JP7498406B2 - エンドミル - Google Patents

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Description

本発明は工具本体先端部に一定の剛性を確保しながら、複数本の各切れ刃の回転方向前方側に位置するギャッシュを通じた切屑排出溝への切屑の排出性を良好にする形態のエンドミルに関するものである。
エンドミルの底刃等の切れ刃が切削した切屑は切れ刃すくい面の回転方向前方側に連続して形成されるギャッシュを経由して切屑排出溝へ排出される。このギャッシュが形成される関係で、エンドミル先端部の剛性が切屑排出溝の形成区間の剛性より相対的に低下し易いため、先端部の剛性の低下を抑えることがエンドミル製作上の課題になる。
先端部の剛性低下は例えばギャッシュを先端部側と後方側の2段に形成し、2段ギャッシュの境界線が表面側に凸となるように各ギャッシュのギャッシュ面間に角度を付けることで、ある程度、抑えることができる(特許文献1、2参照)。この場合、ギャッシュ間の境界線が凸であることで、凹である場合より工具本体のギャッシュ形成部分の肉厚が増す分、剛性を確保し易くなる。
但し、特許文献1、2では各ギャッシュの表面が平面状であるため(特許文献1の段落0017、図1、特許文献2の図3)、各ギャッシュ自体の切屑収容能力は高くない。このことから、各ギャッシュ内での収容能力を超える切屑が生ずれば、詰まりが生じる可能性がある。
これに対し、底刃前の2段のギャッシュを凹曲面状に形成すれば(特許文献3参照)、各ギャッシュの容積が増すため、各ギャッシュ内での切屑収容能力が高まることが期待される(特許文献3の段落0020、0040)。
特開2006-15418号公報(請求項1、段落0011~0019、図1、図2) 特開2007-296588号公報(請求項1、段落0006~0008、図1、図2) 国際公開第2016/152611号(請求項1、段落0010~0047、図2~図4)
しかしながら、特許文献3のように各ギャッシュ表面の形状を凹曲面状にし、各ギャッシュ内の切屑収容能力を増したとしても、この形態のギャッシュの切屑排出性にはなお、課題(可能性)が残されていた。
本発明は上記背景より、隣接するギャッシュ内での切屑の流れに着目し、工具本体先端部に一定の剛性を保有させながらも、複数本の各切れ刃の回転方向前方側に位置するギャッシュを通じた切屑排出溝への切屑の排出性を良好にする形態のエンドミルを提案するものである。
請求項1に記載の発明のエンドミルは、工具本体の回転軸方向の先端部側に、前記先端部を回転軸方向の先端面側から見たときに半径方向中心側から外周側へかけて連続し、前記工具本体の回転方向に隣り合って配列する複数本の切れ刃と、前記各切れ刃の回転方向前方側に形成されたギャッシュと、前記ギャッシュから前記回転軸方向後方側に連続する切屑排出溝とを備え、
前記ギャッシュは、前記回転軸と鋭角をなす先端側軸に沿って形成された先端側凹面と、前記先端側凹面の前記回転軸方向後方側に隣接し、前記回転軸と、前記先端側軸より小さい鋭角をなす後方側軸に沿って形成された後方側凹面とを含み、
前記先端側凹面と前記後方側凹面とが互いに重なる形状をしていることを特徴とする。
請求項1の「先端部を回転軸方向(軸方向)の先端面側から見たとき」の「先端面」は、図1、図4に示す、エンドミル本体(工具本体)を先端側から回転軸O反対側のシャンク部3側に向かって見たときの端面を言う。以下では「回転軸O方向」を単に「軸方向」とも言い、「先端面」を単に「端面」とも言う。「先端部」は切れ刃部2である。
請求項1の「切れ刃」は主に、工具本体の先端部を先端面側から見たときに半径方向中心側から外周側へ連続する底刃4であり、底刃4の半径方向外周側に連続する場合のコーナーR刃5を含む。コーナーR刃5の外周側に外周刃6が連続する。底刃4がコーナーR刃5を有する場合、エンドミル1は図示するようなラジアスエンドミルになり、コーナーR刃5がなく、底刃4の外周側に外周刃6が連続する場合、エンドミル1はスクエアエンドミルになる。
底刃4は図示するように、底刃4の半径方向中心側の端部が相対的に中心寄りに位置する親刃と、底刃4の中心側の端部が親刃の中心寄りの端部より半径方向外周側に位置する子刃とに区別される場合と、区別されない場合がある。いずれの場合も、底刃4(切れ刃)は回転軸(半径方向中心)Oに関して対に、あるいは点対称になるように形成されるため、底刃4の本数(枚数)は主には4本(枚)であるが、それより多いこともある。図面では親刃(親底刃41)と子刃(子底刃42)が共に2枚あり、底刃4にコーナーR刃5が連続する4枚刃のラジアスエンドミルの例を示している。以下では半径方向中心Oを中心Oとも、回転軸Oとも言う。底刃を示す符号4は図面中の親底刃を示す符号41と子底刃を示す符号42を含む。
請求項1の「工具本体の回転方向に隣り合って配列する各切れ刃の回転方向前方側に形成されたギャッシュ」とは、各底刃4(切れ刃)の回転方向前方側にギャッシュが位置することを言う。「ギャッシュから回転軸方向後方側に連続する切屑排出溝」とは、ギャッシュの回転軸方向後方側に切屑排出溝7が連続することを言う。「回転軸方向後方側」は工具本体を回転軸O方向に見たときの後方側(シャンク部3側)を指す。
「ギャッシュは先端側凹面と後方側凹面とを含み」とは、ギャッシュが先端側凹面8、9と後方側凹面10、11の2面を有することを言い、先端側凹面8、9から後方側凹面10、11への移行面12、13を含む意味である。この「移行面12、13」は図7中、線L3と線L4が交わる部分の鈍角側の曲線で示す部分を指す。「各切れ刃の回転方向前方側に形成されたギャッシュ」は先端側凹面8と後方側凹面10を合わせた部分、及び先端側凹面9と後方側凹面11を合わせた部分を指し、凹面はギャッシュの表面を指す。
「先端側凹面の回転軸方向後方側に隣接する後方側凹面」とは、工具本体を回転軸O方向に見たときに、先端側凹面8、9の後方側に後方側凹面10、11が位置することを言う。工具本体の先端部を端面側から見たときには、先端側凹面8、9は半径方向中心側に位置し、その半径方向外周側(切屑排出溝7側)に後方側凹面10、11が位置する。先端側凹面8、9は実施形態での「先端側ギャッシュ8、9」であり、後方側凹面10、11は実施形態での「後方側ギャッシュ10、11」である。先端側凹面8、9は切れ刃のすくい面の一部を形成する場合と形成しない場合がある。後方側凹面10、11は切れ刃のすくい面の一部を形成する。
切れ刃(底刃4)と外周刃6は工具本体の先端部側から後方側へかけて形成され、ギャッシュも工具本体の先端部側から後方側へかけて形成される。この関係で、半径方向中心側に位置する先端側凹面8、9は工具本体の軸方向に見れば、工具本体の先端部側に位置し、半径方向外周側に位置する後方側凹面10、11は工具本体の後方側(シャンク部3側)に位置する。先端側凹面8、9の切屑排出溝7側に後方側凹面10、11が形成されることで、各先端側凹面8、9内にある切屑がそれぞれの半径方向外周側に位置する各後方側凹面10、11内に入り込み(移行し)、各後方側凹面10、11内にある切屑が切屑排出溝7へ排出される。後方側凹面10、11は先端側凹面8、9と切屑排出溝7に連通する。
請求項1の「回転軸Oと鋭角をなす先端側軸P1」の「鋭角」は、先端側軸P1が回転軸Oと交わると仮定した場合に、または交わるように見たときに、鈍角側でなく、鋭角側の角度θ1を指す。先端側軸P1は回転軸O、またはその延長線に交わる場合と、交わらない(ねじれの位置にある)場合がある。「回転軸Oと、先端側軸P1より小さい角度をなす後方側軸P2」の「鋭角」も、後方側軸P2が回転軸Oと交わると仮定した場合の、または交わるように見たときの、鋭角側の角度θ2を指す。後方側軸P2も回転軸O、またはその延長線に交わる場合と、交わらない(ねじれの位置にある)場合がある。先端側軸P1と後方側軸P2は基本的に直線である。
「先端側軸に沿って形成された先端側凹面」とは、先端側凹面8、9が先端側軸P1との間に距離を置き、凹面上に存在すると仮定した場合の直線と先端側軸P1とが例えば平行、もしくは平行に近い状態にあることを言う。「凹面」は主に凹曲面であり、平面を含む。「後方側軸に沿って形成された後方側凹面」も同様であり、後方側凹面10、11が後方側軸P2との間に例えば一定の距離を置いていることを言う。
請求項1の「先端側凹面8、9と後方側凹面10、11とが互いに重なる形状をしている」とは、先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)とをそれぞれ抽出し、重ね合わせたときに、各凹面が互いに隙間なく重なる形状を有していることを言う。先端側凹面8(9)と後端側凹面10(11)が、両者を重ね合わせたときに、互いに隙間なく重なる部分を有していれば、一方の凹面が、その凹面の延長面上に、他方の凹面との重複部分から延長する(はみ出す)部分を有する場合もある。凹面は曲面と平面の組み合わせも含む。
言い換えれば、先端側凹面8(9)の基準となる凹線(凹曲線)が平行移動したときの移動方向を特定する軸に直交する平面上の先端側凹面8(9)の断面の形状(曲線)と、後端側凹面10(11)の基準となる凹線(凹曲線)が平行移動したときの移動方向を特定する軸に直交する平面上の後端側凹面10(11)の断面の形状(曲線)とが重なることを言う。一方の凹線と他方の凹線とを重ね合わせたときに、互いに重複する部分を有していれば、一方の凹線が、その凹線の延長線上に、他方の凹線との重複部分から延長する(はみ出す)部分を有する場合もある。凹線は曲線と直線の組み合わせも含む。
他の言い方をすれば、先端側凹面8(9)とこれに半径方向外周側に連続する後方側凹面10(11)が同一形状の曲面を形成することを言う。詳しくは、先端側凹面8と先端側凹面9、及び後方側凹面10と後方側凹面11とに形態上の違いがあるか否かに関係なく、先端側凹面8の周方向の形状(曲率や曲率の変化)と、後方側凹面10の周方向の形状(曲率や曲率の変化)とが等しい形状を有することである。
「先端側凹面8、9と後方側凹面10、11とに形態上の違いがある」とは、先端側凹面8と後方側凹面10、及び先端側凹面9と後方側凹面11とに、深さ、長さ、径方向の傾き等の違いがあることを言う。例えば先端側凹面8(9)の深さと後端側凹面10(11)の深さとに違いがある、または先端側凹面8(9)の先端側軸P1方向の長さと、後端側凹面面10(11)の後端側軸P2方向の長さとに違いがある、あるいは先端側凹面8(9)と後端側凹面10(11)との軸方向の傾きや周方向の傾きの違いがあることを言う。この他、例えば底刃4が親底刃41と子底刃42とに区別され、先端側凹面8、または後方側凹面10の回転方向後方側に形成される底刃4(親底刃41)と、先端側凹面9、または後方側凹面11の回転方向後方側に形成される底刃4(子底刃42)に長さ上の違いがあるようなことを言う。
「同一形状の曲面を形成すること」は、先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)が例えば円筒面の一部をなすと仮定した場合を示す図6で言えば、先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)のいずれか一方の一部が、他方の一部と重なることを言う。重なる領域は円筒面の周方向と円筒軸方向である。先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)のいずれか領域面積の小さい側の凹面が、領域面積の大きい側の凹面に重なり、領域面積の大きい側の凹面には小さい側の凹面が重ならない領域がある場合もある。
例えば図6中、太線の実線で示す線(曲線)L1と線(曲線)L2がそれぞれ先端側軸P1と後方側軸P2に沿って平行移動したときの軌跡である細線の実線で示す帯状の領域が先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)のいずれか一方であるとすれば、他方はこの帯状の領域を含む帯状の領域になる。一方の帯状の領域と他方の帯状の領域は完全に合致することもある。
図6に太線で示す曲線L1が先端側軸P1との距離を一定に保ったまま、先端側軸P1に沿って平行移動したときの軌跡を示す細線の曲面が円筒面である円柱の側面の一部になり、この曲面が先端側凹面8、9を仮想的に表している。図6に太線で示す曲線L2が後方側軸P2との距離を一定に保ったまま、後方側軸P2に沿って平行移動したときの軌跡を示す細線の曲面が円筒面である円柱の側面の一部になり、この曲面が後方側凹面10、11を仮想的に表している。
図6に細線の実線で示す曲面は、下記のように砥石である回転体Qが、回転軸Oに対して傾斜した方向(母線L3、L4の方向)に平行移動等するときに形成される曲面である。この曲面が先端側凹面8、9の表面と後方側凹面10、11の表面を形成するから、先端側凹面8、9の表面と後方側凹面10、11の表面は同一の形状の曲面を形成する(請求項1)。「同一の形状の曲面」とは、先端側凹面8、9の曲面と後方側凹面10、11の曲面が互いに重なり得る形状を有していることを言い、いずれか一方の曲面が他方の曲面と完全に一致する場合と、一方の曲面が他方の曲面の一部を形成する場合がある。
線L1は図6中、軸(先端側軸)P1を持つ、二点鎖線で示す円筒面(円柱)の上側の底面の内、工具本体の後方側(シャンク部3側)に凸となった線であり、後述の「工具本体の回転軸方向の後方側に向かって凸の線」に相当する(請求項5)。線L2は軸(後方側軸)P2を持つ、二点鎖線で示す円筒面(円柱)の上側の底面の内、回転軸O側に向かって凸となった太い線であり、後述の「回転軸側に向かって凸の線」に相当する(請求項5)。線L2は工具本体の後方側に向かって凸の曲線とも言える。
図6に示す円筒面は先端側凹面8、9と後方側凹面10、11の表面が形成する曲面の例示に過ぎず、曲面には規則的な曲面と不規則な曲面があり、形状は任意である。曲面は平面を含む。但し、先端側凹面8、9の表面と後方側凹面10、11の表面は同一の形状の曲面を形成するため(請求項1)、先端側凹面8、9の表面が円柱の側面の一部であれば、後方側凹面10、11の表面も同一寸法の円柱の側面の一部になる。
このように請求項1の先端側凹面8、9は具体的に言えば、工具本体の回転軸O方向の後方側に向かって凸の線L1が、回転軸Oに対して鋭角の角度をなす先端側軸P1との距離を一定に保ったまま、先端側軸P1に沿って平行移動したときの曲面をなす(請求項5)。後方側凹面10、11は回転軸O側に向かって凸の線L2が、回転軸Oに対し、先端側軸P1より小さい鋭角の角度をなす後方側軸P2との距離を一定に保ったまま、後方側軸P2に沿って平行移動したときの曲面をなす(請求項5)。
曲線L1が先端側軸P1に沿って平行移動する方向は砥石としての回転体Qが平行移動するときの平行移動の方向である。「曲線L1が先端側軸P1に沿って平行移動したときの軌跡」は曲線L1が平行移動したときになぞった跡である。先端側凹面8、9が形成する曲面は工具本体の後方側に向かって凸の曲面を形成し、先端側凹面8、9の表面自体は凹曲面を形成する。曲線L2が後方側軸P2に沿って平行移動する方向も砥石としての回転体Qが平行移動するときの平行移動の方向である。後方側凹面10、11の表面が形成する曲面は工具本体の後方側に向かって、または回転軸O側に向かって凸の曲面を形成し、先端側凹面8、9の表面自体は凹曲面を形成する。
図7に示すように砥石である回転体Qが平行移動するときに各ギャッシュの曲面が形成される点に着目すれば、先端側凹面8、9を形成する曲面(円筒面)の母線L3、または先端側軸P1が回転軸Oとなす鋭角の角度θ1より、後方側凹面10、11を形成する曲面の母線L4、または後方側軸P2が回転軸Oとなす鋭角の角度θ2は小さい(θ1>θ2)(請求項1)。先端側凹面8、9と後端側凹面10、11がこの要件を満たすことで、本要件を備えない場合との対比では、先端側凹面8、9が形成されている工具本体(エンドミル)先端部の心厚が相対的に大きくなり、工具本体先端部の剛性が高まる。この関係で、回転体Qが後方側凹面10、11を形成するときの移動方向(P2)は、先端側凹面8、9を形成するときの移動方向(P1)より、回転軸Oの方向に近くなる。なお、図6、図7は先端側凹面8、9と後方側凹面10、11が円筒面の一部をなすと仮定した場合を示しているが、先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)は円筒面の一部をなすとは限らない。
先端側凹面8(9)と後方側凹面10(11)が同一形状の曲面を形成することで、母線L3、L4に直交する断面で先端側凹面8、9の曲面と後方側凹面10、11の曲面を見れば、図8-(a)、(b)に示すようにそれぞれの曲線が同一である場合と、一方の曲線が他方の曲線の一部である場合がある。なお、先端側凹面8(9)の母線L3に直交する断面形状と、後端側凹面10(11)の母線L4に直交する断面形状は厳密には楕円であるが、図8では便宜的に円形断面として示している。図7は回転体Qが回転軸Oに対して角度を変えて2段階に平行移動するときの母線L3、L4と工具本体との関係を示している。
回転体Qが平行移動中、回転軸O側に接近すれば、ギャッシュ断面の曲線(L1、L2)は長くなり、回転軸Oから遠ざかれば、ギャッシュ断面の曲線は短くなる。短い曲線は長い曲線の一部になるため、一方の曲線L1(L2)が他方の曲線L2(L1)の一部である場合と同一である場合があり、一方の曲面が他方の曲面の一部を形成する場合と同一である場合があることになる。曲線L1、L2は直線を含む。
上記した「曲線L1、L2が軸P1、P2との距離を一定に保ったまま、軸P1、P2に沿って平行移動したときの細線で示す曲面」は図6に示す円筒面で言えば、軸P1、P2との間に距離を置いた母線L3、L4が軸P1、P2を基準に回転するときに形成される曲面の一部である、とも言える。なお、図6に示す円筒面は例示であるため、軸P1、P2を基準に移動する母線L3、L4は直線とは限らず、軸P1、P2を基準に平行移動等することもある。
曲線L1、L2が軸P1、P2に沿って平行移動したときに形成される曲面は、工具本体を研削し、工具本体にギャッシュを形成するための、図7に示す砥石としての回転体Qの表面が(回転体Qの回転軸C回りに回転しながら)平行移動するときに形成される曲面でもある。そのときの平行移動の方向が母線L3、L4の方向になる。
各ギャッシュの表面を形成する曲面が、図7に示す回転体Qが平行移動して形成される曲面であるとした場合、図8-(a)に示す先端側凹面8、9の曲面と、これに連続する(b)に示す後方側凹面10、11の曲面を平行移動の方向に直交する断面で見たときの曲線は、互いに重ね合わせた場合、重なる形状を有する。すなわち、図8-(a)に示す曲線と(b)に示す曲線を重ねれば、(a)に示す曲線と(b)に示す曲線の内、短い側((b))の曲線の全長が長い側((a))の曲線の一部になる。図8-(a)に示す先端側凹面8、9の曲線は図6に示す曲線L1に相当し、(b)に示す後方側凹面10、11の曲線は図6に示す曲線L2に相当する。図6では先端側凹面8、9の曲面を、母線L3を持つ円筒面で表し、後方側凹面10、11の曲面を、母線L4を持つ円筒面で表している。
図8-(a)に示す先端側凹面8、9を表す曲線と、(b)に示す後方側凹面10、11を表す曲線は円弧の一部の周方向両側に、円弧より曲率の小さい曲線がつながり、その先に直線がつながった線の組み合わせになっている。(a)、(b)に示す各円弧の周方向の中央が後述の内側ギャッシュ8、9の表面の最も深い位置を通る線L5と、外側ギャッシュ10、11の表面の最も深い位置を通る線L6であり(請求項4)、各円弧の中心(曲率中心)が図6に示す先端側軸P1と後方側軸P2になっている。
ここで、前記した特許文献3に注目すれば、工具本体の先端部を回転軸O方向の先端面側から見たとき、子底刃すくい面の半径方向(子底刃の長さ方向)の多くの区間を切屑排出溝に面する状態にある(図2)。このことから、工具本体の先端面寄りの部分の心厚が小さくなる結果、エンドミル先端部の振動に対する剛性が低下し易い。
これに対し、本発明では各切れ刃の回転方向前方側に先端側凹面8、9と後方側凹面10、11が形成されることで、切屑排出溝7が先端面の中心O寄りに深く入り込む形にはならない。結果的に特許文献3との対比では全ギャッシュの容積(チップポケット)が小さくなるため、エンドミル1の、切削時の振動に対する剛性が上昇する。
併せて本発明では先端側凹面8、9を形成する曲線L1の基準となる先端側軸P1と回転軸Oとのなす鋭角の角度θ1より、後方側凹面10、11を形成する曲線L2の基準となる後方側軸P2と回転軸Oとのなす鋭角の角度θ2が小さい(θ1>θ2)。このことから、両角度θ1、θ2が等しい場合(θ1=θ2)より、両ギャッシュの容積の合計が小さくなるため、剛性の低下は抑えられる。このことは、容積の合計が同一の場合でも、工具本体先端部の剛性が高められることを意味する。角度θ1は先端側凹面8、9の曲面を形成する母線L3と回転軸Oとのなす角度でもあり、角度θ2は後方側凹面10、11の曲面を形成する母線L4と回転軸Oとのなす角度でもある。
また先端側凹面8、9と後方側凹面10、11が同一形状の凹曲面を形成することで(請求項1)、切れ刃が被削材を切削し、先端側凹面8、9内に入り込んだ切屑が後方側凹面10、11へ誘導され易く、後方側凹面10、11に入り込んだ切屑は切屑排出溝7へ誘導され易い。従って先端側凹面8、9から後方側凹面10、11への切屑の排出と、後方側凹面10、11から切屑排出溝7への切屑の排出が生じ易い。
詳しく言えば、先端側凹面8、9と後方側凹面10、11が同一形状の凹曲面であることで、先端側凹面8、9内を移動する(流れる)切屑が先端側凹面8、9から受ける抵抗の大きさと、後端側凹面10、11内を移動する切屑が後端側凹面10、11から受ける抵抗の大きさが等しくなるか、同程度になる。結果として、2つの凹面間での切屑の流れに違いが生じにくく、切屑が先端側凹面8、9から後端側凹面10、11へ移動した後も、後端側凹面10、11内で個々の切屑の進行方向が揃うため、切屑間での進路の妨害が生じにくくなる。言い換えれば、個々の切屑の、切屑排出溝7に移行するまでの移動距離が短縮されるため、ギャッシュ全体の切屑排出性が向上する。
特に先端側凹面8、9から後方側凹面10、11へかけて連続した曲面でつながっていれば(請求項2)、先端側凹面8、9内の切屑の後方側凹面10、11への移動とその後の切屑排出溝7への排出は一層、円滑になる。「連続した曲面でつながる」とは、先端側凹面8、9の表面と後方側凹面10、11の表面との間に凸となる境界線がないことを言う。回転体Qの平行移動時の様子で説明すれば、「連続した曲面」は、先端側凹面8、9が形成されるときの回転体Qの平行移動から、後方側凹面10、11が形成されるときの回転体Qの平行移動に移行するときに移動の軌跡が直線ではなく、図7に移行面12、13として示す曲線を描くことで形成される。移行面12、13は工具本体の縦断面上、表面側へ凸の曲面を形成する。
また平行移動する曲線L1、L2の基準となる先端側軸P1と後方側軸P2が同一平面内に位置していれば(請求項3)、先端側凹面8、9と後方側凹面10、11の表面の谷部分が、工具本体の先端部を先端面側から見たときの半径方向中心側から外周側へ向かう道筋が同一直線状になり、切屑の移動距離がより短縮されるため、切屑の、より速やかで、円滑な排出が促される。「同一平面内に位置する」とは、1枚の平面上に先端側軸P1と後方側軸P2が乗っていることを言い、平面の面内方向に見れば、先端側軸P1と後方側軸P2が同一直線上に位置することを言う。この場合、各ギャッシュの表面は谷部分に限らず、谷部分以外のいずれの部分に注目しても、工具本体の半径方向中心側から外周側へ向かう同一直線状の道筋を形成する。
ギャッシュが例えば特許文献3のように単なる凹曲面である場合、各ギャッシュ内の切屑は切屑排出溝側に隣接するギャッシュ側、または切屑排出溝側へは最短距離を通過せずに排出される。特許文献3の第一ギャッシュ7(先端側凹面相当)と第二ギャッシュ8(後方側凹面相当)との間の境界線31が第一ギャッシュ7と第二ギャッシュ8の凹曲面より凸の稜線を形成する場合(段落0038)、第一ギャッシュ7内の切屑は境界線31までの間、第一ギャッシュ7の凹曲面(凹曲線)に沿って移動した後に境界線31を経由し、第二ギャッシュ8内に入り込むため、境界線31までは最短距離にはならない。工具本体の回転軸Oを通る断面で見れば、切屑は第一ギャッシュ7内で凹曲線に沿って移動した後に境界線31を越えることになる。
これに対し、先端側軸P1と後方側軸P2が同一平面内に位置していれば(請求項3)、先端側凹面8、9と後方側凹面10、11との間に明確な境界線が表れるか否かに拘わらず、先端側凹面8、9内の切屑は先端側凹面8、9から境界線まで直線上を移動して後方側凹面10、11内に入り込む。同様に後方側凹面10、11と切屑排出溝7との間に明確な境界線が表れるか否かに拘わらず、後方側凹面10、11内の切屑は後方側凹面10、11から境界線まで直線上を移動して切屑排出溝7内に入り込む。切屑が直線上を移動することで、いずれかの空間内の切屑は最短距離を移動して隣接する空間内に移行することになる。
少なくとも先端側凹面8、9と後方側凹面10、11との間に明確な境界線が表れるか否かに拘わらず、先端側軸P1と後方側軸P2が同一平面内に位置していれば(請求項3)、境界線が先端側凹面8、9と後方側凹面10、11の表面より凸の稜線になることはない。従って先端側凹面8、9内の切屑が境界線を通過するときに境界線から抵抗を受けることがないため、切屑は境界線を抵抗なく通過することができる。
更に先端側軸P1と後方側軸P2を含む平面の面内方向に見たとき、先端側凹面8、9の表面の最も深い位置(シャンク部寄り)を通る線L5と、後方側凹面10、11の表面の最も深い位置(回転軸O寄り)を通る線L6が同一直線上にあれば(請求項4)、先端側凹面8、9内の切屑の後方側凹面10、11への移動とその後の切屑排出溝7への排出がより円滑になり、切屑の排出効率がより向上する。ギャッシュの表面の最も深い位置を通る線L5、L6は、実質的にはギャッシュの表面の最も深い位置を通る線を含む直線である。
上記したエンドミルは、円柱形の工具本体に対し、回転体Qである砥石を回転体Qの回転軸C回りに回転させながら、砥石の表面を先端側軸P1に沿い、平行移動させて先端側凹面8、9を形成し、そのまま砥石を回転体Qの回転軸C回りに回転させながら、砥石の表面を後方側軸P2に沿い、平行移動させて後方側凹面10、11を形成することで製作される(請求項6)。
切れ刃の回転方向前方側の、半径方向中心側に先端側凹面を形成し、先端側凹面の切屑排出溝側に後方側凹面を形成し、先端側凹面と後方側凹面を互いに重なる形状に形成するため、切れ刃が被削材を切削し、先端側凹面内に入り込んだ切屑を後方側凹面へ誘導し易く、後方側凹面に入り込んだ切屑を切屑排出溝へ誘導し易い。特に先端側凹面内を通過する切屑の流れと、後端側凹面内を通過する切屑の流れとが揃い、切屑同士が進路を妨害し合うことなく、円滑に流れるため、切屑を切屑排出溝へ速やかに排出することができる。
また先端側凹面の曲面を形成する曲線の基準となる先端側軸と回転軸とのなす鋭角の角度より、後方側凹面の曲面を形成する曲線の基準となる後方側軸と回転軸とのなす鋭角の角度が小さいことで、先端側凹面の容積が後方側凹面の容積よりも相対的に小さくなる形状であっても、先端側凹面内における切屑の滞留が抑制されるため、工具先端部の剛性を維持しながらも、切屑排出性を従来よりも向上させることができる。
エンドミルの先端面を示した端面図である。 図1に示すエンドミルをx-x線方向に見たときの斜視図である。 図1に示すエンドミルをy-y線方向に見たときの斜視図である。 本発明のエンドミルのシャンク部を含めた全体を示した側面図である。 先端側凹面の表面を形成する曲面の最も深い位置を通る線と回転軸とのなす角度θ1と、後方側凹面の表面の最も深い位置を通ると回転軸とのなす角度θ2との関係を示した斜視図である。 工具本体の回転軸Oに対して傾斜した軸(先端側軸と後方側軸)P1、P2に沿って曲線L1、L2が平行移動したときに形成される曲面が、砥石としての回転体が平行移動したときに形成される円筒面であると仮定した場合の曲面と、回転軸Oとの関係を示した斜視図である。 砥石としての回転体の平行移動によって形成される先端側凹面の曲面と、後方側凹面の曲面との関係を示した概要立面図である。 (a)は図7におけるa-a線断面図、(b)は図7におけるb-b線断面図である。
図1~図3は工具本体の回転軸O方向の先端部側に、先端部を回転軸O方向の先端面側から見たときに、半径方向中心側から外周側へかけて連続し、工具本体の回転方向rに隣り合って配列する複数本の切れ刃としての底刃4を有する切れ刃部2を備えたエンドミル1の製作例を示す。工具本体の回転方向rに隣り合う各切れ刃(底刃4)の回転方向前方側に切屑排出溝7が形成される。以下、切れ刃を底刃4と言う。半径方向の中心は回転軸Oでもある。
各底刃4の回転方向前方側の半径方向中心側に先端側凹面としての先端側ギャッシュ8、9が形成され、各底刃4の回転方向前方側の半径方向外周側に後方側凹面としての後方側ギャッシュ10、11が形成される。後方側ギャッシュ10、11は先端側ギャッシュ8、9の切屑排出溝7側に位置し、先端側ギャッシュ8、9と切屑排出溝7に連通する。図面では底刃4が、底刃4の半径方向中心側の端部が相対的に中心寄りに位置する親底刃41と、底刃4の中心側の端部が親刃41の中心寄りの端部より半径方向外周側に位置する子底刃42とに区別される場合の例を示しているが、親底刃41と子底刃42の違いがない場合もある。以下では底刃4が親底刃41と子底刃42とに区別される場合の例を説明する。
図面ではまた、図4に示すような金型の隅部の加工に適する、首下長の長い小径エンドミルの例を示しているが、本発明のエンドミル1は図4に示す形態には限られない。図1~図3は図4に示す切れ刃部2の軸方向反対側のシャンク部3を除いた切れ刃部2側の先端部分を示している。図面では特にエンドミル1が、底刃41、42と外周刃6との間に、双方に連続するコーナーR刃5が形成されたラジアスエンドミルの場合の例を示しているが、エンドミル1はコーナーR刃5がないスクエアエンドミルの場合もある。
図示の例では底刃4が親底刃41と子底刃42とに区別されることに対応し、先端側ギャッシュ8、9は親底刃41の回転方向前方側に位置する親刃先端側ギャッシュ8と、子底刃42の回転方向前方側に位置する子刃先端側ギャッシュ9とに区別されている。また後方側ギャッシュ10、11は親刃先端側ギャッシュ8の切屑排出溝7側に連続する親刃後方側ギャッシュ10と、子刃先端側ギャッシュ9の切屑排出溝7側に連続する子刃後方側ギャッシュ11とに区別されている。
親底刃41は図1に示すように切れ刃部2を回転軸O方向の先端面側から見たときの半径方向中心(回転軸)O、もしくはその付近から外周側の端部まで連続する。「回転O方向の先端面」は工具本体(エンドミル1)の先端面のことを言う。以下では「回転軸O方向」を「軸方向」とも言い、「先端面」を「端面」とも言う。子底刃42は親底刃41に工具本体の回転方向rに間隔を置き、切れ刃部2を軸方向の端面側から見たときの半径方向中心O側より外周寄りの位置から外周側へかけて連続する。
親底刃41と子底刃42は中心(回転軸)Oに関して対(点対称)になるように形成される。親底刃41の中心O側の部分は中心Oか、その付近まで連続することから、図面では工具本体の先端部を端面側から見たとき、親底刃41の逃げ面41b(以下、親底刃逃げ面41b)を、中心Oを挟んだ側に位置する親底刃逃げ面41bに帯状に連続させている。この場合、中心Oを挟んで両側に位置する親底刃逃げ面41b、41bが回転方向rに幅を持ったまま連続することで、親底刃41に一定の剛性が確保される。「親底刃逃げ面41b」は図示の例では親底刃2番面である。
親刃先端側ギャッシュ8は図1、図2に示すように親底刃41のすくい面41a(以下、親底刃すくい面41a)と、この親底刃41に回転方向r前方側に隣接する子底刃42の逃げ面42b(以下、子底刃逃げ面42b)との間に形成される。親刃先端側ギャッシュ8は親底刃すくい面41aに面し、親底刃すくい面41aに連続する。「子底刃逃げ面42b」は図示の例では子底刃2番面である。
コーナーR刃5が形成された場合、図2、図3に示すように親底刃すくい面41aの半径方向外周側にコーナーR刃5のすくい面5aが連続し、すくい面5aの半径方向外周側に外周刃6のすくい面6aが連続する。後述の子底刃42のすくい面42aの半径方向外周側にもコーナーR刃5のすくい面5aは連続し、すくい面5aの半径方向外周側に外周刃6のすくい面6aが連続する。外周刃6の回転方向後方側には逃げ面(2番面)6bが形成される。親底刃すくい面41aとこれに連続するすくい面5aは境界(境界線)のない連続した同一面(平面と曲面を含む)をなし、子底刃42のすくい面42aとこれに連続するすくい面5aも境界(境界線)のない連続した同一面(平面と曲面を含む)をなす。
親刃先端側ギャッシュ8は親底刃すくい面41aと、その親底刃41の回転方向r前方側に位置する子底刃逃げ面42bの回転方向r後方側に形成される先端側ギャッシュ面8aとから構成される。図1~図3は先端側ギャッシュ面8aが親刃先端側ギャッシュ8内で凹曲面として明確に表れるか、明確には表れず、全体が凹曲面をなす親刃先端側ギャッシュ8の一部になっている場合の例を示している。
先端側ギャッシュ面8aは図2に示すように子底刃逃げ面42bと、子底刃逃げ面42bの回転方向後方側に形成された3番面42c(以下、子底刃3番面42c)とに跨って形成される。子底刃3番面42cは子底刃42に連続するコーナーR刃5の逃げ面(2番面)5bの回転方向後方側に位置するため、コーナーR刃5の3番面を兼ねる。
図1に示すように子底刃42の回転方向前方側で、親刃先端側ギャッシュ8の回転方向前方側に、親刃先端側ギャッシュ8に連通する子刃先端側ギャッシュ9が形成される。言い換えれば、子刃先端側ギャッシュ9は基本的には図3に示すように子底刃42のすくい面42a(以下、子底刃すくい面42a)、またはその半径方向中心側に連続する部分の回転方向前方側の面(曲面)と、この子底刃42に回転方向r前方側に隣接する親底刃逃げ面41bとの間に形成される。子刃先端側ギャッシュ9は図1、図3に示すように子底刃すくい面42aより半径方向の中心O寄りに位置し、親刃先端側ギャッシュ8の回転方向r前方側に隣接している。
子刃先端側ギャッシュ9が親刃先端側ギャッシュ8の回転方向r前方側に位置することで、親底刃41が切削し、親刃先端側ギャッシュ8内に入り込んだ切屑の一部は子刃先端側ギャッシュ9内に入り(回り)込み得る状態にある。このため、親刃先端側ギャッシュ8内の切屑は親刃先端側ギャッシュ8の切屑排出溝7側に隣接する後述の親刃後方側ギャッシュ10と子刃先端側ギャッシュ9に分散し得る。
図示の例では底刃4が親底刃41と子底刃42とに区別され、子底刃42が半径方向中心O側より外周寄りの位置から形成されることに対応し、図1~図3に示すように親刃先端側ギャッシュ8と子刃先端側ギャッシュ9との間に先端面側に凸の稜線をなす境界線81が表れている。前記した「子底刃すくい面42aの半径方向中心側に連続する部分」は親刃先端側ギャッシュ8と子刃先端側ギャッシュ9との間の境界線81である。
子刃先端側ギャッシュ9は子底刃すくい面42a、または境界線81の回転方向前方側の面(曲面)と、その子底刃42の回転方向r前方側に位置する親底刃逃げ面41bの回転方向r後方側に形成される先端側ギャッシュ面9aとから構成される。子刃先端側ギャッシュ9は図3に示すように子底刃すくい面42aには面せず、直接には連続しない場合と、子底刃すくい面42aに面し、子底刃すくい面42aに連続する場合がある。
図1は先端側ギャッシュ面9aが子刃先端側ギャッシュ9内で面(平面と曲面を含む)として明確に表れない場合の例を示している。先端側ギャッシュ面9aは図3に示すように親底刃逃げ面(2番面)41bと、親底刃逃げ面41bの回転方向後方側に形成された3番面41d(以下、親底刃3番面41d)とに跨って形成される。親底刃3番面41dは親底刃41に連続するコーナーR刃5の逃げ面5bの回転方向後方側に位置するため、コーナーR刃5の3番面を兼ねる。親底刃逃げ面41bが例えば2番面と3番面とに2分割される場合、ここで言う親底刃3番面41dは4番面になる。
子刃先端側ギャッシュ9は親底刃逃げ面41bの子底刃42側の境界線41cに沿って形成される。子刃先端側ギャッシュ9の領域、すなわち先端部(切れ刃部2)の端面を見たときの子刃先端側ギャッシュ9の平面積は境界線41cに沿った区間の長さが大きい程、大きくなり、切屑収容能力が増す。このため、切屑収容能力を増す上では境界線41cのより長い区間、例えば境界線41cの全長の内、少なくとも半分以上の区間に沿って形成されることが適切である。図面では子刃先端側ギャッシュ9が境界線41cの全長に沿って形成された場合、すなわち境界線41cの全長が親底刃逃げ面41bと子刃先端側ギャッシュ9との境界線である場合の例を示している。
子刃先端側ギャッシュ9の切屑排出溝7側には、図3に示すように子刃先端側ギャッシュ9と切屑排出溝7に空間的に連続し、子刃先端側ギャッシュ9と異なる面をなす子刃後方側ギャッシュ11が形成される。子刃後方側ギャッシュ11は子底刃42の回転方向前方側に位置し、その子底刃すくい面42aを構成する。同様に親刃先端側ギャッシュ8の切屑排出溝7側には、図2に示すように親刃先端側ギャッシュ8と切屑排出溝7に空間的に連続し、親刃先端側ギャッシュ8と異なる面をなす親刃後方側ギャッシュ10が形成される。親刃後方側ギャッシュ10は親底刃41の回転方向前方側に位置し、その親底刃すくい面41aを構成する。
子刃先端側ギャッシュ9と子刃後方側ギャッシュ11との間には基本的に明確な境界線は表れないが、図1~図3では子刃先端側ギャッシュ9の領域と子刃後方側ギャッシュ11の領域を区別するために、便宜的に境界線に相当する線を二点鎖線で示している。親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10との間にも基本的に明確な境界線は表れないが、図面では親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10との間の境界線に相当する線を二点鎖線で示している。
子刃先端側ギャッシュ9と子刃後方側ギャッシュ11との間、及び親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10との間に明確な境界線が表れないことは、先端側ギャッシュ8、9の表面から後方側ギャッシュ10、11の表面へかけて連続した曲面でつながっていること、とも言える。このことは、図7に示すように後述の円筒面の先端側軸P1と後方側軸P2、及び母線L3と母線L4が角度をなして交わらず、二点鎖線で示す曲線を描いて先端側軸P1が後方側軸P2に移行し、母線L3が母線L4に移行することでもある。「連続した曲面」は曲率が一定の曲面と、曲率が連続的に変化する曲面を含む。図7に二点鎖線で示す曲線は先端側ギャッシュ8、9の表面から後方側ギャッシュ10、11への移行面12、13を表している。
子刃後方側ギャッシュ11は子底刃すくい面42aに面するため、子底刃すくい面42aと、子刃先端側ギャッシュ9、または先端側ギャッシュ面9aの切屑排出溝7側に形成される後方側ギャッシュ面11aとから構成される。図1は後方側ギャッシュ面11aが子刃後方側ギャッシュ11内で面(平面と曲面を含む)として必ずしも明確に表れない場合の例を示している。親刃後方側ギャッシュ10は親底刃すくい面41aに面するため、親底刃すくい面41aと、親刃先端側ギャッシュ8の切屑排出溝7側に形成される後方側ギャッシュ面10aとから構成される。図1は後方側ギャッシュ面10aが親刃後方側ギャッシュ10内で面(平面と曲面を含む)として必ずしも明確に表れない場合の例を示している。
図1は図3に示すように子刃先端側ギャッシュ9の子底刃42側の部分(一部)が子底刃すくい面42aに面するように、あるいは連続するように形成されている場合の例を示している。この例では子底刃42が切削し、子底刃すくい面42aに沿って切屑排出溝7側へ排出されようとする切屑の一部が一旦、子刃先端側ギャッシュ9内に入り込み得る状態にある。このため、子底刃42が切削した切屑が子刃後方側ギャッシュ11内に集中して入り込むことによる切屑の詰まりが抑制され易くなっている。
図1に示す例ではまた、図2に示すように親刃後方側ギャッシュ10の親底刃41側の部分が親底刃すくい面41aに面するように形成されている。この例では親底刃41が切削し、親底刃すくい面41aに沿って切屑排出溝7側へ排出されようとする切屑の一部が直接、親刃後方側ギャッシュ10内に入り込み得る状態にある。従って親底刃41が切削した切屑が親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10に分散し易くなるため、親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10のいずれか内に切屑が集中して入り込むことによる切屑の詰まりが抑制され易くなっている。
図1では切れ刃部2を先端面側から見たときの、子刃後方側ギャッシュ11と切屑排出溝7との境界線91が子底刃42の長さ方向の中点よりも外周寄りの位置で子底刃42と交わるように子刃後方側ギャッシュ11を形成している。この場合、切れ刃部2を先端面側から見たとき、切屑排出溝7の、工具本体先端面寄りの部分が切れ刃部2の半径方向中心O側へ食い込む形にはならず、コーナーR刃5寄りの位置に留まるため、中心O側へ食い込む場合よりエンドミル1先端部である切れ刃部2の剛性が向上する。
工具本体の先端部を回転軸O方向の先端面側から見たとき、親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10の表面は図6、図8-(a)、(b)に示すように同一の形状の凹曲面を形成している。同様に子刃先端側ギャッシュ9と子刃後方側ギャッシュ11の表面も同一の形状の凹曲面を形成している。この「同一形状の曲面」を分かり易くするために、便宜的に図6に示す、ギャッシュの表面の一部を形成すると想定した、曲面としての円筒面(円柱)を用いて曲面を説明する。
先端側ギャッシュ8、9の曲面は図6に示すように工具本体の回転軸O方向の後方側(シャンク部3側)に向かって凸の曲線L1が、回転軸Oに対して鋭角の角度θ1をなす先端側軸P1との距離を一定に保ったまま、先端側軸P1に沿って平行移動したときの軌跡が形成する曲面である。後方側ギャッシュ10、11の曲面は回転軸O側に向かって凸の曲線L2が、回転軸Oに対し、先端側軸P1より小さい鋭角の角度θ2をなす後方側軸P2との距離を一定に保ったまま、後方側軸P2に沿って平行移動したときの軌跡が形成する曲面である。
図6はまた、簡略化のために、先端側ギャッシュ8、9と後方側ギャッシュ10、11の表面を形成する曲面が、回転軸Oに対して傾斜した軸P1、P2を持つ円筒面(円柱面)であると仮定(想定)した場合の、曲面(円筒面)の母線L3、L4が回転軸Oに対して傾斜している様子も示している。先端側ギャッシュ8、9を形成する曲面としての円筒面の軸と母線がそれぞれP1、L3、後方側ギャッシュ10、11を形成する曲面としての円筒面の軸と母線がそれぞれP2、L4である。なお、母線L3、L4が軸P1、P2を中心に平行移動するときに、母線L3、L4が形成する(なぞる)、あるいは母線L3、L4の軌跡が描く曲面が図6に示す円筒面である。
図6に示す先端側軸P1と後方側軸P2は図7に示す砥石としての回転体Qの回転軸Cが平行移動するときの軌跡になる。図6、図7では簡略化のために、軸P1、P2と母線L3、L4(回転体Qの平行移動方向)が回転軸Oと交わるように記載しているが、軸P1、P2と母線L3、L4は回転軸Oに必ずしも交わる必要はない。回転体Qは工具本体を研削し、ギャッシュを形成すると想定した砥石に相当する。
上記のように工具本体の先端部を回転軸O方向の先端面側から見たときに半径方向に連続する親刃先端側ギャッシュ8と親刃後方側ギャッシュ10の表面の形状、並びに子刃先端側ギャッシュ9と子刃後方側ギャッシュ11の表面の形状は同一の曲面を形成する。この関係で、図6に示す先端側ギャッシュ8、9を想定した、先端側軸P1を持つ円筒面と、後方側ギャッシュ10、11を想定した、後方側軸P2を持つ円筒面の大きさは同一である。先端側ギャッシュ8、9の表面と後方側ギャッシュ10、11の表面が共に同一の形状の曲面を形成することは、図7のa-a線断面図である図8-(a)と図7のb-b線断面図である図8-(b)に表れている。
図8-(a)は先端側ギャッシュ8、9の表面の、先端側軸P1(母線L3)に直交する方向の断面を、(b)は後方側ギャッシュ10、11の表面の、後方側軸P2(母線L4)に直交する方向の断面を示す。ここに示すように後方側ギャッシュ10、11の表面が形成する曲面は先端側ギャッシュ8、9の表面が形成する曲面の一部になっており、後方側ギャッシュ10、11の表面(曲面)は先端側ギャッシュ8、9の表面(曲面)に互いに重なる形状になっている。図7のa-a線の断面とb-b線の断面上、工具本体の断面形状は厳密には楕円になるが、図8では簡略化のために円形断面として示している。
このように先端側ギャッシュ8、9の表面と後方側ギャッシュ10、11の表面は回転体Qの形状と平行移動の方向に従って決まり、後方側ギャッシュ10、11の表面(曲面)と先端側ギャッシュ8、9の表面(曲面)が互いに重なる形状であること以外、曲面の形状は任意である。「互いに重なる形状」とは、重なっている配置の状態を意味するのではなく、それぞれの表面を取り出せると仮定したときに、重ね合わせた場合に、重なる形状を意味する。表面(曲面)全体が重なることではなく、少なくとも一部が重なればよい趣旨である。
後方側ギャッシュ10、11の表面(曲面)と先端側ギャッシュ8、9の表面(曲面)が互いに重なる形状であることで、先端側ギャッシュ8、9内を通過する切屑の流れと、後端側ギャッシュ10、11内を通過する切屑の流れが揃い、切屑同士が進路を妨害し合うことなく、各切屑が円滑に流れ、切屑排出溝7へ速やかに排出される。このため、工具本体先端部の剛性を確保する目的で、先端側ギャッシュ8、9の心厚を後方側ギャッシュ10、11の心厚よりも相対的に大きくし、先端側ギャッシュ8、9の容積が後方側ギャッシュ10、11の容積よりも相対的に小さくなる形状にしたとしても、先端側ギャッシュ8、9内における切屑の滞留を抑制することができ、工具本体先端部の剛性を維持しつつ、切屑排出性を従来よりも向上させることができる。
特に上記のように先端側ギャッシュ8、9と後方側ギャッシュ10、11の表面を形成する曲面の基準となる先端側軸P1と後方側軸P2が同一平面内に位置していれば、先端側ギャッシュ8、9内の切屑は最短距離を通じて切屑排出溝7まで排出される。また先端側軸P1と後方側軸P2を含む平面の面内方向に見たとき、図8-(a)、(b)に示すように先端側ギャッシュ8、9の表面の最も深い位置を通る線L5と、後方側ギャッシュ10、11の表面の最も深い位置を通る線L6が同一直線上にあれば、線L5と線L6が一本の直線になるため、先端側ギャッシュ8、9内の切屑は、より最短距離を通じて切屑排出溝7まで排出される。線L5、線L6はそれぞれ母線L3、L4でもあるから、基本的に直線である。
先端側ギャッシュ8、9の曲面と後方側ギャッシュ10、11の曲面は円筒面には限られないため、各曲面の、あるいは図8に示す断面上の曲線の曲率は一定とは限らない。但し、例えばギャッシュの最も深い部分の曲率が最も大きければ、ギャッシュの容積が増加するため、切屑収容能力が増す。その上、先端側ギャッシュ8、9の表面の最も深い位置を通る線L5を含む直線と、後方側ギャッシュ10、11の表面の最も深い位置を通る線L6を含む直線が特定され易くなり、線L5と線L6を同一線上に位置させ易くなるため、先端側ギャッシュ8、9内と後方側ギャッシュ10、11内の切屑の排出性を高め易くなる。
図6に二点鎖線で示す2本の円筒面は前記のように図7に示す砥石としての回転体Qの回転軸Cが工具本体の回転軸Oに対して一定の角度を維持したまま、回転体Qが平行移動した場合に回転体Qの表面が工具本体をなぞり(摺動し)、削り取って形成する曲面を表している。回転体Qの回転軸Cが平行移動したときの軌跡が図6の軸P1、P2である。回転体Qが平行移動したときに、その表面がなぞる曲面が円筒面であると仮定したときの回転体Qは球体であるが、実際の回転体Q(砥石)の形状は任意であり、円錐形状やそれが変形した形状等もある。
図7は先端側ギャッシュ8、9と後方側ギャッシュ10、11の表面を形成する曲面が回転体Q(砥石)の平行移動により形成されると仮定した場合の、先端側ギャッシュ8、9と後方側ギャッシュ10、11の形成時の様子を示す。
図7では、回転体Qの回転軸Cが工具本体の回転軸Oに直交する方向を向いている場合の例を示しているが、回転軸Oの方向に対する回転軸Cの方向(角度)は任意である。また上記のように先端側軸P1と後方側軸P2を含む平面の面内方向に見たとき、先端側ギャッシュ8、9の表面の最も深い位置を通る線L5を含む直線と、後方側ギャッシュ10、11の表面の最も深い位置を通る線L6を含む直線が同一線上にある場合、図7における軸P1と軸P2、または母線L3と母線L4は同一平面内に位置するが、必ずしもその必要はなく、異なる平面内に位置することもある。
図7に示すように回転体Qが先端側ギャッシュ8、9を形成するときの回転軸Cの平行移動の方向と、後方側ギャッシュ10、11を形成するときの回転軸Cの平行移動の方向は相違し、後方側ギャッシュ10、11を形成するときの平行移動の方向と回転軸Oとのなす角度の方が小さい。これは先端側ギャッシュ8、9内の切屑を切屑排出溝7内に移行するまで段階的に角度を変えて誘導するためである。
回転体Qが先端側ギャッシュ8、9を形成するときの回転軸Cの平行移動の方向は図6に示す円筒面の軸P1の方向であり、回転体Qが後方側ギャッシュ10、11を形成するときの回転軸Cの平行移動の方向は図6に示す円筒面の軸P2の方向である。回転体Qが先端側ギャッシュ8、9を形成するときの平行移動の方向と回転軸Oとのなす鋭角の角度は図5、図7に示すようにθ1であり、後方側ギャッシュ10、11を形成するときの平行移動の方向と回転軸Oとのなす鋭角の角度はθ2である。参考までに、図7に示すように図2、図3に示す切屑排出溝7の表面の最も深い位置を通る線を含む直線L7と回転軸Oとのなす角度をθ3とすれば、θ3<θ2であり、整理すれば、各角度はθ3<θ2<θ1の関係にある。
1……エンドミル(工具本体)、
2……切れ刃部、3……シャンク部、
41……親底刃、41a……親底刃のすくい面、41b……親底刃の逃げ面(2番面)、41c……親底刃41の逃げ面41bの子底刃42側の境界線、41d……親底刃の3番面、
42……子底刃、42a……子底刃のすくい面、42b……子底刃の逃げ面(2番面)、42c……子底刃の3番面、
5……コーナーR刃、5a……コーナーR刃のすくい面、5b……コーナーR刃の逃げ面、
6……外周刃、6a……外周刃のすくい面、6b……外周刃の逃げ面、
7……切屑排出溝、71……切屑排出溝7の切れ刃部2側の境界線、
8……親刃先端側ギャッシュ(親刃先端側凹面)、8a……先端側ギャッシュ面、81……親刃先端側ギャッシュ8の子刃先端側ギャッシュ9寄り(親刃先端側ギャッシュ8と子刃先端側ギャッシュ9との間)の境界線、
9……子刃先端側ギャッシュ(子刃先端側凹面)、9a……先端側ギャッシュ面、91……切れ刃部2を先端面側から見たときの子刃後方側ギャッシュ11と切屑排出溝7との間の境界線、
10……親刃後方側ギャッシュ(親刃後方側凹面)、10a……後方側ギャッシュ面、
11……子刃後方側ギャッシュ(子刃後方側凹面)、11a……後方側ギャッシュ面、
12……親刃先端側凹面(親刃先端側ギャッシュ)8から親刃後方側凹面(親刃後方側ギャッシュ)10への移行面、
13……子刃先端側凹面(子刃先端側ギャッシュ)9から子刃後方側凹面(子刃後方側ギャッシュ)11への移行面、
P1……先端側ギャッシュ8、9を想定した曲面(円筒面)の軸(先端側軸)、L1……回転軸O方向の後方側に向かって凸の曲線、L3……先端側ギャッシュ8、9を想定した曲面(円筒面)の母線、
P2……後方側ギャッシュ10、11を想定した曲面(円筒面)の軸(後方側軸)、L2……回転軸O側に向かって凸の曲線、L4……後方側ギャッシュ10、11を想定した曲面(円筒面)の母線、
Q……回転体、C……回転体の回転軸、
L5……先端側ギャッシュ8、9の表面の最も深い位置を通る線、
L6……後方側ギャッシュ10、11の表面の最も深い位置を通る線、
L7……切屑排出溝7の表面の最も深い位置を通る線を含む直線。

Claims (6)

  1. 工具本体の回転軸方向の先端部側に、前記先端部を回転軸方向の先端面側から見たときに半径方向中心側から外周側へかけて連続し、前記工具本体の回転方向に隣り合って配列する複数本の切れ刃と、前記各切れ刃の回転方向前方側に形成されたギャッシュと、前記ギャッシュから前記回転軸方向後方側に連続する切屑排出溝とを備え、
    前記ギャッシュは、前記回転軸と鋭角をなす先端側軸に沿って形成された先端側凹面と、前記先端側凹面の前記回転軸方向後方側に隣接し、前記回転軸と、前記先端側軸より小さい鋭角をなす後方側軸に沿って形成された後方側凹面とを含み、
    前記先端側凹面と前記後方側凹面とは互いに重なる形状をしていることを特徴とするエンドミル。
  2. 前記先端側凹面と前記後方側凹面は連続した曲面でつながっていることを特徴とする請求項1に記載のエンドミル。
  3. 前記先端側軸と前記後方側軸は同一平面内に位置していることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載のエンドミル。
  4. 前記先端側軸と前記後方側軸を含む平面の面内方向に見たとき、前記先端側凹面の表面の最も深い位置を通る線と、前記後方側凹面の表面の最も深い位置を通る線が同一直線上にあることを特徴とする請求項に記載のエンドミル。
  5. 前記先端側凹面は、前記工具本体の前記回転軸方向の後方側に向かって凸の曲線が、前記回転軸に対して鋭角の角度をなす先端側軸との距離を一定に保ったまま、前記先端側軸に沿って平行移動したときの曲面をなし、
    前記後方側凹面は、前記回転軸側に向かって凸の曲線が、前記回転軸に対し、前記先端側軸より小さい鋭角の角度をなす後方側軸との距離を一定に保ったまま、前記後方側軸に沿って平行移動したときの曲面をなしていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエンドミル。
  6. 円柱形の工具本体に対し、回転体である砥石を前記回転体の回転軸回りに回転させながら、前記砥石の表面を前記先端側軸に沿い、平行移動させて前記先端側凹面を形成し、そのまま前記砥石を前記回転体の回転軸回りに回転させながら、前記砥石の表面を前記後方側軸に沿い、平行移動させて前記後方側凹面を形成し、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のエンドミルを製作することを特徴とするエンドミルの製作方法。
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