JP7498955B2 - 作物モニタリング装置及び作物モニタリング方法 - Google Patents
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Description
ところで、特許文献1では、送風によって収穫対象果実を隠す他物(障害物)を移動させ、対象果実の位置を検出する装置が提案されている。
特許文献2では、カメラ付きのドローンなどの無人飛行体により植物体上方のある一定角度から植物の株元部分の状況を撮影し生育状況をモニタリングする技術である。どちらの技術も、加えられる風圧により植物に損傷が出る可能性がある。植物体の損傷は、物質生産を行うことが可能な葉の面積を減少させ、結果として収量の低下に繋がるため、植物体生育の過程をモニタリングする計測技術としては適切でない。
請求項2記載の本発明の作物モニタリング装置1は、植物体Aを撮影する撮像手段2と、前記植物体Aに風圧を加える気流発生手段3と、前記植物体Aに当てる前記風圧を決定する風圧決定手段11とを有し、前記撮像手段2によって撮影された前記植物体Aの生育予測画像を収集する作物モニタリング装置1であって、前記風圧決定手段11では、前記植物体Aの生体情報を基に前記植物体Aに当てる前記風圧を決定し、前記風圧決定手段11で決定された前記風圧を、前記気流発生手段3によって前記植物体Aに上方から加えた状態で、前記風圧を加えている前記植物体Aを前記撮像手段2によって上方から撮影し、前記気流発生手段3と前記撮像手段2との下方で、前記植物体Aが移動可能な植物体移動手段9に支持されていることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の作物モニタリング装置1において、前記風圧の上限を、前記風圧により前記植物体Aの葉柄31が損傷する風圧未満としたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の作物モニタリング装置1において、前記風圧の下限を、前記風圧により前記植物体Aの葉32が動き出す風圧としたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の作物モニタリング装置1において、前記風圧の下限を、前記風圧により前記植物体Aの中心部が撮影できる風圧としたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作物モニタリング装置1において、前記撮像手段2及び前記気流発生手段3と、前記植物体Aとが相対的に移動することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作物モニタリング装置1において、前記撮像手段2と前記気流発生手段3とを、前記気流発生手段3が生じさせる気流によって前記植物体Aの上方で停止又は移動可能としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の作物モニタリング装置1において、前記植物体Aは株元から多数の葉柄31が立葉状に生育する植物体Aであることを特徴とする。
請求項9記載の本発明の作物モニタリング方法は、前記植物体Aの生体情報を基に前記植物体が損傷しないように当てる風圧を決定する工程と、決定された前記風圧を前記植物体に上方から加えた状態で、前記風圧を加えている前記植物体Aを上方から撮影する工程と、前記工程により撮影して得られた植物体Aの生育予測画像を収集する工程とを有し、前記風圧を前記植物体Aに加える気流発生手段3と、前記植物体Aを上方から撮影する撮像手段2とを、走行体7に支持された状態で前記植物体Aの列に沿って移動させることを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項9記載の作物モニタリング方法において、前記生体情報として、草高、葉面積、葉柄長、葉柄径及び葉柄角度の少なくとも1つを用いることを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項9又は請求項10に記載の作物モニタリング方法において、前記植物体Aの前記生育予測画像が、新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫及び病徴の少なくとも1つを撮影したものであることを特徴とする。
本実施の形態によれば、植物体に損傷を与えずに生育予測画像を取得することができる。また、気流発生手段と撮像手段とが走行体に支持されて移動することで安定した撮影を行える。
本実施の形態によれば、植物体に損傷を与えずに生育予測画像を取得することができる。また、気流発生手段と撮像手段とを固定し、その下方を植物体が移動することでも安定した撮影を行える。また、既存の植物体Aや植物体A群を移動させる装置に後付けで撮像手段と気流発生手段を設置することができる。
葉柄が損傷するとは、植物体の葉柄の株元付け根部分が裂ける、剥がれる又は折れることにより風圧を加えるのを止めた場合でも元の状態に復元しないことを言い、本実施の形態によれば、風圧の上限をあらかじめ決定することで、植物体に損傷を与えることなく、新葉、花芽、わき芽、ランナー(走出枝)、果実、つぼみ、花、害虫、病徴の少なくともいずれか又は全部の生育予測画像を得ることができる。
葉柄の損傷には、折れと生え際(株元)の裂けや剥離があり、葉柄径(断面積)が小さいほど損傷を生じる荷重は小さい。損傷が生じる荷重と葉柄径の関係はあらかじめ調査しておく、又は、調査された関係式を使って計算する。植物体Aに上方から加わる風圧は、葉に荷重を加える。荷重は、葉面積、例えば投影葉面積が大きくなるにしたがって大きくなる。風圧と荷重の関係は、一般的な風速と物体に加わる荷重の関係式から計算で求めてもよいが、葉の形状や作目に応じてあらかじめ実験的に求めることが好ましい。
本実施の形態によれば、葉を動かすことで、葉に隠れた新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫、病徴の存在を確認でき生育予測画像として取得できる。なお、植物体の葉が動き出す風圧は、例えば目視にて決定することもできる。
本実施の形態によれば、植物体の新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫、病徴を露出させることができる。中心部から発生する新葉及び花芽の生育予測画像を取得することにより、正確な草勢、収穫時期が予測できることから環境制御や栽培管理方法の判断、収穫時期や収量の予測等に有効となる。特に植物体の中心部を撮影することが、新葉、花芽の観察には適している。
本実施の形態によれば、移動しながら多数の株を連続的にモニタリングすることによって省力的(時間的な)に生育予測画像を収集することができる。そして、本実施の形態によれば、撮像手段及び気流発生手段、又は植物体Aのどちらかが移動すれば良いので設計上の自由度が生まれる。既存の植物体Aや植物体A群を移動させる装置に撮像手段2と気流発生手段3を設置することができる。
本実施の形態によれば、気流発生手段で発生させる気流を撮像手段と気流発生手段との移動に用いることができる。
本実施の形態によれば、生育予測画像を取得しやすい。なお、株元から多数の葉柄が立葉状に生育する植物体としては、イチゴ、又はコマツナ、ホウレンソウ、若しくはチンゲンサイ等の葉菜類があり、イチゴが最も適している。
本実施の形態によれば、気流発生手段と撮像手段とが走行体に支持されて移動することで安定した撮影を行える。また、事前にモニタリング対象の植物体の少なくとも1つ、又は2つ以上の生体情報を基に植物体に損傷が生じる風圧を決めるため、植物体に損傷を与えずに生育予測画像を取得することができる。
本実施の形態によれば、事前にモニタリング対象の植物体の草高、葉面積、葉柄長、葉柄径、葉柄角度の少なくとも1つを生体情報として用いて植物体に損傷が生じる風圧を決めるため、植物体に損傷を与えずに生育予測画像を取得することができる。
風圧を決定するための生体情報には、草高、葉面積、葉柄長、葉柄径、及び、葉柄角度があり、全ての生体情報を用いて風圧の上限を決定することで正確性が高まり、より植物体を損傷させるリスクが低くなるが、作目によっては、これらの生体情報の間に相関関係が認められることが多く、草高、葉面積、葉柄長、葉柄径、葉柄角度の少なくとも1つの生体情報から他の生体情報を推測してもよい。このことにより、植物体に加える風圧の上限を決定するための生体情報の計測を省力化することができる。
このように計算された、植物体に加わる風圧と葉柄の株元が受ける荷重の関係において、あらかじめ実験で調べられた損傷を生じる荷重が葉柄の株元付け根部分に加わるときの風圧未満を、植物体に加えることができる風圧の上限とする。
決定された風圧は、決定された風圧の上下限の範囲内にて一定でもよいし、変動させてもよい。より小さな風圧で生育予測画像を取得することが、植物体を損傷しないために重要であり、上下限の範囲内において、個々の植物体に対して目的とする生育予測画像が撮影可能な状態に露出するまで徐々に風圧を上昇させることで植物体を損傷させるリスクを低くすることができる。他方植物体群から連続的に生育予測画像を取得する場合、決定された風圧は一定とすることが好ましい。
本実施の形態によれば、葉に隠れた新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫、病徴等を生育予測画像として取得することで生育を正確に予測することができる。
図1は本実施例による作物モニタリング装置の概略構成図であり、図1(a)は同作物モニタリング装置の概略側面構成図、図1(b)は同作物モニタリング装置の概略上面構成図である。
RGBカメラではRGB画像を取得でき、RGB-DepthカメラではRGB画像とDepth画像を取得できる。Depth画像により撮影対象物までの距離情報を取得することができる。また、距離情報を計測可能な光学センサを用いることができる。その他取得したい生育予測情報を画像処理等によって識別しやすくするために、特定波長の感度が高いカメラを用いることができる。
気流発生手段3は、プロペラ及びこのプロペラを駆動するモータとからなる。気流発生手段3には、ドローンや無人ヘリコプターのような無人飛行体で下方向に気流を発生可能な物を用いることができる。
照明手段4は、夜間モニタリング時に必要であり、LEDを用いることができる。その他取得したい生育予測画像を画像処理等によって識別しやすくするために、特定波長のLEDを使用できる。より詳細な、あるいは、鮮明な生育予測画像を取得するため照明の波長や点滅周波数を変化させても良い。
台車5は、本実施例では、ガイド(レール)8上を走行する車輪5bと、車輪5bを移動させるモータ5cと、モータ5cの電源となるバッテリー5dとから構成している。台車5は、基台6によって撮像手段2、気流発生手段3、及び照明手段4を保持しており、台車5の移動によって撮像手段2、気流発生手段3、及び照明手段4を移動する。撮像手段2、気流発生手段3、及び照明手段4が走行体7によって支持されて移動することで安定した撮影を行える。
なお、このような走行体7を設けることなく、撮像手段2、気流発生手段3、及び照明手段4を気流発生手段3が生じさせる気流によって植物体Aの上方を移動可能にすることもできる。このように、気流発生手段3で発生させる風圧を気流発生手段3の移動に用いることができる。気流発生手段3で発生させる風圧によって気流発生手段3が移動できるものとして、無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機がある。このような無人航空機の飛行に用いるプロペラを気流発生手段3として用いることができる。
気流発生手段3及び撮像手段2は、植物体Aの最大高さよりも高く、撮像手段2の画角が少なくとも1株の植物体Aの一部、好ましくは全体を撮像可能な高さであり、植物体Aに加わる風圧が決定された風圧の上下限内となるように気流発生手段3が発する風量を調節可能な高さである必要がある。気流発生手段3が発する風量は、気流発生手段3が発する気流が垂直方向及び水平方向に及ぼす風圧の分布を調べておき、植物体Aに達する時の風圧から逆算して計算することができる。又は、単純な構成の気流発生手段3であれば、気流発生源からの距離に応じて風圧が減衰することを示す一般的な関係式から逆算してもよい。
気流発生手段3と植物体Aの間には、発する気流の障害となる物体が無いこと望ましい。これにより、植物体Aに加わる風圧を均一にでき、気流発生手段3が発する気流の風量を計算によって求めることが容易となる。撮像手段2と植物体Aの間には、植物体A以外の物体が無いことが望ましく、これにより、生体情報や生育予測画像を広範囲かつ鮮明に取得できる。
気流発生手段3を移動の動力として用いる場合、気流が進行方向より後ろ側下方向に強く分布するため、撮像手段2は気流発生手段3の後ろ側に設置する構成が望ましい。例えば撮影する植物体Aの直上でもよい。これにより、風圧によって露出される植物体Aの死角部分を移動しながら長区間で撮像でき、生育予測画像を取得できる可能性が高まる。
風圧決定手段11では、植物体Aの生体情報を基に植物体Aに当てる風圧を決定する。決定される風圧は、植物体Aに当たる風圧であり、植物体A直上における風圧である。
気流制御手段13は、決定された風圧が植物体Aに加わるように気流発生手段3の発する風量(プロペラ回転数)、あるいは、植物体Aと気流発生手段3の距離(基台6の高さ)、あるいは、気流発生手段3の発する風量と気流発生手段3と植物体Aの距離を複合的に制御する。植物体Aの生体情報は、植物体Aの草高、葉面積、葉柄径、葉柄長及び葉柄角度の少なくともいずれかを含むものである。このように、草高、葉面積、葉柄径、葉柄長及び葉柄角度の少なくともいずれかの生体情報と、気流発生手段3から撮像手段2で撮影する植物体Aまでの距離情報とプロペラ回転数(風量)によって少なくとも植物体Aが損傷してしまう風圧を決定(測定、算出)し、この風圧未満の風圧を決定することができ、決定された風圧を植物体Aに加えることで、植物体Aに損傷を与えることなく、新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、害虫、病徴及び花の少なくともいずれかの生育予測画像を得ることができる。気流発生手段3から撮像手段2で撮影する植物体Aまでの距離情報は、本実施例では基台6の高さ情報を用いることができるが、撮像手段2としてRGB-Depthカメラを用いる場合には、Depth画像により得られる距離情報を用いることができ、その他として、距離センサを用いることができる。また、気流を加えずに多点で撮影したRGB画像から距離情報を推定することができる。
このように、本実施例による作物モニタリング装置1によれば、植物体Aの生体情報を基に決定した風圧を気流発生手段3によって植物体Aに加えるため、植物体Aに損傷を与えずに生育予測画像を取得することができる。
なお、図1に示す実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図示のように、植物体Aを撮影する撮像手段2と、植物体Aに風圧を加える気流発生手段3と、撮像手段2及び気流発生手段3を移動させる走行体7と、撮像手段2、気流発生手段3、及び走行体7を制御する制御手段10と、植物体Aの列に沿って上部に設置されたガイド8とを有し、撮像手段2によって撮影された植物体Aの生育予測画像を収集する。撮像手段2及び気流発生手段3は、植物体Aの列に沿ってガイド8を移動可能な走行体7に支持されている。走行体7の動力源は気流発生手段3であり、気流発生手段3は植物体Aに加える風圧源及び移動のための動力源を兼ねる。このため、本実施例では移動のために走行体7はモータ5cやバッテリー5d等の動力源を要さず、装置を小型化することができる。また、走行体7を、固定されたガイド8に沿って移動するため、ドローンのような飛行体と比べて安定した撮影を行え、精度よく植物体Aの直上でモニタリングすることができる。さらに、ガイド8に支持されることにより、ドローンのような飛行体に比べ重量の影響を考慮しなくてよいので精度の高い撮像手段2や計算能力の高い制御手段10を積載することができる。なお、走行体7の動力源が気流発生手段3の場合、制御手段10は複数のプロペラの回転数に差を設けた制御することで移動速度や移動方向を制御し、気流発生手段3の風量は、例えば、移動時及び停止時の気流発生手段3の下方に作用する風圧の垂直分布及び水平分布を調べておき、気流制御手段13はその分布情報から決定された風圧が植物体Aに加わるように基台6の高さを制御することで植物体Aに加える風圧を調節することができる。
本実施例では、走行体7には、例えば滑車を用いることができ、ガイド8には、例えばワイヤを用いることができる。
収集された生育予測画像は、植物体Aの生育予測を行うために用いられる。生育予測画像は、新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫、病徴の少なくともいずれかを含む画像である。ここで、新葉とは、最も新しい葉であり、次に発生する新葉が視認できるまでの期間の葉である。わき芽とは生産者が成長させずに摘除すると判断する葉である。ランナーとは収穫を伴う栽培期間中は摘除する部位である。害虫とは、アブラムシ、アザミウマ、ダニ類等である。病徴とは、病斑や萎凋等である。病徴や害虫は特に葉裏や葉の陰にあって植物体Aを動かさないと見えない部分にある場合である。
すなわち、走行体7は、植物体A上部に設置されたモータ等を動力源とする可動式の台車5がガイド8に沿って気流発生手段3と撮像手段2が保持された構成で、植物体A列に沿って移動してもよい。このとき基台6は、ガイド8を保持する部分であって高さを調整できるものであってもよいし、走行体7(台車5)と気流発生手段3及び撮像手段2を接続する保持手段aで高さが調整されてもよい。また、走行体7は、植物体A上部に設置された固定式のガイド8に沿って移動可能なモータ等の動力源を有する気流発生手段3及び撮像手段2であり、植物体A列に沿って移動するものであってもよい。このとき、基台6は、固定式のガイド8を保持するものであってもよい。
基台6で高さを調整する場合には、ガイド8が上下に移動し、保持手段aで高さを調整する場合には、気流発生手段3及び撮像手段2が上下に移動する。
なお、ガイド8として、エンドレス状に回転する例えばコンベアを用いることで、走行体7(台車5)が駆動手段を持たなくても、気流発生手段3及び撮像手段2を移動させることができる。
なお、図1及び図2に示す実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図示のように、植物体移動手段9は、植物体Aを積載して移動させるコンベアであってもよく、複数の植物体Aが列状に植わった栽培槽Bを列方向に、又は、単体の植物体Aを植えたポットを植物体Aよりも上部に固定された気流発生手段3及び撮像手段2の下方を通過させる構成であってもよい。このとき、植物体Aと気流発生手段3及び撮像手段2の高さは、気流発生手段3及び撮像手段2を固定する基台6a、又は、植物体Aを移動させるコンベアを支持する基台6bによって調整されてもよい。
図2及び図3を用いて説明した実施例においても図1に示す実施例と同様に照明手段4を備えていることが好ましい。
図4(a)、(c)は、気流発生手段3による風圧を加えない状態にある植物体Aを示しており、この状態で、撮像手段2によって植物体Aを撮影することで、草高、葉面積、葉柄径、葉柄長及び葉柄角度の少なくともいずれかの生体情報を得ることができる。
図4(b)、(d)は、気流発生手段3によって植物体Aに上方から加えた状態を示しており、風圧を加えている植物体Aでは、その中心部を露出させることにより新葉、花芽、わき芽、つぼみ、花、果実、病徴、害虫及びランナーを露出させることができており、この状態で、撮像手段2によって植物体Aを撮影することで、新葉、花芽、わき芽、つぼみ、花、果実、病徴、害虫及びランナーの少なくともいずれかの生育予測画像を得ることができる。
図5に示すように、新葉や花芽が発生する部分を植物体Aの中心部としている。
植物体Aに損傷を与えない風圧とは、風圧除去後に葉柄が元の状態に戻ることができる風圧であり、葉柄が折れること、又は葉柄が着生する株元から剥離すること(裂けること)を損傷としている。
あらかじめ決定する風圧の上限は、風圧により植物体Aの葉柄が損傷する風圧未満とし、植物体Aにはこの上限未満の風圧を加える。
風圧の下限は、風圧により植物体Aの葉が動き出す風圧とする。植物体Aの葉が少しでも動くことで葉に隠れた新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫、病徴が見える可能性がある。
より好ましくは、風圧の下限は、風圧により植物体Aの中心部が撮影できる風圧とする。図4(b)、及び図4(d)の点線枠で示す位置に、中心部が見えている。このように、植物体Aの中心部が見える状態にすることで、イチゴの場合には、特に新葉、花芽、ランナーを撮影することができ、コマツナの場合には、特に新葉を撮影することができる。
図6(a)を用いて計測フローについて説明する。
本実施例による作物モニタリング装置1は、例えば1日1回、定刻に動作させる。
制御手段10では、モニタリング開始時間になると(S1でYes)、風圧を決定する(S2)。
S2において風圧が決定されると、気流制御手段13は、気流発生手段3と植物体Aの距離情報から、決定された風圧が植物体Aに加わるように気流発生手段3の発する気流の風量を決定し、気流発生手段3は決定された風量の気流を発生させる(S3)。あるいは、気流制御手段13は、決定された風圧と気流発生手段3が発する風量との関係から基台6の高さを決定し、基台6の高さを制御する。照明手段4で照明をONとし(S4)、撮像手段2での撮影を開始する(S5)。なお、S3からS5は同時に開始してもよい。
気流発生手段3で気流を発生させた状態で、走行体7を生体情報を取得した植物体Aに沿って移動し(S6)、撮像手段2での撮影を行い、列方向に配列されているすべての植物体Aについての撮影が終了すると、走行体7を停止し(S7)、照明手段4、撮像手段2による撮影をOFFし(S8、S9)、気流発生手段3での気流発生を停止する(S10)。
撮影された生育予測画像は、以後の生育予測として使用されるデータとして記憶手段(図示せず)に記憶され(S11)、待機状態となる。
まず、図6(b)を用いて撮像手段による風圧決定フローについて説明する。
撮像手段2による風圧決定フローでは、気流発生手段3は動作させていない。走行体7の動作を開始し(S21)、照明手段4で照明をONとし(S22)、撮像手段2での撮影を開始する(S23)。列方向に配列されているすべての植物体Aについての撮影が終了すると走行体7を停止し(S24)、撮像手段2での撮影をOFFする(S25)。撮影が終了すると照明手段4をOFFする(S26)。
撮影された生体画像は記憶手段に記憶される(S27)。記憶された生体画像から、植物体Aの草高、葉面積、葉柄長、葉柄径及び葉柄角度の少なくともいずれかの生体情報を画像処理等によって推定し(S28)、推定した生体情報を風圧決定手段11に入力し(S29)、入力された生体情報から植物体Aに加える風圧を決定する(S30)。あらかじめ決定する風圧の上限は、風圧により植物体Aの葉柄が損傷する風圧未満とし、植物体Aにはこの上限未満の風圧を加える。風圧の下限は、風圧により植物体Aの葉が動き出す風圧とする。
例えば、植物体A列の側方を撮像できる位置に撮像手段2を設置して、側方から取得した画像から、植物体Aの草高、葉面積、葉柄長、葉柄径及び葉柄角度の少なくともいずれかの生体情報に関する画像を取得することもできる。また、植物体Aに加える風圧の上限が決定されている場合は、例えば、図6(a)のフローのように気流発生手段3を動作させて生育予測画像を撮像手段2によって取得しながら生体情報を含む画像を取得することができる。
撮像手段2によらない風圧決定フローでは、モニタリングする範囲において、人がカメラ、スキャナ、直尺、メジャ、ノギス、角度計、等の各種計測機器を用いて、生体情報のサンプリング調査を行い(S31)、風圧決定手段11に生体情報を入力し(S32)、気流発生手段3が植物体Aに加える風圧範囲、特に上限が決定される(S33)。風圧の下限は、風圧により植物体Aの葉が動き出す風圧とする。
さらに、毎日あるいはそれに準じる高頻度なモニタリングをすることにより、生育予測画像を取得するときに、生体情報をあわせて取得することによって事前の生体情報収集を省略することができる。
下方に植物体Aが無い植物体A列間を移動してモニタリング対象の植物体A列を撮影することにより、あらかじめ生体情報を取得して植物体Aに加える風圧の上限を決定することができる。
上方からの気流によって葉に加わった荷重Pは、葉柄角度θに応じて葉柄を圧縮する方向と葉柄を押し倒す方向に加わる。葉柄は圧縮に対しては座屈しさらには折れ、押し倒しに対しては株元のちぎれ・剥離、折れが生じる。圧縮及び押し倒しによって損傷する荷重Pb_damageと葉柄径Dの関係はあらかじめ調べておく必要があり、葉に加わった荷重Pが作用する部位である葉の付け根部位(図8の31B)から、損傷部位である株元までの長さである葉柄長L、及び葉柄径Dによって、損傷部位にかかる荷重が損傷荷重Pb_damageとなるときの葉にかかる荷重Pl_damageを計算し、座屈、折れ、株元のちぎれ・剥離を引き起こす各損傷荷重Pl_damageのうち最も小さい荷重を、風圧の上限未満を決定する、葉に加えたときに損傷を生じはじめる荷重Pl_damageとすることができる。
そして、一定の風量を加えた時の荷重をフォースゲージ26で測定した。風量を段階的に変更するとともに、葉面積の異なる葉32を用いて計測する。風洞内の風量及び葉面積から葉に加わる風圧を計算し、計測された荷重Pとの関係から、植物体Aに加わる風圧と植物体Aの葉が受ける荷重Pの関係式を求めることができる。風圧決定手段11は、あらかじめ求めた植物体Aに加わる風圧と植物体Aの葉が受ける荷重の関係式によって、植物体Aの生体情報を基に植物体Aに加える風圧を決定することができ、気流発生手段3は決定された風圧を植物体Aに加えるため、植物体Aを損傷させることなく生育予測画像を取得できる。
2 撮像手段
3 気流発生手段
4 照明手段
5 台車
5b 車輪
5c モータ
5d バッテリー
6、6a、6b 基台
7 走行体
8 ガイド(レール)
9 植物体移動手段
10 制御手段
11 風圧決定手段
12 撮影制御手段
13 気流制御手段
14 照明制御手段
15 移動制御手段
21 風洞
22 モータ
23 ファン
24 ワイヤ
25 滑車
26 フォースゲージ
31 葉柄
31B 葉側端部
32 葉
a 保持手段
A 植物体
B 栽培槽
Claims (11)
- 植物体を撮影する撮像手段と、
前記植物体に風圧を加える気流発生手段と、
前記植物体に当てる前記風圧を決定する風圧決定手段とを有し、
前記撮像手段によって撮影された前記植物体の生育予測画像を収集する作物モニタリング装置であって、
前記風圧決定手段では、前記植物体の生体情報を基に前記植物体に当てる前記風圧を決定し、
前記風圧決定手段で決定された前記風圧を、前記気流発生手段によって前記植物体に上方から加えた状態で、前記風圧を加えている前記植物体を前記撮像手段によって上方から撮影し、
前記気流発生手段と前記撮像手段とが、前記植物体の列に沿って移動可能な走行体に支持されている
ことを特徴とする作物モニタリング装置。 - 植物体を撮影する撮像手段と、
前記植物体に風圧を加える気流発生手段と、
前記植物体に当てる前記風圧を決定する風圧決定手段とを有し、
前記撮像手段によって撮影された前記植物体の生育予測画像を収集する作物モニタリング装置であって、
前記風圧決定手段では、前記植物体の生体情報を基に前記植物体に当てる前記風圧を決定し、
前記風圧決定手段で決定された前記風圧を、前記気流発生手段によって前記植物体に上方から加えた状態で、前記風圧を加えている前記植物体を前記撮像手段によって上方から撮影し、
前記気流発生手段と前記撮像手段との下方で、前記植物体が移動可能な植物体移動手段に支持されている
ことを特徴とする作物モニタリング装置。 - 前記風圧の上限を、前記風圧により前記植物体の葉柄が損傷する風圧未満とした
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作物モニタリング装置。 - 前記風圧の下限を、前記風圧により前記植物体の葉が動き出す風圧とした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の作物モニタリング装置。 - 前記風圧の下限を、前記風圧により前記植物体の中心部が撮影できる風圧とした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の作物モニタリング装置。 - 前記撮像手段及び前記気流発生手段と、前記植物体とが相対的に移動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作物モニタリング装置。
- 前記撮像手段と前記気流発生手段とを、前記気流発生手段が生じさせる気流によって前記植物体の上方で停止又は移動可能としたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作物モニタリング装置。
- 前記植物体は株元から多数の葉柄が立葉状に生育する植物体であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の作物モニタリング装置。
- 植物体の生体情報を基に前記植物体が損傷しないように当てる風圧を決定する工程と、
決定された前記風圧を前記植物体に上方から加えた状態で、前記風圧を加えている前記植物体を上方から撮影する工程と、
前記工程により撮影して得られた前記植物体の生育予測画像を収集する工程と
を有し、
前記風圧を前記植物体に加える気流発生手段と、前記植物体を上方から撮影する撮像手段とを、走行体に支持された状態で前記植物体の列に沿って移動させる
ことを特徴とする作物モニタリング方法。 - 前記生体情報として、草高、葉面積、葉柄長、葉柄径及び葉柄角度の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項9に記載の作物モニタリング方法。
- 前記植物体の前記生育予測画像が、新葉、花芽、わき芽、ランナー、果実、つぼみ、花、害虫及び病徴の少なくとも1つを撮影したものである
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の作物モニタリング方法。
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