JP7507023B2 - 鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法 - Google Patents

鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法に関し、特には、耐久性に優れる鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法に関するものである。
鉄塔や鋼製橋脚、交通標識柱、外路灯柱、フェンス、マンション手擦りなどは鋼製部材がコンクリートの基部に埋設された構造であることが多い。このような構造は鋼材とコンクリート材の両者の特性を生かすことができる合理的な構造であるが、鋼材とコンクリート材は材料特性が異なることから、経年でコンクリートにひび割れが生じやすく、鋼材とコンクリート材の境界部やコンクリート材のひび割れ部から腐食因子が侵入して鋼材を腐食させることが問題となっている。さらに、コンクリート基部は土砂が溜まりやすく、常に湿潤状態であることや、鋼材の振動によってコンクリートがより割れやすくなることもこの問題を助長しており、鋼材とコンクリート材の境界部の保護が求められていた。
以下に挙げる文献では、鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法が提案されている。
特開昭58-143004号公報(特許文献1)には、鉄鋼材よりなる構築物のコンクリート埋設部境界近傍表面の腐食防止方法であって、構築物とコンクリートの側断面において構造物の側面とコンクリートの表面の角度が鈍角、または、構築物と接するコンクリートの表面が円弧状をなし、構築物とコンクリート境界部近傍表面を、シリコン樹脂とシリコン変性エポキシ樹脂を主成分とした常温硬化性の非粘着塗料でコーティングする方法が記載されている。特許文献1に記載の方法によれば、構造物に振動が発生しても、上述の鈍角または円弧状の側断面により構築物からコンクリートに対しての振動の伝達が円滑に行われ、構築物とコンクリートの境界表面にクラック等の間隙を生ぜしめることがなく、またこの部分及び近傍はコーティング層で覆われているので防錆効果も生じ、構築物を腐食させないと記載されている。
特開2002-129521号公報(特許文献2)には、その一部をコンクリートに包囲された鋼体を有す複合構造物において、コンクリートから露出した鋼体の外面とコンクリートの表面との境界部に、弾性のある樹脂塗料を塗装することを特徴とする、鋼とコンクリートの境界部のシール構造が記載されている。また、特許文献2には、弾性のある樹脂塗料であるウレタンエラストマーは、変形能(破断歪)が大きいから、構造物に荷重が作用した際の応力作用によって、鋼体との境界あるいはコンクリートとの境界に働く力が緩和され、該境界ではがれることがなく、また、ウレタンエラストマー自体にも割れが生じることがないため、鋼・コンクリート接合部に水分、塩分が侵入するのを防ぐことができると記載されている。
特開2002-338849号公報(特許文献3)には、鋼とコンクリートとの接着界面およびその周囲部を、破断伸び率が10%以上150%未満のビニルエステル樹脂組成物の硬化物で被覆し、前記接着界面と大気との接触を防止することを特徴とする鋼-コンクリート複合体の防食方法が記載され、これによって、鋼およびコンクリートに対する高い密着性、強度および屈曲性を有し、かつ接着界面にかかる荷重および変形に対しても、樹脂割れや剥離を生じないことにより、鋼とコンクリートとの接着界面に水、塩分および炭酸ガス等が侵入することがなく、鋼の腐食、コンクリートの中性化を防止しうる鋼-コンクリート複合体の防食方法が提供されるとしている。
特開2010-19035号公報(特許文献4)には、鋼材とコンクリートを用いた鋼-コンクリート構造物において、鋼材とコンクリートの境界面からの水の浸入を防止するための浸水防止装置であって、少なくとも一部分が前記境界面に取り付けられる板状部材と、前記境界面で前記板状部材と前記鋼材の間に挟まって取り付けられるシール材とを備えていることを特徴とする鋼-コンクリート構造物の浸水防止装置が記載されている。特許文献4に記載の方法によれば、鋼材とコンクリートの境界面に取り付けられる板状部材とシール材によって、鋼材とコンクリートの境界面からの水(雨水等)の浸入を的確に防止することができ、その結果、水の浸入による鋼材の腐食やコンクリートの劣化を適切に防止して、鋼-コンクリート構造物の長期の耐久性を確保することが可能になると記載されている。
特開2015-183451号公報(特許文献5)には、高耐久性エポキシ樹脂接着剤に骨材として珪砂を混ぜ合わせた接着材料を鋼製橋脚の基礎部の補修面に塗布し、水、硬化型セメント系複合材料、高性能AE減水剤、収縮低減剤、空気調整剤を配合してなる補修材料を補修面に左官で塗りつける、ないしは、型枠を設置し流し込むことで所定の厚さを確保して被覆施工することを特徴とした鋼製橋脚基礎部の補修工法が記載され、これによって、耐久性が高く、少ない施工日数で、簡易に補修できる鋼製橋脚基礎部の補修工法を提供することができると記載されている。
特開昭58-143004号公報 特開2002-129521号公報 特開2002-338849号公報 特開2010-19035号公報 特開2015-183451号公報
これらの特許文献には、鋼材とコンクリート材の境界部をシールすることで境界部から腐食因子の侵入を防止し、鋼材を腐食から保護し得る発明が記載されているものの、耐久性の面で依然として改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、耐久性に優れる鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ゼロスパン法で測定した際の23℃における伸びが0.4mm~10mmである保護部により鋼材とコンクリート材の境界部を保護することで、構造物の耐久性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法は、鋼材とコンクリート材の境界部を保護部で保護する保護工法であって、
前記保護部は、ゼロスパン法で測定した際の23℃における伸びが0.4mm~10mmであることを特徴とする。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の好適例においては、前記保護部が、(A)下塗り層と、(B)弾性層と、(C)上塗り層とをこの順で少なくとも含む。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例においては、前記(B)弾性層の23℃における伸び率が50~500%の範囲内にあり、
前記(C)上塗り層の23℃における伸び率が1~50%の範囲内にあり、
前記(B)弾性層の伸び率の前記(C)上塗り層の伸び率に対する比(B/C)が1よりも大きく、500以下の範囲内である。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例においては、前記(B)弾性層の塗装膜厚が1~100mmの範囲内にあり、
前記(C)上塗り層の塗装膜厚が100~2000μmの範囲内にある。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例において、前記(B)弾性層を形成するための弾性パテは、顔料と、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含み、前記弾性パテ中における(B)弾性層形成成分の割合が50~100質量%の範囲内である。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例において、前記(C)上塗り層を形成するための上塗り塗料は、顔料と、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含み、前記上塗り塗料中における(C)上塗り層形成成分が50~100質量%の範囲内である。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例においては、前記保護部が、前記(C)上塗り層上にさらに耐候性層を含む。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例においては、前記保護部の水蒸気透過度が5.0mg/(cm・24h)未満である。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例においては、前記(A)下塗り層を形成するための下塗り塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~1,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~100(Pa・s、23℃)である。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例において、前記(B)弾性層を形成するための弾性パテは、粘度が3,000(dPa・s、23℃)以上である。
本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法の他の好適例において、前記(C)上塗り層を形成するための上塗り塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~10,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~1,000(Pa・s、23℃)である。
本発明によれば、耐久性に優れる鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法を提供することができる。
本発明の保護工法の一例を説明する図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明は、鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法に関するものである。本明細書において、本発明の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法は、単に本発明の保護工法とも称される。
本発明の保護工法は、鋼材とコンクリート材の境界部を保護部で保護する。
構造物には、異種の材料からなる複合構造が知られているが、本発明の1つの態様は、鋼材とコンクリート材とを組み合わせた複合構造物(鋼・コンクリート構造物)の保護に関するものである。本明細書においては、鋼材の表面とコンクリート材の表面が互いに接触している部分を鋼材とコンクリート材の接触面と称し、鋼材の表面とコンクリート材の表面が互いに接触していない部分を鋼材とコンクリート材の非接触面と称する。そして、鋼材とコンクリート材の接触面と非接触面の境界を鋼材とコンクリート材の境界部と称する。本発明の保護工法は、この鋼材とコンクリート材の境界部に保護部を適用することで、鋼材とコンクリート材の境界部を保護するものである。
鋼・コンクリート構造の具体例としては、鉄筋コンクリート構造(RC構造)、鉄骨・鉄筋コンクリート構造(SRC構造)、プレストレストコンクリート構造(PC構造)、コンクリート充填鋼管構造(CFT構造)、合成桁橋、合成脚、合成杭、合成床版、サンドイッチ合成板、波形鋼板ウェブPC橋、鋼管・コンクリート複合構造橋脚等が挙げられる。また、鉄塔、鋼製橋脚、交通標識柱、外路灯柱、フェンス、マンション手擦りなどに見られるような、鋼材がコンクリート材に埋設された構造も含まれる。鋼材やコンクリート材は、建築分野や土木分野で利用できる鋼材やコンクリート材であればよいが、これに限定されるものではない。
本発明の保護工法において、保護部は、ゼロスパン法で測定した際の23℃における伸びが0.4mm~10mmの範囲内であることが好ましく、0.8mm~8mmの範囲内であることがより好ましい。本明細書において、ゼロスパン法は、コンクリート標準示方書(公益社団法人土木学会 2010年制定)に規定された表面被覆材のひび割れ追従性試験方法(案)に準拠して実施される方法である。この方法では、表面被覆材がその延伸性によって、コンクリートのひび割れと無関係にその被覆性を保持する性能を確認することができる。本発明の保護工法によれば、ゼロスパン法で測定した際の23℃における伸びが0.4mm~10mmである保護部により鋼材とコンクリート材の境界部を保護することで、構造物の耐久性を向上させることができる。保護部の23℃での伸びが0.4mm以上であれば、ひび割れ追従性が高く、鋼材の振動によりコンクリートにひび割れが生じたとしても、保護層での割れの発生を防ぎ、腐食因子の侵入の防止効果を維持することができる。一方、保護部の23℃での伸び率が10mmを超えると、保護層が基材から剥がれやすくなり、腐食因子が侵入して鋼材の錆発生やコンクリートの劣化に繋がったり、施工性が悪い等の不具合がある。
本発明の保護工法において、保護部は、(A)下塗り層と、(B)弾性層と、(C)上塗り層とをこの順で少なくとも含むことが好ましい。このような層構成の保護部であれば、ゼロスパン法で測定される23℃での伸びを上記特定した範囲に調整することが容易になる。
ここで、(B)弾性層は(A)下塗り層および(C)上塗り層よりも伸び率の高い層であることが好ましい。伸び率が高く、鋼材の温度による伸縮や構造物の振動を効果的に吸収可能な(B)弾性層を、(B)弾性層よりも伸び率の低い(A)下塗り層と(C)上塗り層の間に挟むことで、塗装体としての強度が向上し、前記ゼロスパン法で測定させる23℃での伸びを上記特定した範囲に調整することが容易になる。(B)弾性層の伸びを高くするとともに(A)下塗り層、(C)上塗り層の伸びを高くしたり、(B)弾性層の塗装膜厚を大きくすることで保護部の伸びを高くすることができ、(A)下塗り層、(C)上塗り層の伸びを低くしたり、(A)下塗り層や(C)上塗り層の塗装膜厚を厚くしたり、(B)弾性層の塗装膜厚を薄くすることで保護部の伸びを低くすることが出来る。
保護部は、環境遮断性を確保する観点から、水蒸気透過度が5.0mg/(cm・24h)未満であることが好ましく、3.0mg/(cm・24h)未満であることがより好ましく、1.0mg/(cm・24h)未満であることが更に好ましい。保護部は、(A)下塗り層と、(B)弾性層と、(C)上塗り層とをこの順で少なくとも含むことが好ましい。このような層構成の保護部であれば、水蒸気透過度を上記特定した範囲に調整することが容易になる。ここで(A)下塗り層は鋼材およびコンクリート材への付着性を確保する役割を果たし、(B)弾性層は最も負荷がかかりやすい鋼材とコンクリート材の境界部をシールして水蒸気の透過を抑える役割を果たし、(C)上塗り層は緻密な塗膜を形成してさらなる水蒸気透過抑制に繋げる役割を果たすことができる。
本明細書において、水蒸気透過度は、温度25℃相対湿度90%の環境下で「JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して測定することができる。
本明細書において、環境遮断性とは、被塗物が曝露される環境中に存在し、金属に対する腐食性を示す水や酸素、塩化物イオン等の成分を遮断することで、金属の腐食を抑制する機能を意味する。
本発明の1つの態様において(A)下塗り層は、鋼材とコンクリート材の境界部に配置される層である。(A)下塗り層は、付着性に優れる層であることが好ましく、具体的には、鋼材、コンクリート材の双方に高い付着性を有する層であることが好ましく、鋼材、コンクリート材に加えて、(B)弾性層に対しても付着性が高い層であることが更に好ましい。
本発明の1つの態様において(A)下塗り層は、少なくとも鋼材とコンクリート材の境界部を覆うように形成される層であり、境界部近傍の鋼材表面や境界部近傍のコンクリート材表面を覆うように形成されていてもよい。境界部近傍の鋼材表面の領域は、例えば、境界部から500mmまでの領域であり、境界部近傍のコンクリート材表面の領域は、例えば、境界部から500mmまでの領域である。
(A)下塗り層の塗装膜厚は、例えば10~200μmの範囲内にある。(A)下塗り層の塗装膜厚とは、JIS K 5600-1-7:2014の規定に基づく(A)下塗り層の膜厚であるが、本明細書においては、鋼材とコンクリート材の境界部と(A)下塗り層の表面との間の距離(厚さ)を指す。下塗り層は23℃における塗膜の伸び率が1~30%の範囲内であることが好ましい。下塗り層の伸び率が1%以上であることで、鋼材やコンクリート材の微小な振動、伸縮に追随することができる。また、下塗り層の伸び率が30%以下であることで、(B)弾性層にかかる応力を逃がし、保護部の耐久性を向上することができる。
(A)下塗り層は、鋼材とコンクリート材の境界部を下塗り塗料で塗装することによって形成することができる。また、既設の構造物に塗装する際には、塗装の前処理として、鋼材やコンクリート材の表面に対してケレン等の素地調整を行うことが望ましい。下塗り塗料としては、ケレンのグレードの低減が可能な下塗り塗料であることが好ましい。
本発明の1つの態様において、下塗り塗料は、樹脂を含み、その具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。下塗り塗料において、下塗り層形成成分中における樹脂の量は、例えば10~100質量%であることが好ましく、40~95質量%であることがより好ましい。なお、樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗り塗料は、湿気硬化型樹脂を含むことができる。湿気硬化型樹脂は、鋼材表面に錆層が存在する場合であっても錆層内部に含浸し、錆層内部の水分や大気中の水分により反応硬化し、錆層を強化させることが可能な樹脂であり、塗装の前処理の軽減(具体的にはケレンのグレードの低減)が可能である。このような機能を有するものであれば従来から塗料用に使用されている各種湿気硬化型樹脂が使用可能であり、具体的には、例えば、ウレタン樹脂(ポリイソシアネートプレポリマー)系や、エポキシ樹脂-ケチミン硬化系、アルキルシリケート樹脂系、アルキルアルコキシシラン樹脂系等が代表的なものとして挙げられる。
湿気硬化型樹脂としては、特に錆層内部に含浸しやすく、硬化後錆層を強化し、耐水性等に優れた湿気硬化型ウレタン樹脂が好ましい。湿気硬化型ウレタン樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られる遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを好適に用いることができる。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールや、ポリオレフィンポリオール等を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの水酸基を2個以上、好ましくは、2~6個有する炭素数2~8個のポリオールに、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の、好ましくは、炭素数数2~8個のアルキレンオキサイドをアルカリ触媒などの存在下で付加重合して得た分子中に2~4個の水酸基(活性水素基)を持つポリアルキレンポリオールなどを用いることが適当である。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ブタジエンや、イソプレンなどのジエン系化合物に、例えば、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを付加重合して得た分子中に2~4個の水酸基を持つポリジエンポリオールを用いることが適当である。
ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上、好ましくは、2~3個のイソシアネート基を有する化合物が適当である。ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、2,4-トルエンジイソシアネートや2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジフェニルジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレタン社製商品名)等のビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製商品名)、コロネートE.H.(日本ポリウレタン工業社製商品名)等のイソシアネート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン社製商品名)、コロネートHL(日本ポリウレタン工業社製商品名)等のアダクトポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
湿気硬化型ウレタン樹脂の合成方法は、特に限定がなく従来公知の方法を利用することができる。具体的には、湿気硬化型ウレタン樹脂は、例えば、ポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを重合させることにより製造される。過剰のポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基当量よりもイソシアネート当量が過剰であることを意味し、その当量関係をNCO/OH比で表すことができる。特に、液状で低粘度の湿気硬化型ウレタン樹脂を形成するためには、ポリオールの種類や、官能基数、分子量等を考慮すると共に、NCO/OH比を、例えば2~10、好ましくは、5~10に調整することが好ましい。重合温度及び重合時間も特に制限されないが、通常水分の影響を避けるために、窒素気流下でポリオールとポリイソシアネートとを混合した後、例えば、50~100℃にて3~8時間反応させるのが適当である。反応前、反応途中及び反応終了後、有機金属塩系ウレタン重合触媒や、安定剤、脱水剤、重合調節剤等を適量随時添加しても差支えない。
下塗り塗料は、湿潤面への適用の観点から、キレート化能を有するエポキシ樹脂、またはキレート化剤を含有するエポキシ樹脂を含むことができる。キレート化能を有するエポキシ樹脂としては、例えば、水酸基を含有するりん酸エステル類や隣接水酸基を有する多価フェノールカルボン酸のアルコールエステル類と、公知のエポキシ樹脂とをエポキシ基が残存する割合にて反応させて得られるものが好適に用いられる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、特開平1-261468号公報に記載されるエポキシ樹脂を用いることができる。
下塗り塗料は、湿潤面への適用の観点から、高級脂肪酸、またはその誘導体から導かれる2官能以上のエポキシ樹脂を含むことができる。このようなエポキシ樹脂は、前駆体である高級脂肪酸、またはその誘導体の複数有する官能基に対し化学反応を行い、その高級脂肪酸等にエポキシ基を導入することにより得られるものである。ここでいう高級脂肪酸とは、炭素数が8以上、好ましくは炭素数が12以上の脂肪族カルボン酸をさす。誘導体としては、高級脂肪酸とグリセリンとのエステルであるトリグリセリドなどが好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、特開2015-59195号公報に記載されるエポキシ樹脂を用いることができる。
下塗り塗料には、樹脂以外の成分として、溶媒、硬化剤、着色剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、消泡剤、粘性調整剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、ゴム成分、腐食性イオン固定化剤、カップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。
下塗り塗料は、樹脂の種類に応じて、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択され、塗料業界において通常使用されている硬化剤を使用できる。また、湿潤面への塗装の際には、水に難溶性または不溶性である硬化剤を用いることが好ましい。硬化剤の含有量は、樹脂に含まれる硬化剤との反応性基の量に応じて適宜調整されるものであるが、下塗り塗料において、下塗り層形成成分中における硬化剤の量は、例えば1~20質量%であることが好ましい。なお、硬化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、水酸基を含む樹脂に対しては、イソシアネート系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂に対しては、アミン系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、及びトリプロピレングリコールジアミン等の他のポリアミン化合物と、これらアミン化合物のアミノ基を変性してなる変性ポリアミン化合物とが挙げられる。なお、アミン化合物の変性には、既知の方法が利用でき、変性反応の例としては、アミノ基のアミド化、アミノ基とカルボニル化合物のマンニッヒ反応、アミノ基とエポキシ基の付加反応等が挙げられる。ここで、アミノ基にエポキシ基等が付加したタイプの変性ポリアミン化合物をアダクトタイプの変性ポリアミン化合物といい、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物が好ましい。
エポキシ樹脂用のアミン系硬化剤としては、湿潤面への適用の観点から、ポリアミドアミンが好ましく、変性ポリアミドアミンが更に好ましい。ポリアミドアミンとしては、主としてダイマー酸とポリアミンの縮合により生成し、分子中に反応性の第一及び第二アミノ基を有するものであり、ダイマー酸とポリアミンのモル比、脂肪酸組成中のモノマー酸/ダイマー酸/トリマー酸の比率、ポリマーの種類、官能基数によりポリアミドアミンの分子量、粘度、アミン価等は変化する。変性ポリアミドアミンとしては、コンクリート湿潤面への施工付着性の観点から、変性脂環式ポリアミドアミンを用いるのが好ましい。また、コンクリートのひび割れ追従性の観点からは、ポリオキシアルキレンポリアミンをポリカルボン酸で変性したポリアミドアミンを用いるのが好ましい。このようなポリアミドアミンとして、例えば、特開2015-59195号公報に記載されるポリアミドアミンを用いることができる。
下塗り塗料は、湿潤面への適用とひび割れ追従性向上の観点から、末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体を含むことが好ましい。末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、主鎖にアクリロニトリルポリブタジエン骨格を有し、末端にはエポキシ基と反応する官能基、例えばアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有するものを挙げることができる。末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、下塗り層に可とう性を付与し、コンクリートのひび割れ追従性を向上させる。また、反応硬化過程において、エポキシ樹脂などの構造骨格中に組み込まれるため、反応性の無いゴム成分をブレンドした場合において問題となる耐水性を損なうという欠点を低減できる。このような末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体として、例えば、特開2015-59195号公報に記載される末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体を用いることができる。下塗り塗料において、下塗り層形成成分中における末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体の量は、例えば10~50質量%であることが好ましい。なお、末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗り塗料は、防錆顔料を含むことが好ましい。防錆顔料としては、従来から防食塗料に利用されているものが特に制限なく使用可能であるが、代表的には、例えば、リン酸アルミニウムや、縮合リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛ストロンチウム等の(亜)リン酸塩、モリブデン酸亜鉛や、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マンガン等のモリブデン酸塩;その他ステアリン酸や、タンニン酸、クエン酸、イタコン酸、硼酸、タングステン酸等の各種酸の金属塩などが挙げられる。下塗り塗料において、下塗り層形成成分中における防錆顔料の量は、例えば1~10質量%であることが好ましい。なお、防錆顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗り塗料は、腐食性イオン固定化剤を含むことが好ましい。腐食性イオン固定化剤は、錆層と鉄素地との界面に存在するClや、SO 2-等の腐食性イオン物質を捕集するとともに化学反応し、水不溶性の複塩を形成し、腐食性イオンを固定化し、不活性化することが可能である。該固定化剤により鋼材表面に腐食性イオン物質が残存していても、それを不活性化するため、防食性の低下を防止することが可能となるのである。このような腐食性イオン固定化剤としては、代表的には、ハイドロカルマイトや、ハイドロタルサイト等が挙げられる。下塗り塗料において、下塗り層形成成分中における腐食性イオン固定化剤の量は、例えば0.1~10質量%であることが好ましい。なお、腐食性イオン固定化剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハイドロカルマイトは、式:3CaO・Al・CaX2/m・nHO(式中、Xは、1価又は2価のアニオンであり、mは、アニオンの価数を表し、nは、20以下を示す。)で示される層状構造をもつ含水結晶性粉末である。アニオン(X)としては、NO や、NO 、OH、CHCOO、CO 2-等が代表的なものとして挙げられる。これらアニオンは、塩素イオンや、硫酸イオン等と接触するとアニオン交換し、XであるNO 、NO 等を遊離するとともに、腐食性イオン物質をハイドロカルマイト中に固定化(担持)し、不活性化する。また、遊離した上記アニオンは、鋼材表面に不働体皮膜を形成し、防食性をさらに向上させる効果を有する。
ハイドロタルサイトは、代表的には、式:Mg4.5Al(OH)13CO・nHO(式中、nは、4以下、好ましくは、3.5を示す。)で示される層状構造をもつ含水結晶性粉末であり、ハイドロカルマイトと同様腐食性イオン物質と接触するとアニオン交換し、腐食性イオンをハイドロタルサイト中に固定化し、その結晶構造から脱離させない能力を有するものである。
下塗り塗料は、カップリング剤を含むことが好ましい。カップリング剤は、錆層への濡れ性や含浸性を向上させ、また、その上に塗装するパテや塗料との密着性を向上させることが可能である。カップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネートや、テトラオクチルビス(ジドデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタン系カップリング剤;その他、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等が代表的なものとして挙げられる。下塗り塗料において、下塗り層形成成分中におけるカップリング剤の量は、例えば0.1~5質量%であることが好ましい。なお、カップリング剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗り塗料は、湿潤面への適用の観点から、水硬性成分や、硅砂等の骨材を含んでもよい。水硬性成分はセメントであり、セメントとしては水硬性であれば特に限定されることはなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメント等が使用できる。下塗り塗料において、下塗り層形成成分中における水硬性成分と骨材の合計量は、例えば50~80質量%であることが好ましい。なお、水硬性成分や骨材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗り塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。下塗り塗料中において下塗り層形成成分の量は、例えば40~100質量%の範囲内である。
本明細書において、下塗り層形成成分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に下塗り層を形成することになる成分である。本明細書においては、下塗り塗料を105℃で60分乾燥させた際に残存する成分を下塗り層形成成分として取り扱う。
下塗り塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~1,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~100(Pa・s、23℃)であることが好ましい。
本明細書において、下塗り塗料の粘度は、レオメーター(TAインスツルメンツ社製レオメーターARES等)を用い、下塗り塗料を23℃に調整した後に測定される。
下塗り塗料の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装等が利用できる。また、下塗り塗料の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
下塗り層は1種類の塗料で形成しても良く、2種類以上の塗料を用いて形成しても良い。
本発明の1つの態様において(B)弾性層は、鋼材とコンクリート材の境界部に配置された(A)下塗り層上の特に境界部周辺を覆うように形成される層である。(B)弾性層は、厚膜形成可能な弾性層であることが好ましい。
本発明の1つの態様において(B)弾性層は、鋼材とコンクリート材の境界部に配置された(A)下塗り層を覆うように形成される層であるが、(A)下塗り層が境界部近傍の鋼材表面や境界部近傍のコンクリート材表面を覆うように形成されている場合は、これら境界部近傍を覆う(A)下塗り層上にも(B)弾性層が形成されていてもよい。
(B)弾性層の塗装膜厚は、1~100mmの範囲内であることが好ましく、10~100mmの範囲内であることがより好ましく、10~50mmの範囲内であることが好ましい。(B)弾性層の塗装膜厚とは、JIS K 5600-1-7:2014の規定に基づく(B)弾性層の膜厚であるが、本明細書においては、鋼材とコンクリート材の境界部と(B)弾性層の表面との間の距離(厚さ)における(A)下塗り層の表面から(B)弾性層の表面までの距離(厚さ)を指す。なお、(B)弾性層の塗装膜厚は、実際の弾性層の膜厚の最大値であることが好ましい。
(B)弾性層は、23℃における伸び率が50~500%の範囲内であることが好ましく、50~400%の範囲内であることがより好ましく、50~300%の範囲内であることが更に好ましい。(B)弾性層の伸び率を高くすることで、鋼材の振動を吸収し、コンクリートのひび割れを防止することができる。このため、(B)弾性層の23℃における伸び率は50%以上であることが好ましい。一方、(B)弾性層の伸び率が高すぎると、表面硬化性(タック性)が低下して施工に時間を要したり、(B)弾性層に応力がかかりすぎて保護部の耐久性が低くなることから、(B)弾性層の23℃における伸び率は500%以下であることが好ましい。
本明細書において、伸び率は、(公社)日本道路協会『鋼道路橋防食便覧 第II編塗装編 付属資料 付II-4. コンクリート塗装用雄亮標準(2)-1ひびわれ追従性試験方法』平成26年3月発刊に準拠して、23℃において測定したものである。
(B)弾性層は、弾性パテにより(A)下塗り層を塗装することによって形成することができる。
本発明の1つの態様において、弾性パテは、樹脂を含み、その具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。弾性パテにおいて、弾性層形成成分中における樹脂の量は、例えば15~70質量%であり、20~50質量%であることがより好ましい。なお、樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性パテは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましく、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂を含むことが更に好ましい。
弾性パテに使用し得る樹脂は、変性樹脂であってもよい。変性樹脂の具体例としては、アルキル変性、アルキルエーテル変性、アルキルフェノールノボラック変性、アクリル変性、脂肪酸変性、ウレタン変性、アミノ変性、イソシアネート変性、シリコーン変性、その他アリル基を利用したグラフト変性等の変性がされている樹脂(好ましくはエポキシ樹脂、水酸基を含む樹脂等)が挙げられる。ここで、水酸基を含む樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂等が挙げられる。弾性パテにおいて、弾性層形成成分中における変性樹脂の量は、例えば1~15質量%であることが好ましい。
弾性パテは、湿潤面への適用の観点から、キレート化能を有するエポキシ樹脂、またはキレート化剤を含有するエポキシ樹脂を含むことができる。キレート化能を有するエポキシ樹脂としては、例えば、水酸基を含有するりん酸エステル類や隣接水酸基を有する多価フェノールカルボン酸のアルコールエステル類と、公知のエポキシ樹脂とをエポキシ基が残存する割合にて反応させて得られるものが好適に用いられる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、特開平1-261468号公報に記載されるエポキシ樹脂を用いることができる。
弾性パテは、湿潤面への適用の観点から、高級脂肪酸、またはその誘導体から導かれる2官能以上のエポキシ樹脂を含むことができる。このようなエポキシ樹脂は、前駆体である高級脂肪酸、またはその誘導体の複数有する官能基に対し化学反応を行い、その高級脂肪酸等にエポキシ基を導入することにより得られるものである。ここでいう高級脂肪酸とは、炭素数が8以上、好ましくは炭素数が12以上の脂肪族カルボン酸をさす。誘導体としては、高級脂肪酸とグリセリンとのエステルであるトリグリセリドなどが好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、特開2015-59195号公報に記載されるエポキシ樹脂を用いることができる。
弾性パテには、樹脂以外の成分として、溶媒、硬化剤、着色剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、消泡剤、粘性調整剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、ゴム成分、腐食性イオン固定化剤、カップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。
弾性パテは、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択され、塗料業界において通常使用されている硬化剤を使用できる。また、湿潤面への塗装の際には、水に難溶性または不溶性である硬化剤を用いることが好ましい。硬化剤の含有量は、樹脂に含まれる硬化剤との反応性基の量に応じて適宜調整されるものであるが、弾性パテにおいて、弾性層形成成分中における硬化剤の量は、例えば1~15質量%であることが好ましい。なお、硬化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、水酸基を含む樹脂に対しては、イソシアネート系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂に対しては、アミン系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、及びトリプロピレングリコールジアミン等の他のポリアミン化合物と、これらアミン化合物のアミノ基を変性してなる変性ポリアミン化合物とが挙げられる。なお、アミン化合物の変性には、既知の方法が利用でき、変性反応の例としては、アミノ基のアミド化、アミノ基とカルボニル化合物のマンニッヒ反応、アミノ基とエポキシ基の付加反応等が挙げられる。ここで、アミノ基にエポキシ基等が付加したタイプの変性ポリアミン化合物をアダクトタイプの変性ポリアミン化合物といい、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物が好ましい。
エポキシ樹脂用のアミン系硬化剤としては、湿潤面への適用の観点から、ポリアミドアミンが好ましく、変性ポリアミドアミンが更に好ましい。ポリアミドアミンとしては、主としてダイマー酸とポリアミンの縮合により生成し、分子中に反応性の第一及び第二アミノ基を有するものであり、ダイマー酸とポリアミンのモル比、脂肪酸組成中のモノマー酸/ダイマー酸/トリマー酸の比率、ポリマーの種類、官能基数によりポリアミドアミンの分子量、粘度、アミン価等は変化する。変性ポリアミドアミンとしては、コンクリート湿潤面への施工付着性の観点から、変性脂環式ポリアミドアミンを用いるのが好ましい。また、コンクリートのひび割れ追従性の観点からは、ポリオキシアルキレンポリアミンをポリカルボン酸で変性したポリアミドアミンを用いるのが好ましい。このようなポリアミドアミンとして、例えば、特開2015-59195号公報に記載されるポリアミドアミンを用いることができる。
弾性パテは、湿潤面への適用とひび割れ追従性向上の観点から、末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体を含むことが好ましい。末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、主鎖にアクリロニトリルポリブタジエン骨格を有し、末端にはエポキシ基と反応する官能基、例えばアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有するものを挙げることができる。末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、弾性パテに可とう性を付与し、コンクリートのひび割れ追従性を向上させる。また、反応硬化過程において、エポキシ樹脂などの構造骨格中に組み込まれるため、反応性の無いゴム成分をブレンドした場合において問題となる耐水性を損なうという欠点を低減できる。このような末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体として、例えば、特開2015-59195号公報に記載される末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体を用いることができる。弾性パテにおいて、弾性層形成成分中における末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体の量は、例えば5~30質量%であることが好ましい。なお、末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性パテは、顔料を含むことが好ましい。顔料としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス等の光輝顔料や、ガラスフレーク、黒鉛等の鱗片状顔料等が挙げられる。弾性パテにおいて、弾性層形成成分中における顔料の量は、例えば10~50質量%であることが好ましい。なお、顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性パテは、湿潤面への適用の観点から、水硬性成分や、硅砂等の骨材を含んでもよい。水硬性成分はセメントであり、セメントとしては水硬性であれば特に限定されることはなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメント等が使用できる。弾性パテにおいて、弾性層形成成分中における水硬性成分と骨材の合計量は、例えば20~50質量%であることが好ましい。なお、水硬性成分や骨材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性パテは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。弾性パテ中において弾性層形成成分の量は、50~100質量%の範囲内であることが好ましく、70~100質量%、80~100質量%の範囲内であることがより好ましい。
本明細書において、弾性層形成成分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に弾性層を形成することになる成分である。本明細書においては、弾性パテを105℃で60分乾燥させた際に残存する成分を弾性層形成成分として取り扱う。
弾性パテは、粘度が3,000(dPa・s、23℃)以上であることが好ましい。粘度が3,000(dPa・s、23℃)以上であることで、厚膜形成が容易になる。弾性パテの粘度の上限値は特に限定されるものではないが、施工性の観点より、10,000(dPa・s、23℃)以下であることが好ましい。
本明細書において、弾性パテの粘度は、粘度計(B型粘度計)を用い、弾性パテを23℃に調整した後に測定される。
弾性パテの塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、手による圧着塗装等が利用できる。また、弾性パテの乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
本発明の1つの態様において(C)上塗り層は、(B)弾性層を覆うように形成される層である。(C)上塗り層は、環境遮断性に優れる層であることが好ましい。また、(C)上塗り層は、付着性に優れる層であることが好ましく、具体的には、(B)弾性層との付着性に優れる層であることが好ましく、(B)弾性層に加えて、(A)下塗り層に対しても付着性に優れる層であることが更に好ましい。
本発明の1つの態様において(C)上塗り層は、(B)弾性層を覆うように形成される層であるが、例えば(B)弾性層が(A)下塗り層の全体を覆うように配置されていない場合は、その部分における(A)下塗り層上には(C)上塗り層が直接形成されていてもよい。
(C)上塗り層の塗装膜厚は、100~2000μmの範囲内であることが好ましく、300~1500μmの範囲内であることがより好ましく、500~1000μmの範囲内であることが好ましい。(C)上塗り層の塗装膜厚とは、JIS K 5600-1-7:2014の規定に基づく(C)上塗り層の膜厚であるが、本明細書においては、鋼材とコンクリート材の境界部と(C)上塗り層の表面との間の距離(厚さ)における(B)弾性層の表面から(C)上塗り層の表面までの距離(厚さ)を指す。
(C)上塗り層は、23℃における伸び率が1~50%の範囲内であることが好ましく、1~40%の範囲内であることがより好ましく、2~30%の範囲内であることが更に好ましい。上塗り層の伸び率を1%以上とすることで、(C)上塗り層の割れを抑制し、腐食因子の侵入を防止することができる。また、(C)上塗り層の伸び率を50%以下とすることで、緻密な塗膜の形成、保持が容易になり、保護部の環境遮断性をより向上させることができる。
(B)弾性層の伸び率の(C)上塗り層の伸び率に対する比(B/C)が1よりも大きく、500以下の範囲内であることが好ましく、1.2~400の範囲内であることがより好ましく、2~300の範囲内であることが最も好ましい。(B)弾性層の伸び率が(C)上塗り層よりも大きいことで、(B)弾性層によって鋼材とコンクリート材の界面にかかる応力を吸収するとともに、(C)上塗り層で応力を逃がし、保護部の耐久性を向上することができる。
(C)上塗り層は、上塗り塗料で(B)弾性層を塗装することによって形成することができる。
本発明の1つの態様において、上塗り塗料は、樹脂を含み、その具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。上塗り塗料において、上塗り層形成成分中における樹脂の量は、例えば15~80質量%であることが好ましい。なお、樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上塗り塗料は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましく、エポキシ樹脂を含むことが更に好ましい。
上塗り塗料に使用し得る樹脂は、変性樹脂であってもよい。変性樹脂の具体例としては、アルキル変性、アルキルエーテル変性、アルキルフェノールノボラック変性、アクリル変性、脂肪酸変性、ウレタン変性、アミノ変性、イソシアネート変性、シリコーン変性、その他アリル基を利用したグラフト変性等の変性がされている樹脂(好ましくはエポキシ樹脂、水酸基を含む樹脂等)が挙げられる。ここで、水酸基を含む樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂等が挙げられる。上塗り塗料において、上塗り層形成成分中における変性樹脂の量は、例えば1~15質量%であることが好ましい。
上塗り塗料は、湿潤面への適用の観点から、キレート化能を有するエポキシ樹脂、またはキレート化剤を含有するエポキシ樹脂を含むことができる。キレート化能を有するエポキシ樹脂としては、例えば、水酸基を含有するりん酸エステル類や隣接水酸基を有する多価フェノールカルボン酸のアルコールエステル類と、公知のエポキシ樹脂とをエポキシ基が残存する割合にて反応させて得られるものが好適に用いられる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、特開平1-261468号公報に記載されるエポキシ樹脂を用いることができる。
上塗り塗料は、湿潤面への適用の観点から、高級脂肪酸、またはその誘導体から導かれる2官能以上のエポキシ樹脂を含むことができる。このようなエポキシ樹脂は、前駆体である高級脂肪酸、またはその誘導体の複数有する官能基に対し化学反応を行い、その高級脂肪酸等にエポキシ基を導入することにより得られるものである。ここでいう高級脂肪酸とは、炭素数が8以上、好ましくは炭素数が12以上の脂肪族カルボン酸をさす。誘導体としては、高級脂肪酸とグリセリンとのエステルであるトリグリセリドなどが好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、特開2015-59195号公報に記載されるエポキシ樹脂を用いることができる。
上塗り塗料には、樹脂以外の成分として、溶媒、硬化剤、着色剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、消泡剤、粘性調整剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、ゴム成分、腐食性イオン固定化剤、カップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。
上塗り塗料は、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択され、塗料業界において通常使用されている硬化剤を使用できる。また、湿潤面への塗装の際には、水に難溶性または不溶性である硬化剤を用いることが好ましい。硬化剤の含有量は、樹脂に含まれる硬化剤との反応性基の量に応じて適宜調整されるものであるが、上塗り塗料において、上塗り層形成成分中における硬化剤の量は、例えば1~15質量%であることが好ましい。なお、硬化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、水酸基を含む樹脂に対しては、イソシアネート系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂に対しては、アミン系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、及びトリプロピレングリコールジアミン等の他のポリアミン化合物と、これらアミン化合物のアミノ基を変性してなる変性ポリアミン化合物とが挙げられる。なお、アミン化合物の変性には、既知の方法が利用でき、変性反応の例としては、アミノ基のアミド化、アミノ基とカルボニル化合物のマンニッヒ反応、アミノ基とエポキシ基の付加反応等が挙げられる。ここで、アミノ基にエポキシ基等が付加したタイプの変性ポリアミン化合物をアダクトタイプの変性ポリアミン化合物といい、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物が好ましい。
エポキシ樹脂用のアミン系硬化剤としては、湿潤面への適用の観点から、ポリアミドアミンが好ましく、変性ポリアミドアミンが更に好ましい。ポリアミドアミンとしては、主としてダイマー酸とポリアミンの縮合により生成し、分子中に反応性の第一及び第二アミノ基を有するものであり、ダイマー酸とポリアミンのモル比、脂肪酸組成中のモノマー酸/ダイマー酸/トリマー酸の比率、ポリマーの種類、官能基数によりポリアミドアミンの分子量、粘度、アミン価等は変化する。変性ポリアミドアミンとしては、コンクリート湿潤面への施工付着性の観点から、変性脂環式ポリアミドアミンを用いるのが好ましい。また、コンクリートのひび割れ追従性の観点からは、ポリオキシアルキレンポリアミンをポリカルボン酸で変性したポリアミドアミンを用いるのが好ましい。このようなポリアミドアミンとして、例えば、特開2015-59195号公報に記載されるポリアミドアミンを用いることができる。
上塗り塗料は、湿潤面への適用とひび割れ追従性向上の観点から、末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体を含むことが好ましい。末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、主鎖にアクリロニトリルポリブタジエン骨格を有し、末端にはエポキシ基と反応する官能基、例えばアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有するものを挙げることができる。末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、弾性パテに可とう性を付与し、コンクリートのひび割れ追従性を向上させる。また、反応硬化過程において、エポキシ樹脂などの構造骨格中に組み込まれるため、反応性の無いゴム成分をブレンドした場合において問題となる耐水性を損なうという欠点を低減できる。このような末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体として、例えば、特開2015-59195号公報に記載される末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体を用いることができる。上塗り塗料において、上塗り層形成成分中における末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体の量は、例えば1~10質量%であることが好ましい。なお、末端反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上塗り塗料は、顔料を含むことが好ましい。顔料としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス等の光輝顔料や、ガラスフレーク、黒鉛等の鱗片状顔料等が挙げられる。上塗り塗料において、上塗り層形成成分中における顔料の量は、例えば10~60質量%であることが好ましい。なお、顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上塗り塗料は、湿潤面への適用の観点から、水硬性成分や、硅砂等の骨材を含んでもよい。水硬性成分はセメントであり、セメントとしては水硬性であれば特に限定されることはなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメント等が使用できる。上塗り塗料パテにおいて、上塗り層形成成分中における水硬性成分と骨材の合計量は、例えば5~10質量%であることが好ましい。なお、水硬性成分や骨材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上塗り塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。上塗り塗料中において上塗り層形成成分の量は、20~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましく、70~100質量%の範囲内であることが更に好ましい。
本明細書において、上塗り層形成成分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に上塗り層を形成することになる成分である。本明細書においては、上塗り塗料を105℃で60分乾燥させた際に残存する成分を上塗り層形成成分として取り扱う。
上塗り塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~10,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~1,000(Pa・s、23℃)であることが好ましい。
本明細書において、上塗り塗料の粘度は、レオメーター(TAインスツルメンツ社製レオメーターARES等)を用い、上塗り塗料を23℃に調整した後に測定される。
上塗り塗料の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装等が利用できる。また、上塗り塗料の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
上塗り層は2種類以上の塗料を用いて形成しても良い。
本発明の保護工法において、保護部は、(C)上塗り層上にさらに耐候性層を含むことが好ましい。本発明の1つの態様において、耐候性層は、(C)上塗り層を覆うように形成される層である。耐候性層は、耐候性に優れる層であることが好ましい。また、耐候性層は、付着性と美観性の保持に優れる層であることが好ましく、具体的には、(C)上塗り層との付着性と、施工後の美観性保持に優れる層であることが好ましい。
耐候性層は、耐候性塗料で(C)上塗り層を塗装することによって形成することができる。
本発明の1つの態様において、耐候性塗料は、樹脂を含み、その具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。耐候性塗料において、耐候性層形成成分中における樹脂の量は、例えば15~80質量%であることが好ましい。なお、樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐候性層は、耐候性の観点から、ウレタン樹脂、ふっ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂を含むことが好ましく、また、耐候性塗料は1液形、もしくは複数の水酸基を有する樹脂と、硬化剤を含んだ2液形であり、硬化後にウレタン樹脂、ふっ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂を形成するような塗料であることも好ましい。
耐候性塗料に使用し得る樹脂は、変性樹脂であってもよい。変性樹脂の具体例としては、アルキル変性、アルキルエーテル変性、アルキルフェノールノボラック変性、アクリル変性、脂肪酸変性、ウレタン変性、アミノ変性、イソシアネート変性、シリコーン変性、その他アリル基を利用したグラフト変性等の変性がされている樹脂(好ましくはエポキシ樹脂、水酸基を含む樹脂等)が挙げられる。ここで、水酸基を含む樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂等が挙げられる。耐候性塗料において、耐候性層形成成分中における変性樹脂の量は、例えば1~15質量%であることが好ましい。
耐候性塗料には、樹脂以外の成分として、溶媒、硬化剤、着色剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、消泡剤、粘性調整剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。
耐候性塗料は、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択され、塗料業界において通常使用されている硬化剤を使用できる。硬化剤の含有量は、樹脂に含まれる硬化剤との反応性基の量に応じて適宜調整されるものであるが、耐候性塗料において、耐候性層形成成分中における硬化剤の量は、例えば1~15質量%であることが好ましい。なお、硬化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、水酸基を含む樹脂に対しては、イソシアネート系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂に対しては、アミン系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、及びトリプロピレングリコールジアミン等の他のポリアミン化合物と、これらアミン化合物のアミノ基を変性してなる変性ポリアミン化合物とが挙げられる。なお、アミン化合物の変性には、既知の方法が利用でき、変性反応の例としては、アミノ基のアミド化、アミノ基とカルボニル化合物のマンニッヒ反応、アミノ基とエポキシ基の付加反応等が挙げられる。ここで、アミノ基にエポキシ基等が付加したタイプの変性ポリアミン化合物をアダクトタイプの変性ポリアミン化合物といい、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物が好ましい。
耐候性塗料は、塗膜の耐黄変性を向上させる観点から、紫外線吸収剤や光安定化剤を含むことが好ましい。また、耐汚染性を向上させるために、光触媒や低汚染化剤を含む低汚染性塗料であっても良い。
耐候性塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。耐候性塗料中において耐候性層形成成分の量は、例えば40~80質量%の範囲内である。
本明細書において、耐候性層形成成分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に耐候性層を形成することになる成分である。本明細書においては、耐候性塗料を105℃で60分乾燥させた際に残存する成分を耐候性層形成成分として取り扱う。
耐候性塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~10,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~1,000(Pa・s、23℃)であることが好ましい。
本明細書において、耐候性塗料の粘度は、レオメーター(TAインスツルメンツ社製レオメーターARES等)を用い、耐候性塗料を23℃に調整した後に測定される。
耐候性塗料の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装等が利用できる。また、耐候性塗料の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
本発明の保護工法は、各層を形成する成分を適宜選択することにより、1日施工も可能である。特に、(C)上塗り層形成塗料(上塗り塗料)を湿潤面への塗装が可能な湿気硬化型塗料、或いはエポキシ樹脂塗料や水系塗料とすることで、(A)下塗り層、(B)弾性層の乾燥を待たずに施工することが可能になり、1日施工が容易になる。
次に、図を参照しながら、本発明の保護工法を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の保護工法の一例を説明する図である。図1には、鋼材1がコンクリート材2に埋設された構造物(例えば、交通標識柱)の部分断面図が示される。ここで、鋼材1の表面がコンクリート材2に接触している部分が、鋼材とコンクリート材の接触面3であり、鋼材1の表面がコンクリート材2に接触していない部分が、鋼材とコンクリート材の非接触面4であり、鋼材とコンクリート材の接触面3と非接触面4の境界が、鋼材とコンクリート材の境界部5である。鋼材とコンクリート材の境界部5を覆うように下塗り層6が形成されている。また、下塗り層6は、境界部5近傍の鋼材表面や境界部5近傍のコンクリート材表面を覆うように形成されている。鋼材とコンクリート材の境界部3上に配置された下塗り層6を覆うように弾性層7が形成されている。弾性層7を覆うように上塗り層8が形成されている。また、上塗り層8は、下塗り層6上に直接形成されている部分を有する。上塗り層8を覆うように耐候性層9が形成されている。図1において保護部は、鋼材とコンクリート材の境界部5上に配置された下塗り層6と、下塗り層6上に配置された弾性層7と、弾性層7上に配置された上塗り層8と、上塗り層8上に配置された耐候性層9とを備える。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(A)下塗り層形成用塗料(下塗り塗料)の調製例
表1の「主剤」及び「硬化剤」に示される配合処方に従い主剤と硬化剤を用意し、これらから(A)下塗り層形成用塗料を調製した。表中の配合処方の値は質量部である。
(B)弾性層形成用パテ(弾性パテ)の調製例
表2の「主剤」及び「硬化剤」に示される配合処方に従い主剤と硬化剤を用意し、これらから(B)弾性層形成用パテを調製した。表中の配合処方の値は質量部である。
(C)上塗り層形成用塗料(上塗り塗料)の調製例
表3の「主剤」及び「硬化剤」に示される配合処方に従い主剤と硬化剤を用意し、これらから(C)上塗り層形成用塗料を調製した。表中の配合処方の値は質量部である。
主剤及び硬化剤に用いた材料の詳細は、以下の通りである。
<(A)下塗り層>
樹脂1:「スミジュールE21-1」:住化コベストロウレタン社製、湿気硬化ウレタン樹脂、不揮発分100質量%
樹脂2:「JER1001X70」:三菱ケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、不揮発分70質量%
塗料(主剤):レジガードTKプライマー 主剤、大日本塗料(株)製
カップリング剤:KBM403:信越シリコーン(株)製、シランカップリング剤
湿潤分散剤:BYK354:ビックケミー・ジャパン社製
防錆顔料:Kホワイト#94:テイカ社製、リン酸アルミニウム系防錆顔料
特殊顔料:DHT-4A:協和化学工業社製、塩化物イオン捕捉剤(ハイドロタルサイト)
溶剤1:ソルベスト100
溶剤2:キシレン
硬化剤1:ベジケムグリーンV1020:築野食品工業 ポリアミドアミン 不揮発分65質量%
塗料(硬化剤):レジガードTKプライマー 硬化剤、大日本塗料(株)製
溶剤2:キシレン
<(B)弾性層>
樹脂3:EPOX-MK R151:プリンテック社製、ヒマシ油変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、不揮発分100質量%
樹脂4:EPICRON EHA-4850-150:DIC社製、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、不揮発分100質量%
着色顔料:酸化チタン
体質顔料:沈降性硫酸バリウム
骨材:結晶シリカ、平均粒径6μm
増粘剤:ディスパロン6700:楠本化成社製
消泡剤:フローレンAC1190:共栄社化学社製
硬化剤2:アデカハードナーEH-4024W:ADEKA社製、ポリアミドアミン 不揮発分100%
硬化剤3:ジェファーミンD-400:三井化学社製、脂肪族ジアミン、不揮発分100%
<(C)上塗り層>
樹脂5:アデカレジンEM-0425C:ADEKA社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 不揮発分100%
塗料:レジガードTK、大日本塗料(株)製
着色顔料:酸化チタン
体質顔料:沈降性硫酸バリウム
増粘剤:ターレン8200-20:共栄社化学社製
消泡剤:フローレンAC1190:共栄社化学社製
硬化剤4:アデカハードナーEH-2300、ADEKA社製、変性脂肪族ポリアミン化合物
Figure 0007507023000001
Figure 0007507023000002
Figure 0007507023000003
<伸び率の測定>
上記調製した(A)下塗り層形成用塗料、(B)弾性層形成用パテ、(C)上塗り層形成用塗料を用いて、(A)下塗り層、(B)弾性層、(C)上塗り層の各々の伸び率を測定し、表4~6に示した。(A)下塗り層、(B)弾性層、(C)上塗り層の伸び率は、(公社)日本道路協会『鋼道路橋防食便覧 第II編塗装編 付属資料 付II-4. コンクリート塗装用雄亮標準(2)-1ひびわれ追従性試験方法』平成26年3月発刊によって測定した。測定温度は23℃であった。
(実施例1~28及び比較例1~6)
上記調製例に従い用意した下塗り層形成用塗料、弾性層形成用パテ、上塗り層形成用塗料を用いて、保護膜を形成し、施工性を評価するとともに、ゼロスパン測定試験、水蒸気透過度測定、付着性試験、防食性試験を行った。結果を表4~6に示す。
実施例27は下塗り層形成用塗料として大日本塗料(株)製レジガードTKプライマー(2液反応硬化型ウレタン樹脂プライマー)を使用した。
実施例27、28は上塗り層形成用塗料として大日本塗料(株)製レジガードTK(1液ウレタン樹脂塗料)を使用した。
<水蒸気透過試験>
実施例1~28、比較例1~6について、水蒸気透過量を測定した。保護膜の水蒸気透過量の測定は、コンクリートと鋼板の境界部を含む基材上に形成した保護膜の代替品として、同様の試験片(積層膜)を、以下の方法により調製した。
(実施例1)
30cm×30cmのPP板の全面に下塗り塗料1を刷毛塗装して3時間乾燥し、膜厚100μmの塗膜(下塗り層)を形成した。次に、下塗り層の表面全体に弾性パテ1を厚さ40mmとなるように刷毛塗装し、30分間乾燥し、弾性層を形成した。その後、弾性層の表面全体に上塗り塗料1を刷毛塗装し、膜厚500μmの塗膜(上塗り層)を形成し、その後、23℃、相対湿度50%で28日間静置し、保護膜を得た。得られた保護膜をPP板から剥がし、試験片(積層膜)を作製した。
(実施例2~28、比較例1~6)
実施例1と同様の方法で試験片(積層膜)を作製したが、使用した下塗り塗料、弾性パテ及び上塗り塗料の組み合わせと各層の塗装膜厚は表4~6に従った。
作製した試験片(積層膜)について、「JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の条件Aに準じて実施し、水蒸気透過度を測定した。結果を表4~6に示す。
<施工性試験>
300×300×60mmのコンクリート板に対し、表4~6に示した処方で塗布した。塗装はローラーおよび圧着塗装にて行い、塗装・養生環境は23℃、相対湿度50%とした。弾性層は下塗り層が表面乾燥した後に施工し、上塗り層は弾性層が表面乾燥した後に施工した。施工性試験は以下の基準で評価した。
◎:下塗層から耐候性層まで8時間未満で施工可能であり、外観に平滑性がある。
○:下塗層から耐候性層まで8時間未満で施工可能であるが、外観に平滑性がない。
×:下塗層から耐候性層まで施工に8時間以上かかる。
<追従性試験(ゼロスパン試験)>
追従性試験はJSCE-K532-2010に記載の表面被覆材のひび割れ追従性試験方法に準じて実施した。
(実施例1)
40mm×60mm×10mmのコンクリート基材と40mm×60mm×10mmの鋼材基材を突き合わせた試験用基材を用意し、基材の施工面全体に、下塗り塗料1を刷毛塗装して3時間乾燥し、膜厚100μmの塗膜(下塗り層)を形成した。次に、下塗り層の表面全体に弾性パテ1を厚さ40mmとなるように刷毛塗装し、30分間乾燥し、弾性層を形成した。その後、弾性層の表面全体に上塗り塗料1を刷毛塗装し、膜厚500μmの塗膜(上塗り層)を形成した後、23℃、相対湿度50%で28日間静置し、保護膜を得た。次いで、万能試験機にて伸びの測定を行った。引張り速度は5mm/minで引張り、保護膜(表面被覆材)のすべてが破断したときをゼロスパン距離(単位:mm)とした。距離とは突き合わせ面が、初期値0mmから、引っ張りに応じて移動した距離である。ゼロスパン距離を基に、以下の基準で評価した。
(実施例2~28、比較例1~6)
実施例1と同様の方法で試験体を作製し、ゼロスパン試験を行ったが、使用した下塗り塗料、弾性パテ及び上塗り塗料の組み合わせと各層の塗装膜厚は表4~6に従った。
◎:ゼロスパン距離 4.0mm以上10.0mm以下
○:ゼロスパン距離 0.8mm以上4.0mm未満
△:ゼロスパン距離 0.4mm以上0.8mm未満
×:ゼロスパン距離 0.4mm未満あるいは10.0mm超
<付着性試験>
各実施例および比較例で得られた各々複数枚の試験片(JSCE-K 511に規定される寸法70×70×20mmのモルタル板に各材料を塗布し、23℃、相対湿度50%環境下で28日間養生させたもの)の表面に、無溶剤型エポキシ樹脂系粘接着剤(コニシ(株)クイックメンダー)を用いて引張用鋼製冶具(4cm×4cm角板)を接着させる。充分に硬化させた後、その周囲にダイヤモンドカッターを用いてモルタル板素地まで達する切込みを形成する。その後、付着性試験(JSCE-K 531-2010)に準じ、引張用冶具に試験機を取り付け、垂直方向への最大引張荷重を測定し、以下の基準で評価した。評価結果を表4~6に示す。
◎:付着性2.0N/mm以上
○:付着性1.5N/mm以上2.0N/mm未満
△:付着性1.0N/mm以上1.5N/mm未満
×:付着性1.0N/mm未満
<防食性試験>
各実施例および比較例で得られた各々複数枚の試験片(150×70×3.2mmのブラスト処理を施した鋼板に塗布し、23℃50%環境下で28日間養生させたもの)をJIS K5600-7-9の塗膜の長期耐久性、サイクル腐食試験のサイクルDに準じて2000時間試験した後、さび及び膨れの発生程度を下記の基準に基づいて評価した。
なお、塗膜への切り込みきずは入れずに実施した。
◎:2000時間で試験片表面にさび、膨れが全く無い。
○:2000時間で試験片表面にさび、膨れが一部発生。
△:1000時間で試験片表面にさび、膨れが一部発生。
×:500時間で試験片表面にさび、膨れが一部発生。
<耐候性試験>
前記防食性試験と同様の方法で形成した実施例1の試験片と、この実施例1の試験片にさらに耐候性塗料として大日本塗料社製『トップダンサー』を塗装膜厚55μm塗装した試験片(実施例29)を用意し、JIS K 5600-7-7『促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)』に準じて促進耐候性試験を実施した結果、以下の結果が得られた。
実施例1:試験開始300時間後に光沢保持率6%
実施例29:試験開始300時間後に光沢保持率98%
Figure 0007507023000004
Figure 0007507023000005
Figure 0007507023000006
1 鋼材
2 コンクリート材
3 鋼材とコンクリート材の接触面
4 鋼材とコンクリート材の非接触面
5 鋼材とコンクリート材の境界部
6 下塗り層
7 弾性層
8 上塗り層
9 耐候性層

Claims (10)

  1. 鋼材とコンクリート材の境界部を保護部で保護する保護工法であって、
    前記保護部は、ゼロスパン法で測定した際の23℃における伸びが0.4mm~10mmであるとともに、(A)下塗り層と、(B)弾性層と、(C)上塗り層とをこの順で少なくとも含み、前記(B)弾性層の伸び率の前記(C)上塗り層の伸び率に対する比(B/C)が1よりも大きく、500以下の範囲内であることを特徴とする、鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  2. 前記(B)弾性層の23℃における伸び率が50~500%の範囲内にあり、
    前記(C)上塗り層の23℃における伸び率が1~50%の範囲内にあることを特徴とする、請求項に記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  3. 前記(B)弾性層の塗装膜厚が1~100mmの範囲内にあり、
    前記(C)上塗り層の塗装膜厚が100~2000μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項またはに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  4. 前記(B)弾性層を形成するための弾性パテは、顔料と、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含み、前記弾性パテ中における(B)弾性層形成成分の割合が50~100質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  5. 前記(C)上塗り層を形成するための上塗り塗料は、顔料と、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含み、前記上塗り塗料中における(C)上塗り層形成成分が50~100質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  6. 前記保護部が、前記(C)上塗り層上にさらに耐候性層を含むことを特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  7. 前記保護部の水蒸気透過度が5.0mg/(cm・24h)未満であることを特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  8. 前記(A)下塗り層を形成するための下塗り塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~1,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~100(Pa・s、23℃)であることを特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  9. 前記(B)弾性層を形成するための弾性パテは、粘度が3,000(dPa・s、23℃)以上であること特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
  10. 前記(C)上塗り層を形成するための上塗り塗料は、せん断速度0.1s-1における粘度が0.1~10,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s-1における粘度が0.05~1,000(Pa・s、23℃)であることを特徴とする、請求項のいずれかに記載の鋼材とコンクリート材の境界部の保護工法。
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