JP7501888B2 - 環状磁性体 - Google Patents

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Description

本開示は、環状磁性体に関する。
アモルファス合金によって構成される環状磁性体としては、例えば、下記特許文献1に開示されているような、非晶質磁性合金薄帯を巻回して構成される巻鉄心が知られている。
特開昭60-182120号公報
上述のようなアモルファス合金によって構成される環状磁性体は、電線に取り付けることにより、電線を伝わるノイズを吸収するノイズ対策部材として利用することができる。しかし、大きな直流及び交流(例えば0.5A以上。)が重畳される状況下で、上述のような環状磁性体が使用されると、環状磁性体が磁気飽和して、環状磁性体の透磁率が低下し、インピーダンス特性が変動する、という問題を招く。
耐飽和特性(すなわち、直流重畳特性。)を改善するには、例えば、磁性材料の組成を変更して環状磁性体を製造する、といった手法を考え得る。しかし、組成の異なる複数種の磁性材料を用意すると、その分だけ材料コストが増大する。また、磁性材料の組成の違いに起因して熱処理条件(例えば、処理温度や処理時間等。)が変わり得るため、その場合には、組成の異なる磁性材料で構成された複数種の環状磁性体に対し、同一条件で熱処理を施すことはできなくなる。よって、磁性材料の組成に応じて熱処理条件を調節して熱処理を施さざるを得ず、環状磁性体の製造に要する手間が増大する。
本開示の一局面においては、直流及び交流が重畳される状況下でも磁気飽和を抑制可能で、製造も容易な環状磁性体を提供することが望ましい。
本開示の一局面における環状磁性体は、それぞれが磁性材料によって構成される複数の磁性層を積層して構成される環状体である。複数の磁性層の積層方向は、各磁性層の厚さ方向と一致し、かつ、環状体の径方向と一致するように構成される。複数の磁性層には、少なくとも第1磁性層及び第2磁性層が含まれる。第1磁性層と第2磁性層とでは、環状体の軸方向と一致する方向の寸法が異なる寸法となるように構成されている。
このように構成された環状磁性体によれば、上述のような第1磁性層及び第2磁性層を備えているので、直流及び交流が重畳される状況下で使用される場合でも、環状磁性体の磁気飽和を抑制することができ、インピーダンス特性が変動するのを抑制することができる。
なお、上記環状磁性体は、更に以下のような構成を備えていてもよい。
複数の磁性層には、第1磁性層及び第2磁性層とは異なる第3磁性層が含まれてもよい。第1磁性層と第2磁性層と第3磁性層とでは、環状体の軸方向と一致する方向の寸法が互いに異なる寸法となるように構成されていてもよい。このような構成を採用することにより、インピーダンス特性をより一層改善することができる。
それぞれが磁性層となる複数の帯状体を、各帯状体の厚さ方向が一致するように重ねた状態で、帯状体の長手方向及び厚さ方向に直交する帯状体の幅方向に延びる軸線を中心に巻回することにより、環状体が構成されていてもよい。複数の帯状体には、少なくとも第1帯状体及び第2帯状体が含まれてもよい。第1帯状体と第2帯状体とでは、各帯状体の幅方向の寸法が異なる寸法となるように構成されていてもよい。
また、本開示の一局面における環状磁性体は、それぞれが磁性材料によって構成される複数の磁性層を積層して構成される環状体である。複数の磁性層の積層方向は、各磁性層の厚さ方向と一致し、かつ、環状体の軸方向と一致するように構成される。複数の磁性層は、それぞれが環状に形成される。また、複数の磁性層には、少なくとも第1磁性層及び第2磁性層が含まれる。第1磁性層と第2磁性層とでは、内径及び外径のうちの少なくとも一方の寸法が異なる寸法となるように構成されている。
このように構成された環状磁性体によれば、上述のような第1磁性層及び第2磁性層を備えているので、直流及び交流が重畳される状況下で使用される場合でも、環状磁性体の磁気飽和を抑制することができ、インピーダンス特性が変動するのを抑制することができる。
なお、上記環状磁性体においては、磁性材料が、アモルファス合金又はナノ結晶合金であってもよい。
図1Aは第1実施形態における環状磁性体の平面図である。図1Bは第1実施形態における環状磁性体のIB-IB線断面図である。 図2Aは実施例1、実施例2及び比較例として例示する環状磁性体を構成する帯状体の説明図である。図2Bは実施例1、実施例2及び比較例として例示する環状磁性体のインピーダンス特性を示すグラフである。 図3Aは実施例3として例示する環状磁性体を構成する帯状体の説明図である。図3Bは実施例1、実施例3及び比較例として例示する環状磁性体のインピーダンス特性を示すグラフである。 図4Aは実施例4及び実施例5として例示する環状磁性体を構成する帯状体の説明図である。図4Bは実施例4、実施例5及び比較例として例示する環状磁性体のインピーダンス特性を示すグラフである。 図5Aは実施例6及び実施例7として例示する環状磁性体を構成する帯状体の説明図である。図5Bは実施例6、実施例7及び比較例として例示する環状磁性体のインピーダンス特性を示すグラフである。 図6は実施例8、実施例9、実施例10及び実施例11として例示する環状磁性体を構成する帯状体の説明図である。 図7Aは第2実施形態における環状磁性体の平面図である。図7Bは第2実施形態における環状磁性体のVIIB-VIIB断面図である。 図8Aは第3実施形態における環状磁性体の平面図である。図8Bは第3実施形態における環状磁性体のVIIIB-VIIIB断面図である。
次に、上述の環状磁性体について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
(1)第1実施形態
[環状磁性体の構成]
第1実施形態において例示する環状磁性体は、磁性材料によって構成された複数の帯状体を備える。例えば、図1A及び図1Bに例示するように、環状磁性体1は、2つの帯状体3,5(以下、第1帯状体3及び第2帯状体5とも称する。)を備える。
第1帯状体3及び第2帯状体5は、第1帯状体3及び第2帯状体5それぞれの厚さ方向が一致するように重ねられた状態で、第1帯状体3及び第2帯状体5の幅方向に延びる仮想的な軸線Z1(図1B参照。)を中心に環状に巻回されている。これにより、第1帯状体3及び第2帯状体5によって構成される磁性層の積層方向は、各磁性層の厚さ方向と一致し、かつ、環状磁性体1の径方向と一致するように構成されている。なお、本実施形態において、各帯状体3,5の幅方向とは、各帯状体3,5の長手方向及び厚さ方向に直交する方向のことである。
第1帯状体3と第2帯状体5とでは、図1Bに表れるように、幅方向寸法が異なる。具体的には、第1帯状体3の幅方向寸法は25mmとされている。第2帯状体5の幅方向寸法は10mmとされている。すなわち、第1帯状体3によって構成される第1磁性層と、第2帯状体5によって構成される第2磁性層とでは、環状磁性体1の軸方向と一致する方向の寸法が異なっている。そのため、環状磁性体1における軸方向の範囲のうち、一部の範囲A1では第1帯状体3と第2帯状体5とが交互に積層され、別の一部の範囲A2では第1帯状体3だけが積層されている。
図1A及び図1Bは、環状磁性体1の構造を簡略化して示した概念図であり、実際の環状磁性体1とは、帯状体3,5の厚さと巻き数が相違する。実際の環状磁性体1において、第1帯状体3及び第2帯状体5は、それぞれの厚さが22μmとされている。第1帯状体3及び第2帯状体5の巻き数は100とされている。そのため、上述の範囲A1においては、環状磁性体1の内周側から外周側へ200層の磁性層が積層されている。また、上述の範囲A2においては、環状磁性体1の内周側から外周側へ100層の磁性層が積層されている。
第1実施形態において、第1帯状体3及び第2帯状体5は、双方ともFe基ナノ結晶合金によって構成されている。本実施形態において、Fe基ナノ結晶合金は、Fe基アモルファス合金(原子%で、Cu:1.4%、Nb:7.3%、Si:8.4%、B:1.4%、残部Fe及び不可避不純物。)に対し、磁場中熱処理を施して、アモルファス合金の一部をナノ結晶化させたものである。
より詳しくは、本実施形態の場合、以下に説明するような手順で環状磁性体1を構成している。まず、Fe基アモルファス合金によって構成された2つの帯状体(幅10mm,25mm)を、上述の環状磁性体1と同等な構造となるように巻回して、環状磁性体1の前駆体に相当する環状体を構成する。この前駆体を磁場中熱処理炉に入れて、磁場中熱処理を施す。
具体的には、炉内に設置された前駆体に対し、磁場を印加しながら炉内の温度をアモルファス合金の結晶化開始温度以上の温度(例えば500℃以上。ただし、析出する結晶が数百nm以上まで成長するのを抑制可能な温度(例えば、700℃以下。)。)まで昇温して、各帯状体においてナノ結晶を析出させる。磁場中熱処理が完了したら、急冷によって各帯状体が破損するのを抑制するため、炉内の温度をゆっくりと降温させる。これにより、Fe基ナノ結晶合金によって構成される環状磁性体1を得ることができる。
[性能試験(その1)]
上記環状磁性体1について、性能試験を実施した。具体的には、交流B-Hアナライザの2コイル法にて、インピーダンス特性の測定を実施した。より詳しくは、交流B-Hアナライザの励磁用1次巻線および磁束密度検出用2次巻線を、被検体となる環状磁性体に挿入し、交流B-H信号発生器から励磁信号を発生させる。このとき、2次巻線の両端に生じる誘起電圧からインピーダンス特性を測定することができる。直流重畳特性の測定においては別途直流電源に接続したケーブルを環状磁性体に挿入し、所定の電流を流した状態でのインピーダンス特性をB-Hアナライザにより測定する。
被検体としては、まず、図2Aに示す3つの被検体(実施例1、実施例2及び比較例)を使用した。図2Aには、巻回すると環状磁性体となる帯状体が示されている。実施例1は、上述の環状磁性体1を構成する第1帯状体3及び第2帯状体5であり、上述の通り、第1帯状体3の幅が25mm、第2帯状体5の幅が10mmとされている。実施例2は、第2帯状体5の代わりに、幅15mmの第3帯状体7を使用する例である。比較例は、第1帯状体3だけを単独で使用する例である。
インピーダンス特性の測定結果を図2Bに示す。図2Bから明らかなように、実施例1,2の直流重畳インピーダンス特性は、直流重畳2AT~10ATの範囲において、比較例以上の数値を示した。特に、実施例1の場合は、直流重畳5ATにおいてインピーダンスが9.3Ωとなり、比較例のインピーダンス5.2Ωに対し、約1.8倍の値を示した。実施例2の場合は、直流重畳4ATにおいてインピーダンスが12.6Ωとなり、比較例のインピーダンス7.3Ωに対し、約1.7倍の値を示した。また、実施例2の場合は、直流重畳5ATにおいてインピーダンスが9.0Ωとなり、比較例のインピーダンス5.2Ωに対し、約1.7倍の値を示した。
次に、上記実施例2に代えて、図3Aに示す被検体(実施例3)を使用した。実施例3は、実施例1と同様の第1帯状体3(幅25mm)及び第2帯状体5(幅10mm)を使用している。ただし、実施例1では、第1帯状体3及び第2帯状体5の幅方向の一端が重なるように各帯状体3,5が配置されているのに対し、実施例3では、第1帯状体3及び第2帯状体5の幅方向の中央が重なるように各帯状体3,5が配置されている。
インピーダンス特性の測定結果を図3Bに示す。図3Bから明らかなように、実施例3の直流重畳インピーダンス特性は、直流重畳3AT~7ATの範囲において、比較例以上の数値を示した。特に、実施例3の場合は、直流重畳5ATにおいてインピーダンスが8.5Ωとなり、比較例のインピーダンス5.2Ωに対し、約1.6倍の値を示した。
次に、上記実施例1,3に代えて、図4Aに示す被検体(実施例4,5)を使用した。実施例4は、実施例1と同様の第1帯状体3(幅25mm)及び第2帯状体5(幅10mm)を使用している。ただし、実施例1では、1つの第2帯状体5が使用されているのに対し、実施例4では、2つの第2帯状体5が使用されている。実施例5は、実施例1と同様の第1帯状体3(幅25mm)及び第2帯状体5(幅10mm)に加えて、実施例2と同様の第3帯状体(幅15mm)を使用している。実施例5では、3つの帯状体3,5,7の幅方向の一端が重なるように各帯状体3,5,7が配置されている。
インピーダンス特性の測定結果を図4Bに示す。図4Bから明らかなように、実施例4の直流重畳インピーダンス特性は、直流重畳3AT~7ATの範囲において、比較例以上の数値を示した。特に、実施例4の場合は、直流重畳5ATにおいてインピーダンスが8.1Ωとなり、比較例のインピーダンス5.2Ωに対し、約1.5倍の値を示した。実施例5の直流重畳インピーダンス特性は、直流重畳2AT~30ATの範囲において、比較例以上の数値を示した。特に、実施例5の場合は、直流重畳10ATにおいてインピーダンスが10.8Ωとなり、比較例のインピーダンス2.2Ωに対し、約4.8倍の値を示した。
次に、上記実施例4,5に代えて、図5Aに示す被検体(実施例6,7)を使用した。実施例6は、実施例1と同様の第1帯状体3(幅25mm)及び第2帯状体5(幅10mm)を使用している。ただし、実施例1では、第1帯状体3と第2帯状体5は、それぞれの長手方向寸法が同一になっているのに対し、実施例6では、第2帯状体5の長手方向寸法が第1帯状体3の長手方向寸法の1/2とされている。これにより、第1帯状体3及び第2帯状体5を巻回して環状磁性体を構成した際には、環状磁性体の内周側には、第1帯状体3及び第2帯状体5の双方によって磁性層が構成され、その外周側には、第1帯状体3のみによって磁性層が構成される。実施例7も、第2帯状体5の長手方向寸法が第1帯状体3の長手方向寸法の1/2とされている。ただし、実施例6とは異なり、第1帯状体3及び第2帯状体5を巻回して環状磁性体を構成した際には、環状磁性体の内周側には、第1帯状体3のみによって磁性層が構成され、その外周側には、第1帯状体3及び第2帯状体5の双方によって磁性層が構成される。
インピーダンス特性の測定結果を図5Bに示す。図5Bから明らかなように、実施例6の直流重畳インピーダンス特性は、直流重畳2AT~7ATの範囲において、比較例以上の数値を示した。特に、実施例6の場合は、直流重畳5ATにおいてインピーダンスが6.8Ωとなり、比較例のインピーダンス5.2Ωに対し、約1.3倍の値を示した。実施例7の直流重畳インピーダンス特性は、直流重畳2AT~10ATの範囲において、比較例以上の数値を示した。特に、実施例7の場合は、直流重畳7ATにおいてインピーダンスが5.8Ωとなり、比較例のインピーダンス3.3Ωに対し、約1.7倍の値を示した。
[性能試験(その2)]
上記実施例1と同様の第1帯状体3(幅25mm)に対し、幅が異なる9通りの帯状体を重ねて、それぞれで環状磁性体を構成した。9通りの帯状体の幅は、23.75mm、22.5mm、20mm、15mm、12.5mm、10mm、5mm、2.5mm、1.25mmとした。上記性能試験(その1)と同様の測定方法でインピーダンスを測定し、上述の比較例に比べ、直流重畳インピーダンス特性が1AT以上において20%以上高い場合は「A:合格」、20%未満の場合は「B:不合格」と判定した。結果を表1に示す。なお、表1中の異幅率は、第1帯状体3の幅W1と、9通りの帯状体それぞれの幅W2とを、数式:異幅率=(W1-W2)/W1に代入して算出した値である。
Figure 0007501888000001
表1から明らかなように、異幅率を10%~90%の範囲に設定すれば、直流重畳1AT以上におけるインピーダンス特性は、20%以上向上することが明らかとなった。
[重ね合わせの変形例]
実施例5では、3つの帯状体3,5,7の幅方向の一端が重なるように各帯状体3,5,7が配置されていたが、図6に示す実施例8のように、3つの帯状体3,5,7の幅方向の中央が重なるように各帯状体3,5,7が配置されていてもよい。
実施例4では、3つの帯状体3,5,5の幅方向の一端が重なるように各帯状体3,5,5が配置されていたが、図6に示す実施例9のように、3つの帯状体3,5,5の幅方向の中央が重なるように各帯状体3,5,5が配置されていてもよい。
実施例4では、3つの帯状体3,5,5の幅方向の一端が重なるように各帯状体3,5,5が配置されていたが、図6に示す実施例10のように、2つの帯状体5,5のうち、一方の帯状体5の一端が帯状体3の幅方向の一端と重なり、他方の帯状体5の一端が帯状体3の幅方向の他端と重なるように各帯状体3,5,5が配置されていてもよい。換言すれば、幅の狭い帯状体を複数使用して、それらを並列に並べて配置してもよい。
実施例1,3では、第1帯状体3の長手方向と第2帯状体5の長手方向が同方向となるように配置されていたが、図6に示す実施例11のように、第1帯状体3の長手方向に対し第2帯状体5の長手方向が傾いていてもよい。
実施例1~実施例11では特に言及しなかったが、各帯状体は以下のように構成されていてもよい。各帯状体の厚さは同一の厚さでなくてもよく、少なくとも1つの帯状体が他の帯状体とは異なる厚さになっていてもよい。各帯状体の表面は、平滑な表面であっても、粗い表面であってもよく、一方の面が平滑な面で他方の面が粗い面となっていてもよい。この場合、各帯状体は、平滑な面同士が接するように重ねてもよいし、粗い面同士が接するように重ねてもよいし、平滑な面と粗い面が接するように重ねてもよい。
[効果]
以上のように構成された環状磁性体1によれば、幅の異なる複数の帯状体(例えば、上述の帯状体3,5,7。)を組み合わせて構成されているので、直流及び交流が重畳される状況下で使用される場合でも、環状磁性体1の磁気飽和を抑制することができ、インピーダンス特性が変動するのを抑制することができる。
また、幅の異なる複数の帯状体(例えば、上述の帯状体3,5,7。)を組み合わせることにより、環状磁性体1の磁気特性を調節できるので、磁性材料の組成を調節する場合に比べ、簡便に磁気特性を調節することができる。
さらに、幅の異なる複数の帯状体(例えば、上述の帯状体3,5,7。)を同一組成の磁性材料で構成すれば、上述のように組み合わせを変えて磁気特性を調節した場合でも、それら磁気特性の異なる環状磁性体に対し、同じ熱処理条件で熱処理を実施することが可能となる。したがって、組成の異なる磁性材料で磁気特性を調節した場合とは異なり、組成の異なる磁性材料ごとに熱処理条件を設定しなくても済み、複数種の特性を持つ環状磁性体に対し一括で熱処理を実施することができる。
(2)第2実施形態
第2実施形態において例示する環状磁性体は、磁性材料によって構成された複数の環状体を備える。例えば、図7A及び図7Bに例示するように、環状磁性体11は、複数の環状13,15(以下、第1環状体13及び第2環状体15とも称する。)を備える。第1実施形態において、第1環状体13及び第2環状体15は、双方ともFe基ナノ結晶合金によって構成されている。第2実施形態において、Fe基ナノ結晶合金は、第1実施形態と同様のFe基アモルファス合金に対し、第1実施形態と同様の磁場中熱処理を施して、アモルファス合金の一部をナノ結晶化させたものである。
第1環状体13及び第2環状体15は、第1環状体13及び第2環状体15それぞれの軸方向が一致するように積層されている。これにより、第1環状体13及び第2環状体15によって構成される磁性層の積層方向は、各磁性層の厚さ方向と一致し、かつ、環状磁性体11の軸方向と一致するように構成されている。
第1環状体13と第2環状体15とでは、図7Bに表れるように、外径が異なる。具体的には、第1環状体13の外径は20mmとされている。第2環状体15の外径は15mmとされている。第1環状体13及び第2環状体15の内径は双方とも10mmとされている。そのため、環状磁性体11における径方向の範囲のうち、一部の範囲A3では第1環状体13と第2環状体15とが交互に積層され、別の一部の範囲A4では第1環状体13だけが積層されている。
図7A及び図7Bは、環状磁性体11の構造を簡略化して示した概念図であり、実際の環状磁性体11とは、環状体13,15の厚さと積層数が相違する。実際の環状磁性体11において、第1環状体13及び第2環状体15は、それぞれの厚さが22μmとされている。第1環状体13及び第2環状体15の積層数は合計で200とされている。そのため、上述の範囲A3においては、環状磁性体11の軸方向の一端から他端へ200層の磁性層が積層されている。また、上述の範囲A4においては、環状磁性体11の軸方向の一端から他端へ100層の磁性層が積層されている。
以上のように構成された環状磁性体11でも、上述のような第1環状体13及び第2環状体15を備えているので、直流及び交流が重畳される状況下で使用される場合でも、環状磁性体11の磁気飽和を抑制することができ、インピーダンス特性が変動するのを抑制することができる。
(3)第3実施形態
第3実施形態において例示する環状磁性体は、磁性材料によって構成された複数の環状体を備える。例えば、図8A及び図8Bに例示するように、環状磁性体21は、複数の環状23,25(以下、第1環状体23及び第2環状体25とも称する。)を備える。第1実施形態において、第1環状体23及び第2環状体25は、双方ともFe基ナノ結晶合金によって構成されている。第3実施形態において、Fe基ナノ結晶合金は、第1実施形態と同様のFe基アモルファス合金に対し、第1実施形態と同様の磁場中熱処理を施して、アモルファス合金の一部をナノ結晶化させたものである。
第1環状体23及び第2環状体25は、第1環状体23及び第2環状体25それぞれの軸方向が一致するように積層されている。これにより、第1環状体23及び第2環状体25によって構成される磁性層の積層方向は、各磁性層の厚さ方向と一致し、かつ、環状磁性体21の軸方向と一致するように構成されている。
第1環状体23と第2環状体25とでは、図8Bに表れるように、内径が異なる。具体的には、第1環状体23の内径は10mmとされている。第2環状体25の内径は15mmとされている。第1環状体23及び第2環状体25の外径は双方とも20mmとされている。そのため、環状磁性体21における径方向の範囲のうち、一部の範囲A5では第1環状体23と第2環状体25とが交互に積層され、別の一部の範囲A6では第1環状体23だけが積層されている。
図8A及び図8Bは、環状磁性体21の構造を簡略化して示した概念図であり、実際の環状磁性体21とは、環状体23,25の厚さと積層数が相違する。実際の環状磁性体21において、第1環状体23及び第2環状体25は、それぞれの厚さが22μmとされている。第1環状体23及び第2環状体25の積層数は合計で200とされている。そのため、上述の範囲A5においては、環状磁性体21の軸方向の一端から他端へ200層の磁性層が積層されている。また、上述の範囲A6においては、環状磁性体21の軸方向の一端から他端へ100層の磁性層が積層されている。
以上のように構成された環状磁性体21でも、上述のような第1環状体23及び第2環状体25を備えているので、直流及び交流が重畳される状況下で使用される場合でも、環状磁性体21の磁気飽和を抑制することができ、インピーダンス特性が変動するのを抑制することができる。
(4)他の実施形態
以上、環状磁性体について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものにすぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、環状磁性体の寸法や帯状体及び環状体の寸法に関し、特定の例を挙げて説明したが、各部の寸法は上述の例に限定されない。
また、上記実施形態では、磁性材料の例として、特定組成のナノ結晶合金を例示したが、磁性材料はナノ結晶合金に限定されない。例えば、第1実施形態で例示したアモルファス合金で環状磁性体を構成してもよい。具体的には、第1実施形態では、アモルファス合金に対して磁場中熱処理を施して、ナノ結晶合金で構成される環状磁性体1を作製する例を示したが、磁場中熱処理を省略することにより、アモルファス合金で構成される環状磁性体を作製してもよい。あるいは、ナノ結晶合金及びアモルファス合金以外の磁性材料を採用してもよい。
なお、上記実施形態のうち、1つの実施形態で例示した構成の少なくとも一部を、当該1つの実施形態以外の上記実施形態で例示した構成に対して付加又は置換してもよい。
1,11,21…環状磁性体、3…第1帯状体、5…第2帯状体、7…第3帯状体、13,23…第1環状体、15,25…第2環状体。

Claims (3)

  1. それぞれが磁性材料によって構成される複数の磁性層を積層して構成される環状体であり、
    前記複数の磁性層の積層方向は、各磁性層の厚さ方向と一致し、かつ、前記環状体の径方向と一致するように構成され、
    前記複数の磁性層には、少なくとも第1磁性層及び第2磁性層が含まれ、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層とでは、前記環状体の軸方向と一致する方向の寸法が異なる寸法となるように構成されており、
    それぞれが前記磁性層となる複数の帯状体を、各帯状体の厚さ方向が一致するように重ねた状態で、前記帯状体の長手方向及び厚さ方向に直交する前記帯状体の幅方向に延びる軸線を中心に巻回することにより、前記環状体が構成されており、
    前記複数の帯状体には、前記第1磁性層となる第1帯状体及び前記第2磁性層となる第2帯状体が含まれ、
    前記第1帯状体と前記第2帯状体とでは、各帯状体の幅方向の寸法が異なる寸法となるように構成され、
    前記第1帯状体の幅方向の寸法W1と前記第2帯状体の幅方向の寸法W2とを、数式:異幅率=(W1-W2)/W1に代入して算出される異幅率が、10%~90%の範囲内となるように構成されている、
    環状磁性体。
  2. 請求項1に記載の環状磁性体であって、
    前記複数の磁性層には、前記第1磁性層及び前記第2磁性層とは異なる第3磁性層が含まれ、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層と前記第3磁性層とでは、前記環状体の軸方向と一致する方向の寸法が互いに異なる寸法となるように構成されている、
    環状磁性体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の環状磁性体であって、
    前記磁性材料が、アモルファス合金又はナノ結晶合金である、
    環状磁性体。
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