本発明の実施の形態に係る物品搬送システム及び物品搬送方法について、物品搬送システムSTにより説明する。まず、物品搬送システムSTの構成について図1~図4を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る物品搬送システムSTが適用された工場Pのレイアウトを示す図である。図2は、物品搬送システムSTが備える搬送ロボットRが物品5を載せたパレット3を搬送する状態を示した側面図である。図3は、物品搬送システムSTが備える中間バッファ1を示す斜視図である。図4は、物品搬送システムSTのブロック図である。
物品5(図2参照)は、工場Pで製造する製品と、素材及び製造途中の中間体とを含む。工場Pにおいて、物品搬送システムSTは、物品5の搬送を、物品5を載せたパレット3(図2参照)をいわゆるAMR(Autonomous Mobile Robot)と称される自律走行する搬送ロボットRで運ぶことで行う。また、物品搬送システムSTは、搬送ロボットRによる搬送と、オペレータ自身が物品5を載せたパレット3を人力で運ぶ搬送とが混在しても、物品搬送システムSTの動作が成立するようになっている。搬送ロボットRは、以下、単にAMRとも称する。
工場Pにおいて、製品は、素材から、少なくともブランクマシンと、ベンダー又は溶接機とによる加工を経て形成された複数のパーツを、組み立てて完成するものとする。
図1に示されるように、物品搬送システムSTには、パレット3を置くパレット置き場として、データサーバ91がAMRの搬送対象として管理するAMRステーションSt1~St19と、データサーバ91がAMRの搬送対象としては管理しない、非管理のパレット置き場P1~P20とが設置されている。パレット置き場P1~P20は、図1においてハッチング付きで示されている。
図1に示されるように、工場Pは、床の領域として、ブランクエリアM,汎用ベンダーエリアBA,ロボットベンダーエリアBB,溶接エリアWD,第1作業エリアWS1,及び第2作業エリアWS2が設けられている。また、ブランクエリアMの近くには、中間バッファ1のうちの第1中間バッファ1Aが設置され、第2作業エリアWS2の近くには中間バッファ1のうちの第2中間バッファ1Bが設置されている。
ブランクエリアMには、加工機として第1ブランクマシンM1及び第2ブランクマシンM2が設置されている。第1ブランクマシンM1及び第2ブランクマシンM2は、製造の最初の工程として、被加工部材の物品5に対し孔明け加工などを施す。
第1ブランクマシンM1は、本体部M1aと、パレット3の自動搬出入装置であるテイクアウトローダTKLを備えている。テイクアウトローダTKLは、搬送ロボットRが搬送してきた空のパレット3を収容する3つのTKLステーションTKL1~TKL3及び制御部T1を備える。TKLステーションTKL1~TKL3に収容された空のパレット3に対し、第1ブランクマシンM1で加工した加工済みの物品5が載置される。TKLステーションTKL1~TKL3には、それぞれパレット3が収容されているか否かを判定し判定結果を制御部T1に送出するセンサT21~T23が設けられている。以下、センサT21~T23をまとめてセンサ群T2と称する(図4参照)。
第2ブランクマシンM2は、オペレータによって運転される。第2ブランクマシンM2の近傍には、AMRの搬送対象外である非管理のパレット置き場P1~P3が設けられている。オペレータは、パレット置き場P1~P3に人力で運ばれた空のパレット3に加工済み物品を載置する。
汎用ベンダーエリアBAには、オペレータによって運転される汎用ベンダーBA1~BA4が設置されている。汎用ベンダーBA1~BA4に対応して、それぞれAMRステーションSt2~St5及び非管理のパレット置き場P4~P7が設けられている。
ロボットベンダーエリアBBには、自動運転されるロボットベンダーBB1,BB2が設置されている。ロボットベンダーBB1及びロボットベンダーBB2には、それぞれAMRステーションSt6~St9及びAMRステーションSt10~St13が連結して設置されている。
溶接エリアWDには、オペレータが操作する溶接機WD1~WD3が設置されている。溶接機WD1~WD3の近傍には、それぞれAMRステーションSt14~St16及び非管理のパレット置き場P8~P10が設けられている。オペレータは、搬送ロボットRによってAMRステーションSt14~St16に運ばれたパレット3及び作業者によってパレット置き場P8~P10に運ばれたパレット3に載置された被加工物品を溶接加工してパレット3に戻す。戻すパレット3は、別の空のパレット3であってもよい。
第1作業エリアWS1は、第1ブランクマシンM1及び第2ブランクマシンM2で加工された加工物品に対し、作業者がバリ取りなどの手作業を行うための作業スペースWS11が設けられている。この作業スペースWS11に隣接して、AMRステーションSt18,St19及び非管理のパレット置き場P11~P16が設けられている。作業者は、搬送ロボットRによってAMRステーションSt18~St19に運ばれたパレット3及び作業者によってパレット置き場P11~P16に運ばれたパレット3に載置された被作業物品に対し、バリ取りなどの作業を施し、作業済みの物品をパレット3に載置する。
第2作業エリアWS2は、各加工機での加工が終了した加工済み物品の組み立て及び検査を行うスペースである。作業スペースとして組立エリアWS22が確保されている。第2作業エリアWS2には、パレット置き場P17~P20が平置きエリアWS21に設けられている。検査で合格すると、製品として不図示の梱包場所にパレット3で運ばれ出荷される。
物品搬送システムSTは、制御部13を有する中間バッファ1を備えている。この例では、中間バッファ1として、第1中間バッファ1Aと第2中間バッファ1Bとの二つを備えている。第1中間バッファ1Aは、ブランクエリアMの近傍に設置され、第2中間バッファ1Bは、第2作業エリアWS2の近傍に設置されている。
第1中間バッファ1Aと第2中間バッファ1Bとは同じ構造を有するので、代表として第1中間バッファ1Aを、図3を参照して説明する。説明の便宜上、上下左右前後の各方向を、図3に矢印で示した方向に規定する。
第1中間バッファ1Aは、筐体11及び移動枠体12を備えている。筐体11には、制御部13としての制御部1A1が備えられている。移動枠体12には、筐体11は、床に敷設される棚体であって、左右方向に並ぶ第1棚11aと第2棚11bの2列の棚を有する。第1棚11aは、上下方向にNa段、第2棚11bは上下方向にNb段のパレット収容部11Pを有する。
パレット収容部11Pは、左右方向の幅及び前後方向の奥行きがパレット3を収容可能なサイズに形成されている。それぞれのパレット収容部11Pには、パレット3の出入りをガイドし収容されたパレット3を支持するガイドブラケット111が設けられている。パレット収容部11Pの収容高さ(内部高さ)は、第1棚11aと第2棚11bとで異なっている。例えば、第1棚11aのパレット収容部11Pの収容高さは第2棚11bよりも高く設定されて、Na段が例えば6段、Nb段が例えば8段とされている。このうち、二つは搬送ロボットRの入出庫に用いられるので、中間バッファ1は、第1棚11aは5段、第2棚11bは7段の最大12個のパレットを収容可能なパレット収容部11Pを有する。
ここでは、便宜的に、第1棚11a及び第2棚11bの最上段のパレット収容部11Pを、それぞれ1a番及び1b番として順番に昇順で番号を付与し、最下段のパレット収容部11Pをそれぞれ6a番及び8b番とする。
第1棚11a及び第2棚11bにおける最下の6a番及び8b番のパレット収容部11Pa,11Pbは、上述のように搬送ロボットRの入出庫専用の収容部となっている。パレット収容部11Pa,11Pbに対しては、搬送ロボットRのみが前方側からパレット3を出し入れできる。
パレット収容部11Pa,11Pb以外の汎用段である、1a番~5a番及び1b番~7b番のパレット収容部11Pは、作業者が、パレット3を前方側から直接出し入れできる。図1では、第1中間バッファ1A及び第2中間バッファ1Bへ接続する作業者経路を、便宜的にAMRステーションSt1に破線でつないでいるが、これは汎用段へ搬入する作業者経路を示したものである。
1a番~6a番及び1b番~8b番のパレット収容部11Pそれぞれには、パレット3が収容されているか否かを検出するセンサ112が取り付けられている。以下、この合計で14個のセンサ112を纏めてセンサ群1A2とも称する(図4参照)。
14個のセンサ112の検出信号は、それぞれ独立して制御部1A1に入力される。これにより、制御部1A1は、14個のパレット収容部11Pそれぞれについて、パレット3の収容有無を独立に把握できる。制御部1A1は、14個のパレット収容部11Pそれぞれにパレット3が収容されているか否かのパレット収容情報J1Aを、データサーバ91に向け出力する(図4参照)。
第2中間バッファ1Bは、同様の構成で、制御部13としての制御部1B1とセンサ群1B2を有する。第2中間バッファ1Bの制御部1B1は、第2中間バッファ1Bの14個のパレット収容部11Pそれぞれにパレット3が収容されているか否かのパレット収容情報J1Bを、データサーバ91に向け出力する(図4参照)。
移動枠体12は、筐体11の背後に設置され、左右方向の幅が筐体11の概ね半分の幅、高さは筐体11と同程度で、奥行はパレット3よりも大きく形成されている。移動枠体12は、第1棚11aの背後位置と、図3に示される第2棚11bの背後の位置との間を移動する(矢印DRa参照)。
移動枠体12は、パレット昇降部122,撮像装置124,駆動部123a,及び駆動部123bを有する。パレット昇降部122は、制御部13の制御の下、駆動部123a,123bの駆動により、パレット3を載せて最下段の6a番及び8b番と最上段の1a番及び1b番との間を、各段に対応した維持で停止維持可能に昇降する。
パレット昇降部122は、駆動部123a,123bによる昇降と、移動枠体12の左右方向の移動との組み合わせによって、筐体11の複数のパレット収容部11Pそれぞれの後方に位置し、その位置で停止状態を維持できるようになっている。パレット昇降部122は、任意のパレット収容部11Pの後方に停止してそのパレット収容部11Pとの間でパレット3の授受が可能となっている。すなわち、パレット収容部11Pに収容されたパレット3をパレット昇降部122の上に移動させる、及びパレット昇降部122の上に載せられたパレット3をパレット収容部11Pに移動して収容できるようになっている。この動作は、制御部1A1によって制御される。第2中間バッファ1Bにおいては制御部1B1によって制御される。
これにより、パレット昇降部122は、搬送ロボットRによって、例えば8b番のパレット収容部11Pbに収容されたパレット3を、6a番を除く他の空いているパレット収容部11Pに移し替えることができる。また、作業者によって6a番及び8b番以外の任意のパレット収容部11Pに収容されたパレット3を、搬送ロボットRに載せるために6a番及び8b番のいずれかのパレット収容部11Pに移し替えることができる。
また、パレット昇降部122は、作業者によって6a番及び8b番以外のパレット収容部11Pに収容されたパレット3を、他の空いている任意のパレット収容部11Pに移し替えることができる。
中間バッファ1は、パレット収容部11Pに対して外部から搬送ロボットR及び作業者によって新たに収容されたパレット3に物品5が載っているか否か、すなわち、パレットが空であるか否かを判定可能である。この例においては、データサーバ91が、撮像装置124(124A,124B)で撮像した画像を画像解析して判定するようになっている。以下、第1中間バッファ1Aを代表として、判定動作について説明する。
撮像装置124は、以下の説明で区別が必要な場合、符号を、撮像装置124A(第1中間バッファ1A)、撮像装置124B(第2中間バッファ1B)として区別する。
撮像装置124は、図3に示されるように、移動枠体12の最上部の枠組みの中央に配置され、下方の画像を撮像するようになっている。詳しくは、パレット昇降部122が最上の1a番又は1b番に対応した位置にあるときに、パレット昇降部122に載置されたパレット3に合焦してパレット3の全体画像を撮像する。
制御部1A1は、搬送ロボットRによって例えば8b段にパレット3が収容されたら、空のパレット収容部11Pに移送する前に、撮像装置124Aによるそのパレット3の撮像を行う。具体的には、制御部1A1は、8b番のパレット収容部11Paのセンサ112によって8b番にパレット3が収容されたことを検出したら、パレット3を移動枠体12のパレット昇降部122を8b番の位置に移動してパレット昇降部122にパレット3を移動する。
次いで、制御部1A1は、パレット3を載せたパレット昇降部122を、最上の1b番の位置まで上昇させ、撮像装置124Aによってパレット3の上面視の画像を撮像する。制御部1A1は、この画像を解析し、パレット3に物品5が載置されているか否か、すなわちパレット3が空のパレットであるか否かを判定する。制御部1A1は、判定した結果を、データサーバ91に送出する。これに併せて、制御部1A1は、撮像装置124Aが撮像した画像の画像情報J2A(図4参照)をデータサーバ91に向け出力してもよい。第2中間バッファ1Bでは、制御部1B1が、撮像装置124Bが撮像した画像の画像情報J2Bをデータサーバ91に向け出力してもよい。
パレット3を撮像した後、制御部1A1は、パレット昇降部122の昇降及び移動枠体12の左右動による棚及び番の選択によって、そのパレット3を6a番及び8b番以外の空いているパレット収容部11Pに移送して収容する。空いているパレット収容部11Pが複数ある場合は、移送先は一定の取り決めに応じて決定する。例えば、第1棚11aを第2棚11bよりも優先し、同じ棚であれば棚番号が小さい方を優先する取り決めである。
全てのパレット収容部11Pのそれぞれが空いているか否かの情報は、制御部13(1A1,1B1)とデータサーバ91とで常時共有する。
作業者によってパレット3が6a番及び8b番以外の任意のパレット収容部11Pに収容された場合、制御部1A1は、搬送ロボットRの場合と同様に、収容されたパレット3を、一旦、移動枠体12の最上の段の位置に移動して撮像装置124によってパレット3の画像を撮像する。その後、作業者が収容した当初のパレット収容部11Pに戻す動作を実行する。以下、この一連の空パレット確認作業、すなわち、制御部13の制御の下、入庫されたパレット3を移動して撮像装置124によって撮像し、撮像した画像からパレット3が空パレットであるか否かを判定する動作を、以下、パレット状態の確認動作と称する。
データサーバ91は、パレット状態の確認動作を含め、物品搬送システムSTで用いるパレット3の状態を管理する(図5参照)。例えば、データサーバ91は、搬送ロボットRに対してパレット3を載せて加工機へ搬送する旨の要求をする搬送要求部として機能する。データサーバ91によるパレット管理の詳細は後述する。
図2は、物品搬送システムSTが備える搬送ロボットRがパレット3を搬送する状態を示した側面図である。搬送ロボットRは、自身の動作を制御する制御部Raを備え、床FLの上を自律走行する。制御部Raは、図4に示されるように、データサーバ91にネットワークNを介して接続された工場内無線LAN装置92と無線通信をして、データサーバ91の指示に従って走行などの動作を実行する。例えば、搬送ロボットRは、データサーバ91によって指定された、搬送元となる第1の場所から搬送先となる第2の場所へ、パレット3を載せて移動する。
この例において、パレット3を搬送する搬送ロボットRは、第1搬送ロボットR1及び第2搬送ロボットR2の2台が運用される。制御部Raをこの2台で区別する場合は、それぞれ制御部Ra1,Ra2として符号で区別する。
図1において、搬送ロボットRが移動し得る経路が実線(AMR経路)で示されている。一方、作業者によるパレット3の運搬経路が破線(作業者経路)で示されている。
図1及び図4に示されるように、データサーバ91は、CPU(中央処理装置)911及び記憶部912を有する。データサーバ91は、図4に示されるように、ネットワークNを介してテイクアウトローダTKL,第1中間バッファ1A,第2中間バッファ1B,及び工場内無線LAN装置92と接続されている。工場内無線LAN装置92は、第1搬送ロボットR1,第2搬送ロボットR2,及びオペレータ端末93と無線接続されている。データサーバ91には、動作プログラムを生成するCAM94が接続されている。
オペレータ端末93は、作業者及びオペレータが携帯する情報端末であり、工場内無線LAN装置92を介しネットワークNによってデータサーバ91及び搬送ロボットRと接続されている。作業者及びオペレータは、オペレータ端末93によって、作業現場からデータサーバ91に対してコマンドを送る、及び図5に示されるパレット管理表の閲覧と更新、などの行為が可能となっている。
上述の物品搬送システムSTにおいて、データサーバ91は、次の動作を実行するなどしてシステムを運用する。
すなわち、データサーバ91は、複数のパレット3それぞれの状態を管理する。中間バッファ1の制御部13は、パレット3の状態である空状態か物品載置状態かに関して変化が生じたらその内容をデータサーバ91に通知する。データサーバ91は、この通知を受けてパレット3の状態管理を更新し、常に最新状態に維持する。
テイクアウトローダTKLは、データサーバ91及び搬送ロボットRに対し、コマンドを送る。例えばデータサーバ91に対しては、空のパレット3の供給を要求するコマンドを送信する。また、搬送ロボットRに対しては、加工済みの物品を載せたパレット3を次工程へ出庫するよう要求するコマンドを送信する。
前者の空のパレットの要求について、詳細は次の通りである。テイクアウトローダTKLは、第1ブランクマシンM1で加工した物品を載せるパレット3がTKLステーションTKL1~TKL3のいずれにもない場合、データサーバ91に対し、空のパレット3をTKLステーションTKL1~TKL3のいずれかに供給するよう要求するコマンドを送る。
この要求に対し、データサーバ91は、中間バッファ1に収容されている空のパレット3を、搬送ロボットRによってTKLステーションTKL1~TKL3のいずれかに供給する。中間バッファ1に空のパレット3が収容されていない場合、データサーバ91は、パレットの管理状態に基づいて、AMRステーションSt1~St19のうち、空のパレット3が置かれているステーションを検索する。そして、データサーバ91は、搬送ロボットRに対し、空のパレット3を、それが置かれているAMRステーションから中間バッファ1に搬送して一旦収容するよう指示する。
上述の運用を、製品の量産例に沿って、図5~図8Bのフロー図及び図9~図11のシーケンス図を参照して説明する。
図5は、物品搬送システムSTのデータサーバ91によるパレット3の管理を説明するためのパレット管理表である。図6は、物品搬送システムSTが備えるテイクアウトローダTKLの動作のフロー図である。図7は、テイクアウトローダTKLによる空のパレット3の供給を要求する動作のシーケンス図である。図8Aは、中間バッファ1による第1の動作の前段のフロー図であり、図8Bは、第1の動作の後段のフロー図である。図9Aは、中間バッファ1による第2の動作の前段のフロー図であり、図9Bは、第2の動作の後段のフロー図である。図10は、テイクアウトローダTKLによるパレット3の出庫を要求する動作のシーケンス図である。図11は、物品搬送システムSTにおける、オペレータによるパレット移動要求に対応する動作のシーケンス図である。
説明する物品の量産例は次の通りであり、その量産の過程でのパレット3の搬送過程は、搬送A~搬送Eの6段階で示される。
空のパレット3を中間バッファ1からテイクアウトローダTKLに運ぶ(搬送A)。素材を第1ブランクマシンM1で抜き加工する。次いで、抜き加工したパーツをパレット3に載せて第1作業エリアWS1へ運び(搬送B)、パーツのバリ取り作業を行う。次いで、バリ取りをしたパーツをパレット3に載せて溶接機WD1へ運び(搬送C)、バリ取りしたパーツに対し溶接機WD1で溶接を行う。溶接が終わったパーツをパレット3に載せて第2作業エリアWS2へ運ぶ(搬送D)。第2作業エリアWS2では、溶接が終わったパーツの検査を行い、合格品を製品としてパレット3に載せ梱包場所へ運ぶ(搬送E)。
図5に示されるパレット3の管理表において、最新の情報から把握されている項目として「パレット状態」,「パレットの場所」,「AMR管理(管理内/管理外)」,及び「備考」が、パレットNo毎に紐づけされている。パレットNoは、パレット3の個体ごとに設定されていなくてもよく、例えば、管理開始時から情報が確定した順に設定され、その後の情報による項目内容の更新で維持されるようになっていてもよい。
もちろん、パレット3それぞれの個体とパレットNoとを紐づけておいてもよい。この場合は、パレット3それぞれに、割り当てられた番号等を特定する情報を格納したタグなどを有し、中間バッファ1に備えられたセンサ群1A2,1B2が入庫するパレット3のパレットNoを検出して特定できるようにしておく。
項目「パレット状態」は、何も載置されていない空の状態(空パレット)なのか物品が載置されている状態(載置有)なのかを示している。また、上記の搬送A~搬送Eの途中にある場合に、搬送A~搬送Eで示される。例えば、図5において、パレットNo7~No9,No11がそれぞれ搬送B~搬送D,搬送Eに該当している。
項目「パレットの場所」は、パレット3の存在する位置、又は直近で存在した位置を、AMRステーション及びパレット置き場で示している。具体的には、TKLステーションTKL1~TKL3,AMRステーションSt1~St19,第1中間バッファ1A及び第2中間バッファ1Bのパレット収容部11Pの1a~5a番及び1b~7b番,並びに,平置きエリアのパレット置き場(平置き)のいずれかが示される。例えば、パレットNo8は、現時点でバリ取り済みのパーツを載せて溶接機WD1へ移動中であり、直近で第2中間バッファ1Bの1a番に収容されていた、又は溶接機WD1への移動途中で1a番に一時的に収容されていることが示されている。
項目「AMR管理」は、現状で、それぞれのパレットNoのパレットが搬送ロボットRで搬送できる状態である場合、「管理内〇」とされ、搬送ロボットRで搬送できない状態である場合「管理外※」とされる。
項目「備考」は、パレット毎の留意点などが示される。この欄は、作業者及びオペレータによってオペレータ端末93から入力される。項目「備考」の「TKL候補」は、該当するパレットが、中間バッファ1に収容され空である場合、及び、いずれかのAMRステーションに空のパレットしてある場合に記入される。この表記がある場合、テイクアウトローダTKLから空のパレット3の要求があった場合に供給し得るパレット候補であることが把握される。AMRステーションにある空のパレットが要求に応じて供給される場合、中間バッファ1に一旦搬送され、空であることが確認される。そのため、AMRステーションにある空のパレットよりも中間バッファ1にある空のパレットが供給に要する時間が短い点などから優先とされる。「備考」には、図5に示されるようにこの優先順位を含めて記入してよい。例えば、図5において、供給可能な空のパレットは、3つのパレットNo4,5,12であり、このうち、No4,5は中間バッファ1にありNo12はAMRステーションにあるので、No12は第3順位(第3候補)となる。また、中間バッファ1にあるNo4,5の空のパレットの優先順位は、既述の一定の取り決めに従い、同じ第2棚11bにあるので棚番号の小さいNo4が第1順位(第1候補)、No5が第2順位(第2候補)となる。「備考」欄への記載は、優先順位を記載することに限定されず、中間バッファ1とAMRステーションとの両方に空パレットがある場合に、中間バッファ1にあるパレットについて「優先」と表記し、AMRステーションにある空のパレットについては「非優先」、「対象外」などと表記して区別してよい。もちろん、中間バッファ1に空のパレットがなくAMRステーションにのみある場合は、AMRステーションにある空のパレットについて、「備考」欄に「優先」或いは順位表記、などと記載してよい。項目「備考」の「載置物品が不安定」「載置物品のはみ出し」は、物品5を載置した状態で特に留意すべき態様として記入されている。これらの場合は、搬送ロボットRでの自動搬送に支障が生じる可能性があるため、併せてAMR管理外とされる。
次に、テイクアウトローダTKLの動作例を、図6を参照して説明する。図6は、物品搬送システムSTが備えるテイクアウトローダTKLの動作のフロー図である。ここでは、TKLステーションTKL1~TKL3にあるパレット3には、第1ブランクマシンM1で加工した加工済み物品が、20個を満載数として載置され、載置個数が20個に達したパレット3を、搬送ロボットRによって次工程に搬送するものとする。また、以下の説明では、図5に示されるパレット管理表において、パレットNo4,No5がTKL候補ではなく、AMRステーションSt10にあるパレットNo12のみが空のパレットとして供給可能なTKL候補とされているものとする。
まず、テイクアウトローダTKLの制御部T1は、運転終了するか否かの確認をする(S1)。オペレータなどの外部から運転終了の指示があれば(YES)、動作を終了する。
制御部T1は、運転終了の指示がなければ(NO)、動作を継続する。制御部T1は、3つのTKLステーションTKL1~TKL3それぞれに置かれたパレット3に対し加工済み物品を載置する毎にカウントし、パレット3に載置された物品の数をTKLステーションTKL1~TKL3それぞれの内部パラメータPm1~Pm3として監視する。
制御部T1は、内部パラメータPm1~Pm3のうちのいずれかが20に達したか否かを判定する(S2)。
工程(S2)で達している(YES)と判定したら、制御部T1は、データサーバ91に対してパレット3の搬出(出庫)を要求し(S3)、工程(S4)へ進む。パレットの搬出要求動作の詳細については、図10のシーケンス図を参照して後述する。
工程(S2)で達していない(NO)と判定したら、制御部T1は、TKLステーションTKL1~TKL3のすべてのセンサT21~T23からON信号が発出されていない(すべての信号がOFFで入庫されているパレット3がない)か否かを判定する(S4)。
工程(S4)で是(YES)と判定したら、制御部T1は、第1ブランクマシンM1に対して加工不可通知を送出し(S5)、次いでデータサーバ91に対して空のパレット3の供給を要求して(S6)、工程(S1)へ戻る。
工程(S4)で、否(NO)と判定したら、制御部T1は、TKLステーションTKL1~TKL3のセンサT21~T23のうちいずれかの信号がONでありいずれかのセンサの信号がOFF(パレット3が入庫していない)であるか否か、を判定する(S7)。
工程(S7)で、否(NO)、すなわち、センサからの信号がOFFのTKLステーションがない、換言すると、TKLステーションTKL1~TKL3のすべてにパレット3が入庫している、と判定したら、制御部T1は、TKLステーションTKL1~TKL3の内部パラメータPm1~Pm3のいずれかが20未満か否か、を判定する(S8)。
工程(S7)で、是(YES)、すなわち、内部パラメータPm1~Pm3のいずれかが20未満であると判定したら、制御部T1は、第1ブランクマシンM1に対し加工可能の通知を送出し(S9)、工程(S1)へ戻る。
工程(S7)で否(NO)、すなわち、内部パラメータPm1~Pm3が20であると判定したら、制御部T1は、第1ブランクマシンM1に対し加工不能の通知を出し(S10)、工程(S1)へ戻る。
このように、工程(S8)の是(YES)によって、すべての内部パラメータPm1~Pm3が20に達してパレット3の載置が満了するまで、第1ブランクマシンM1での加工が継続される。
工程(S8)で、否(NO)、すなわち、内部パラメータが20に達してパレット3に加工済みの物品をこれ以上載置できない、と判定されたら、制御部T1は、第1ブランクマシンM1に対し、加工不可の通知を送出する(S10)。また、工程(S4)で是(YES)、すなわち、すべてのTKLステーションTKL1~TKL3にパレット3が入庫していない、と判定した場合も、制御部T1は、第1ブランクマシンM1に対し加工不可の通知を送出する(S5)。
上述のフローのように、テイクアウトローダTKLは、TKLステーションTKL1~TKL3のいずれかにパレット3が入庫していない場合に、空のパレット3の供給をデータサーバ91に要求する。この要求に関する動作シーケンスを、図7を参照して説明する。図7は、テイクアウトローダTKLによる空のパレット3の供給を要求する動作のシーケンス図である。図7において、記載簡素化のため、テイクアウトローダTKLを単にTKL、搬送ロボットRをAMRとも記している。
まず、テイクアウトローダTKLにおいて、図6のフロー図における工程(S4)で是(YES)、すなわち、TKLステーションTKL1~TKL3のいずれかOFF、との判定がなされたら(S701)、制御部T1は、データサーバ91に対し空のパレット3の供給を要求する〔S702:図6の工程(S5)に相当〕。
この要求を受け、データサーバ91は、その時点のパレット管理状況に基づいて空のパレット3を検索し、AMRの移動先を指定する(S703)。
この状況において、データサーバ91は、空のパレット3の検索でパレットNo12を抽出し、AMRに対し、移動先としてAMRステーションSt10を指定し、そのステーションにある空のパレットNo12の搬送を要求する(S704)。
AMRは、この要求を受け、AMRステーションSt10へ移動し(S705)、パレットNo12を取得する(載せる)(S706)。AMRステーションSt10で取得した空のパレットの搬送先は、あらかじめ中間バッファ1とする旨設定されている。これによりAMRは、パレットNo12を載せて中間バッファ1へ移動する(S707)。
既述のように、AMRは中間バッファ1のAMR専用のパレット収容部11Pa,11PbのいずれかにパレットNo12をセットする(収容する)(S708)。パレット収容部11Pa,11Pbのいずれも空いている場合は、パレット収容部11Paを優先する。
次いで、AMRは、中間バッファ1に対し収容したパレットNo12が空であるか否かのチェック動作を要求する(S709)。中間バッファ1は、撮像装置124を用いたパレット状態の確認動作を実行し(S710)、AMRに対し、チェック終了及びパレットNo12が空パレットであることを確認した旨応答する(S711)。
中間バッファ1は、このチェック結果をデータサーバ91へも送信する。データサーバ91は、搬送中のパレットNo12が空である、という情報とパレット管理表の内容と照合する。この場合の照合結果は「一致」となるので、パレット管理表は変更せずそのまま更新して維持する。
AMRは、チェックを受けたパレットNo12を再度取得して載せる(S712)。AMRは、データサーバ91に対し、パレットNo12を取得した旨を通知する(S713)。これを受け、データサーバ91は、パレット管理表におけるパレットNo12の場所を、中間バッファ1からAMRに変更して更新する(S714)。
AMRは、パレットNo12を載せてテイクアウトローダTKLへ移動する(S715)。AMRは、TKLに対しパレットNo12を入庫する旨を通知し(S716)、TKLステーションTKL1~TKL3のうちのテイクアウトローダTKLから指定された空ステーションにパレットNo12をセットする(S717)。
このセットにより、テイクアウトローダTKLが指定したTKLステーションがONとなったら(S718)、テイクアウトローダTKLは、空のパレット供給要求の完了通知をAMRに送る(S719)。また、テイクアウトローダTKLは、データサーバ91に対し、パレットNo12がTKLステーション(例えばTKL1)にある旨を送信する(S720)。これを受け、データサーバ91は、パレットNo12のパレット管理表の項目「パレットの場所」を、AMRステーションSt10からTKLステーションTKL1に変更して更新する(S721)。
図7のシーケンス図の処理S703において、空のパレットが中間バッファ1にあると検索された場合は、データサーバ91はAMRに対し次のように指示する。すなわち、テイクアウトローダTKLへ直接移動し、中間バッファ1においてTKL候補とされたパレットのチェックを経てそれが空であることが確認されたら、その空のパレットをテイクアウトローダTKLへ搬送するよう指示する。
次に、中間バッファ1の動作例として、搬送ロボットRによってパレット3が入庫された場合の動作(以下、第1の動作)を、図8A及び図8Bを参照して説明する。この動作例では、一部にデータサーバ91の動作を含んでいる。図8Aは、中間バッファ1による第1の動作の前段のフロー図であり、図8Bは、第1の動作の後段のフロー図である。
まず、中間バッファ1の制御部13は、運転終了するか否かの確認をする(S21)。オペレータなどの外部から運転終了の指示があれば(YES)、動作を終了する。
制御部13は、運転終了の指示がなければ(NO)、動作を継続する。制御部13は、パレット収容部11Pの最下段である6a番及び8b番のいずれかに、データサーバ91の指示によって搬送ロボットRによって搬送された特定のパレット(以下、対象パレット)が入庫したか否かを常時判定する(S23)。この判定は、6a番及び8b番のいずれかのセンサが、OFF状態から入庫したことを示すON状態になったか否かを監視して行う。制御部13は、工程(S23)において否(NO)と判定したら工程(S21)に戻る。
制御部13は、工程(S23)において是(YES)と判定したら、撮像装置124により撮像した画像を用い、入庫した対象パレットが空か否かを確認するパレット状態の動作を実行し(S24)、空か否かを判定する(S25)。
工程(S25)で空である(YES)と判定したら、制御部13は、データサーバ91が管理するパレット管理表を参照し、対象パレットの項目「パレット状態」に登録された情報があるか否か、を判定する(S26)。工程(S25)で空ではない(NO)と判定したら、制御部13は、データサーバ91が管理するパレット管理表を参照し、対象パレットの項目「パレット状態」に登録された情報があるか否か、を判定する(S27)。
制御部13は、工程(S26)及び工程(S27)である(YES)と判定したら、図8BのAへ移行する。否(NO)と判定したら工程(S32)へ進む。制御部13は、この判定結果をデータサーバ91に送出する。
この判定結果を受け、データサーバ91は、工程(S32)においてパレット管理表における対象パレットの項目「パレット状態」を「空パレット」に設定し、図8BのBへ移行する。
図8BのAにおいて、データサーバ91は、パレット管理表における対象パレットの項目「パレット状態」と、工程(S25)における判定結果とが一致しているか否かを判定する(S28)。
一致している(YES)と判定したら、データサーバ91は、項目「パレットの状態」を変更せず更新し、工程(S31)へ進む。一致していない(NO)と判定したら、データサーバ91は、工程(S25)の判定結果を優先して、項目「パレット状態」欄を「空パレット」に変更して更新し、工程(S31)へ進む。また、工程(S32)からのBを経由した動作についても工程(S31)へ進む。
中間バッファ1の制御部13は、6a番及び8b番を除くパレット収容部11Pのセンサ112の状態から、パレット3が収容されていないパレット収容部11Pを優先順位が高い段から検索する(S31)。制御部13は、検索で最初に抽出された、空いているパレット収容部11Pに、対象パレットを移動して収容する(S32)。
対象パレットが収容されたパレット収容部11Pのセンサ112がONとなり(S34)、中間バッファ1の制御部13は、データサーバ91に対しこの情報を伝達する。これを受け、データサーバ91は、パレット管理表の項目「パレットの場所」をARM(搬送ロボットR)から中間バッファ1の対象パレットを収容した段のパレット収容部11Pに変更し更新する(S35)。その後、Cで示されるように図8Aの工程(S21)に戻る。
次に、中間バッファ1の動作例として、作業者によってパレット3が入庫された場合の動作(以下、第2の動作)を、図9A及び図9Bを参照して説明する。この動作例では、一部にデータサーバ91の動作を含んでいる。図9Aは、中間バッファ1による第2の動作の前段のフロー図であり、図9Bは、第2の動作の後段のフロー図である。
まず、中間バッファ1の制御部13は、運転終了するか否かの確認をする(S41)。オペレータなどの外部から運転終了の指示があれば(YES)、動作を終了する。
制御部13は、運転終了の指示がなければ(NO)、動作を継続する。制御部13は、パレット収容部11Pにおける最下段である6a番及び8b番以外のいずれか段(汎用段)に、作業者によって特定のパレット(以下、対象パレット)が入庫したか否かを常時判定する(S43)。この判定は、汎用段のいずれかのセンサが、OFF状態から入庫したことを示すON状態になったか否かを監視して行う。制御部13は、工程(S43)において否(NO)と判定したら工程(S41)に戻る。
制御部13は、工程(S43)において是(YES)と判定したら、撮像装置124が撮像した画像を用い、入庫した対象パレットが空か否かを確認するパレット状態の確認動作を実行し(S44)、空か否かを判定する(S45)。
工程(S45)で空である(YES)と判定したら、制御部13は、データサーバ91が管理するパレット管理表を参照し、対象パレットの項目「パレット状態」に登録された情報があるか否か、を判定する(S46)。
工程(S45)で空ではない(NO)と判定したら、制御部13は、データサーバ91が管理するパレット管理表を参照し、対象パレットの項目「パレット状態」に登録された情報があるか否か、を判定する(S47)。
工程(S46)及び工程(S47)で、ある(YES)と判定したら、図9BのAへ移行する。否(NO)と判定したら工程(S52)へ進む。
工程(S52)において、データサーバ91は、パレット管理表における対象パレットの項目「パレット状態」欄を「空パレット」に設定し、図9BのBへ移行する。
図9BのAにおいて、データサーバ91は、パレット管理表における対象パレットの項目「パレット状態」と、工程(S45)における判定結果とが一致しているか否かを判定する(S48)。
一致している(YES)と判定したら、データサーバ91は、項目「パレット状態」を変更せず更新し、工程(S51)へ進む。一致していない(NO)と判定したら、データサーバ91は、工程(S45)の判定結果を優先して項目「パレット状態」欄を「空パレット」に変更して更新し、工程(S51)へ進む。また、工程(S52)からのBを経由した動作についても工程(S51)へ進む。
中間バッファ1の制御部13は、対象パレットを、工程(S43)で入庫したパレット収容部11Pの段に戻し、そこに収容する(S51)。
対象パレットが収容されたパレット収容部11Pのセンサ112がONとなったら(S53)、中間バッファ1の制御部13は、データサーバ91に対しこの情報を伝達する。これを受け、データサーバ91は、パレット管理表の項目「パレットの場所」を、作業者が取得した直近の場所から対象パレットを収容した段のパレット収容部11Pに変更し更新する(S54)。その後、Cで示されるように図9Aの工程(S41)に戻る。
次に、テイクアウトローダTKLによる加工済み物品を搬出するためのパレット出庫要求動作について、図10のシーケンス図を参照して説明する。図10は、テイクアウトローダTKLによるパレット出庫を要求する動作のシーケンス図である。
まず、テイクアウトローダTKLにおいて、図6のフロー図における工程(S2)で是(YES)、すなわち、内部パラメータPm1~Pm3のいずれかが満数の20に達した、との判定がなされたら(S101)、制御部T1は、AMRに対しパレット搬出を要求する(S102)。
これを受け、AMRは、テイクアウトローダTKLにおける内部パラメータが20に達したTKLステーションに移動し(S103)、テイクアウトローダTKLに対しAMRが入庫した旨通知する(S104)。
次いで、AMRは、TKLステーションの物品5を満載したパレット3を載せ(セットし)(S105)、TKLステーションから離脱する(搬出する)(S106)。AMRは、テイクアウトローダTKL及びデータサーバ91に対しパレットの搬出完了を通知し(S107)(S108)、中間バッファ1へ移動する(S109)。
データサーバ91は、この通知を受け、パレット管理表における対象パレットの項目「パレットの場所」を、TKLからAMRに変更して更新する(S110)。
AMRは、中間バッファ1に到着したら、AMR専用のパレット収容部11Pに対し載せてきたパレットをセットし(S111)、中間バッファ1にパレット入庫を要求する(S112)。
中間バッファ1は、この要求を受けてパレットの入庫を受け入れ(S113)、パレットが空か載置されている物品があるかの、パレット状態の確認動作を実行する(S114)。これは図8Aの工程(S24)に対応した動作である。
中間バッファ1は、パレットを空いているパレット収容部11Pに移動して収容し(入庫し)(S115)、AMRに対し入庫完了を通知し(S116)、データサーバ91に対しパレットの入庫完了を通知する(S117)。
データサーバ91は、この通知を受け、パレット管理表における対象パレットの項目「パレットの場所」を、AMRから中間バッファに変更して更新する(S118)。
データサーバ91及び搬送ロボットRへの動作要求は、オペレータがオペレータ端末93によって実行可能である。この要求による動作例を、図11のシーケンス図を参照して説明する。図11は、物品搬送システムSTにおける、オペレータによるパレット移動要求に対応する動作のシーケンス図である。
この動作は、例えば、第1作業エリアWS1において、バリ取りが終了した物品を載せたパレットを次工程の溶接工程に向け搬送するようAMRに要求する場合のものである。これは、図5のパレット管理表の説明における搬送Cの状態への移行要求に相当する。
オペレータは、バリ取り終了物品のパレット載置を含む作業(S201)が終了したら、オペレータ端末93を操作して、パレット管理表の項目「パレット状態」を「空パレット」から「載置有」に変更して更新し(S202)、データサーバ91に通知する(S203)。この通知を受け、データサーバ91は、パレット管理表の項目「パレット状態」を「B」から「C」に変更して更新する(S204)。
オペレータは、オペレータ端末93を操作して、データサーバ91に対し、物品を載置したパレットの移動を、パレット操作指令として送出する(S205)。この際、対象となるパレットが置かれているAMRステーションを指定する。この場合、第1作業エリアWS1のAMRステーションSt18とする。
データサーバ91は、このオペレータ端末93からのパレット操作指令を受け付けて(S206)、AMRに対し、第1作業エリアWS1のAMRステーションSt18にある、オペレータにより指定されたパレットを移動する指令を送出する(S207)。
AMRは、この指令を受け、第1作業エリアWS1のAMRステーションSt18へ移動し(S208)、対象となるパレットを載せ(セットし)(S209)、AMRステーションSt18から搬出し(S210)、搬出した旨をデータサーバ91に通知する(S211)。
この搬出通知を受け、データサーバ91は、パレット管理表の項目「パレットの場所」を「St18」から「AMR」に変更して更新する(S212)。
パレットを次工程へ移動させる際には、直接次工程へ搬送してもよいが、物品搬送システムSTでは、一旦、中間バッファ1へ収容し、パレットの状態(空か載置有か)を中間バッファ1で確認する。従って、ARMは、対象となるパレットを載せて中間バッファ1へ移動する(S213)。
AMRは、中間バッファ1に到着したら、AMR専用のパレット収容部11Pに載せてきたパレットをセットし(S214)、中間バッファ1にパレット入庫を要求する(S215)。
中間バッファ1は、この要求を受けパレットの入庫を受け入れ(S216)、パレットが空か載置されている物品があるか否かの、パレット状態の確認動作を実行する(S217)。これは図8Aの工程(S24)に対応した動作である。
中間バッファ1は、確認したパレットを空いているパレット収容部11Pに移動して収容し(入庫し)(S218)、AMRに対し入庫完了を通知し(S219)、データサーバ91に対しパレットの入庫完了を通知する(S220)。
データサーバ91は、この通知を受け、パレット管理表における対象パレットの項目「パレットの場所」を、AMRから中間バッファ1に変更して更新する(S221)。
以上詳述のように、物品搬送システムSTは、データサーバ91がシステム内で運用するパレットの状態と存在場所との最新状態を把握可能に管理する。この管理は、パレットが搬送ロボットR(AMR)によって取り扱われているか、オペレータ(作業者)によって取り扱われているかによらず、行われるので、搬送ロボットRとオペレータとを混在させたパレットの運搬が可能であり、物品搬送の柔軟な運用が可能であり、物品搬送の高効率化が図れる。これは、パレットの移動を無人搬送車(搬送ロボットR)のみに依存せず、無人搬送車と作業者との両方が担っても、物品が不具合なく搬送されることが望まれている現状において大きなメリットとなる。
物品搬送システムSTは、加工済み品を搬送するためのパレットが必ず空のパレットであることが必要な加工機(この例において第1ブランクマシンM1)に対し、パレットが空であるか否かをパレット入庫の際に確認する中間バッファ1から供給されるようになっている。そのため、その加工機に対し誤って物品が載置されたパレットが供給されることはなく、この点で物品搬送に不具合は生じない。
上述のように本発明の第1の一態様である物品搬送システムは、加工機(第1ブランクマシン)M1と、加工機M1で加工された物品5を載置するパレット3と、パレット3を搬送する搬送ロボットRと、搬送ロボットRに対し、パレット3を加工機M1へ搬送する旨の搬送要求を行うデータサーバ91と、パレット3を収容するパレット収容部11Pを有してパレット3が入出庫され、パレット3に物品5が載置されているか否かを判定し、判定結果をデータサーバ91に送出する中間バッファ1と、を備え、データサーバ91は、搬送要求で搬送ロボットRに搬送させるパレット3を、中間バッファ1に収容されているパレット3のうち、物品5が載置されていないと判定した空のパレットとするものである。
これにより、加工機に対し、加工済み物品を次工程に搬送する空のパレットを確実に供給することができ、製造を円滑化できる。特に、加工機が物品製造の最初の工程の加工機の場合、製造をより円滑化できる。
また、第1の一態様は、中間バッファ1は、パレット3を作業者が搬送して入庫可能なパレット収容部11Pを有し、搬送ロボットRが入庫したパレット3と、作業者が入庫したパレット3の両方に対して物品5が載置されているか否かの判定を行い、判定結果をデータサーバ91へ送出するものであってよい。
これにより、中間バッファ1から加工機M1に供給するパレット3を、中間バッファ1への入庫が搬送ロボットR及び人のいずれによるものであっても、確実に空のパレット3として供給できる。
また、第1の一態様は、パレット3を複数運用し、搬送ロボットRは、搬送したパレット3の搬送場所を特定するパレットの場所の情報をデータサーバ91に送出し、データサーバ91は、少なくとも、中間バッファ1から送られるパレット3が空であるか否かのパレット状態の情報及びパレット3が収容されているパレット収容部11Pを特定するパレット3の場所の情報と、搬送ロボットRから送られるパレット3の場所の情報と、に基づいて、複数のパレット3それぞれについてパレット状態及び場所を管理するものであってよい。
これにより、加工機M1から空のパレット3の供給要求があった場合に、供給すべき空のパレット3を速やかに特定し搬送ロボットRによって加工機M1に供給できる。
さらに、加工機M1を操作するオペレータ及びパレットを搬送する作業者が操作してデータサーバ91と通信するオペレータ端末93を含み、オペレータ端末93は、データサーバ91が管理するパレット状態及び場所を変更可能であるようにしてもよい。
これにより、搬送ロボットRと人とが混在して複数のパレット3を運用しても、パレット3それぞれの情報が常に最新の状態で管理され得るので、物品搬送がより円滑化する。
また、本発明の第2の一態様である物品搬送方法は、複数のパレット3と、データサーバ91と、データサーバ91と通信する中間バッファ1及び搬送ロボットRとを用い、中間バッファ1は、パレット3を収容可能な複数のパレット収容部11Pを備えると共に、空のパレット3を収容したパレット収容部11Pを特定する情報をデータサーバ91に送出し、搬送ロボットRは、パレット3をデータサーバ91から指定された第1の場所から第2の場所に搬送し、データサーバ91は、加工機M1で加工した物品5を載せて搬送するための空のパレット3を加工機M1に供給する際に、情報で特定されるパレット収容部11Pの空のパレット3を搬送して加工機M1に供給するものである。
これにより、加工機に対して空パレットを確実に供給することで加工済み物品を次工程に確実に搬送でき、製造を円滑化できる。特に、加工機が物品製造の最初の工程の加工機の場合、製造をより円滑化できる。
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
物品搬送システムSTは、パレット3を搬送ロボットR及び作業者の両方が同時に運用可能できるものであるが、必ずしも常に同時運用されている必要はなく、搬送ロボットRのみで搬送される期間があってもよい。
入庫されたパレット3が空であるか否かの判定を中間バッファ1の制御部13が行う例を説明したが、これに限定されず、制御部13が画像情報J2A(J2B)をデータサーバ91に送出し、この画像情報J2A(J2B)に基づいてデータサーバ91が判定を行ってもよい。判定結果は、データサーバ91から中間バッファ1に送出される。
データサーバ91によるパレット管理表の更新は、変更がない場合も確認時刻を履歴として残す観点で実行することが望ましい。例えば、工程(S29),(S49)などが該当する。
実施例及び変形例として、搬送ロボットRに対する搬送要求を、ネットワークNに接続されたデータサーバ91が搬送要求部として行う例を説明したが、搬送要求部は、データサーバ91のみに限定されない。物品搬送システムSTは、搬送要求を、ネットワークNに接続され制御機能を有するもの、例えば、Webサーバ,共有サーバ,共有PC,又は共有端末、で実行するものであってもよい。また、この物品搬送システムST全体又は一部を、工場内で構築されたいわゆるオンプレミスコンピューティングではなく、クラウドコンピューティングとして構築してもよい。