JP7496100B2 - 希土類元素添加光ファイバ - Google Patents

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Description

本発明は、希土類元素添加光ファイバに関する。
光ファイバは、一般に、コア部と、そのコア部を被覆するクラッド部とを有する。この種の光ファイバでは、コア部の屈折率をクラッド部の屈折率よりも大きくして、光をコア部とクラッド部の境界で全反射させることにより、その光をコア部内に閉じ込めて、光信号として遠方に伝播させる。
また、光ファイバは、光増幅器としても利用されている。光増幅器用の光ファイバとして、コア部に希土類元素を添加した希土類元素添加光ファイバが知られている。希土類元素添加光ファイバを用いた光ファイバ増幅器の中で、地上の光ファイバ通信網や宇宙光通信における主要波長帯である1550nm帯の増幅には、主に、Er(エルビウム)を添加したEr添加光ファイバが用いられている。宇宙光通信においては、中継増幅が基本的に実施できない遠距離での高速光通信の実現が求められるため、高出力化が必要となり、シングルモードレーザダイオードを用いたコア励起型の光ファイバ増幅器では励起パワーが不足することがある。そのため、980nm帯の高出力な励起用マルチモードレーザダイオードが適用可能なダブルクラッドファイバを用いたクラッド励起型の光ファイバ増幅器が適用される。このとき、コア部にErのみを添加したEr添加光ファイバでは、クラッド部を伝播する980nm帯の励起光のコア部での吸収帯域・吸収量がいずれも不足しやすい。この980nm帯の吸収帯域・吸収量を向上させるために、ErとYb(イッテルビウム)を共添加したEr/Yb添加光ファイバを用いた光ファイバ増幅器が検討されている。
光増幅器として利用する希土類元素添加光ファイバでは、利得を向上させるために、コア部の希土類元素の含有量を多くすることが有効である。しかしながら、希土類元素(特に、Er)の含有量を多くし過ぎると、希土類元素同士のクラスタリング(寄り集ること)が生成して濃度消光が起こり、却って利得が低下することがある。この希土類元素同士のクラスタリングの生成を防止するために、希土類元素添加光ファイバでは、コア部に、P(リン)やAl(アルミニウム)を共添加して希土類元素を分散させることが行なわれている。
特許文献1には、希土類元素及び少なくともPが添加されたコアと、上記コアの外周囲に設けられたクラッドとを備えた希土類元素添加光ファイバについて、上記コアの最小伝送損失は、1000nmから1700nmの波長帯域において、3dB/km以上100dB/km以下であり、上記コアNAは、0.05以上0.25以下であり、上記コアに添加されている希土類元素の濃度は、2wt%以上10wt%以下とすることが開示されている。この特許文献1の実施例には、コア部のYb含有量が3.3wt%、Er含有量が0.28wt%、P含有量が6.9wt%、Ge含有量が0.1wt%、F含有量が0.35wt%の希土類元素添加光ファイバが記載されている。
特開2014-143287号公報
ErとYbが添加された希土類元素添加光ファイバでは、Ybイオンの7/2準位から5/2準位への基底準位吸収によって、980nm帯の励起帯域・吸収量が大幅に改善される。そして、980nm帯の励起光を吸収して5/2準位に遷移したYbイオンが、イオン間相互作用によって、Erイオンを11/2準位に間接的に励起することにより、Ybイオンのエネルギー吸収をErイオンの光増幅作用に用いることが可能となる。しかしながら、Erイオンの11/2準位からYbイオンの5/2準位への逆遷移、Erイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収(ESA)、Ybイオンの準位間での発光(5/2準位から7/2準位への遷移)等によるエネルギー損失が生じることによって、励起光から信号光への変換効率が低下することがあった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、エネルギー損失が少なく、励起光から信号光への変換効率が高いErとYbとを含む希土類元素添加光ファイバを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の希土類元素添加光ファイバは、コア部と、前記コア部の周囲を覆うクラッド部とを有し、前記コア部が、Ybと、Erと、Pとを含み、前記Ybと前記Erの合計含有量に対する前記Pの含有量の比P/(Yb+Er)が、原子濃度比で15以上25.1以下の範囲内にあり、YbとErとの比Yb/Erは、質量比で2以上50以下の範囲内であり、PとErとの比P/Erは、質量比で13以上360以下の範囲内であることを特徴としている。


本発明の希土類元素添加光ファイバにおいては、前記コア部は、Geを含み、前記Geの含有量が0.5質量%以上12.0質量%以下であってもよい。
また、本発明の希土類元素添加光ファイバにおいては、前記Erの含有量が0.05質量%以上であってもよい。
本発明によれば、エネルギー損失が少なく、励起光から信号光への変換効率が高いErとYbとを含む希土類元素添加光ファイバを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る希土類元素添加光ファイバの横断面図である。
以下、本発明に係る希土類元素添加光ファイバの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を理解し易くするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。
図1は、本発明の一実施形態に係る希土類元素添加光ファイバの横断面図である。
図1に示すように、希土類元素添加光ファイバ1は、コア部2と、コア部2の周囲を覆うクラッド部3とを有する。クラッド部3は、コア部2の周囲に形成された第1クラッド層3aと、第1クラッド層3aの外側に形成された第2クラッド層3bとを備えるダブルクラッド構造とされている。第2クラッド層3bの外側は、被覆層4で被覆されている。
コア部2は、Yb(イッテルビウム)と、Er(エルビウム)と、P(リン)とを含む。
コア部2に含まれるErは、波長980nmあるいは波長1480nmの光(励起光)によって励起されて、波長1550nmの光(信号光)を生成する作用を有する。
Ybは、波長800nm~1100nmの広い波長範囲の光で励起され、その励起したYbからErへのエネルギー遷移によってErを励起させる作用を有する。この作用によって、波長1550nmの光の生成量を増加させることができる。また、Ybは、Erの周囲に配位して、Er同士の距離を長くすることによって、Erのクラスタリングの発生を抑制する作用も有する。この作用によって、Erの含有量が多くてもErの濃度消光を抑えることができ、これによっても波長1550nmの光の生成量を増加させることができる。
Pは、Erの周囲に配位して、Er同士の距離を長くすることによって、Erのクラスタリングの発生を抑制する作用を有する。この作用によって、Erの含有量が多くてもErの濃度消光を抑えることができ、これによって波長1550nmの光の生成量を増加させることができる。また、Pは、Erイオンの11/2準位からYbイオンの5/2準位への逆遷移やErイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収(ESA)を抑制する作用も有する。
コア部2のYbとErとPの含有量は、YbとErの合計含有量に対するPの含有量の比P/(Yb+Er)が、原子濃度比で15以上50以下の範囲内となるようにされている。P/(Yb+Er)の原子濃度比がこの範囲内にあることによって、YbイオンとErイオンとのイオン間相互作用によるYbイオンの5/2準位からErイオンの11/2準位への遷移が起こりやすくなるので、5/2準位に遷移されたYbイオンのエネルギー損失が少なくなる。このため、本実施形態の希土類元素添加光ファイバ1は、励起光から信号光への変換効率が高くなる。
P/(Yb+Er)の原子濃度比が低くなりすぎる(Pの含有量が少なくなりすぎる、あるいはYbとErの合計含有量が多くなりすぎる)と、希土類元素同士のクラスタリングが生成して、コア部2が白濁するおそれある。また、Pの含有量が少なくなりすぎることに起因して、Erイオンの11/2準位からYbイオンの5/2準位への逆遷移やErイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収が起こりやすくなりErイオンのエネルギー損失が多くなるおそれがある。一方、P/(Yb+Er)の原子濃度比が高くなりすぎる(Pの含有量が多くなりすぎる、あるいはYbとErの合計含有量が少なくなりすぎる)と、YbイオンとErイオンとのイオン間相互作用によって、Erイオンを11/2準位に励起しにくくなり、5/2に励起されたYbイオンがYb準位間での発光で基底準位へと戻るため、励起光から信号光への変換効率が低下するおそれがある。P/(Yb+Er)の原子濃度比は、18.0以上であることが好ましく、20.0以上であることがより好ましい。また、P/(Yb+Er)の原子濃度比は、35.0以下であることが好ましく、30.0以下であることがより好ましい。
コア部のEr含有量は、好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.09質量%以上である。一方、Er含有量が多くなりすぎると、クラスタリングの発生による濃度消光が発生するおそれがあるため、次項以降に示す範囲でYb、Pを共添加させる必要がある。
コア部2のYbの含有量は、YbとErとの比Yb/Erは、質量比で好ましくは1以上50以下の範囲内であり、より好ましくは2以上50以下の範囲内であり、さらに好ましくは4以上50以下の範囲内であり、特に好ましくは4以上40以下の範囲内であり、特に好ましくは4以上20以下の範囲内である。Yb含有量をこの範囲内とすることによって、波長1550nmの光の生成をより確実に増加させることができる。
コア部2のP含有量は、PとErとの比P/Erは、質量比で好ましくは5以上360以下の範囲内であり、より好ましくは13以上360以下の範囲内であり、特に好ましくは18以上360以下の範囲内である。P含有量がこの範囲内にあることによって、Erのクラスタリングの発生、Erイオンの11/2準位からYbイオンの5/2準位への逆遷移、Erイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収をより確実に抑制することができる。
希土類元素添加光ファイバ1のコア部2は、Ge(ゲルマニウム)を含んでいてもよい。Geは、コア部2に含まれているPに起因する放射線の照射による欠陥吸収の生成を抑制して、希土類元素添加光ファイバ1の耐放射線性を向上させる作用を有する。
コア部2のGe含有量は、好ましくは0.5質量%以上12.0質量%以下の範囲内である。Ge含有量の下限値は、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは2.3質量%以上、特に好ましくは3.2質量%以上である。Ge含有量の上限値は、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは9.0質量%以下、特に好ましくは8.6質量%以下、さらにより好ましくは6.0質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。Ge含有量が少なくなりすぎると、耐放射線性を十分に向上させることが難しくなるおそれがある。一方、Ge含有量が多くなりすぎても、耐放射線性の向上効果は飽和し、またNA(開口数)が大きくなりすぎるおそれがある。
クラッド部3の第1クラッド層3aは、コア部2に対するクラッドとして機能すると同時に、ポンピングガイドとも呼ばれ、励起光のマルチモード導波路として機能する。第1クラッド層3aは、コア部2よりも屈折率が低いものであれば、その材料には特に制限はない。第1クラッド層3aの材料としては、例えば、シリカガラス(石英ガラス)を使用することができる。
第2クラッド層3bは、第1クラッド層3aのポンピングガイドに対するクラッドとして機能する。第2クラッド層3bは、第1クラッド層3aよりも屈折率が低いものであれば、その材料には特に制限はない。第2クラッド層3bは、シリコーン系あるいはアクリル系の低屈折率樹脂を用いた樹脂クラッド型であってもよいし、クラッドにエアホール(空孔)を配列させたエアホール型であってもよい。
被覆層4は、樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの硬化性樹脂材料を用いることができる。
希土類元素添加光ファイバ1のコア部2の直径は、特に限定されないが、3μm以上110μm以下の範囲内であってもよい。第1クラッド層3aの厚さは特に限定されないが、25μm以上350μm以下の範囲内であってもよい。第2クラッド層3bの厚さは特に限定されないが、5μm以上100μm以下の範囲内であってもよい。
次に、本実施形態の希土類元素添加光ファイバの製造方法について、第2クラッド層が樹脂クラッド型である場合を例にとって説明する。
本実施形態の希土類元素添加光ファイバは、例えば、希土類元素添加光ファイバ製造用の母材(プリフォーム)を作製する母材作製工程と、得られた母材を線引きしてコア部が第1クラッド層で被覆されたシングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバを製造する線引き工程と、得られたシングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバに第2クラッド層を形成する第2クラッド層形成工程と、第2クラッド層の周囲を保護樹脂で被覆する被覆層形成工程とを有する方法によって製造することができる。
(母材作製工程)
母材作製工程で作製する母材は、コア形成部と、コア形成部の周囲を覆う第1クラッド形成部とを有する。コア形成部は、Er、Yb、P、さらに必要に応じてGeを含むシリカ組成物からなり、第1クラッド形成部は、コア形成部よりも屈折率が低いシリカもしくはシリカ組成物からなる。
母材は、コア形成部と第1クラッド形成部の一部を有するシリカ複合体を作製し、次いで、シリカ複合体の周囲に第1クラッド形成部の不足分を追加することによって得ることができる。第1クラッド形成部の不足分を追加することによって、コア形成部と第1クラッド形成部の外径を所望の比率にすることができる。
シリカ複合体の作製方法としては、MCVD法(Modified Chemical Vapor Deposition Method)を用いることができる。具体的には、石英管に、シリカ源(例えば、SiCl)、Er源(例えば、Er(DPM))、Yb源(例えば、Yb(DPM))、P源(例えば、POCl)、さらに必要に応じてGe源(例えば、GeCl)、及び酸素を含む原料ガスを供給しながら、石英管を酸水素バーナにより加熱する。このとき、原料ガスの種類や組成を調整することによって、コア形成部に含有されるEr、Yb、P、Geの量を調整することができる。こうしてEr、Yb、P、Geを含むガラス組成物粒子からなるスートを石英管に堆積させる。次いで、石英管を酸水素バーナにより加熱して、スートを透明のガラス層とする。そして最後に、原料ガスの供給を止めて、石英管を酸水素バーナにより加熱して、石英管を軟化させて、中空部を潰す。これにより、Er、Yb、P、Geを含むシリカ組成物からなるコア形成部と、そのコア形成部の周囲を覆う第1クラッド形成部とを有するシリカ複合体が得られる。なお、シリカ複合体の作製方法としては、上記のMCVD法以外に光ファイバ製造用の母材の作製方法として一般に用いられている各種の方法、例えば、OVD法(Outside Vaper Deposition Method)、VAD法(Vapor phase Axial Deposition Method)などを利用することができる。
シリカ複合体の周囲に第1クラッド形成部の不足分を追加する方法としては、ジャケット法(ロッドインチューブ法とも呼ばれる)を用いることができる。具体的には、MCVD法で用いた石英管と組成が同じもしくは近い石英管の内部に、MCVD法によって得られた母材を挿入し、石英管を酸水素バーナによって加熱して、母材と石英管とを一体化させる。このようにして、コア形成部と第1クラッド形成部の外径を所望の比率とした希土類元素添加光ファイバ製造用の母材を得ることができる。
(線引き工程)
線引き工程では、上記の母材作製工程で作製した希土類元素添加光ファイバ製造用の母材を加熱して溶融させ、溶融した母材を糸状に引き伸ばして、冷却する。これによってシングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバを得ることができる。母材を糸状に引き伸ばす方法としては、光ファイバの製造で一般に用いられている各種の方法を利用することができる。
(第2クラッド層形成工程)
第2クラッド層形成工程では、上記の線引き工程で得られたシングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバの周囲を第1クラッド層よりも屈折率が低い低屈折率樹脂で被覆することによって第2クラッド層を形成する。具体的には、シングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバの周囲を硬化性の低屈折率樹脂で被覆して、その硬化性の低屈折率樹脂を硬化させることによって、第2クラッド層を形成する。このようにして、ダブルクラッド型の希土類元素添加光ファイバを得ることができる。
(被覆層形成工程)
得られたダブルクラッド型の希土類元素添加光ファイバの第2クラッド層の周囲を保護樹脂で被覆して、被覆層を形成することによって、本実施形態の希土類元素添加光ファイバが得られる。保護樹脂で被覆する方法としては、例えば、硬化性樹脂を塗布し、硬化させる方法を利用することができる。
線引き工程、第2クラッド層形成工程および被覆層形成工程は、一連の工程として連続的に行うのが一般的である。その理由は、光ファイバガラス裸線の状態では曲げや引張りに対する強度が低く、裸線の状態でボビンに巻き取ると断線を引き起こしやすいからである。一連の工程として連続的に第2クラッド層や被覆層を形成することによって強度を高くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上述の実施形態では、希土類元素添加光ファイバを、ダブルクラッド型光ファイバ(DCF)として説明したが、本発明の希土類元素添加光ファイバはこれに限定されるものではない。本発明の希土類元素添加光ファイバは、シングルクラッド型光ファイバであってもよく、またマルチモード型光ファイバ(MMF)、シングルモード型光ファイバ(SMF)、偏波保持型光ファイバなどの光ファイバとして利用されている種々の形態とすることができる。
以下に、本発明の作用効果を、実施例により説明する。
[実施例1]
(希土類元素添加光ファイバ製造用の母材の作製)
MCVD法により、コア形成部が、Yb含有量が0.84質量%、Er含有量が0.17質量%、P含有量が7.31質量%、Ge含有量が6.71質量%のシリカ組成物からなり、第1クラッド形成部の一部がシリカガラスであるガラス複合体(直径:13mm)を得た。次いで、得られたガラス複合体の周囲に、上記第1クラッド形成部と組成が同じ石英管を用いたジャケット法により、第1クラッドを追加して、希土類元素添加光ファイバ製造用の母材(直径:30mm)を作製した。
(希土類元素添加光ファイバの作製)
上記の母材を線引きして、コア径が8.1μmで、第1クラッド層の直径が125μmのシングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバを得た。次いで、得られたシングルクラッド型の希土類元素添加光ファイバの周囲を、紫外線硬化性のアクリル系低屈折率樹脂で被覆し、そのアクリル系低屈折率樹脂を硬化させて、第2クラッド層のアクリル系低屈折率樹脂の厚さが35μmのダブルクラッド型の希土類元素添加光ファイバを得た。そして、得られたダブルクラッド型の希土類元素添加光ファイバの周囲を保護樹脂で被覆することによって、被覆層を形成して、2LPモードで伝搬するダブルクラッド型(2LP-DCF型)の希土類元素添加光ファイバを作製した。線引き工程、第2クラッド層形成工程および被覆層形成工程は、一連の工程として連続的に行なった。得られた2LP-DCF型の希土類元素添加光ファイバは、被覆層まで含めた直径が250μmであった。
[実施例2~13]
コア形成部の組成を、下記の表1に示す組成としたこと以外は実施例1と同様にして希土類元素添加光ファイバ製造用の母材を作製した。そして、得られた母材を、コア径が下記の表1に示す値となるように線引きしたことは実施例1と同様にして2LP-DCF型の希土類元素添加光ファイバを作製した。
[評価]
実施例1~13で得られた2LP-DCF型の希土類元素添加光ファイバについて、最大光-光変換効率と分光強度と耐γ線特性を下記の方法により測定した。その結果を、下記の表2に示す。
(最大光-光変換効率)
波長975nmの光を励起光として用いて、励起光の入力電力に対する信号光(波長1550nm)の出力電力の割合を最大光-光変換効率として算出した。なお、実施例1~5では前方向励起評価と後方向励起評価を行ない、実施例6では前方向励起評価のみを行ない、実施例7~13では後方向励起評価のみを行なった。前方向励起評価は、励起光を信号光の伝送方向に対して同じ方向に入射したときの評価を意味し、後方向励起評価は、励起光を信号光の伝送方向に対して反対の方向に入射したときの評価を意味する。
(分光強度)
波長975nmの光を励起光として用いて、波長1550nmの信号光を増幅した際に、希土類元素添加光ファイバの側面から放出された波長548nmの光の強度を、分光色彩照度計を用いて測定した。波長548nmの光は、Erイオンの3/2準位が15/2準位に遷移したときの発光である。Erイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収が起こると、7/2準位から11/2準位、3/2準位の順で遷移する。よって、分光強度が低いことは、Erイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収が少ないことを意味する。ただし、励起状態吸収は,YbイオンからErイオンへのエネルギー移動に伴う現象のため、548nmの分光強度があまりにも小さい場合は、YbイオンからErイオンへのエネルギー移動が効率良く行なわれていないことを示すことにもなる。なお、実施例1~5では前方向励起評価と後方向励起評価を行ない、実施例6では前方向励起評価のみを行ない、実施例7~13では後方向励起評価のみを行なった。前方向励起評価は、励起光を、信号光の伝送方向に対して同じ方向に入射したときの評価を意味し、後方向励起評価は、励起光を、信号光の伝送方向に対して反対の方向に入射したときの評価を意味する。
(耐γ線特性)
横軸を光の波長とし、縦軸を光の吸収損失とした光の損失スペクトルを下記の方法で測定した。
<光の損失スペクトルの測定方法>
損失スペクトルはカットバック法により測定した。条長L[m]の被測定ファイバに白色光を入射し、光スペクトラムアナライザを用いて透過光スペクトルを測定した。このときの光パワーをP[dBm]とした。次いで、被測定ファイバの条長をL[m]にカットバックし、カットバック後の被測定ファイバの透過光スペクトルを測定した。このときの光パワーをP[dBm]とした。Lは約10m、Lは約2mとした。吸収損失[dB/m]は、(P-P)/(L-L)により求めた。
次いで、希土類元素添加光ファイバに、コバルト60のγ線照射装置を用いて、γ線を1000Gy(静止軌道に10年間静置した場合に相当)照射した。γ線照射後の希土類元素添加光ファイバについて、光の損失スペクトルを再測定した。そして、γ線照射後の希土類元素添加光ファイバの光の損失スペクトルからγ線照射前の光の損失スペクトルを減じた値を、吸収損失の増加量として算出した。光の損失スペクトルの波長(nm)を光子エネルギー量(eV)に換算して、横軸を光子エネルギー量(eV)とし、縦軸に吸収損失の増加量をプロットしたグラフを作成し、このプロットしたデータを用いて、ガウシアンフィッティングを行って近似曲線を得た。ガウシアンフィッティングは、下記の文献に記載されているパラメータを用いて行なった。表2には、波長1570nmの光の吸収損失増加量を示した。
「D. L. Griscom, E. J. Friebele, K. J. Long and J. W. Fleming, “Fundamental defect centers in glass: Electron spin resonance and optical absorption studies of irradiated phosphorus-doped silica glass and optical fibers,” Journal of Applied Physics, vol. 54, no. 7, pp. 3743-3762, 1983.」
Figure 0007496100000001
Figure 0007496100000002
P/(Yb+Er)の原子濃度比が、本発明の範囲内にある実施例1~13の希土類元素添加光ファイバは、最大光-光変換効率が高い値を示すことがわかる。特に、P/(Yb+Er)の原子濃度比が40.0以下で、かつYb/Erが2以上で、P/Erが13以上とされた実施例2~11、13の希土類元素添加光ファイバは、最大光-光変換効率が高い値を示すことがわかる。また、P/(Yb+Er)の原子濃度比が18.0以上とされた実施例1~4、6~13の希土類元素添加光ファイバは、分光強度が低く、Erイオンの11/2準位から7/2準位への励起状態吸収が低減されていることがわかる。
また、コア部がGeを含む実施例1~5、7~13の希土類元素添加光ファイバは、ガンマ線照射後の光の吸収損失増加量が低く、耐γ線特性が向上することがわかる。
本発明の希土類元素添加光ファイバは、光通信用の光増幅器用部品や光ファイバジャイロなど光ファイバを利用した各種センサ用部品として好適に使用することができる。特に、コア部にGeを含む希土類元素添加光ファイバは、宇宙機(例えば、ロケット、人工衛星、宇宙船)に搭載される光通信機器や光ファイバジャイロ、原子炉における光増幅器、航空機搭載用の光通信機器などの耐放射線性が要求される用途において好適に使用することができる。
1…希土類元素添加光ファイバ、2…コア部、3…クラッド部、3a…第1クラッド層、3b…第2クラッド層、4…被覆層

Claims (3)

  1. コア部と、前記コア部の周囲を覆うクラッド部とを有し、前記コア部が、Ybと、Erと、Pとを含み、前記Ybと前記Erの合計含有量に対する前記Pの含有量の比P/(Yb+Er)が、原子濃度比で15以上25.1以下の範囲内にあり、YbとErとの比Yb/Erは、質量比で2以上50以下の範囲内であり、PとErとの比P/Erは、質量比で13以上360以下の範囲内である、希土類元素添加光ファイバ。
  2. 前記コア部は、Geを含み、前記Geの含有量が0.5質量%以上12.0質量%以下である、請求項1に記載の希土類元素添加光ファイバ。
  3. 前記Erの含有量が0.05質量%以上である、請求項1または2に記載の希土類元素添加光ファイバ。
JP2019238775A 2019-01-11 2019-12-27 希土類元素添加光ファイバ Active JP7496100B2 (ja)

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