずれも粒度−100mesh
のFe−P合金(P:27%含有)粉末、Fe−B合
金(B:17%含有)粉末、およびFe−Si合金
(Si:42%含有)粉末を用意し、これら原料粉末
をそれぞれ第1表に示される配合組成に配合し、
V型ミキサーにて30分間混合した後、4〜7ton/
cm2の範囲内の所定圧力にて圧粉体に成形し、つい
でこれらの圧粉体を第2表に示される焼結条件お
よび冷却条件にて焼結することによつて、本発明
法1〜33および比較法1〜3をそれぞれ実施し、
Fe基焼結合金を製造した。 なお、比較法1〜3は配合組成(第1表に※印
を付したもの)がこの発明の範囲から外れたもの
である。
性を有し、かつ耐熱性および耐食性にすぐれ、特
にこれらの特性が要求されるバルブシート、バル
ブガイド、ロツカーアーム、タペツト、および軸
受などの耐摩耗部品の製造に用いた場合にすぐれ
た性能を発揮するFe基焼結合金の製造法に関す
るものである。 従来、一般に、上記の耐摩耗部品の製造には、
ステンレス鋼、耐熱鋼、あるいは合金工具鋼など
の成分組成に相当する組成をもつたFe基焼結合
金が用いられている。 これらのFe基焼結合金は、すぐれた耐熱性お
よび耐食性を有し、かつ素地中にビツカース硬さ
で700以上の炭化物が均一微細に分散した組織を
もつので、実用に際してはすぐれた耐摩耗性を示
すが、一方硬質であるために相手攻撃性が著しく
高いという問題をもつものであつた。 そこで、本発明者等は、上述のような従来耐摩
耗部品のもつ問題点を解決すべく研究を行なつた
結果、 Cr:1〜25%、C:1.3〜6%、Si:0.5〜5
%、 Mo、W、およびNb(以下、これらを総称して
炭化物形成成分という)のうちの1種または2種
以上(合量で):0.1〜20%、 を含有し、さらに必要に応じて、 PおよびBうちの1種または2種(合量で):
0.05〜2%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる配
合組成を有する圧粉体を、 圧力:10-1torr以下の真空中、1020〜1200℃の
範囲内の所定温度で焼結した後、 少なくとも焼結温度から変態点までの範囲を2
〜40℃/minの速度で冷却することによつて製造
され、かつ素地中に、ビツカース硬さで700以上
を有する炭化物:3〜40容量%および遊離黒鉛:
3〜20容量%が均一に分散した組織を有するFe
基焼結合金は、その素地によつてすぐれた耐熱性
と耐食性が確保され、かつ素地中に微細均一に分
散する炭化物によつてすぐれた耐摩耗性が、さら
に同じく遊離黒鉛によつてすぐれた自己潤滑性が
確保されるようになるという知見を得たのであ
る。 この発明は、上記知見にもとづいてなされたも
のであつて、以下に成分組成、製造条件および組
織を上記の通りに限定した理由を説明する。 A 成分組成 (a) Cr Cr成分には、素地に固溶して、これを強
化すると共に耐熱性および耐食性を向上さ
せ、さらにC成分と結合してビツカース硬さ
で700以上の高硬度を有するCr炭化物を形成
し、かつ炭化物形成成分とさらに一段と高い
硬さをもつた複炭化物を形成して合金の耐摩
耗性を向上させる作用があるが、その含有量
が1%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方25%を越えて含有させると、合金
の脆化が著しくなることから、その含有量を
1〜25%と定めた。 (b) C C成分には、素地に固溶して、これを強化
すると共に、上記のようにCrや炭化物形成
成分と結合してビツカース硬さで700以上の
高硬度を有するCr炭化物や、これとの複炭
化物を形成して合金の耐摩耗性を向上させ、
さらに焼結後の徐冷過程で均一微細に分散し
た遊離黒鉛として析出して合金の自己潤滑性
を向上させる作用があるが、その含有量が
1.3%未満では所望のすぐれた耐摩耗性およ
び自己潤滑性を確保することができず、一方
6%を越えて含有させると、合金の強度およ
び靭性の低下が著しくなることから、その含
有量を1.3〜6%と定めた。 (c) Si Si成分には、素地に固溶して、焼結性を著
しく改善し、もつて合金を緻密化するほか、
素地に固溶したC成分の解離反応を大きくし
て、C成分の析出を促進する作用があるが、
その含有量が0.5%未満では前記作用に所望
の効果が得られず、一方5%を越えて含有さ
せると、合金の靭性が低下するようになるば
かりでなく、焼結時の液相量が多くなりすぎ
て形状変形が生ずるようになることから、そ
の含有量を0.5〜5%と定めた。 (d) PおよびB これらの成分には、焼結性を改善して合金
を緻密化し、かつ素地に固溶して合金の強度
を向上させる作用があるので、特にこれらの
特性が要求される場合に応じて含有させる
が、その含有量が0.05%未満では前記作用に
所望の向上効果が得られず、一方2%を越え
て含有させると、焼結時の液相量が多くなり
すぎて形状変形を起し易くなるばかりでな
く、合金の強度低下の原因ともなることか
ら、その含有量を0.05〜2%と定めた。 (e) 炭化物形成成分 これらの成分には、素地に固溶して、これ
を強化するほか、C成分と結合して高硬度を
有する炭化物および複炭化物を形成し、もつ
て合金の耐摩耗性を一段と向上させる作用が
あるが、その含有量が0.1%未満では前記作
用に所望の向上効果が得られず、一方20%を
越えて含有させると、合金に脆化傾向が現わ
れるようになることから、その含有量を0.1
〜20%と定めた。 B 組織 (a) 炭化物 炭化物の量が、素地中に占める割合で3容
量%未満では、所望のすぐれた耐摩耗性を確
保することができず、一方炭化物量が、同様
の割合で40容量%を越えると、合金の脆化が
著しくなると共に、相手攻撃性も高くなるこ
とから、素地中における炭化物の割合を3〜
40容量%と定めた。 (b) 遊離黒鉛 遊離黒鉛の量が、素地中に占める割合で3
容量%未満では、所望のすぐれた自己潤滑性
を確保することができず、一方遊離黒鉛量
が、同様の割合で20容量%を越えると、合金
の強度が急激に低下するようになることか
ら、素地中における遊離黒鉛の割合を3〜20
容量%と定めた。 C 製造条件 (a) 焼結雰囲気の真空度 焼結雰囲気の真空度は、合金成分たるSi量
にも影響を受けるが、その真空度が10-1torr
より悪くなると、焼結雰囲気中の酸素および
水分が、FeやCをはじめとする成分と反応
を起し、遊離黒鉛の生成を困難にする一方
で、炭化物の生成が促進されてしまうため所
定の組織を得ることができなくなるばかりで
なく、焼結合金中の酸素量が増大するため、
合金強度が著しく低下し、過酷な条件下での
使用に耐えられなくなり、さらに耐摩耗性お
よび摺動特性も劣化するようになることか
ら、焼結雰囲気の真空度を10-1torr以上と定
めた。 (b) 焼結温度 焼結温度が1020℃未満では、素地中への合
金成分の固相拡散が十分に行なわれないた
め、所望の合金強度および組織を確保するこ
とができず、一方1200℃を越えた焼結温度で
は液相の発生量が多くなりすぎて、形状変形
が著しく、所定の形状が得られなくなること
から、焼結温度を1020〜1200℃と定めた。 (c) 冷却速度 冷却速度が2℃/min未満では、あまりに
も徐冷すぎて実用的でないばかりでなく、こ
のように遅い冷却速度にしても遊離黒鉛の析
出量および炭化物の形成量はこれより速い冷
却速度の場合とほとんど同じであり、一方40
℃/minを越えた冷却速度にしても、相対的
に炭化物の割合が多く、遊離黒鉛の割合が少
なくなる傾向が現われるが、その改善効果に
より一層の向上効果は得られないことから、
焼結後における焼結温度から少なくとも変態
点までの冷却速度を2〜40℃/minと定め
た。 つぎに、この発明のFe基焼結合金およびその
製造法を実施例により具体的に説明する。 実施例 原料粉末として、粒度−100meshのFe粉末、
いずれも粒度−100meshを有し、かつCr含有量が
それぞれ5%、13%、25%、35%、および65%の
5種類のFe−Cr合金粉末、同−100meshのカー
ボン粉末、平均粒径:3μmのMo粉末およびW粉
末、いずれも粒度−100meshを有するTiC粉末、
NbC粉末、およびWC粉末、粒度−100meshのFe
−Cr−Mo−Nb合金(Cr:13%、Mo:1%、
Nb:7%含有)粉末、いずれも粒度−100mesh
のFe−P合金(P:27%含有)粉末、Fe−B合
金(B:17%含有)粉末、およびFe−Si合金
(Si:42%含有)粉末を用意し、これら原料粉末
をそれぞれ第1表に示される配合組成に配合し、
V型ミキサーにて30分間混合した後、4〜7ton/
cm2の範囲内の所定圧力にて圧粉体に成形し、つい
でこれらの圧粉体を第2表に示される焼結条件お
よび冷却条件にて焼結することによつて、本発明
法1〜33および比較法1〜3をそれぞれ実施し、
Fe基焼結合金を製造した。 なお、比較法1〜3は配合組成(第1表に※印
を付したもの)がこの発明の範囲から外れたもの
である。
【表】
【表】
つぎに、この結果得られた各種のFe基焼結合
金について、その素地における炭化物および遊離
黒鉛の割合を測定すると共に、 試験片寸法:20mm□×厚さ10mm、 面圧:20Kg/cm2、 周速:6.8m/sec、 相手材:FC−22、 潤滑油:使用、 摩擦距離:15×104m、 の条件で摩耗試験を行ない、上記試験片の摩耗深
さと、相手攻撃性を評価する目的で、相手材の摩
耗深さを測定した。これらの結果を第1表に示し
た。 第1表に示される結果から、本発明法1〜33で
製造されたFe基焼結合金は、いずれもすぐれた
耐摩耗性および自己潤滑性を具備しているのに対
して、比較法1〜3で製造されたFe基焼結合金
に見られるように、配合組成がこの発明の範囲か
ら外れると、前記両特性のうち少なくともいずれ
かの特性が劣つたものになることが明らかであ
る。 上述のように、この発明によれば、素地中に微
細均一に分散した炭化物と遊離黒鉛によつて、す
ぐれた耐摩耗性と自己潤滑性が確保され、かつ素
地によつてすぐれた耐熱性と耐食性を具備した
Fe基焼結合金を製造することができ、しかもこ
のFe基焼結合金を、これらの特性が要求される
各種の分野、例えば耐摩耗部品の製造に適用した
場合に、すぐれた性能を長期に亘つて安定的に発
揮するなどの工業上有用な効果がもたらされるの
である。
金について、その素地における炭化物および遊離
黒鉛の割合を測定すると共に、 試験片寸法:20mm□×厚さ10mm、 面圧:20Kg/cm2、 周速:6.8m/sec、 相手材:FC−22、 潤滑油:使用、 摩擦距離:15×104m、 の条件で摩耗試験を行ない、上記試験片の摩耗深
さと、相手攻撃性を評価する目的で、相手材の摩
耗深さを測定した。これらの結果を第1表に示し
た。 第1表に示される結果から、本発明法1〜33で
製造されたFe基焼結合金は、いずれもすぐれた
耐摩耗性および自己潤滑性を具備しているのに対
して、比較法1〜3で製造されたFe基焼結合金
に見られるように、配合組成がこの発明の範囲か
ら外れると、前記両特性のうち少なくともいずれ
かの特性が劣つたものになることが明らかであ
る。 上述のように、この発明によれば、素地中に微
細均一に分散した炭化物と遊離黒鉛によつて、す
ぐれた耐摩耗性と自己潤滑性が確保され、かつ素
地によつてすぐれた耐熱性と耐食性を具備した
Fe基焼結合金を製造することができ、しかもこ
のFe基焼結合金を、これらの特性が要求される
各種の分野、例えば耐摩耗部品の製造に適用した
場合に、すぐれた性能を長期に亘つて安定的に発
揮するなどの工業上有用な効果がもたらされるの
である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Cr:1〜25%、C:1.3〜6%、Si:0.5〜5
%、 Mo、W、およびNbのうちの1種または2種以
上(合量で):0.1〜20%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる配
合組成を有する圧粉体を、 圧力:10-1torr以下の真空中、1020〜1200℃の
範囲内の所定温度で焼結した後、 少なくとも焼結温度から変態点までの範囲を2
〜40℃/minの速度で冷却して、 素地中に、ビツカース硬さで700以上を有する
炭化物:3〜40容量%および遊離黒鉛:3〜20容
量%が均一に分散した組織を有するFe基焼結合
金を製造することを特徴とする耐摩耗性および自
己潤滑性のすぐれたFe基焼結合金の製造法。 2 Cr:1〜25%、C:1.3〜6%、Si:0.5〜5
%、 Mo、W、およびNbのうちの1種または2種以
上(合量で):0.1〜20%、 を含有し、さらに、 PおよびBのうちの1種または2種(合量
で):0.05〜2%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる配
合組成を有する圧粉体を、 圧力:10-1torr以下の真空中、1020〜1200℃の
範囲内の所定温度で焼結した後、 少なくとも焼結温度から変態点までの範囲を2
〜40℃/minの速度で冷却して、 素地中に、ビツカース硬さで700以上を有する
炭化物:3〜40容量%および遊離黒鉛:3〜20容
量%が均一に分散した組織を有するFe基焼結合
金を製造することを特徴とする耐摩耗性および自
己潤滑性のすぐれたFe基焼結合金の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14756983A JPS6039149A (ja) | 1983-08-12 | 1983-08-12 | 耐摩耗性および自己潤滑性のすぐれたFe基焼結合金の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14756983A JPS6039149A (ja) | 1983-08-12 | 1983-08-12 | 耐摩耗性および自己潤滑性のすぐれたFe基焼結合金の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6039149A JPS6039149A (ja) | 1985-02-28 |
JPH0114985B2 true JPH0114985B2 (ja) | 1989-03-15 |
Family
ID=15433313
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14756983A Granted JPS6039149A (ja) | 1983-08-12 | 1983-08-12 | 耐摩耗性および自己潤滑性のすぐれたFe基焼結合金の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6039149A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH076026B2 (ja) * | 1986-09-08 | 1995-01-25 | マツダ株式会社 | 耐摩耗性に優れた鉄系焼結合金部材の製造法 |
JP3221192B2 (ja) * | 1993-10-18 | 2001-10-22 | 三菱マテリアル株式会社 | 吸気用バルブシート |
JP3257212B2 (ja) * | 1993-12-27 | 2002-02-18 | 三菱マテリアル株式会社 | 内燃機関吸気用鉄基焼結合金製バルブシート |
US11685982B2 (en) * | 2016-10-17 | 2023-06-27 | Tenneco Inc. | Free graphite containing powders |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5822358A (ja) * | 1981-07-30 | 1983-02-09 | Mitsubishi Metal Corp | 燃料供給ポンプの構造部材用Fe基焼結合金 |
-
1983
- 1983-08-12 JP JP14756983A patent/JPS6039149A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5822358A (ja) * | 1981-07-30 | 1983-02-09 | Mitsubishi Metal Corp | 燃料供給ポンプの構造部材用Fe基焼結合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6039149A (ja) | 1985-02-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2741199B2 (ja) | 高密度焼結鉄合金 | |
US5856625A (en) | Stainless steel powders and articles produced therefrom by powder metallurgy | |
US6066191A (en) | Hard molybdenum alloy, wear resistant alloy and method for manufacturing the same | |
US4985309A (en) | Alloyed steel powder for powder metallurgy | |
JPS5918463B2 (ja) | 耐摩耗性焼結合金およびその製法 | |
WO1998024941A1 (en) | Iron-based powder | |
US5682588A (en) | Method for producing ferrous sintered alloy having quenched structure | |
JPH10140206A (ja) | 焼結焼入れ用低合金鋼粉末 | |
US4696696A (en) | Sintered alloy having improved wear resistance property | |
JPH07300656A (ja) | 高温用焼結軸受合金及びその製造方法 | |
JPH10504353A (ja) | クロム、モリブデンおよびマンガンを含む鉄基粉末 | |
JPH01261270A (ja) | 金属を含有した炭窒化チタン−炭化クロム系セラミックス | |
GB2298869A (en) | Stainless steel powders and articles produced therefrom by powder metallurgy | |
JPH0114985B2 (ja) | ||
US4755222A (en) | Sinter alloys based on high-speed steel | |
JPH0517839A (ja) | 高温用軸受合金およびその製造方法 | |
JP3682556B2 (ja) | 耐熱・耐摩耗性焼結ステンレス鋼 | |
JP2001158934A (ja) | 耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法 | |
JPH0751721B2 (ja) | 焼結用低合金鉄粉末 | |
JPH02153046A (ja) | 高強度焼結合金鋼 | |
JPH0931612A (ja) | 強度および耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金 | |
CN101517110B (zh) | 冶金粉末组合物及其制造方法 | |
JPS6154855B2 (ja) | ||
JPH026827B2 (ja) | ||
JPH0125361B2 (ja) |