JP7496062B2 - 多層プリフォーム、多層プリフォームの製造方法および多層容器の製造方法 - Google Patents

多層プリフォーム、多層プリフォームの製造方法および多層容器の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、多層プリフォーム、多層プリフォームの製造方法および多層容器の製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルは、機械的特性、化学的安定性、耐熱性、ガスバリア性および透明性等に優れ、かつ安価であることから、飲料品等を充填するボトル等の製造に広く使用されている。特に、内容物の持続的な品質維持のため、より高いガスバリア性を有するボトルの開発が求められている。
従来から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜、あるいはアルミニウム等の無機物の蒸着膜を設けて、ガスバリア性を向上させたボトルが提案されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、ガスバリア性を向上するために、無機酸化物の蒸着膜を備えるプラスチックボトルが提案されている。
特開2001-301731号公報 特開2007-223098号公報
しかしながら、無機物および無機酸化物の蒸着膜は延伸性に乏しく、プリフォームのブロー成形による延伸に追従することができない場合がある。この場合、蒸着膜にクラック等が生じてしまい、プラスチックボトルのガスバリア性が低下する可能性がある。このため、ボトルに対し蒸着膜を形成する場合、プリフォームをブロー成形することにより得られるボトルに対して蒸着膜を形成することが好ましい。
一方、ボトルの生産性の観点からは、ボトルを成形する前、例えば、プリフォーム等にガスバリア性を付与し、これをブロー成形してボトルを作製することが望ましい。このため、ブロー成形後であっても、高いガスバリア性を維持することのできるプリフォームが求められている。
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、ブロー成形後のガスバリア性に優れる多層プリフォーム、多層プリフォームの製造方法および多層容器の製造方法を提供することを目的とする。
一実施の形態による多層プリフォームは、フィルムにより構成された外層と、前記外層の内側に配置され、前記外層と一体に形成された内層とを備え、前記外層は、溶解性熱可塑性樹脂を含む、多層プリフォームである。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記溶解性熱可塑性樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂およびエチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記外層は、カルボキシ基含有樹脂を更に含んでいてもよい。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記カルボキシ基含有樹脂が、ポリアクリル酸であってもよい。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記外層における前記カルボキシ基含有樹脂の含有量は、1質量%以上80質量%以下であってもよい。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記溶解性熱可塑性樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、前記ポリビニルアルコール系樹脂に対する前記カルボキシ基含有樹脂の質量比が、1/20以上10/1以下であってもよい。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記内層にゲート痕が存在していてもよい。
一実施の形態による多層プリフォームにおいて、前記外層のうち、前記ゲート痕に対応する位置に開口部が形成されており、前記ゲート痕は、前記開口部から外方に露出していてもよい。
一実施の形態による多層プリフォームの製造方法は、キャビティ側金型と、コアを含むコア側金型とを有する金型組合体を準備する工程と、前記キャビティ側金型に、フィルムを装着する工程と、前記フィルムが装着された前記キャビティ側金型内に、前記コアを挿入する工程と、前記キャビティ側金型に装着された前記フィルムと、前記コアとの間の空間に射出樹脂を射出することにより、前記フィルムにより構成された外層と、前記外層の内側に配置され、前記外層と一体に形成された内層とを有する多層プリフォームを形成する工程とを備え、前記外層は、溶解性熱可塑性樹脂を含む、多層プリフォームの製造方法である。
一実施の形態による多層プリフォームの製造方法において、前記溶解性熱可塑性樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂およびエチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
一実施の形態による多層プリフォームの製造方法において、前記外層は、カルボキシ基含有樹脂を更に含んでいてもよい。
一実施の形態による多層容器の製造方法は、一実施の形態による多層プリフォームの製造方法により多層プリフォームを作製する工程と、前記多層プリフォームに対してブロー成形を施す工程と、を備える、多層容器の製造方法である。
本開示によれば、ブロー成形後のガスバリア性に優れる多層プリフォーム、多層プリフォームの製造方法および多層容器の製造方法を提供することができる。
図1は、一実施の形態による多層容器を示す部分垂直断面図である。 図2は、一実施の形態による多層容器を示す水平断面図(図1のII-II線断面図)である。 図3は、一実施の形態による多層プリフォームを示す部分垂直断面図である。 図4は、一実施の形態による多層プリフォームを示す水平断面図(図3のIV-IV線断面図)である。 図5(a)-(d)は、一実施の形態による多層プリフォームの製造方法を示す概略図である。 図6(a)-(d)は、一実施の形態による多層容器の製造方法を示す概略図である。 図7は、一実施の形態による多層プリフォームの変形例を示す部分垂直断面図である。
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1乃至図6は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
多層容器の構成
まず、図1および図2により、本実施の形態による多層プリフォームから製造される多層容器10について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ多層容器10を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す多層容器10は、多層プリフォーム70(図3および図4参照)に対してブロー成形を施すことにより得られるものである。
図1および図2に示すように、多層容器10は、外層1と、内層2とを備えている。
本実施の形態において、多層容器10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。このうち口部11は、図示しないキャップが螺着されるネジ部14と、ネジ部14下に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状(水平断面において徐々に面積が拡大する形状)を有している。
胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部20の外面には、例えば、減圧吸収パネルまたは溝等の凹凸が形成されていても良い。
また、胴部20における多層容器10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm以上250μm以下程度に薄くすることができる。さらに、多層容器10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g以上20g以下とすることができる。このように多層容器10の肉厚を薄くすることにより、多層容器10の軽量化を図ることができる。
一方、底部30は、中央に位置する窪み部31と、この窪み部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
このような多層容器10は、合成樹脂材料を射出成形して製作した多層プリフォーム70(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。また、多層容器10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。あるいは、多層容器10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
(多層容器の外層)
次に、外層1について説明する。
図2に示すように、外層1は、内層2を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、図1に示すように、外層1は、内層2のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30に対応する位置に設けられている。これにより、多層容器10の首部13、肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、外層1は、多層容器10のうち口部11以外の全域又は一部領域に対応する位置に設けられていても良い。例えば、外層1は、多層容器10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30の全域に対応する位置に設けられていても良い。または、外層1は、多層容器10のうち、口部11、首部13、および底部30の中心部を除く、肩部12、胴部20および底部30に対応する位置に設けられていても良い。
また、外層1は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。なお、外層1の材料としては、後述する多層プリフォーム70の外層1aの材料と同一の材料を用いることができるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
多層容器10における外層1の厚みは、多層容器10の胴部20の任意の領域において、0.04mm以上0.52mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。外層1の厚みが0.04mm以上であることにより、多層容器10のガスバリア性をより向上させることができる。また、外層1の厚みが0.52mm以下であることにより、多層容器10を薄肉化することができる。
(多層容器の内層)
次に、多層容器10の内層2について説明する。
多層容器10の内層2の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。内層2は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、内層2の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
多層容器10における内層2の厚みは、多層容器10の胴部20の任意の領域において、0.01mm以上0.33mm以下であることが好ましく、0.025mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
多層プリフォームの構成
次に、本実施の形態による多層プリフォーム70について述べる。多層プリフォーム70は、上記多層容器10を製造するために用いるものである。図3および図4に示すように、多層プリフォーム70は、外層1aと、外層1aの内側に配置され、外層1aと一体に形成された内層2aとを備えている。外層1aは、多層プリフォーム70の最外層であり、内層2aは、多層プリフォーム70の最内層である。
本実施の形態において、図3に示すように、多層プリフォーム70は、口部11aと、胴部20aと、底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した多層容器10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。すなわち、口部11aは、多層容器10のねじ部14に対応するねじ部14aと、フランジ部17に対応するフランジ部17aとを有している。
また、胴部20aは、上述した多層容器10の肩部12および胴部20に対応するものである。
底部30aは、上述した多層容器10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
(多層プリフォームの外層)
次に、多層プリフォーム70の外層1aについて説明する。
本実施の形態では、多層プリフォーム70の外層1aは、フィルム40aにより構成されている。
図4に示すように、フィルム40a(外層1a)は、内層2aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、図3に示すように、フィルム40aは、全体として有底円筒形状からなり、略円筒状の胴部フィルム41と、胴部フィルム41下に設けられた底部フィルム42とを有している。このうち底部フィルム42は、略半球形状を有している。また、底部フィルム42のうち、後述するゲート痕31aに対応する位置に開口部43が形成されている。
本実施の形態の多層プリフォーム70において、フィルム40a(外層1a)は、フランジ部17aの下端から、底部30aにかけて設けられている。このような構成とすることにより、多層プリフォーム70から作製される多層容器10のガスバリア性を向上させることができる。なお、フィルム40aは、口部11a以外の一部領域に対応する位置に設けられていても良い。例えば、フィルム40aは、底部30aと、胴部20aの一部とに対応する位置に設けられていても良い。すなわち、フィルム40aと、フランジ部17aとの間に隙間が設けられていても良い。
このようなフィルム40aは、溶解性熱可塑性樹脂を含んでいる。溶解性熱可塑性樹脂は、酸またはアルカリに対する溶解性を有する樹脂である。また、溶解性熱可塑性樹脂は、ガスバリア性を有する樹脂である。このような溶解性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」とも称する)、ポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂等が挙げられる。溶解性熱可塑性樹脂は、これらの樹脂を2種以上組み合わせてもよい。溶解性熱可塑性樹脂は、酸またはアルカリに対する溶解性の観点から、ポリビニルアルコール系樹脂であることが好ましい。また、フィルム40aは、カルボキシル基含有樹脂を更に含んでいることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、凝集力が高いため酸素や水蒸気を遮断する効果(ガスバリア性)が高く、また、延伸性にも優れている。そのため、フィルム40aがポリビニルアルコール系樹脂を含むことにより、ブロー成形後のガスバリア性に優れる多層プリフォーム70を得ることができる。また、ブロー成形によってフィルム40aが破断することを抑制することができ、多層容器10のブロー成形性を向上させることができる。
また、フィルム40aがカルボキシ基含有樹脂を含むことにより、ブロー成形後のガスバリア性を維持できる。また、フィルム40aがカルボキシ基含有樹脂を含むことにより、フィルム40aが酸またはアルカリに対する易溶解性を有する。これにより、多層容器10や多層プリフォーム70を回収・粉砕・洗浄することによって、フィルム40aから構成される材料(すなわち、外層1a、1)を容易に分離回収することが可能である。そのため、フィルム40aを備える多層プリフォーム70および多層プリフォーム70から得られた多層容器10は、優れたリサイクル性を有する。
更に、従来の容器においては、容器の状態でガスバリア性を付与するためには、容器の内部を減圧する工程を経ることが一般的であるため、容器の肉厚が一定以上の厚みとなることが望まれる。一方、本開示による多層プリフォーム70は、ブロー成形後の多層容器10であってもガスバリア性を維持できるため、多層容器10の状態でガスバリア性を付与する工程を省くことができる。このため、多層容器10の肉厚を薄くすることができ、多層プリフォーム70および多層容器10を軽量化することが可能となる。
フィルム40aにおいて、ポリビニルアルコール系樹脂に対するカルボキシ基含有樹脂の質量比は、1/20以上10/1以下であることが好ましく、1/15以上5/1以下であることがより好ましく、1/10以上2/1以下であることが更に好ましい。上記質量比が1/20以上であることにより、多層容器10のリサイクル性をより向上させることができる。上記質量比が10/1以下であることにより、ブロー成形後の多層容器10において、ガスバリア性をより向上させることができる。なお、上記質量比は固形分比である。
フィルム40aに含まれるカルボキシ基含有樹脂は、既存のカルボキシ基含有樹脂を用いることができる。既存のカルボキシ基含有樹脂とは、ポリマーの構造中にカルボキシ基を含有する樹脂の総称である。カルボキシ基含有樹脂は、カルボキシ基含有不飽和モノマーの単独重合体、カルボキシ基含有不飽和モノマーの共重合体、カルボキシ基含有不飽和モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体、および分子内にカルボキシ基を含有する多糖類(「酸性多糖類」とも称する)が挙げられる。これらのカルボキシ基含有樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、カルボキシ基には、遊離のカルボキシ基のみならず、酸無水物基(具体的には、ジカルボン酸無水物基)も含まれる。酸無水物基は、部分的に開環してカルボキシ基となっていてもよい。また、カルボキシ基含有樹脂において、カルボキシ基の一部は、アルカリで中和されていてもよい。
カルボキシ基含有不飽和モノマーとしては、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸が好ましい。従って、カルボキシ基含有樹脂には、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の単独重合体、2種以上のα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体、およびα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と他の重合性モノマーとの共重合体が含まれる。他の重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和モノマー等が挙げられる。
α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの酸は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸は、ブロー成形性およびブロー成形後のガスバリア性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸の1種または2種以上から選択されることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸の1種または2種以上から選択されることがより好ましい。
α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な他の重合性モノマー、特にエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有ビニルモノマー;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;イタコン酸アルキルエステル類;等を挙げることができる。これらのモノマーは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボキシ基含有多糖類としては、例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシ基を有する酸性多糖類等が挙げられる。これらの酸性多糖類は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、酸性多糖類をα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体と組み合わせて使用することもできる。
本開示で用いるカルボキシ基含有樹脂が、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体である場合には、リサイクル性、ブロー成形性およびブロー成形後のガスバリア性の観点から、その共重合の組成は、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの組成が60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
カルボキシ基含有樹脂は、リサイクル性、ブロー成形性およびブロー成形後のガスバリア性の観点から、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸のみの重合によって得られる単独重合体または共重合体であることが好ましい。ポリカルボン酸系重合体がα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる(共)重合体の場合、カルボキシ基含有樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸の1種または2種以上から選択されるカルボン酸のよって得られる単独重合体、共重合体およびそれらの2種以上の混合物であることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸の1種または2種以上から選択されるカルボン酸のよって得られる単独重合体、共重合体およびそれらの2種以上の混合物であることがより好ましい。
カルボキシ基含有樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびマレイン酸重合体の1種または2種以上から選択されることが好ましい。カルボキシ基含有樹脂は、入手が比較的容易であると共に、リサイクル性、ブロー成形性、ブロー成形後のバリア性および多層プリフォーム70の生産性の観点から、ポリアクリル酸であることがより好ましい。
カルボキシ基含有樹の数平均分子量は、多層プリフォーム70および多層容器10の成形性の観点から、2,000~10,000,000の範囲であることが好ましく、5,000~1,000,000の範囲であることがより好ましく、10,000~500,000の範囲であることが更に好ましい。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。GPC測定では、一般に、標準ポリスチレン換算で重合体の数平均分子量が測定される。
フィルム40aにおけるカルボキシ基含有樹脂の含有量は、1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、2質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上60質量%以下であることが更に好ましい。カルボキシ基含有樹脂の含有量が1質量%以上であることにより、多層容器10のリサイクル性をより向上させることができる。カルボキシ基含有樹脂の含有量が80質量%以下であることにより、ブロー成形後の多層容器10におけるガスバリア性をより向上させることができる。
フィルム40aに含まれるポリビニルアルコール系樹脂は、ポリマーの構造中にアルコール性ヒドロキシ基を含有する樹脂である。PVA系樹脂は、通常、ビニルエステル系重合体をケン化することにより得られるものである。
ビニルエステル系重合体は、通常、ビニルエステルモノマーを重合成分として重合することにより得られるものである。ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニルおよびモノクロロ酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル、並びに安息香酸ビニル等のアレーンカルボン酸ビニル(例えば、C7-12アレーンカルボン酸-ビニルエステル)等の芳香族カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。これらのモノマーは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビニルエステル系重合体は、他の重合性モノマー(ビニルエステルと共重合可能なモノマー)由来の単位を有していてもよい。他の重合性モノマーとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有ビニルモノマー;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;イタコン酸アルキルエステル類;等を挙げることができる。これらのモノマーは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
PVA系樹脂は、ビニルアルコール単位の一部が、アセタール化、エーテル化、アセトアセチル化、カチオン化等の反応によって、変性されたものであってもよい。
PVA系樹脂の重合度は、多層プリフォーム70および多層容器10の成形性の観点から、1000以上4000以下であることが好ましく、1500以上3500以下であることがより好ましく、2000以上3000以下であることが更に好ましい。PVA系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726:1994に準拠して測定することができる。
PVA系樹脂のケン化度は、溶媒への溶解性や組成物の保管安定性が優れる等の観点から、70モル%以上99.9モル%以下であることが好ましく、90モル%以上99.5モル%以下であることがより好ましく、95モル%以上99.5モル%以下であることが更に好ましい。PVA系樹脂のケン化度は、JIS K 6726:1994に準拠して測定することができる。
PVA系樹脂は、PVA系樹脂を4質量%となるように純水に溶かした際に、その水溶液粘度が、3mPa・s以上70mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以上68mPa・s以下であることがより好ましく、54mPa・s以上66mPa・s以下であることが更に好ましい。塗工液の粘度は、JIS Z 8803:2011に準拠して、20℃の温度において測定することができる。
PVA系樹脂は、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、フィルム40aに含まれる全成分に対して、20質量%以上99質量%以下であることが好ましく、30質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上95質量%以下であることが更に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が20質量%以上であることにより、ブロー成形後の多層容器10のガスバリア性をより向上させることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が99質量%以下であることにより、多層容器10のリサイクル性をより向上させることができる。
フィルム40aは、本開示の特性を損なわない範囲において、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸素吸収剤、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤および着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
フィルム40aは、単層であっても、2層以上の多層であってもよい。また、フィルム40aが多層である場合には、各層が、同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
フィルム40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
このようなフィルム40aは、全体として厚みが略一定となっている。このため、多層プリフォーム70における外層1aの厚みは、全体として略一定となっている。フィルム40aの厚みは、2.0μm以上1000.0μm以下であることが好ましく、20.0μm以上500.0μm以下であることがより好ましい。フィルム40aの厚みが2.0μm以上であることにより、ブロー成形性およびブロー成形後のガスバリア性をより向上させることができる。また、フィルム40aの厚みが1000.0μm以下であることにより、多層容器10を薄肉化することができ、多層容器10の軽量化を図ることができる。なお、フィルム40aが多層である場合、フィルム40aの厚みは、全ての層の厚みの合計である。
多層プリフォーム70における外層1aの厚みは、多層プリフォーム70の胴部20aの任意の領域において、内層2aの厚みの0.3倍以上25倍以下であってもよい。外層1aの厚みが内層2aの厚みの0.3倍以上であることにより、多層プリフォーム70のガスバリア性を効果的に向上させることができる。このため、多層プリフォーム70から作製される多層容器10のガスバリア性を効果的に向上させることができる。また、外層1aの厚みが内層2aの厚みの25倍以下であることにより、多層容器10を薄肉化することができ、多層容器10の軽量化を図ることができる。
(多層プリフォームの内層)
次に、多層プリフォーム70の内層2aについて説明する。多層プリフォーム70の内層2aを構成する材料は、多層容器10の内層2の材料と同一である。
この内層2aは、フィルム40aの内面に射出樹脂を射出することにより得られたものである。内層2aは、多層プリフォーム70の胴部20aにおいて、略一定の厚みを有している。
また、内層2aにゲート痕31aが存在している。このゲート痕31aは、フィルム40aの開口部43から外方に露出している。本実施の形態では、後述するように、多層プリフォーム70を作製する際に、開口部43から、フィルム40aとコア側金型83との間の空間に、射出樹脂が射出されるようになっている。なお、本明細書中、「ゲート痕」とは、射出成形により多層プリフォーム70を作製した際に、樹脂材料を射出するためのゲート84(図5(a)参照)に起因して、多層プリフォーム70に形成された凹凸等の痕跡を意味する。
多層プリフォーム70における内層2aの厚みは、多層プリフォーム70の胴部20aの任意の領域において、0.1mm以上2.9mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。内層2aの厚みが0.1mm以上であることにより、多層プリフォーム70の剛性が低下してしまうことを抑制することができる。また、内層2aの厚みが2.9mm以下であることにより、多層容器10を薄肉化することができ、多層容器10の軽量化を図ることができる。
また、本実施の形態による多層プリフォーム70において、フィルム40aの内側および/または外側に、保護層(図示せず)が設けられていてもよい。この保護層は、フィルム40aを保護するためのものであり、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。多層プリフォーム70において、保護層が設けられることにより、多層プリフォーム70および多層容器10の製造時および使用時において、フィルム40aの破損や剥離等の物理的要因から、あるいは吸湿や溶解等の化学的要因からバリア機能の劣化を防止することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリエステル、ポリウレタン、およびポリビニルアセタール等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、保護層は、ポリビニルアセタールを含むことが好ましい。保護層に含まれるポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラールが特に好ましい。ポリビニルブチラールとは、分子内にビニルブチラール基を有する構成単位を備えた重合体である。中でも、下記化学式(I)で表される、少なくともビニルブチラール基を有する構成単位、ヒドロキシ基を有する構成単位を備えた重合体であることが好ましい。
(化学式(I)において、「l」は、ビニルブチラール基を有する構成単位のモル%であり、ブチラール化されたビニルアルコール由来の構成単位の合計のモル%で表される。「m」はビニルアルコール由来の構成単位のモル%を表し、「n」は、酢酸ビニル由来の構成単位のモル%を表す。lおよびmはいずれも0よりも大きい数であり、nは0であってもよい。)
ポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコール(「PVA」とも称する)にブチルアルデヒドを反応させてアセタール化することにより得られるものである。PVAをアセタール化する場合、PVAを完全にアセタール化することは困難であり、部分的にヒドロキシ基が不可逆的に残存する。そのため、ポリビニルブチラール樹脂には、ヒドロキシ基が含まれる。
また、PVAは、通常、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより製造されるが、ポリビニルアルコールの製造工程のケン化の際に少量のアセチル基が残存することが多いため、ポリビニルブチラールには、部分的にアセチル基やヒドロキシ基が不可逆的に残存することが一般的である。従って、ポリビニルブチラールには、通常アセチル基が含まれ、ビニルブチラール基を有する構成単位、アセチル基を有する構成単位、ヒドロキシ基を有する構成単位を備えた重合体が好ましく用いられる。
ポリビニルブチラールは、多層プリフォーム70および多層容器10の成形性、並びに保護層の耐久性の観点から、ブチラール化度が50モル%以上90モル%以下であることが好ましく、60モル%以上85モル%以下であることがより好ましく、65モル%以上75モル%以下であることが好ましくい。ここでブチラール化度とは、ブチラール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除して求めたモル分率であり、前記式(I)におけるビニルブチラール基を有する構成単位のモル%(l)に相当する。
ポリビニルブチラールは、多層プリフォーム70および多層容器10の成形性、並びに保護層の耐久性の観点から、ヒドロキシ基を有する構成単位、即ち、ビニルアルコール由来の構成単位(m)は10モル%以上40モル%以下であることが好ましく、14.9モル%以上34モル%以下がより好ましく、24.5モル%以上31モル%以下であることが更に好ましい。
ポリビニルブチラールは、アセチル基を有する構成単位、すなわち酢酸ビニル由来の構成単位(n)が、10モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上6モル%以下であることがより好ましく、0.5モル%以上4モル%以下であることが更に好ましい。
ポリビニルブチラールは、ビニルアルコールにブチルアルデヒドとは異なるアルデヒドを反応させてアセタール化した構成単位を更に有していてもよい。このような構成単位は10モル%以下であることが好ましい。化学式(I)においてl、m、およびnの総和が100モル%であることが好ましい。
ポリビニルブチラールの数平均分子量は、多層プリフォーム70および多層容器10の成形性、並びに保護層の耐久性の観点から、15000~90000であることが好ましく、20000~70000であることがより好ましく、25000~65000であることが更に好ましい。
ポリビニルブチラールは、ポリビニルブチラールを10質量%となるように5質量%含水エタノールに溶かした際に、その水溶液粘度が、3mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以上280mPa・s以下であることがより好ましく、20mPa・s以上260mPa・s以下であることが更に好ましい。塗工液の粘度は、JIS Z 8803:2011に準拠して、20℃の温度において、落球式粘度計を用いて測定することができる。
ポリビニルブチラールのガラス転移温度(Tg)は、多層プリフォーム70および多層容器10の成形性、並びに保護層の耐久性の観点から、50℃以上100℃以下であることが好ましく、更に60℃以上80℃以下であることが好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定)による熱量変化の測定(DSC法)によって得ることができる。
多層プリフォーム70の保護層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸素吸収剤、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
保護層は、単層であっても、2層以上の多層であってもよい。また、保護層が多層である場合には、各層が、同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
保護層の厚みは、0.5μm以上1000.0μm以下であることが好ましく、0.7μm以上500.0μm以下であることがより好ましい。これにより、フィルム40aの耐劣化性をより向上させることができる。なお、保護層の厚みは、例えば、多層プリフォーム70の胴部20aに対応する位置において測定することができ、厚みが最も薄くなる箇所を意味する。また、保護層が多層である場合、保護層の厚みは、全ての層の厚みの合計である。
次に、図5(a)-(d)および図6(a)-(d)により、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち多層プリフォーム70の製造方法および多層容器10の製造方法について説明する。
まず、胴部フィルム41と底部フィルム42とを有し、底部フィルム42に開口部43が形成されたフィルム40a(図3参照)を準備する。
次に、キャビティ側金型81と、コア82を含むコア側金型83とを有する金型組合体80(後述する図5(b)参照)を準備する。このうち、キャビティ側金型81のうち、多層プリフォーム70の底部30aに対応する位置には、射出樹脂を射出するゲート(注入口)84が形成されている。また、コア側金型83のコア82は、多層プリフォーム70の内層2aの内面に対応する形状を有している。
次いで、図5(a)に示すように、キャビティ側金型81に、フィルム40aを装着する。この場合、例えば、金型組合体80の図示しない真空装置により、キャビティ側金型81にフィルム40aを吸着させてもよい。
次に、図5(b)に示すように、フィルム40aが装着されたキャビティ側金型81内に、コア82を挿入する。この際、まず、キャビティ側金型81に対してコア82を接近させ、キャビティ側金型81内にコア82を挿着する。このようにして、キャビティ側金型81とコア側金型83とを型締めする。
次いで、図5(c)に示すように、キャビティ側金型81に装着されたフィルム40aと、コア82との間の空間に射出樹脂を射出する。この際、キャビティ側金型81とコア側金型83とを型締めした状態で、フィルム40aとコア82との間の空間に、キャビティ側金型81に設けられた射出樹脂のゲート84から、溶解性熱可塑性樹脂により構成された射出樹脂を射出する。ゲート84から射出された射出樹脂は、フィルム40aの開口部43を通って、フィルム40aとコア82との間に進入する。これにより、フィルム40aにより構成された外層1aと、外層1aの内側に配置され、外層1aと一体に形成された内層2aとを有する多層プリフォーム70が形成される。この際、外層1aは、溶解性熱可塑性樹脂により構成される。
そして、図5(d)に示すように、得られた多層プリフォーム70が、金型組合体80から外方へ取出される。
次に、多層容器10の製造方法について説明する。
まず、例えば、図5(a)-(d)に示す方法により、多層プリフォーム70を作製する。
次に、多層プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図6(a)参照)。このとき、多層プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程における多層プリフォーム70の加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
また、多層容器10を作製するためのブロー成形型50を準備する。そして、加熱装置51によって加熱された多層プリフォーム70は、ブロー成形型50に送られる(図6(b)参照)。
多層容器10は、このブロー成形型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形型50は、金属型または樹脂型である型本体52を備えており、型本体52は、互いに分割された一対の胴部型50a、50bと、底部型50cとからなる(図6(b)参照)。型本体52の内面は、多層容器10の肩部12、首部13、胴部20および底部30に対応する形状を有している。図6(b)において、一対の胴部型50a、50b間は互いに開いており、底部型50cは上方に上がっている。この状態で型本体52の一対の胴部型50a、50b間に、多層プリフォーム70が挿入される。
次に、図6(c)に示すように、底部型50cが下がったのちに一対の胴部型50a、50bが閉鎖され、型本体52の一対の胴部型50a、50bおよび底部型50cにより密閉されたブロー成形型50が構成される。次に、多層プリフォーム70内に空気が圧入され、多層プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
これにより、多層プリフォーム70は、ブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形され、ブロー成形型50内で多層プリフォーム70から多層容器10が得られる。この間、胴部型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形型50内では、多層プリフォーム70の外層1a(フィルム40a)および内層2aが一体として膨張される。これにより、外層1aおよび内層2aは、一体となってブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形される。
その後、図6(d)に示すように、型本体52の一対の胴部型50a、50bおよび底部型50cが互いに離れ、ブロー成形型50内から多層容器10が取出される。このようにして、図1および図2に示す多層容器10が得られる。
以上のように本実施の形態によれば、多層プリフォーム70が、フィルム40aにより構成された外層1aと、外層1aの内側に配置され、外層1aと一体に形成された内層2aとを備えている。また、外層1aが、溶解性熱可塑性樹脂を含んでいる。これにより、多層プリフォーム70のガスバリア性を向上させることができる。このため、ブロー成形後の多層容器10のガスバリア性を向上させることができる。
また、多層プリフォーム70から作製される多層容器10において、外層1を内層2から分離除去することができるので、多層容器10のリサイクル性を向上させることができる。
また、多層プリフォーム70の外層1aがフィルム40aにより構成されていることにより、溶解性熱可塑性樹脂により構成された外層1aと、内層2aとを備える多層プリフォーム70を容易に作製することができる。すなわち、この場合、単一の金型組合体80を用いて外層1aと内層2aとを備える多層プリフォーム70を容易に作製することができる。このため、外層1aを形成するための射出成形金型と、内層2aを形成するための射出成形金型とを準備して、射出成形工程を2回に分けて行う必要がない。このため、多層プリフォーム70を容易に作製することができ、多層プリフォーム70の生産性を向上させることができる。
また、外層1aがフィルム40aにより構成されていることにより、外層1aの厚みを容易にコントロールすることができる。このため、例えば、求められるガスバリア性に応じて、外層1aの厚みを容易に変化させることができる。また、フィルム40aの厚みを変化させた場合であっても、フィルム40aをキャビティ側金型81に装着して、フィルム40aとコア82との間の空間に射出樹脂を射出することにより、多層プリフォーム70の形状を一定にすることができる。この場合、金型組合体80を作製し直す必要がない。
さらに、外層1aがフィルム40aにより構成されていることにより、フィルム40aの内面に射出樹脂を射出して内層2aを形成する際に、内層2aを構成する射出樹脂がフィルム40aの外面から露出してしまうことを防止することができる。これにより、多層プリフォーム70において、内層2aが外層1aの外面から露出してしまうことを防止することができる。このため、例えば共射出成形によって内層と外層とを備える多層プリフォームを作製する場合と比較して、多層プリフォーム70のガスバリア性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、フィルム40aにより構成された外層1aが、溶解性熱可塑性樹脂を含んでいる。この場合、ディップ法やスプレー法によって、ガスバリア性を有する層を多層プリフォーム70に形成する場合と比較して、多層プリフォーム70を容易に作製することができる。すなわち、多層プリフォーム70に形成された層に所望のガスバリア性を持たせるためには、当該層の厚みを所定の厚み以上にすることが求められる。このため、例えば、ディップ法によって、ガスバリア性を有する層を多層プリフォーム70に形成する場合、層を構成する材料に対して、外層が形成されていないプリフォームを浸漬する回数、および当該プリフォームに付着した当該材料を乾燥させる回数が多くなってしまう。この結果、ガスバリア性を有する層を当該プリフォームに形成する工程に時間がかかってしまう。一方、外層1aがフィルム40aにより構成されている場合、予め、フィルム40aの厚みが所定の厚みなるように、フィルム40aを形成することができ、ガスバリア性を有する多層プリフォーム70を容易に作製することができる。
また、本実施の形態によれば、外層1aが、カルボキシ基含有樹脂を更に含んでいる。これにより、多層プリフォーム70のガスバリア性を更に向上させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、外層1のうち、ゲート痕31aに対応する位置に開口部43が形成されており、ゲート痕31aが、開口部43から外方に露出している。この場合、多層プリフォーム70を作製する際に、開口部43から、フィルム40aとコア側金型83との間の空間に、射出樹脂が射出されるようになっている。このため、外層1aがフィルム40aにより構成されている場合であっても、外層1aと、外層1aの内側に配置され、外層1aと一体に形成された内層2aとを備える多層プリフォーム70を容易に作製することができる。
なお、上記実施の形態において、フィルム40aが、全体として厚みが略一定となっている例を示したが、これに限られない。例えば、図7に示すように、フィルム40aの胴部フィルム41が、薄肉部41aと、薄肉部41aよりも厚みが厚い厚肉部41bとを含んでいてもよい。図示された例において、厚肉部41bは、薄肉部41aよりも径方向内方に突出している。また、垂直断面において、胴部フィルム41の外面が直線形状をもっている。これにより、フィルム40aをキャビティ側金型81(図5(a)参照)に装着する際に、フィルム40aとキャビティ側金型81との密着性が低下することを抑制することができる。
ここで、厚肉部41bは、多層プリフォーム70の胴部20aのうち、ブロー成形時における延伸倍率が高い領域に設けられていることが好ましい。上述したように、多層容器10は、多層プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより得られる。この場合、多層容器10の肩部12、胴部20および底部30は、多層プリフォーム70の胴部20aおよび底部30aが延伸されることにより形成される。このため、多層プリフォーム70の胴部20aのうち、ブロー成形時における延伸倍率が高い領域に厚肉部41bが設けられていることにより、ブロー成形後の多層容器10において、内層2が外層1の外面から露出することを効果的に抑制することができる。このため、多層容器10のガスバリア性を向上させることができる。例えば、フランジ部17aの下面から多層プリフォーム70の下端までの長さをLとした場合、厚肉部41bは、フランジ部17aの下面から0.1Lmm以上0.8Lmm以下の領域に設けられていることが好ましい。これにより、多層プリフォーム70の胴部20aのうち、ブロー成形時における延伸倍率が高い領域に厚肉部41bを設けることができ、多層容器10のガスバリア性を向上させることができる。
本変形例では、多層プリフォーム70における外層1aの薄肉部41aの厚みは、2.0μm以上1000.0μm以下であることが好ましく、20.0μm以上500.0μm以下であることがより好ましい。
一方、多層プリフォーム70における外層1aの厚肉部41bの厚みは、200μm以上1200μm以下であることが好ましく、400μm以上900μm以下であることがより好ましい。厚肉部41bの厚みが200μm以上であることにより、ブロー成形後のガスバリア性をより向上させることができる。また、厚肉部41bの厚みが1200μm以下であることにより、多層容器10を薄肉化することができ、多層容器10の軽量化を図ることができる。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
1a 外層
2a 内層
10 多層容器
20a 胴部
30a 底部
31a ゲート痕
40a フィルム
43 開口部
70 多層プリフォーム
80 金型組合体
81 キャビティ側金型
82 コア
83 コア側金型

Claims (4)

  1. 多層プリフォームの製造方法において、
    キャビティ側金型と、コアを含むコア側金型とを有する金型組合体を準備する工程と、
    前記キャビティ側金型に、フィルムを装着する工程と、
    前記フィルムが装着された前記キャビティ側金型内に、前記コアを挿入する工程と、
    前記キャビティ側金型に装着された前記フィルムと、前記コアとの間の空間に射出樹脂を射出することにより、前記フィルムにより構成された外層と、前記外層の内側に配置され、前記外層と一体に形成された内層とを有する多層プリフォームを形成する工程とを備え、
    前記外層は、溶解性熱可塑性樹脂を含み、
    前記内層にゲート痕が存在し、
    前記外層のうち、前記ゲート痕に対応する位置に開口部が形成されており、
    前記ゲート痕は、前記開口部から外方に露出している、多層プリフォームの製造方法。
  2. 前記溶解性熱可塑性樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂およびエチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の多層プリフォームの製造方法。
  3. 前記外層は、カルボキシ基含有樹脂を更に含む、請求項またはに記載の多層プリフォームの製造方法。
  4. 請求項乃至のいずれか一項に記載の多層プリフォームの製造方法により多層プリフォームを作製する工程と、
    前記多層プリフォームに対してブロー成形を施す工程と、を備える、多層容器の製造方法。
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