JPH0114167Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、左右一対のフアスナーストリンガー
に２個のスライダーを装着して逆開き可能にした
スライドフアスナーに関し、特にフアスナースト
リンガーの一端の対向する縁部に棒状をした金属
製の２個の離具を取り付けて左右のフアスナース
トリンガーを分離できるようにしたスライドフア
スナーに関する。

従来技術 この種のスライドフアスナーにおいては、スラ
イダーに対する一方の離具の着脱を容易にする目
的で、一般に、両離具の下端側の対向する面をフ
アスナーテープ側（離具の幅方向）に変形（退
却）したガイド面にし、下端にスライダー停止用
突部を有する離具を固定側とし、前記停止用突部
を有さない離具を挿入側としている。また、この
ような離具を用いたスライドフアスナーにおいて
は、離具の幅方向への変形量を正確に一定の値に
する必要があり、前記変形量に誤差があると、
２個のスライダーをフアスナーストリンガーの下
端部まで下げて、一方の離具に形成された停止用
突部と、下側（離具側）のスライダーのＹ字状の
ガイド溝内に形成された停止用凹部とを係合させ
て、位置決めをした状態で、他方のフアスナース
トリンガーの離具を両スライダーに挿入するとき
の操作性及び挿入後上側のスライダーを引き上げ
る際のスタート性が悪くなること、離具の取付
強度が低下すること、両離具の対向面に形成さ
れ、かつ上側のスライダーを引き上げる際に両離
具の位置決めをする係合部が充分に係合せず、ス
ライダーに挿入する離具がオーバーランしてしま
う等の欠点を生じる。

しかし、従来のこの種のスライドフアスナーで
用いる金属製の離具は、一般に、フアスナースト
リンガーに取り付ける前の状態においては略直線
状であり、またフアスナーストリンガーには、フ
アスナーストリンガーの芯紐成形部等の一端縁部
を断面略コ字状の挿入溝に挿入した状態で厚さ方
向（表裏方向）に加圧して加締ることにより取付
けてはいるが、離具がフアスナーストリンガーに
装着する前の状態では略直線状であるため、離具
の下部の互いに対向する面を上部に対してフアス
ナーテープ側（幅方向側）に変形したガイド面に
して、離具の着脱を容易にする目的で、加締固定
後にさらに離具の下部を全体的にフアスナーテー
プ側に変形させている。

このように、離具の下部を全体的に幅方向に変
形させると、その変形量を正確に一定にすること
が困難であるから、変形量の寸法誤差により前述
した挿入時の操作性やスタート性が悪くなり、取
付強度が低下し、さらには挿入する離具がオーバ
ーランしてしまう。

また、離具を厚さ方向に加締、次いで幅方向に
変形させるから、工程が２段階になり、しかもそ
のための装置が複雑な構造になるし、幅方向に変
形するための大きな力が必要になるから、自動化
することが難しい。

さらに、コイル状のフアスナーエレメントを用
いたスライドフアスナー用の離具は、一般に、第
１１図Ａ及びＢに示すように、断面形状が表裏
（厚さ方向）非対称であるため、離具の下部を全
体的にフアスナーテープ２側に変形すると、変形
量の誤差と相まつて離具１の上部と下部とが相対
的に捩れてしまう。

このように離具の上部と下部とが相対的に捩れ
ていると、商品価値が低くなるのみならず、上下
のスライダーを下端まで下げたときに、第１１図
Ｃに示すように、上下のスライダー３，４が互い
に傾いてしまい。スライダー３，４に対する挿入
側の離具（図示せず）の着脱が難しくなる。

すなわち、下側のスライダー３には、一般に、
第１１図Ａ，Ｂに示すように、固定側の離具１の
下端部に形成されたスライダー停止用突部５と係
合する停止用凹部６を有するが、この停止用凹部
６を前記停止用突部５と略同じ大きさにすると
（寸法的に余裕がないと）、スライダー３，４を下
端まで下げた状態において、前記離具の捩れによ
り下側のスライダー３が上側のスライダー４に対
して第１１図Ｂ，Ｃのように傾くため、スライダ
ー３，４への挿入側の離具の着脱が難しくなる。

このため、従来では第１１図Ａ，Ｂに示すよう
に、スライダー３の前記停止用凹部６を大きくし
て寸法的に余裕をもたせ、しかも停止用凹部６と
反対側の個所にも凹部７を形成していた。しか
し、このようにすると、挿入側の離具の着脱時に
スライダー３，４を手で正しい姿勢に直さなけれ
ばならず、離具の着脱が面倒であり、しかも第１
１図Ｂに示すように離具１がスライダー３に対し
て傾斜してスライダー３，４の摺動性が悪くな
る。

上下のスライダーを下げたときに、離具の捩れ
等によりスライダーが互いに傾斜しないようにし
たスライドフアスナーが提案されている（実公昭
54−18325号）。しかし、このスライドフアスナー
は、一方のスライダーの後端に舌片を形成し、他
方のスライダーの後端に凹欠部を形成して、前記
舌片と凹欠部とを係合させることにより両スライ
ダーの姿勢を正す構成であるため、外観が悪いの
みならず、前記舌片と凹欠部が正しく係合しない
ことがあつた。

考案の構成 上記目的は本考案によれば、各離具の互いに対
向する面の下部にフアスナーテープ側に湾曲した
ガイド面を有する形状に各離具をダイカスト成形
により予め形成して、フアスナーストリンガーに
離具の厚さ方向に加締めて固定するだけで、下部
をフアスナーテープ側に変形させる必要のない構
造にするとともに、スライダー停止用凹部をスラ
イダー停止用突部と略同じ大きさにすることによ
り達成される。

考案の目的 本考案は、離具をフアスナーストリンガーに装
着した後に離具の下部を幅方向に変形させる必要
がなく、それによつてスライダーへの離具の脱着
やスライダーの移動が容易になり、しかもスライ
ダーに舌片や凹欠部を形成しなくても上下のスラ
イダーが正しい姿勢になり、その上フアスナース
トリンガーへの離具の装着作業を自動機械により
行なうことができるスライドフアスナーを提供す
ることを目的とする。

実施例 以下、図面に示す実施例に基いて本考案を説明
する。

第１図ないし第１０図において、１０，１１は
フアスナーストリンガーであり、フアスナーテー
プ１２，１３の対向する縁部にフアスナーエレメ
ント１４，１５を取付けており、また下端部の対
向する縁部に金属製の離具１６，１７を取り付け
ている。フアスナーエレメント１４，１５は、図
示の例ではコイル状のフアスナーエレメントであ
る。

離具１６は固定側の離具であり、離具１７は挿
入具である。両離具１６，１７はダイカスト成形
により作られている。

固定側の離具１６は、第２図ないし第８図に示
すように、３個の壁２０，２１，２２により断面
コ字状に作られて挿入凹溝２３を有している。挿
入凹溝２３はフアスナーテープ１２側と上方すな
わちフアスナーエレメント１４側が開口してお
り、第８図に示すように上方から下方に略真直ぐ
に延びている。

離具１６の表面側に位置する壁２０のうち、フ
アスナーテープ１２側の縁部は裏面側に位置する
壁２１に向けて屈曲されて、屈曲された部分の挿
入凹溝２３側の面はエレメント列の方向に延びる
平坦面２９になつており、また端部はフアスナー
テープ１２側に突出する厚肉部２４になつてい
る。

離具１６の壁２０，２１のうち、フアスナーテ
ープ１２側の縁部の上下方向における略中央はフ
アスナーテープ１２側にわずかに膨出する膨出部
２５を形成することにより、その他の部分を細く
し、スライダー内への挿入を容易にしている。

離具１６の壁２２には、後述する挿入側の離具
１７に形成された係合凹部４７に嵌入する係合突
部２６と、前記離具１７に形成された係合突部４
６が嵌入する係合凹部２７とが上部に隣接して形
成されており、またフアスナーテープ１２の一部
が嵌入する切込み２８が上端側から形成されてい
る。

離具１６の壁２２は、相手側の離具１７と対面
する面が、上部はエレメント列の方向に延びる平
坦面３０で、この平坦面３０から下方はフアスナ
ーテープ１２側に２段階に湾曲されて離具１７の
着脱を容易にするガイド面３１，３２になつてい
るのに対し、反対側すなわち挿入凹溝２３側の面
は平坦面３０と中央に位置するガイド面３１とに
対応する部分は略直線状に延びる平坦面３３で、
下端側に位置するガイド面３２と対面する部分は
フアスナーテープ１２側に傾斜する傾斜面３４に
なつている。このため壁２２は、平坦面３０とガ
イド面３１との境界部分が厚肉部３５になつてお
り、また挿入凹溝２３は下端部が傾斜面３４によ
り先細になつている。

固定側の離具１６には、下端部の表面側にスラ
イダー停止用突部３６が形成されている。

挿入側の離具１７は、膨出部２５と停止用突部
３６とを有してないこと及び固定側の離具１６よ
りやや長尺であることを除いては固定側の離具１
６と同じ形状に作られている。このため、離具１
７も挿入凹溝４３、厚肉部４４、係合突部４６、
係合凹部４７、離具１６の切込み２８に相当する
切込み４８、平坦面４９，５０，５３、ガイド面
５１，５２、傾斜面５４及び厚肉部５５を有して
いる。

離具１６，１７は、フアスナーストリンガー１
０，１１の下端部に形成された芯紐成形部３７，
５７を挿入凹溝２３，４３の上端側から挿入した
後、厚さ方向に加圧して加締めることにより、フ
アスナーストリンガー１０，１１に加締固定され
る。

離具１６，１７は、挿入凹溝２３，４３を形成
している面２９，３３，４９，５３がエレメント
列の方向に延びる平坦面であるから、芯紐成形部
３７，５７を挿入凹溝２３，４３に容易に挿入す
ることができ、従つて離具１６，１７を厚さ方向
に加圧して加締固定すればよいことと相まつて、
フアスナーストリンガー１０，１１への装着を自
動化することができる。また、芯紐成形部３７，
５７を挿入凹溝２３，４３に対応する形状、特に
面３８，３９，５８，５９を平坦面２９，３３，
４９，５３に対応する形状にすれば、挿入凹溝２
３，４３への芯紐成形部３７，５７の挿入がより
容易になる。さらに、ガイド面３１，３２，５
１，５２がフアスナーテープ１２，１３側にすで
に湾曲しているから、離具１６，１７を加締めた
後は、それらの下部をフアスナーテープ１２，１
３の方向に変形させる必要がないし、強固に取付
けることができる。さらにまた、厚肉部２４，３
５，４４，５５を有するから機械的強度が大であ
る。

スライダー６０，７０は、第１図、第９図、第
１０図、及び第１１図に示すように、上板６１，
７１と下板６２，７２を先端側において連結柱６
３，７３で連結し、上板６１，７１及び下板６
２，７２にガイドフランジ６４，６５，７４，７
５を設け、上板６１，７１に引手６６，７６を取
付けており、固定側の離具１６を装着しているフ
アスナーストリンガー１０に、後端が互いに対向
する状態に取り付けられている。下側のスライダ
ー６０の上板６１には、少なくとも離具１６側の
肩口の内面に、上板６１のガイドフランジ６４と
逆Ｌ字状の段とからなり、離具１６の停止用突部
３６と係合するコ字状の停止用凹部６７が形成さ
れている。該停止用凹部６７は、第１０図に示す
ように、前記停止用突部３６の巾と略同じ巾に形
成され、両者が嵌合する様になつている。

なお、ガイドフランジ６４，７４は上板６１，
７１に形成され、ガイドフランジ６５，７５は下
板６２，７２に形成されている。

このスライドフアスナーにおいて、離具１７を
スライダー６０，７０に対し着脱するには、スラ
イダー６０，７０を第９図に示すように下端に下
げた状態で離具１７をスライダー７０からスライ
ダー６０に挿入し、また逆に取り出せばよい。

スライダー６０，７０を第９図に示すように下
げた状態において、離具１６とスライダー６０と
は、上板６１のガイドフランジ６４と逆Ｌ字状の
段部とから成るコ字状の停止凹部６７が離具１６
の停止用突部３６に当接した状態で停止してお
り、また特に下板６２のガイドフランジ６５の内
面が離具１６の膨出部２５に当接した状態に位置
決めされ、この状態で離具１７を挿入すると、離
具１６，１７の係合突部２６，４６が相手側の係
合凹部２７，４７と係合すると共に、離具１６の
上端に隣接する第１エレメント１４が離具１７の
対向エレメント１５と円滑に係合し、離具１７を
オーバーランすることがない。

上述のスライドフアスナーは、離具１６，１７
に捩れがないから、第９図に示すようにスライダ
ー６０，７０を下端にまで下げた状態において、
スライダー６０がスライダー７０に対して傾斜せ
ず、第９図及び第１０図Ａに示すように安定した
状態に保たれ、従つて離具１７の着脱やスライダ
ー７０の引き上げが容易である。また、スライダ
ー６０がスライダー７０に対して傾斜する力が加
わつても、停止用凸部３６と停止用凹部６７が略
同じ巾に形成され、両者が嵌合しているから、第
１０図Ｂ及びＣに示すように、わずかに傾斜する
にすぎす、離具１７の着脱やスライダー７０の引
き上げを阻害することがない。

なお、本考案はコイル状のフアスナーエレメン
トを用いたスライドフアスナーのみならず、連続
したジグザグ状のフアスナーエレメントや個々に
独立したフアスナーエレメントを用いたスライド
フアスナーにも適用することができる。

考案の効果 以上のように本考案は、各離具が互いに対向す
る面の下部にフアスナーテープ側に湾曲したガイ
ド面を有する形状にダイカスト成形により作られ
ているから、厚さ方向に加圧して加締るだけで取
付けることができ、従つて離具の上部と下部が装
着時に捩れることがないし、離具を自動機械によ
り取り付けることができる。またスライダー停止
用の停止用突部と停止用凹部とが略同じ巾に形成
され、両者が嵌合していると共に離具１６の膨出
部２５とスライダーのガイドフランジ６４とが当
接し、停止用突部を中心として、離具１６を対向
離具１７方向に押圧しているから、離具の上部と
下部が捩れることがなく、しかも両離具の上部の
係合凸部と係合凹部および両エレメント列の第１
エレメント同志が正常に係合することと相まつ
て、上方のスライダーを下端まで下げても両スラ
イダーが正しい姿勢を保ち、また、離具全体がガ
イドチヤネルより細く形成されているのでスライ
ダーへの離具の着脱が容易であるし、スライダー
の引き上げがスムースになる。さらに、スライダ
ーを正しい姿勢に保つ舌片や凹部をスライダーに
形成する必要がないから、スライダーの外観がよ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるスライドフアスナーの
一実施例を示す斜視図、第２図は固定側の離具の
一実施例を示す正面図、第３図は同離具の右側面
図、第４図は同離具の左側面図、第５図は同離具
の底面図、第６図は第２図の−線断面図、第
７図は第２図の−線断面図、第８図は離具の
一部を欠除して離具の装着状態を示す図、第９図
は各スライダーの上板を除去して各スライダーを
下げた状態を示す図、第１０図は本考案にかかる
スライドフアスナーの動作説明図、第１１図は従
来のスライドフアスナーの動作説明図である。 １０，１１……フアスナーストリンガー、１
２，１３……フアスナーテープ、１４，１５……
フアスナーエレメント、１６，１７……離具、３
１，３２，５１，５２……ガイド面、３６……突
部、６０，７０……スライダー、６７……停止用
凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 一対のフアスナーストリンガー１０，１１と、 後端側が互いに対向した状態に前記フアスナー
   ストリンガー１０，１１に装着された２個のスラ
   イダー６０，７０と、 前記フアスナーストリンガー１０，１１の一端
   の対向する縁部に各々取付けられ、かつ金属で棒
   状に作られた２個の離具１６，１７と、 を備え、前記離具１６，１７は、互いに対抗する
   面の下部にフアスナーテープ１２，１３側に湾曲
   した少なくとも１つのガイド面３１，３２，５
   １，５２を有する形状にダイカスト成形により作
   られており、固定側の離具１６はテープ側側面に
   膨出部２５を有し、下端部に停止用突部３６を有
   し、前記離具１６，１７側に位置するスライダー
   ６０は固定側の前記離具１６側の肩口内面に前記
   停止用突部３６に対向し、該停止用突部３６の巾
   と略同じ巾であり、該停止用突部３６と係合する
   停止用凹部６７を有することを特徴とするスライ
   ドフアスナー。