JP7499660B2 - スタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤに関するものであり、詳しくは、破断物性を実用上十分なレベルに維持しつつ、氷上性能を向上させ得るスタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤに関するものである。
氷雪路面では、一般路面に比べて摩擦係数が低下し、滑りやすくなる。そこで従来、スタッドレスタイヤの氷上性能(氷上での制動性)を向上させるために数多くの手法が提案されている。例えば、ゴムに硬質異物や中空ポリマーを配合し、これによりゴム表面にミクロな凹凸を形成することによって氷の表面に発生する水膜を除去し、氷上摩擦を向上させる手法が知られている(例えば特許文献1参照)。一方で、低温柔軟性を有するゴムを使用する等の手法もある。
しかし、上記のような手法では、ゴムの破断物性と氷上性能を両立できないという問題点がある。
特開平11-35736号公報
したがって本発明の目的は、破断物性を実用上十分なレベルに維持しつつ、氷上性能を向上させ得るスタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴムに、白色充填剤および熱膨張性マイクロカプセルを配合するとともに、エチレン・1-ブテン・ENB共重合体を特定量でもって配合したゴム組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
本発明は、ジエン系ゴム100質量部に対し、
白色充填剤を30~100質量部、
熱膨張性マイクロカプセルを0.5~20質量部、および
エチレン[A]に由来する構造単位、1-ブテン[B]に由来する構造単位、および5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[C]に由来する構造単位を含み、下記(1)~(4)を満たすエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を3~50質量部配合してなることを特徴とするスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を提供するものである。
(1)エチレン[A]に由来する構造単位と、1-ブテン[B]に由来する構造単位とのモル比〔[A]/[B]〕が、60/40~80/20であり、
(2)ENB[C]に由来する構造単位の含有量が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、1.0~3.0モル%であり、
(3)125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)125℃が、10~50であり、
(4)下記式(i)で表されるB値が1.20以上である。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A]、1-ブテン[B]、およびENB[C]のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A]-1-ブテン[B]ダイアッド連鎖分率を示す。]
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤を30~100質量部、熱膨張性マイクロカプセルを0.5~20質量部、およびエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を3~50質量部配合してなることを特徴としているので、破断物性を実用上十分なレベルに維持しつつ、氷上性能を向上させ得るゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
なお、本発明で言うジエン系ゴムは、下記で説明するエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を含まないものとする。
(白色充填剤)
本発明に使用される白色充填剤としては、具体的には、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、氷上性能がより良好となる理由から、シリカが好ましい。
シリカとしては、具体的には、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカは、氷上性能向上の観点から、CTAB吸着比表面積が50~300m/gであるのが好ましく、90~200m/gであるのがさらに好ましい。
なお、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面への臭化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムの吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
(熱膨張性マイクロカプセル)
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成された殻材中に、熱膨張性物質を内包した構成からなる。熱膨張性マイクロカプセルの殻材はニトリル系重合体により形成することができる。
またマイクロカプセルの殻材中に内包する熱膨張性物質は、熱によって気化または膨張する特性をもち、例えば、イソアルカン、ノルマルアルカン等の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類が例示される。イソアルカンとしては、イソブタン、イソペンタン、2-メチルペンタン、2-メチルヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン等を挙げることができ、ノルマルアルカンとしては、n-ブタン、n-プロパン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等を挙げることができる。これらの炭化水素は、それぞれ単独で使用しても複数を組み合わせて使用してもよい。熱膨張性物質の好ましい形態としては、常温で液体の炭化水素に、常温で気体の炭化水素を溶解させたものがよい。このような炭化水素の混合物を使用することにより、未加硫タイヤの加硫成形温度域(150℃~190℃)において、低温領域から高温領域にかけて十分な膨張力を得ることができる。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えばスェーデン国エクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL 091DU-80」または「EXPANCEL 092DU-120」等、或いは松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー F-85D」または「マツモトマイクロスフェアー F-100D」等を使用することができる。
(エチレン・1-ブテン・ENB共重合体)
本発明のゴム組成物は、エチレン[A]に由来する構造単位、1-ブテン[B]に由来する構造単位、および5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[C]に由来する構造単位を含み、下記(1)~(4)を満たすエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を配合してなる。
(1)エチレン[A]に由来する構造単位と、1-ブテン[B]に由来する構造単位とのモル比〔[A]/[B]〕が、60/40~80/20である。モル比が前記範囲にあることにより、低温でのゴム弾性と常温での引張強度とのバランスに優れる。
(2)ENB[C]に由来する構造単位の含有量が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、1.0~3.0モル%である。モル比が前記範囲にあることにより、充分な柔軟性を有する。
(3)125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)125℃が、10~50である。ムーニー粘度が前記範囲にあることにより、成分(A)は、優れた加工性およびゴム物性を有する。
(4)下記式(i)で表されるB値が1.20以上である。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A]、1-ブテン[B]、およびENB[C]のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A]-1-ブテン[B]ダイアッド連鎖分率を示す。]
B値が前記範囲にあることにより、得られるゴム組成物の加工性が向上する。
なお、B値は、共重合体中における共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示す指標であり、前記式(i)中の[E]、[X]、[Y]、[EX]は、13C-NMRスペクトルを測定し、J. C.Randall [Macromolecules, 15, 353 (1982)]、J. Ray [Macromolecules, 10, 773 (1977)]らの報告に基づいて求めることができる。一方、前記(1)~(2)における、エチレン[A]に由来する構造単位、1-ブテン[B]に由来する構造単位およびエチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[C]に由来する構造単位のモル量は、1H-NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めることができる。
エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の製造方法
エチレン・1-ブテン・ENB共重合体は、メタロセン触媒を用いた従来公知の製造方法で得ることができる。メタロセン触媒および当該触媒を用いた製造方法としては、例えば、国際公開第2015/122415号、特に当該公報の段落[0249]~[0320]に記載の例を採用することができる。
具体的には、
下記式(a)で表される遷移金属化合物(a)と、
有機金属化合物(b-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)、および遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下において、エチレン[A]、1-ブテン[B]および5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[C]を共重合することによりエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を得ることができる。
Figure 0007499660000001
上記式(a)について説明する。
Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
Rは、それぞれ独立に、アリール基の水素原子の一つ以上をハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基で置換してなる置換アリール基である。前記置換アリール基が電子供与性基を複数個有する場合、それぞれの電子供与性基は同一でも異なっていてもよい。
Qは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対
で配位可能な中性配位子から同一のまたは異なる組合せで選ばれ、好ましくはハロゲン原子である。
jは、1~4の整数であり、好ましくは2である。
Rにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、ピロリル基、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
ハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基は、以下のように定義および例示される。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則で求められた置換基定数にはベンゼン環のパラ位に置換した際のσpおよびメタ位に置換した際のσmがあり、これらの値は多くの一般的な文献に見出すことができる。例えば、HanschおよびTaftによる文献[Chem. Rev., 91, 165 (1991)]には非常に広範な置換基について詳細な記載がなされている。ただし、これらの文献に記載されているσpおよびσmは、同じ置換基であっても文献によって値が僅かに異なる場合がある。本明細書ではこのような状況によって生じる混乱を回避するために、記載のある限りの置換基においてはHanschおよびTaftによる文献[Chem. Rev., 91, 165 (1991)]のTable 1(168-175頁)に記載された値をハメット則の置換基定数σpおよびσmと定義する。本明細書においてハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基とは、電子供与性基がフェニル基のパラ位(4位)に置換している場合はσpが-0.2以下の電子供与性基であり、フェニル基のメタ位(3位)に置換している場合はσmが-0.2以下の電子供与性基である。また、電子供与性基がフェニル基のオルト位(2位)に置換している場合、またはフェニル基以外のアリール基の任意の位置に置換している場合は、σpが-0.2以下の電子供与性基である。
ハメット則の置換基定数σpまたはσmが-0.2以下の電子供与性基としては、例えば、p-アミノ基(4-アミノ基)、p-ジメチルアミノ基(4-ジメチルアミノ基)、p-ジエチルアミノ基(4-ジエチルアミノ基)、m-ジエチルアミノ基(3-ジエチルアミノ基)等の窒素含有基;p-メトキシ基(4-メトキシ基)、p-エトキシ基(4-エトキシ基)等の酸素含有基;p-t-ブチル基(4-t-ブチル基)等の三級炭化水素基;p-トリメチルシロキシ基(4-トリメチルシロキシ基)等のケイ素含有基が挙げられる。
Rは、それぞれ独立に、前記電子供与性基としての窒素含有基および酸素含有基から選ばれる基を含む置換フェニル基であることが好ましい。
前記置換アリール基は、ハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基以外の、炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる他の置換基を有していてもよい。前記置換アリール基が他の置換基を複数個有する場合、それぞれの他の置換基は同一でも異なっていてもよい。
一つの置換アリール基に含まれるハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基および他の置換基の各々のハメット則の置換基定数σの総和は-0.15以下であることが好ましい。このような置換アリール基としては、例えば、m,p-ジメトキシフェニル基(3,4-ジメトキシフェニル基)、p-(ジメチルアミノ)-m-メトキシフェニル基(4-(ジメチルアミノ)-3-メトキシフェニル基)、p-(ジメチルアミノ)-m-メチルフェニル基(4-(ジメチルアミノ)-3-メチルフェニル基)、p-メトキシ-m-メチルフェニル基(4-メトキシ-3-メチルフェニル基)、p-メトキシ-m,m-ジメチルフェニル基(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル基)が挙げられる。
Qにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示され;炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基が例示され;アニオン配位子としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、カルボキシレート基、スルホネート基が例示され;孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル化合物が例示される。
遷移金属化合物(a)としては、例えば、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチルフルオレニル)]ハフニウムジクロリドが挙げられる。
有機金属化合物(b-1)(ただし、有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)を除く)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn-オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウム、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)としては、例えば、従来公知のアルミノキサンが挙げられる。
遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b-3)としては、例えば、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP-5321106号、国際公開第2015/122415号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。
オレフィン重合用触媒は、必要に応じて担体(c)を含むことができる。担体(c)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
重合方法としては、溶液(溶解)重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施可能である。重合温度は、通常は-50~+200℃、好ましくは0~200℃である。重合圧力は、通常は常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
本発明に使用されるエチレン・1-ブテン・ENB共重合体は、ポリメチレン構造を有し、これにより、良好な低温柔軟性が付与される。
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、本発明の効果向上の観点から、カーボンブラックを配合するのが好ましい。
本発明に使用されるカーボンブラックとしては、具体的には、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPE、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カーボンブラックは、氷上性能向上の観点から、窒素吸着比表面積(NSA)が10~300m/gであるのが好ましく、50~150m/gであるのがさらに好ましい。
なお窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K 6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤を30~100質量部、熱膨張性マイクロカプセルを0.5~20質量部、およびエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を3~50質量部配合してなることを特徴とする。
ジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤の前記配合量が30質量部未満では、ゴム組成物の機械的特性や耐摩耗性が悪化し、逆に100質量部を超えるとゴム組成物の低温柔軟性が低下して氷上性能が悪化する。
ジエン系ゴム100質量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルの配合量が0.5質量部未満では、添加量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができず、逆に20質量部を超えると破断物性が低下する。
ジエン系ゴム100質量部に対し、エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の配合量が3質量部未満では、添加量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができず、逆に50質量部を超えると破断物性が低下する。
前記白色充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、20~80質量部が好ましい。
前記熱膨張性マイクロカプセルの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、2~15質量部が好ましい。
前記エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、15~50質量部が好ましい。
またカーボンブラックを配合する場合、その配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5~80質量部が好ましく、10~70質量部がさらに好ましい。
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明のゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに適しており、トレッド、とくにキャップトレッドに適用し、スタッドレスタイヤとするのがよい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、下記例中、「部」とあるのは「質量部」を意味する。
(調製例1:エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の調製)
[エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の物性]
<エチレンに由来する構造単位、1-ブテンに由来する構造単位、およびENBに由来する構造単位のモル量>
前記モル量は、1H-NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。測定条件の詳細は、国際公開第2015/122415号に記載されている。
<ムーニー粘度>
ムーニー粘度(ML(1+4)100℃、125℃)は、ムーニー粘度計(島津製作所社製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定した。
<B値>
o-ジクロロベンゼン-d4/ベンゼン-d6(4/1[v/v])を測定溶媒とし、測定温度120℃にて、13C-NMRスペクトル(100MHz、日本電子製ECX400P)を測定し、下記式(i)に基づき算出した。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・・(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A]、1-ブテン[B]、およびENB[C]のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A]-1-ブテン[B]ダイアッド連鎖分率を示す。]
エチレン・1-ブテン・ENB共重合体
国際公開第2015/122415号の[合成例C1]の記載に準じて、下記の物性を有するエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を得た。その構成および物性は、以下のとおりである。
エチレンに由来する構造単位:67.7モル%
1-ブテンに由来する構造単位:30.0モル%
ENBに由来する構造単位:2.3モル%
ムーニー粘度ML(1+4)100℃:30
ムーニー粘度ML(1+4)125℃:22
B値:1.3
標準例、実施例1~2、比較例1~4
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られた未加硫のゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
破断伸び:JIS K6251に準拠して、上記加硫ゴム試験片から3号ダンベル状のサンプル片を打ち抜き、500mm/分の引張速度にて引張試験を行い、破断伸び(%)を測定した。結果は標準例の値を100として指数で示した。指数が大きいほど破断伸びに優れることを意味する。なお、指数値が80以上であれば、実用上十分であると判断される。
氷上性能:得られた加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムに貼り付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機を用いて、測定温度-3.0℃、荷重5.5kg/cm、ドラム回転速度25km/hの条件で氷上摩擦係数を測定した。得られた氷上摩擦係数を、標準例の値を100として指数で示した。指数が大きいほど氷上摩擦力が大きく氷上性能に優れることを意味する。
結果を表1に示す。
Figure 0007499660000002
*1:NR(RSS#3)
*2:BR(日本ゼオン株式会社製Nipol BR1220)
*3:カーボンブラック(東海カーボン株式会社製シーストKHA)
*4:シリカ(ローディア社製Zeosil 1165MP、CTAB比表面積=159m/g)
*5:シランカップリング剤(エボニックデグッサ社製Si69、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
*6:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*7:熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬(株)製マツモトマイクロスフェアーF-100D)
*8:発泡剤(永和化成社製商品名セルラーD)
*9:EPDM(三井化学社製商品名三井EPT4070)
*10:エチレン・1-ブテン・ENB共重合体(上記のようにして調製されたエチレン・1-ブテン・ENB共重合体)
*11:硫黄(鶴見化学工業株式会社製金華印油入微粉硫黄)
*12:加硫促進剤CZ(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ-G)
表1の結果から、各実施例のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤を30~100質量部、熱膨張性マイクロカプセルを0.5~20質量部、およびエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を3~50質量部配合してなるものであるので、標準例に比べて、破断物性が実用上十分なレベルに維持され、氷上性能が向上している。
これに対し、比較例1は、エチレン・1-ブテン・ENB共重合体および熱膨張性マイクロカプセルを使用せず、その替わりに発泡剤を使用した例であるので、破断伸びが悪化した。
比較例2および3は、熱膨張性マイクロカプセルを配合していないので、氷上性能の改善の度合いが乏しい結果となった。
比較例4は、エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の代わりにEPDMを配合した例であるので、氷上性能の改善の度合いが乏しい結果となった。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対し、
    白色充填剤を30~100質量部、
    熱膨張性マイクロカプセルを0.5~20質量部、および
    エチレン[A]に由来する構造単位、1-ブテン[B]に由来する構造単位、および5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[C]に由来する構造単位を含み、下記(1)~(4)を満たすエチレン・1-ブテン・ENB共重合体を3~50質量部配合してなることを特徴とするスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
    (1)エチレン[A]に由来する構造単位と、1-ブテン[B]に由来する構造単位とのモル比〔[A]/[B]〕が、60/40~80/20であり、
    (2)ENB[C]に由来する構造単位の含有量が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、1.0~3.0モル%であり、
    (3)125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)125℃が、10~50であり、
    (4)下記式(i)で表されるB値が1.20以上である。
    B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・(i)
    [ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A]、1-ブテン[B]、およびENB[C]のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A]-1-ブテン[B]ダイアッド連鎖分率を示す。]
  2. 前記エチレン・1-ブテン・ENB共重合体の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、15~50質量部であることを特徴とする請求項1に記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記エチレン・1-ブテン・ENB共重合体が、ポリメチレン構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記白色充填剤が、シリカであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を使用したスタッドレスタイヤ。
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