JP7504990B2 - 多重リングマスク、光照射装置、光学顕微鏡および光音響顕微鏡 - Google Patents

多重リングマスク、光照射装置、光学顕微鏡および光音響顕微鏡 Download PDF

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Description

本開示は、入力される光のビーム断面において空間的に強度変調して当該変調後の光を出力する多重リングマスク、このような多重リングマスクを備える光照射装置、ならびに、このような光照射装置を備える光学顕微鏡および光音響顕微鏡に関するものである。
被観察物を観察する場合や被加工物を加工する場合に、レーザ光源等の光源から出力される光は、レンズ等を含む集光光学系を経て対象物(被観察物または被加工物)の表面または内部に集光照射される。このように光を集光する場合、その集光径の大きさの目安であるビームウェスト径は、光の波長の半分程度までしか小さくすることができないことが知られている。これは回折限界と呼ばれる。特許文献1および非特許文献1には、回折限界より小さい領域に光を集光する技術が記載されている。
非特許文献1に記載された光照射装置の技術(以下「従来技術1」という。)は、単リングマスクを用いる。この単リングマスクは、単一のリング形状の遮光部と、この遮光部の内側および外側それぞれに設けられた透過部とを有する。従来技術1では、光源と集光光学系による集光位置との間に単リングマスクが配置され、単リングマスクの遮光部の内側および外側それぞれの透過部を通過した光が集光位置に到達する。集光位置において、二つの光が干渉することにより、回折限界より小さい領域に光を集光することができるとされている。
特許文献1に記載された光照射装置の技術(以下「従来技術2」という。)は、多重リングマスクを用いる。従来技術2で用いられる多重リングマスクは、複数のリング形状の遮光部と、これらの複数の遮光部の間に設けられた透過部とを有し、遮光部と透過部とが交互に設けられている。また、この多重リングマスクでは、中心位置から遠いほど、リング形状の遮光部または透過部の径方向の幅が大きい。従来技術2では、光源と集光光学系による集光位置との間に多重リングマスクが配置され、多重リングマスクの各透過部を通過した光が集光位置に到達する。従来技術2でも、回折限界より小さい領域に光を集光することができるとされている。
特許第5144212号公報
Ryosuke Oketani, et al, "Saturated two-photon excitation fluorescence microscopy with core-ring illumination," Optics Letters, Vol.42, No.3, pp.571-574 (2017).
従来技術1,2では、集光位置において回折限界より小さい領域に光が集光され得るものの、これとは異なる領域にも光の一部が集光される場合があり、また、集光領域の大きさ又は形状が意図どおりにならない場合がある。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、回折限界より小さい領域に効率よく光を集光することができる光照射装置を提供することを目的とする。また、このような光照射装置において好適に用いられる多重リングマスクを提供することを目的とする。また、このような光照射装置を備えて高空間分解能の画像を取得することができる光学顕微鏡および光音響顕微鏡を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は多重リングマスクである。多重リングマスクは、入力される光のビーム断面において空間的に強度変調して当該変調後の光を出力する多重リングマスクであって、中心位置の周りに設けられたリング形状の複数の遮光部と、複数の遮光部のうちの隣り合う二つの遮光部の間に設けられた透過部と、複数の遮光部のうちの最内層の遮光部の内側に設けられた最内層の透過部と、複数の遮光部のうちの最外層の遮光部の外側に設けられた最外層の透過部と、を有し、複数の遮光部のうちの隣り合う二つの遮光部それぞれの径方向の幅が、これら二つの遮光部の間に設けられた透過部の径方向の幅より大きい。
本発明の第2態様は光照射装置である。光照射装置は、コヒーレントな光を出力する光源と、光源から出力される光を集光する集光光学系と、光源と集光光学系による集光位置との間の光路上に設けられた上記の多重リングマスクと、を備える。
本発明の第3態様は光学顕微鏡である。光学顕微鏡は、対象物の表面または内部に光を集光照射する上記の光照射装置と、光照射装置による対象物への光照射に応じて対象物で生じた光を検出する光検出装置と、を備える。
本発明の第4態様は光音響顕微鏡である。光音響顕微鏡は、対象物の表面または内部にパルス光を集光照射する上記の光照射装置と、光照射装置による対象物へのパルス光照射に応じて対象物で生じた音波を検出する音波検出装置と、を備える。
本発明の各態様によれば、回折限界より小さい領域に効率よく光を集光することができる。また、高空間分解能の画像を取得することができる顕微鏡を実現することができる。
図1は、単リングマスクまたは多重リングマスクを備える光照射装置1の構成を示す図である。 図2は、単リングマスクの構成を示す図である。 図3は、多重リングマスクの構成を示す図である。 図4(a)~(l)は、マスクの様々な構成例およびPSFを示す図である。 図5(a)~(d)は、単リングマスクの使用/非使用および収差媒体の有/無それぞれの場合の蛍光発生領域を示す図である。 図6(a)~(j)は、マスクの様々な構成例およびPSFを示す図である。 図7(a)~(j)は、マスクの様々な構成例およびPSFを示す図である。 図8は、従来技術2の多重リングマスクと本実施形態の多重リングマスクとを比較して示す図である。 図9は、従来技術2の多重リングマスクと本実施形態の多重リングマスクとを比較して示す図である。 図10は、従来技術2の多重リングマスクと本実施形態の多重リングマスクとを比較して示す図である。 図11は、図8の上段に示した従来技術2の多重リングマスクにおける遮光部および透過部それぞれの径方向の幅を纏めた表である。 図12は、図8の下段に示した本実施形態の多重リングマスクにおける遮光部および透過部それぞれの径方向の幅を纏めた表である。 図13(a)~(d)は、対象物の表面に光を集光照射する場合(収差がない場合)のPSFを示す図である。 図14(a)~(e)は、対象物の内部に光を集光照射する場合(収差がある場合)のPSFを示す図である。 図15は、図14に示した各場合のPSFについて改善率を示すグラフである。 図16は、図14に示した各場合のPSFについてセカンドローブの大きさを示すグラフである。 図17(a)および図17(b)は、位相変調型のSLMを用いて多重リングマスクを構成する場合においてSLMに提示するグレーティングパターンを示す図である。 図18(a)および図18(b)は、本実施形態の多重リングマスクの変形例の構成を示す図である。 図19は、本実施形態の7重リングマスクにおける光透過率分布の例を示す図である。 図20(a)~(d)は、トロイダルレンズのパターン及びこれにより投影されるリングパターンの例を示す図である。 図21は、トロイダルレンズのパターンに応じて遮光部および透過部を有する多重リングマスクの構成を示す図である。 図22(a)~(d)は、複数のマスクが積層されてなる多重リングマスクの構成例を示す図である。 図23は、3光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適な2重リングマスクのパターンの例を示す図である。 図24は、光学顕微鏡1Aの構成を示す図である。 図25は、光学顕微鏡1Bの構成を示す図である。 図26は、光学顕微鏡1Cの構成を示す図である。 図27は、光学顕微鏡1Dの構成を示す図である。 図28は、光学顕微鏡1Eの構成を示す図である。 図29は、光学顕微鏡1C~1EにおいてPSF観測時に用いられる多重リングマスクのパターンの例を示す図である。 図30は、光学顕微鏡1C~1EにおいてPSF観測時に用いられる多重リングマスクのパターンの例を示す図である。 図31は、光学顕微鏡1C~1EにおいてPSF観測時に用いられる多重リングマスクのパターンの例を示す図である。 図32(a)~(c)は、2光子励起の場合のPSFの例を示す図である。 図33(a)~(c)は、2光子励起の場合のPSFの例を示す図である。 図34(a)~(c)は、2光子励起の場合のPSFの例を示す図である。 図35は、様々な場合におけるPSFの径方向および軸方向の大きさを纏めた表である。 図36(a),(b)は、対象物2の内部の集光領域における光強度分布を示す図である。 図37(a),(b)は、2光子励起蛍光顕微鏡により取得された画像の例を示す図である。 図38は、光音響顕微鏡1Fの構成を示す図である。 図39は、光音響顕微鏡1Gの構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、単リングマスクまたは多重リングマスクを備える光照射装置1の構成を示す図である。光照射装置1は、対象物2の表面または内部に光を集光して、対象物2を観察または加工するものであり、レーザ光源11、レンズ12、レンズ13、マスク14、波長板15およびレンズ16を備える。
レーザ光源11は、コヒーレントなレーザ光を出力するものであり、例えばHe-Neレーザ光源等である。レーザ光源11は、連続発振するものであってもよいし、パルス発振するものであってもよい。パルス発振するレーザ光源は、光ファイバによってパルス幅を調整可能なように構成されていてもよい。パルスレーザとしてナノ・ピコ・フェムト秒レーザ等が挙げられる。レンズ12およびレンズ13は、ビームエクスパンダとして作用するものであって、レーザ光源11から出力された光を入力し、その光のビーム径を拡大して、該光を平行光として出力する。
マスク14は、レンズ12およびレンズ13を含むビームエクスパンダによりビーム径が拡大されて出力された光を入力し、その光のビーム断面において空間的に強度変調して、当該変調後の光を波長板15へ出力する。マスク14は、リング形状の遮光部と、その遮光部の内側および外側それぞれに接して設けられた透過部と、を有する。マスク14は、従来技術1では単リングマスクであり、従来技術2および本実施形態では多重リングマスクである。この図には、マスク14に入力される光のビーム断面における光強度分布の例が示され、また、マスク14から出力される光のビーム断面における光強度分布の例が示されている。マスク14は、レンズ16の後段に設けられてもよい。
波長板15は、マスク14から出力された光を入力し、その光の偏光を操作して光を出力する。レンズ16は、波長板15から出力された光を入力して該光を対象物2の表面または内部に集光する集光光学系である。
以下では、単リングマスクおよび多重リングマスクについて説明する。マスクの構成を示す図は、光軸方向にマスクを見たものであり、遮光部を黒色領域で示し、透過部を白色領域で示す。また、従来技術1の単リングマスクの問題点について説明した後、従来技術2の多重リングマスクと対比しつつ本実施形態の多重リングマスクについて説明する。
図2は、単リングマスクの構成を示す図である。単リングマスクは、中心位置の周りに設けられた単一のリング形状の遮光部A1を有する。さらに、単リングマスクは、遮光部A1の内側に設けられた透過部B1と、遮光部A1の外側に設けられたリング形状の透過部B2と、透過部B2の外側に設けられた遮光部A2と、を有する。従来技術1の光照射装置は、このような単リングマスクを用いる。
図3は、多重リングマスクの構成を示す図である。多重リングマスクは、中心位置の周りに設けられた複数(この図では3個)のリング形状の遮光部A1,A2,A3を有する。さらに、多重リングマスクは、遮光部A1の内側に設けられた最内層の透過部B1と、遮光部A1と遮光部A2との間に設けられたリング形状の透過部B2と、遮光部A2と遮光部A3との間に設けられたリング形状の透過部B3と、遮光部A3の外側に設けられたリング形状の最外層の透過部B4と、透過部B4の外側に設けられた遮光部A4と、を有する。
透過部B1~B4における光透過率は、遮光部A1~A4における光透過率より大きい。透過部B1~B4における光透過率は、1であってもよいし、1より小さくてもよい。遮光部A1~A4における光透過率は、0であってもよいし、0より大きくてもよい。
透過部B1、遮光部A1、透過部B2、遮光部A2、透過部B3、遮光部A3、透過部B4および遮光部A4のうちの隣り合う透過部と遮光部との間の境界は、同心円であってもよいし、楕円であってもよい。以下では、境界が円であるとして説明をする。透過部B1の径方向の幅(半径)をb1とし、遮光部A1の径方向の幅をa1とし、透過部B2の径方向の幅をb2とし、遮光部A2の径方向の幅をa2とし、透過部B3の径方向の幅をb3とし、遮光部A3の径方向の幅をa3とし、透過部B4の径方向の幅をb4とする。
従来技術2の多重リングマスクでは、中心位置から遠いほど、リング形状の遮光部または透過部の径方向の幅が大きい。すなわち、従来技術2の多重リングマスクは、下記(1)式で表される関係を有する。
Figure 0007504990000001
これに対して、本実施形態の多重リングマスクでは、リング形状の遮光部A1,A2,A3のうちの隣り合う二つの遮光部それぞれの径方向の幅が、これら二つの遮光部の間に設けられた透過部の径方向の幅より大きい。すなわち、本実施形態の多重リングマスクは、遮光部A1,A2および透過部B2それぞれの径方向の幅については下記(2)式で表される関係を有し、遮光部A2,A3および透過部B3それぞれの径方向の幅については下記(3)式で表される関係を有する。隣り合う二つのリング形状の遮光部の全ての組合せについて、このような関係を有するのが好ましい。
Figure 0007504990000002
Figure 0007504990000003
高分解能な加工または測定を実現させるために、レンズにより集光した光を対象物に照射する。集光した光の強度分布は、光の波長およびレンズの性能に応じた拡がりを有している。この拡がりは点像分布関数(PSF: Point spread function)と呼ばれる。光が円偏光や直線偏光であるときには、PSFは、光軸方向に垂直な方向より光軸方向に平行な方向に長い楕円球を有している。
計測においては、このPSFと対象物形状との畳み込みによって得られた結果が観察像となる。実験においては、レンズにより集光できる性能(回折限界)よりもはるかに小さい対象物を観察した際には、PSFと略同じ大きさの像を観察することができる。PSFを小さくすることは、顕微鏡の光学分解能を高めることにつながる。通常は、NAが大きい対物レンズを採用することで、PSFを小さくする。
単リングマスクおよび多重リングマスクは、リング形状の遮光部を有する振幅変調型のマスクである。これらのマスクの透過部を透過した光を集光することによりPSFを小さくすることができる。
図4は、マスクの様々な構成例およびPSFを示す図である。図4(a)は、円形領域の単一の透過部と、その透過部の周囲に設けられた遮光部と、を有するマスクの構成を示す。図4(b)~(f)は、単リングマスクの構成例を示す。図4(g)~(l)は、レンズの光軸(z軸)を含む面(xz面)におけるPSFを示す。図4(g)は、図4(a)の構成のマスクを用いたときのPSFを示す。図4(h)は、図4(b)の構成の単リングマスクを用いたときのPSFを示す。図4(i)は、図4(c)の構成の単リングマスクを用いたときのPSFを示す。図4(j)は、図4(d)の構成の単リングマスクを用いたときのPSFを示す。図4(k)は、図4(e)の構成の単リングマスクを用いたときのPSFを示す。図4(l)は、図4(f)の構成の単リングマスクを用いたときのPSFを示す。
この図から分かるように、リング形状の遮光部の内径および外径によって、PSFの大きさ及び形状は異なる。図4(a)のマスクを用いた場合のPSF(図4(g))と比べると、リング形状の遮光部の内径および外径を適切に設定した場合(図4(b))には、PSFを小さくすることができる(図4(h))。しかし、リング形状の遮光部の内径および外径の設定が適切でない場合(図4(c)~(e))には、PSFが大きくなったり(図4(i))、メインの集光領域(メインローブ)の上下に光強度が大きい領域(サイドローブ)が生じたり(図4(j))、また、PSFが光軸方向に長くなったりする(図4(k))。
メインローブに加えて光強度が大きいサイドローブが生じると、三重焦点観察のように光軸方向に三箇所の蛍光領域が存在するかのように観察されたり、画像のSN比の低下が生じたりする。このように、単リングマスクの場合も、PSFを小さくするために、リング形状の遮光部の内径および外径を適切に設計することが重要である。非特許文献1は、サイドローブの光強度が小さくメインローブの領域が小さくなるように、単リングマスクの構成を決定しようとしている。
図5は、単リングマスクの使用/非使用および収差媒体の有/無それぞれの場合の蛍光発生領域を示す図である。この図は、励起光の2光子吸収により蛍光が生じる領域を示している。図5(a)は、単リングマスク無し且つ収差媒体無しの場合の蛍光発生領域を示す。図5(b)は、単リングマスク有り且つ収差媒体無しの場合の蛍光発生領域を示す。図5(c)は、単リングマスク無し且つ収差媒体有りの場合の蛍光発生領域を示す。図5(d)は、単リングマスク有り且つ収差媒体有りの場合の蛍光発生領域を示す。
この図から分かるように、単リングマスクを用いた分解能向上方法では、厚みのある生体組織の内部観察やガラスなどの内部加工時に所望の分解能を得ることが容易でない。生体内部観測や内部加工では、空気や浸液の屈折率と異なる屈折率を有する対象物の内部に光を集光させることになる。このとき、屈折率差によって球面収差が生じるので、単リングマスクによって空間的に振幅変調がなされた励起光は、球面収差の値が僅かであっても顕著に影響を受ける。
水浸対物レンズを用いて対象物の表面上に励起光を集光照射し、対象物表面上に存在する回折限界よりも微小な蛍光物質から多光子吸収過程を経て蛍光を生じさせると、収差が存在しないので、単リングマスクを用いない場合(図5(a))と比べて、単リングマスクを用いる場合(図5(b))には、メインローブの領域を小さくすることができる。
生体(平均屈折率1.38)の内部(深さ70μm位置)に励起光を照射し、その位置に存在する微小な蛍光物質から多光子吸収過程を経て蛍光を生じさせると、収差が存在するので、単リングマスクを用いない場合(図5(c))と比べて、単リングマスクを用いる場合(図5(d))には、サイドローブとほぼ同じ位置に強い蛍光強度を有するスポットが生じる。以下では、収差が存在する状況下で生じるこの明るいスポットをセカンドローブという。このセカンドローブもサイドローブと同様に計測画像の劣化につながる。
なお、今回の条件下で生じる球面収差は非常に小さいものである。単リングマスクを用いない場合には、光軸方向にPSFが光軸方向に僅かに伸びるだけである(図5(c))。しかし、単リングマスクを用いる場合には、強いセカンドローブが生じる(図5(d))。このように単リングマスクは特に球面収差に弱い。なお、このセカンドローブは、屈折率差、集光深さ及びNAなどの条件によっては、サイドローブと異なる位置に生じることがある。
以上のように、単リングマスクは、メインローブの他にサイドローブやセカンドローブが生じる場合があり、また、メインローブを小さくすることができない場合がある。本実施形態の多重リングマスクは、このような単リングマスクが有する問題点を解消し得るものである。以下では、多重リングマスクについて説明する。
図6および図7は、マスクの様々な構成例およびPSFを示す図である。図6では、マスクに入力される光(励起光)はビーム断面において一定(トップハット)であるとした。図7では、マスクに入力される光(励起光)はビーム断面において裾が切れたガウシアン分布を有するとした。
図6および図7の何れにおいても、(a)は、円形領域の単一の透過部と、その透過部の周囲に設けられた遮光部と、を有するマスクの構成を示す。(b)は、2重リングマスクの構成を示す。(c)は、3重リングマスクの構成を示す。(d)は、4重リングマスクの構成を示す。(e)は、6重リングマスクの構成を示す。(f)~(j)は、対象物表面において励起光の2光子吸収により生じる蛍光についてレンズの光軸(z軸)を含む面(xz面)におけるPSFを示す。(f)は、(a)の構成のマスクを用いたときのPSFを示す。(g)は、(b)の構成の2重リングマスクを用いたときのPSFを示す。(h)は、(c)の構成の3重リングマスクを用いたときのPSFを示す。(i)は、(d)の構成の4重リングマスクを用いたときのPSFを示す。(j)は、(e)の構成の6重リングマスクを用いたときのPSFを示す。
図6および図7の何れにおいても、本実施形態の多重リングマスクを用いると、メインローブのPSFを小さくすることができ、サイドローブの光ピーク強度を低くすることができる。また、対象物の内部に集光照射する際の収差によって生じるセカンドローブを小さくすることができる。
本実施形態の多重リングマスクの設計に際しては、図3を用いて説明すると、透過部B1、遮光部A1、透過部B2、遮光部A2、透過部B3、遮光部A3、透過部B4および遮光部A4のうちの隣り合う透過部と遮光部との間の境界である円の半径の最適値を探索する。最適値探索時の評価として、メインローブの大きさ(例えば体積)およびサイドローブの大きさを用いることができる。メインローブの大きさとしては、照明光の集光領域の大きさであってもよいし、励起光を集光照射したときに単光子吸収または多光子吸収を経て発生する蛍光の領域の大きさであってもよいし、多光子吸収によって非線形加工が生じると推測される領域の大きさであってもよい。特にn光子吸収を用いた蛍光発光では、蛍光の大きさは強度のn乗に比例するので、サイドローブとメインローブとの比が大きくなり、その結果、サイドローブの小さい観察を実現することができる。さらに、生じると予測される収差、または、収差補正などの技術によって除去しきれない残留収差を考慮して設計することで、セカンドローブの小さい観察像を得ることができる。
特許文献1に記載された従来技術2の多重リングマスクと比べて、本実施形態の多重リングマスクは、更なる分解能の向上が可能である。
図8~図10は、従来技術2の多重リングマスクと本実施形態の多重リングマスクとを比較して示す図である。図8では、多重リングマスクに入力される光はビーム断面において一定(トップハット)であるとした。図9および図10では、多重リングマスクに入力される光はビーム断面において裾が切れたガウシアン分布(下記(4)式)を有するとした。この(4)式において、rは、最外層の透過部の外半径を1として規格したときに中心位置からの距離である。Wexは、中心位置での強度を1として規格化したときに強度が1/eになるrの値である。図9ではWexを1.0とし、図10ではWexを0.6とした。
Figure 0007504990000004
図8~図10の何れにおいても、上段の図は、従来技術2の2重リングマスク、3重リングマスクおよび4重リングマスクを示す。下段の図は、本実施形態の2重リングマスク、3重リングマスクおよび4重リングマスクを示す。
図11は、図8の上段に示した従来技術2の多重リングマスクにおける遮光部および透過部それぞれの径方向の幅を纏めた表である。この表に示されるように、従来技術2の多重リングマスクでは、各遮光部および各透過部の径方向の幅は上記(1)式の関係を有する。
図12は、図8の下段に示した本実施形態の多重リングマスクにおける遮光部および透過部それぞれの径方向の幅を纏めた表である。この表に示されるように、本実施形態の多重リングマスクでは、各遮光部および各透過部の径方向の幅は上記(2)式、(3)式の関係を有する。
図13は、対象物の表面に光を集光照射する場合(収差がない場合)のPSFを示す図である。入力光はビーム断面において裾が切れたガウシアン分布(Wex=1.0)であるとした。図13(a)はマスクを用いない場合のPSFを示す。図13(b)は従来技術2の2重リングマスクを用いた場合のPSFを示す。図13(c)は本実施形態の2重リングマスクを用いた場合のPSFを示す。図13(d)は本実施形態の4重リングマスクを用いた場合のPSFを示す。
この図から分かるように、マスクを用いない場合(図13(a))と比較すると、従来技術2の2重リングマスクを用いた場合(図13(b))にはPSFを小さくすることができるが、本実施形態の多重リングマスクを用いた場合(図13(c),図13(d))には更にPSFを小さくすることができる。なお、この図には、それぞれの場合における改善率(後述)の値が示されている。図13(b)の場合の改善率は1.34であり、図13(c)の場合の改善率は1.65であり、図13(d)の場合の改善率は1.78である。
図14は、対象物の内部に光を集光照射する場合(収差がある場合)のPSFを示す図である。入力光はビーム断面において裾が切れたガウシアン分布(Wex=1.0)であるとした。生体(平均屈折率1.38)の内部(深さ100μm位置)に励起光を照射し、その位置に存在する微小な蛍光物質から生じた蛍光のPSFを示す。この条件下では、生体と空気との間の屈折率差によって生じる球面収差の影響により、リングマスクを用いたときにはセカンドローブが生じる。図14(a)はマスクを用いない場合のPSFを示す。図14(b)は従来技術1の単リングマスクを用いた場合のPSFを示す。図14(c)は従来技術2の2重リングマスクを用いた場合のPSFを示す。図14(d)は内部集光を考慮しない本実施形態の3重リングマスクを用いた場合のPSFを示す。図14(e)は内部集光を考慮した本実施形態の3重リングマスクを用いた場合のPSFを示す。
この図から分かるように、従来技術1の単リングマスクを用いた場合(図14(b))には、セカンドローブが大きい。内部集光を考慮しない本実施形態の3重リングマスクを用いた場合(図14(d))も、セカンドローブが現れる。しかし、内部集光を考慮した本実施形態の3重リングマスクを用いた場合(図14(e))には、セカンドローブが小さく且つメインローブも小さくすることができる。
図15は、図14に示した各場合のPSFについて改善率を示すグラフである。改善率は、収差がなく且つマスクを用いない場合のPSFの体積を基準として、各場合のPSFの縮小の程度を表す。改善率が大きいほど、PSFが小さい。図16は、図14に示した各場合のPSFについてセカンドローブの大きさを示すグラフである。セカンドローブは、収差が存在する状況での不要光の大きさを示し、メインローブとの強度比を数値として表す。この数値が小さいほど、セカンドローブが小さい。これらのグラフから分かるように、本実施形態の多重リングマスクは改善率が高い。また、本実施形態の多重リングマスクは、従来技術2の多重リングマスクと比べるとセカンドローブが大きいものの、従来技術1の単リングマスクと比べるとセカンドローブが小さい。
本実施形態の多重リングマスクは、透明な材料(例えばガラス等)からなる平板の主面上に遮光部の領域に遮光材料を塗布して構成することができる。また、本実施形態の多重リングマスクは、空間光変調器(SLM: Spatial Light Modulator)を用いて構成することができる。空間光変調器は振幅変調型および位相変調型の何れであってもよい。SLMに提示されたパターンに応じて遮光部および透過部を有することができる。振幅変調型のSLMには、TFT(Thin-Film-Transistor)モニタなどの透過型のタイプや、DMD(Digital Mirror Device)など反射型のタイプなどがある。
図17は、位相変調型のSLMを用いて多重リングマスクを構成する場合においてSLMに提示するグレーティングパターンを示す図である。この図において、ハッチング領域は、グレーティングが提示されている領域であり、1次回折光を生じさせることができる。黒塗り潰し領域は、グレーティングが提示されていない領域であり、1次回折光を生じさせることなく0次光を出力する。SLMは、0次光と1次回折光とを互いに異なる方向へ出力する。図17(a)は、グレーティングパターンが提示されている領域を透過部とするものであり、この場合、SLMから出力された0次光および1次回折光のうちの1次回折光を選択的にレンズにより集光し、0次光を遮断する。図17(b)は、グレーティングパターンが提示されていない領域を遮光部とするものであり、この場合、SLMから出力された0次光および1次回折光のうちの0次光を選択的にレンズにより集光し、1次回折光を遮断する。SLMを用いる場合には、SLMの後段に波長板を配置して、この波長板により任意の偏光に変える。
SLMにグレーティングパターンを提示するには少なくとも2画素分の領域が必要である。本実施形態の多重リングマスクでは遮光部より透過部の方が径方向の幅が小さいので、回折効率を考慮すると、1次回折光を利用して集光する場合(図17(a))と比べて、0次光を利用して集光する場合(図17(b))の方が好ましい。
本実施形態においては、SLM等を用いて収差補正を行うことも有効である。収差は、対象物だけでなく、SLMを含む光学系にも存在する場合がある。収差補正により位相差を低減することで、良好な集光をすることができる。しかし、収差補正が不完全であることにより残存した収差(残存収差)が存在する場合があり、また、予期しない又は抑制できない原因により生じる短時間の収差が生じる場合もある。例えば、レンズと対象物との間に介在する浸液については、温度ムラに起因する浸液の対流や、対象物からの浸液への内容物の溶け出し等により、屈折率不均一となるシュレ―リン現象などにより収差が生じる。また、対象物については、対象物表面と浸液との間の屈折率差や、対象物内部の構造による屈折率のバラツキにより、収差が生じる。これらのうちには補正が容易ではないものも多い。したがって、質のよい画像取得または加工をするためには、収差に対してロバスト性の高い光を利用することが重要である。本実施形態の多重リングマスクは、ロバスト性の高い光を生成することができる。
これまでの説明では、本実施形態の多重リングマスクにおいて中心位置が最内層の透過部に含まれていた。しかし、これに限られることなく、本実施形態の多重リングマスクは、図18に示されるように中心位置が遮光部に含まれていてもよい。図18は、本実施形態の多重リングマスクの変形例の構成を示す図である。図18(a)は、2個のリング形状の遮光部を有する2重リングマスクにおいて中心位置付近に小さい遮光部を有する構成を示す。図18(b)は、3個のリング形状の遮光部を有する3重リングマスクにおいて中心位置付近に小さい遮光部を有する構成を示す。
これまでの説明では、透過部における光透過率が1であって、遮光部における光透過率が0であるとした。しかし、これに限られることなく、本実施形態の多重リングマスクは、透過部における光透過率が1より小さくてもよいし、或いは、遮光部における光透過率が0より大きくてもよい。図19は、本実施形態の7重リングマスクにおける光透過率分布の例を示す図である。この例では、透過部における光透過率は1であって、遮光部における光透過率は0.3である。
倍率やNAが異なる集光用のレンズに変更する場合や、顕微鏡内のビームエクスパンダや結像系などの倍率を変更することにより多重リングマスクへの入力光の強度分布を変更する場合に、多重リングマスクのパターンを切り替えるのが好ましい。また、出力光の波長が可変であるレーザ光源を用いると、波長を変更すると光強度分布も変わる場合があり、この場合にも多重リングマスクのパターンを切り替えるのが好ましい。これらの場合、SLMを用いて多重リングマスクを構成していれば、多重リングマスクのパターンの切り替えを容易かつ迅速に行うことができる。
多重リングマスクは、一つの平板形状のものにより入力光のうち透過部を通過した光を利用するものであってもよいが、次に図20および図21を用いて説明するような構成により光を整形することで光を効率的に利用して遮光部および透過部を有する構成とすることもできる。
図20は、トロイダルレンズのパターン及びこれにより投影されるリングパターンの例を示す図である。図20(a)は、設計した焦点位置に単一のリング形状の領域に光を集めるトロイダルレンズの位相パターンを示す。図20(b)は、この位相パターン(図20(a))を有するトロイダルレンズにより焦点位置に投影される単一リングのパターンを示す。図20(c)は、設計した焦点位置に二重のリング形状の領域に光を集めるトロイダルレンズの位相パターンを示す。図20(d)は、この位相パターン(図20(c))を有するトロイダルレンズにより焦点位置に投影される二重リングのパターンを示す。図20(c)のパターンは、細線を生成するのには適しているが、幅のある集光を得ることができない。しかし、光線追跡を用いて図20(c)のような輪帯状のマスクパターンを設計すると、光の位置および幅を制御することができる。
図21は、トロイダルレンズのパターンに応じて遮光部および透過部を有する多重リングマスクの構成を示す図である。この図に示される構成では、多重リングマスクは、振幅変調用素子21および位相変調用素子22を含み、この図の右に示されるような光強度分布を有する光を位相変調用素子22から出力することができる。振幅変調用素子21および位相変調用素子22は、SLMであってもよい。
レーザ光源から出力されビーム径が拡げられた光は、図20(c)に示されたような位相パターンが提示された振幅変調用素子21に入力され、この振幅変調用素子21により空間的に振幅が変調された後に、位相変調用素子22に入力される。振幅変調用素子21に入力される光に対し、振幅変調用素子21から出力される光は、回折または屈折により、異なる方向に伝搬する場合がある。振幅変調用素子21から位相変調用素子22へ光が伝搬するに従って、ビーム断面における光強度分布が変化していく。
位相変調用素子22は、所望の光強度分布(図20(d)に示されたようなパターン)が得られる位置に配置されている。位相変調用素子22に入力される光に対し、位相変調用素子22から出力される光は、回折または屈折により、異なる方向に伝搬する場合がある。位相変調用素子22から出力される光は、光軸に平行な方向に進む。位相変調用素子22から出力される光のビーム断面における光強度分布は、所望の光強度分布(図20(d)に示されたようなパターン)となる。
位相変調用素子22は、出力光を平行光にする他、出力光を収束光にしてもよいし、出力光を発散光にしてもよい。また、位相変調用素子22は、出力光を多点に収束させる位相パターンであってもよいし、収差を補正する位相パターンであってもよい。
また、本実施形態の多重リングマスクは、図22を用いて説明するように、中心位置の周りに設けられたリング形状の1または複数の遮光部を各々有する複数のマスクが積層された構成を有するものであってもよい。図22は、複数のマスクが積層されてなる多重リングマスクの構成例を示す図である。中心位置を一致させて、図22(a)~(d)の4個のマスクを積層することで、図3に示された3重リングマスクを構成することができる。
これまでの説明では、本実施形態の多重リングマスクにおいて遮光部と透過部との境界は円であるとしたが、楕円であってもよい。例えば、レーザダイオードから出力される光のビーム断面の形状は楕円であるので、それに応じて、多重リングマスクにおいて遮光部と透過部との境界を楕円とするのが好適である。
これまで、対象物の表面または内部に励起光を照射して2光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適な多重リングマスクのパターンについて説明した。しかし、これに限られることなく、本実施形態の多重リングマスクは、3光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適な多重リングマスクのパターンを有していてもよい。図23は、3光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適な2重リングマスクのパターンの例を示す図である。
次に、光学顕微鏡の実施形態について説明する。図24~図28は光学顕微鏡の構成例を示す。これらの光学顕微鏡は、本実施形態の多重リングマスクを含み対象物2の表面または内部に光を集光照射する光照射装置1(図1)、および、この光照射装置1による対象物2への光照射に応じて対象物2で生じた光を検出する光検出装置を備える。対象物2で生じる光は、照射光の波長と同じ波長を有する反射光または散乱光などであってもよいし、照射光の波長と異なる波長を有する蛍光またはラマン散乱光などであってもよい。
図24は、光学顕微鏡1Aの構成を示す図である。光学顕微鏡1Aは、レーザ光源11、レンズ12、レンズ13、マスク14、波長板15および対物レンズ16を備える。これらは、対象物2の表面または内部に励起光を集光照射する光照射装置(図1)を構成する。
レーザ光源11から出力された励起光は、レンズ12,13によりビーム径が拡大されるとともにコリメートされ、マスク14によりビーム断面において空間的に強度変調されて出力される。マスク14から出力された励起光は、波長板15により偏光が操作された後、対物レンズ16により対象物2の表面または内部に集光される。
また、光学顕微鏡1Aは、ダイクロイックミラー31、レンズ32および光検出器33を備える。これらは、光照射装置による対象物2への励起光照射に応じて対象物2で生じた蛍光を検出する光検出装置を構成する。
ダイクロイックミラー31は、波長板15と対物レンズ16との間の光路上に設けられている。ダイクロイックミラー31は、レーザ光源11から出力されてレンズ12、レンズ13、マスク14および波長板15を経て到達した励起光を透過させて、この励起光を対物レンズ16へ出力する。この励起光が対物レンズ16から対象物2の表面または内部に集光照射されると、その集光位置で蛍光が発生する。ダイクロイックミラー31は、対象物2から対物レンズ16を経て到達した蛍光を反射させて、この蛍光をレンズ32へ出力する。ダイクロイックミラー31は、マスク14と波長板15との間の光路上に設けられてもよい。レンズ32は、ダイクロイックミラー31から到達した蛍光を光検出器33の受光面上に集光する。光検出器33は、対象物2への励起光照射に応じて対象物2で生じた蛍光を検出する。
光検出器33は、光電子増倍管であってもよいし、フォトダイオードであってもよい。また、光検出器33の受光面の前に、蛍光を選択的に透過させるフィルタが設けられてもよい。
更に、光学顕微鏡1Aは、コンピュータ41およびステージ42を備える。コンピュータ41は、光検出器33による蛍光検出結果のデータを入力する。ステージ42は対象物2を載置する。図中に示されるとおり励起光の入射方向に平行なz軸を有するxyz直交座標系を設定すると、ステージ42は、z方向に対象物2を移動させることができ、また、x方向およびy方向にも対象物2を移動させることができる。
ステージ42に加えて又は替えて、励起光集光位置をx方向およびy方向に走査する走査部(例えばガルバノスキャナ)が設けられてもよいし、対物レンズ16をz方向に移動させるアクチュエータ(例えばピエゾアクチュエータ)が設けられてもよい。
コンピュータ41は、ステージ42を駆動することにより対象物2における励起光の集光位置を走査するとともに、その走査により励起光集光位置が対象物2の各位置に設定されたときの光検出器33による蛍光検出結果のデータを入力する。これにより、コンピュータ41は、対象物2の3次元蛍光像を取得することができる。
光学顕微鏡1Aは、マスク14として本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、より小さいPSFを実現することができるとともに、サイドローブやセカンドローブの発生を抑制することができるので、より高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。また、光学顕微鏡1Aは、多光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適なパターンを有する多重リングマスクをマスク14として用いることにより、更に高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。
図25は、光学顕微鏡1Bの構成を示す図である。光学顕微鏡1Aの構成(図24)と比較すると、光学顕微鏡1Bの構成(図25)は、光検出装置においてレンズ32と光検出器33との間にピンホール板34が設けられている点で相違する。ピンホール板34は、光を通過させる小径の開口を有する。ピンホール板34の開口は、光照射装置による励起光集光位置に対して共役の位置にある。光検出器33は、対象物2で生じた蛍光のうちピンホール板34の開口を通過した蛍光を受光する。
光学顕微鏡1Bは、共焦点蛍光顕微鏡の構成を有している。光学顕微鏡1Bは、マスク14として本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、より小さいPSFを実現することができるとともに、サイドローブやセカンドローブの発生を抑制することができるので、より高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。光学顕微鏡1Bは、多光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適なパターンを有する多重リングマスクをマスク14として用いてもよい。
図26は、光学顕微鏡1Cの構成を示す図である。光学顕微鏡1Aの構成(図24)と比較すると、光学顕微鏡1Cの構成(図26)は、光照射装置においてレーザ光源11とレンズ12との間に音響光学素子(AOM: Acousto-Optic Modulator)35が設けられている点で相違し、光検出装置において光検出器33からの出力信号を入力するロックインアンプ43が設けられている点で相違する。
AOM35は、対象物2への励起光照射の強度を時間的に変調する変調部である。AOM35は、コンピュータ41から指示される変調周波数ωで励起光照射の強度を正弦波状に変調する。これにより、対象物2へ照射される励起光の強度は時間的に正弦波状に変化する。
ロックインアンプ43は、光検出器33が検出した蛍光強度の時間的変化を表す蛍光強度信号を入力するとともに、AOM35の変調周波数ωと同じ又は整数倍の周波数を有する参照信号をコンピュータ41から入力する。そして、ロックインアンプ43は、入力した蛍光強度信号のうち変調周波数ωのn倍の周波数nωの成分を選択的に検出してコンピュータ41へ出力する。nは正の整数である。n=1であれば、ロックインアンプ43は、蛍光強度信号のうち周波数ωの基本波成分を選択的に検出して出力する。n≧2であれば、ロックインアンプ43は、蛍光強度信号のうち第n高調波成分を選択的に検出して出力する。
n≧2である場合、光学顕微鏡1Cは、飽和励起(SAX: Saturated Excitation)顕微鏡の構成を有する。SAX顕微鏡は次のような現象を利用するものである。対象物へ照射される励起光の強度が小さいときには、その励起光の照射により対象物で発生する蛍光の強度は励起光強度に比例する。しかし、励起光強度が大きくなると、蛍光強度は、飽和して、励起光強度に対して非線形な関係となる。したがって、変調周波数ωで時間的に変調された高強度の励起光を対象物に照射すると、その対象物で発生する蛍光の強度の時間的変化は、周波数ωの基本波成分を含む他、批正形成分である第n高調波成分を含む。励起光集光領域において中心位置に近いほど励起光強度は大きいから、蛍光強度信号のうちの第n高調波成分は、励起光集光領域のうちでも中心位置近傍で発生した蛍光の強度を表す。
SAX顕微鏡としての光学顕微鏡1Cは、このような現象を利用するものであり、より高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。そして、光学顕微鏡1Cは、本実施形態の多重リングマスク(特に、多光子吸収過程を経て蛍光を発生させる場合に好適なパターンを有する多重リングマスク)をマスク14として用いることにより、更に高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。
図27は、光学顕微鏡1Dの構成を示す図である。光学顕微鏡1Cの構成(図26)と比較すると、光学顕微鏡1Dの構成(図27)は、対象物2への励起光照射の強度を時間的に変調する変調部としてAOM35AおよびAOM35B等を備える点で相違し、光検出器36を更に備える点で相違し、この光検出器36から励起光の変調周波数と同じ周波数を有する参照信号がロックインアンプ43へ与えられる点で相違する。
対象物2への励起光照射の強度を時間的に変調する変調部は、AOM35AおよびAOM35Bの他、ビームスプリッタ51、ビームスプリッタ52、ミラー53およびミラー54を含む。これらは、レーザ光源11とレンズ12との間の励起光の光路上に設けられていている。
ビームスプリッタ51は、レーザ光源11から出力された励起光を2分岐して第1分岐光および第2分岐光とする。ビームスプリッタ51から出力された第1分岐光は、AOM35Aを経て、ビームスプリッタ52に入力される。ビームスプリッタ51から出力された第2分岐光は、ミラー53、AOM35Bおよびミラー54を経て、ビームスプリッタ52に入力される。ビームスプリッタ52は、AOM35Aから到達した第1分岐光を入力するとともに、ミラー54から到達した第2分岐光を入力して、これら第1分岐光および第2分岐光それぞれを2分岐することにより、第1分岐光と第2分岐光との干渉による励起光をレンズ12および光検出器36の双方へ出力する。
AOM35A,35Bは、コンピュータ41から指示される互いに異なる変調周波数で励起光の波形を正弦波状に変調する。これにより、ビームスプリッタ52からレンズ12および光検出器36それぞれへ出力される励起光の強度は時間的に正弦波状に変化する。ビームスプリッタ52から出力される励起光の変調周波数ωは、コンピュータ41からAOM35A,35Bに指示される互いに異なる変調周波数の差に応じたものである。ビームスプリッタ52からレンズ12へ出力された励起光は、対象物2の表面または内部で集光照射される。
光検出器36は、ビームスプリッタ52から出力される励起光を受光して、その励起光の変調周波数ωと同じ周波数を有する参照信号をロックインアンプ43へ出力する。ロックインアンプ43は、光検出器33が検出した蛍光強度の時間的変化を表す蛍光強度信号を入力するとともに、光検出器36から出力された変調周波数ωの参照信号を入力する。そして、ロックインアンプ43は、入力した蛍光強度信号のうち変調周波数ωのn倍の周波数nωの成分を選択的に検出してコンピュータ41へ出力する。nは正の整数である。n=1であれば、ロックインアンプ43は、蛍光強度信号のうち周波数ωの基本波成分を選択的に検出して出力する。n≧2であれば、ロックインアンプ43は、蛍光強度信号のうち第n高調波成分を選択的に検出して出力する。
光学顕微鏡1Dは、光学顕微鏡1Cと同様の作用効果を奏し、n≧2である場合には光学顕微鏡1Cと同様にSAX顕微鏡の構成を有するので、より高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。
図28は、光学顕微鏡1Eの構成を示す図である。光学顕微鏡1Aの構成(図24)と比較すると、光学顕微鏡1Eの構成(図28)は、光照射装置においてレーザ光源11とレンズ12との間に調整部37が設けられている点で相違する。
調整部37は、対象物2への励起光照射の強度を調整するものである。調整部37は、透過率が可変である光学部品(例えば、音響光学素子、NDフィルタ、液晶セルなど)であってもよいし、2以上の光学部品の組合せ(例えば波長板および偏光子)により構成されるものであってもよい。調整部37が波長板および偏光子により構成される場合には、波長板または偏光子の光学軸の方位を変更することにより、対象物2への励起光照射の強度を調整することができる。また、調整部はレーザ光源11と一体とされたものであってもよく、例えば、レーザ光源11に与える駆動電流を変化させることで、レーザ光源11から出力される励起光の強度を調整してもよい。
コンピュータ41は、調整部37から出力されて対象物2に照射される励起光の強度を複数の値それぞれに設定するとともに、光検出器33が検出した蛍光強度を表す蛍光強度信号を入力する。そして、コンピュータ41は、調整部37により対象物2への励起光照射強度が複数の値それぞれに設定されたときに対象物2で生じた蛍光の強度に基づいて、対象物2で生じた光に含まれる非線形成分を求める。
具体的には、励起光の2光子吸収過程を経て蛍光が発生する場合、その蛍光に含まれる非線形成分を次のようにして求めることができる。対象物2に照射される励起光の強度をIex_Lに調整部37により設定し、このときに光検出器33が検出した蛍光強度をIとする。Iex_Lは、蛍光強度が励起光強度に比例する範囲の励起光強度である。また、対象物2に照射される励起光の強度をIex_Hに調整部37により設定し、このときに光検出器33が検出した蛍光強度をIとする。Iex_Hは、蛍光強度が飽和して励起光強度に対して非線形な関係となる範囲の励起光強度である。そして、次式により、対象物2に照射される励起光の強度をIex_Hに設定したときの蛍光強度に含まれる非線形成分ISAXを求める。
Figure 0007504990000005
この光学顕微鏡1Eは、対象物2に照射される励起光の強度を大きい値に設定したときの蛍光強度に含まれる非線形成分を求める点で、光学顕微鏡1Cおよび光学顕微鏡1Dと同様である。したがって、光学顕微鏡1Eは、光学顕微鏡1Cおよび光学顕微鏡1Dと同様に、より高い空間分解能を有する3次元蛍光像を取得することができる。
以上までに説明した光学顕微鏡1A~1Eにおいて、レーザ光源11から出力される励起光は、連続光であってもよいし、パルス光であってもよい。対象物2において多光子吸収過程を経て発生する蛍光を検出する場合には、励起光はパルス光であるのが好ましい。また、励起光がパルス光である場合、光検出器33とロックインアンプ43との間に設けたフィルタにより、光検出器33から出力される蛍光強度信号のうち、励起光パルスの繰り返し周波数成分およびこれの高調波成分を選択的に遮断して、周波数ωの基本波成分および周波数nωの第n高調波成分を選択的に透過させてロックインアンプ43に入力させるのが好ましい。
SAX顕微鏡である光学顕微鏡1C~1Eは、光学顕微鏡1Bと同様に共焦点蛍光顕微鏡の構成とすることもできる。すなわち、励起光集光位置に対して共役の位置に小径の開口を有するピンホール板を光検出器33の受光面の前に配置して、対象物2で生じた蛍光のうちピンホール板の開口を通過した蛍光を光検出器33により受光してもよい。
SAX顕微鏡において、励起光の2光子吸収過程を経て発生する蛍光の基本波成分の強度をPとし、第2高調波成分の強度をPとし、第3高調波成分の強度をPとすると、これらP~Pは、主として下記(6)式で表される領域で発生した蛍光の強度を表す。PSFは2光子吸収過程のときのPSFに相当するものであり、PSFは4光子吸収過程のときのPSFに相当するものであり、PSFは6光子吸収過程のときのPSFに相当するものである。PSF成分は、第3高調波成分を検出することで求めることができる。PSF成分は、基本波成分、第2高調波成分および第3高調波成分を検出して、下記(7)式により求めることができる。
Figure 0007504990000006
Figure 0007504990000007
SAX顕微鏡である光学顕微鏡1C~1Eにおいては、マスク14として用いる多重リングマスクのパターンを適切に設計することにより、PSF観測、PSF観測またはPSF観測をすることができる。図29は、光学顕微鏡1C~1EにおいてPSF観測時に用いられる多重リングマスクのパターンの例を示す図である。図30は、光学顕微鏡1C~1EにおいてPSF観測時に用いられる多重リングマスクのパターンの例を示す図である。図31は、光学顕微鏡1C~1EにおいてPSF観測時に用いられる多重リングマスクのパターンの例を示す図である。
図32は、2光子励起の場合のPSFの例を示す図である。図32(a)はマスク不使用時のPSFを示し、図32(b)は単リングマスク使用時のPSFを示し、図32(c)は8重リングマスクマスク使用時のPSFを示す。図33は、2光子励起の場合のPSFの例を示す図である。図33(a)はマスク不使用時のPSFを示し、図33(b)は単リングマスク使用時のPSFを示し、図33(c)は8重リングマスクマスク使用時のPSFを示す。図34は、2光子励起の場合のPSFの例を示す図である。図34(a)はマスク不使用時のPSFを示し、図34(b)は単リングマスク使用時のPSFを示し、図34(c)は8重リングマスクマスク使用時のPSFを示す。
図35は、様々な場合におけるPSFの径方向および軸方向の大きさを纏めた表である。ここでは、倍率が60倍であり、NAが1.3であり、ワーキングディスタンスが300μmである対物レンズ16を用いた場合のPSFの径方向および軸方向の大きさ(単位nm)を示す。また、左から順に、SAX顕微鏡によるPSF観測時(マスク不使用)、SAX顕微鏡によるPSF観測時(4重リングマスク使用)、SAX顕微鏡によるPSF観測時(マスク不使用)、SAX顕微鏡によるPSF観測時(4重リングマスク使用)、SAX顕微鏡によるPSF観測時(マスク不使用)、および、SAX顕微鏡によるPSF観測時(4重リングマスク使用)、それぞれの場合を示す。
図32~図35に示されるとおり、PSFよりPSFは小さく、PSFよりPSFは小さい。また、PSF,PSF,PSFは、マスク不使用時より単リングマスク使用時の方が小さく、単リングマスク使用時より多重リングマスク使用時の方が小さい。
図36は、対象物2の内部の集光領域における光強度分布を示す図である。観察対象物は、0.2μmサイズの複数の蛍光ビーズを内包するエポキシ樹脂である。この光強度分布は、2光子励起蛍光顕微鏡で観察されたものであり、xz面上のものである。NAが1.05であるシリコーン浸対物レンズを用いた。図36(a)は、マスク不使用時に観察された光強度分布を示し、図36(b)は、6重リングマスク使用時に観察された光強度分布を示す。この図に示されるとおり、2光子励起蛍光顕微鏡において、本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、集光領域を小さくすることができる。
図37は、2光子励起蛍光顕微鏡により取得された画像の例を示す図である。観察対象物は、0.2μmサイズの複数の蛍光ビーズを内包するエポキシ樹脂である。図37(a)は、マスク不使用時に取得された画像を示し、図37(b)は、3重リングマスク使用時に取得された画像を示す。この図に示されるとおり、2光子励起蛍光顕微鏡において本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、高い空間分解能を有する蛍光像を取得することができる。
次に、光音響顕微鏡の実施形態について説明する。図38および図39は光音響顕微鏡の構成例を示す。これらの光音響顕微鏡は、本実施形態の多重リングマスクを含み対象物2の表面または内部にパルス光を集光照射する光照射装置1(図1)、および、この光照射装置1による対象物2へのパルス光照射に応じて対象物2で生じた音波を検出する音波検出装置を備える。
図38は、光音響顕微鏡1Fの構成を示す図である。光音響顕微鏡1Fは、レーザ光源11、レンズ12、レンズ13、マスク14、波長板15および対物レンズ16を備える。これらは、対象物2の表面または内部にパルス光を集光照射する光照射装置(図1)を構成する。
レーザ光源11から出力されたパルス光は、レンズ12,13によりビーム径が拡大されるとともにコリメートされ、マスク14によりビーム断面において空間的に強度変調されて出力される。マスク14から出力されたパルス光は、波長板15により偏光が操作された後、対物レンズ16により対象物2の表面または内部に集光される。
また、光音響顕微鏡1Fはトランスデューサ38を備える。トランスデューサ38は、対象物2へのパルス光照射に応じて対象物2で生じた音波を検出する音波検出装置である。対象物2の表面または内部にパルス光が集光照射されると、その集光位置において衝撃波が発生する。トランスデューサ38は、この衝撃波(音波)の大きさに応じたパルス高さを有する電気パルスをコンピュータ41へ出力する。コンピュータ41は、トランスデューサ38から出力された電気パルス信号を入力する。
更に、光音響顕微鏡1Fは、光学顕微鏡1Aの構成(図24)等と同様に、対象物2をx方向,y方向およびz方向それぞれに移動させるステージ(または、パルス光集光位置を走査する走査部、対物レンズ16をz方向に移動させるアクチュエータ)を備える。なお、図38ではステージは示されていない。
コンピュータ41は、ステージ(または、走査部、アクチュエータ)を駆動することにより対象物2におけるパルス光の集光位置を走査するとともに、その走査によりパルス光集光位置が対象物2の各位置に設定されたときのトランスデューサ38による音波検出結果を表す電気パルス信号を入力する。これにより、コンピュータ41は、対象物2の3次元像を取得することができる。
光音響顕微鏡1Fは、マスク14として本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、より小さいPSFを実現することができるとともに、サイドローブやセカンドローブの発生を抑制することができるので、より高い空間分解能を有する3次元像を取得することができる。また、光音響顕微鏡1Fは、多光子吸収過程を経て衝撃波を発生させる場合に好適なパターンを有する多重リングマスクをマスク14として用いることにより、更に高い空間分解能を有する3次元像を取得することができる。
また、光音響顕微鏡1Fは、対象物2へ照射されるパルス光のパルス幅を調整する調整部を備えるのが好適である。この調整部はレーザ光源11と一体とされたものであってもよい。パルス光のパルス幅が短いほど、対象物2においてパルス光の非線形吸収が生じ易く、単光子吸収過程によって衝撃波が発生するだけでなく、2光子吸収過程によっても衝撃波が発生する。逆に、パルス光のパルス幅が長いほど、対象物2においてパルス光の非線形吸収が生じ難く、単光子吸収過程によって衝撃波が発生するものの、2光子吸収過程によっては衝撃波が発生し難い。
このことを利用すれば、パルス幅を短く設定したときに発生した衝撃波(単光子吸収過程および2光子吸収過程の双方に因る衝撃波)を検出したトランスデューサ38からの電気パルス信号と、パルス幅を長く設定したときに発生した衝撃波(主に単光子吸収過程に因る衝撃波)を検出したトランスデューサ38からの電気パルス信号とに基づいて、主に2光子吸収過程に因る衝撃波の成分(すなわち、2光子吸収過程が生じ得る狭い領域の情報)を取得することができる。これにより、高い空間分解能を有する3次元像を取得することができる。
図39は、光音響顕微鏡1Gの構成を示す図である。光音響顕微鏡1Fの構成(図38)と比較すると、光音響顕微鏡1Gの構成(図39)は、光検出器36、ロックインアンプ43、AOM35A、AOM35B、ビームスプリッタ51、ビームスプリッタ52、ミラー53およびミラー54を備える点で相違する。これらは、光学顕微鏡1Dの構成(図27)における物と同様の物である。
AOM35A、AOM35B、ビームスプリッタ51、ビームスプリッタ52、ミラー53およびミラー54は、対象物2へのパルス光照射の強度を時間的に変調する変調部を構成する。光検出器36は、ビームスプリッタ52から出力されるパルス光を受光して、そのパルス光の変調周波数ωと同じ周波数を有する参照信号をロックインアンプ43へ出力する。
ロックインアンプ43は、トランスデューサ38が検出した衝撃波強度の時間的変化を表す衝撃波強度信号を入力するとともに、光検出器36から出力された変調周波数ωの参照信号を入力する。そして、ロックインアンプ43は、入力した衝撃波強度信号のうち変調周波数ωのn倍の周波数nωの成分を選択的に検出してコンピュータ41へ出力する。nは正の整数である。n≧2であれば、ロックインアンプ43は、衝撃波強度信号のうち第n高調波成分を選択的に検出して出力する。
衝撃波強度信号のうち周波数nωの第n高調波成分は、対象物2におけるパルス光のn光子吸収過程を経て生じた衝撃波に基づくものである。パルス光集光領域において中心位置に近いほどパルス光強度は大きいから、衝撃波強度信号のうちの第n高調波成分は、パルス光集光領域のうちでも中心位置近傍で発生した衝撃波の強度を表す。
光音響顕微鏡1Gは、マスク14として本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、より小さいPSFを実現することができるとともに、サイドローブやセカンドローブの発生を抑制することができるので、より高い空間分解能を有する3次元像を取得することができる。また、光音響顕微鏡1Gは、衝撃波強度信号のうちの第n高調波成分を求めることにより、更に高い空間分解能を有する3次元像を取得することができる。
本実施形態の多重リングマスク、これを備える光照射装置、および、この光照射装置を備える顕微鏡は、次のような効果を奏する。
生体内部計測では、浸液や対象物が収差要因となる場合がある。例えば、浸液については、温度ムラに起因する浸液の対流や、対象物からの浸液への内容物の溶け出し等により、屈折率不均一となるシュレ―リン現象などにより収差が生じる。また、対象物については、対象物表面と浸液との間の屈折率差や、対象物内部の構造による屈折率のバラツキにより、収差が生じる。計測可能な収差については補正することができる。しかし、予期せぬ短時間の収差などには補正により対応することは容易でない。また、対象物の想定される屈折率や観測深さが実際の場合と異なっていることにより、わずかに収差が発生する場合がある。したがって、収差の影響を受けにくいリングマスクが望まれる。単リングマスクは、収差の影響を顕著に受けやすいので、収差によって観測結果が悪化する。これに対して、本実施形態の多重リングマスクは、PSFの改善率をさらに高めることができるだけなく、収差によって生じるセカンドローブを考慮して設計することで収差の影響を低減して良好な観察を実現することができる。
本実施形態の多重リングマスクは、これらの効果により、解像度が高い観測が可能である。本実施形態の5重リングマスクを用いることにより、横(光軸に垂直な方向)および縦(光軸方向)の何れについて1.2倍程度の改善が見込まれる。これは、対物レンズのNAを1.05倍向上させたものと同様である。加工においても加工痕の小さい内部加工が期待できる。また、PSFを小さくするために対物レンズのNAを大きくすることは物理的な制約があるが、本実施形態の多重リングマスクを用いることにより、その制約を超えてPSFを小さくすることができる。
本実施形態の多重リングマスクにおいてリング形状の遮光部の個数は、2以上であればよく、上限については特に規定されないが28程度で十分であり、好適には3以上16以下の程度である。リング形状の遮光部の個数が多いと、光利用効率が低下するので好ましくなく、また、透過部の径方向の幅が小さくなることにより表現能力が低下する点でも好ましくない。ただし、リング形状の遮光部の個数が多い場合には、生体内部観察時における収差の影響によるバックグランドノイズの増加量を抑えることができ、質のよい画像を得ることができる。また、リング形状の遮光部の個数が多い場合に、リング形状における極限まで解像度が小さくなることはないが、回折限界を超え且つ光利用効率が高くなるような多重リングマスクも実現可能である。したがって、本実施形態の多重リングマスクにおいてリング形状の遮光部の個数の上限は28程度である。
本実施形態の多重リングマスクを光照射装置が備えることにより、励起光の集光領域を小さくすることができ、解像度の高い計測が可能となり、或いは、加工痕の小さい加工が可能となる。特に、本実施形態の多重リングマスクを備える光照射装置は、メインローブとサイドローブとの強度比が大きくなる多光子吸収を利用した顕微鏡観察や加工において好適に用いられ得る。
解像度が高い顕微鏡としてレーザ走査型の共焦点顕微鏡が知られている。この共焦点顕微鏡は、励起光の単光子励起を利用して蛍光像を取得することができる。共焦点顕微鏡では主に可視域の励起光が用いられることから、対象物(生体)における励起光の吸収や散乱が大きい。また、共焦点顕微鏡では、対象物内の励起光が照射された全ての領域から蛍光が生じる可能性があり、分解能を高めるための局所検出素子としてピンホールが用いられる。対象物の深部の観察においては、対象物に起因する収差や散乱が大きくなるので、このピンホールの効果は小さくなる。このようなことから、共焦点顕微鏡では光学分解能が低いといったデメリットがある。ただし、対象物の表面を観察する場合には、共焦点顕微鏡は有効である。
これに対して、本実施形態の多重リングマスクを備える光照射装置を用いた顕微鏡は、対象物の表面だけでなく内部においても、収差の影響を抑制して高解像度の蛍光像を取得することができる。また、多光子吸収を利用する場合には、近赤外域の励起光を用いることができるので、対象物(生体)における励起光の吸収や散乱が小さい。この点でも、本実施形態の光照射装置は、対象物の内部の観察に好適に用いられ得る。
多重リングマスク、光照射装置および顕微鏡は、上記実施形態および構成例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
上記実施形態の多重リングマスクは、入力される光のビーム断面において空間的に強度変調して当該変調後の光を出力する多重リングマスクであって、中心位置の周りに設けられたリング形状の複数の遮光部と、複数の遮光部のうちの隣り合う二つの遮光部の間に設けられた透過部と、複数の遮光部のうちの最内層の遮光部の内側に設けられた最内層の透過部と、複数の遮光部のうちの最外層の遮光部の外側に設けられた最外層の透過部と、を有し、複数の遮光部のうちの隣り合う二つの遮光部それぞれの径方向の幅が、これら二つの遮光部の間に設けられた透過部の径方向の幅より大きい構成としている。
この多重リングマスクは、振幅変調型または位相変調型の空間光変調器を含み、この空間光変調器に提示されたパターンに応じて遮光部および透過部を有するのが好適である。多重リングマスクは、トロイダルレンズを含み、このトロイダルレンズのパターンに応じて遮光部および透過部を有するのが好適である。また、多重リングマスクは、中心位置の周りに設けられたリング形状の1または複数の遮光部を各々有する複数のマスクが積層された構成を有するのが好適である。
上記実施形態の光照射装置は、コヒーレントな光を出力する光源と、光源から出力される光を集光する集光光学系と、光源と集光光学系による集光位置との間の光路上に設けられた上記の多重リングマスクと、を備える構成としている。
上記実施形態の光学顕微鏡は、対象物の表面または内部に光を集光照射する上記の光照射装置と、光照射装置による対象物への光照射に応じて対象物で生じた光を検出する光検出装置と、を備える構成としている。
この光学顕微鏡において、光検出装置は、光照射装置による集光位置に対して共役の位置に開口を有するピンホール板と、対象物で生じた光のうち開口を通過した光を受光する光検出器と、を含む構成とするのが好適である。光照射装置において、対象物への光照射の強度を時間的に変調する変調部を含み、光検出装置は、対象物で生じた光のうち変調部による光照射強度変調の際の変調周波数のn倍(nは1以上の整数)の周波数の成分を求める構成とするのも好適である。また、光照射装置は、対象物への光照射の強度を調整する調整部を含み、光検出装置は、調整部により対象物への光照射強度が複数の値それぞれに設定されたときに対象物で生じた光を検出し、これらの検出結果に基づいて、対象物で生じた光に含まれる非線形成分を求める構成とするのも好適である。
上記実施形態の光音響顕微鏡は、対象物の表面または内部にパルス光を集光照射する上記の光照射装置と、光照射装置による対象物へのパルス光照射に応じて対象物で生じた音波を検出する音波検出装置と、を備える構成としている。
この光音響顕微鏡において、光照射装置は、対象物へ照射されるパルス光のパルス幅を調整する調整部を含み、音波検出装置は、調整部によりパルス幅が複数の値それぞれに設定されたときに対象物で生じた音波を検出し、これらの検出結果に基づいて、対象物で生じた音波のうち多光子吸収過程により生じた音波の成分を求める構成とするのも好適である。また、光照射装置は、対象物へのパルス光照射の強度を時間的に変調する変調部を含み、音波検出装置は、対象物で生じた音波のうち変調部によるパルス光照射強度変調の際の変調周波数のn倍(nは1以上の整数)の周波数の成分を求める構成とするのも好適である。
本発明は、回折限界より小さい領域に効率よく光を集光することができる装置として利用可能である。また、高空間分解能の画像を取得することができる顕微鏡として利用可能である。
1…光照射装置、1A~1E…光学顕微鏡、1F,1G…光音響顕微鏡、2…対象物、11…レーザ光源、12,13…レンズ、14…マスク、15…波長板、16…レンズ、31…ダイクロイックミラー、32…レンズ、33…光検出器、34…ピンホール板、35,35A,35B…音響光学素子(AOM)、36…光検出器、37…調整部、38…トランスデューサ、41…コンピュータ、42…ステージ、43…ロックインアンプ、51,52…ビームスプリッタ、53,54…ミラー。

Claims (12)

  1. 入力される光のビーム断面において空間的に強度変調して当該変調後の光を出力する多重リングマスクであって、
    中心位置の周りに設けられたリング形状の複数の遮光部と、前記複数の遮光部のうちの隣り合う二つの遮光部の間に設けられた透過部と、前記複数の遮光部のうちの最内層の遮光部の内側に設けられた最内層の透過部と、前記複数の遮光部のうちの最外層の遮光部の外側に設けられた最外層の透過部と、を有し、
    前記複数の遮光部のうちの隣り合う二つの遮光部それぞれの径方向の幅が、これら二つの遮光部の間に設けられた透過部の径方向の幅より大きく、
    前記中心位置が前記最内層の透過部に含まれている、
    多重リングマスク。
  2. 振幅変調型または位相変調型の空間光変調器を含み、この空間光変調器に提示されたパターンに応じて前記遮光部および前記透過部を有する、
    請求項1に記載の多重リングマスク。
  3. トロイダルレンズを含み、このトロイダルレンズのパターンに応じて前記遮光部および前記透過部を有する、
    請求項1または2に記載の多重リングマスク。
  4. 中心位置の周りに設けられたリング形状の1または複数の遮光部を各々有する複数のマスクが積層された構成を有する、
    請求項1~3の何れか1項に記載の多重リングマスク。
  5. コヒーレントな光を出力する光源と、
    前記光源から出力される光を集光する集光光学系と、
    前記光源と前記集光光学系による集光位置との間の光路上に設けられた請求項1~4の何れか1項に記載の多重リングマスクと、
    を備える光照射装置。
  6. 対象物の表面または内部に光を集光照射する請求項5に記載の光照射装置と、
    前記光照射装置による前記対象物への光照射に応じて前記対象物で生じた光を検出する光検出装置と、
    を備える光学顕微鏡。
  7. 前記光検出装置は、前記光照射装置による集光位置に対して共役の位置に開口を有するピンホール板と、前記対象物で生じた光のうち前記開口を通過した光を受光する光検出器と、を含む、
    請求項6に記載の光学顕微鏡。
  8. 前記光照射装置は、前記対象物への光照射の強度を時間的に変調する変調部を含み、
    前記光検出装置は、前記対象物で生じた光のうち前記変調部による光照射強度変調の際の変調周波数のn倍(nは1以上の整数)の周波数の成分を求める、
    請求項6または7に記載の光学顕微鏡。
  9. 前記光照射装置は、前記対象物への光照射の強度を調整する調整部を含み、
    前記光検出装置は、前記調整部により前記対象物への光照射強度が複数の値それぞれに設定されたときに前記対象物で生じた光を検出し、これらの検出結果に基づいて、前記対象物で生じた光に含まれる非線形成分を求める、
    請求項6または7に記載の光学顕微鏡。
  10. 対象物の表面または内部にパルス光を集光照射する請求項5に記載の光照射装置と、
    前記光照射装置による前記対象物へのパルス光照射に応じて前記対象物で生じた音波を検出する音波検出装置と、
    を備える光音響顕微鏡。
  11. 前記光照射装置は、前記対象物へ照射されるパルス光のパルス幅を調整する調整部を含み、
    前記音波検出装置は、前記調整部によりパルス幅が複数の値それぞれに設定されたときに前記対象物で生じた音波を検出し、これらの検出結果に基づいて、前記対象物で生じた音波のうち多光子吸収過程により生じた音波の成分を求める、
    請求項10に記載の光音響顕微鏡。
  12. 前記光照射装置は、前記対象物へのパルス光照射の強度を時間的に変調する変調部を含み、
    前記音波検出装置は、前記対象物で生じた音波のうち前記変調部によるパルス光照射強度変調の際の変調周波数のn倍(nは1以上の整数)の周波数の成分を求める、
    請求項10に記載の光音響顕微鏡。
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