JP7501896B2 - 電気ニッケルめっき皮膜及びめっき液、並びに電気ニッケルめっき液を用いた電気ニッケルめっき皮膜の製造方法 - Google Patents

電気ニッケルめっき皮膜及びめっき液、並びに電気ニッケルめっき液を用いた電気ニッケルめっき皮膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気ニッケルめっき皮膜及びめっき液、並びに電気ニッケルめっき液を用いた電気ニッケルめっき皮膜の製造方法に関する。
従来、自動車部品や水栓金具等の分野で使用される樹脂成型品には、銅めっきまでの前処理を施した後に、装飾性、耐食性、耐摩耗性等を付与する目的で、ニッケルめっきが施され、更に仕上げめっきとして、クロムめっきが施されている。
特許文献1は、ニッケルめっきに耐食性を向上させる目的で、半光沢ニッケルめっき、光沢ニッケルめっき、及びマイクロポーラスニッケルめっきの多層ニッケルめっきを施すニッケルめっき方法を開示している。十分な耐食性を得る為、マイクロポーラスニッケルめっきによって得られるポーラス数は10,000個/cm2以上になるように調整することが一般的である。
特許文献2は、平均一次粒径が10~40nmであるシリカ粒子が連鎖状に結合してなる、平均長さが60~300nmである鎖状シリカをシリカとして含有するめっき液を用いて電気めっきを行う工程を有する電気めっき鋼板の製造方法を開示している。この技術は、亜鉛-ニッケル合金浴での電気めっき工程を有している点で、本発明の電気ニッケル皮膜の製造方法とは異なる。また、連鎖状に結合してなる鎖状シリカ粒子を使用している点でも、本発明の電気ニッケルめっき皮膜の製造方法とは異なる。
近年、耐食性向上させる目的で、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜を3μm~5μm程度に厚膜化することが望まれている。しかし、これまでの技術では、厚膜化すると、マイクロポーラスを構成する非導電性粒子の共析量も増加する為、めっき外観が悪くなるという問題点がある。
特開平3-291395号 特開平08-260199号
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、マイクロポーラスニッケルめっきを厚膜化しても、良好な耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、めっき皮膜が、特定の一次粒子の凝集体からなる二次粒子(マイクロポーラス)を含有することにより、めっきを厚膜化しても、良好な耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を得ることができることを見出した。
即ち、本発明は、以下の項に記載の電気ニッケルめっき皮膜及びめっき液、並びに電気ニッケルめっき液を用いた電気ニッケルめっき皮膜の製造方法を包含する。
項1.
電気ニッケルめっき皮膜であって、
一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、
前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、
前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体である、
電気ニッケルめっき皮膜。
項2.
前記非導電性粒子は、アルミナ、ベーマイト、ケイ酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の非導電性粒子である、前記項1に記載の電気ニッケルめっき皮膜。
項3.
前記非導電性粒子は、シリカである、前記項1又は2に記載の電気ニッケルめっき皮膜。
項4.
前記シリカは、球状シリカ、及び破砕状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカである、前記項2又は3に記載の電気ニッケルめっき皮膜。
項5.
電気ニッケルめっき液であって、
一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、
前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、
前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体である、
電気ニッケルめっき液。
項6.
更に、分散剤を含む、前記項5に記載の電気ニッケルめっき液。
項7.
前記分散剤は、アニオン系高分子化合物、及びカチオン系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の分散剤である、前記項6に記載の電気ニッケルめっき液。
項8.
前記分散剤は、カチオン系高分子化合物である、前記項6又は7に記載の電気ニッケルめっき液。
項9.
前記カチオン系高分子化合物は、ポリエチレンイミンである、前記項7又は8に記載の電気ニッケルめっき液。
項10.
電気ニッケルめっき皮膜の製造方法であって、
電気ニッケルめっき浴を用いて、被めっき物の表面に、電気ニッケルめっき皮膜を形成する工程を含み、
前記電気ニッケルめっき浴は、
一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、
前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、
前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体である、電気ニッケルめっき液を含む、
めっき皮膜の製造方法。
本発明は、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.電気ニッケルめっき液及びめっき皮膜
本発明の電気ニッケルめっき液は、一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体であることを特徴とする。
前記非導電性粒子は、好ましくは、アルミナ、ベーマイト、ケイ酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の非導電性粒子であり、
より好ましくは、シリカであり、更に好ましくは、球状シリカ、及び破砕状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカである。
本発明の電気ニッケルめっき液は、好ましくは、更に、分散剤を含む。
前記分散剤は、好ましくは、アニオン系高分子化合物、及びカチオン系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の分散剤であり、より好ましくは、カチオン系高分子化合物であり、更に好ましくは、ポリエチレンイミンである。
本発明の電気ニッケルめっき液を含む電気ニッケルめっき浴を用いて、被処理物の表面に、電気ニッケルめっき皮膜を形成することで、本発明の電気ニッケルめっき皮膜を製造することができる。
非導電性粒子
本発明の電気ニッケルめっき液は、一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体であることを特徴とする。
非導電性粒子は、その粒子構造として、平均一次粒子径が1nm~50nmの一次粒子の凝集体で構成される二次粒子である。一次粒子の平均一次粒子径は、1nm~50nmであり、好ましくは、5nm~20nm程度である。
非導電性粒子の一次粒子は凝集体を形成し、この凝集体(非導電性粒子の凝集体)が二次粒子と成る。二次粒子の平均二次粒子径は、0.1μm~5μmであり、好ましくは、0.3μm~3μm程度である。
二次粒子の平均二次粒子径は、粒度分布測定装置(MicrotracBEL製マイクロトラックMT3000II)を用いて測定して得られた累積比率50%の値である。
二次粒子の比表面積は、好ましくは、300m2/g程度以上である。二次粒子の比表面積は、好ましくは、5,000m2/g程度以下である。
二次粒子の比表面積は、BET法による測定で得られた値である。
一次粒子及び二次粒子を構成する非導電性粒子は、好ましくは、アルミナ、ベーマイト、ケイ酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の非導電性粒子であり、より好ましくは、シリカである。
シリカは、更に好ましくは、球状シリカ、及び破砕状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカである。
一次粒子(非導電性粒子)の凝集体からなる二次粒子は、好ましくは、球状シリカや破砕状シリカであり、多孔質(マイクロポーラス)シリカである。
多孔質シリカは、ゾルゲル法、沈降法等で製造されたものを、夫々単独で、又は、同一若しくは異なる製法で製造されたものを2種以上組み合わせて用いることができる。
球状シリカ(多孔質シリカ)は、二次粒子の凝集体の形状が球状であるものであり、好ましくは、例えば、沈降法にて合成されたシリカを用いることができる。
破砕状シリカ(多孔質シリカ)は、二次粒子の凝集体の形状が破砕状であるものであり、好ましくは、例えば、ゾルゲル法にて合成されたシリカを用いることができる。
ゾルゲル法では、例えば、珪酸若しくは珪酸塩(例えば、珪酸ソーダ)を、硫酸等の無機酸と反応させてシリカゾルを得、このシリカゾルを水洗した後、乾燥したものを好適に使用できる。乾燥したものを、本発明の一次粒子径や二次粒子径と成る様に、粒度調整する。
ゾルゲル法では、具体的には、ケイ酸ソーダと硫酸とを混合し、モノケイ酸を生成し、モノケイ酸を重合して、シリカゾルと呼ばれる一次粒子を形成する。更に、三次元的に凝集体を形成し、ゲル化する。この過程の中で、一次粒子の成長条件をコントロールすること、例えば、粒子径1nm~50nm程度、3nm~30nm程度等に調整することにより、内部比表面積、細孔容積、細孔径等、物性の異なるコロイド状シリカを形成することができる。本発明の一次粒子径や二次粒子径と成る様に、シリカをナノメーターサイズに微粉末化し粒度調整を行うことができる。
非導電性粒子(一次粒子の凝集体からなる二次粒子)の含有量は、電気ニッケルめっき液中に、好ましくは、0.01mg/L~1,000mg/L程度であり、より好ましくは、0.05mg/L~500mg/L程度であり、更に好ましくは、0.1mg/L~100mg/L程度である。
非導電性粒子の含有量を、電気ニッケルめっき液中に、0.01mg/L~1000mg/L程度とすることで、このめっき液を用いることで、より良好に、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を調製できる。
本発明の電気ニッケルめっき液から調製するマイクロポーラスニッケルめっき皮膜(本発明の電気ニッケルめっき皮膜)中には、多数の微細な非導電性粒子が共析、分散しており、この皮膜の上にクロムめっき皮膜を形成することで、多数の微細孔(マイクロポーラス)を有するクロムめっき皮膜を良好に調製することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いると、腐食環境に置かれた際、クロムめっき皮膜のマイクロポーラス構造により腐食電流が分散され、深さ方向の腐食の進行を遅らせることができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いると、マイクロポーラス構造のクロムめっき皮膜には多数分散している微細孔の周縁に腐食跡が生成する為、一つ一つの腐食跡は非常に小さく、外観上目立ち難いという利点を有する。
本発明において、マイクロポーラスニッケルめっきは、めっき処理品の耐食性を付与する為に重要な工程である。更に、マイクロポーラスニッケル皮膜は、多層ニッケルめっき皮膜の中で、その皮膜自体が貴である為、膜厚を厚くする程、耐食性は向上する。
本発明の電気ニッケルめっき液は、前記一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有することで、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を調製できる。
分散剤
本発明の電気ニッケルめっき液は、好ましくは、更に、分散剤を含む。分散剤は、前記非導電性粒子を、電気ニッケルめっき液中で良好に分散できるものであれば、言い換えると、非導電性粒子が良好に分散状態で存在すれば、特に限定されない。
分散剤は、好ましくは、アニオン系高分子化合物、及びカチオン系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の分散剤である。
アニオン系高分子化合物は、好ましくは、ポリカルボン酸エーテル系化合物、ポリスチレンスルホン酸等である。
カチオン系高分子化合物は、アミノ基、イミノ基及び/又は4級アンモニウム基を併有するポリアミン化合物若しくはその誘導体等のアミン系高分子化合物である。
アミン系高分子化合物は、好ましくは、ポリアルキレンアミン、及びポリアリルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリアミン化合物である。
ポリアルキレンアミンは、好ましくは、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミン、ポリブチレンアミン等であり、より好ましくは、ポリエチレンアミンである。
ポリエチレンアミンは、好ましくは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等であり、より好ましくは、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等であり、更に好ましくは、ポリエチレンイミンである。
ポリエチレンイミンは、好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、及び3級アミノ基を含む、分岐構造を有するポリエチレンイミンである。
ポリアリルアミンは、好ましくは、アリルアミン重合体等である。
アニオン系高分子化合物としては、特に限定されないが、より好ましくは、2級アミノ基、又は/及び3級アミンをもつ化合物である。
分散剤の数平均分子量は、好ましくは、100~2,000,000程度であり、より好ましくは、300~200,000程度であり、更に好ましくは、500~100,000程度であり、特に好ましくは、1,000~50,000程度である。
本発明の電気ニッケルめっき液は、分散剤を添加することで、前記非導電性粒子をより良好に分散状態で含有することができる。
電気ニッケルめっき液中の分散剤の含有量は、好ましくは、0.01mg/L~20mg/L程度であり、より好ましくは、0.1mg/L~10mg/L程度であり、更に好ましくは、1mg/L~5mg/L程度である。
電気ニッケルめっき液中の分散剤の含有量を、0.01mg/L程度以上とすることで、非導電性粒子をより良好に分散することができる。電気ニッケルめっき液中の分散剤の含有量を、20mg/L程度以下とすることで、光沢ニッケルめっき皮膜とより良好に密着性を示す。
本発明の電気ニッケルめっき液は、前記非導電性粒子を含有し、好ましくは、前記分散剤を含有することで、十分な耐食性を得る為に必要な粒子共析数を、良好に、均一に分散した状態で得ることができるマイクロポーラスニッケルめっき皮膜を調製することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液は、前記非導電性粒子を含有し、好ましくは、前記分散剤を含有することで、高電流部分における非導電性粒子の共析が抑制され、優れた均一共析性を示すマイクロポーラスニッケルめっき皮膜を調整することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いることで、その結果、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を調製できる。
ニッケルめっき液
ニッケルめっき液は、その他、好ましくは、水溶性ニッケル化合物、光沢剤、電位調整剤、pH緩衝剤等を含有する。
本明細書でニッケルめっき液は、本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)に加えて、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液を意味する。
各成分の含有量は、本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液の各ニッケルめっき液中の含有量である。
水溶性ニッケル化合物
ニッケルめっき液(本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液)は、好ましくは、更に、水溶性ニッケル化合物を含む。水溶性ニッケル化合物は、水に可溶であれば、特に限定されない。
水溶性ニッケル化合物は、好ましくは、硫酸ニッケル6水和物、塩化ニッケル6水和物、炭酸ニッケル4水和物、スルファミン酸ニッケル、炭酸ニッケル、及び酢酸ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性ニッケル化合物である。
水溶性ニッケル化合物は、1種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
水溶性ニッケル化合物は、より一層光沢ニッケルめっきの析出性に優れる点で、好ましくは、硫酸ニッケル6水和物、塩化ニッケル6水和物等であり、より好ましくは、硫酸ニッケル6水和物及び塩化ニッケル6水和物を混合して用いる。
水溶性ニッケル化合物として、硫酸ニッケル6水和物及び塩化ニッケル6水和物を混合して用いる場合、ニッケルめっき液中の硫酸ニッケル6水和物の含有量は、好ましくは、130g/L~430g/L程度であり、より好ましくは、180g/L~380g/L程度であり、更に好ましくは、230g/L~330g/L程度である。
ニッケルめっき液中の硫酸ニッケル6水和物の含有量を、430g/L程度以下とすることで、ピットの発生を良好に抑えることができる。ニッケルめっき液中の硫酸ニッケル6水和物の含有量を、130g/L程度以上とすることで、めっき皮膜の外観での曇りや焦げの発生を良好に抑えることができる。
水溶性ニッケル化合物として、硫酸ニッケル6水和物及び塩化ニッケル6水和物を混合して用いる場合、ニッケルめっき液中の塩化ニッケル6水和物の含有量は、好ましくは、20g/L~70g/L程度であり、より好ましくは、30g/L~60g/L程度であり、更に好ましくは、40g/L~50g/L程度である。ニッケルめっき液中の塩化ニッケル6水和物の含有量を前記範囲とすることで、光沢ニッケルめっき皮膜のニッケルの溶出がより一層抑制される。
ニッケルめっき液中の塩化ニッケル6水和物の含有量を、70g/L程度以下とすることで、めっき皮膜の内部応力の増大を良好に抑えることができる。ニッケルめっき液中の塩化ニッケル6水和物の含有量を、20g/L程度以上とすることで、アノード板として用いるニッケルの不動態化を良好に抑えることができ、ニッケルが不溶化せずに、めっき反応は阻害されず、めっき反応を良好に進めることができる。
光沢剤
ニッケルめっき液(本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液)は、好ましくは、更に、光沢剤を含む。
光沢剤は、好ましくは、一次系光沢剤、又は/及び二次系光沢剤である。
一次系光沢剤は、光沢ニッケルめっき液の一次系光沢剤として用いることができれば、特に限定されず、従来公知の一次系光沢剤を用いることができる。
一次系光沢剤は、好ましくは、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、サッカリン、N-メチルサッカリン、N-クロロサッカリン、N-ブロモサッカリン、N-ヨードサッカリンである。一次系光沢剤は、より好ましくは、光沢ニッケルめっき皮膜により一層優れた光沢性を付与することができる点で、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、サッカリン、N-メチルサッカリン、N-クロロサッカリンであり、更に好ましくは、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、サッカリン、N-メチルサッカリンである。
一次系光沢剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
二次系光沢剤は、光沢作用及びめっき皮膜の小さな傷を埋める働き、つまりレベリング効果を付与するものである。二次系光沢剤は、光沢ニッケルめっき液の二次系光沢剤として用いることができれば、特に限定されず、従来公知の二次系光沢剤を用いることができる。
二次系光沢剤は、好ましくは、ホルムアルデヒド、アリルスルホン酸ナトリウム等の炭素間二重結合を有する不飽和化合物;2-ブチン-1,4-ジオール、エチルシアンヒドリン、2-プロピオ-1-オール(プロパギルアルコール)、プロピンスルホン酸ナトリウム、2-ブチン-1-オール、2-ペンチン-1-オール、ブチンジオールジエトキシレート、2-ヘキシン-1-オール、ヘキシンジオール、2-へプチン-1-オール、2-オクチン-1-オール、2-ノシン-1-オール、2-デシン-1-オール、2,4-ヘキサジイン-1,6-ジオール等の炭素間三重結合を有する不飽和化合物等である。二次系光沢剤は、より好ましくは、光沢ニッケルめっき皮膜の高耐食性及び高硬度性がより一層向上する点で、2-ブチン-1,4-ジオール、2-プロピオ-1-オール、プロピンスルホン酸ナトリウム、ブチンジオールジエトキシレート、及び2-ヘキシン-1-オールである。
二次系光沢剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
ニッケルめっき液では、特に好ましくは、二次系光沢剤を用いる。
ニッケルめっき液中の光沢剤の濃度は、好ましくは、0.001g/L~100g/L程度であり、より好ましくは、0.1g/L~50g/L程度である。ニッケルめっき液中の光沢剤の濃度を上記範囲にすることにより、ニッケルめっきの下限臨界電流密度を制御してニッケルめっきの析出を抑制すると共に、光沢性に優れたニッケルめっき皮膜を得ることができる。
電位調整剤
ニッケルめっき液(本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液)は、好ましくは、更に、電位調製剤を含む。
電位調製剤は、ニッケルめっき皮膜の電位を貴な電位に調整できれば、特に限定されない。
電位調製剤は、好ましくは、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、及びクロロアセトアルデヒド等のアルデヒド化合物;プロパナール、ブタナール、ヘキサナール、3-クロロプロパナール、抱水クロラール、抱水ブロマール、3-メチルブタナール、2-プロペナール、及び2-ブテナール等のジオール化合物等である。
電位調整剤は、より好ましくは、ニッケルめっき皮膜の炭素含有量をより一層向上させ、光沢ニッケルめっき皮膜の電位をより一層貴な電位にすることができる点で、抱水クロラール、2-プロペナール、2-ブテナール等である。
電位調整剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
ニッケルめっき液中の電位調整剤の含有量は、好ましくは、0.25mg/L~1,000mg/L程度であり、より好ましくは、0.5mg/L~500mg/L程度であり、更に好ましくは、5mg/L~100mg/L程度である。
ニッケルめっき液中の電位調整剤の含有量を、0.25mg/L程度以上とすることで、めっき皮膜に十分な電位を良好に調整でき、且つ、耐食性及び硬度性が向上する。ニッケルめっき液中の電位調整剤の含有量を、1,000mg/L程度以下とすることで、ニッケルめっき皮膜の外観を良好に維持することができる。
pH緩衝剤
ニッケルめっき液(本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液)は、好ましくは、更に、pH緩衝剤を含む。
pH緩衝剤は、好ましくは、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、炭酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等である。
ニッケルめっき液中のpH緩衝剤の含有量は、好ましくは、0.1g/L~200g/L程度である。ニッケルめっき液中のpH緩衝剤の含有量を、0.1g/L程度以上とすることで、電解に伴いpHが大きく上昇せず、浴を良好に管理できる。ニッケルめっき液中のpH緩衝剤の含有量を、200g/L程度以下とすることで。ニッケルめっき皮膜の硬度性が維持できる。
ニッケルめっき液のpH
ニッケルめっき液(本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液)のpHは、通常、3.5~5程度に調整すれば良く、好ましくは、3.9~4.7程度に調整し、より好ましくは、3.9~4.5程度に調整する。
pH調整には、好ましくは、硫酸、塩酸等の無機酸、炭酸ニッケル等の金属炭酸塩、水酸化ナトリウム及びアンモニア水等を使用することができる。
ニッケルめっき液のpHを、3.5程度以上に調整することで、ニッケルめっき皮膜の光沢を良好に維持できる。ニッケルめっき液のpHを、5程度以下に調整することで、ニッケルの水酸化物の発生を良好に抑え、めっき外観は良好である。
2.電気ニッケルめっき
本発明の電気ニッケルめっき皮膜の製造方法は、電気ニッケルめっき浴を用いて、被めっき物の表面に、電気ニッケルめっき皮膜を形成する工程を含み、前記電気ニッケルめっき浴は、一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体である、電気ニッケルめっき液を含む。
本発明の電気ニッケルめっき皮膜は、一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体である。
ニッケルめっき液(本発明の電気ニッケルめっき液(マイクロポーラスニッケルめっき液)、光沢ニッケルめっき液、又は半光沢ニッケルめっき液)を用いて、被めっき物に電気ニッケルめっきを行うことができる。
電気ニッケルめっきを行うには、常法に従って、電気ニッケルめっき液を被めっき物に接触させればよい。通常は、電気ニッケルめっき液(電気ニッケルめっき浴)中に被めっき物を浸漬し、電気めっきを行うことによって、効率良くニッケルめっき皮膜を形成することができる。
本発明において、本発明の電気ニッケルめっき皮膜の製造、言い換えると、マイクロポーラスニッケルめっきは、めっき処理品の耐食性を付与する為に重要な工程である。更に、マイクロポーラスニッケル皮膜は、多層ニッケルめっき皮膜の中で、その皮膜自体が貴である為、膜厚を厚くする程、耐食性は向上する。
本発明の電気ニッケルめっき皮膜の膜厚は、好ましくは、0.5μm~10μm程度であり、より好ましくは、1μm~5μm程度である。本発明の電気ニッケルめっき皮膜は、その膜厚を3μm~5μm程度と厚くすることができる。
電気ニッケルめっきの温度
電気ニッケルめっきを行う際に、めっき温度は、好ましくは、10℃~60℃程度とし、より好ましくは、45℃~65℃程度とし、更に好ましくは、50℃~60℃程度とする。必要に応じて、めっき液の撹拌や被めっき物の揺動を行うことができる。
電気ニッケルめっきを行う際に、めっき温度を10℃程度以上にすることで、より均一なめっき皮膜が得ることができる。電気ニッケルめっきを行う際に、めっき温度を60℃程度以下にすることで、鉄、銅、真鍮等の下地金属を侵食せず、めっき皮膜の密着性及び外観を向上させることができる。
電気ニッケルめっきの電流密度
電気ニッケルめっきを行う際に、電流密度は、好ましくは、0.1A/dm2~20A/dm2程度とし、より好ましくは、0.5A/dm2~10A/dm2程度とし、更に好ましくは、1A/dm2~5A/dm2程度とする。
電気ニッケルめっきを行う際に、電流密度を0.1A/dm2程度以上にすることで、めっき速度が良く、目的とする膜厚を得るのに時間がかからず、経済的に有利である。電気ニッケルめっきを行う際に、電流密度を20A/dm2程度以下にすることで、析出効率が良く、経済的に有利である。
被めっき物
被めっき物の材質は、電気ニッケルめっきが可能であれば特に限定されない。被めっき物の材質は、好ましくは、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、真鍮等の金属やこれらの合金、下地めっきを施した樹脂(ABS樹脂等)等である。
本発明の電気ニッケルめっき液は、前記一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有することで、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を調製できる。
3.電気ニッケルめっき液の用途
本発明の電気ニッケルめっき液は、特定の一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含み、これにより、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を提供することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いることで、十分な耐食性を得る為に必要な粒子共析数を、良好に、均一に分散した状態で得ることができるマイクロポーラスニッケルめっき皮膜を提供することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いることで、高電流部分における非導電性粒子の共析が抑制され、優れた均一共析性を示すマイクロポーラスニッケルめっき皮膜を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明は下記の例に限定されるものではない。
1.ポーラス数の計測
下記工程を進め、作製した試験片のポーラス数を計測した。
試験片は、被めっき物として真鍮板(6.7cm×10cm)を用い、酸活性までの前処理を行った。次いで、ハルセル槽を用いて、前処理を施した試験片に、光沢ニッケルめっきを施した。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いた皮膜の製造
次いで、光沢ニッケルめっきを施した試験片に、マイクロポーラスニッケルめっきを行った。次いで、マイクロポーラスニッケルめっきを施した試験片に、クロムめっきを施した。
次いで、クロムめっきを施した試験片に、粒子の共析量を確認する為、無攪拌で銅めっきを行い、ポーラスを計測する為の試験片を作製した。
水酸化ナトリウム、98%硫酸、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸、無水クロム酸、硫酸銅五水和物等は、一般試薬を使用した。
(1)脱脂工程
薬液:エースクリーン850、50 g/L
(奥野製薬工業株式会社製のアルカリ性脱脂剤)
条件:2分、50℃
(2)水洗工程
(3)陰極電解脱脂工程
薬液:水酸化ナトリウム、50 g/L
条件:5 A/dm2、10秒
(4)水洗工程
(5)酸活性工程
薬液:98%硫酸、50 g/L
条件:10秒
(6)水洗工程
(7)光沢ニッケルめっき工程
薬液:硫酸ニッケル6水和物、280 g/L(水溶性ニッケル化合物)
塩化ニッケル6水和物、45 g/L(水溶性ニッケル化合物)
ホウ酸、40 g/L(pH緩衝剤)
(以下、奥野製薬工業株式会社製)
DuNC BN-1、5 mL/L(光沢ニッケルめっき剤)
DuNC BN-2C、0.5 mL/L(光沢ニッケルめっき剤)
ニッケルキャリヤー、1.5 mL/L(ニッケルめっき用添加剤)
アクナH、5 mL/L(ニッケルめっき用光沢剤)
条件:2 A、2分、pH 4.2、55℃、エアー流量:1.5 L/分
(8)水洗工程
(9)マイクロポーラスニッケルめっき工程
本発明の電気ニッケルめっき液を用いた皮膜の製造
薬液:硫酸ニッケル6水和物、280 g/L(水溶性ニッケル化合物)
塩化ニッケル6水和物、45 g/L(水溶性ニッケル化合物)
ホウ酸、40 g/L(pH緩衝剤)
2-ブチン-1,4-ジオール、5.1 mg/L(二次系光沢剤)
2-プロピオ-1-オール、4.5 mg/L(二次系光沢剤)
ブチンジオールジエトキシレート、1.7 mg/L(二次系光沢剤)
2-ヘキシン-1-オール、3.4 mg/L(二次系光沢剤)
抱水クロラール、20 mg/L(電位調整剤)
ポリエチレンイミン、2.5 mg/L(分散剤)
各種検討非導電性粒子、50 mg/L
条件:2 A、3分、pH 4.2、55℃、エアー流量:1.0 L/分
(10)水洗工程
薬液:pH 2の硫酸水溶液
(11)クロム活性工程
薬液:クロムめっき浴200倍希釈液
条件:20秒
(12)クロムめっき工程
薬液:無水クロム酸、280 g/L
98%硫酸、0.8 g/L
3価クロム、1.5 g/L
TOP DuNC CR-FF、50 mL/L(奥野製薬工業株式会社製の電気めっき光沢剤)
条件:10 A/dm2、2分、40℃
(13)回収、水洗工程
(14)陰極電解脱脂工程
薬液:水酸化ナトリウム、50 g/L
条件:10秒、5 A/dm2
(15)水洗工程
(16)硫酸銅めっき工程
薬液:硫酸銅五水和物、230 g/L
98%硫酸、40 g/L
条件:1 A/dm2、5分、25℃、無撹拌
(17)水洗、乾燥工程
(18)マイクロポーラスの評価
共析の評価方法
作製した試験片の1A/dm2及び10A/dm2に当たる位置を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製VHX-1000)を用いて、300倍で観察し、観察画像範囲内の銅の個数を単位面積(cm2)当たりの個数に換算した。この時、1A/dm2及び10A/dm2に当たる位置での各測定で、銅の個数が10,000個/cm2以上の時、十分に粒子が共析しているとみなした。
粒子の均一共析性の評価方法
粒子の均一共析性を評価する指標として、1A/dm2と10A/dm2との比((10A/dm2)/(1A/dm2))を算出した。比((10A/dm2)/(1A/dm2))が、1の値に近い程、良好な均一共析性を表す。
2.めっき外観の評価
下記工程を進め、作製した試験片のめっき外観を評価した。
試験片は、被めっき物としてABS樹脂(テクノUMG株式会社のUMG3001M)を用い、クロムめっきまで処理を行った。次いで、めっき外観を評価する為の試験片を作製した。
水酸化ナトリウム、98%硫酸、35%塩酸、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸、無水クロム酸、硫酸銅五水和物等は、一般試薬を使用した。
通常、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の膜厚は1μm~2μmである。
厚付け時の外観評価を行う時は、膜厚が5μmに成る様に処理を行った。
(1)整面工程
薬液:トッププラコンBOW、10 mL/L
(奥野製薬工業株式会社製のプラスチックめっき用処理薬品)
98%硫酸、30 mL/L
条件:3分、50℃
(2)エッチング工程
薬液:無水クロム酸、380 g/L
98%硫酸、400 g/L
3価クロム、10 g/L
CRPエッチング添加剤、0.7 mL/L
(奥野製薬工業株式会社製のプラスチックめっき用処理薬品)
条件:8分、68℃
(3)回収、水洗工程
(4)コンディショニング工程
薬液:CRPコンディショナー231、20 mL/L
(奥野製薬工業株式会社製のプラスチックめっき用処理薬品)
条件:2分、25℃
(5)水洗工程
(6)プリディップ工程
薬液:35%塩酸、100 mL/L
条件:1分、25℃
(7)触媒化工程
薬液:CRPキャタリスト85H、40 mL/L(Pdとして200 mg/L)
(奥野製薬工業株式会社製のプラスチックめっき用処理薬品)
35%塩酸、250 g/L
条件:6分、35℃
(8)水洗工程
(9)導体化工程
(以下、奥野製薬工業株式会社製)
薬液:CRPセレクターNEX-U1、70 mL/L(プラスチックめっき用処理薬品)
CRPセレクターNEX-U2、150 mL/L(プラスチックめっき用処理薬品)
条件:5分、55℃
(10)水洗工程
(11)硫酸銅めっき工程
薬液:硫酸銅五水和物、200 g/L
98%硫酸、70 g/L
35%塩酸、0.175 mL/L
(以下、奥野製薬工業株式会社製)
TOP DuNC CU-AW、0.5 mL/L(電気めっき光沢剤)
TOP DuNC CU-BW、2.0 mL/L(電気めっき光沢剤)
TOP DuNC CU-CW、1.5 mL/L(電気めっき光沢剤)
条件:3 A/dm2、25℃、(膜厚30 μm狙い)
(12)水洗工程
(13)半光沢ニッケルめっき工程
薬液:硫酸ニッケル6水和物、280 g/L(水溶性ニッケル化合物)
塩化ニッケル6水和物、45 g/L(水溶性ニッケル化合物)
ホウ酸、40 g/L(pH緩衝剤)
(以下、奥野製薬工業株式会社製)
DuNC SB-XE-M、10 mL/L(電気めっき光沢剤)
DuNC SB-XE-R、1 mL/L(電気めっき光沢剤)
DuNC SB-S、0.2 mL/L(電気めっき光沢剤)
アクナH、5 mL/L(ニッケルめっき用光沢剤)
条件:3 A/dm2、55℃、pH 4.6、(膜厚11 μm狙い)
(14)水洗工程
(15)光沢ニッケルめっき工程
薬液:硫酸ニッケル6水和物、280 g/L(水溶性ニッケル化合物)
塩化ニッケル6水和物、45 g/L(水溶性ニッケル化合物)
ホウ酸、40 g/L(pH緩衝剤)
(以下、奥野製薬工業株式会社製)
DuNC BN-1、5 mL/L(光沢ニッケルめっき剤)
DuNC BN-2C、0.5 mL/L(光沢ニッケルめっき剤)
ニッケルキャリヤー、1.5 mL/L(ニッケルめっき用添加剤)
アクナH、5 ml/L(ニッケルめっき用光沢剤)
条件:3 A/dm2、55℃、pH 4.2、(膜厚9 μm狙い)
(16)水洗工程
(17)マイクロポーラスニッケルめっき工程
本発明の電気ニッケルめっき液を用いた皮膜の製造
薬液:硫酸ニッケル6水和物、280 g/L(水溶性ニッケル化合物)
塩化ニッケル6水和物、45 g/L(水溶性ニッケル化合物)
ホウ酸、40 g/L(pH緩衝剤)
2-ブチン-1,4-ジオール、5.1 mg/L(二次系光沢剤)
2-プロピオ-1-オール、4.5 mg/L(二次系光沢剤)
ブチンジオールジエトキシレート、1.7 mg/L(二次系光沢剤)
2-ヘキシン-1-オール、3.4 mg/L(二次系光沢剤)
抱水クロラール、20 mg/L(電位調整剤)
ポリエチレンイミン、2.5 mg/L(分散剤)
各種検討非導電性粒子、50 mg/L
条件:3 A/dm2、55℃、pH 4.2
マイクロポーラスニッケルめっき皮膜
めっき外観の評価用膜厚:5 μm狙い
耐食性の評価用膜厚:1 μm狙い
(18)クロム活性工程
薬液:クロムめっき浴200倍希釈液
(19)6価クロムめっき工程
薬液:無水クロム酸、280 g/L
98%硫酸、0.8 g/L
3価クロム、1.5 g/L
TOP DuNC CR-FF、50 mL/L(奥野製薬工業株式会社製の電気めっき光沢剤)
条件:10 A/dm2、3分、40℃
めっき外観の評価方法
評価○:試験片を目視確認した際に、外観が良好である。
評価×:試験片を目視確認した際に、外観に曇りが生じている。
3.耐食性の評価
上記2.めっき外観の評価と同じ処理を進め、作製した試験片の耐食性を評価した。
試験片は、被めっき物として、ABS樹脂(テクノUMG株式会社のUMG3001M)を用い、クロムめっきまで処理を行うことで、耐食性を評価する為の試験片を作製した。
この時、マイクロポーラスニッケルめっきの皮膜は、1μmに成る様に処理を行った。
耐食性の評価方法
JIS Z 2371:2000に則り、CASS試験を80時間行い、表面腐食をレイティングナンバ(R.N.)法で評価した。
R.N.の値が8以上であると、良好な耐食性を表す。
表1(実施例)及び表2(比較例)に、実施例1~20及び比較例1~10について、
・粒子の種類、粒子の平均一次粒子径、粒子の平均二次粒子径
・1A/dm2及び10A/dm2のポーラス数
・1A/dm2と10A/dm2との比((10A/dm2)/(1A/dm2))
・めっき外観(外観)、及び
・耐食性試験(R.N.)の結果を示す。
Figure 0007501896000001
Figure 0007501896000002
4.産業上の有用性
本発明の電気ニッケルめっき液は、特定の一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含み、これにより、マイクロポーラスニッケルめっき皮膜の厚膜化が可能であり、優れた耐食性を備えると共に、良好なめっき外観を備えるめっき皮膜を提供することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いることで、十分な耐食性を得る為に必要な粒子共析数を、良好に、均一に分散した状態で得ることができるマイクロポーラスニッケルめっき皮膜を提供することができる。
本発明の電気ニッケルめっき液を用いることで、高電流部分における非導電性粒子の共析が抑制され、優れた均一共析性を示すマイクロポーラスニッケルめっき皮膜を提供することができる。

Claims (10)

  1. 電気ニッケルめっき液であって、
    一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、
    前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、
    前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体であり、
    前記非導電性粒子は、アルミナ、ベーマイト、ケイ酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の非導電性粒子である、
    電気ニッケルめっき液。
  2. 前記非導電性粒子は、シリカである、請求項1に記載の電気ニッケルめっき液
  3. 前記シリカは、球状シリカ、及び破砕状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカである、請求項2に記載の電気ニッケルめっき液
  4. 更に、分散剤を含む、請求1に記載の電気ニッケルめっき液。
  5. 前記分散剤は、アニオン系高分子化合物、及びカチオン系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の分散剤である、請求項4に記載の電気ニッケルめっき液。
  6. 前記分散剤は、カチオン系高分子化合物である、請求項4に記載の電気ニッケルめっき液。
  7. 前記カチオン系高分子化合物は、ポリエチレンイミンである、請求項6に記載の電気ニッケルめっき液。
  8. 電気ニッケルめっき皮膜の製造方法であって、
    電気ニッケルめっき浴を用いて、被めっき物の表面に、電気ニッケルめっき皮膜を形成する工程を含み、
    前記電気ニッケルめっき浴は、
    一次粒子の凝集体からなる二次粒子を含有し、
    前記一次粒子は、平均一次粒子径が1nm~50nmの非導電性粒子であり、
    前記二次粒子は、平均二次粒子径が0.1μm~5μmの凝集体であり、
    前記非導電性粒子は、アルミナ、ベーマイト、ケイ酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の非導電性粒子である、電気ニッケルめっき液を含む、
    めっき皮膜の製造方法。
  9. 前記非導電性粒子は、シリカである、請求項8に記載のめっき皮膜の製造方法
  10. 前記電気ニッケルめっき液は、更に、分散剤を含む、請求8に記載のめっき皮膜の製造方法
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